(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018939
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ハイブリッド動力伝動システム
(51)【国際特許分類】
B60K 6/365 20071001AFI20250130BHJP
B60K 6/445 20071001ALI20250130BHJP
F16H 3/72 20060101ALI20250130BHJP
F16H 3/52 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B60K6/365
B60K6/445 ZHV
F16H3/72 A
F16H3/52
B60K6/445
B60K6/365 ZHV
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024092706
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】112128163
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522466326
【氏名又は名称】亞福儲能股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APh ePower Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】鐘 證達
(72)【発明者】
【氏名】呉 建勳
(72)【発明者】
【氏名】蘇 修賢
(72)【発明者】
【氏名】黄 上正
【テーマコード(参考)】
3D202
3J528
【Fターム(参考)】
3D202AA05
3D202EE10
3J528EA27
3J528EB33
3J528EB42
3J528EB62
3J528EB63
3J528FB04
3J528FC17
3J528FC23
3J528GA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー使用効率を改善するために、異なる運転状況に応じてハイブリッド動力モード、純エンジンモード、または純電気モードに切り替えることができるハイブリッド動力伝動システムを提供する。
【解決手段】ハイブリッド動力伝動システム100は、エンジン110、動力ディストリビュータ120、第1電気モータ130、第2電気モータ140、電気エネルギーコントローラ150、エネルギー貯蔵モジュール160およびホイール170を含む。動力ディストリビュータは、エンジンに接続される。第1電気モータは、動力ディストリビュータに接続される。第2電気モータは、動力ディストリビュータに接続される。電気エネルギーコントローラは第1電気モータと第2電気モータに結合される。エネルギー貯蔵モジュールは電気エネルギーコントローラに結合される。ホイールは、第2電気モータに接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続される動力ディストリビュータと、
前記動力ディストリビュータに接続される第1電気モータと、
前記動力ディストリビュータに接続される第2電気モータと、
前記第1電気モータと前記第2電気モータに結合される電気エネルギーコントローラと、
前記電気エネルギーコントローラに結合されるエネルギー貯蔵モジュールと、
前記第2電気モータに接続されるホイールと、を備え、
そのうち、前記エンジンは前記動力ディストリビュータを介して前記第2電気モータと前記ホイールを駆動するのに適しており、前記エネルギー貯蔵モジュールは前記電気エネルギーコントローラを介して前記第2電気モータと前記ホイールを駆動するのに適しており、前記エンジンは前記第1電気モータの駆動と前記電気エネルギーコントローラを介した前記第2電気モータと前記ホイールの駆動に適している、ハイブリッド動力伝動システム。
【請求項2】
前記動力ディストリビュータは、リングギア、減速ギア、遊星ギア組、及びサンギアを有し、前記減速ギアは前記エンジンに接続され、かつ前記リングギアの外歯と噛み合い、前記遊星ギア組は前記リングギアの内歯と噛み合い、前記サンギアは前記第1電気モータに接続し、かつ前記遊星ギア組と噛み合う、請求項1に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項3】
前記サンギアと前記リングギアとの間に配置されるクラッチをさらに含む、請求項2に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項4】
