(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019375
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】無人飛行機用の荷物受取ボックス及び荷物受取システム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20250131BHJP
B64F 1/32 20060101ALI20250131BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20250131BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20250131BHJP
B64U 101/67 20230101ALN20250131BHJP
B64U 101/66 20230101ALN20250131BHJP
【FI】
A47G29/122 D
B64F1/32
B64U10/13
A47G29/12 D
A47G29/12 Z
B64U101:67
B64U101:66
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122954
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】岩原 利夫
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晴久
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA01
3K100CA31
3K100CC05
3K100CC10
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】無人飛行機から降ろされるワイヤー先端のフックに掛けられた荷物を自動で受け取ることができ、受け取った荷物が雨風に晒されるのを抑制できる無人飛行機用の荷物受取ボックスを提供する。
【解決手段】荷物受取ボックスとしての宅配ボックス2は本体3と荷受け部20とダンパーとを備える。本体3は、上方に開いた開口部5と、開口部5から水平方向にずれた位置かつ下方位置に荷物取出口11とを形成する。荷受け部20は、本体3内の、上方に開口部5を臨む入口側空間6に設けられる。荷受け部20は、荷物200の重力に基づいて、荷物200を、本体3内の出口側空間10に移動させるよう傾斜する。出口側空間10は上方及び側方が覆われる。ダンパーは、荷受け部20の傾斜動作の速度を遅くする。ワイヤー44の先端のフックは、荷受け部20がダンパーによる減衰作用を受けながら傾斜する時に、荷物200から外れるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行機が運ぶ荷物を受けて、前記荷物の重力に基づいて、前記荷物を斜め方向に移動させるよう傾斜する荷受け部と、
前記荷受け部から移動する前記荷物を受け入れる、上方が覆われた空間を形成するとともに、前記荷物の取出口を形成する本体と、
前記荷受け部の傾斜動作の速度を遅くする減衰装置と、
を備える無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項2】
前記空間を出口側空間として、
前記本体は、上方に開いた開口部を有し、前記開口部を通して、前記無人飛行機から降ろされるワイヤーに保持された状態の前記荷物を受け入れる入口側空間を形成し、
前記入口側空間と前記出口側空間とは導通しており、
前記荷受け部は前記入口側空間に設けられる請求項1に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項3】
前記荷受け部を傾斜前の状態に復帰させる復帰力付与部を備える請求項1に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項4】
前記取出口の手前に前記荷物を留まらせるストッパ部を備える請求項1に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項5】
前記開口部の上方に設けられて、前記ワイヤーを、水平方向から受け入れつつ前記開口部に案内するワイヤー案内部を備える請求項2に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項6】
前記荷受け部及び前記本体の底面部は、雨水を裏面側に通す貫通部を含む請求項1に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項7】
前記荷受け部と前記本体の底面部の少なくとも一方に設けられ、前記荷物を前記取出口の方に移動させる回転体を備える請求項1に記載の無人飛行機用の荷物受取ボックス。
【請求項8】
荷物を運ぶ無人飛行機と、
荷物受取ボックスとを備え、
前記荷物受取ボックスは、
前記無人飛行機からの前記荷物を受けて、前記荷物の重力に基づいて、前記荷物を斜め方向に移動させるよう傾斜する荷受け部と、
前記荷受け部から移動する前記荷物を受け入れる、上方が覆われた空間を形成するとともに、前記荷物の取出口を形成する本体と、
前記荷受け部の傾斜動作の速度を遅くする減衰装置とを備え、
前記無人飛行機は、前記荷受け部の上方で、前記荷物を掛けたフックを先端に有したワイヤーを降ろし、
前記フックは、前記荷物が前記荷受け部に載せられて、前記荷受け部が前記減衰装置による減衰作用を受けながら傾斜する時に、前記荷物から外れるように構成される、
