(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001903
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】カラーキーパー、その製造方法、及び、カラーキーパーを備えた襟付き衣類
(51)【国際特許分類】
B65D 85/18 20060101AFI20241226BHJP
A41B 3/18 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65D85/18 F
A41B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101668
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】523233466
【氏名又は名称】株式会社ジーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】槇原 果
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA15
3E068AB03
3E068BB01
3E068CC29
3E068CE03
3E068DD04
3E068DD07
3E068DD08
3E068EE02
(57)【要約】
【課題】折り畳まれた状態やハンガーにより吊り下げられた状態の衣類の襟部の外観から本体が見え難く、襟部の型崩れを防ぐことができ、襟部の形態を安定して保つことができるカラーキーパーを提供する。
【解決手段】本発明のカラーキーパー1は、襟部における台襟部の外周面と折返襟部の内周面との間に着脱可能に装着され、樹脂製の薄板部材からなる可撓性の本体10を有し、この本体は、装着状態では環状となり、非装着状態では帯状となるように弾性変形可能であり、左切込部46及び右切込部48のそれぞれの凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2は、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの下縁18a,20aに対して本体の短手方向内側に形成される切込深さD1が、本体左背面部及び本体右背面部のそれぞれの短手方向の幅W1に対して1/3以下に設定されることで、ハンガーにより吊り下げられた状態の衣類の襟部の形態も安定して保つことができる。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれた状態の衣類の襟部に装着されて襟部の形態を保持可能なカラーキーパーであって、
前記衣類の前記襟部の台襟部は、その正面側から見て、前端且つ左右中央に設けられて互いに前後に重ね合わせられる台襟左前端部及び台襟右前端部と、前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた台襟釦部及び台襟釦穴部と、前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部のそれぞれに対して左右外側且つ後方側の長手方向に延びるように形成された台襟左側面部及び台襟右側面部と、前記台襟左側面部及び前記台襟右側面部の後方側且つ左右内側の長手方向に延びるように形成された台襟背面部と、を備えており、前記台襟左前端部から長手方向の前記台襟左側面部と前記台襟背面部との台襟第1接続部までの台襟第1区間、前記台襟第1接続部から長手方向の前記台襟背面部と前記台襟右側面部との台襟第2接続部までの台襟第2区間、及び、前記台襟第2接続部から長手方向の前記台襟右前端部までの台襟第3区間のそれぞれは、前記台襟部の全周を周方向に三等分するように配置されており、
前記カラーキーパーは、前記台襟部の外周面とその上縁に折り返し可能に設けられた折返襟部の内周面との間に着脱可能に装着され、樹脂製の薄板部材からなる可撓性の本体を有し、
前記本体は、前記台襟部の外周面に対して長手方向に沿って装着された装着状態では環状となり、前記台襟部に対して非装着状態では帯状となるように弾性変形可能であり、
前記本体は、さらに、その左右長手方向の中心部に設けられて前記台襟釦穴部に挿入された状態の前記台襟釦部に対して着脱可能に係止する係止溝を含む係止部と、
前記装着状態の前記本体を正面側から見て前記係止部から前記本体の左右長手方向の外側にそれぞれ延びるように形成されて前記台襟左側面部及び前記台襟右側面部のそれぞれと対向するように配置される本体左側面部及び本体右側面部と、
前記本体左側面部の左外側端部及び前記本体右側面部の右外側端部のそれぞれから左右長手方向の外側に延びるように形成されて前記台襟背面部と対向するように配置され、前記装着状態の環状の前記本体の周方向の長さを調節可能にする調節部を含む本体左背面部及び本体右背面部と、を備えており、
前記本体左側面部の左外側端部及び前記本体右側面部の右外側端部のそれぞれは、その後方側の前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれと接続する本体第1接続部及び本体第2接続部のそれぞれであり、前記本体第1接続部及び前記本体第2接続部のそれぞれは、前記台襟第1接続部及び前記台襟第2接続部のそれぞれに対向するように配置され、その下縁が前記本体の短手方向内側に湾曲状に切り込んだ切込みを形成する左切込部及び右切込部をそれぞれ備えており、
前記左切込部及び前記右切込部の各切込みは、前記衣類がハンガーにより吊り下げられた状態において、前記ハンガーの一部がその上方の前記衣類の布地を介して下方から接触可能に上方に凹湾曲状に切り込んだ切込みを形成し、
前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれは、その短手方向の幅が前記台襟背面部の短手方向の幅と同一であり、前記左切込部及び前記右切込部のそれぞれの前記凹湾曲状に切り込んだ切込みは、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの下縁に対して前記本体の短手方向内側に形成される切込深さが、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの前記短手方向の幅に対して1/3以下に設定されることで、前記ハンガーにより吊り下げられた状態の前記衣類の前記襟部の形態も安定して保つことができることを特徴とするカラーキーパー。
【請求項2】
前記台襟左側面部は、前記台襟第1区間を長手方向に前後二等分する台襟左前側面部及び台襟左後側面部と、前記台襟左前側面部と前記台襟左後側面部とを接続する台襟第3接続部と、を備えており、前記台襟右側面部は、前記台襟第3区間を長手方向に前後二等分する台襟右前側面部及び台襟右後側面部と、前記台襟右前側面部と前記台襟右後側面部とを接続する台襟第4接続部と、を備えており、
前記台襟左後側面部及び前記台襟右後側面部のそれぞれは、その長手方向後方側から前方側に向かってその短手幅が同一であり、前記台襟左前側面部及び前記台襟右前側面部のそれぞれの下縁は、前記台襟第3接続部及び前記台襟第4接続部のそれぞれの下端から前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部のそれぞれに向かって前記台襟左前側面部及び前記台襟右前側面部のそれぞれの短手幅が徐々に狭くなるように湾曲しており、
