(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019127
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】風向制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20250130BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F24F13/15 B
B60H1/34 611B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024202058
(22)【出願日】2024-11-20
(62)【分割の表示】P 2021107379の分割
【原出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 崇朗
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】汐月 隆仁
(57)【要約】
【課題】ガイドルーバーを回転操作するときに、操作抵抗が瞬間的に増大することを抑制してその操作性を向上させることが可能な風向制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の風向制御装置(1)は、ケース体(10)と、回転可能に配される第1ガイドルーバー(20)と、第1ガイドルーバー(20)の上流側で回転可能に配される第2ガイドルーバー(30)と、第1ガイドルーバー(20)にスライド可能に取り付けられるとともに第2ガイドルーバー(30)を回転させるために操作される操作ノブ(50)とを有し、操作ノブ(50)は、ノブ本体部(51)と、ノブ本体部(51)から延びる係合部(52)と、ノブ本体部(51)内に固定されるとともに第1ガイドルーバー(20)の外面に密接させるノブスペーサー部材(60,90,90a)とを有し、ノブスペーサー部材(60,90,90a)は、第1ガイドルーバー(20)の少なくとも一部に密接する密接面と、密接面に交差する形状を備える少なくとも1つのスリット部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気を流通させるケース体と、前記ケース体に対して回転可能に配される少なくとも1つの第1ガイドルーバーと、前記ケース体に対して前記第1ガイドルーバーの上流側で回転可能に配される少なくとも1つの第2ガイドルーバーと、前記第1ガイドルーバーにスライド可能に取り付けられるとともに前記第2ガイドルーバーを回転させるために操作される操作ノブとを有する風向制御装置であって、
前記操作ノブは、前記第1ガイドルーバーに取り付けられるノブ本体部と、前記ノブ本体部から上流側に向けて延びるとともに前記第2ガイドルーバーに係合する係合部と、前記ノブ本体部内に固定されるとともに前記第1ガイドルーバーの外面に密接させる弾性変形可能なノブスペーサー部材とを有し、
前記ノブスペーサー部材は、前記第1ガイドルーバーの少なくとも一部に密接する密接面と、前記密接面に交差する形状を備える少なくとも1つのスリット部とを有する
ことを特徴とする風向制御装置。
【請求項2】
前記スリット部は、前記操作ノブの移動方向に対して直交する方向に沿って延びる間隙又は溝部により形成されている請求項1記載の風向制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース体に対して回転可能に配されるガイドルーバーを有する風向制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2012-42210号公報(特許文献1)には、自動車の風向制御装置に適用されるルーバー支持部材(フィン支持部材)が記載されている。風向制御装置は、インストルメントパネル等の内装部材に取り付けられ、風向制御装置により、車室内に吹き出す空気の風向が制御される。
【0003】
特許文献1に記載されているルーバー支持部材は、風向制御装置の吹出口に取り付けられる。また、吹出口には複数のガイドルーバーが配置される。各ガイドルーバーの両端部には、円柱状の回転軸部が形成されており、ガイドルーバーの一方の回転軸部が、ルーバー支持部材に設けられた貫通孔に挿入されて回転自在に支持されている。
【0004】
特許文献1のルーバー支持部材は、所定のシェア硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーによって形成されている。これにより、ルーバー支持部材のルーバー支承面に多数の微細な凹凸が形成される。特許文献1には、このようなルーバー支持部材を用いることにより、ガイドルーバーを回転操作するときに、操作荷重のピークにおいて荷重変化が生じないと説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のルーバー支持部材を備える風向制御装置の場合、ガイドルーバーを回転させるときに、上述したように操作荷重のピークにおいて荷重変化を生じさせないため、安定した回転荷重が得られ、スムーズな操作トルクを発生させることができる。