荷物受取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行機が運ぶ荷物を受け取る荷物受取ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、構造物のバルコニーやベランダ等に設けられて、飛行体が運ぶ荷物の受け取りを行う荷受け部と、荷受け部を上下方向(Z方向)の軸回りに回動させる回動部とを備えたポートが開示されている。また、特許文献1には、ポートに、飛行体から降ろされる、荷物を保持したワイヤー(紐状部材)を掴み保持する保持機構と、保持機構より上方のワイヤーを切断する切断機構とが備えられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人飛行機から降ろされるワイヤーの先端にフックを設け、そのフックに荷物を掛けることを考えた場合、特許文献1には、フックに掛けられた荷物を自動で受け取ることは記載されていない。
【0005】
そこで、本開示は、無人飛行機から降ろされるワイヤー先端のフックに掛けられた荷物を自動で受け取ることができ、受け取った荷物が雨風に晒されるのを抑制できる無人飛行機用の荷物受取ボックス及び荷物受取システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の無人飛行機用の荷物受取ボックスは、
無人飛行機が運ぶ荷物を受けて、前記荷物の重力に基づいて、前記荷物を斜め方向に移動させるよう傾斜する荷受け部と、
前記荷受け部から移動する前記荷物を受け入れる、上方が覆われた空間を形成するとともに、前記荷物の取出口を形成する本体と、
前記荷受け部の傾斜動作の速度を遅くする減衰装置と、
を備える。
【0007】
本開示の荷物受取ボックスによれば、荷受け部は、無人飛行機からの荷物が載せられるに伴い傾斜動作する。減衰装置により、荷受け部の傾斜動作の速度が抑えられるので、荷受け部の動作速度よりも、ワイヤー下降に伴うフックの下降速度のほうが大きくなる。これにより、荷受け部の傾斜動作時にフックから荷物を外すことができる。フックから外れた荷物は、荷受け部の傾斜動作に伴い、荷受け部から、上方が覆われた本体内の空間に移動する。これにより、荷物が雨風に晒されるのを抑制できる。
【0008】
前記空間を出口側空間として、
前記本体は、上方に開いた開口部を有し、前記開口部を通して、前記無人飛行機から降ろされるワイヤーに保持された状態の前記荷物を受け入れる入口側空間を形成し、
前記入口側空間と前記出口側空間とは導通しており、
前記荷受け部は前記入口側空間に設けられるとしてよい。
【0009】
これによれば、荷受け部は、本体の入口側空間(開口部内)に設けられるので、ワイヤー及びそれに保持された荷物を開口部内に入れることで、荷物を荷受け部に載せやすくできる。
【0010】
本開示の荷物受取ボックスは、前記荷受け部を傾斜前の状態に復帰させる復帰力付与部を備えてよい。これによれば、荷受け部が傾斜して荷物が荷受け部から移動した後に、荷受け部を自動で傾斜前の状態に復帰させることができる。これによって、別の荷物の受け取りも可能となる。
【0011】
本開示の荷物受取ボックスは、前記取出口の手前に前記荷物を留まらせるストッパ部を備えてよい。これによれば、荷物が取出口から意図せずに出てしまうのを抑制でき、荷物を本体内に保管できる。
【0012】
本開示の荷物受取ボックスは、前記開口部の上方に設けられて、前記ワイヤーを、水平方向から受け入れつつ前記開口部に案内するワイヤー案内部を備えてよい。これによれば、ワイヤー及びそれに保持される荷物を開口部内に入れやすくできる。
【0013】
前記荷受け部及び前記本体の底面部は、雨水を裏面側に通す貫通部を含むとしてよい。これによれば、荷受け部や本体内に雨水が溜まってしまうのを抑制できる。
【0014】
本開示の荷物受取ボックスは、前記荷受け部と前記本体の底面部の少なくとも一方に設けられ、前記荷物を前記取出口の方に移動させる回転体を備えてよい。これによれば、荷物を取出口の方に移動させることができるので、取出口から荷物を取り出しやすくできる。
【0015】
本開示の荷物受取システムは、荷物を運ぶ無人飛行機と、
荷物受取ボックスとを備え、
前記荷物受取ボックスは、
前記無人飛行機からの前記荷物を受けて、前記荷物の重力に基づいて、前記荷物を斜め方向に移動させるよう傾斜する荷受け部と、
前記荷受け部から移動する前記荷物を受け入れる、上方が覆われた空間を形成するとともに、前記荷物の取出口を形成する本体と、
前記荷受け部の傾斜動作の速度を遅くする減衰装置とを備え、
前記無人飛行機は、前記荷受け部の上方で、前記荷物を掛けたフックを先端に有したワイヤーを降ろし、
前記フックは、前記荷物が前記荷受け部に載せられて、前記荷受け部が前記減衰装置による減衰作用を受けながら傾斜する時に、前記荷物から外れるように構成される。
【0016】
これによれば、上記荷物受取ボックスの作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】荷物受取システムの一部を構成する宅配ボックス、及びそれが取り付けられる建造物の側面断面図である。
【
図2】荷受け部及び重り部材の平面図を示すとともに、荷受け部の回転軸に設けられるダンパー及びスプリングを示す図である。
【
図3】宅配ボックスの開口部及びワイヤー案内部の平面図である。
【
図5】フック及びそれに掛けられる荷物の正面図である。
【
図6】フック及びそれに掛けられる荷物の側面断面図である。
【
図7】無人飛行機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】荷物からフックが外れた状態の断面図である。
【
図10】変形例に係るワイヤー案内部の側面図である。
【
