(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019329
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】水中油型組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20250130BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q15/00
A61Q17/04
A61Q19/10
A61K8/63
A61K8/37
A61K8/27
A61K8/891
A61K8/36
A61K8/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024207913
(22)【出願日】2024-11-29
(62)【分割の表示】P 2020176846の分割
【原出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】110004484
【氏名又は名称】弁理士法人岩橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 歩
(72)【発明者】
【氏名】古川 亮
(57)【要約】
【課題】肌への塗布時にきしみを感じることなく、かつ、塗布後にしっとり感を感じることができる水中油型組成物を提供すること。
【解決手段】水中油型組成物は、(A)融点40℃~50℃の半固形油分からなる第1の油性成分と、(B)粒子表面が疎水性である第1の粉末と、(C)液状油性成分を含む第2の油性成分と、(D)水性溶媒と、を含む。成分(A)は、成分(B)1質量部に対して0.04質量部~0.4質量部である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点40℃~50℃の半固形油分からなる第1の油性成分と、
(B)粒子表面が疎水性である第1の粉末と、
(C)液状油性成分を含む第2の油性成分と、
(D)水性溶媒と、を含み、
前記成分(A)は、前記成分(B)1質量部に対して0.04質量部~0.4質量部である、水中油型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水中油型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型組成物は、例えば、日焼け止め化粧料等の皮膚外用剤に利用される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、紫外線吸収剤、及びステロール骨格を有するエステル油を含有する水中油型皮膚化粧料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本開示の観点から与えられる。
【0005】
日焼け止め化粧料には、紫外線散乱剤として粉末を含有しているものがある。このような日焼け止め化粧料においては、紫外線防御効果を高めるために、紫外線散乱剤を多く添加することがある。しかしながら、粉末の含有量の多い水中油型組成物を肌に塗布すると、使用者が、塗布時に、粉末に起因するきしみを感じてしまう。そこで、このようなきしみ感を緩和するために、シリカ等の別の粉末(きしみ改善粉末)をさらに添加することがある。しかしながら、このようなきしみ改善粉末を添加した水中油型組成物を肌に塗布すると、使用者はさらさらした使用感を得ることはできるが、しっとりとした使用感を得ることはできない。
【0006】
そこで、肌への塗布時にきしみを感じることなく、かつ、塗布後にしっとり感を感じることができる水中油型組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1視点によれば、(A)融点40℃~50℃の半固形油分からなる第1の油性成分と、(B)粒子表面が疎水性である第1の粉末と、(C)液状油性成分を含む第2の油性成分と、(D)水性溶媒と、を含む水中油型組成物が提供される。成分(A)は、成分(B)1質量部に対して0.04質量部~0.4質量部である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の水中油型組成物においては、疎水化処理粉末に起因する、肌への塗布時のきしみが抑制されている。これにより、使用者は水中油型組成物を心地よい感触で塗布することができる。また、使用者は、本開示の水中油型組成物を肌に塗布すると、肌にしっとり感を感じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0010】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(B)は組成物の質量に対して2質量%~20質量%である。成分(C)は組成物の質量に対して5質量%~25質量%である。
【0011】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(A)は、パーム由来油分及び脂肪酸エステル油からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0012】
上記第1視点の好ましい形態によれば、パーム由来油分は、パーム油及びパーム核油のうちの少なくとも一方と、水添パーム油との混合物である。
【0013】
上記第1視点の好ましい形態によれば、脂肪酸エステル油は、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びミリスチン酸ミリスチルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(B)は、5nm~50nmの一次粒子の平均粒子径を有する疎水化処理金属酸化物である。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(C)は油溶性紫外線吸収剤を含む。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水中油型組成物は皮膚外用剤に適用される。
【0017】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記で、POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0018】
本開示において「実質量」とは、その化合物の添加による作用効果が生じ得る量をいう。
【0019】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態に係る水中油型組成物について説明する。第1実施形態に係る水中油型組成物は、(A)第1の油性成分と、(B)第1の粉末と、(C)第2の油性成分と、(D)水性溶媒と、を含む。水中油型組成物において、成分(B)の少なくとも一部は、成分(C)の油滴中に内包されていると考えられる。
【0020】
[(A)第1の油性成分]
第1の油性成分は、半固形油分からなる。半固形油分は油相中に存在していると考えられる。半固形油分とは、大気圧下、25℃において、完全に固体化ないし液体化しておらず、液状油分及び固形油分とは区別される油分である。本開示において「固形」とは、大気圧下、25℃で固体を維持可能なものをいう。本開示において「液状」とは、大気圧下、25℃で流動性があるもの(液状であるもの)をいう。成分(A)は、40℃~50℃、好ましくは44℃~50℃、の融点を有する。融点は、例えば、JISK0064-1992に基づいて測定することができる。好ましくは、半固形油分は、カードメーター800g荷重、5.6φ、25℃における硬度が5~100である。
【0021】