【0007】
しかし、ガイドルーバーが長時間回転操作されずにその停止角度で保持されている場合、ガイドルーバーがルーバー支持部材に対して強く密着し易くなる。その結果、運転者などが手動でガイドルーバーの回転操作を行うときに、その操作抵抗(操作時の重さ感)が瞬間的に増大して引っ掛かるような操作感を与えることや、ガイドルーバーの回転動作が不安定になることがあり、ガイドルーバーの操作性の低下を招いていた。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガイドルーバーを回転操作するときに、操作抵抗が瞬間的に増大することを抑制してその操作性を向上させることが可能な風向制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明により提供される風向制御装置は、内部に空気を流通させるケース体と、前記ケース体に対して回転可能に配される少なくとも1つの第1ガイドルーバーと、前記ケース体に対して前記第1ガイドルーバーの上流側で回転可能に配される少なくとも1つの第2ガイドルーバーと、前記第1ガイドルーバーにスライド可能に取り付けられるとともに前記第2ガイドルーバーを回転させるために操作される操作ノブとを有する風向制御装置であって、前記操作ノブは、前記第1ガイドルーバーに取り付けられるノブ本体部と、前記ノブ本体部から上流側に向けて延びるとともに前記第2ガイドルーバーに係合する係合部と、前記ノブ本体部内に固定されるとともに前記第1ガイドルーバーの外面に密接させる弾性変形可能なノブスペーサー部材とを有し、前記ノブスペーサー部材は、前記第1ガイドルーバーの少なくとも一部に密接する密接面と、前記密接面に交差する形状を備える少なくとも1つのスリット部とを有することを特徴とするものである。
【0010】
この場合、前記スリット部は、前記操作ノブの移動方向に対して直交する方向に沿って延びる間隙又は溝部により形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の風向制御装置によれば、ガイドルーバーを回転操作するときに、操作抵抗が瞬間的に増大することを抑制してその操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る風向制御装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した風向制御装置の横ルーバー及び軸スペーサー部材を分解された状態で模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した風向制御装置の横ルーバー及び操作ノブを拡大して模式的に示す模式図である。
【
図4】操作ノブのノブ本体部に取り付けられる前のノブスペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図5】第1変形例に係る軸スペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図6】風向制御装置に取り付けられたときの軸スペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図7】第2変形例に係る軸スペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図8】第3変形例に係る軸スペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図9】第4変形例に係る軸スペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図10】第1変形例に係るノブスペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図11】操作ノブに取り付けられる前のノブスペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【
図12】第2変形例に係るノブスペーサー部材を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、風向制御装置の全体形状、デザイン、大きさ等は特に限定されず、装置の設置位置、設置される車の種類やデザイン等に応じて変更することが可能である。
【実施例0014】
図1は、本実施例に係る風向制御装置を模式的に示す斜視図である。
図2は、風向制御装置の横ルーバー及び軸スペーサー部材を分解された状態で模式的に示す斜視図である。
図3は、風向制御装置の操作ノブを拡大して模式的に示す模式図である。
【0015】
