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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001930
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】振動刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20241226BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20241226BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61H23/02 336
A47C7/72
A47C7/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101728
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河合 辰夫
【テーマコード(参考)】
3B084
4C074
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JD07
4C074AA03
4C074BB10
4C074CC01
4C074GG03
4C074GG04
(57)【要約】
【課題】 使用者の静脈還流、及び神経活動を効果的に促すことが可能な装置及び方法の一例を開示する。
【解決手段】 制御部は、第1振動付与器3と第2振動付与器4とを交互に振動させる模擬走行モード制御が実行可能である。当該模擬走行モード制御時においては、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように第1振動付与器3と第2振動付与器4とが交互に振動させられる。なお、第1振動期とは、第1振動付与器3が最大振幅にて振動する時間をいう。第2振動期とは、第2振動付与器4が最大振幅にて振動する時間をいう。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の右半身側に振動を付与するための第1振動付与器と、
使用者の左半身側に振動を付与するための第2振動付与器と、
前記第1振動付与器及び前記第2振動付与器の作動を制御する制御部であって、当該第1振動付与器と当該第2振動付与器とを交互に振動させる模擬走行モード制御を実行することが可能な制御部と
を備える振動刺激装置。
【請求項2】
前記第1振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第1振動期とし、前記第2振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第2振動期としたとき、
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部は、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように前記第1振動付与器と前記第2振動付与器とを交互に振動させる請求項1に記載の振動刺激装置。
【請求項3】
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部が前記第1振動付与器又は前記第2振動付与器を振動させる際の振動波形は、
20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数と、0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数との合成振動波であって、
前記第1周波数の振幅が前記合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が前記合成振動波振幅の70%以下である
請求項1又は2に記載の振動刺激装置。
【請求項4】
使用者の右半身側に振動を付与するための第1振動付与器と、
使用者の左半身側に振動を付与するための第2振動付与器とを用いた振動刺激方法において、
前記第1振動付与器と前記第2振動付与器とを交互に振動させる振動刺激方法。
【請求項5】
前記第1振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第1振動期とし、前記第2振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第2振動期としたとき、
少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように前記第1振動付与器と前記第2振動付与器とを交互に振動させる請求項4に記載の振動刺激方法。
【請求項6】
前記第1振動付与器又は前記第2振動付与器を振動させる際の振動波形を、
20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数と、0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数との合成振動波であって、
前記第1周波数の振幅が前記合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が前記合成振動波振幅の70%以下となるように
する請求項4又は5に記載の振動刺激方法。
【請求項7】
シートクッション、シートバック及びオットマンのうち少なくとも1つを備えるシート本体と、
前記シート本体のうちシート幅方向中央より右側に配置され、着席者に振動を付与する第1振動付与器と、
前記シート本体のうちシート幅方向中央より左側に配置され、着席者に振動を付与する第2振動付与器と、
前記第1振動付与器及び前記第2振動付与器の作動を制御する制御部であって、当該第1振動付与器と当該第2振動付与器とを交互に振動させる模擬走行モード制御を実行することが可能な制御部と
を備えるシート。
【請求項8】
前記第1振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第1振動期とし、前記第2振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第2振動期としたとき、
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部は、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように前記第1振動付与器と前記第2振動付与器とを交互に振動させる請求項7に記載のシート。
【請求項9】
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部が前記第1振動付与器又は前記第2振動付与器を振動させる際の振動波形は、