前記本体左側面部及び前記本体右側面部のそれぞれは、前記台襟左後側面部及び前記台襟右後側面部のそれぞれと対向するように配置された本体後側左側面部及び本体後側右側面部と、前記台襟左前側面部及び前記台襟右前側面部のそれぞれと対向するように配置された本体前側左側面部及び本体前側右側面部と、前記本体後側左側面部及び前記本体後側右側面部のそれぞれと前記本体前側左側面部及び前記本体前側右側面部のそれぞれとを接続する本体第3接続部及び本体第4接続部と、を備えており、
前記本体後側左側面部及び前記本体後側右側面部のそれぞれは、その下縁が前記左切込部及び前記右切込部のそれぞれを形成し、前記左切込部及び前記右切込部のそれぞれは、その後方側から前方側の前記本体第3接続部及び前記本体第4接続部のそれぞれに対応する前端に向かって短手幅が徐々に大きくなるように凹湾曲状の切込みを形成し、
前記本体前側左側面部及び前記本体前側右側面部のそれぞれは、その下縁が前記本体第3接続部及び前記本体第4接続部のそれぞれに対応する後端から前方の前記係止部に向かって短手幅が徐々に狭くなるように形成され、
前記本体第3接続部及び前記本体第4接続部のそれぞれは、その下端が前記台襟第3接続部及び前記台襟第4接続部のそれぞれの下端に接触可能な第1凸接点及び第2凸接点をそれぞれ備え、前記第1凸接点及び前記第2凸接点のそれぞれにおける前記本体第3接続部及び前記本体第4接続部のそれぞれの短手幅は、前記台襟第3接続部及び前記台襟第4接続部のそれぞれの短手幅と同一、かつ、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの短手幅と同一に設定されている請求項1記載のカラーキーパー。
【請求項3】
前記調節部は、前記本体左背面部及び前記本体右背面部の短手方向に延びるように形成され且つ長手方向に間隔置いて配置された複数の左調節穴及び右調節穴と、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの長手方向の外側端部から外側に突出するようにそれぞれ設けられた左係止突起及び右係止突起と、を備えており、
前記本体は、少なくとも前記左係止突起が前記複数の右調節穴のいずれか1つに挿入されて係止されるか、又は、前記右係止突起が前記複数の左調節穴のいずれか1つに挿入されて係止されることにより、前記台襟部と前記折返襟部との間に環状に装着される請求項1記載のカラーキーパー。
【請求項4】
前記係止部は、その左右方向中央且つ下端から上方に延びる前記係止溝の左右両側にそれぞれ設けられて下方に突出する左側下方突起及び右側下方突起をそれぞれ備えており、前記左側下方突起及び前記右側下方突起のそれぞれは、前記本体前側左側面部及び前記本体前側右側面部のそれぞれの前端と接続され、前記左側下方突起及び前記右側下方突起のそれぞれの下端は、前記本体前側左側面部及び前記本体前側右側面部のそれぞれの下縁よりも下方に位置し、前記台襟釦穴部が設けられた前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部のいずれかの下端に接触可能な第3凸接点及び第4凸接点をそれぞれ備えている請求項2記載のカラーキーパー。
【請求項5】
台襟部と、その上縁に折り返し可能に設けられた折返襟部と、を備えた襟部と、
前記台襟部と前記折返襟部との間に着脱可能に装着される前記請求項1乃至4の何れか1項に記載のカラーキーパーと、を有することを特徴とする襟付き衣類。
【請求項6】
台襟部と折返襟部との間に挟み入れて襟形状を保つためのカラーキーパーであって、
中央で折れ曲がったブーメラン形状で可撓性を有する薄板部材からなる本体を有し、
前記本体は、中央を通る線について略線対称な形状であり、前記本体の中央に台襟釦部に係止する係止部と、前記本体を環状にするための係止突起及び調節穴と、前記調節穴と前記係止部との間に形成された切込部と、を備え、
折り畳まれた状態及びハンガーにより吊り下げられた状態の衣類の襟部に装着されても襟部の形態を安定して保つことができることを特徴とするカラーキーパー。
【請求項7】
前記切込部が、前記本体の短手方向の幅に対して1/3以下の深さである請求項6記載のカラーキーパー。
【請求項8】
請求項7記載のカラーキーパーを薄板材から打ち抜き加工で製造するカラーキーパーの製造方法。
【請求項9】
前記台襟部と、その上縁に折り返し可能に設けられた前記折返襟部と、を備えた前記襟部と、
前記台襟部と前記折返襟部との間に着脱可能に装着される請求項6記載のカラーキーパーと、を有することを特徴とする襟付き衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーキーパー、その製造方法、及び、それを備えた襟付き衣類に係り、特に、折り畳まれた状態又はハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部に装着されて襟部の形態を保つ襟付き衣類用のカラーキーパー、その製造方法、及び、カラーキーパーを備えた襟付き衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、襟付き衣類の襟部に装着されて襟部の形態を保つ襟付き衣類用のカラーキーパーとして、例えば、特許文献1、2に記載されているように、細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体を有するものが知られている。
これらの上述した特許文献1、2に記載されている従来の襟付き衣類用のカラーキーパーにおいては、その本体が、折り畳まれた状態の襟付き衣類の襟部における台襟部と折返襟部との間に装着されるようになっている。
特に、上述した特許文献2に記載されている従来の襟付き衣類用のカラーキーパーにおいては、その本体の下縁に複数の波型が設けられており、折り畳まれた状態の襟付き衣類の襟部に対して本体が装着された状態では、これら複数の波型の波の頂点が襟付き衣類に対して複数の接触点で接触することにより、その接触荷重が分散され、衣類の後見頃に付着する接触跡を抑制することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-16251号公報
【特許文献2】特開2022-112084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載されている従来の襟付き衣類用のカラーキーパーにおいては、襟付き衣類を店頭等でハンガーにより吊り下げられた状態で陳列するために、ハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部に装着した場合には、襟付き衣類全体の自重により、ハンガーの一部がその上方の衣類の布地に対して下方から押し当てられ、このハンガーの一部に押し当てられた状態の布地がその上方のカラーキーパーの一部と接触するようになる。
これにより、カラーキーパーの一部が、ハンガーの一部及びこれに押し当てられた布地によって上方押し上げられ、襟部の台襟部と折返襟部との隙間から前後方向等に移動したり、襟部の台襟部と折返襟部との隙間の外部にはみ出したりするため、襟部の形態を保つ機能が損なわれるだけでなく、カラーキーパーの一部が外観から見えてしまい、陳列された襟付き衣類商品の外観も損なわれるという問題がある。
