(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018953
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】クイックカップリングシステム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/36 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
E02F3/36 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024103512
(22)【出願日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】10 2023 119 932.3
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】519209288
【氏名又は名称】オイルクイック ドイチュランド カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シャウアー
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012DB00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建設機械のアタッチメントを変更するためのクイックカップリングシステムの適用範囲を拡大する。
【解決手段】クイックカップリングシステム(1)は、回転駆動部(4)によって回転軸(5)を中心に回転可能であり、かつ/又は旋回駆動部(6)によって旋回軸(7)を中心に枢動可能であるように支持体(2)に配置されたクイックカプラ(3)を含む。グリッパ駆動部(29、30)によって作動され得る把持トング装置(23)がクイックカプラ(3)に配置され、互いに対して移動可能な複数のグリッパアーム(24、25)を有し、取り換え可能なグリッパ要素(32)がグリッパアーム(24、25)に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のアタッチメントを変更するためのクイックカップリングシステム(1)であって、回転駆動部(4)によって回転軸(5)を中心に回転可能であり、かつ/又は旋回駆動部(6)によって旋回軸(7)を中心に枢動可能であるように支持体(2)に配置された、ツール又はアタッチメント部を結合するためのクイックカプラ(3)を含み、把持トング駆動部(29、30)によって作動され得る、互いに対して移動可能な複数のグリッパアーム(24、25)を有する把持トング装置(23)が、前記クイックカプラ(3)に配置され、さらに、取り換え可能なグリッパ要素(32、38)が前記グリッパアーム(24、25)に配置されることを特徴とする、クイックカップリングシステム(1)。
【請求項2】
前記把持トング装置(23)が配置された前記クイックカプラ(3)が、前記回転駆動部(4)によって前記回転軸(5)を中心に回転可能であり、かつ、前記旋回駆動部(6)によって前記回転軸(5)に直交する旋回軸(7)を中心に枢動可能であるように前記支持体(2)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項3】
前記把持トング装置(23)が、互いに対して枢動可能であるように支持構造体(26)に配置された2つのグリッパアーム(24、25)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項4】
前記グリッパ要素(32、38)が、非破壊的に取り外し可能な接続部を介して前記グリッパアーム(24、25)に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項5】
前記グリッパ要素(32、38)が、前記グリッパアーム(24、25)に溶接されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項6】
前記グリッパ要素(32、38)が、コンポーネントの内部把持のための外側クランプ面(34)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項7】
前記グリッパ要素(32、38)が、停止面(36)を有して外側に突出する突起(35)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項8】
弾性押圧体(37)が、前記グリッパ要素(32、38)に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項9】
前記把持トング駆動部(29、30)が、第1のグリッパアーム(24)を駆動するための第1のグリッパシリンダ(29)と、第2のグリッパアーム(25)を駆動するための第2のグリッパシリンダ(30)とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【請求項10】