伝動機構をさらに含み、前記伝動機構は前記動力ディストリビュータ、前記第2電気モータ、及び前記ホイールに接続される、請求項2に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項5】
前記伝動機構は、第1伝動輪、第2伝動輪、第3伝動輪、第4伝動輪、及び第1チェーンを有し、前記第1伝動輪は前記遊星ギア組に固定的に接続され、前記第2伝動輪は前記第1伝動輪に隣接し、前記第3伝動輪は前記第2伝動輪に同軸接続され、前記第4伝動輪は前記第2電気モータと前記ホイールに同軸接続されており、かつ前記第4伝動輪は前記第3伝動輪と噛み合う、請求項4に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項6】
前記伝動機構は第1伝動輪、第2伝動輪、第3伝動輪、第4伝動輪、第1チェーン、及び第2チェーンを有し、前記第1伝動輪は前記遊星ギア組に固定的に接続され、前記第2伝動輪は前記第1伝動輪に隣接し、前記第3伝動輪は前記第2伝動輪と前記第2電気モータの間に同軸接続され、前記第4伝動輪は前記ホイールに同軸接続され、前記第1チェーンは前記第1伝動輪と前記第2伝動輪に嵌められ、前記第2チェーンは前記第3伝動輪と前記第4伝動輪に嵌められる、請求項4に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項7】
純エンジンモードにおいて、前記クラッチは前記サンギアと前記リングギアを一体にロックし、前記遊星ギア組と前記リングギアに剛体を形成させ、前記エンジンは第1機械エネルギーを生成して、前記減速ギアを介して前記動力ディストリビュータを直接駆動するのに適している、請求項3に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項8】
ハイブリッド動力モードにおいて、前記クラッチは前記サンギアと前記リングギアを分離し、前記エンジンは第1機械エネルギーを生成するのに適しており、かつ前記第1機械エネルギーの一部は前記動力ディストリビュータを介して前記第2電気モータを駆動し、前記第1機械エネルギーの他の部分は前記動力ディストリビュータを介して前記第1電気モータを駆動して、第2電気エネルギーを生成し、前記第2電気エネルギーは、前記電気エネルギーコントローラを介して前記第2電気モータに提供され、前記第2電気モータは第2機械エネルギーを生成して前記ホイールを駆動する、請求項3に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【請求項9】
純電気モードにおいて、前記エネルギー貯蔵モジュールは第1電気エネルギーを生成し、前記電気エネルギーコントローラを介して前記第1電気モータおよび前記第2電気モータに提供し、前記第2電気モータは第2機械エネルギーを生成して前記ホイールを駆動して回転させる、請求項1に記載のハイブリッド動力伝動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝動システムに関し、特にハイブリッド動力伝動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在では全世界において環境意識の高まりに伴い、燃料自動車の環境基準を規制する関連法を制定する国が増えており、その結果、電気自動車がブームになっている。中でも電気自動車は、燃料自動車とは異なる交通手段として、排気ガスを出さない、騒音が少ないなどの利点があり、低炭素交通を実現するための重要なツールとして注目されている。
【0003】
しかし、既存のエネルギー貯蔵技術や充電技術の開発には限界があり、その結果、電気自動車の航続距離がボトルネックとなっている。したがって、完全な電気自動車が開発される前の過渡的な製品として、燃料電気ハイブリッド車は電気自動車よりも航続力が高く、燃料車よりも優れた環境性能を備えている。しかし、既存の燃料電気ハイブリッド車の動力システムは複雑であり、燃料エンジン、電気モータ、変速機などの伝達構造間の接続に関係し、各伝達機構間の動力伝達過程でエネルギーロスが発生するため、燃料電気ハイブリッド車のエネルギー使用効率は、効率的ではないものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エネルギー使用効率を改善するために、異なる運転状況に応じてハイブリッド動力モード、純エンジンモード、または純電気モードに切り替えることができるハイブリッド動力伝動システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のハイブリッド動力伝動システムは、エンジン、動力ディストリビュータ、第1電気モータ、第2電気モータ、電気エネルギーコントローラ、エネルギー貯蔵モジュールおよびホイールを含む。