また、上述した特許文献2に記載されている従来の襟付き衣類用のカラーキーパーについて、ハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部に装着した場合には、カラーキーパーの本体の下縁の複数の波型の山と谷との差(波高)の部分に対して、ハンガーの一部が布地と共に下方から押し当てられると、カラーキーパーの本体の波型の波高が大きい程、ハンガーの一部が布地と共に大きな押し込み量でカラーキーパーに対して押し当てられることになり、カラーキーパーの本体の背面側が襟部の背面側の台襟部と折返襟部との隙間から下方にはみ出したりするという問題がある。
したがって、折り畳まれた状態の襟付き衣類に対しては当然のことながら、ハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部に対しても、装着された状態のカラーキーパーをいかに襟付き衣類の外観から見え難くすると共に、襟部の型崩れを防いで形態を安定して保つかが、近年要請されている課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題及び近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、折り畳まれた状態やハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部の外観から本体が見え難く、襟部の型崩れを防ぐことができ、襟部の形態を安定して保つことができるカラーキーパー、その製造方法、及び、カラーキーパーを備えた襟付き衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明においては、折り畳まれた状態の衣類の襟部に装着されて襟部の形態を保持可能なカラーキーパーであって、前記衣類の前記襟部の台襟部は、その正面側から見て、前端且つ左右中央に設けられて互いに前後に重ね合わせられる台襟左前端部及び台襟右前端部と、前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた台襟釦部及び台襟釦穴部と、前記台襟左前端部及び前記台襟右前端部のそれぞれに対して左右外側且つ後方側の長手方向に延びるように形成された台襟左側面部及び台襟右側面部と、前記台襟左側面部及び前記台襟右側面部の後方側且つ左右内側の長手方向に延びるように形成された台襟背面部と、を備えており、前記台襟左前端部から長手方向の前記台襟左側面部と前記台襟背面部との台襟第1接続部までの台襟第1区間、前記台襟第1接続部から長手方向の前記台襟背面部と前記台襟右側面部との台襟第2接続部までの台襟第2区間、及び、前記台襟第2接続部から長手方向の前記台襟右前端部までの台襟第3区間のそれぞれは、前記台襟部の全周を周方向に三等分するように配置されており、前記カラーキーパーは、前記台襟部の外周面とその上縁に折り返し可能に設けられた折返襟部の内周面との間に着脱可能に装着され、樹脂製の薄板部材からなる可撓性の本体を有し、前記本体は、前記台襟部の外周面に対して長手方向に沿って装着された装着状態では環状となり、前記台襟部に対して非装着状態では帯状となるように弾性変形可能であり、前記本体は、さらに、その左右長手方向の中心部に設けられて前記台襟釦穴部に挿入された状態の前記台襟釦部に対して着脱可能に係止する係止溝を含む係止部と、前記装着状態の前記本体を正面側から見て前記係止部から前記本体の左右長手方向の外側にそれぞれ延びるように形成されて前記台襟左側面部及び前記台襟右側面部のそれぞれと対向するように配置される本体左側面部及び本体右側面部と、前記本体左側面部の左外側端部及び前記本体右側面部の右外側端部のそれぞれから左右長手方向の外側に延びるように形成されて前記台襟背面部と対向するように配置され、前記装着状態の環状の前記本体の周方向の長さを調節可能にする調節部を含む本体左背面部及び本体右背面部と、を備えており、前記本体左側面部の左外側端部及び前記本体右側面部の右外側端部のそれぞれは、その後方側の前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれと接続する本体第1接続部及び本体第2接続部のそれぞれであり、前記本体第1接続部及び前記本体第2接続部のそれぞれは、前記台襟第1接続部及び前記台襟第2接続部のそれぞれに対向するように配置され、その下縁が前記本体の短手方向内側に湾曲状に切り込んだ切込みを形成する左切込部及び右切込部をそれぞれ備えており、前記左切込部及び前記右切込部の各切込みは、前記衣類がハンガーにより吊り下げられた状態において、前記ハンガーの一部がその上方の前記衣類の布地を介して下方から接触可能に上方に凹湾曲状に切り込んだ切込みを形成し、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれは、その短手方向の幅が前記台襟背面部の短手方向の幅と同一であり、前記左切込部及び前記右切込部のそれぞれの前記凹湾曲状に切り込んだ切込みは、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの下縁に対して前記本体の短手方向内側に形成される切込深さが、前記本体左背面部及び前記本体右背面部のそれぞれの前記短手方向の幅に対して1/3以下に設定されることで、前記ハンガーにより吊り下げられた状態の前記衣類の前記襟部の形態も安定して保つことができることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカラーキーパー、その製造方法、及び、カラーキーパーを備えた襟付き衣類によれば、折り畳まれた状態やハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類の襟部の外観から本体が見え難く、襟部の型崩れを防ぐことができ、襟部の形態を安定して保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した状態を示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した状態を示す背面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーが装着される襟付き衣類の襟部の台襟部及び折返し襟部を示す展開背面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについて襟付き衣類の襟部に装着していない状態を示す展開正面図である。
【
図5B】
図5Aに示す本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーの展開正面図において、本体の係止部及びその左右の側面部の部分を拡大した部分拡大展開正面図である。
【
図5C】
図5Aに示す本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーの展開正面図において、本体の左調節部の部分を拡大した部分拡大展開正面図である。
【
図5D】
図5Aに示す本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーの展開正面図において、本体の右調節部の部分を拡大した部分拡大展開正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについて説明する。
まず、
図1~
図3は、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した状態の正面図、側面図、及び、背面図をそれぞれ示す。また、