図1に示した本実施例の風向制御装置1は、例えば、自動車の車室内に配されるインストルメントパネルやセンターコンソール等の内装部材に設置される。この風向制御装置1は、自動車に備えられた図示しない空調装置等に接続されることによって、その空調装置から供給される空気を、内装部材に形成された空気吹出口(開口部)を介して車室内に吹き出すことが可能である。
【0016】
ここで、風向制御装置1に関して、前後方向とは、後述する横ルーバー20及び縦ルーバー30がニュートラルの中央位置に保持されているときに風向制御装置1から吹き出される空気の吹き出し方向に沿った方向を言う。また、前後方向は、風向制御装置1の空気流通方向と言い換えることもできる。この場合、空気の流れの下流側を前方とし、空気の流れの上流側を後方とする。また、横ルーバー20(又は、縦ルーバー30)のニュートラルの中央位置とは、横ルーバー20の上面及び下面(又は、縦ルーバー30の左右側面)が前後方向に沿うように横ルーバー20(又は縦ルーバー30)を保持する位置を言う。
【0017】
上下方向及び左右方向は、風向制御装置1を空気吹出口側から見たときにおける垂直方向(高さ方向)及び水平方向(幅方向)である。この場合、垂直方向及び水平方向は、前後方向に対してそれぞれ直交しており、また、垂直方向と水平方向とは、互いに直交している。
【0018】
本実施例の風向制御装置1は、内部に空気を流通させるケース体10と、ケース体10の前端部に第1ガイドルーバーとして回転可能に配される複数の横ルーバー(フロントガイドルーバー)20と、横ルーバー20よりも後方(上流側)の位置に第2ガイドルーバーとして回転可能に配される複数の縦ルーバー(リアガイドルーバー)30とを有する。本実施例の場合、横ルーバー20及び縦ルーバー30は、風向制御装置1にそれぞれ3枚ずつ取り付けられている。なお本発明において、横ルーバー20及び縦ルーバー30のそれぞれの設置枚数は特に限定されない。
【0019】
また、風向制御装置1は、複数の横ルーバー20を連結する横リンク部材29と、複数の横ルーバー20を回転可能に保持するとともにケース体10に取り付けられる左右一対の軸スペーサー部材(第1スペーサー部材)40と、複数の縦ルーバー30を連結する図示しない縦リンク部材と、縦ルーバー30を回転させるときに操作される操作ノブ50とを有する。
【0020】
本実施例のケース体10は、前後方向に直交する断面が略四角形を呈する角筒状に形成されている。ケース体10内には、空調装置から供給される空気を前方へ流通させる空気流路が前後方向に沿って形成されている。このケース体10は、前後方向に直交する断面が一定の形状を有するケース本体部11と、ケース本体部11の前端部に一体的に形成される前端枠部(スペーサー取付部)12とを有する。
【0021】
ケース体10のケース本体部11は、上壁部、下壁部、及び左右の側壁部を有する。また、ケース本体部11の上壁部と下壁部とには、縦ルーバー30を回転可能に保持する複数の係合孔13が、上壁部及び下壁部を上下方向に貫通して設けられている。
【0022】
ケース体10の前端枠部12は、段差を介してケース本体部11よりも左右方向の寸法を大きくして形成されている。前端枠部12は、上壁部、下壁部、及び左右の側壁部を有しており、前端枠部12の上壁部及び下壁部は、上壁部及び下壁部における外面と内面とが、ケース本体部11の上壁部及び下壁部における外面と内面とに対し、段差を設けることなく連続した面を形成するように配されている。前端枠部12における左右の各側壁部には、軸スペーサー部材40の一部を嵌入して保持する嵌入凹部14が、左右の側壁部の前端縁から後方に向けて凹設されている。本実施例の場合、左右の各側壁部には、それぞれ3つの嵌入凹部14が上下方向に等間隔で設けられている。
【0023】
本実施例の横ルーバー20は、左右方向に沿って配されており、且つ、ケース体10に対して上下方向に回転可能に配されている。本実施例において、横ルーバー20は、互いに上下方向に離間して配される上段横ルーバー21、中段横ルーバー22、及び下段横ルーバー23を有する。また、上段横ルーバー21及び下段横ルーバー23は、ケース体10の上壁部及び下壁部からそれぞれ上下方向に離れて配されている。上段横ルーバー21、中段横ルーバー22、及び下段横ルーバー23は、横リンク部材29を介して、互いに平行な位置関係が保持されるように、且つ、それぞれの回転動作が連動するように連結されている。
【0024】
各横ルーバー20は、薄板状の横ルーバー本体部25と、横ルーバー本体部25の左右側端部から左右方向の外側に向けて突出する左右一対の回転軸部26と、横リンク部材29に接続される接続ピン(不図示)とをそれぞれ有する。この場合、横ルーバー本体部25における前端縁及び後端縁の外面は、外側に向けて膨らむように円弧状に湾曲する曲面に形成されている。また、中段横ルーバー22における横ルーバー本体部25の後端部には、操作ノブ50を取り付けるための取付凹部27が前方に凹むように設けられている。操作ノブ50は、中段横ルーバー22に取り付けられたときに、中段横ルーバー22の取付凹部27が形成されている形成範囲内で左右方向に移動することができる。
【0025】