図11】変形例に係るワイヤー案内部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態の荷物受取システム1の宅配ボックス2の構成を示している。荷物受取システム1は、宅配ボックス2と、無人飛行機40(ドローンともいう)(
図4参照)とを備える。
【0019】
(宅配ボックスの構成)
宅配ボックス2は、無人飛行機40が運ぶ荷物200を受け取って保管する、無人飛行機用の荷物受取ボックスである。宅配ボックス2(後述の本体3)は、後述の固定部27によって、例えば建造物100の庇部102の下面に取り付けられて、庇部102の下方空間(つまり、軒下)に吊り下がるように設けられる。建造物100は例えば戸建て住宅であるが、集合住宅又は事業所でもよい。庇部102は、建造物100の窓103の上方において、窓103が設けられる外壁104よりも外側に出っ張る形状に形成される。庇部102は、建造物100の屋根101の一部を構成する軒である。
【0020】
なお、宅配ボックス2は、建造物100の、庇部102以外の部分(例えば外壁104)に取り付けられてもよい。また、軒102とは別に、窓103の上に庇部が取り付けられている場合には、その庇部に宅配ボックス2が取り付けられてもよい。また、集合住宅の場合には、ベランダの天井部(1つ上の階のベランダの床部)を庇部として、その天井部に宅配ボックス2が取り付けられてもよい。
【0021】
宅配ボックス2は、本体3と、扉部12と、荷受け部20と、ダンパー22(
図2参照)と、スプリング23(
図2参照)と、重り部材24と、搬送部25、26と、固定部27と、ワイヤー案内部30とを備える。なお、
図1では、本体3を断面で図示するとともに、宅配ボックス2(本体3)に荷物200を受け取る様子を示している。
【0022】
(本体の構成)
本体3は、上方に開いた開口部5と、その開口部5から水平方向にずれた位置かつ開口部5よりも下方位置に荷物取出口11とを形成する箱型形状に形成される。開口部5は、荷物200を受け入れる入口である。開口部5は例えば軒102よりも外側に位置する。開口部5は、平面視で例えば直角四角形状に形成されるが(
図3参照)、他の形状(例えば円形)に形成されてもよい。
【0023】
取出口11は、庇部102の下方空間(軒下空間)における、窓103に対峙した位置に設けられる。取出口11(換言すれば、後述の扉部12)と窓103との間隔は、例えば窓103が閉められた状態で、荷物200を取出口11から取り出そうとしたときに、荷物200が窓103に干渉して、荷物200を取り出すことができない間隔に設定されている。その間隔は例えば0cmより大きく、かつ、30cm以下としてよい。なお、窓103は、建造物100の高層階(2階以上の階)(例えば最上階)の窓としてよいし、1階の窓でもよい。
【0024】
本体3内には、開口部5から取出口11へと荷物200を案内する荷物受入空間6、10が形成されている。詳しくは、本体3は、荷物受入部4と荷物保管部9とを有する。荷物受入部4は、その内側に、無人飛行機40のワイヤー44に吊るされた状態の荷物200を、開口部5を介して受け入れる入口側空間6を形成する。入口側空間6は、本体3内の空間のうち、開口部5に対面した空間である。入口側空間6は、荷受け部20に載った荷物200の全体が入口側空間6内に収まる大きさに形成されている。
【0025】
荷物受入部4(入口側空間6)は、入口側空間6の側方の全周を取り囲む側面部7と、底面部8とを有する。側面部7のうち、荷物保管部9の反対側に位置する壁面7aは、下方に向かうにしたがって徐々に荷物保管部9寄りに変位する傾斜面に形成される。これにより、入口側空間6は、下方に向かうにしたがって徐々に水平方向の幅が小さくなる。傾斜面7aは、後述の重り部材24が、荷受け部20の傾斜動作の方向P(
図1参照)の反対方向に倒れないようにするストッパ部として機能する。
【0026】
荷物受入部4の底面部8は、荷物保管部9内の空間10の方に向かうにしたがって徐々に下方に変位する傾斜状に形成される。底面部8の、水平面に対する傾斜角は、荷物保管部9の底面部14の、水平面に対する傾斜角と同じ角度に設定されてよい。底面部8は、荷受け部20の傾斜動作を止めるストッパ部として機能する。また、底面部8は、荷受け部20の傾斜動作に伴い荷受け部20から移動する荷物200を荷物保管部9内の空間10に案内する案内面として機能する。
【0027】
また、底面部8は、底面部8の、空間6側の面(内面)と、その反対側の面(外面)との間を貫通する貫通部8aが形成されてよい。貫通部8aは複数箇所に形成されてよい。これによれば、開口部5から空間6に雨水が浸入したとしても、その雨水を、貫通部8aを通して外側に出すことができ、雨水が荷物保管部9の空間10に流れてしまうのを抑制できる。底面部8は、例えば貫通部8aが縦横に多数配列されたメッシュ状に形成されてよい。
【0028】
荷物保管部9は、その内側に、荷受け部20から移動する荷物200を受け入れて保管する出口側空間10(荷物保管空間)を形成するとともに、出口側空間10の開口である取出口11を形成する。出口側空間10は入口側空間6と導通している。入口側空間6と出口側空間10とで、開口部5から取出口11へと荷物200を案内する荷物案内空間を構成している。出口側空間10は、入口側空間6から向きを変更して、窓103に接近する方向に延びる。また、出口側空間10は、入口側空間6から、水平方向及び鉛直方向に対して角度を有した方向(つまり、斜め方向)に延びる。出口側空間10は、本体3内の空間のうち、開口部5に対面していない空間(上方が覆われた空間)である。
【0029】
