(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019221
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】プラズマ不均一性検出
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20250130BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 103
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024204624
(22)【出願日】2024-11-25
(62)【分割の表示】P 2022542368の分割
【原出願日】2021-01-09
(31)【優先権主張番号】62/959,644
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/145,202
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520190366
【氏名又は名称】コメット テクノロジーズ ユーエスエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー.サバス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドレ デ チャンブライアー
(57)【要約】
【課題】高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法は、高周波プラズマ処理システムの反応チャンバ内でプラズマを生成することと、プラズマを維持する高周波電力の周波数から約10倍の周波数までの周波数範囲におけるプラズマからの電気信号を、高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数のセンサで検出することと、を有する。
【解決手段】方法は、複数のセンサによってプラズマから取得した電気信号の波形を比較することと、複数のセンサの各々によって検出したプラズマの電気的特性の比較に基づいて、プラズマの不均一性が発生したときを判断することと、を更に有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの変化を検出するためのシステムであって、
チャンバ対称軸を有する反応チャンバと、
前記反応チャンバのプラズマに高周波電力を供給する一つ以上のプラズマ給電装置と、
前記反応チャンバのプラズマに関連する電磁信号を検知するために、前記チャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサと、
前記複数の広帯域高周波センサの少なくとも一つに接続されたフーリエ変換プロセッサである少なくとも一つの検出器と、
前記少なくとも一つの検出器に接続された計算プロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数の広帯域高周波センサを、高周波プラズマ給電装置に対して、前記チャンバ対称軸から略等距離に前記チャンバ対称軸を中心とした三つ以上の間隔を置いた方位角で配置した、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計算プロセッサに接続された一つ以上の高周波発生器を更に備え、前記高周波発生器の少なくとも一つは、前記計算プロセッサからの信号の受信に応答して調節可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の広帯域高周波センサの少なくとも一つに接続されるとともに前記計算プロセッサに接続されたポートにデジタル出力を供給するように構成された少なくとも一つの高周波検出器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの高周波検出器は、取り外し可能な記憶媒体に接続された、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記記憶媒体は、電磁波の少なくとも一つの周波数成分の偏心量である出力を生成するための命令、アルゴリズム及びデータのうちの少なくとも一つを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法であって、
前記高周波プラズマ処理システムの反応チャンバ内でプラズマを生成することと、
プラズマを維持する高周波電力の周波数から約10倍の周波数までの周波数範囲におけるプラズマからの電気信号を、前記高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数のセンサで検出することと、
前記複数のセンサによって前記プラズマから取得した電気信号の波形を比較することと、
前記複数のセンサの各々によって検出したプラズマの電気的特性の比較に基づいて、プラズマの不均一性が発生したときを判断することと、
を備える方法。
【請求項8】
前記比較することは、少なくとも二つの互いに異なるセンサによって取得した少なくとも一つの高周波高調波の振幅を比較することを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記比較することは、前記チャンバ対称軸を中心とした少なくとも90度の方位角で分離された少なくとも二つのセンサによって取得した少なくとも一つの高周波高調波の位相を比較することを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記不均一性は、前記チャンバ対称軸を中心とした方位の関数としてのプラズマ密度の変動を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記判断することは、10マイクロ秒より長い期間に亘って時間的に増加する前記複数のセンサからの信号の方位変動を判断することを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記電気信号は、電磁波表面波によって生成される電圧及び電流のうちの少なくとも一つである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記判断することは、互いに異なる方位角における前記複数のセンサからの信号をフーリエ解析することと、前記複数のセンサの一つ以上の周波数成分の振幅及び位相のうちの少なくとも一つの変化をプラズマ制御データベースの基準値と比較することと、を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
不均一性が発生したと判断することは、少なくとも100マイクロ秒の時間期間に亘る増加を見つけることにある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記判断することは、プラズマを維持する高周波電力の周波数の少なくとも一つの高調波の振幅及び位相の方位角の変化からプラズマ不均一性を計算することを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法であって、
前記高周波プラズマ処理システム内でプラズマを生成することと、
前記高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサを使用して、少なくとも一つの高周波励起周波数の整数倍である複数の周波数でプラズマからの電気信号を検出することと、
前記電気信号の複数の検出した周波数成分の少なくとも一つの方位変動の検出に基づいて、前記プラズマの非対称性を判断することと、
を備える方法。
【請求項17】
前記判断することは、約10ミリ秒以下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の広帯域高周波センサは、少なくとも四つのセンサを備え、チャンバ対称軸を中心とした方位角の各象限に少なくとも一つのセンサが存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の高周波センサを、プラズマ給電装置の周囲に配置した、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の高周波センサを、前記チャンバ対称軸を中心とした角度の略等間隔で前記対称軸から略等距離に方位角に配置される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2020年1月10日に出願された、米国仮出願第62959-644号及び2021年1月8日に出願された米国非仮出願特許出願第17-145-202号の優先権を主張し、その内容は、参照によりここに組み込まれるものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
高周波(RF)プラズマプロセスは、種々のタイプの膜のエッチング、低い処理温度から中間の処理温度での薄膜の堆積並びに表面処理及び洗浄の実行のために半導体製造において広く使用されている。そのようなプロセスの特徴は、プラズマ、すなわち、反応チャンバ内の前駆体から中性種及びイオンを生成する、イオン衝撃のエネルギーを供給する及び/又は他の動作を実行するために使用される部分的にイオン化したガスを使用する。そのようなプロセス中のプラズマ密度の制御には課題があり、反応チャンバ内のプラズマの不均一性は、製造される集積回路又は他のデバイスのウエハー処理の均一性及び歩留まりに影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0003】
反応チャンバ内の不均一なプラズマ密度は、基板全体に不均一なエッチング速度又は特定の特性を引き起こす可能性がある。特定のシステムにおいて、反応チャンバ内のプラズマ密度の均一性の監視は、プローブを用いて行われる。そのようなプローブは、コーティングに依存したプラズマ環境にさらされることがあり、プラズマ密度を推測するために能動電子機器を使用することがある。そのようなシステムは、プラズマの変化に応答するのに数ミリ秒又はそれ以上かかることがある。反応チャンバ内のプラズマ密度のプロファイルを決定するために発光分光法が使用されることもあるが、そのようなシステムは、プラズマを通る複数の視線を必要とし、不均一性を推測するために複雑な解析を使用することがある。これらの技術はいずれも、不均一性の問題を効果的に解決するのに十分な感度及び速度を有しておらず、さらに、実施にコストがかかる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示は、添付図面と共に読むときに以下の詳細な説明から最もよく理解される。当業界の標準的な慣行に従って、様々な特徴が縮尺通りに描かれていないことが強調される。実際、様々な特徴の寸法を、議論を明確にするために任意に増大又は減少させることができる。
【0005】