動力ディストリビュータは、エンジンに接続される。第1電気モータは、動力ディストリビュータに接続される。第2電気モータは、動力ディストリビュータに接続される。電気エネルギーコントローラは第1電気モータと第2電気モータに結合される。エネルギー貯蔵モジュールは電気エネルギーコントローラに結合される。ホイールは、第2電気モータに接続される。エンジンは動力ディストリビュータを介して第2電気モータとホイールを駆動するのに適しており、エネルギー貯蔵モジュールは電気エネルギーコントローラを介して第2電気モータとホイールを駆動するのに適しており、エンジンは第1電気モータの駆動と電気エネルギーコントローラを介した第2電気モータとホイールの駆動に適している。
【0006】
本発明の一実施形態では、上記の動力ディストリビュータは、リングギア、減速ギア、遊星ギア組、及びサンギアを有し、減速ギアはエンジンに接続され、かつリングギアの外歯と噛み合い、遊星ギア組はリングギアの内歯と噛み合い、サンギアは第1電気モータに接続し、かつ遊星ギア組と噛み合う。
【0007】
本発明の一実施形態では、サンギアとリングギアとの間に配置されるクラッチをさらに含む。
【0008】
本発明の一実施形態では、伝動機構をさらに含み、伝動機構は動力ディストリビュータ、第2電気モータ、及びホイールに接続される。
【0009】
本発明の一実施形態では、上記の伝動機構は、第1伝動輪、第2伝動輪、第3伝動輪、第4伝動輪、及び第1チェーンを有し、第1伝動輪は遊星ギア組に固定的に接続され、第2伝動輪は第1伝動輪に隣接し、第3伝動輪は第2伝動輪に同軸接続され、第4伝動輪は第2電気モータとホイールに同軸接続されており、かつ第4伝動輪は第3伝動輪と噛み合う。
【0010】
本発明の一実施形態では、上記の伝動機構は第1伝動輪、第2伝動輪、第3伝動輪、第4伝動輪、第1チェーン、及び第2チェーンを有し、第1伝動輪は遊星ギア組に固定的に接続され、第2伝動輪は第1伝動輪に隣接し、第3伝動輪は第2伝動輪と第2電気モータの間に同軸接続され、第4伝動輪はホイールに同軸接続され、第1チェーンは第1伝動輪と第2伝動輪に嵌められ、第2チェーンは第3伝動輪と第4伝動輪に嵌められる。
【0011】
本発明の一実施形態では、純エンジンモードにおいて、クラッチはサンギアとリングギアを一体にロックし、遊星ギア組とリングギアに剛体を形成させ、エンジンは第1機械エネルギーを生成して、減速ギアを介して動力ディストリビュータを直接駆動するのに適している。
【0012】
本発明の一実施形態では、ハイブリッド動力モードにおいて、クラッチはサンギアとリングギアを分離し、エンジンは第1機械エネルギーを生成するのに適しており、かつ第1機械エネルギーの一部は動力ディストリビュータを介して第2電気モータを駆動し、第1機械エネルギーの他の部分は動力ディストリビュータを介して第1電気モータを駆動して、第2電気エネルギーを生成し、第2電気エネルギーは、電気エネルギーコントローラを介して第2電気モータに供給され、第2電気モータは第2機械エネルギーを生成してホイールを駆動する。
【0013】
本発明の一実施形態では、純電気モードにおいて、エネルギー貯蔵モジュールは第1電気エネルギーを生成し、電気エネルギーコントローラを介して第1電気モータおよび第2電気モータに提供し、第2電気モータは第2機械エネルギーを生成してホイールを駆動して回転させる。
【発明の効果】
【0014】
上記に基づいて、本発明のハイブリッド動力伝動システムは自動二輪車、自動車または類似の交通輸送ツールに適しており、かつハイブリッド動力伝動システムはエンジン、第1電気モータ、第2電気モータ、エネルギー貯蔵モジュールなどの動力源と組み合わせることができ、本発明では、走行状況に応じて、ハイブリッド動力モード、純エンジンモードまたは純電気モードに切り換えることができ、また対応してエンジン、第1電気モータ、第2電気モータ及びエネルギー貯蔵モジュールをオンまたはオフにしてエネルギー消費を削減し、交通輸送ツールの走行航続力を向上させることができる。
【0015】
さらに、本発明のハイブリッド動力伝動システムは、純エンジンモードとハイブリッド動力モードを切り換える場合、クラッチの開閉のみで切換の目的を達成することができ、既存の複合動力システムと比較して、切換ステップが簡略化され、構造が簡単であるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のハイブリッド動力伝動システムのブロック図である。