出口側空間10は上方、下方及び側方を壁で覆われる。すなわち、荷物保管部9は、空間10の上方を覆う上面部13と、空間10の下方を覆う底面部14と、空間10の側方を覆う側面部(図示外)とを有する。底面部14は、取出口11の方に向かうにしたがって徐々に下方に変位する傾斜状に形成される。底面部14は、後述の回転体26と共に、荷受け部20からの荷物200を取出口11の方に搬送する搬送部として機能する。本体3の底面部8、14の、水平面に対する傾斜角は例えば5°以上45°以下である。5°以上にすることで、荷物200を取出口11の方に移動させやすくできる。45°以下にすることで、荷物200が移動する際に、荷物200に勢いがつきすぎるのを抑制でき、荷物200の損傷を抑制できる。
【0030】
なお、
図1の例では、底面部8、14の全範囲が傾斜状に形成されているが、一部が傾斜状に形成され、残部(例えば、取出口11直前の部分)は水平面に形成されてもよい。また、
図1の例では、底面部8、14は、傾斜状の平面に形成されているが、曲面に形成されてもよい。
【0031】
荷物保管部10の底面部14には、荷物受入部4の底面部8と同様に、雨水を裏面(外面)側に通す貫通部14aが形成されてよい。貫通部14aは複数箇所に形成されてよい。また、底面部14は、例えば貫通部14aが縦横に多数配列されたメッシュ状に形成されてよい。なお、底面部14には、搬送部としての回転体26を設けるための溝が形成されるが、その溝を裏面側に貫通する貫通状に形成することで、溝とそれに嵌る回転体26との隙間部を、雨水を通すための貫通部14aとしてもよい。
【0032】
出口側空間10は例えば複数の荷物200を同時に保管可能な長さに形成されてよい。この場合、出口側空間10の荷物200の配列方向(荷物200の移動方向)における幅Lは荷物200の2個分以上に設定されてよく、例えば80cm以上に設定されてよい。
【0033】
(扉部の構成)
扉部12は、取出口11を開閉させる開閉部である。扉部12は窓103に対峙するように設けられる。扉部12は、例えば回動扉であり、窓103が閉じた状態で開こうとすると、窓103に干渉して開くことができない形態に設けられる。扉部12は、荷受け部20から移動する荷物200が取出口11から出ないように止める荷物ストッパ部として機能する。荷物200の盗難防止のために、扉部12に鍵が設けられてもよい。取出口11及び扉部12と窓103との間隔が狭い場合(窓103が閉じた状態では荷物200を取り出すことができない場合)には、扉部12に鍵が設けられなくてよい。
【0034】
(荷受け部の構成)
荷受け部20は、入口側空間6において上方に開口部5を臨む位置に設けられる。荷受け部20は、無人飛行機40が運ぶ荷物200を載せる部分であり、言い換えれば、無人飛行機40から吊るされた荷物200の下面を受ける部分である。荷受け部20は、例えば板状に形成されて、荷受け部20の表面が開口部5に対面するように設けられる。荷受け部20に荷物200が載っていないとき(荷受け部20が水平状態のとき)の、荷受け部20の表面(荷受け面)と開口部5との距離は、例えば荷物200の高さより大きく、具体的には例えば30cm以上である。
【0035】
荷受け部20は、水平方向に向いた回転軸21回りに回転可能に設けられる。ただし、荷受け部20は無制限に回転できるわけではなく、荷物受入部4の底面部8、傾斜状の側面部7a及び後述の重り部材24によって、回転範囲が限定されている。回転軸21は、
図1の紙面に直交する方向を向いている。回転軸21は本体3に支持される。
【0036】
荷受け部20に荷物200が載っていない状態では、荷受け部20の表面は水平に保持される。また、荷受け部20は、荷物200が載せられたときに、荷物200の重力に基づいて回転軸21回りに回転して、荷物200を出口側空間10(取出口11)の方に移動させるよう傾斜する。荷受け部20の動作(傾斜動作及び復帰動作)は、荷物200の重力、ダンパー22(
図2参照)、スプリング23(
図2参照)、及び重り部材24により制御され、モータ等の電動部材、エンジン、空圧、油圧部材等は設けられない。
【0037】
荷受け部20には、その表面と裏面との間を貫通する貫通部20aが形成されてよい。貫通部20aは複数箇所に形成されてよい。これによれば、雨水を、貫通部20aを通して、荷受け部20の裏面側に出すことができ、雨水が荷受け部20の表面に溜まってしまうのを抑制できる。荷受け部20は、例えば貫通部20aが縦横に多数配列されたメッシュ状に形成されてよい。なお、荷受け部20には、搬送部としての回転体25を設けるための溝が形成されるが、その溝を裏面側に貫通する貫通状に形成することで、溝とそれに嵌る回転体25との隙間部を、雨水を通すための貫通部20aとしてもよい。
【0038】
(ダンパーの構成)
減衰装置としてのダンパー22(
図2参照)は、荷受け部20の傾斜動作及び復帰動作の速度を遅くする部材である。ダンパー22は、荷受け部20の動作方向と反対方向に抵抗を付与する抵抗付与部である。ダンパー22は、例えば荷受け部20の動作に伴い、オイル等の粘性物質による粘性抵抗を荷受け部20に付与する。ダンパー22は、例えば、回転軸21に設けられて、回転軸21回りの方向に抵抗を付与するロータリーダンパーとしてよい。この場合、ダンパー22は回転軸21の一部を構成する。
【0039】
なお、ロータリーダンパー22に代えて又は加えて、他の方式のダンパー、例えば直線方向に可動する伸縮式ダンパーを荷受け部20に作用させてもよい。この場合、伸縮式ダンパーは、荷受け部20の裏面と底面部8との間、又は荷受け部20の表面側に設けられてよい。
【0040】
(スプリングの構成)
スプリング23(
図2参照)は、荷受け部20を、荷受け部20の傾斜回転方向P(
図1参照)とは反対方向に付勢する弾性部材である。すなわち、スプリング23は、荷受け部20の傾斜動作後に、荷受け部20を元の水平状態に復帰させる力を、荷受け部20に付与する復帰力付与部である。また、スプリング23は、後述の重り部材24と共に、荷受け部20を水平状態に保持させる力を荷受け部20に付与する保持力付与部である。