20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数と、0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数との合成振動波であって、
前記第1周波数の振幅が前記合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が前記合成振動波振幅の70%以下である
請求項7又は8に記載のシート。
【請求項10】
使用者の右半身側に振動を付与するための第1振動付与器と、
前記第1振動付与器を使用者の身体に密着固定するための第1固定具と、
使用者の左半身側に振動を付与するための第2振動付与器と、
前記第2振動付与器を使用者の身体に密着固定するための第2固定具と、
前記第1振動付与器及び前記第2振動付与器の作動を制御する制御部であって、当該第1振動付与器と当該第2振動付与器とを交互に振動させる模擬走行モード制御を実行することが可能な制御部と
を備える振動刺激装置。
【請求項11】
前記第1振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第1振動期とし、前記第2振動付与器が最大振幅にて振動する時間を第2振動期としたとき、
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部は、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように前記第1振動付与器と前記第2振動付与器とを交互に振動させる請求項10に記載の振動刺激装置。
【請求項12】
前記模擬走行モード制御時において、前記制御部が前記第1振動付与器又は前記第2振動付与器を振動させる際の振動波形は、
20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数と、0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数との合成振動波であって、
前記第1周波数の振幅が前記合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が前記合成振動波振幅の70%以下である
請求項10又は11に記載の振動刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の静脈還流(「ミルキングアクション」ともいう。)、及び神経活動(筋や腱の各受容器から感覚ニューロン、介在ニューロンを介した運動ニューロンへの投射)を促すための振動刺激装置等である。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、「足載せ台に左右方向および前後方向に沿った振動を全身に与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-168372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、使用者の静脈還流及び神経活動を効果的に促すことが可能な装置及び方法の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動刺激装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、使用者の右半身側に振動を付与するための第1振動付与器(3)と、使用者の左半身側に振動を付与するための第2振動付与器(4)と、第1振動付与器(3)及び第2振動付与器(4)の作動を制御する制御部(5)であって、当該第1振動付与器(3)と当該第2振動付与器(4)とを交互に振動させる模擬走行モード制御を実行することが可能な制御部(5)とである。
【0006】
これにより、当該振動刺激装置では、ウォーキングやジョギング時の筋活動パターンに類似した刺激を使用者の身体に作用させることが可能となり得るので、使用者の静脈還流及び神経活動を効果的に促すことが可能となり得る。
【0007】
なお、当該振動刺激装置においては、以下の構成であってもよい。
すなわち、第1振動付与器(3)が最大振幅にて振動する時間を第1振動期とし、第2振動付与器(4)が最大振幅にて振動する時間を第2振動期としたとき、前記模擬走行モード制御時において、制御部(5)は、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように第1振動付与器(3)と第2振動付与器(4)とを交互に振動させることが望ましい。
【0008】
さらに、前記模擬走行モード制御時において、制御部(5)が第1振動付与器(3)又は第2振動付与器(4)を振動させる際の振動波形は、(1)20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数と、0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数との合成振動波であって、(2)第1周波数の振幅が合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が合成振動波振幅の70%以下であることが望ましい。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るシートを示す図である。
図2】第1実施形態に係るシートの電気系ブロック図である。
図3】第1実施形態に係る振動付与器の作動を示すタイムチャートである。
図4】第1実施形態に係る振動付与器の駆動波形を示す図である。
図5】A及びBは、第1実施形態に係る振動付与器の駆動波形の説明図である。
図6】A及びBは、第2実施形態に係る振動付与器の装着例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシートや安楽椅子等のシートに本開示に係る振動刺激装置及び振動刺激方法が適用された例である。なお、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示されたシートは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.シートの概要>
本実施形態に係るシート1は、図1に示されるように、シート本体2、第1振動付与器3、第2振動付与器4及び制御部5(図2参照)等を少なくとも備えて構成されている。シート本体2は、シートクッション2A、シートバック2B及びオットマン(図示せず。)のうち少なくとも1つを有する。
【0014】
本実施形態に係るシート本体2は、シートクッション2A及びシートバック2Bを有する。シートクッション2Aは、着席者の脚部等の下半身を支持する。シートバック2Bは、腰や背部等の着席者の上半身を支持する。なお、オットマンは、着席者の脹ら脛等の膝より下側の下半身を支持する。