半固形油分は、パーム由来油分及び脂肪酸エステル油からなる群から選択される少なくとも1つである。本開示において、パーム由来油分とは、パーム油及びパーム核油からなる群から選択される少なくとも一方と、水添パーム油との混合物であり、融点が44℃~50℃のものである。本開示において、脂肪酸エステル油とは、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びミリスチン酸ミリスチルからなる群から選択される少なくとも1つであり、融点が40℃~50℃のものである。
【0022】
成分(A)は、水中油型組成物の質量に対して、0.8質量%以上であると好ましく、1量%以上であるとより好ましい。成分(A)は、水中油型組成物の質量に対して、1.5質量%以上、又は2質量%以上とすることができる。成分(A)が0.8質量%未満であると、塗布時の伸びが悪くなってしまう。成分(A)は、水中油型組成物の質量に対して、3.5質量%以下であると好ましく、3質量%以下であるとより好ましい。成分(A)は、水中油型組成物の質量に対して、2.5質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。成分(A)が3.5質量%を超えると、肌に塗布した場合にべたつきが強くなってしまう。
【0023】
成分(A)は、後述の成分(B)1質量部に対して、0.04質量部以上であると好ましい。成分(A)は、例えば、(B)1質量部に対して、0.05質量部以上、0.08質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.25質量部以上、又は0.3質量部以上とすることができる。成分(A)が0.04質量部未満であると、塗布時に成分(B)に起因するきしみが生じてしまう。成分(A)は、成分(B)1質量部に対して、0.4質量部以下であると好ましい。成分(A)は、例えば、(B)1質量部に対して、0.38質量部以下、0.35質量部以下、0.3質量部以下、0.25質量部以下、0.2質量部以下、又は0.15質量部以下とすることができる。成分(A)が0.4質量部を超えると、塗布後のしっとり感が失われてしまう。
【0024】
本開示にいう「きしみ」とは、組成物を皮膚に塗布している際に、なめらかさが欠けてくる塗布時の感触をいう。使用者は、皮膚への塗布後からきしみを感じ始め、きしみは経時によってより大きくなりうるものである。粉末に起因するきしみを粉ぎしみという。
【0025】
[(B)第1の粉末]
第1の粉末は、粒子表面が疎水性の粉末である。第1の粉末には、粒子表面を疎水化処理された粉末も含まれ得る。第1の粉末は、水中油型組成物における油滴粒子(内相)中に内包されていると考えられる。疎水化処理の方法は、例えば、粉末をシリコーン樹脂、脂肪酸等で粒子を被覆することが挙げられる。第1の粉末は、例えば、疎水化処理された金属酸化物の粉末とすることができる。金属酸化物は、例えば、紫外線散乱剤として作用する粉末とすることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム等を挙げることができる。
【0026】
第1の粉末は、5nm以上の一次粒子の平均粒子径を有すると好ましい。第1の粉末は、50nm以下の一次粒子の平均粒子径を有すると好ましい。
【0027】
第1の粉末は、25℃における第1の粉末100g当たりの亜麻仁油の吸油量が170ml以下とすることができる。亜麻仁油の吸油量は、JIS K5101-13-2(煮あまに油法)に準拠して測定することができる。
【0028】
成分(B)は、水中油型組成物の質量に対して、2質量%以上であると好ましく、4量%以上であるとより好ましい。成分(B)は、水中油型組成物の質量に対して、6質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、又は12質量%以上とすることができる。成分(B)が紫外線散乱剤である場合、成分(B)が2質量%未満であると、十分な紫外線防御効果を得ることができない。成分(B)は、水中油型組成物の質量に対して、20質量%以下であると好ましい。成分(B)は、水中油型組成物の質量に対して、18質量%以下、16質量%以下、14質量%以下、12質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。成分(B)が20質量%を超えると、肌に塗布したときに粉きしみが生じてしまうおそれがある。
【0029】
[(C)第2の油性成分]
第2の油性成分は液状油性成分を含む。本開示において、第2の油性成分に成分(A)は含まれない。第2の油性成分が油溶性紫外線吸収剤を含む場合、液状油性成分は油溶性紫外線吸収剤と相溶性を有する油性成分であると好ましい。成分(C)は、液状炭化水素油、液状エステル油、液状高級アルコール及び液状シリコーン油からなる群から選択される少なくとも1つを含むと好ましい。
【0030】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリデセン、ミネラルオイル等が挙げられる。
【0031】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0032】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0033】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム、シクロペンタシロキサン等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0034】
成分(C)は、油溶性紫外線吸収剤を含むことができる。
【0035】
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸エチルヘキシル、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート、ホモサレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(オクトクレリン);2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等)等が挙げられる。
【0036】
成分(C)は、水中油型組成物の質量に対して、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は35質量%以上とすることができる。成分(C)は、水中油型組成物の質量に対して、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。
【0037】
[(D)水性溶媒]
【0038】
水性溶媒としては、例えば、水、水溶性アルコール、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0039】
水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0040】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0041】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0042】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール等);グリコリド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0043】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-プシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプツロース等)、八炭糖(例えば、オクツロース等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0044】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオース、ベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0045】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0046】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0047】