【0041】
スプリング23は、例えば回転軸21に設けられる、ねじりばねである。スプリング23は、回転軸21におけるダンパー22が設けられる側の反対側に設けられてもよいし(
図2の例)、ダンパー22と同じ側に設けられてもよい。また、スプリング23はダンパー22と一体構造でもよい。
【0042】
スプリング23は、例えば、仮に重り部材24を取り外した場合に、荷受け部20に荷物200が載っていない状態で、荷受け部20を水平状態に保持できない程度に弱いバネ定数(スプリング力)を有してよい。
【0043】
(重り部材の構成)
重り部材24は、荷受け部20と共通の回転軸21を有し、荷受け部20の動作に連動して、荷受け部20との位置関係を保持しながら、回転軸21回りに回転動作するように設けられる。すなわち、重り部材24と荷受け部20との成す角度は、回転前、回転中、回転度に亘って一定に保持される。なお、その角度は90°より大きく、かつ180°より小さい角度である。
【0044】
重り部材24は、荷受け部20を水平状態に保持させる力を、荷受け部20に付与する保持力付与部である。また、重り部材24は、スプリング23と共に、荷受け部20の傾斜動作後に、荷受け部20を元の水平状態に復帰させる力を、荷受け部20に付与する復帰力付与部である。別の言い方をすれば、重り部材24は、回転軸21回りの、荷受け部20の傾斜動作方向Pとは反対方向へのモーメントを回転軸21に付与するモーメント付与部である。
【0045】
重り部材24の重さ、言い換えれば、重り部材24により回転軸21に作用するモーメントは、例えば、スプリング23が仮に無い場合に、荷受け部20に荷物200を載せていない状態で、荷受け部20を水平状態に保持できない程度の重さ(モーメント)に定められてよい。このように、荷受け部20は、重り部材24とスプリング23との協働で水平状態に保持され、重り部材24とスプリング23の一方が欠けた場合には、荷受け部20の水平状態を保持できないように重り部材24の重さ及びスプリング23のスプリング力が定められてよい。
【0046】
また、重り部材24の重さは、荷受け部20が傾斜動作後に元の水平位置に復帰する動作時を除いて、本体3の傾斜状の側面部7aを傾斜回転方向Pの反対方向に押圧しないように定められてよい。この場合には、重り部材24及びスプリング23に基づく傾斜回転方向Pの反対方向へのモーメントと、荷受け部20の自重による傾斜回転方向Pへのモーメントとが釣り合っていることになる。この場合、傾斜状の側面部7aを仮に取り除いたとしても、荷受け部20に荷物200を載せていない状態で、荷受け部20は水平状態に保持される。なお、重り部材24の重さは、側面部7aを傾斜回転方向Pの反対方向に押圧するように定められてもよい。
【0047】
図1の側面視で見て、回転軸21に交差する、上下方向(鉛直方向)に延びた仮想線L0を境に2つの領域に分けたときに、重り部材24は、荷受け部20が設けられる領域の反対側の領域に設けられる。より具体的には、重り部材24は例えば板状であり、荷受け部20に荷物200が載せられていない状態で、荷受け部20の傾斜回転方向Pとは反対方向に傾いた状態に設けられる。重り部材24は、荷受け部20の水平位置への復帰動作時に、傾斜状の側面部7aに接触することで、過度に傾斜回転方向Pの反対方向に傾くのを阻止される。
【0048】
重り部材24は、荷受け部20の傾斜動作に伴い回転動作しても、
図1の仮想線L0を超えないとしてよい。すなわち、重り部材24は、荷受け部20の傾斜動作に伴い、仮想線L0に重なる位置まで(つまり鉛直方向に起立するように)回転動作し、又は仮想線L0よりも、荷受け部20が設けられる反対側の領域内で回転動作してよい。このように、重り部材24が、回転後も前傾姿勢(荷受け部20側に傾いた姿勢)にならないことで、荷受け部20を元の水平位置に復帰させやすくできる。
【0049】
(搬送部の構成)
搬送部25、26は、荷受け部20に設けられる第1搬送部25と、本体3の底面部8、14に設けられる第2搬送部26とを含む。これら搬送部25、26は、
図1の紙面に直交する方向に向いた軸線の回りに回転自在に設けられる回転体(言い換えれば、ころ、ローラ)である。
【0050】
第1回転体25は、荷受け部20の傾斜動作に伴い、荷物200を出口側空間10の方に移動させるように設けられる。第1回転体25は、荷物200の移動方向に沿って複数設けられてよい。第2回転体26は、荷受け部20からの荷物200を取出口11の方に移動させるように設けられる。第2回転体26は、出口側空間10の底面部14において、荷物200の移動方向に沿って複数設けられてよい。なお、回転体25、26は非電動部材であり、荷物200との摩擦力に基づいて回転する。すなわち、回転体25、26を回転駆動する電動部材(モータ等)は設けられない。
【0051】
なお、荷受け部10や底面部8、14を低摩擦力(例えば、静止摩擦係数及び動摩擦係数が0.2以下)の部材で構成する場合には、回転体25、26は設けられなくてもよい。
【0052】
(固定部の構成)
固定部27は、宅配ボックス2を建造物100に固定するための部材である。固定部27は複数設けられてよい。固定部27は、建造物100に取り付けられる取付部28と、取付部28と本体3とを接続する接続部29とを含む。取付部28は例えば庇部102の裏面にボルト等で取り付けられる。接続部29は、取付部28から下方に延びる形状(例えば棒状)に形成される。接続部29の一端が取付部28に固定され、他端が例えば本体3の上面部13に固定される。
【0053】
(ワイヤー案内部の構成)