【0015】
第1振動付与器3は、シート本体2のうちシート幅方向中央より右側に配置され、着席者に振動を付与する。第2振動付与器4は、シート本体2のうちシート幅方向中央より左側に配置され、着席者に振動を付与する。
【0016】
本実施形態では、第1振動付与器3及び第2振動付与器4は、シートクッション2Aに埋設されている。なお、第1振動付与器3及び第2振動付与器4は、電気式アクチュエータ式の振動子にて構成されている。
【0017】
制御部5は、第1振動付与器3及び第2振動付与器4の作動を制御するコントローラである。当該制御部5は、第1振動付与器3と第2振動付与器4とを交互に振動させる模擬走行モード制御が実行可能である。
【0018】
なお、第1駆動回路6Aは、図2に示されるように、制御部5の指令を受けて第1振動付与器3を駆動する。第2駆動回路6Bは、制御部5の指令を受けて第2振動付与器4を駆動する。電源7は、制御部5、第1駆動回路6A及び第2駆動回路6B等に電力を供給する。
【0019】
<2.模擬走行モード制御の詳細>
制御部5は、模擬走行モード制御時においては、図3に示されるように、少なくとも第1振動期と第2振動期とがずれるように第1振動付与器3と第2振動付与器4とを交互に振動させる。なお、第1振動期とは、第1振動付与器3が最大振幅にて振動する時間をいう。第2振動期とは、第2振動付与器4が最大振幅にて振動する時間をいう。
【0020】
そして、制御部5は、模擬走行モード制御時における第1振動付与器3又は第2振動付与器4を振動させる際の振動波形が、図4に示されるような波形となるように、第1振動付与器3及び第2振動付与器4の作動を制御する。
【0021】
当該振動波形とは、「20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数(図5A参照)」と「0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数(図5B参照)」との合成振動波(図4参照)であって、第1周波数の振幅が合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が合成振動波振幅の70%以下となる波形である。
【0022】
<3.本実施形態に係るシート(振動刺激装置及び振動刺激方法)の特徴>
本実施形態に係る制御部5は、第1振動付与器3と第2振動付与器4とを交互に振動させる模擬走行モード制御が実行可能である。
【0023】
これにより、当該シート1、つまり振動刺激装置では、ウォーキングやジョギング時の筋活動パターンに類似した刺激を使用者の身体に作用させることが可能となり得るので(図3参照)、着席者の静脈還流及び神経活動を効果的に促すことが可能となり得る。
【0024】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、シートに本開示に係る振動刺激装置及び振動刺激方法が適用された例であった。これに対して、本実施形態は、図6A及び図6Bに示されるように、第1振動付与器3を使用者の身体に密着固定するための第1固定具6C、及び第2振動付与器4を使用者の身体に密着固定するための第2固定具6Dを備えた振動刺激装置である。
【0025】
本実施形態に係る第1固定具6C及び第2固定具6Dは、面ファスナー等の容易に着脱自在な固定具である。なお、図6A及び図6Bに示された各振動付与器3、4の装着位置は、例示である。
【0026】
なお、加振する筋は、筋腹及び腱部等のいずれの部位であってもよい。つまり、いずれの部位であっても、静脈還流及び神経活動を効果的に促すことが可能となり得るからである。
【0027】
上記の説明は、上述の実施形態との相違点に関する説明である。上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0028】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、シートクッションに第1振動付与器3及び第2振動付与器4が埋設された構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、シートバック及びオットマンのうち少なくとも一方に第1振動付与器3及び第2振動付与器4が埋設された構成であってもよい。
【0029】
上述の実施形態では、第1振動付与器3又は第2振動付与器4を振動させる際の波形は、振動波形とは、「20Hz以上、かつ、110Hz以下の第1周波数(図5A参照)」と「0Hzより大きく、かつ、40Hz以下の第2周波数(図5B参照)」との合成振動波(図4参照)であって、第1周波数の振幅が合成振動波振幅の30%以上であり、かつ、第2周波数の振幅が合成振動波振幅の70%以下となる波形であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0030】
上述の実施形態に係る制御部5は、模擬走行モード制御時においては、第1振動期と第2振動期とがずれるように第1振動付与器3と第2振動付与器4とを交互に振動させた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0031】
上述の実施形態に係る模擬走行モード制御では、第1振動付与器3の振動パターンと第2振動付与器4の振動パターンとが同一であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、第1振動付与器3の振動パターンと第2振動付与器4の振動パターンとが異なる振動パターンであってもよい。なお、振動パターンが異なるとは、例えば、振動を付与する時間、最大振幅及び波形等のうち少なくとも1つが異なることを意味する。
【0032】
上述の実施形態では、第1振動付与器3及び第2振動付与器4それぞれが1つずつ設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、第1振動付与器及び第2振動付与器それぞれが複数設けられた構成であってもよい。
【0033】
なお、当該構成においては、例えば、複数の第1振動付与器のうち、特定の第1振動付与器と他の第1振動付与器の振動開始タイミングがずれ、かつ、複数の第2振動付与器のうち、特定の第2振動付与器と他の第2振動付与器の振動開始タイミングがずれている構成であってもよい。
【0034】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1… シート
2… シート本体
2A… シートクッション
2B… シートバック
3… 第1振動付与器
4… 第2振動付与器
5… 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6