【
図1】本開示の実施形態によるRFプラズマ処理システムの側面概略図である。
【0006】
【
図2】本開示の実施形態による電極の様々な位置に取り付けられた高帯域幅センサを有するプラズマチャンバの概略側面図である。
【0007】
【
図3】本開示の実施形態による電気的接地への低シャント容量を有する電気コネクタを介して電圧信号を供給するセンサを有する二重プレート電極アセンブリの断面図である。
【0008】
【
図4】本開示の実施形態による高帯域幅電圧センサが埋め込まれた台座の断面図である。
【0009】
【
図5】本開示の実施形態に係る台座の概略側面図である。
【0010】
【
図6】本開示の実施形態による反応チャンバ内のプラズマが軸対称である台座の全体に亘る軸対称表面波の伝搬を示す上面図である。
【0011】
【
図7】本開示の実施形態による電極の全体に亘る横波電磁表面波の伝搬の上面図である。
【0012】
【
図8】本開示の実施形態による反応チャンバに(チャンバ対称軸を中心とした)方位角に取り付けられたセンサの水平断面図である。
【0013】
【
図9】本開示の実施形態による反応チャンバの電極、電極ベース、上部誘電体プレート、のぞき窓及び誘電体壁に方位角に取り付けられたセンサの垂直断面図である。
【0014】
【
図10】本開示の実施形態によるいくつかのセンサアレイ位置を有する容量結合型プラズマ反応チャンバの垂直断面図である。
【0015】
【
図11】本開示の実施形態によるモデル誘導型プラズマ反応チャンバの垂直断面図である。
【0016】
【
図12】本開示の実施形態によるいくつかの可能なセンサ位置を有するRFプラズマ処理システムの概略側面部分断面図である。
【0017】
【
図13】本開示の実施形態による誘導結合アンテナに近接する誘電体表面にセンサが取り付けられるRFプラズマ処理システムの誘電体壁を含む概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で主張する主題の例示的な実施例を開示する。明確にするために、実際の実装の全ての特徴が本明細書に記載されているわけではない。任意のそのような実際の実装の開発において、実装ごとに異なるシステム関連及びビジネス関連の制約への準拠のような開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装固有の決定が行われる可能性があることが理解される。さらに、そのような開発努力がたとえ複雑で時間がかかるとしても本開示の利益を有する当業者が取り組むルーチンであることが理解される。
【0019】
さらに、本明細書で使用する場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち、「一つ以上」を有することを意図する。ここで、値に適用される場合の用語「約」は、一般に、値を生成するために使用される装置の許容範囲内を意味し、いくつかの例では、特に明示的に指定しない限り、±10%、±5%又は±1%を意味する。さらに、ここでは、「略」という用語は、例えば、過半数、ほぼ全て、全て又は約51%~約100%の範囲を有する量を意味する。さらに、ここにおける実施例は、例示のみを意図しており、議論のために提示されたものであり、限定するためのものではない。
【0020】
図1に目を向けると、本開示の実施形態によるRFプラズマ処理システム100の側面模式図を示す。RFプラズマ処理システム100は、第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110と、第1のインピーダンス整合ネットワーク115と、第2のインピーダンス整合ネットワーク120と、シース125と、シャワーヘッド130又は電極のような同等の電力供給要素のようなプラズマ給電装置と、台座135と、を有する。ここで使用されるように、プラズマ給電装置は、プラズマを生成するために電力を導入する任意のデバイスを指す場合があり、例えば、シャワーヘッド130及び/又は他のタイプの電極並びにアンテナ等を含む場合がある。
【0021】
RFプラズマ処理システム100は、一つ以上のインピーダンス整合ネットワーク115,120を介して反応チャンバ140に電力を供給する一つ以上のRF発生器105,110を有してもよい。RF電力は、第1のRF発生器105からインピーダンス整合ネットワーク115を通って反応チャンバ140のプラズマに流れ、シャワーヘッド130又は側壁に流れ、シャワーヘッド130以外の電極に流れ、又は、電磁気的にプラズマに電力を供給する誘導アンテナ(図示せず)に流れ、その後、電力は、プラズマからアース及び/又は台座135及び/又は第2のインピーダンス整合ネットワーク120に流れる。一般に、第1のインピーダンス整合ネットワーク115は、第1のインピーダンス整合ネットワーク115内の反応性成分、例えば、可変コンデンサを調整することによって、シャワーヘッド130と第1インピーダンス整合ネットワーク115との結合インピーダンスが第1のRF発生器105の出力インピーダンス、例えば、50Ωに等しくなるように、反応チャンバ140内の負荷インピーダンスにおける変動を補償する。追加的には、RF電力の約±10%の範囲内で周波数を調整することにより、反射波電力を修正することができる。ここで使用される「約」という用語は、実際には、範囲又は値に対するいくつかの不正確さが経験されても満足のいく結果を得ることができることを認めるものである。そのような不正確さは、例えば、校正の損失若しくは劣化又は動作中のドリフトに起因することがある。しかしながら、これらの状況において、表現された範囲又は値は、使用時の動作条件に対する公称目標値である。
【0022】
特定の例では、第1のRF発生器105は、約400KHz~150MHzの間のRF周波数で電力を供給してもよく、一方、台座135に接続した第2のRF発生器110は、第1のRF発生器105の周波数よりも低いRF周波数で電力を供給してもよいが、特定の実装では、第2のRF発生器110は、第1のRF発生器105の周波数より低いRF周波数で電力供給しないことがある。典型的には、第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110の周波数は、第1のRF発生器105が第2のRF発生器110の周波数の整数倍でも整数分数でもないRF周波数にあるようなものである。第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110の一つ以上は、反射波電力を修正するために周波数を調整してもよい。
【0023】
インピーダンス整合ネットワーク115,120は、負荷インピーダンスが電源インピーダンスに一致するようにその内部反応性要素に調整を行うように設計される。一般に、低い反射波電力は正とみなされるが、本開示の実施形態は、供給された電力が反応チャンバ140内で維持されること、電力が第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110に向かって反射されること及び反射波電力が比較的高い場合であっても関連のインピーダンス整合ネットワーク115,120が反応チャンバ140への進行波電力及び反応チャンバ140からの反射波電力を監視するとともにモータ駆動系の使用により可変リアクタ要素、例えば、真空可変コンデンサの調整を行うことができることを確実にする。特定の実施形態では、電子可変コンデンサのためのピンダイオードのような電子制御コンデンサを使用してもよい。インピーダンス整合ネットワーク115,120は、意図した負荷からの進行波電力及び反射波電力のレベルを決定するために、信号の位相及び大きさを測定する回路を含んでもよい。このように、本開示の実施形態は、反射波電力の量が多い場合であっても有効であり得る。一次周波数においてかなりの量の反射波電力がある場合、反射波電力が最小化されるまで、例えば、約5W未満及び/又は期間に対して約1%未満になるまで、又は、特定の実施形態では、1W未満になるまで、コンデンサが変動する。一般的に、高調波周波数における反射波電力を含む高調波周波数信号は測定されない。追加的には、周波数は、RF電力の約±10%の範囲内で調整されてもよく、これにより反射波電力が修正される可能性がある。
【0024】
RFプラズマ処理システム100は、多くの利点を有するが、歴史的に、多段階のプロセスを通してプラズマ密度の制御を維持することが課題であった。公称値に対して同一のオーダーの密度範囲を有する、例えば、1%の非均一性のオーダーの設計公差は、依然として課題である。また、約3nm以下の微細化及び約10nm以下の厚膜化に伴ってウエハー1枚1枚で最適な集積回路(IC)歩留まりを達成するには、プラズマと中性種の均一性を1%レベルに、更にはそれより下にまで厳しく制御する必要がある。不均一なプラズマ密度又は反応チャンバ内の所望の値から所望の範囲を超えて逸脱する平均密度は、チャンバ内の遅い変化、RF回路の変化、又は、寄生若しくは二次プラズマの(1ミリ秒未満のオーダーの)急速な成長により引き起こされ、それによって、エッチングレートの不均一性に起因して処理済みウエハー全体のナノスケール特徴の不均一性をもたらす可能性がある。
【0025】
ウエハー全体での1%のエッチング速度の差でさえ先端技術の歩留まり問題を引き起こす可能性があり、かつ、歩留まり損失を見るためにウエハー処理を完了するのに相当の時間を要することが多いので、所望の特徴プロファイルからのウエハー上の不可逆的な偏差を避けるために、約1ミリ秒未満である必要がある場合がある時間周期で反応チャンバ内の不均一プラズマ密度又は所望の範囲から逸脱したプラズマ密度を迅速かつ正確に検出する必要性が存在する。
【0026】
当業者は、電磁(EM)表面波が反応チャンバ140内のRF電力プラズマ内の表面を伝搬することがあることを理解する。これらの表面波は、基本的なRF駆動周波数及びRF高調波の両方において評価可能なエネルギーを有する。高調波の平均電力及び電力分布は、プラズマ密度及び非均一性に影響を及ぼす要因である。ここでは、高調波プロファイルは、RFプラズマベース反応チャンバ140の基本駆動周波数の整数倍である周波数を有する表面波のスペクトルとして定義される。例えば、2MHzのRF駆動電力が反応チャンバ140に提供される場合、注入された電力は、プラズマと内部反応チャンバ140の表面との間の界面に沿って伝播する表面波を当該周波数で生成する。RF電力の±10%程度で周波数を調整することにより、反射波電力を修正することができる。整数倍の周波数の高調波表面波も発生させてもよい。例えば、2MHzの電磁波は、4MHz、6MHz又は8MHzの表面波を発生させてもよい。奇数及び偶数の高調波(第2、第3、第4、第5等)が出現することがあるが、いくつかの例では、奇数の高調波が支配的であることがある。
【0027】