本実施例の縦ルーバー30は、上下方向に沿って配されており、且つ、左右方向に回転可能にケース体10に軸支されている。また、縦ルーバー30は、互いに左右方向に離間して配される左側縦ルーバー31、中央縦ルーバー32、及び右側縦ルーバー33を有する。左側縦ルーバー31、中央縦ルーバー32、及び右側縦ルーバー33は、図示しない縦リンク部材を介して、互いに平行な位置関係が保持されるように、且つ、それぞれの回転動作が連動するように連結されている。
【0026】
各縦ルーバー30は、薄板状の縦ルーバー本体部35と、縦ルーバー本体部35の上端部及び下端部から突出する上下一対の回転軸部(不図示)と、縦リンク部材に接続される接続ピン(不図示)とをそれぞれ有する。各縦ルーバー30に設けられた回転軸部は、ケース体10の上壁部及び下壁部に設けた係合孔13に挿入されて回転可能に保持される。中央縦ルーバー32には、縦ルーバー本体部35の上下方向の中央部に前端縁から後方に向けて凹むように設けられた中央凹部36と、中央凹部36を上下方向又は略上下方向に横切るように架け渡された係合軸部37とが設けられている。
【0027】
左右の軸スペーサー部材40は、
図2に示すように、互いに左右対称な形状に形成されている。また、軸スペーサー部材40は、エラストマー等の弾性を備える軟質の合成樹脂により、弾性変形可能に形成されている。各軸スペーサー部材40は、上下方向に沿って配される4つの縦壁部41と、上下に互いに隣接する2つの縦壁部41間を連結するとともに略U字状に湾曲する3つのルーバー保持部42とを有する。
【0028】
4つの縦壁部41は、直線状に並ぶように配されている。U字状の各ルーバー保持部42は、軸スペーサー部材40において、横ルーバー20の回転軸部26を回転可能に保持する部分である。各ルーバー保持部42は、横ルーバー20の回転軸部26を上下方向から挟持する上下の挟持部42aと、上下の挟持部42aを連結する湾曲部42bとを有する。また、ルーバー保持部42は、上下の挟持部42aが互いに接触又は近接した状態(
図1の状態)と、横ルーバー20の回転軸部26を挿し入れることが可能な程度に離間した状態(
図2の状態)とに弾性変形可能に形成されている。更に、各ルーバー保持部42において、上下の挟持部42aの互いに対向する内周面には、左右方向に沿って延びるとともに、横ルーバー20の回転軸部26を収容することが可能な収容溝部42cが凹設されている。
【0029】
ここで、左右の軸スペーサー部材40を用いて、ケース体10に対し、3枚の横ルーバー20を回転可能に取り付ける方法について説明する。
先ず、
図2に示したように、左右の軸スペーサー部材40を、ルーバー保持部42の上下の挟持部42aが離間した状態に保持する。続いて、各横ルーバー20の回転軸部26を、左右の軸スペーサー部材40における対応するルーバー保持部42の上下の挟持部42a間に挿入する。このとき、横ルーバー20の回転軸部26を、ルーバー保持部42の収容溝部42cに挿入することが好ましい。
【0030】
各横ルーバー20の回転軸部26を、軸スペーサー部材40の対応するルーバー保持部42に挿入した後、ルーバー保持部42の上下の挟持部42aが互いに接触又は近接するように軸スペーサー部材40を上下方向に弾性変形させる。この弾性変形により、横ルーバー20の各回転軸部26が、対応するルーバー保持部42の上下の挟持部42aに挟まれるとともに、回転軸部26の少なくとも一部が上下の挟持部42aに設けられた収容溝部42c内に収容される。これによって、横ルーバー20の回転軸部26を、対応するルーバー保持部42で回転可能に保持できる。またこのとき、横ルーバー20の回転軸部26を保持したルーバー保持部42を、上下方向に潰れた状態(上下の挟持部42aが互いに接触又は近接した状態)で保持する。
【0031】
次に、横ルーバー20の回転軸部26を保持した左右の軸スペーサー部材40を、ケース体10の前端枠部12に取り付ける。具体的には、軸スペーサー部材40の縦壁部41を、ケース体10の前端枠部12の内側に、前端枠部12の左右の側壁部に沿うように挿入するとともに、横ルーバー20の回転軸部26を保持して上下方向に潰れた状態のルーバー保持部42を、ケース体10の前端枠部12に設けた対応する嵌入凹部14に嵌入する。なお、軸スペーサー部材40のルーバー保持部42をケース体10の嵌入凹部14に嵌入する作業は、左右の軸スペーサー部材40に設けた合計6つのルーバー保持部42について同時に行ってもよく、また、1つ又は複数個ずつ順番に行ってもよい。
【0032】
上述のように横ルーバー20の回転軸部26を保持した6つのルーバー保持部42を、ケース体10の対応する嵌入凹部14に嵌入して組み付けることにより、左右の軸スペーサー部材40がケース体10に取り付けられる。それとともに、3つの横ルーバー20が、左右の軸スペーサー部材40を介して、ケース体10に回転可能に保持される。
【0033】