図4は、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーが装着される襟付き衣類の襟部の台襟部及び折返し襟部を示す展開背面図である。さらに、
図5Aは、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについて襟付き衣類の襟部に装着していない状態を示す展開正面図である。
【0010】
まず、
図1~
図3に示すように、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1は、折り畳まれた状態及びハンガーにより吊り下げられた状態のワイシャツ等の襟付き衣類2の襟部4に装着されて襟部4の形態を保つものである。
また、
図1~
図5Aに示すように、このカラーキーパー1は、具体的には、襟付き衣類2の襟部4における台襟部6の外周面6aとその上縁に折り返し可能に設けられた折返襟部8の内周面8aとの間に着脱可能に装着されることにより台襟部6と折返襟部8との間に挟み入れて襟形状を保つことができるようになっている本体10を有する。この本体10は、カラーキーパー1が装着される前の状態では、中央で折れ曲がったブーメラン形状(平面視において概ねV字形形状)で展開された状態となっており、可撓性を有する樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂等)の薄板部材からなる。
なお、カラーキーパー1の製造方法においては、例えば、このブーメラン形状の本体10が薄板材から金型等を用いた打ち抜き加工(プレス加工)により成形されることにより、カラーキーパー1が製造されるようになっている。
また、本体10は、台襟部6の外周面6aに対して長手方向に沿って装着された装着状態では環状となり、台襟部6に対して非装着状態では帯状となるように弾性変形可能になっている。
さらに、
図5Aに示すように、本体10は、その各部の詳細については後述するが、中央を通る線A1について略線対称な形状であり、襟部4に装着された状態のカラーキーパー1を正面側から見て左右方向の中心側(
図5Aに示す本体10の左右方向の中心軸線A1側)かつ前方側から左右方向の外側かつ後方側に向かって、係止部12、本体左側面部14及び本体右側面部16、並びに、本体左背面部18及び本体右背面部20をそれぞれ備えている。
【0011】
一方、
図4に示すように、襟付き衣類2の台襟部6は、その正面側から見て左右方向の中心側(
図4に示す展開した状態の台襟部6を長手方向に左右二等分する中心軸線A2側)かつ前方側から後方側に向かって、台襟左前端部22及び台襟右前端部24、台襟左側面部26及び台襟右側面部28、並びに、台襟背面部30をそれぞれ備えている。
まず、台襟左前端部22及び台襟右前端部24のそれぞれは、襟付き衣類2の台襟部6の前端かつ左右中央に設けられて互いに前後に重ね合わせられるようになっている。
また、台襟左前端部22及び台襟右前端部24の一方側(例えば、前方側から見て奥側(後側)の台襟左前端部22)には、台襟釦部32が設けられている。
一方、台襟左前端部22及び台襟右前端部24の他方側(例えば、前方側から見て手前側(前側)の台襟右前端部24)には、台襟釦部32が着脱可能に挿入される台襟釦穴部34が設けられている。
つぎに、台襟左側面部26及び台襟右側面部28のそれぞれは、台襟左前端部22及び台襟右前端部24のそれぞれに対して左右外側かつ後方側の長手方向に延びるように形成されている。
また、台襟背面部30は、台襟左側面部26及び台襟右側面部28の後方側かつ左右内側の長手方向に延びるように形成されている。
ここで、台襟左前端部22から長手方向の台襟左側面部26と台襟背面部30との台襟第1接続部B1までの台襟第1区間S1、台襟第1接続部B1から長手方向の台襟背面部30と台襟右側面部28との台襟第2接続部B2までの台襟第2区間S2、及び、台襟第2接続部B2から長手方向の台襟右前端部24までの台襟第3区間S3のそれぞれは、台襟部6の全周を周方向に三等分するように配置されている。
【0012】
つぎに、
図1~
図5Aに示すように、本体10の係止部12は、本体10の左右長手方向の中心部O1に設けられ、台襟釦穴部34に挿入された状態の台襟釦部32に対して着脱可能に係止する係止溝40を含む。
また、本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれは、襟付き衣類2の襟部4に装着状態では、本体10を正面側から見て係止部12から本体10の左右長手方向の外側にそれぞれ延びるように形成され、台襟左側面部26及び台襟右側面部28のそれぞれの外面と対向するように配置されるようになっている。
さらに、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれは、本体左側面部14の左外側端部14a及び本体右側面部16の右外側端部16aのそれぞれから左右長手方向の外側に延びるように形成され、台襟背面部30の外面と対向するように配置されるようになっている。
また、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれは、襟付き衣類2の襟部4に装着した状態で環状の本体10の周方向の長さを調節可能にする調節部42,44(左調節部42、右調節部44)をそれぞれ備えている。これらの調節部42,44の詳細については後述するが、
図5Aに示すように、本体10の左右長手方向の中心部O1に対して左右対称に設けられている。
【0013】
つぎに、
図5Bは、
図5Aに示す本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1の展開正面図において、本体10の係止部12及びその左右の側面部14,16の部分を拡大した部分拡大展開正面図である。
図1~
図5Bに示すように、本体左側面部14の左外側端部14a及び本体右側面部16の右外側端部16aのそれぞれは、その後方側の本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれと接続する本体第1接続部C1及び本体第2接続部C2のそれぞれとなっている。
これらの本体第1接続部C1及び本体第2接続部C2のそれぞれは、台襟第1接続部B1及び台襟第2接続部B2のそれぞれに対向するように配置され、本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれの下縁14b,16bが本体10の短手方向内側に湾曲状に切り込んだ切込みを形成する左切込部46及び右切込部48をそれぞれ備えている。
これらの左切込部46及び右切込部48の各切込みR1,R2は、その詳細については後述するが、襟付き衣類2がハンガーHにより吊るされた状態において、ハンガーHの一部がその上方の襟付き衣類2の布地を介して下方から接触可能に上方に凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2を形成している。
【0014】
つぎに、
図1~
図5Bに示すように、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれは、その短手方向の幅W1(短手幅W1)が台襟背面部30の短手方向の幅W0(短手幅W0)と同一となっている(W1=W0)。