本開示の側面は、反応チャンバ140内の又は反応チャンバ140に隣接する複数の点における基本波及び高調波の振幅及び位相を求めるためにRF表面波を検出及び解析することを可能にする反応チャンバ140及びそのコンポーネントに関するセンサ位置を提供してもよい。波を、チャンバ構成要素の表面の基本周波数及び高調波周波数におけるRF電圧又はRF電流を検知することによって検出してもよい。いくつかの実施形態では、電圧のためのセンサは、電極、台座ベース、チャンバ壁又はストラップの表面に又はそれに近接して構成されるピックアップと、ピックアップからコネクタ又はケーブルに信号を伝達する導電線と、を有する。電流センサは、一つ以上のループ又は部分ループ又は線状導体を含む導電性要素を有してもよく、導電性要素の一端は、局所電気接地であってもよい基準電位にある。
【0028】
複数のセンサ、例えば、二つ以上のセンサを、そのような表面波に関連する表面電圧又は電流を測定するために、チャンバの対称軸を中心とした異なる角度で、以下に詳細に説明する特定のチャンバ構成要素の上に配置してもよい。ここでは、チャンバの基準点から対称軸を中心とした測定される角度を、方位角として定義する。いくつかの実施形態では、そのようなセンサを、チャンバの対称軸から略同一の距離で配置してもよい。
【0029】
センサを、反応チャンバ及び/又はその構成部品の又はそれに関する様々な場所に取り付けてもよい。例えば、センサを、台座135及び/又はシャワーヘッド130のような電極の表面に取り付けてもよい。センサを、真空内又は真空環境外のいずれかの電極の台座に取り付けてもよい。センサを、チャンバ内の反応チャンバ140の一つ以上の金属壁面及び誘電体材料を含む壁領域の内側若しくは外側、又は、プラズマに誘導的に電力を供給するために使用してもよいアンテナに取り付けてもよい。センサを、プラズマの境界に近接して電磁波を検知するために使用してもよい受動アンテナ、又は、第1のインピーダンス整合ネットワーク115又は第2のインピーダンス整合ネットワーク120を台座135及び/又はシャワーヘッド130のような電極、アンテナ若しくは反応チャンバ140内のプラズマに電力を伝送する他のコンポーネントに接続する複数の導電バス若しくはストラップに配置してもよい又はそれに近接して配置してもよい。センサを、電気的なアースに接続してもよい。それによって、センサは、RFプラズマ処理システム100の種々の部品からの信号がそれぞれの部品表面で伝播する際に当該信号を取得することができる。
【0030】
RF高調波のスペクトルは、電極-プラズマ界面、例えば、
図1のシース125で発生し、波は、全ての波成分の振幅と位相の両方が電極又は支持台の位置によって変化するように全ての方向に伝搬する。そのような波は、プラズマに隣接する金属壁の内面に沿って伝搬し、プラズマに隣接することがある任意の誘電体壁を通じて伝搬する。そのような波の振幅及び位相は、プラズマの変化、例えば、プラズマ密度及び不均一性に応答して変化し、応答時間は、数マイクロ秒のオーダー又はそれ未満である。さらに、電極-プラズマ界面を伝搬するRF高調波表面波の周波数分布及び位相分布は、インピーダンス整合ネットワーク115,120に向かう電極ベースの表面、電極若しくはプラズマ-壁界面に接続された表面又は壁を伝搬する高調波表面波の周波数及び位相分布を決定する。互いに異なるセンサ位置における基本波及び高調波の信号の振幅及び位相は、各周波数に対する全EM波動場の方位対称の部分及び非対称の部分の決定を可能にする。
【0031】
誘導性プラズマの場合、プラズマからの信号、例えば、基本波及び高調波は、アンテナに戻って伝搬し、その後、アンテナに電力を供給するインピーダンス整合ネットワークに伝搬することがある。基本波及び高調波RF波の周波数及び位相分布を、そのような表面に取り付けられたセンサを使用してマイクロ秒又はそれより速い時間スケールで監視してもよく、プラズマ非対称性又はプラズマ密度若しくは導電率の変化の指標として指定範囲及び位相関係で比較してもよい。各センサ位置での各周波数成分の振幅の値及び位相の値を生成するために、そのようなセンサからの信号を、ケーブル等によって、信号の周波数成分を解析する検出器に伝送してもよい。
【0032】
特定の実装では、検出されたRF高調波成分の振幅及び位相を、信号解析区画内の回路(検出器)により迅速に決定してもよく、それは、別個の金属ボックス又はシャーシであってもよい、又は、インピーダンス整合ネットワーク115,120内にあってもよい若しくはそれに接続されてもよい。そのような振幅及び位相を、アルゴリズム及びプラズマ不均一性較正を適用することによって、プラズマの半径方向の分布及び非対称性を含む状態を決定するために使用してもよい。センサからの信号は、仮想的に連続的なスペクトル解析を行うのに十分な速度の専用回路(検出器)によってフーリエ解析され、できるだけ頻繁に更新され、かつ、高速データストリームを生じてもよい。例えば、13.56MHzのプラズマ出力に対して、512周期をフーリエ解析で処理するのに50マイクロ秒以下であり、パルスの各要素が5KHzで発生するときのパルスプラズマに対して、10KHzのレートでプラズマの状態を更新できるようになる。
【0033】
基本波及び高調波の専用フーリエ解析の結果は、信号解析区画に関連する解析プロセッサによって読み取り及び/又は書き込みが可能な別の記憶媒体に保存されてもよい。保存された結果又はリアルタイムの信号のいずれかは、基本波及び高調波のそれぞれについて非対称パラメータを決定するために高速計算プロセッサに送られてもよい。「プラズマ欠陥」状態を非常に迅速に認識するために、非対称パラメータを、(別の記憶媒体又は異なる記憶媒体に保存してもよい)アルゴリズムを使用して別の記憶媒体(又は異なる記憶媒体)に予め保存された値と比較してもよい。その後、解析プロセッサは、例えば、現在の条件下でプロセスを継続する又はプロセス条件において必要な変更を行うために、適切なコマンドを、第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110、特定の実装における二つより多いRF発生器並びに適切なときのこれらの発生器と関連するインピーダンス整合ネットワークに送信してもよい。特定の実装では、三つ、四つ又はそれ以上のRF発生器を使用してもよい。第1のRF発生器105及び第2のRF発生器110は、その後、継続、停止、供給される電力の変更、反射波電力を修正するためのRF電力の約±10%の周波数の変更、又は、何らかの他の適切な方法-例えば、低減電力モード又はパルスモードへの移行に対する応答、又は、プラズマ障害又は他の許容できない状況の間の不適切なウエハー処理を避けるための特定の修正動作、例えば、アラームトリガー、電力遮断等の命令を行ってもよい。
【0034】
表面波(の電界及び磁界)を検出するとともに表面波を特徴付けるためのセンサの位置は、いくつかの実施形態では、ウエハーによって覆われる領域の外側の台座135の(裸の又は誘電体によって覆われている)周辺表面であってよい。例えば、反応チャンバ140が半径150mmの円形ウエハーを処理する場合、台座マウントセンサを、ウエハー中心から150mmより大きい半径に配置してもよく、それは、場合によっては、エッジ効果を制御するための環状周辺誘電体の下であってもよい。センサを、追加的に又は代替的に、ウエハーに面するシャワーヘッド130の表面若しくは周辺部又は台座135のベース又はシャワーヘッド130のベースの表面に配置してもよく、これらの場所が真空プロセス環境内であるか又は真空プロセス環境外であるかは関係ない。センサを、以下で詳細に説明する他の様々な場所に配置してもよく、プロセスプラズマの均一性を提供するために連続的に又は定期的に監視してもよい。
【0035】
真空プロセス環境の外側のセンサ、例えば、インピーダンス整合ネットワーク115,120の一つ以上、台座135のベース及び/又はシャワーヘッド130にベースを接続するストラップ又はバスのセンサを使用すると、反応チャンバ140の真空容器内の真空フィードスルー又は伝送ケーブルを介して信号を送信する必要がないことがある。そのような場所にあるセンサは、基本波及び高調波EM波を略連続的に監視してもよい。これにより、RFプラズマ処理システム100は、プラズマ密度の均一性を連続的に提供するとともに障害状態が発生したか適切なウエハー又は基板処理が継続されるかを非常に短い時間内に決定することができる場合がある。
【0036】
特定の例示的な実施態様において、本開示は、RFプラズマ処理システム100内の必要な「プロセスウィンドウ」からのプラズマの逸脱を検出するための装置及び方法を提供することができる。RFプラズマ処理システム100は、反応チャンバ140を有してもよく、反応チャンバ140は、反応チャンバ140に反応ガスを注入するためのシャワーヘッド130を有してもよく、反応チャンバ140は、ウエハー支持台座135を有してもよい。しかしながら、他の実装では、シャワーヘッド130は、反応チャンバ140にガスを噴射しなくてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド130は、その中心が反応チャンバ140の略対称軸の近くに取り付けられ、対称軸を中心とした選択された方位に配置された複数のセンサを設けてもよい。追加的に又は代替的に、そのようなセンサを、ウエハーが処理されている間に伝播するEM表面波を検出及び測定するために、シャワーヘッド130の周辺領域においてウエハーに面する表面上に配置してもよい。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、RF高調波及び基本表面波の振幅と位相の両方を検出するために、ウエハーによって占められる領域外でウエハー支持台座135の外面に取り付けられる複数のセンサが存在してもよい。そのようなセンサは、プラズマに露出してもよい又は誘電体のカバー若しくは誘電体及び金属のカバーによって覆われてもよい。追加的に又は代替的に、センサを、台座135ベースの周辺部、真空容器の内側若しくは外側及び/又はウエハーによって定義される平面の下に位置してもよい。いくつかの実施態様では、センサを、台座のウエハー支持領域に向かって又はそこから離れて伝搬する表面電磁波及び台座ベースの表面を伝搬する表面電磁波を検出するために台座ベース上に配置してもよい。特定の実施形態では、センサを、ウエハー平面の近く(例えば、10cm未満)に取り付けてもよい。
【0038】
代替的に、センサを、金属又は他の導電性材料であるとともに大気条件下で反応チャンバ140の真空領域外に位置する台座135の部分に取り付けてもよい。真空領域外に位置するセンサを、台座135の最大半径の少なくとも50%である又は台座135の最大半径の75%を超える台座対称軸からの半径で台座135の領域に取り付けてもよい。そのようなセンサを、支持台座135のための真空シール、例えば、Oリングの近く-いくつかの実施形態では数cm以内に位置決めしてもよい。いくつかの実施形態では、ウエハーの端部からセンサまでの半径方向及び軸方向の伝搬距離の合計は、約25cm未満又はいくつかの実施形態の約15cm未満又は約10cmであってもよい。本開示の実施形態によるセンサの特定の位置及び方向を、以下で詳細に議論する。
【0039】