横ルーバー20がケース体10に回転可能に保持された状態において、軸スペーサー部材40の各ルーバー保持部42は、横ルーバー20の回転軸部26の周面に密接する密接面と、ルーバー保持部42の上下の挟持部42a間に形成されるスリット部45とを有する。この場合、ルーバー保持部42の回転軸部26に密接する密接面は、ルーバー保持部42の上下の挟持部42aに設けた収容溝部42cの内面により形成される。
【0034】
ルーバー保持部42のスリット部45は、ルーバー保持部42の上下の挟持部42aが接触又は近接することによって上下の挟持部42a間に設けられる切れ目又は間隙により、上下方向に対して直交するように形成される。このため、ルーバー保持部42のスリット部45は、ルーバー保持部42の回転軸部26に密接する密接面に交差するように、横ルーバー20の回転軸部26の径方向(又は回転軸部26の回転方向に対する法線の方向)に沿って形成される。
【0035】
ここで、スリット部45がルーバー保持部42の密接面に交差するとは、例えばスリット部45を形成する上下の挟持部42a間の切れ目又は間隙が、密接面の位置まで延びて形成されることを言う。また切れ目とは、ルーバー保持部42の内周面等の面同士が重ね合わされてルーバー保持部42が途切れている部分を意味し、この切れ目には、例えば本実施例のような隙間が形成されない上下の挟持部42a間の境界部(境界面)の部分が含まれるものとする。
【0036】
上述したように、ルーバー保持部42のスリット部45が、ルーバー保持部42の回転軸部26に密接する密接面に交差する形状で形成されることにより、横ルーバー20の回転軸部26がルーバー保持部42の上下の挟持部42a間で回転するときに、ルーバー保持部42の上下の挟持部42a(特に、挟持部42aのスリット部45に近い部分)の弾性変形を促し、それによって、互いに密着している回転軸部26と上下の挟持部42aとの間に空気を入り込み易くすることができる。その結果、例えば横ルーバー20を回転させるときに回転軸部26が上下の挟持部42aに強く密着して動き難い状態(すなわち、くっついている状態)であったとしても、その状態を解除し易くして回転軸部26をスムーズに回転させることが可能となる。
【0037】
本実施例の風向制御装置1において、縦ルーバー30の操作に用いられる操作ノブ50は、左右方向へスライド可能に中段横ルーバー22に取り付けられている。操作ノブ50は、
図3に示すように、ノブ本体部51と、ノブ本体部51から後方に向けて延びる縦ルーバー係合部52と、ノブ本体部51内に固定されるノブスペーサー部材(第2スペーサー部材)60とを有する。
【0038】
操作ノブ50のノブ本体部51は、中段横ルーバー22の上面と、前端部と、後端部に設けた取付凹部27とを少なくとも覆うように形成されている。縦ルーバー係合部52は、ノブ本体部51の後端部から後方に向けて延出する左右一対の係合アーム部52aを有する。また、左右の係合アーム部52a間には空間部が設けられている。縦ルーバー係合部52は、縦ルーバー係合部52の空間部内に、中央縦ルーバー32の係合軸部37が収容されることにより、中央縦ルーバー32と係合する。
【0039】
このように操作ノブ50の縦ルーバー係合部52が中央縦ルーバー32に係合していることにより、操作ノブ50を左右方向にスライドさせたときに、中央縦ルーバー32と、図示しない縦リンク部材によって中央縦ルーバー32に連結されている左側縦ルーバー31及び右側縦ルーバー33とを、操作ノブ50の移動に従って左右方向に一緒に回転させることができる。
【0040】
ノブスペーサー部材60は、ノブ本体部51内の所定の位置に保持(固定)されている。また、ノブスペーサー部材60の一部(後述する当接部63)が、中段横ルーバー22に密接している。また、ノブスペーサー部材60は、エラストマー等の弾性を備える軟質の合成樹脂により、弾性変形可能に形成されている。
【0041】
このノブスペーサー部材60は、例えば
図4にノブ本体部51に取り付けられる前の状態を示すように、左右の側板部61と、左右の側板部61間に左右方向に沿って配される5つの横壁部62と、左右に互いに隣接する2つの横壁部62間を連結するとともに略U字状に湾曲する4つの当接部(密接部)63とを有する。
【0042】
左右の側板部61は、互いに平行に配されている。また、側板部61の前端部に横壁部62が連結されている。5つの横壁部62は、左右の側板部61間で直線状に並ぶように配されている。当接部63は、ノブスペーサー部材60において、中段横ルーバー22に密接することにより、操作ノブ50が左右方向にスライド操作されるときに適度な操作抵抗を生じさせることができる。
【0043】
図4に示したノブスペーサー部材60は、ノブスペーサー部材60が左右の側板部61間の距離を縮めるように左右方向に圧縮された状態でノブ本体部51内の所定の位置に保持されることによって、ノブ本体部51に取り付けられている。ノブ本体部51に取り付けられたノブスペーサー部材60では、略U字状の各当接部63が、横壁部62間の間隔を小さくするように変形した状態で保持される。
【0044】