また、左切込部46及び右切込部48のそれぞれの凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2は、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの下縁18a,20aに対して本体10の短手方向内側に形成される本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれの下縁14b,16b(各切込みR1,R2)の切込深さD1が、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1に対して0.2~0.4又は約1/3以下に設定されている(D1/W1=0.2~0.4、又は、D1/W1≦1/3)。
ちなみに、一例として、本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれの下縁14b,16b(各切込みR1,R2)の切込深さD1は1.0[cm]に設定され(D1=1.0[cm])、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1は3.2[cm]に設定されている(W1=3.2[cm])。
【0015】
つぎに、
図4に示すように、台襟左側面部26は、台襟第1区間S1を長手方向に前後二等分する台襟左前側面部26A及び台襟左後側面部26Bと、台襟左前側面部26Aと台襟左後側面部26Bとを接続する台襟第3接続部B3とを備えている。
また、台襟右側面部28は、台襟第3区間S3を長手方向に前後二等分する台襟右前側面部28A及び台襟右後側面部28Bと、台襟右前側面部28Aと台襟右後側面部28Bとを接続する台襟第4接続部B4とを備えている。
さらに、台襟左後側面部26B及び台襟右後側面部28Bのそれぞれは、その長手方向後方側から前方側に向かってその短手幅W2が同一である。
一方、台襟左前側面部26A及び台襟右前側面部28Aのそれぞれの下縁26a,28aは、台襟第3接続部B3及び台襟第4接続部B4のそれぞれの下端26b,28bから台襟左前端部22及び台襟右前端部24のそれぞれに向かって台襟左前側面部26A及び台襟右前側面部28Aのそれぞれの短手幅W3が徐々に狭くなるように湾曲している。
【0016】
つぎに、
図1~
図5Bに示すように、本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれは、台襟左前側面部26A及び台襟右前側面部28Aのそれぞれと対向するように配置された本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aと、台襟左後側面部26B及び台襟右後側面部28Bのそれぞれと対向するように配置された本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bと、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれと本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bのそれぞれとを接続する本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4とを備えている。
また、本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bのそれぞれは、その下縁14b,16bが左切込部46及び右切込部48のそれぞれを形成している。これらの左切込部46及び右切込部48のそれぞれは、その後方側から前方側の本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれに対応する前端14f,16fに向かって、本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bのそれぞれの短手幅W4が徐々に大きくなるように凹湾曲状の切込みR1,R2をそれぞれ形成している。
一方、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれは、その下縁14d,16dが本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれに対応する後端14c,16cから前方の係止部12に向かって短手幅W5が徐々に狭くなるように形成されている。
さらに、本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれは、その下端14e,16eが台襟第3接続部B3及び台襟第4接続部B4のそれぞれの下端26b,28bに接触可能な第1凸接点P1及び第2凸接点P2をそれぞれ備えている。
ここで、第1凸接点P1及び第2凸接点P2のそれぞれにおける本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれの短手幅W6は、台襟第3接続部B3及び台襟第4接続部B4のそれぞれの短手幅W7と同一、かつ、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1と同一に設定されている(W6=W7=W1)。
【0017】
つぎに、
図5C及び
図5Dのそれぞれは、
図5Aに示す本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1の展開正面図において、本体10の左調節部42及び右調節部44のそれぞれの部分を拡大した部分拡大展開正面図である。
図1~
図3及び
図5A~
図5Dに示すように、本体10の各調節部42,44は、本体左背面部18及び本体右背面部20の短手方向に延びるように形成され、かつ、長手方向に等間隔を置いてそれぞれ配置された複数(12個)の左調節穴50及び複数(12個)の右調節穴52をそれぞれ備えている。これらの調節穴50,52は、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれを厚み方向に貫通する長穴となっている。
また、各調節部42,44は、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの長手方向の外側端部18b,20bから外側に突出するようにそれぞれ設けられた左係止突起54及び右係止突起56を備えている。
これらにより、本体10は、少なくとも左係止突起54が複数(12個)の右調節穴52のいずれか1つに挿入されて係止されるか、或いは、右係止突起56が複数(12個)のの左調節穴50のいずれかに挿入されて係止されることにより、台襟部6と折返襟部8との間に環状に装着されるようになっている。
なお、各調節部42,44の複数の調節穴50,52の個数については、12個以外の複数の個数であってもよい。
【0018】
つぎに、
図1~
図5Bに示すように、本体10の係止部12は、その左右方向中央かつ下端から上方に延びる係止溝40の左右両側にそれぞれ設けられて下方に突出する左側下方突起58及び右側下方突起60をそれぞれ備えている。
また、左側下方突起58及び右側下方突起60のそれぞれは、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれの前端14f,16fと接続されている。