ワイヤー案内部30は、開口部5の上方に設けられて、無人飛行機40から降ろされるワイヤー44及びそれに保持された荷物200を、開口部5の中央側に案内するための部分である。言い換えれば、ワイヤー案内部30は、開口部5の上方で、ワイヤー44及び荷物200が風で水平方向に振られるのを抑制するワイヤー振れ抑制部である。ワイヤー案内部30は、開口部5の上方において、ワイヤー44が水平方向に移動するに伴い開口部5の中央側にワイヤー44を案内する案内本体部31と、案内本体部31を支持する支持部32とを有する。
【0054】
図3に示すように、案内本体部31は、平面視でV字状に形成されたV字状部(V字ガイド)である。案内本体部31は、
図3の平面視で見て、線対称な形状に形成される。詳しくは、案内本体部としてのV字状部31は、それぞれ直線状に延びた一対の線状部31a、31bを有する。これら線状部31a、31bは、平面視で見て水平方向に延びた線対称軸線L1に関して対称な形状に形成されている。線状部31a、31bの一端31c、31dは自由端となっており、他端31eは線状部31a、31b同士の共通の端部を構成している。この共通端31eが支持部32に接続されている。線状部31a、31bは、中実棒状部材又は中空棒状部材(パイプ部材)から構成される。
【0055】
開口部5の中心Oを通る水平方向に延びた仮想線L2(
図3参照)を開口中心線としたとき、
図3の平面視で見て、案内本体部31の線対称軸線L1は開口中心線L2に一致する。線状部31a、31bの一端31c、31dから他端31eへと向かう方向をワイヤー案内方向としたとき、案内本体部31は、ワイヤー案内方向に進むにしたがって徐々に開口中心線L2に接近する。
【0056】
一対の線状部31a、31b間には、ワイヤー44を水平方向から受け入れるワイヤー受入領域が形成される。ワイヤー受入領域は、外周の一部(線状部31a、31bの端部31c、31d間)が開き、残部が線状部31a、31bにより閉じた領域である。
【0057】
線状部31a、31b(ワイヤー受入領域)は、
図3の平面視で見て、開口部5内の領域に重なる。詳しくは、線状部31a、31bの共通端31eが、開口中心線L2上に位置し、自由端31c、31dが開口部5の外側に位置する。自由端31c、31dは、平面視で見て、開口中心線L2又は線対称軸線L1が延びた方向Xにおける開口部5よりも外側に位置し、かつ、その方向Xに直角な方向Yにおける開口部5よりも外側に位置する。なお、共通端31eは、平面視で見て、開口部5の縁部付近に位置しているが、開口部5の内側に位置してもよい。自由端31c、31d間の幅(ワイヤー受入領域の入口の幅)は、開口部5の方向Yにおける幅よりも大きい。線状部31a、31b間の方向Yにおける間隔(ワイヤ受入領域の方向Yにおける幅)は、ワイヤー受入領域の入口から奥側(共通端31e側)に向かうにしたがって徐々に小さくなる。また、平面視で見て、ワイヤー受入領域と開口部5との重複領域の面積は、開口部5の面積よりも小さい。
【0058】
図1に示すように、案内本体部31は、自由端31c、31dから共通端31eに向かうにしたがって(ワイヤー受入領域の入口から奥側に向かうにしたがって)徐々に下方に変位するよう、水平線に対して若干傾斜している。すなわち、自由端31c、31dは、共通端31eよりも上方に位置する。水平線に対する一方の線状部31aの傾斜角と、他方の線状部31bの傾斜角とは互いに同じである。
【0059】
図1に示すように、案内本体部31は、水平方向における庇部102よりも外側(建造物100から遠ざかる側)に位置してよい。また、案内本体部31は、庇部102の先端102aよりも上方に位置してよい。これによれば、ワイヤー44や荷物200が建造物100に当たってしまうのを抑制できる。
【0060】
また、水平方向におけるワイヤー受入領域へのワイヤー44の受け入れ方向(ワイヤー受入領域の入口から奥側に向かう方向)は、例えば建造物100に接近していく方向であるが、他の方向(外壁104に沿った方向、又は建造物100から離れていく方向)でもよい。言い換えれば、案内本体部31の線対称軸線L1の方向X(
図3参照)は、外壁104や窓103に直角な方向であるが、他の方向(外壁104や窓103に沿った方向又は外壁104や窓103に対して斜めに交差する方向)でもよい。
【0061】
支持部32は、一端が案内本体部31に接続され、他端が本体3(例えば、荷物受入部4の側面部7)に接続される。支持部32は例えば直線状に延びた線状部材(中実棒状部材又は中空棒状部材)としてよい。
【0062】
(無人飛行機の構成)
図4に示す無人飛行機40は物流用(荷物運搬用)の無人飛行機である。無人飛行機40は、機体本体41と、機体本体41に接続された複数のアーム42と、各アーム42に接続された揚力発生部としてのプロペラ43とを備える。さらに、無人飛行機40は、ワイヤー44と、ワイヤー44の先端に設けられるフック45と、ワイヤー44を下降及び上昇させるワイヤー昇降部46(ウインチ)とを備える。
【0063】
図5、
図6に示すように、荷物200はフック45に引っ掛けられる。荷物200は、内容物を包装する包装部201と、フック45に引っ掛けられる引掛け部202とを有する。包装部201は箱型に形成される。包装部201は、上部に傾斜部204を有する。傾斜部204は、下方に向かうにしたがって徐々に包装部201の横幅方向における外側に変位する。傾斜部204は、
図6の側面視で見て、引掛け部202の両側に形成されている。引掛け部202は、傾斜部204の上端に位置する。引掛け部202には、フック45を引っ掛けるための、水平方向に貫通する穴203が形成されている。
【0064】