また、ノブスペーサー部材60を有する操作ノブ50が、中段横ルーバー22にスライド可能に取り付けられた場合、ノブスペーサー部材60は、操作ノブ50内で、当接部63の後端部を中段横ルーバー22の前端部に当接(密接)させた状態で保持される。この場合、ノブスペーサー部材60は、各当接部63が中段横ルーバー22に密接する密接面と、各当接部63の左右方向に隣接して設けられるスリット部65と、横壁部62間に上下方向に沿って形成されるギャップ部66とを有する。
【0045】
この場合、ノブスペーサー部材60のスリット部65は、左右方向に隣接する2つの当接部63間に設けられるとともに後方に向けて開口する間隙によって形成されている。すなわち、ノブスペーサー部材60のスリット部65は、左右方向に並ぶ4つの当接部63の密接面に対して交差するように、密接面の位置まで延びて形成されている。
【0046】
更に、このノブスペーサー部材60では、各横壁部62間にギャップ部66が上下方向に沿って設けられていることにより、各ギャップ部66を挟むように設けられる当接部63を左右方向に弾性変形させ易くすることができる。
【0047】
ノブスペーサー部材60に上述したスリット部65とギャップ部66とが設けられていることにより、操作ノブ50が中段横ルーバー22に沿って左右方向にスライドするときに、各当接部63(特に、当接部63のスリット部65に近い部分)の弾性変形を促し、それによって、互いに密着している当接部63と中段横ルーバー22の前端部との間に空気を入り込み易くすることができる。その結果、例えば操作ノブ50をスライドさせるときに、例えば当接部63が中段横ルーバー22に強く密着して動き難い状態(すなわち、くっついている状態)であったとしても、その状態を解除し易くして操作ノブ50をスムーズにスライドさせることが可能となる。
【0048】
以上のように、本実施例の風向制御装置1では、横ルーバー20を上下方向に回転操作する際に、例えば横ルーバー20が長時間回転操作されずにその停止角度で保持されていることによって横ルーバー20が左右の軸スペーサー部材40に強く密着していたとしても、横ルーバー20の回転開始時に、上述したように、横ルーバー20の回転軸部26と軸スペーサー部材40との間に空気を入り込み易くすることができる。その結果、横ルーバー20を上下方向にスムーズに回転させることができるため、従来の風向制御装置の場合のように引っ掛かるような操作感が生じるという不具合や、横ルーバー20の回転動作が不安定になる不具合を発生させ難くして、横ルーバー20の操作性を向上させることができる。
【0049】
また、操作ノブ50によって縦ルーバー30を左右方向に回転操作する際には、横ルーバー20の場合と同様に、縦ルーバー30が長時間回転操作されないことによって操作ノブ50のノブスペーサー部材60が中段横ルーバー22に強く密着していたとしても、操作ノブ50の操作開始時に、上述したように、ノブスペーサー部材60と中段横ルーバー22との間に空気を入り込み易くすることができる。その結果、縦ルーバー30を左右方向にスムーズに回転させることができるため、引っ掛かるような操作感が生じるという不具合や、縦ルーバー30の回転動作が不安定になる不具合を発生させ難くして、縦ルーバー30の操作性を向上させることができる。
【0050】
なお本発明において、横ルーバーの回転軸部を保持する軸スペーサー部材は、上述した実施例の軸スペーサー部材40の形態に限定されるものではなく、例えば
図5~
図9に軸スペーサー部材の変形例を示すように、横ルーバーの回転軸部の少なくとも一部に密接する密接面と、その密接面に交差する形状を備えるスリット部とを有していれば、実施例以外の種々の形態で形成されていてもよい。以下に、軸スペーサー部材の変形例について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0051】
図5及び
図6に、第1変形例に係る軸スペーサー部材70を示す。この第1変形例に係る軸スペーサー部材70は、エラストマー等の弾性を備える軟質の合成樹脂により形成されている。第1変形例の軸スペーサー部材70は、上下方向に沿って配される2つ一組の縦壁部71と、2つの縦壁部71の上端部間を連結する上ヒンジ部72と、2つの縦壁部71の下端部に設けられる係止部73とを有する。
【0052】
この場合、係止部73は、一方の縦壁部71の下端部に設けられるフック部73aと、他方の縦壁部71の下端部に設けられるとともにフック部73aが引っ掛かる突起部73bとを有する。なお本発明において、係止部73の構造は特に限定されない。また、各縦壁部71の互いに対向する内側側縁部には、横ルーバー20の回転軸部26を収容して回転可能に保持する3つの収容溝部74が凹設されている。
【0053】
第1変形例の軸スペーサー部材70を2つ一組で組み合わせて、風向制御装置のケース体に取り付ける場合、先ず、軸スペーサー部材70の互いに離間した一組の縦壁部71間に、3つの横ルーバー20のそれぞれの回転軸部26を挿入し、対応する収容溝部74の位置に保持する。続いて、2つの縦壁部71を、