図2に目を向けると、本開示の実施形態に従って電極の様々な位置に取り付けられた高インピーダンスセンサを有するプラズマチャンバの概略側面図を示す。電極として機能する二つの構成要素、すなわち、台座235及びシャワーヘッド230又は同等の他の給電要素の各々は、別個のRF発生器205又は210及びインピーダンス整合ネットワーク215及び220を使用してもよい。代替的に、電極は、そこに電力を供給する複数の発電機及び整合ネットワークを有してもよい。台座235の表面に沿った矢印245は、インピーダンス整合ネットワーク220を介して台座235に電気的に接続した下側の(バイアス)RF発生器210からのRF電流及び電力の流れの内部半径方向を示す。生成された電界は、電極間のプラズマ(図示せず)の形成と、シャワーヘッド235又は他の動力要素の下面に沿って矢印250で示す電流及び電力の外部半径方向の逆流と、に寄与し、最終的には、シャワーヘッド230又は他の動力要素用のインピーダンス整合ネットワーク215の選択的接地回路に寄与する。
【0040】
特定の実施形態では、第1のRF発生器205及び第2のRF発生器210並びにインピーダンス整合ネットワーク215,220からのRF電力を有する反応チャンバ240は、誘電体260によって覆われてもよい台座235の周辺部にセンサ255を有してもよい。通信線265は、いくつかの実施形態において台座対称軸から略等距離にあってもよいセンサ255の各々からの信号を、各センサ255によって取得した基本周波数の表面波と高調波周波数の表面波の両方の振幅及び位相を計算するフーリエ解析回路(図示せず)に伝送してもよい。
【0041】
いくつかの実装では、フーリエ解析回路は、周期的な電磁気表面波形の基本波及び高次高調波の大きさ及び位相を計算してもよい。結果的に得られる一連のフーリエ級数として知られる大きさ及びその位相は、時間の領域の関数と周波数の領域の関数との間の関係から生じる。
【0042】
さらに、開示した整合ネットワーク220の実施形態のいくつかは、整合ネットワーク220のRF電力処理及びインピーダンス整合回路又はコンポーネントから分離されるとともにRFから切り離された整合ネットワーク220の信号解析区画275又は付属物を有してもよい。信号解析区画275は、センサ信号を解析するとともにRF基本波及び高調波のデジタル振幅及び位相をもたらすための(一つ以上の)フーリエ解析回路(検出器)を有してもよい。信号解析区画275は、高調波周波数における信号の相対的な大きさ及び位相を解析するとともに各周波数における軸対称高調波成分及び非軸対称高調波成分の相対的な大きさ並びにその相対的な位相を特徴付ける定量パラメータを導出するための高速デジタル論理又は計算プロセッサを有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、開示した整合ネットワーク220を、第2のRF発生器210だけでなくセンサ255が配置された反応チャンバ240又はRFプラズマ処理システム200のためのコントローラ(図示せず)にも非常に高速なネットワークを介して接続してもよい。いくつかの実施形態では、開示した強化インピーダンス整合ネットワーク220は、第1のRF発生器205にコマンドを送信することが可能であるとともに計算したパラメータを処理チャンバコントローラ及び/又はツール制御システムに送信することが可能であってもよい。
【0043】
さらに、別の第1のRF発生器205及びインピーダンス整合ネットワーク215を、反応チャンバ240のシャワーヘッド230であってよい他の電極に電気的に結合してもよい。一つの実施態様において、第1のRF発生器205は、第2のRF発生器210とは異なる周波数で動作してもよく、その周波数は、第2のRF発生器210の周波数の整数倍でなくてもよい。
【0044】
同様に、インピーダンス整合ネットワーク215は、電極及び処理チャンバ240からの反射波電力を監視し、電極からの著しい反射波電力がある場合に調整を行ってもよい。いくつかの実施形態では、第2のRF発生器210は、400KHzRF発生器、2MHzRF発生器、13.56MHzRF発生器等であってもよく、一方、第1のRF発生器205は、幾分高い周波数で動作してもよい。いくつかの実施形態では、第1のRF発生器205は、60MHz、100MHz又はそれ以上のような25MHzより大きい周波数で動作してよい。
【0045】
一実施形態では、第1のRF発生器205の主な機能は、フッ素、塩素及びその組成物のような反応性化学種を生成するとともに生成したプラズマからのイオンを加速して台座235に配置したウエハーに衝突するようにするために、シャワーヘッド230又は電極のような別の電力源と台座235との間でプラズマを生成するために反応チャンバ240を電力供給することとすることであってもよい。
【0046】
下側電極表面すなわち台座235に面する上側電極すなわちシャワーヘッド230に、その電極に接続された最高周波数RF発生器の周波数の約10倍よりも大きい帯域幅を有する一組のセンサ280を配置してもよい。いくつかの実施形態では、これらの各々は、約100Ωより大きいインピーダンスを有してもよく、いくつかの実施形態では、500Ωより大きいインピーダンスを有してもよい。センサ280は、電圧センサ又は電流センサであってよく、又は、単一のパッケージにおいて両方の能力を組み合わせてよく、例えば、電流センサは、静電シールドによって覆われてもよいワイヤの一つ以上のセグメントを有してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、センサ280は、インピーダンス整合ネットワーク215の信号解析区画285のフーリエ解析回路への電気的接続を有する。フーリエ解析回路は、センサ280の各々から互いに異なる周波数成分の振幅及び位相を出力するとともに他のセンサ280の周波数成分の振幅及び位相及び/又はメモリに保存されている基準レベルとの比較を行ってもよい。いくつかの実施形態における信号の解析は、振幅若しくは位相又はその両方のパターン認識又はニューラルネットワーク若しくはセンサ280からの信号の従来のデジタルアルゴリズム処理を使用してもよい学習アルゴリズムを採用する人工知能(AI)を含んでもよい。
【0048】
振幅と位相の両方の基本波成分信号及び高調波成分信号を見つけるためのフーリエ解析回路による信号処理を、センサ信号のそれぞれについて約10マイクロ秒未満で行ってもよく、好適な実施形態では、1マイクロ秒未満で行ってもよい。インピーダンス整合ネットワーク215の切り離された信号解析区画285は、超高速論理ICを採用した超高速(<1nsサイクルタイム)回路による実質的な計算能力を有する少なくとも一つの計算又は論理プロセッサを組み込んでよい。いくつかの実施形態では、信号解析区画285のプロセッサは、処理チャンバ240の供給者又はユーザがインピーダンス整合ネットワーク215に提供される計算「プラットフォーム」の専用のアルゴリズム又は解析ソフトウェアを提供又は実装できるようにプログラム可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、信号振幅及び位相からパラメータを計算するためのソフトウェアプログラム及び許容可能なプラズマ条件からの逸脱の処理均一性への影響を決定するための別論理アルゴリズムは、データストレージを有するとともに信号処理区画に接続する取り外し可能な「プラグイン」コンポーネントに存在してもよい。このソフトウェア又は論理は、公称の動作条件又は適切な動作条件の特徴からのRF電磁表面波スペクトルの逸脱の程度を計算する。これに基づき、コントローラに関連するプロセッサは、ウエハーが誤処理される前に、約1ミリ秒以内に是正処置又はプロセスの終了を「決定」することができる。いくつかの実施形態では、是正措置を1ミリ秒以内に開始できるように、プロセスの均一性又は他の特性に対する逸脱の予想される影響に関する定量的判断を、発生から約500マイクロ秒以内に行ってもよい。さらに、その時点において反応チャンバ240で処理されているウエハー又は基板へのダメージを最小限にする又は全くないようにするために、ウエハー又は基板の歩留まりの損失を回避するような処置を取ってもよい。
【0050】
インピーダンス整合ネットワーク215の信号解析区画285で行われる評価及び/又は決定を、いくつかの実施形態では、プラグインストレージ及び/又は取り外し可能なデータ処理デバイスに存在するアルゴリズムを使用して、超高速計算又は解析システムによって行ってもよい。更に別の実施形態では、信号解析区画285で行われる評価決定を、アナログ又はニューラルネットタイプのプロセッサを使用して行ってもよい。そのような決定は、取り外し可能な記憶装置又は処理装置に存在してもよい決定アルゴリズムを更に使用してもよい。その後、是正措置の命令を、インピーダンス整合ネットワーク215の区画275からRF発生器205に高速データラインによって速やかに送信して、プラズマへの電力又はRF周波数を一時的に中断、変更、終了させてもよい。これは、工場の管理者がその処理チャンバ240及びRFプラズマ処理システム200のための是正措置を速やかに取る又は計画することができることを保証する。
【0051】
また、
図2には、一組のセンサ290を示し、それは、大気条件下で反応チャンバ240内の真空領域外でシャワーヘッド230の台座295の外面に構成される。いくつかの実施形態では、追加のセンサ296を、台座ベース297に取り付けるとともにセンサ290と同様にインピーダンス整合ネットワーク220の開示した信号処理区画275に高速信号ケーブルで接続してもよい。反応チャンバ240の真空環境外に位置するセンサ296は、真空フィードが必要ないために著しく廉価であるとともに情報及び処理ネットワークに統合することが困難でない。
【0052】
センサ255を、台座235の表面の電圧及び/又は電流を検知するためにいくつかの構成で配置してもよく、誘電体カバー260によって覆われるとともにプラズマから保護されてもよい。このタイプ及び位置のセンサは、ウエハー及び/又は基板に近接しており、したがって、プラズマ不均一性の重要なタイプであるプラズマ非対称性を示すEM表面波の特定のモードを検出する際に感度の利点を有することができる。これらのチャンバ内センサ255は、フィードスルーを介して真空壁を通過する通信線又はいくつかの実施形態における光周波数又は低周波数で動作する無線通信リンクを使用してもよい。
【0053】
一般に、シャワーヘッド230及び台座235の表面のEM表面波の各周波数の位相及び振幅のパターンを、電圧、電流、位相、又は組合せセンサ255,280,290及び296の群のいずれかからの信号の解析によって決定してもよい。一般に、所定の周波数のEM表面波は、他の周波数の信号と位相関係を有する電圧及び電流信号を生成する。各周波数及び各点における電圧の大きさは、電極表面の全体の全ての点から発生する当該周波数の全ての波からの電圧の合計である。電力が対称に供給されるとともにプラズマが軸対称である軸対称電極表面の場合、軸対称表面波モードは、電極の全ての部分及び反応チャンバ240の他の表面からの波の重ね合せから生じる。一般に、チャンバの対称軸に中心を置く対称電極を有する対称チャンバの完全対称プラズマは、台座235の中心の中心を置く円の形で等しい位相及び振幅の対称線を主に有する。