前記支持体(2)が、2つの平行なボルト形状の接続要素を収容するための開口部(14)を有する互いに平行な2つの側板(12)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックカップリングシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、請求項1の前文に記載の建設機械のアタッチメントを変更するためのクイックカップリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなクイックカップリングシステムは、移動オプションを拡張するための回転-旋回ユニットとして、建設機械のアタッチメント部とツールとの間で、エクスカベータ又は他の同等の建設機械で使用される。そのようなクイックカップリングシステムは、通常、油圧回転駆動部によって回転軸を中心に回転し、油圧旋回駆動部によって回転軸に直交する旋回軸を中心に旋回することができるように接続部に配置されたクイックカプラを含み、クイックカプラは、クイックカプラに結合されるアタッチメントを解放可能に保持するためのレセプタクルと少なくとも1つのロック要素とを有する。そのようなクイックカップリングシステムにより、スイベルバケット、グリッパ、はさみ、コンパクタ、マグネット、油圧ハンマなどのクイックカプラに結合されたアタッチメントは、エクスカベータスティックの長手方向軸に対して横方向に配置された旋回軸だけでなく、この旋回軸に直交する回転軸をも中心として回転することができる。そのようなクイックカップリングシステムは、特許文献1において知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2020 127 313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、用途の範囲拡大を可能にする、最初に述べたタイプのクイックカップリングシステムを作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するクイックカップリングシステムによって解決される。本発明の有用な実施形態及び有利なさらなる実施形態は、従属請求項に記載される。
建設機械のアタッチメントを変更するための本発明によるクイックカップリングシステムは、ツール又はアタッチメント部を結合するためのクイックカプラを含み、クイックカプラは、回転駆動部によって回転軸を中心に回転可能であり、かつ/又は旋回駆動部によって旋回軸を中心に枢動可能であるように支持体に配置される。用途の範囲を拡大するために、互いに対して移動可能ないくつかのグリッパアームを有する把持トング装置がクイックカプラに配置され、把持トング装置は、把持トング駆動部によって作動し、必要に応じて容易に後付けすることができる。これにより、例えば、パイプ、リング、バー、石などを把持して搬送することが可能になる。把持トング装置を異なる要件に比較的容易かつ費用効果的に適合させるために、取り換え可能なグリッパ要素がグリッパアームに配置される。これにより、適用範囲の拡大が容易になる。異なる要件及び用途領域に適合させるために、把持トング装置全体を再構築したり変更したりする必要はない。グリッパアームに別々に配置されたグリッパ要素のみを交換すればよい。
【0006】
好ましい実施形態では、把持トング装置が配置されたクイックカプラは、回転駆動部によって回転軸を中心に回転可能であり、かつ、旋回駆動部によって回転軸に直交する旋回軸を中心に枢動可能であるように支持体に配置される。これにより、把持トング装置は回転させるだけでなく、傾斜させることも可能になる。しかしながら、クイックカプラは、回転又は傾斜のみが可能であるように支持体に配置されることもあり得る。
【0007】
把持トング装置は、好ましくは、互いに対して枢動することができるように支持構造体に配置された2つのグリッパアームを有する。しかしながら、把持トング装置は、3つ以上のグリッパアームを含むこともあり得る。
【0008】
好ましい実施形態では、所望の用途領域に個別に適合されたグリッパ要素が、非破壊的に取り外し可能な接続部を介してグリッパアームに取り付けられ得る。これにより、グリッパ要素は、特に迅速に、大きな変換労力なしに取り換え又は交換することが可能になる。しかしながら、別の適切な方法でグリッパ要素をグリッパアームに溶接又は固定することもあり得る。その場合でも、グリッパ要素は、幾分大きな労力だけで交換することができる。グリッパアームを特定の用途領域に適合させるために、グリッパアーム全体を交換する必要はない。
【0009】
1つの実用的な実施形態では、グリッパ要素は、内側にコンポーネントを把持するための外側クランプ面を有する。グリッパ要素はまた、停止面を有し、外側に突出する突起を有し得る。さらなる有利な実施形態では、弾性押圧体がグリッパ要素に配置され得る。これにより、例えば、大理石等からなる敏感なコンポーネントを把持することが可能になる。