図6に示したように閉じて接触させる又は近接させるとともに、係止部73のフック部73aを突起部73bに係合させて係止する。これにより、軸スペーサー部材70に3つの横ルーバー20の回転軸部26が回転可能に保持される。
【0054】
左右の軸スペーサー部材70に、3つの横ルーバー20の左右の回転軸部26を回転可能に保持した後、左右の軸スペーサー部材70を、ケース体の前端枠部に取り付ける。この場合、図示を省略するが、例えばケース体の前端枠部の上壁部に、軸スペーサー部材70の上ヒンジ部72を嵌入して保持する嵌入凹部を設け、且つ、その前端枠部の下壁部に、軸スペーサー部材70の係止部73を嵌入して保持する嵌入凹部を設けることにより、軸スペーサー部材70をケース体に容易に取り付けることができる。これにより、3つの横ルーバー20が、左右の軸スペーサー部材70を介して、ケース体に回転可能に保持される。なお本発明において、軸スペーサー部材70を、ケース体の前端枠部に取り付ける方法及び手段は特に限定されない。
【0055】
この場合、軸スペーサー部材70は、横ルーバー20の回転軸部26の周面に密接する密接面(収容溝部74の内面)と、軸スペーサー部材70における2つの縦壁部71間に形成されるスリット部75(切れ目又は間隙)とを有する。また、スリット部75は、縦壁部71の回転軸部26に密接する密接面に交差するように上下方向に沿って形成される。
【0056】
この第1変形例の軸スペーサー部材70を用いて形成される風向制御装置では、横ルーバー20の回転軸部26が左右の各軸スペーサー部材70における一組の縦壁部71間で回転するときに、縦壁部71の弾性変形を促して、互いに密着している回転軸部26と縦壁部71との間に空気を入り込み易くすることができる。それにより、例えば横ルーバー20の回転軸部26が軸スペーサー部材70に強く密着して動き難い状態であっても、上述した実施例の軸スペーサー部材40の場合と同様に、横ルーバー20の回転軸部26をスムーズに回転させ易くすることができる。従って、横ルーバー20の操作性を向上させることができる。
【0057】
図7に示した第2変形例に係る軸スペーサー部材70aは、上下方向に沿って配される2つ一組の縦壁部71と、2つの縦壁部71の上端部間を連結する上ヒンジ部72と、2つの縦壁部71の下端部間を連結する下ヒンジ部76とを有する。この第2変形例の軸スペーサー部材70aは、第1変形例の軸スペーサー部材70の係止部73に代えて下ヒンジ部76が設けられているが、下ヒンジ部76以外の部分については、第1変形例の軸スペーサー部材70と実質的に同様に形成されている。
【0058】
図8に示した第3変形例に係る軸スペーサー部材70bは、上下方向に沿って配される2つ一組の縦壁部71を有する。この第3変形例の軸スペーサー部材70bは、第1変形例の軸スペーサー部材70から上ヒンジ部72及び係止部73が排除された形状に形成されている。
【0059】
上述した第2変形例及び第3変形例の軸スペーサー部材70a,70bを用いて形成される風向制御装置においても、上述した実施例及び第1変形例の場合と同様に、横ルーバー20の操作性を向上させることができる。
【0060】
図9に示した第4変形例に係る軸スペーサー部材80は、上下方向に沿って配される縦壁部81を有する。この縦壁部81には、上下方向に沿って設けられる縦溝部82と、横ルーバー20の回転軸部26を収容して回転可能に保持する3つの収容孔部83とが設けられている。
【0061】
縦溝部82は、縦壁部81の上下方向の全体に亘って設けられている。また、縦溝部82は、縦壁部81の上下方向の全体に亘って、上下方向に直交する断面が略V形状の一定の形状を呈するV形溝に形成されている。この縦壁部81は、縦溝部82によって厚さが薄く形成される部分をヒンジとして利用することにより、縦溝部82を開閉する方向に折り曲げることが可能となる。
【0062】
この第4変形例の軸スペーサー部材80を用いて形成される風向制御装置においても、軸スペーサー部材80によって横ルーバー20が回転可能に保持される。この場合、軸スペーサー部材80は、横ルーバー20の回転軸部26の周面に密接する密接面(収容孔部83の内面)と、軸スペーサー部材80における2つの縦壁部81間に形成されるスリット部となるV型の縦溝部82とを有する。また、スリット部(V型の縦溝部82)は、収容孔部83の密接面に交差するように上下方向に沿って形成される。従って、第4変形例の軸スペーサー部材80を用いて形成される風向制御装置においても、上述した実施例の場合と同様に、横ルーバー20の操作性を向上させることができる。
【0063】
更に本発明において、操作ノブ50に設置されるとともに横ルーバー20に密接させるノブスペーサー部材の形態は、上述した実施例のノブスペーサー部材60に限定されるものではない。本発明では、実施例のノブスペーサー部材60の代わりに、例えば
図10及び
図11に示した第1変形例のノブスペーサー部材90、又は
図12に示した第2変形例のノブスペーサー部材90aを用いることも可能である。