【0054】
図3に目を向けると、本開示の実施形態による低いシャント容量を有する電気コネクタを介して電圧信号を電極の周囲及び電気的接地に供給する広帯域センサを有する二重プレート電極アセンブリの断面図を示す。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド330のような電極は、基板又はウエハーと略同一の形状を有する、中心を合わせて略平行に構成された二つの導電性プレート331,332を有してもよい。第2のプレート332から離れる方向に面する第1のプレート331の表面は、真空環境及びプラズマに露出してもよい。第1のプレート331は、誘電体スタンドオフ支持体333の長さである距離だけ第2のプレート332から離間している。第1のプレート331は、パック又はピックアップが導電性材料であるとともに表面が第1のプレート331の第2のプレート332から離れる方向に面する第1のプレート331の表面と略同一の平面上にある埋め込みセンサ334を有してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、センサ334を、石英又は他の適切な材料のような低い誘電率を有する誘電体336によって囲まれた第1のプレート331に取り付けてもよい。いくつかの実施形態において、誘電体336は、5未満の誘電率を有してもよく、いくつかの実施形態において、誘電率は、石英に基づくエアロゲルのような無機材料について2未満であってよい。センサ334は、100KHzからチャンバに接続された最高駆動周波数の少なくとも10倍まで延びる高帯域幅を有してよく、高帯域幅は、300MHz以上であってよく、表面電圧、表面電流又はその両方を検知することが可能であってよい。いくつかの実施形態におけるセンサ334の感度は、反応チャンバで使用される主要な基本RF周波数の高調波の周波数の範囲に亘って30%未満変化してもよい。いくつかの実施形態では、各センサからの少なくとも一つのリード線337は、電気的に接地された第2のプレート215に取り付けられたベース341を有する真空電気信号フィードスルー339の内部導体338に接続される。いくつかの実施形態では、各センサからのリード線を、各周波数成分について振幅及び位相を決定するために、接地面及び各センサについて一つの検出回路を有する332と同様の位置にある回路基板に直接接続してもよい。
【0056】
フィードスルー339の内部導体338は、センサ334+リード337+フィードスルー339から接地までの総シャント容量が5pf未満となるとともにいくつかの実施形態では3pf未満となるように、接地された第2のプレート332に取り付けられたフィードスルー339のベース341に対する小さなシャント容量、例えば、5ピコファラッド(pf、いくつかの実施形態では2pf未満)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、接地された第2のプレート332に取り付けられたベース341からの出力を、減衰器(図示せず)に接続してもよい。いくつかの実施形態では、減衰器は、約100Ωより大きい抵抗値を有する電気抵抗器を有してもよい。接地405に対するシャント抵抗器が電気抵抗器404と並列に存在してもよい。シャント抵抗器の抵抗は、例えば、50Ωであってもよく、代替的に、減衰器を通信ネットワーク又はプラズマチャンバのコントローラに接続するケーブルのインピーダンスに等しくてもよい。
図3に示すようにコネクタの代わりに検出器を配置する場合、そのセンサの各周波数における電圧又は電流の振幅及び位相である検出器からの信号出力を、整合ネットワークの区画にあってもよい解析プロセッサに伝送してもよい。
【0057】
各センサ334は、プラズマに電力を供給する全てのRF発生器の基本周波数及び高調波周波数としての構成要素として有する結合された電磁表面波モードの電圧又は電流振幅を測定してもよい。基本周波数及び高調波周波数の範囲は、約10KHzから約500MHz以上と同程度までである。他の実施形態では、センサは、約100KHzから約1Ghzまでの範囲の基本周波数及び高調波周波数で電圧を測定してもよい。
【0058】
図4は、本開示の実施形態による広帯域電圧センサが埋め込まれた台座の断面図である。電圧センサ401を、台座400のような電極に取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、センサ401を、抵抗器を介して電気的接地406に接続してもよい。センサ401の先端又はパックは、(オプションで空気又は真空であってもよい)誘電体403に囲まれたリード線402を有してもよい。いくつかの実施形態では、センサ401からのリード線402は、いくつかの実施形態では約50Ωであるとともに電気接地406に接続してもよいシャント抵抗405を有する抵抗器(複数可)404のような減衰器を通過してよい。そのような抵抗器404は、非誘導性であってよく、約100Ωと約100000Ωとの間の範囲の抵抗を有してもよい。いくつかの実施形態では、抵抗は、約500Ωと約10000Ωとの間であってもよい。抵抗器405は、非誘導性であってよい。
【0059】
さらに、誘電体403は、一般に非磁性であり、いくつかの実施形態では約0.01未満である又は他の実施形態では約0.001未満である低い損失正接を有する。センサ401の先端と接地電極へのリード線402との間のシャント容量は、センサ401と台座400の電極との間のリアクタンスが300MHzで約100Ωより大きくなるように、約5pf未満である、又は、いくつかの実施形態で約2pf未満である。そのような低いシャント容量の目的は、波エネルギーを最小限に吸収するとともにセンサ401がない場合のように波が伝搬することを可能にするようにセンサ401による表面波の負荷を低減することである。そのような条件下では、検出される表面電位は、そのようなセンサ401のない電極での電位と大きく異ならない。
【0060】
図5に目を向けると、本開示の実施形態による関連するRF及び制御コンポーネントを有する台座の概略側面図を示す。台座501の給電回路は、RF電力発生器405及びインピーダンス整合ネットワーク506を有する。高速信号線、例えば、ケーブル511,512は、センサ502、503から、いくつかの実施形態ではインピーダンス整合ネットワーク506の中にあってもよい又はそれに取り付けられてもよい区画に信号を搬送する。データネットワークの高速ライン513は、インピーダンス整合ネットワーク506から反応チャンバ若しくは生成器の(一つ以上の)コントローラ514への又はツール若しくは工場(図示せず)への情報を取り込む。センサ502、503は、反応チャンバの真空領域の内側又は外側にあってもよい台座501のベース504の上又はその近くに取り付けられている。
【0061】
いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク506に関連する信号解析区画、例えば、障害検出区画510が存在してもよい。信号解析区画510は、インピーダンス整合ネットワーク506の真空コンデンサ及び高電圧電子機器のような特定の構成要素から電気的に及び/又はRF的に切り離されてもよい。信号解析区画510は、ケーブル511,112を介してセンサ502、503から信号を受信する。信号解析区画510は、各センサ502、503から検出器と称するとともにトランジスタ及び受動部品のような電子部品を含んでもよい内部回路に信号を導く。振幅及び位相が各周波数成分についてセンサに直接隣接して見出される代替実施形態では、信号解析区画に来る信号は、未処理の信号ではなく各周波数成分についての振幅及び位相であってもよい。
【0062】
区画510内の各検出器(図示せず)は、一つのセンサ502、503からの信号又は並行して解析されるセンサ群からの信号のRFスペクトル解析を行ってもよい。解析は、ノイズ低減のためにセンサ群の信号又は一つ以上のセンサ502、503の信号を時間的に平均化することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、各センサ502、503によって取得した信号、例えば、基本波及び高調波の各周波数成分に対する振幅及び位相の各検出器からの出力があってもよい。各検出器からの出力を、各高調波信号についてアナログ-デジタル変換器に入力し、測定された各高調波の振幅と位相の両方についてデジタル化された値を生じるようにしてもよい。
【0063】
各周波数成分及び各センサに対するこれらのデジタル振幅及び位相値を、開示したインピーダンス整合ネットワークに関連する信号解析区画の高速デジタルプロセッサに、ほとんど遅延なく、例えば、10マイクロ秒未満で入力してもよい。デジタルプロセッサは、センサからの基本波及び各高調波の振幅と位相の両方の情報を解析し、基本波及び高調波の両方について、軸対称モード及び非軸対称モードを含む種々の表面波モードの相対的な大きさを決定してもよい。各周波数成分について種々の非軸対称モードが存在する可能性があり、そのうちの一つ以上は、プラズマの不均一性の指標となる可能性がある。
【0064】
いくつかの実施形態では、そのような非軸対称モードを、プラグインに存在するアルゴリズムによって迅速に識別してもよい。非軸対称モードの大きさをプラズマ非均一性%と相関させる参照データベースも、このプラグイン又は取り外し可能なプロセッサに存在していてもよい。デジタルプロセッサは、近い将来の障害の可能性を判断するために波モードの振幅の変化率及び一つ以上の波モードの振幅の増加の割合を計算してもよい。所定の周波数における非軸対称モードの大きさの一つの指標は、軸対称チャンバに対称的に配置された円形電極の中心から同一の半径方向の距離を有する種々のセンサ位置における所定の周波数の表面波の位相の差であってよい。代替的に、非軸対称モードの第2の指標は、軸対称チャンバに対称的に配置された円形電極の中心から同一の半径方向の距離を有する種々のセンサ位置における所定の周波数の表面波の振幅の間の差であってもよい。
【0065】
マルチチャネル検出器システム(図示せず)を含む絶縁区画510を有する整合ネットワーク506は、台座501の様々な位置で伝播するEM波の電圧振幅及び位相の同時のフーリエ解析、デジタル化及び記録を行うことができる。固有のノイズのために、決定された電圧振幅及び位相の各々は、必要に応じて、短い時間間隔に亘って平均化されてもよく、相対的な大きさの決定を行うためにセンサ502、503の群に対して平均化されてもよい又は比較的多数のパルスにわたって時間的に平均化されてもよい。
【0066】
センサの群又はアレイを備えたシャワーヘッド、台座又は電極のような他の電力供給要素を、RFプロセス中のEM波モードのスペクトル及び空間パターンとプラズマ密度の種々の不均一性との関係を特徴付けるとともに記録するデータを生成する試験システムとして使用してもよい。これらのデータを、いくつかの実施形態において、プラズマの挙動の特徴付け及び分類を行うためにエンジニアによってオフラインで解析し、整合ネットワーク区画又は他のコントローラ若しくは監視システムに接続してもよいプラグインストレージ装置に保存されてもよいデータベースに入れられる場合がある。