【
図2】
図1のハイブリッド動力伝動システムの実施形態の構造接続図である。
【
図3】
図1のハイブリッド動力伝動システムの別の実施形態の構造接続図である。
【
図4A】
図1のハイブリッド動力伝動システムのハイブリッド動力モードにおける動力駆動のブロック模式図である。
【
図4B】
図4Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【
図5A】
図1のハイブリッド動力伝動システムの純エンジンモードにおける動力駆動のブロック模式図である。
【
図5B】
図5Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【
図6A】
図1のハイブリッド動力伝動システムの純電気モードにおける動力駆動のブロック模式図である。
【
図6B】
図6Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【
図7】
図1のハイブリッド動力伝動システムのモード切換規則の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明のハイブリッド動力伝動システムのブロック図である。
図2は、
図1のハイブリッド動力伝動システムの実施形態の構造接続図である。
図3は、
図1のハイブリッド動力伝動システムの別の実施形態の構造接続図である。
【0018】
図1から
図3を参照すると、本発明のハイブリッド動力伝動システム100は、自動二輪車、自動車または類似の交通輸送ツールに適しており、かつエンジン110、動力ディストリビュータ120、第1電気モータ130、第2電気モータ140、電気エネルギーコントローラ150、エネルギー貯蔵モジュール160、およびホイール170を含む。
【0019】
エンジン110は交通輸送ツールに配置され、且つエネルギー源として燃料を使用する。動力ディストリビュータ120はエンジン110に接続される。第1電気モータ130は動力ディストリビュータ120に接続される。第2電気モータ140は動力ディストリビュータ120に接続される。電気エネルギーコントローラ150は第1電気モータ130と第2電気モータ140に結合される。エネルギー貯蔵モジュール160は電気エネルギーコントローラ150に結合される。ホイール170は第2電気モータ140に接続される。
【0020】
図1を参照すると、エンジン110は第1電気モータ130の駆動と電気エネルギーコントローラ150を介して第2電気モータ140とホイール170の駆動に適しており、かつ同時に動力ディストリビュータ120を介して第2電気モータ140を直接駆動して、ハイブリッド動力モードに切り換えるのに適している。エンジン110は、動力ディストリビュータ120を介して第2電気モータ140とホイール170を駆動して、純エンジンモードに切り換えるのに適している。エネルギー貯蔵モジュール160は、電気エネルギーコントローラを介して第2電気モータ140とホイール170を駆動して、純電気モードに切り替えるのに適している。
【0021】
図2および
図3を参照すると、動力ディストリビュータ120は、リングギア121、減速ギア122、遊星ギア組123、およびサンギア124を有する。
【0022】
リングギア121は内歯と外歯(図示せず)を有する。減速ギア122はエンジン110の回転軸に接続され、かつリングギア121の外歯と噛み合うことにより、減速ギア122を介してエンジン110の動力をリングギア121に伝達することができる。遊星ギア組123はリングギア121の内歯と噛み合う、つまりリングギア121は内歯を介して遊星ギア組123を駆動できる。サンギア124は第1電気モータ130の回転軸に接続され、かつ遊星ギア組123と噛み合うことにより、サンギア124を介して第1電気モータ130で発生した動力を遊星ギア組123に伝達することができる。
【0023】
ハイブリッド動力伝動システム100は、サンギア124とリングギア121の間に配置されるクラッチ180を含む。クラッチ180が分離状態のとき、サンギア124とリングギア121は2つの独立したコンポーネントであり、かつ自由に回転でき、クラッチ180が接合状態のとき、サンギア124とリングギア121は一体として接続され、同期して回転する。本発明の複数の動力源は、クラッチ180のオンオフにより、動力ディストリビュータ120の状態を変更するため、ハイブリッド動力伝動システム100の切換ステップを簡略化することができる。
【0024】
図2および