さらに、左側下方突起58及び右側下方突起60のそれぞれの下端58a,60aは、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれの下縁14d,16dよりも下方に位置し、台襟釦穴部34が設けられた台襟右前端部24の下端24aに接触可能な第3凸接点P3及び第4凸接点P4をそれぞれ備えている。
【0019】
なお、上述した本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1については、ハンガーHに吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着した例について説明しているが、ハンガーHを用いずに折り畳まれた状態の襟付き衣類2に対して装着してもよい。
ここで、
図5A~
図5Dを参照して、上述した本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1の本体10の各部の寸法の一例を以下に示す。
まず、本体10の長手方向の中心部O1から各背面部18,20のそれぞれの長手方向の外側端部18b,20bにおける各調節部42,44の各係止突起54,56の先端54a,56aまでの距離L1は、27.0[cm]に設定されている(L1=27.0[cm])。
つぎに、本体10の各背面部18,20の短手幅W1は、3.2[cm]に設定されている(W1=3.2[cm])。
また、本体10の各調節部42,44の各調節穴50,52における本体10の短手方向の長さh1は、1.1[cm]に設定されており(h1=1.1[cm])、隣接する各調節穴50,52同士の間隔d1は、1.0[cm]に設定されている(d1=1.0[cm])。
さらに、本体10の各調節部42,44の各係止突起54,56における本体10の短手方向の最大幅(最大短手幅W8)は、1.2[cm]に設定されている(W8=1.2[cm])。
また、本体10の各調節部42,44の各係止突起54,56が各背面部18,20の長手方向の外側端部18b,20bから本体10の長手方向に突出する突起長さL2は、1.2[cm]に設定されている(L2=1.2[cm])。
さらに、本体10の各調節部42,44の各係止突起54,56における各先端54a,56aの幅W9については、0.9[cm]に設定されている(W9=0.9[cm])。
また、本体10の中心部O1における係止部12全体の短手幅W10は、2.4[cm]に設定されている(W10=2.4[cm])。
さらに、本体10の係止部12の各下方突起58,60が本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれの下縁14d,16dから下方に突出する各下端58a,60aまでの突起長さL3は、1.4[cm]に設定されている(L3=1.4[cm])。
また、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの下縁18a,20aに対して本体10の短手方向内側に形成される切込深さD1は、1.0[cm]に設定されており(D1=1.0[cm])、本体10の各背面部18,20の短手幅W1が3.2[cm]に設定されているため(W1=3.2[cm])、D1/W1=0.31に設定されている。
なお、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1の本体10の各部の寸法については、上述した例に限られず、カラーキーパー1が装着される襟付き衣類の襟部の寸法及び形状に応じて適宜変更可能である。
【0020】
つぎに、
図1~
図6を参照して、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1の作用について説明する。
図6は、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパーについてハンガーに吊るされた状態の襟付き衣類の襟部に装着した使用状態を示す斜視図である。
まず、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1によれば、樹脂製の薄板部材からなる可撓性の本体10を襟付き衣類2の襟部4に装着する際には、襟部4の折返襟部8を折り返さない状態で、襟付き衣類2の襟部4の台襟釦穴部34に挿入された状態の台襟釦部32を本体10の係止部12の係止溝40で係止すると共に、本体左側面部14及び本体右側面部16、並びに、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれについて、台襟左側面部26及び台襟右側面部28、並びに、台襟背面部30のそれぞれの表面(外周面6a)に沿わせるように装着する。
これにより、非装着状態で帯状となっていた樹脂製の薄板部材である本体10の全体が弾性変形(曲げ変形及びねじり変形)により立体的な環状形状となる。
このとき、本体10の左切込部46及び右切込部48のそれぞれの凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2により、非装着状態で帯状となっていた樹脂製の薄板部材である本体10の全体を曲げ変形及びねじり変形により立体的な環状形状に弾性変形させやすくすることができる。
そして、襟付き衣類2の台襟部6の外周長さに応じて、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれに設けられた調節部42,44を調節することにより、装着状態の環状の本体10の周方向の長さを調節することができる。
また、この襟付き衣類2の襟部4の台襟部6に装着された環状の本体10は、襟部4の折返襟部8を折り返すことにより、襟部4の台襟部6と折返襟部8との間に挿入された状態となり、本体10における係止部12以外の各部が襟付き衣類2の外観からは見え難くなる。
このとき、折り畳まれた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本体10においては、襟付き衣類2の外観からは見え難くなることに加えて、襟部4の台襟部6の表面(外周面6a)と折り返した状態の折返襟部8の裏面(内周面8a)との間の本体10が台襟部6の表面(外周面6a)側から支持すると共に、折返襟部8の裏面(内周面8a)側から支持することができるため、襟部4の型崩れを防ぐことができ、襟部4の形態を安定して保つことができる。
さらに、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本体10において、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の全体の自重により襟部4と共に下方に移動した際、襟付き衣類2の台襟左側面部26と台襟背面部30との台襟第1接続部B1や台襟背面部30と台襟右側面部28との台襟第2接続部B2のそれぞれの接続部B1,B2に対してハンガーHの一部が下側から接触する。
このとき、このハンガーHの一部に接触する台襟第1接続部B1及び台襟第2接続部B2における襟付き衣類2の布地が、台襟第1接続部B1及び台襟第2接続部B2のそれぞれに対向する本体第1接続部C1及び本体第2接続部C2のそれぞれの左切込部46及び右切込部48における凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2のそれぞれに対して下方から入り込むことにより接触する。