【0067】
非軸対称EMモード及び軸対称EMモードの振幅及び位相パターン特性と、プロセス及びプラズマの不均一性又は適正条件からの逸脱との間の関係を、整合ネットワークの開示した信号解析区画に接続するプラグインに保存してもよい。RFプラズマ処理システムを生産ツールとして使用してもよい実装では、プラズマ及びプロセスの不均一性を、それによって、チャンバの動作が監視されているときに迅速に検出してもよい。例えば、
図2に示すように構成された
図4に示す開示したタイプのセンサを、
図1に示すようにRFプラズマシステムに組み込んでもよい。
【0068】
プロセスプラズマがプラズマ障害状態を経験した可能性があるか否かを判断するために、インピーダンス整合ネットワークに関連する信号解析区画の解析プロセッサは、いくつかの電極又はアンテナの駆動周波数の予め指定された一連の高調波のそれぞれについて、非軸対称EMモードの大きさに部分的に基づくパラメータを計算してもよい。いくつかの実施形態におけるプロセッサは、これらのパラメータをデータベースの基準範囲と比較してもよい。そのような基準データベースは、インピーダンス整合ネットワークの区画又はそれに関連する区画であってよい信号解析区画に接続されるプラグインに存在してもよい。
【0069】
データベースは、許容可能な「プロセスウィンドウ」からのプラズマの逸脱がどの程度深刻であるかを判断するのを助けるために、様々なプラズマ条件を特徴付けるパラメータを保存してもよい。いくつかの実施形態において、解析は、電極の中心からの所与の距離における全てのセンサ又はその群からの各高調波の位相の比較を含んでもよい。任意の方位に関するセンサ又はセンサの群についてのそのような位相の変化は、その高調波モードの生成及び/又は伝播の非対称性の尺度であってよく、したがって、プラズマの非対称性及び不均一性の尺度であってよい。いくつかの実施形態では、解析は、対称軸からの所与の距離におけるセンサ又はセンサの群の間の振幅の差の計算を含んでもよい。方位の範囲における隣接するセンサ又はセンサの群についてのそのような振幅の変化は、その調和モードの生成及び/又は伝播の非対称性の尺度であってよく、従って、プラズマの非対称性及び不均一性の尺度であってよい。
【0070】
一組の高調波のそれぞれに対する非対称性の定量的尺度、パラメータを、プラグインユニットに保存し、データネットワークを介してチャンバ及びツールコントローラに送信してもよい。さらに、パラメータにおける傾向及び増加の割合を、障害状態が発生するか否かを判断するプロセスの一部として計算するとともにデータベースにおける基準値及び基準と比較してもよい。いくつかの実施形態では、そのような障害状態が発生するとき、プラグインに保存されてもよいアルゴリズム及び基準を、改善措置又は予防措置の方針を決定するために、区画に存在するプロセッサにおいて実行してもよい。そのようなアクションを、RF発生器及び/又はチャンバ及び/又はツールコントローラに迅速に送信してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、パラメータ、アルゴリズム、基準並びにパラメータ、パラメータの変化率及びパラメータの増加率を比較するための仕様の全てのそのようなデータベースは、信号解析区画の入力/出力ポートであってもよいポートに接続してもよいデータ記憶装置又は取り外し可能なプロセッサに存在してもよい。センサからの信号に基づく表面波モードの解析及びそこから取得されるパラメータを、プロセッサによって非常に迅速に実行し、任意の障害宣言及び改善措置命令がRF発生器に送信し、発生から5ミリ秒以内にネットワークを介してチャンバ又はシステム用のコントローラに報告してもよい。いくつかの実施形態では、障害状態及び指定された改善措置命令を、1ミリ秒以内に発生器に送信してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、所望のプラズマ均一性からの多くの種類のプラズマの逸脱を、ウエハー又は基板が誤処理される前に、ツール又はチャンバ制御装置がプラズマ障害状態を修正するための措置をとることができるように十分に迅速に検出してもよい。いくつかの状況において、指定された改善措置は、RF電力形式であってもよく、例えば、連続波(CW)又はパルスが短時間で変更される又は短時間で完全に電力がオフにされる、又は、現在のウエハーの処理を停止するとともにウエハーを後の処理又は廃棄のために保存してもよい、又は、反応チャンバをメンテナンスのために電源を切ってもよい。したがって、RF電力の約±10%程度の範囲内で周波数を調整することによって、反射波電力を変更してもよい。
【0073】
特定の実施形態では、プラズマ障害状態の検出時に、整合ネットワークに関連する開示した信号解析区画は、RF発生器によって及び/又はいくつかの実施形態において整合ネットワークによって実行すべき適切な是正措置を命じてもよい。例えば、RFプロセス発生器は、シャワーヘッド及び/又は台座のセンサによって測定された信号に応答して、ウエハーの処理を終了させるための終了処理を開始してもよい。具体的な実施形態において、周波数を、約10分の1から10%の範囲内で調整してもよい、すなわち、増加又は減少させてもよい。代替的に、電力、例えば、パルス電力の機関を、RFプラズマ処理蒸着システムによって、二次プラズマが停止又は大幅に減少するようにプラズマを停止又はパルス化するために中断してもよい。いくつかの実施態様において、非常に短い中断の後、指定された救済措置は、処理がその後継続できることを提供してもよい。特定の実施態様において、救済措置を、例えば、歩留まりデータ又は他のウエハー診断に基づく機械学習及び/又はプログラムされた救済プログラムを通じて決定してもよい。
【0074】
図6に目を向けると、本開示の実施形態による反応チャンバのプラズマが軸対称である台座の全体に亘る軸対称表面波の伝搬の上面図を示す。
図6において、円601は、軸対称表面波モードの基本周波数成分及び高調波周波数成分について位相及び振幅が一定である曲線である。円は、電極と同心である。これらのモードは、チャンバ、電極及びプラズマが全て軸対称で同軸である場合に非常に支配的である。任意の周波数における表面波の伝搬ベクトル602は、放射状である。波は、中心に向かって伝播するとともに中心から遠ざかって伝播し、波が伝播するとき、そのような波は、プラズマに電力を注入する。
【0075】
図7に目を向けると、本開示の実施形態による電極の全体に亘る横方向の電磁表面波伝搬の上面図を示す。
図7において、特定の単一の非軸対称モードに対する一定の位相及び等しい振幅の線701,704は、基本周波数又はその高調波に関わらず略真っ直ぐかつ平行である。そのような表面波を、RFプラズマ蒸着装置の台座又はシャワーヘッドに配置されたセンサによって検出してもよい。このモードを、伝搬ベクトル705,707で見えるように、伝搬方向が電極表面の全体に亘って一方の側から他方の側又は中心平面から左側と右側の両方であることを意味する「横方向」と称してもよい。一定の位相の線が電極の中心からずれた曲率中心を有する曲線となる他の非軸対称モードもあり得る。各周波数の検出器の測定値を、軸対称モードとプラズマの主要な不均一性を反映する(しばしば少数の)非軸対称モードとの合計に分解することができる。典型的には、分解は、横方向モード成分及び/又は一つの主な「中心から外れた」又はずれた半径方向モードの同定を可能にし、そのいずれかは、プラズマの不均一性の構成の特徴である。プラズマ不均一性の構成と特定の非軸対称モードとの相関は、プラグインユニット又は他の場所に存在し得るデータベース構築の一部として、生産処理の前に行われる。
【0076】
図8に目を向けると、本開示の実施形態による反応チャンバのための一つの例示的な方位センサ配置の上面図を示す。この実施形態では、複数のセンサ800を、反応チャンバの一つ以上の構成要素の周囲及び/又は反応チャンバ自体に方位角に配置してもよい。簡単に上述したように、この実施形態では四つであってよい複数のセンサ800を、表面波に関連する表面電圧又は電流を測定するために、チャンバ対称軸805を中心とした種々の角度で、シャワーヘッド及び/又は台座のような特定のチャンバ構成要素に配置してもよい。この場合、90度の間隔であるが、いくつかの実施形態では、方位の不規則な間隔であってもよい。
【0077】
センサ800は、変化する電位又は磁場を取得する受動センサ800を含んでもよい。センサ800を、チャンバ対称軸805に対する種々のタイプの伝搬モードを有するEM波を検出するために、種々の方位に配置してもよい。センサ800を、チャンバ対称軸805及び/又は反応チャンバの構成要素又は反応チャンバ自体の周りの等距離の位置に配置してもよい。同様に、センサ800を、センサ800と対称軸との間の間隔が略同一となるように互いに正反対に配置してもよい。例えば、センサ800-1と800-2との間の距離は、800-3と800-4との間の距離と略同一である。同様に、各センサ800は、チャンバ対称軸805から同一の距離に配置される。センサ800の間隔及び位置の例を、以下でより詳細に議論する。
【0078】
図示したように、センサ800は、直径方向に対向する位置に配置される。例えば、センサ800-1は、センサ800-3と直径方向に対向し、一方、センサ800-2は、センサ800-4と直径方向に対向する。センサ800は、非軸対称プラズマについて、したがって、反応チャンバ及び/又はその構成要素の異なる側における波形の違いを見つけてもよく、波形の違いが生じたとき、改善又は予防的な措置を取ることができるように、上記で説明したように、通知を提供する。例えば、センサ800-1及びセンサ800-4が、直径方向に対向する位置からの波形の違いを検知して報告する場合、そのような違いは、高調波が位相から外れている又は異なる振幅を有するという表示を提供し、それによって、プラズマ不均一性及び非対称性が存在することを示すことができるそこのような波形の違いは、直径方向に反対の検出器によって取得した信号の一つ以上の高調波の相対的な位相又は振幅に違いがある場合に発生する。
【0079】
特定の実施形態では、