図3を参照すると、ハイブリッド動力伝動システム100は、伝動機構190を含み、伝動機構190は動力ディストリビュータ120、第2電気モータ140、およびホイール170に接続される。つまり、エンジン110と第1電気モータ130の動力は動力ディストリビュータ120と伝動機構190を経てホイール170に伝達され、第2電気モータ140の動力は伝動機構190を経てホイール170に伝達される。本発明の複数の動力源は同一の伝動機構190を共有するので、ハイブリッド動力伝動システム100は構造が簡単であるという特性を有する。
【0025】
図2を参照すると、伝動機構190は第1伝動輪191、第2伝動輪192、第3伝動輪193、第4伝動輪194及び第1チェーン195を有する。第1伝動輪191は遊星ギア組123に固定的に接続され、第2伝動輪192は第1伝動輪191に隣接し、第3伝動輪193は第2伝動輪192に同軸接続され、第4伝動輪194は第2電気モータ140とホイール170に同軸接続され、かつ第4伝動輪194は第3伝動輪193と噛み合う。このうち第2電気モータ140はインホイールモータを直接使用し、かつホイール170に同軸実装される。
【0026】
つまり、エンジン110及び第1電気モータ130の動力伝達経路は、順に動力ディストリビュータ120、第1伝動輪191、第1チェーン195、第2伝動輪192、第3伝動輪193、第4伝動輪194、第2電気モータ140となり、最終的にホイール170に伝達される。
【0027】
図3を参照すると、この実施形態と
図2の実施形態との間には違いがあり、その違いは、伝動機構190が、第1伝動輪191、第2伝動輪192、第3伝動輪193、第4伝動輪194、第1チェーン195および第2チェーン196を有することである。第1伝動輪191は遊星ギア組123に固定的に接続され、第2伝動輪192は第1伝動輪191に隣接し、第3伝動輪193は第2伝動輪192と第2電気モータ140の間に同軸接続され、第4伝動輪194はホイール170に同軸接続され、第1チェーン195は第1伝動輪191と第2伝動輪192に嵌められ、第2チェーン196は第3伝動輪193と第4伝動輪194に嵌められる。このうち第2電気モータ140は動力ディストリビュータ120と並列に接続される。
【0028】
つまり、エンジン110と第1電気モータ130の動力伝達経路は、順に動力ディストリビュータ120、第1伝動輪191、第1チェーン195、第2伝動輪192、第3伝動輪193、第2電気モータ140、第2チェーン196、第4伝動輪194となり、最終的にホイール170に伝達される。
【0029】
図4Aは、
図1のハイブリッド動力伝動システムのハイブリッド動力モードにおける動力駆動のブロック模式図である。
図4Bは、
図4Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【0030】
図2、
図4A、および
図4Bを参照すると、ハイブリッド動力伝動システムはハイブリッド動力モードにおいて、クラッチ180はサンギア124とリングギア121のロックを解除する。エンジン110は、第1機械エネルギーM1を生成し、動力ディストリビュータ120に伝達するのに適しており、そのうち第1機械エネルギーM1の一部は減速ギア122、リングギア121、及び伝動機構190を介してホイール170を直接駆動して回転させ、第1機械エネルギーM1の他の部分は減速ギア122、リングギア121、及びサンギア124を介して第1電気モータ130を駆動して第1電気エネルギーE1を生成し、第1電気エネルギーE1は電気エネルギーコントローラ150を介して第2電気モータ140に提供される。上記の第1機械エネルギーM1と第1電気エネルギーE1を組み合わせると、第2電気モータ140が第2機械エネルギーM2を生成してホイール170を駆動して回転させる。
【0031】
【0032】
【0033】
図3のハイブリッド動力伝動システムの接続方法によると、その回転速度とねじり力関係の関係は次の方程式で表すことができる。
【0034】
【0035】
【0036】
図7は、
図1のハイブリッド動力伝動システムのモード切換規則の模式図である。
【0037】
図7を併せて参照すると、ハイブリッド動力モードは緩加速および低速巡航の状況で、エンジン110によって生成された第1機械エネルギーM1が第2電気モータ140と第1電気モータ130を同時に駆動し、それによってエンジン110の回転速度と動作点を調整して、省エネと速度変更機能を実現するのに適し、また、第1電気モータ130はハイブリッド動力モードで、発電機に切り換わり、第1電気エネルギーE1を生成して第2電気モータ140を直接駆動し、同時に第1電気モータ130は伝動システムの負荷としても機能し、エンジン110の入力回転速度とホイール170の出力回転速度の比率を連続的に変更する。