成分(D)は、水中油型組成物の質量に対して、20質量%以上、30質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は60質量%以上とすることができる。成分(D)は、水中油型組成物の質量に対して、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下とすることができる。
【0048】
水は、成分(D)の質量に対して、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上とすることができる。水は、成分(D)の質量に対して、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下とすることができる。
【0049】
[(E)第2の粉末]
第1実施形態に係る水中油型組成物は、成分(B)に加えて、第2の粉末を含むことができる。本開示において、第2の粉末は成分(B)に含まれない。第2の粉末は、第1の粉末に起因する粉きしみを抑制する粉末を含むことができる。第2の粉末は、シリカ、コーンスターチ、及びセルロースからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。
【0050】
第2の粉末において、平均粒子径1μm~20μmの樹脂性粉末は、組成物の質量に対して、0.1質量%以下であると好ましく、組成物に実質量含まれない(0質量%)とより好ましい。樹脂性粉末は、樹脂性粉末100g当たりの亜麻仁油の吸油量が170mlを超えるような粉末である。
【0051】
第2の粉末は、以下の粉末を含むことができる。第2の粉末としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、煙霧状シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等);ワックス粉末(例えば、カルナバワックス粉末等);デンプン粉末(例えば、トウモロコシデンプン粉末、コメデンプン粉末等)等を使用することができる。
【0052】
成分(E)は、水中油型組成物の質量に対して、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上とすることができる。成分(E)は、水中油型組成物の質量に対して、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。
【0053】
[(F)界面活性剤]
第1実施形態に係る水中油型組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤は、油性成分を乳化できるものであれば限定されない。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、親水性非イオン性界面活性剤、及び親油性非イオン性界面活性剤を挙げることができる。水中油型組成物を肌に塗布後に洗い流さない場合、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であると好ましい。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸Na等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンNa、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0055】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0057】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック(登録商標)型(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0058】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0059】
界面活性剤は、例えば、水中油型組成物の質量に対して、0.2質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。界面活性剤は、例えば、水中油型組成物の質量に対して、5質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。
【0060】
[(G)その他]
本開示の水中油型組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、上記以外の油性成分、増粘剤、保湿剤、皮膜剤、水溶性紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0061】
ワックスとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ラウリン酸ヘキシル、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEコレステロールエーテル、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。
【0062】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0063】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0064】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0065】
天然の水溶性ポリマーとしては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等)等が挙げられる。
【0066】
半合成の水溶性ポリマーとしては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0067】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸、タウレート系合成高分子、アクリレート系合成高分子等が挙げられる。
【0068】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0069】
皮膜剤としては、例えば、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0070】
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩等)、ベンジリデンショウノウ系紫外線吸収剤(ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸等)、フェニルベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等)等が挙げられる。