図8に示すように、四つのセンサ800を使用してもよい。しかしながら、他の実施形態では、6,8,12,14,16,18,20又はそれ以上の数のセンサ800のような異なる数のセンサ800を使用してもよい。いくつかの実施形態では、センサ間の方位角は等しくなくてもよく、それにもかかわらず、非方位角対称プラズマモードの同一の特性をセンサによって観察することができる。特定の実施態様では、6と12の間の数のセンサ800を有することが有益となりうる。センサ800の数が多くなるに従って更に多くのデータを収集することができ、それによる、ノイズに対する識別能力及び不均一性の認識のための感度が強化される。しかしながら、センサ800の数を増やすことによってデータ処理が遅くなり、それにより、改善及び予防措置が更に遅く発生する場合がある。当業者は、センサ800の数とデータの粒度の所望のレベルとのバランスをとることによってRFプラズマプロセスを最適化することを可能にすることを理解する。したがって、計算能力が増大するとともにデータを処理することができる速度が増加するに従ってセンサ800の数を増加させることが有益となる。特定の実施形態において、特定のセンサ800を選択的にオフ及びオンしてもよく、それにより、コントローラが特定の所望のデータにアクセスすることを可能にする。例えば、8の数のセンサを有するシステムにおいて、センサの四つが選択されてオフにされ、それにより、生成されるデータの量を減少させることができる。他の実施形態では、追加のセンサを動作に追加又は除去してもよく、それにより、生成されるデータの量が変化する。
【0080】
センサ800は、円形と他の幾何学的形状の両方の様々なタイプのセンサを含んでもよい。特定の実施形態では、センサ800は、約0.1cm2と約10cm2との間の面積を有する円形であってもよい。センサ800は、反応チャンバのプラズマ又は反応種からセンサ800を保護するための表面絶縁体層又はコーティングを更に含んでもよく、電流センサ用のファラデーシールド、アルミニウムコーティング等の他の任意のコーティング及び層を含んでもよい。
【0081】
図9に目を向けると、本開示の実施形態による反応チャンバに方位角に取り付けられたセンサの垂直断面図を示す。この実施形態では、反応チャンバ940は、シャワーヘッド930の中心から台座935を通って長手方向に延びる対称軸905を有する。他の実施形態では、対称軸905は、アンテナのような別の電極の中心から長手方向に延びてもよい。複数のセンサ900を、反応チャンバ940の周囲及び内部の様々な位置に並びにシャワーヘッド930及び/又は台座935のような特定の構成要素の周囲に又はそれに関連して方位角に配置してもよい。
図9は断面であるので、各場所について二つのセンサ900のみを示すが、
図8に関して詳細に論じたように、RFプラズマ監視プロセスの実施中に更に多くのセンサ900を使用してもよい。
【0082】
特定の実施態様では、センサ900-1を、シャワーヘッド930の縁部又は周縁部の周りに配置してもよい。そのような実施態様では、センサ900-1を、少なくとも部分的に又は完全にシャワーヘッド900-1内に埋め込んで配置してもよく、センサ900-1の外表面を絶縁層で被覆してもよく、それにより、センサ900-1を反応チャンバ940内の環境から保護する。そのような実施形態では、二つ以上のセンサ900-1を、シャワーヘッド930の縁の周りに方位角に配置してもよく、好適には、四つ以上のセンサが、それにより、RFプラズマ処理における不均一性及び非対称性を検出することを可能にする。
【0083】
他の実施形態では、センサ900-2を、反応チャンバ940の真空内で台座935の縁に沿って配置してもよい。センサ900-1に関して上記で説明したように、センサ900-2を、部分的に又は完全に台座935に埋め込んでもよく、センサ900-2は、その外面に配置された絶縁層を含んでも含まなくてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、センサ900-2は、センサ900-2を被覆する誘電体保護部を有していてもよい。真空内の台座935の周りに配置されたセンサ900-2に加えて、他のセンサ900-3及び900-4を、反応チャンバ940の真空外で台座935の周りに配置してもよい。そのようなセンサ900-3及び900-4を、台座935及び/又はそのベース部分に沿った金属表面上に配置してもよい。センサ900を、台座935又はそれに関連する他の支持構造に配置してもよい。
【0084】
更に別の実施形態では、センサ900-5を、反応チャンバ940の側壁に配置してもよい及び/又は他の方法で内蔵してもよい。壁が誘電体であるそのような実施形態では、センサ900-5を、反応チャンバ940の外のチャンバ外壁915に配置してもよい又はセンサ900-5が反応チャンバ940の真空内にあるように側壁に組み込まれてもよい。金属壁の場合、センサは、チャンバの内側のEM場を検知できるように壁の内面にピックアップを露出させる必要がある。他のセンサ900-6を、外側のチャンバ壁915に沿って配置したのぞき窓920に配置してもよい。そのような実施形態では、のぞき窓のセンサ900-6は、反応チャンバ940の真空外に位置してもよい又は反応チャンバ940の内部に位置してもよい。
【0085】
更に別の実施形態では、センサ900-7を、例えば、シャワーヘッド930の周囲に位置する誘電体中に配置してもよく、一方、他の実施形態では、センサ900-7を、台座935の周囲に位置する誘電体中に配置してもよい。センサ900の特定の位置をここで議論するが、センサ900を、反応チャンバ940の中及び周囲にある他の様々な位置に配置してもよい。例えば、センサ900を、アンテナ又は他の構成要素の近くの誘電体壁の内側又は外側に配置してもよい。センサ900を、反応チャンバ940の金属壁の内側の様々な他の場所に配置してもよい。
【0086】
特定の実施形態では、RFプラズマ処理を更に正確に監視するために、センサ900-1~900-7の組合せを使用してもよい。例えば、シャワーヘッド930の縁の周りのセンサ900-1を、台座935の縁の周りのセンサ900-2と組み合わせてもよい。同様に、反応チャンバ940の外側のセンサ900-5の組合せを、反応チャンバ940内に位置するセンサ900-1/900-2と組み合わせてもよい。更に別の実施形態では、センサ900の位置の組合せの3,4,5,6,7又はそれ多い数のバリエーションを、RFプラズマ処理の監視を更に最適化するために使用してもよい。
【0087】
図10に目を向けると、本開示の実施形態によるモデル反応チャンバの垂直断面を示す。この実施形態では、本例では台座1035である下側電極の周りに複数の方位角に配置されたセンサ1000の例示的な位置を示す。
図9に関して上述したセンサ1000と同様に、
図10は、様々な位置に配置したセンサ1000を示す。センサ1000-1を、台座1035の外縁の周りに配置する。1000-2として示すセンサ方位位置を、反応チャンバ1040内の周囲に配置し、センサ方位位置1000-3を、のぞき窓に隣接する反応チャンバ1040外の周囲に配置する。
【0088】
この実施形態では、12の数のセンサ1000を各位置に示すが、他の実施形態では、更に少ない数及び更に多い数のセンサ1000を使用してもよい。また、明示的に示すセンサ1000の位置に加えて、RFプラズマ処理を更に強化するために他のセンサ1000の位置も使用してもよい。
【0089】
図11に目を向けると、本開示の実施形態による反応チャンバの垂直概略断面図を示す。この実施形態では、センサ1100を、誘導結合プラズマ源1105のアンテナの周囲に配置したように示す。したがって、センサ1100は、反応チャンバ1140内に配置されたプラズマ源からのRF電流又は電圧を検知することができる。
【0090】
図12に目を向けると、本開示の実施形態によるRFプラズマ処理システムの部分断面を示す。この実施形態では、RFプラズマ処理システム1200は、台座1235を有する。台座1235は、台座1235の上部外縁に沿って配置されたセンサ1240を有する。上述したように、センサ1240を、上部の外縁に配置してもよい、台座1235内に埋め込んでもよい又は反応チャンバの真空内又は真空外のいずれかの外縁の周囲に交互に配置してもよい。
【0091】
RFプラズマ処理システム1200は、通信線1250を介してセンサ1240に接続した回路1245も有する。センサ1240がRFプラズマ処理システム1200からの検知したデータを受信すると、そのデータを、処理のために回路1245に送信してもよい。回路1245がセンサ1240に比較的近いので、検知したデータをその間に転送するのに要する時間は、減少し得る。したがって、センサ1240によって検知した電気特性に関する初期計算は、更に迅速に実行され、その後、RFプラズマ処理システム1200の他の構成要素1255に転送されてもよい。他の構成要素1255は、例えば、RF発生器、インピーダンス整合ネットワーク、障害検出区画、反応チャンバ用操作コントローラ、ツール用操作コントローラ、プラグイン装置、信号解析区画、又は、RFプラズマ処理システム1200に接続された他の構成要素(複数可)を有してもよい。
【0092】
1200の構成要素、1255のいずれか又は図示しない他の構成要素は、センサ1240によって検出されるとともに回路1245内で少なくとも部分的に処理される障害を修正するためにRFプラズマ処理システム1200の側面を調整することができる。回路1245を、反応チャンバ内の状態から回路1245を保護するために、切り離された構造で反応チャンバの真空外の台座1235内に配置してもよい。他の実施形態では、回路1245を、台座1235のベース又は台座1235に近接する他の領域に配置してもよい。
【0093】
図12がRFプラズマ処理システム1200の構成要素の断面を示すので、当業者は、回路1245を台座1235の周囲の種々の方位角で略同一の半径で配置してもよいことを理解する。したがって、独立した回路1245は、各センサ1240に対して利用可能であってもよい、又は、センサ1240は、台座1235の周囲及び/又は内部の一つ以上の選択された位置に配置される集中型回路1245に接続してもよい。
【0094】
図13に目を向けると、本開示の実施形態による誘導結合型RFプラズマ処理システムの部分断面図を示す。センサ1340を、誘導アンテナ1330に近接して構成されるように示し、アンテナに隣接する誘電体壁(図示せず)の外側又は内側に取り付けてもよい。
【0095】
特定の実施形態では、本願の方法は、RFプラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性の検出を提供することができる。方法は、高周波プラズマ処理システムの反応チャンバ内でプラズマを生成することと、プラズマを維持する高周波電力の周波数から約10倍の周波数までの周波数範囲におけるプラズマからの電気信号を、高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数のセンサで検出することと、を有してもよい。電気信号は、電磁表面波によって生成される電圧及び電流の少なくとも一方を有してもよい。
【0096】
動作において、方法は、複数のセンサによってプラズマから取得した電気信号の波形を比較することと、複数のセンサの各々によって検出したプラズマの電気的特性の比較に基づいて、プラズマの不均一性が発生したときを判断することと、を更に有してもよい。特定の実装では、比較することは、少なくとも二つの異なるセンサによってピックアップされる少なくとも一つの無線周波数高調波の振幅を比較することを含んでもよい。特定の実装では、比較することは、チャンバ対称軸を中心とした少なくとも90度の方位角で分離された少なくとも二つのセンサによって取得した少なくとも一つの高周波高調波の位相を比較することを有してもよい。更に別の実施態様では10マイクロ秒より長い期間に亘って時間的に増加する複数のセンサからの信号の方位変動を判断することを有してもよい。