【0010】
有利な実施形態では、把持トング駆動部は、第1のグリッパアームを駆動するための第1のグリッパシリンダと、第2のグリッパアームを駆動するための第2のグリッパシリンダとを含み得る。しかしながら、把持トング駆動部は、異なるように設計されることもあり得る。
【0011】
支持体は、好ましくは、2つの平行なボルト形状の接続要素を収容するための開口部を有する互いに平行な2つの側板を有する。これにより、支持体は、ボルト形状の接続要素を介して、エクスカベータアームに直接配置されるか、又はエクスカベータアームに配置されたクイックカプラに結合されることが可能になる。
【0012】
本発明のさらなる特別な特徴及び利点は、図面を参照して好ましい実施形態の以下の説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】把持トング装置を有するクイックカップリングシステムの斜視図である。
【
図4】
図2に示す把持トング装置のグリッパアームの詳細図である。
【
図5】さらなる設計におけるグリッパアームの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、エクスカベータ又は同等の建設機械のアタッチメントを変更するための、チルトローテータとしても知られるクイックカップリングシステム1を示す。クイックカップリングシステム1は、回転及び旋回駆動部によって回転かつ旋回することができるように支持体2に配置され、アタッチメントの自動又は手動結合のために設計されたクイックカプラ3を含む。図示の実施形態では、クイックカプラ3は、油圧回転駆動部4によって回転軸5を中心に360°回転され、かつ、油圧旋回駆動部6によって回転軸5に直交する旋回軸7を中心に旋回されることが可能なように支持体2に配置され、支持体は直接又は油圧作動クイックカプラを介してエクスカベータスティック又は建設機械の別のアタッチメント要素に結合され得る。
【0015】
ここではチルトローテータとして設計されたクイックカップリングシステム1は、ここでは鉛直に位置合わせされている回転軸5を中心に360°回転できるようにクイックカプラ3が装着された、駆動ハウジング8を含む。駆動ハウジング8内には、ここでは見えない油圧回転フィードスルーもあり、駆動ハウジング8に対して回転不能であるようにステータが駆動ハウジング8内に配置され、クイックカプラ3に油圧流体を供給するためにロータがステータの内部に回転可能に装着される。回転駆動部4は、油圧駆動部として設計された油圧モータ9を含み、これにより、クイックカプラ3は、駆動ハウジング8の内部に配置されたウォームホイールと油圧モータ9によって回転可能な駆動ウォームとを有するギアボックスを介して、回転軸5を中心に駆動ハウジング8に対して360°回転することができる。
【0016】
駆動ハウジング8は、2つの離間した軸受アイ11内の横方向に突出する軸受ピン10を介して支持体2に配置され、これにより、駆動ハウジング8は、回転軸5に直交する旋回軸7を中心に旋回することができ、
図1及び
図2に示す位置から、旋回軸7を中心にクイックカップリングシステム1に対して油圧旋回駆動部6を介して約+/-45°旋回することができる。ここではチルトローテータとして設計されたクイックカップリングシステム1は、クイックカプラ3に結合されたアタッチメントが回転軸5を中心に回転するだけでなく、回転軸5に直交する旋回軸7を中心に支持体2に対して傾斜することをも可能にし、したがって移動範囲が拡大され、それによって用途領域も増大される。しかしながら、クイックカップリングシステム1は、クイックカプラ3の回転又は旋回のいずれかのみを行うように設計されることもあり得る。
【0017】
図示の実施例では、支持体2は、互いに平行な2つの側板12と、軸受アイ11が配置された前側及び後側クロスピース13とを有する。駆動ハウジング8は、前側及び後側クロスピース13の軸受アイ11内の2つの軸受ピン10を介して旋回軸7を中心に枢動可能に装着される。図示されているクイックカップリングシステム1の2つの側板12には、2つの平行なボルト形状の接続要素を収容するための4つの開口部14が設けられている。
【0018】
アタッチメント又はツールを結合するように設計された手動又は油圧で作動可能なクイックカプラ3は、一方の側でツール側の第1のボルト形状の結合要素を受け入れて保持するための一方の側に開いた第2のレセプタクル16と、ツール側の第2のボルト形状の結合要素を受け入れて保持するための、ここでは見えない他方の側の第2のレセプタクルとを有するハウジング15を含む。ツールを自動的に結合するための油圧作動クイックカプラ3の例示的な実施形態は、独国特許出願公開第10 2018 128 479号明細書に開示されている。そのような油圧作動クイックカプラの既知の構造及び動作モードに関して、この公報は明確に参照される。しかしながら、クイックカプラ3は、手動で操作されるクイックカプラとしても設計され得る。手動で操作されるクイックカプラの実施形態の例は、例えば、独国特許出願公開第20 2017 001 992号明細書に開示されている。