【0038】
図5Aは、
図1のハイブリッド動力伝動システムの純エンジンモードにおける動力駆動のブロック模式図である。
図5Bは、
図5Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【0039】
図3、
図5A及び
図5Bを参照すると、ハイブリッド動力伝動システム100は純エンジンモードにおいて、クラッチ180はサンギア124とリングギア121を一体にロックし、遊星ギア組123とリングギア121に剛体を形成させ、エンジン110は第1機械エネルギーM1を生成して、減速ギア122を介して動力ディストリビュータ120を直接駆動するのに適しており、かつ動力ディストリビュータ120は伝動機構190を介して第2電気モータ140とホイール170を直接駆動して回転させる。
【0040】
【0041】
図7を併せて参照すると、純エンジンモードは高速巡航の状況に適用し、エンジン110で生成された第1機械エネルギーM1は動力ディストリビュータ120、伝動機構190を経て第2電気モータ140とホイール170を直接駆動するのに適しており、第1電気モータ130と動力ディストリビュータ120は剛体を形成しているため、エンジン110で生成された第1機械エネルギーM1はすべて第2電気モータ140及びホイール170の駆動に使用され、よって機械エネルギーを電気エネルギーに変換する際のエネルギー損失を回避できる。
【0042】
図6Aは、
図1のハイブリッド動力伝動システムの純電気モードにおける動力駆動のブロック模式図である。
図6Bは、
図6Aのエンジン、第1電気モータ、第2電気モータの回転速度関係図である。
【0043】
図3、
図6Aおよび
図6Bを参照すると、ハイブリッド動力伝動システム100は純電気モードにおいて、エンジン110は起動されず、エネルギー貯蔵モジュール160は第2電気エネルギーE2を生成し、電気エネルギーコントローラ150を介して第1電気モータ130および第2電気モータ140に提供し、第2電気モータ140は第2機械エネルギーM2を生成してホイール170を駆動して回転させる。具体的には、第1電気モータ130はここで第2電気エネルギーE2の一部を消費する負荷として機能し、エネルギー貯蔵モジュール160が第2電気モータ140に入力する電気エネルギーの総量を連続的に変化させることにより、ホイール170出力回転速度を調整する。
【0044】
【0045】
図7を併せて参照すると、純電気モードは発進に際して、エンジン110が静止状態から燃料を消費するのを防ぐのに適している。
【0046】
以上をまとめると、本発明のハイブリッド動力伝動システムは自動二輪車、自動車または類似の交通輸送ツールに適しており、かつハイブリッド動力伝動システムはエンジン、第1電気モータ、第2電気モータ、エネルギー貯蔵モジュールなどの動力源と組み合わせることができ、本発明では、走行状況に応じて、ハイブリッド動力モード、純エンジンモードまたは純電気モードに切り換えることができ、また対応してエンジン、第1電気モータ、第2電気モータ及びエネルギー貯蔵モジュールをオンまたはオフにしてエネルギー消費を削減し、交通輸送ツールの走行航続力を向上させることができる。
【0047】
さらに、本発明のハイブリッド動力伝動システムは、純エンジンモードとハイブリッド動力モードを切り換える場合、クラッチの開閉のみで切換の目的を達成することができ、既存の複合動力システムと比較して、切換ステップが簡略化され、構造が簡単であるという特徴を有する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のハイブリッド動力伝動システムは、交通輸送ツール分野に適用することにより、交通輸送ツールの走行航続力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
100:ハイブリッド動力伝動システム
110:エンジン
120:動力ディストリビュータ
121:リングギア
122:減速ギア
123:遊星ギア組
124:サンギア
130:第1電気モータ
140:第2電気モータ
150:電気エネルギーコントローラ
160:エネルギー貯蔵モジュール
170:ホイール
180:クラッチ
190:伝動機構
191:第1伝動輪
192:第2伝動輪
193:第3伝動輪
194:第4伝動輪
195:第1チェーン
196:第2チェーン
M1:第1機械エネルギー
M2:第2機械エネルギー
E1:第1電気エネルギー
E2:第2電気エネルギー
【外国語明細書】