【0064】
ここで、
図10は、操作ノブ50に取り付けられたときのノブスペーサー部材90を模式的に示す斜視図であり、
図11は、操作ノブ50に取り付けられる前のノブスペーサー部材90を模式的に示す斜視図である。
第1変形例のノブスペーサー部材90は、スペーサー本体部91と、スペーサー本体部91の後端面から前方に向けて形成された2つのスリット部92と、スペーサー本体部91の前端面から後方に向けて略V形状に凹設された2つのV形溝部93とを有する。
【0065】
操作ノブ50に取り付けられたノブスペーサー部材90において、スペーサー本体部91は、直方体状の形状を有する。またこの場合、スペーサー本体部91の前後、左右、及び上下に向く6つの面は、スリット部92及びV形溝部93が形成されている部分を除いて平面に形成されている。スリット部92は、細い溝部の形状で形成されている。
【0066】
また、第1変形例のノブスペーサー部材90は、スリット部92及びV形溝部93によって前後方向の寸法が小さくなる部分をヒンジとして利用することにより、スペーサー本体部91の左右の側端部が、スペーサー本体部91の幅方向の中央部分よりも前方側に配されるように折り曲げることが可能となる(
図11を参照)。
【0067】
この第1変形例のノブスペーサー部材90は、操作ノブ50に
図10に示した状態で保持される。また、ノブスペーサー部材90が取り付けられた操作ノブ50は、中段横ルーバー22にスライド可能に取り付けられる。このため、第1変形例のノブスペーサー部材90を用いて形成される風向制御装置では、ノブスペーサー部材90が、操作ノブ50内で、スペーサー本体部91の後端面を中段横ルーバー22の前端部に当接させた状態で保持されている。
【0068】
この場合、ノブスペーサー部材90は、スペーサー本体部91が中段横ルーバー22に密接する密接面と、スペーサー本体部91の後端面に交差するように設けられた2つのスリット部92と、スペーサー本体部91の前端面に開口するV形溝部93とを有する。
【0069】
第1変形例のノブスペーサー部材90に上述したスリット部92とV形溝部93とが設けられていることにより、操作ノブ50が中段横ルーバー22に沿って左右方向にスライドするときに、スペーサー本体部91の後端部(特に、スリット部92に近い部分)の弾性変形を促し、それによって、互いに密着しているスペーサー本体部91と中段横ルーバー22との間に空気を入り込み易くすることができる。その結果、例えば操作ノブ50をスライドさせるときに、スペーサー本体部91が中段横ルーバー22に強く密着して動き難い状態であっても、上述した実施例のノブスペーサー部材60の場合と同様に、操作ノブ50をスムーズにスライドさせ易くすることができる。従って、縦ルーバー30の操作性を向上させることができる。
【0070】
図12に示した第2変形例に係るノブスペーサー部材90aは、スペーサー本体部91aと、スペーサー本体部91aの後端面から前方に向けて形成された2つのスリット部92と、スペーサー本体部91aの前端面から後方に向けて略V形状に凹設された2つのV形溝部93とを有する。第2変形例のノブスペーサー部材90aは、スペーサー本体部91aの形状が第1変形例のノブスペーサー部材90と異なるものの、それ以外については、第1変形例のノブスペーサー部材90と実質的に同様に形成されている。
【0071】
操作ノブ50に取り付けられた第2変形例のノブスペーサー部材90aにおいて、スペーサー本体部91aは、前方、左右側方、上方、及び下方に向く5つの面が、スリット部92及びV形溝部93が形成されている部分を除いて平面に形成されている。スペーサー本体部91aの後端部には、後方に向けて突出する2つの突出部94が設けられている。各突出部94は、厚さ(上下方向の寸法)を後方に向けて漸減させる山状の形状を有する。また、2つの突出部94は、左右方向に沿って互いに平行に配されている。
【0072】
この第2変形例のノブスペーサー部材90aを用いて形成される風向制御装置においても、上述した実施例及び第1変形例のノブスペーサー部材60,90の場合と同様に、縦ルーバー30の操作性を向上させることができる。更に、第2変形例のノブスペーサー部材90aを用いた場合、ノブスペーサー部材90aと中段横ルーバー22の前端部との接触面積が小さくなるため、操作ノブ50を左右方向にスライド操作するときの操作抵抗を小さくできる。従って、第2変形例のノブスペーサー部材90aを用いることにより、第1変形例のノブスペーサー部材90よりも、操作ノブ50の操作を軽快に行うことが可能となる。
【0073】
また、上述した実施例の風向制御装置1では、横ルーバー20が縦ルーバー30の前方に配されるとともに、縦ルーバー30の回転を操作する操作ノブ50が、前側の横ルーバー20に取り付けられている。しかし本発明では、縦ルーバーが横ルーバーの前方に配されるとともに、横ルーバーの回転を操作する操作ノブが、前側の縦ルーバーに上下方向にスライド可能に取り付けられるように風向制御装置が形成されていてもよい。