ここで、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1が台襟背面部30の短手方向の幅W0と同一であり、左切込部46及び右切込部48のそれぞれの凹湾曲状に切り込んだ切込みR1,R2において、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの下縁18a,20aに対して本体10の短手方向内側に形成される切込深さD1が、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1に対して0.2~0.4又は約1/3以下に設定されている(D1/W1=0.2~0.4、又は、D1/W1≦1/3)。
これにより、ハンガーHの一部がその上方の襟付き衣類2の布地を介して本体10の左切込部46及び右切込部48のそれぞれの凹湾曲状の切込みR1,R2内に適度に押し当てられる。
これにより、本体10は、襟部4の台襟部6と折返襟部8との間の隙間領域の範囲内で固定された状態となり、本体10の前方部分が襟部4の台襟部6と折返襟部8との間の隙間領域からその前方の外部領域にはみ出したり、本体10の後方部分が襟部4の台襟部6と折返襟部8との間の隙間領域からその後方や下方の外部領域にはみ出したりすることなく、本体10を襟部4の台襟部6と折返襟部8との間になじませることができる。
したがって、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本体10であっても、常時襟部4の台襟部6と折返襟部8との間の隙間領域内に安定して保持することができる。
よって、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本体10を襟付き衣類2の外観から見え難くすると共に、襟部4の型崩れを防ぐことができ、襟部4の形態を安定して保つことができる。
また、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本体10が、台襟部6と折返襟部8との間に格納された隙間領域からその前後方向や下方にはみ出すことを抑制することができるため、店頭等でハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2を陳列する際にも、その陳列物の前出寸法を抑制することができるため、その陳列スペースを抑制しつつ、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0021】
ちなみに、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の襟部4に装着された状態の本実施形態のカラーキーパー1の挙動を検証した本発明者らによる実験では、比較例として、カラーキーパー1の本体左側面部14及び本体右側面部16のそれぞれの各切込みR1,R2の切込深さD1について、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれの短手方向の幅W1に対して0.2~0.4(又は1/3以下)以外の範囲に設定した場合についても検証を行った。
この場合、切込深さD1を大きく設定する程、各切込みR1,R2に対向するハンガーHの一部及び衣類2の布地が各切込みR1,R2内に対して下方から食い込む量が大きくなるため、環状の本体10の各背面部18,20が、襟付き衣類2の襟部4の台襟背面部30の下端よりも下方かつ後方に移動し、
図2及び
図3に示す襟付き衣類2の襟部4の台襟部6と折返襟部8との間の隙間に装着されている状態からはみ出してしまい、好ましい装着使用態様にはならないという検証結果が得られた。
一方、さらなる比較例として、切込深さD1を無くすと、環状の本体10全体が前方に大きく移動することにより、ハンガーHにより吊るされた状態の襟付き衣類2の前出寸法が大きくなってしまい、好ましい装着使用態様にはならないという検証結果も得られた。
【0022】
つぎに、
図5Bに示すように、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1によれば、本体10を襟付き衣類2の台襟部6に装着する際に、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれの下縁14d,16dが本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれに対応する後端14c,16cから前方の係止部12に向かって短手幅W5が徐々に狭くなるように形成されている。
これにより、本体10が環状になるように本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aを弾性的な曲げ変形及びねじり変形をさせやすくすることができる。
これにより、本体前側左側面部14A及び本体前側右側面部16Aのそれぞれについて、これらに対向する台襟第3接続部B3及び台襟第4接続部B4のそれぞれから台襟左前端部22及び台襟右前端部24までの台襟第4区間S4及び台襟第5区間S5のそれぞれに対してスムーズに装着してなじませることができる。
また、本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bのそれぞれの下縁14b,16bが、左切込部46及び右切込部48のそれぞれを形成し、左切込部46及び右切込部48のそれぞれが後方側から前方側の本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれに対応する前端14f,16fに向かって短手幅W4を徐々に大きくなる凹湾曲状に切り込んだ切込みを形成している。
これにより、襟付き衣類2が折り畳まれた状態では、本体後側左側面部14B及び本体後側右側面部16Bのそれぞれの下縁14b,16bが、対向する台襟左後側面部26B及び台襟右後側面部28Bのそれぞれの下縁26c,28cとの接触を抑制することができるため、接触による皺等を抑制することができる。
さらに、襟付き衣類2がハンガーHにより吊るされた状態では、本体10の左切込部46及び右切込部48のそれぞれが、台襟第1接続部B1及び台襟第2接続部B2のそれぞれと共にハンガーHの一部を受け入れつつ、本体10が前後方向や下方にはみ出すことを抑制することができる。
また、襟付き衣類2が折り畳まれた状態及びハンガーHにより吊るされた状態に関わらず、本体第3接続部C3及び本体第4接続部C4のそれぞれの下端14e,16eの第1凸接点P1及び第2凸接点P2について、台襟第3接続部B3及び台襟第4接続部B4のそれぞれの下端26b,28bに接触させて、襟付き衣類2の一部に対して点接触させることができる。
これにより、本体10の第1凸接点P1及び第2凸接点P2による襟付き衣類2の一部との接触面積を小さくすることができ、襟付き衣類2に対して本体10の第1凸接点P1及び第2凸接点P2の接触跡を付き難くすることができる。
【0023】
また、
図3、
図5C及び
図5Dに示すように、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1によれば、本体10を襟付き衣類2の襟部4の台襟部6と折返襟部8との間に装着した後、襟付き衣類2の台襟部6の外周長さに応じて、本体左背面部18及び本体右背面部20のそれぞれに設けられた調節部42,44を調節する際、少なくとも左調節部42の左係止突起54を右調節部44の複数(12個)の右調節穴52のいずれか1つに挿入して係止するか、又は、右調節部44の右係止突起56を複数(12個)の左調節穴50のいずれか1つに挿入して係止することができる。