フック45は、荷受け部20及びそれに載った荷物200が、ダンパー22による減衰作用を受けながら傾斜する時に、荷物200から外れるように構成される。詳しくは、フック45は、荷受け部20の傾斜動作時のワイヤー44の下降に伴い、荷受け部20の傾斜動作速度よりも速い速度で鉛直方向に移動する錘になっている。フック45には、荷物200の引掛け部202を掛けるための引掛け部47が形成されている。引掛け部47は、フック45の下部から上方に突出した形状に形成されるとともに、内側に、上方が開いた形状の凹部48を形成する。凹部48に、荷物200の引掛け部202の上部202a(穴203よりも上側の部分)が入れられる。
【0065】
また、フック45は、凹部48及び引掛け部47の上方において凹部48及び引掛け部47に対面した傾斜面49を有する。傾斜面49は、凹部48から引掛け部47への方向(
図6の紙面の左方向)に向かうにしたがって徐々に上方に変位する。傾斜面49と引掛け部47の上端との間には隙間が形成される。その隙間の上下幅d1は、荷物200の引掛け部202の上部202aの上下幅よりも大きい。すなわち、上部202aを、上下幅d1の隙間を介して凹部48に入れたり、凹部48から出したりできる。また、凹部48に上部202aが入れられた状態で、引掛け部202(上部202a)の上端202bと傾斜面49の間には第1隙間が形成される。
【0066】
図6に示すように、フック45の下面は傾斜面50を含む。その傾斜面50は、上述の傾斜面49と同様の傾斜方向に傾斜しており、具体的には、上方に向かうにしたがって徐々に
図6の紙面の左方向に変位する。傾斜面50の上端から引掛け部47の上端までの幅d2は、穴203の上下方向幅よりも小さい。すなわち、引掛け部47を、穴203に入れたり、穴203から出したりできる。また、凹部48に上部202aが入れられた状態で、傾斜面50と、穴203の下縁203aとの間には第2隙間が形成される。第2隙間と、上記第1隙間とは互いに同じ上下幅に設定されてよい。すなわち、荷物200に対して相対的にフック45が下がって、穴203の下縁203aと傾斜面50とが接触した場合には、引掛け部202の上端202bと傾斜面49も接触するようにしてよい。
【0067】
フック45は、上記第1隙間及び第2隙間により、荷物200の引掛け部202に対して相対的に下方に移動可能に、引掛け部202に引っ掛けられる。また、傾斜面49、50は、フック45を斜め下方に移動させる部分である。
【0068】
図4に示すワイヤー昇降部46は、機体本体41に設けられ、ワイヤー44を巻き取る巻取部と、巻取部を回転駆動する駆動部(モータ等)とを含む。
【0069】
図7に示すように、無人飛行機40は、さらに、通信部51と、記憶部52と、各種センサ53と、制御部59とを備える。通信部51は、荷物200の配送業者の施設に設けられた制御装置との間で無線通信を行う。宅配ボックス2側(宅配ボックス2自体又は宅配ボックス2の周辺(例えば建造物100内))に通信装置が備えられている場合には、通信部51はその通信装置と通信を行う通信部を含んでよい。記憶部52は、無人飛行機40の制御に必要な各種データを記憶する。
【0070】
センサ53は無人飛行機40の制御に必要な各種データを取得する。具体的には、センサ53は、例えば、無人飛行機40の現在位置を検知する現在位置センサ54(GPSセンサなど)、無人飛行機40の進行方向を検知する進行方向センサ55(地磁気センサなど)、無人飛行機40の高度を検知する高度センサ56、無人飛行機40の下方景色を撮影する撮影部(カメラ)57、フック45から荷物200が外れたことを検知する荷物センサ58などを含んでよい。荷物センサ58は例えばワイヤー44に加わる荷重を検知する荷重センサとしてよい。
【0071】
(無人飛行機の処理、宅配ボックスの作用)
制御部59は無人飛行機40を制御する。
図8は制御部59が実行する処理を例示している。以下、
図8の処理及び宅配ボックス2の作用を説明する。
図8の処理を開始すると、制御部59は、荷物200の配送対象となる宅配ボックス2が設けられる場所(建造物100の場所、宅配ボックス2の周辺)まで無人飛行機40を飛行させるようにプロペラ43を駆動制御する(S1)。制御部59は、例えば、予め記憶部52に記憶された宅配ボックス2又は建造物100の場所データと、現在位置センサ54が検知する無人飛行機40の現在位置データとに基づいて、無人飛行機40の飛行を制御してよい。または、制御部59は、配送業者側から送信される遠隔制御信号を通信部51を介して受信し、受信した遠隔制御信号に基づいて、無人飛行機40の飛行を制御してよい。なお、無人飛行機40は、フック45に引っ掛けられた荷物200を、機体本体41から吊り下げた状態又は機体本体41内に格納した状態で、飛行する。また、制御部59は、建造物100の場所まで来たときには、例えば撮影部57が撮影する画像に基づいて、宅配ボックス2の位置を判定し、宅配ボックス2の手前の位置で無人飛行機40をホバリングさせる。
【0072】
次に、制御部59は、ワイヤー昇降部46を駆動して、ワイヤー44及び荷物200を少しだけ下降させる(S2)。このときの荷物200の下降量は、荷物200が、上下方向における案内本体部31と開口部5の間の位置(以下、中間位置という)となるように、定められる。制御部59は、例えば、撮影部57が撮影する画像に基づいて上記中間位置を判定してよい。そして、制御部59は、高度センサ56が検知する無人飛行機40の高度と、上記中間位置とに基づいて、ワイヤー44及び荷物200の下降量を定める。
【0073】
または、上記中間位置に荷物200が位置する、無人飛行機40の高度とワイヤー44(荷物200)の下降量との組み合わせを示すデータを記憶部52に予め記憶させておく。そして、制御部59は、記憶部52に記憶された高度となるように無人飛行機40を制御し、かつ、記憶部52に記憶された下降量となるようにワイヤー44の下降を制御してもよい。