【0019】
図示の実施形態では、旋回駆動部6は、2つの複動式作動シリンダ17及び18によって形成され、それぞれのシリンダは、支持体2のそれぞれの側板12に取り付けられたシリンダハウジング19と、シリンダハウジング19内に摺動可能に配置された油圧で移動可能なピストンロッド20とを有する。ピストンロッド20の自由端は、ヒンジアイ21及び対応するホルダ22を介して駆動ハウジング8に接続される。作動シリンダ17及び18の2つのピストンロッド20を対応させて伸縮させることにより、クイックカプラ3が回転可能に装着された駆動ハウジング8は、支持体2に対して傾斜させることができる。しかしながら、旋回駆動部6は、油圧モータ又は別の適切な油圧駆動部によっても形成され得る。
【0020】
互いに対して旋回可能な2つのグリッパアーム24及び25を有する把持トング装置23もまた、クイックカプラ3のハウジング15に配置され、必要に応じて容易に後付けしたり再び取り外したりすることができる。2つのグリッパアーム24及び25は、それぞれ軸27又は28を中心に枢動することができ、ここでは2つの複動グリッパシリンダ29又は30によって形成された油圧グリッパトング駆動部を介して開閉可能なように、
図2にも示す支持構造体26に配置される。2つのグリッパアーム24及び25の一方は、他方のグリッパアーム24又は25を収容するためのスロット状の凹部31を有する。これにより、それぞれグリッパシリンダ29又は30によって枢動可能な2つのグリッパアーム24及び25は、閉じるときに互いの中に移動し、完全に閉じることが可能になる。スロット形状の凹部31が設けられたグリッパアーム24が支持構造体26の左側に配置される
図1とは対照的に、
図2の実施形態では、スロット状の凹部31が設けられたグリッパアーム24が支持構造体26の右側に配置されている。支持構造体26は対称的であるため、クイックカプラ3に対し、2つの異なる位置で、すなわち180°回転させて容易に装着することができる。
【0021】
図1及び
図2から分かるように、別個の取り換え可能なグリッパ要素32が2つのグリッパアーム24及び25に配置される。図示の実施形態の例では、グリッパ要素32は、ねじ33又は別の非破壊的に取り外し可能な接続部を介してグリッパアーム24及び25に取り付けられる。スロット状の凹部31が設けられたグリッパアーム24には、凹部31の上下にそれぞれ2つのグリッパ要素32が取り付けられるのに対し、他方のグリッパアーム25には1つのみのグリッパ要素32が取り付けられる。
【0022】
図1及び
図2に示すグリッパ要素32は、例えば、マンホールリング、パイプなどの内側を把持するように設計される。特に
図4及び
図5の拡大図から分かるように、これらのグリッパ要素32は、直線状の外側クランプ面34と、停止面36を有し、外側に突出する鼻状突起35とを有する。2つのグリッパアーム24及び25を離すことによって、2つのグリッパ要素32の互いに平行なクランプ面34が、例えば、マンホール管又は他の部品を内側からクランプして輸送のために保持するのに使用され得る。
図4に示す実施形態では、グリッパ要素32は、ねじ33を介してグリッパアームに取り外し可能に取り付けられ、したがって容易に取り換え又は交換することができる。しかしながら、グリッパ要素32は、
図5に示すように、別の適切な方法でグリッパアームに溶接又は固定されることもあり得る。その後、グリッパ要素32は、異なる要件に適合するために交換又は変更されることがあり得る。しかしながら、この変更はより大きな労力を伴う。
【0023】
図1及び
図2に示すグリッパ要素32の代わりに、特別な用途領域に適合された他のグリッパ要素も、当然ながらグリッパアーム24及び25に取り付けることができる。
図3では、例えば、ゴムバッファ又は他の弾性押圧体37が設けられたグリッパ要素38がグリッパアーム24及び25に装着される。これにより、例えば、大理石等からなる敏感なコンポーネントを把持することが可能になる。他の特別に適合されたグリッパ要素も、容易かつ迅速に装着することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 エクスカベータアタッチメント
2 支持体
3 クイックカプラ
4 回転駆動部
5 回転軸
6 旋回駆動部
7 旋回軸
8 駆動ハウジング
9 油圧モータ
10 軸受ピン
11 軸受アイ
12 側板
13 クロスピース
14 開口部
15 ハウジング
16 レセプタクル
17 第1の作動シリンダ
18 第2の作動シリンダ
19 シリンダハウジング
20 ピストンロッド
21 ヒンジアイ
22 ホルダ
23 把持トング装置
24 第1のグリッパアーム
25 第2のグリッパアーム
26 支持構造体
27 第1の軸
28 第2の軸
29 第1のグリッパシリンダ
30 第2のグリッパシリンダ
31 凹部
32 グリッパ要素
33 ねじ
34 クランプ面
35 突起
36 停止面
37 押圧体
38 グリッパ要素
【外国語明細書】