【0071】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0072】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0073】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0074】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0075】
pH緩衝剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0076】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0077】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0078】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0079】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0080】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、グルコキシルヘスペリジンも適宜含有することができる。
【0081】
[製造方法]
本開示の水中油型組成物の製造方法について説明する。本開示の水中油型組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、当該製造方法は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を混合して油相を作製する工程と、界面活性剤を用いて油相を成分(D)中で乳化させる工程と、を含むことができる。
【0082】
本開示の水中油型組成物において、相構造、乳化形態等が、組成によって直接特定することが困難であるか、又はおよそ実際的ではない場合がある。このような場合には、本開示の水中油型組成物は、その製造方法によって特定することが許されるべきものである。
【0083】
本開示の水中油型組成物においては、水中油型組成物を肌に塗布する際に、疎水性粉末に起因して生ずるきしみが抑制されている。例えば、本開示の水中油型組成物においては、疎水性粉末の吸油性が低い場合であっても、吸油性の高い粉末を添加することなく、油相中の半固形油分の作用により疎水性粉末の肌上での凝集を抑制している。これにより、塗布時のきしみの発生を抑制し、使用者は心地よい塗布感を得ることができる。また、本開示の水中油型組成物においては、きしみを抑制する粉末を添加する必要がないので、肌への塗布後、使用者は半固形油分によるしっとり感を得ることができる。
【0084】
本開示の水中油型組成物は、例えば、皮膚外用剤に適用することができる。本開示の水中油型組成物は、例えば、下地化粧料、上地化粧料、メイクアップ化粧料、制汗剤、防臭剤、日焼け止め化粧料、スキンケア剤、洗浄料等に適用することができる。
【実施例0085】
本開示の水中油型組成物について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の水中油型組成物は以下の例に限定されるものではない。各表に示す各成分の含有率の単位は質量%である。
【0086】
[試験例1~15]
水中油型組成物である以下に示す皮膚外用剤組成物(日焼け止め化粧料)を作製し、肌への塗布時の粉ぎしみのよさ、及び肌への塗布後のしっとり感について評価した。各試験項目の評価方法及び評価基準を以下に示す。表1~表4に、各皮膚外用剤組成物の組成及び評価を示す。
【0087】
[塗布時におけるきしみのなさ]
専門パネル10名が試料を腕に塗布したときに粉ぎしみを感じたかについて評価した。評価人数によって各評価項目を評価付けした。
A:塗布時に粉ぎしみを感じたパネルは3名以下であった;
B:塗布時に粉ぎしみを感じたパネルは4~6名であった;
C:塗布時に粉ぎしみを感じたパネルは7名以上であった。
【0088】
[塗布後におけるしっとり感]
専門パネル10名が試料を腕に塗布した後にしっとり感を感じたかについて評価した。評価人数によって各評価項目を評価付けした。
A:塗布後にしっとり感を感じたパネルは7名以上であった;
B:塗布後にしっとり感を感じたパネルは4~6名であった;
C:塗布後にしっとり感を感じたパネルは3名以下であった。
【0089】
[試験例1~9]
試験例1~9においては、半固形油分の種類を変えて試験を行った。融点40~50℃の半固形油分を含む試験例1~4においては、吸油性の低い疎水化処理酸化亜鉛を用いた場合であっても良好な評価が得られた。特に、融点44℃~50℃のパーム由来油分を用いた試験例1及び2においてしっとり感をさらに高めることができた。一方、半固形油分の代わりに、融点の高い油分を添加した試験例5、及び液体多価アルコールを添加した試験例6及び7においては、成分(A)に相当する油分を添加していない試験例8及び9と同様に高い評価は得られなかった。
【0090】
【0091】
【0092】
[試験例10~11]
試験例10及び11においては、疎水化処理粉末の代わりに、シリカで被覆した親水化処理酸化チタンを使用した。試験例1及び2と比較して試験例10及び11の評価は低くなった。試験例10及び11においては、親水化処理粉末は、水相(外装)に分散していたため半固形油分による作用が得られず、水中油型組成物が肌に塗布され、水相中の揮発成分が揮発すると凝集し、これにより使用感が低下したものと考えられる。一方、試験例1及び2においては、疎水化処理粉末は、油相(内相)に分散しているため、半固形油分が疎水化処理粉末の凝集を抑制することによって塗布時の粉ぎしみを低減することができたと考えられる。また、塗布された半固形油分が、体温で軟化することによって、半固形油分がゆっくりと伸び広がり、使用者はしっとり感を得ることができたと考えられる。
【0093】
【0094】
[試験例12~15]
試験例12~15においては、半固形油分及び疎水化処理粉末の含有率を変化させた。試験例13及び14においては、試験例1と同様の良好な評価が得られた。一方、半固形油分の含有率が低い試験例12においては、粉ぎしみがあると評価された。これより、半固形油分は、水中油型組成物の質量に対して、0.8質量%以上が好ましいと考えられる。また、半固形油分の含有率が高い試験例15においては、しっとり感の評価が低くなった。これより、半固形油分は、水中油型組成物の質量に対して、3.5質量%以下が好ましいと考えられる。
【0095】
【0096】
本発明の水中油型組成物は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0097】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0098】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0099】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。各付記は、特許請求の範囲に記載の各請求項と組み合わせることもできる。
[付記1]
本開示の水中油型組成物を皮膚外用剤として使用する、水中油型組成物の使用方法。
[付記2]
本開示の水中油型組成物を日焼け止め化粧料として使用する、水中油型組成物の使用方法。
本開示の水中油型組成物は、例えば、肌に適用する化粧料、洗浄料等に適用することができる。例えば、本開示の水中油型組成物は、下地化粧料、上地化粧料、メイクアップ化粧料、制汗剤、防臭剤、日焼け止め化粧料、スキンケア剤、洗浄料等に適用することができる。