したがって、本体10を襟付き衣類2の台襟部6の表面(外周面6a)に沿って外周長さに応じた環状形状にして確実に固定することができ、装着状態の本体10のがたつきを抑制することができる。
また、本体10を襟付き衣類2に装着した際にも、各調節部42,44を調整するだけで襟付き衣類2の台襟部6の表面(外周面6a)に沿って外周長さに応じた環状形状にしやすく、利便性がよい。
さらに、左調節部42の左係止突起54を右調節部44の複数(12個)の右調節穴52のいずれかに1つに挿入して係止すると共に、右調節部44の右係止突起56を左調節部42の複数(12個)の左調節穴50のいずれか1つに挿入して係止することにより、本体10を襟付き衣類2の台襟部6の表面(外周面6a)に沿って外周長さに応じた環状形状にしてより確実に固定することができるため、装着状態の本体10のがたつきを効果的に抑制することができる。
【0024】
さらに、
図5Bに示すように、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1によれば、襟付き衣類2が折り畳まれた状態及びハンガーHにより吊るされた状態に関わらず、本体10の係止部12の左側下方突起58及び右側下方突起60のそれぞれの第3凸接点P3及び第4凸接点P4について、台襟釦穴部34が設けられた台襟右前端部24の下端24aに接触させて、襟付き衣類2の一部と点接触させることができる。
これにより、本体10の第3凸接点P3及び第4凸接点P4による襟付き衣類2の一部との接触面積を小さくすることができ、襟付き衣類2に対して本体10の第3凸接点P3及び第4凸接点P4の接触跡を付き難くすることができる。
【0025】
また、
図1~
図3及び
図6に示すように、本実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー1を備えた襟付き衣類2によれば、襟付き衣類2の外観から見えないように襟部4の台襟部6と折返襟部8との隙間に対して装着し、折り畳まれた状態やハンガーにより吊り下げられた状態の襟付き衣類2に対しても本体10が襟部4の台襟部6と折返襟部8との隙間からはみ出すことなく、襟部4の型崩れを防ぎ、襟部4の形態を安定して保つことができる襟付き衣類用のカラーキーパー1を有する襟付き衣類2を提供することができる。
なお、上述した本実施形態のカラーキーパー1においては、「D1/W1」の範囲として0.2~0.4又は約1/3以下として記載したが、台襟背面部30の短手幅W0が短い衣類向けのカラーキーパー1の背面部18,20の幅W1は狭くなるので、「D1/W1」の下限は0.25程度でもよい。
また、カラーキーパーの材質や板厚を変えて、撓ませたときの反発力を抑制するのであれば、「D1/W1」の下限は0.1程度など極めて小さい値であってもよい。しかし、オーソドックスな多種の台襟に対応できるカラーキーパー1としてはD1:W1=1:3の条件に近い方が好ましいことが実験的に確認されている。
したがって、「D1/W1」=1/3以下であればよいことが裏付けられている。
【符号の説明】
【0026】
1 本発明の一実施形態による襟付き衣類用のカラーキーパー
2 襟付き衣類
4 襟部
6 襟部の台襟部
6a 襟部の台襟部の外周面
8 襟部の折返襟部
8a 襟部の折返襟部の内周面
10 本体
12 係止部
14 本体左側面部
14A 本体前側左側面部
14B 本体後側左側面部
14a 本体左側面部の左外側端部
14b 本体後側左側面部の下縁(本体左側面部の下縁)
14c 本体前側左側面部の後端、本体後側左側面部の前端
14d 本体前側左側面部の下縁
14e 本体第3接続部の下端
14f 本体前側左側面部の前端
16 本体右側面部
16A 本体前側右側面部
16B 本体後側右側面部
16a 本体右側面部の右外側端部
16b 本体後側右側面部の下縁(本体右側面部の下縁)
16c 本体前側右側面部の後端、本体後側右側面部の前端
16d 本体前側右側面部の下縁
16e 本体第4接続部の下端
16f 本体前側右側面部の前端
18 本体左背面部
18a 本体左背面部の下縁
18b 本体左背面部の長手方向の外側端部
20 本体右背面部
20a 本体右背面部の下縁
20b 本体右背面部の長手方向の外側端部
22 台襟左前端部
24 台襟右前端部
24a 台襟右前端部の下端
26 台襟左側面部
26A 台襟左前側面部
26B 台襟左後側面部
26a 台襟左前側面部の下縁
26b 台襟第3接続部の下端
26c 台襟左後側面部の下縁
28 台襟右側面部
28A 台襟右前側面部
28B 台襟右後側面部
28a 台襟右前側面部の下縁
28b 台襟第4接続部の下端
28c 台襟右後側面部の下縁
30 台襟背面部
32 台襟釦部
34 台襟釦穴部
40 係止溝
42 左調節部(調節部)
44 右調節部(調節部)
46 左切込部
48 右切込部
50 左調節部の左調節穴(調節部の左調節穴)
52 右調節部の右調節穴(調節部の左調節穴)
54 左調節部の左係止突起(調節部の左係止突起)
54a 左調節部の左係止突起の先端
56 右調節部の右係止突起(調節部の右係止突起)
56a 右調節部の右係止突起の先端
58 左側下方突起
58a 左側下方突起の下端
60 右側下方突起
60a 右側下方突起の下端
A1 展開した状態のカラーキーパー本体を長手方向に左右二等分する中心軸線
A2 展開した状態の台襟部を長手方向に左右二等分する中心軸線
B1 台襟第1接続部
B2 台襟第2接続部
B3 台襟第3接続部
B4 台襟第4接続部
C1 本体第1接続部
C2 本体第2接続部
C3 本体第3接続部
C4 本体第4接続部
D1 左切込部及び右切込部のそれぞれの切込みの最大切込深さ
d1 本体の各調節部の各調節穴同士の間隔
L1 本体の長手方向の中心部から各背面部のそれぞれの長手方向の各調節部の各係止突起の先端までの距離
L2 本体の各調節部の各係止突起の突起長さ
L3 本体の係止部の各下方突起の突起長さ
H ハンガー
h1 左調節部の左調節穴及び右調節部の右調節穴の長さ
O1 本体の左右長手方向の中心部
P1 第1凸接点
P2 第2凸接点
P3 第3凸接点
P4 第4凸接点
R1 切込み
R2 切込み
S1 台襟左前端部から長手方向の台襟左側面部と台襟背面部との台襟第1接続部までの台襟第1区間
S2 台襟第1接続部から長手方向の台襟背面部と台襟右側面部との台襟第2接続部までの台襟第2区間
S3 台襟第2接続部から長手方向の台襟右前端部までの台襟第3区間
S4 台襟第3接続部から台襟左前端部までの台襟第4区間
S5 台襟第4接続部から台襟右前端部までの台襟5区間
W0 台襟背面部の短手方向の幅
W1 本体左背面部及び本体右背面部のそれぞれの短手幅
W2 台襟左後側面部及び台襟右後側面部のそれぞれの短手幅
W3 台襟左前側面部及び台襟右前側面部のそれぞれの短手幅
W4 本体後側左側面部及び本体後側右側面部のそれぞれの短手幅
W5 本体前側左側面部及び本体前側右側面部のそれぞれの短手幅
W6 第1凸接点及び第2凸接点のそれぞれにおける本体第3接続部及び本体第4接続部のそれぞれの短手幅
W7 台襟第3接続部及び台襟第4接続部のそれぞれの短手幅
W8 本体の各調節部の各係止突起の最大短手幅
W9 本体の各調節部の各係止突起における各先端の幅
W10 本体の中心部おける係止部の短手幅