【0097】
判断することは、互いに異なる方位角における複数のセンサからの信号をフーリエ解析することと、複数のセンサについての一つ以上の周波数成分の振幅及び位相のうちの少なくとも一つの変化をプラズマ制御データベースの基準値と比較することと、を更に有してもよい。不均一性が発生したと判断することは、少なくとも100マイクロ秒の時間期間に亘る増加を見つけることにあってもよい、及び/又は、判断することは、プラズマを維持する高周波電力の周波数の少なくとも一つの高調波の振幅及び位相の方位角の変化からプラズマ不均一性を計算することを有してもよい。本開示の側面は、チャンバ対称軸を中心とした方位の関数としてのプラズマ密度の変動を有する不均一性を更に有してもよい。
【0098】
動作において、本開示の側面は、高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法を有してもよい。方法は、高周波プラズマ処理システム内でプラズマを生成することを有してもよい。方法は、高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサを使用して、少なくとも一つの高周波励起周波数の整数倍である複数の周波数でプラズマからの電気信号を検出することを更に有してもよい。特定の実装は、電気信号の複数の検出した周波数成分の少なくとも一つの方位変動の検出に基づいて、プラズマの非対称性を判断することを有してもよい。
【0099】
前述の説明では、説明のために、本開示の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、ここに記載したシステム及び方法を実施するために、特定の詳細が必要でないことは当業者に明らかである。特定の実施例に関する前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されるものである。それらは、本開示を網羅すること又は記載された正確な形態に限定することを意図していない。明らかに、上記の教示に鑑みて、多くの変更及び変形が可能である。実施例は、本開示の原理及び実際の応用を最もよく説明して当業者が企図される特定の用途に適するように様々な修正を加えて本開示及び様々な実施例を最もよく利用できるようにするために示すとともに説明するためのものである。本開示の範囲が以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
前述の説明では、説明のために、本開示の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、ここに記載したシステム及び方法を実施するために、特定の詳細が必要でないことは当業者に明らかである。特定の実施例に関する前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されるものである。それらは、本開示を網羅すること又は記載された正確な形態に限定することを意図していない。明らかに、上記の教示に鑑みて、多くの変更及び変形が可能である。実施例は、本開示の原理及び実際の応用を最もよく説明して当業者が企図される特定の用途に適するように様々な修正を加えて本開示及び様々な実施例を最もよく利用できるようにするために示すとともに説明するためのものである。本開示の範囲が以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることを意図する。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの変化を検出するためのシステムであって、
チャンバ対称軸を有する反応チャンバと、
前記反応チャンバのプラズマに高周波電力を供給する一つ以上のプラズマ給電装置と、
前記反応チャンバのプラズマに関連する電磁信号を検知するために、前記チャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサと、
前記複数の広帯域高周波センサの少なくとも一つに接続されたフーリエ変換プロセッサである少なくとも一つの検出器と、
前記少なくとも一つの検出器に接続された計算プロセッサと、
を備えるシステム。
[態様2]
前記複数の広帯域高周波センサを、高周波プラズマ給電装置に対して、前記チャンバ対称軸から略等距離に前記チャンバ対称軸を中心とした三つ以上の間隔を置いた方位角で配置した、態様1に記載のシステム。
[態様3]
前記計算プロセッサに接続された一つ以上の高周波発生器を更に備え、前記高周波発生器の少なくとも一つは、前記計算プロセッサからの信号の受信に応答して調節可能である、態様1に記載のシステム。
[態様4]
前記複数の広帯域高周波センサの少なくとも一つに接続されるとともに前記計算プロセッサに接続されたポートにデジタル出力を供給するように構成された少なくとも一つの高周波検出器を更に備える、態様1に記載のシステム。
[態様5]
前記少なくとも一つの検出器は、取り外し可能な記憶媒体に接続された、態様4に記載のシステム。
[態様6]
前記記憶媒体は、電磁波の少なくとも一つの周波数成分の偏心量である出力を生成するための命令、アルゴリズム及びデータのうちの少なくとも一つを含む、態様5に記載のシステム。
[態様7]
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法であって、
前記高周波プラズマ処理システムの反応チャンバ内でプラズマを生成することと、
プラズマを維持する高周波電力の周波数から約10倍の周波数までの周波数範囲におけるプラズマからの電気信号を、前記高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数のセンサで検出することと、
前記複数のセンサによって前記プラズマから取得した電気信号の波形を比較することと、
前記複数のセンサの各々によって検出したプラズマの電気的特性の比較に基づいて、プラズマの不均一性が発生したときを判断することと、
を備える方法。
[態様8]
前記比較することは、少なくとも二つの互いに異なるセンサによって取得した少なくとも一つの高周波高調波の振幅を比較することを備える、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記比較することは、前記チャンバ対称軸を中心とした少なくとも90度の方位角で分離された少なくとも二つのセンサによって取得した少なくとも一つの高周波高調波の位相を比較することを備える、態様7に記載の方法。
[態様10]
前記不均一性は、前記チャンバ対称軸を中心とした方位の関数としてのプラズマ密度の変動を備える、態様7に記載の方法。
[態様11]
前記判断することは、10マイクロ秒より長い期間に亘って時間的に増加する前記複数のセンサからの信号の方位変動を判断することを備える、態様7に記載の方法。
[態様12]
前記電気信号は、電磁波表面波によって生成される電圧及び電流のうちの少なくとも一つである、態様7に記載の方法。
[態様13]
前記判断することは、互いに異なる方位角における前記複数のセンサからの信号をフーリエ解析することと、前記複数のセンサの一つ以上の周波数成分の振幅及び位相のうちの少なくとも一つの変化をプラズマ制御データベースの基準値と比較することと、を備える、態様7に記載の方法。
[態様14]
不均一性が発生したと判断することは、少なくとも100マイクロ秒の時間期間に亘る増加を見つけることにある、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記判断することは、プラズマを維持する高周波電力の周波数の少なくとも一つの高調波の振幅及び位相の方位角の変化からプラズマ不均一性を計算することを備える、態様7に記載の方法。
[態様16]
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法であって、
前記高周波プラズマ処理システム内でプラズマを生成することと、
前記高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサを使用して、少なくとも一つの高周波励起周波数の整数倍である複数の周波数でプラズマからの電気信号を検出することと、
前記電気信号の複数の検出した周波数成分の少なくとも一つの方位変動の検出に基づいて、前記プラズマの非対称性を判断することと、
を備える方法。
[態様17]
前記判断することは、約10ミリ秒以下で行われる、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記複数の広帯域高周波センサは、少なくとも四つのセンサを備え、チャンバ対称軸を中心とした方位角の各象限に少なくとも一つのセンサが存在する、態様16に記載の方法。
[態様19]
前記複数の広帯域高周波センサを、プラズマ給電装置の周囲に配置した、態様16に記載の方法。
[態様20]
前記複数の広帯域高周波センサを、前記チャンバ対称軸を中心とした角度の略等間隔で前記チャンバ対称軸から略等距離に方位角に配置される、態様16に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波プラズマ処理システムにおけるプラズマの不均一性を検出する方法であって、
前記高周波プラズマ処理システム内でプラズマを生成することと、
前記高周波プラズマ処理システムのチャンバ対称軸を中心とした方位角に配置された複数の広帯域高周波センサを使用して、少なくとも一つの高周波励起周波数の整数倍である複数の周波数でプラズマからの電気信号を検出することと、
前記電気信号の複数の検出した周波数成分の少なくとも一つの方位変動の検出に基づいて、前記プラズマの非対称性を判断することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記判断することは、約10ミリ秒以下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の広帯域高周波センサは、少なくとも四つのセンサを備え、チャンバ対称軸を中心とした方位角の各象限に少なくとも一つのセンサが存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の広帯域高周波センサを、プラズマ給電装置の周囲に配置した、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の広帯域高周波センサを、前記チャンバ対称軸を中心とした角度の略等間隔で前記チャンバ対称軸から略等距離に方位角に配置した、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】