【0074】
次に、制御部59は、開口部5の真上位置まで移動させるようにプロペラ43を駆動制御する(S3)。この際、制御部59は、例えば撮影部57が撮影する画像に基づいて、案内本体部31の形状を判定し、その形状に基づいて、水平方向のうちの、案内本体部31の内側領域(ワイヤー受入領域)への進入可能方向を判定する。制御部59は、無人飛行機40を、上記進入可能方向に進行させながら、開口部5の真上位置まで移動させ、その真上位置でホバリングさせる。制御部59は、例えば撮影部57が撮影する画像に基づいて、開口部5の真上位置を判定してよい。
【0075】
なお、無人飛行機40を開口部5の真上位置まで移動させるときの無人飛行機40の進行方向(ワイヤー受入領域への進入可能方向)を記憶部52に予め記憶させてもよい。または、制御部59は、撮影部57が撮影する画像を配送業者側に送信し、その画像に基づく配送業者側からの遠隔制御信号を通信部51を介して受信し、受信した遠隔制御信号に基づいて、無人飛行機40の飛行を制御してよい。または、制御部59は、宅配ボックス2側からの誘導信号を受信し、受信した誘導信号に基づいて、無人飛行機40の飛行を制御してよい。
【0076】
次に、制御部59は、ワイヤー昇降部46を駆動して、ワイヤー44及び荷物200を下降させて、荷物200を荷受け部20に載せる(S4)。
【0077】
荷受け部20に荷物200が載ると、荷受け部20は荷物200の重力に基づいて傾斜動作する。この際、ダンパー22の作用により、荷受け部20の傾斜動作速度が抑えられるので、荷受け部20及びそれに載った荷物200の動作速度よりも、ワイヤー44の下降に伴うフック45の下降速度のほうが大きくなる。これにより、フック45が、荷物200の引掛け部202に対して相対的に下方に移動する。そして、フック45の傾斜面49と引掛け部202の上端202bとが接触し、かつ、フック45の傾斜面50と穴203の下縁203aとが接触する。そして、フック45の下降に伴い、引掛け部202が傾斜面49、50上を摺動することで、フック45は水平方向にも移動する。すなわち、フック45は斜め下方向に移動する。これにより、フック45は穴203から外れる(
図9参照)。なお、穴203から外れたフック45は、荷物200の傾斜部204上を摺動してよい。
【0078】
フック45が外れた荷物200は、荷受け部20の傾斜動作及び回転体25の回転に伴い、荷受け部20から出口側空間10に移動する。そして、荷物200は、回転体26の回転に伴い、取出口11の方に移動する。その後、荷物200は扉部12に当たって停止する。
【0079】
荷受け部20は、荷物200の移動後に、スプリング23及び重り部材24の作用を受けて、元の水平位置に復帰する。この際、ダンパー22の作用により、荷受け部20の復帰動作の速度が抑えられる。また、重り部材24と本体3の傾斜状側面部7aとが接触することで、荷受け部20の復帰動作が停止する。
【0080】
一方、無人飛行機40の制御部59は、荷物センサ58に基づいて、フック45と荷物200とが外れたことを判定すると、ワイヤー昇降部46を駆動して、ワイヤー44及びフック45を上昇させる(S5)。その後、制御部59は、無人飛行機40を帰還させる。
【0081】
(効果)
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、ワイヤー44に吊るされた荷物200を、ワイヤー44を切断することなく自動で宅配ボックス2に受け取らせることができる。荷物200とフック45との外しは本体3内(開口部5内)で行われるので、フック45の外しの最中に荷物200又はフック45が風で振られてしまうのを抑制できる。これにより、フック45を荷物200から外しやすくできる。また、フック45から外れた荷物200が風で飛ばされるのを抑制できる。
【0082】
荷物200は上方及び側方が覆われた荷物保管部9内に保管されるので、荷物200が雨風に晒されるのを抑制できる。また、荷物保管部9により、配達された荷物200を外から見えないようにできるので、荷物200の盗難を抑制できる。また、取出口11は窓103に対峙した位置に設けられるので、窓103を開けて、建造物100内から荷物200を取り出すことができる。また、窓103を開けないと荷物200を取り出すことができないので、荷物200の盗難を抑制でき、防犯性を高くできる。
【0083】
ワイヤー案内部30により、開口部5の上方でワイヤー44及び荷物200が風で大きく振られてしまうのを抑制できる。これにより、荷物200を開口部5内に入れやすくできる。平面視で見て、案内本体部31の線対称軸線L1が開口中心線L2と一致するので、ワイヤー44及び荷物200を開口部5の中央側に案内できる。これにより、荷物200が開口部5の縁に当たってしまうのを抑制できる。
【0084】
案内本体部31の内側領域の入口の幅は、開口部5の幅よりも大きいので、その内側領域にワイヤー44を入れやすくできる。案内本体部31は、その内側領域の奥側の進行するにしたがって下方に変位するよう傾斜しているので、ワイヤー44を奥側に進行させるほど、より下方の位置でワイヤー44を案内(規制)できる。すなわち、ワイヤー44及び荷物200を開口部5の中央側に案内するにしたがって、風によるワイヤー44及び荷物200の振れ幅を小さくできる。また、案内本体部31の内側領域の入口は、内側領域の奥側よりも上方に位置するので、ワイヤー44及び荷物200が風で多少揺れたとしても、ワイヤー44をその内側領域に入れやすい。
【0085】
ワイヤー案内部30は線状部材から構成されるので、宅配ボックス2(ワイヤー案内部30)の重量及びコストを抑えることができる。
【0086】
重り部材24により、ばね定数が小さいスプリング23を選択できる。これにより、軽い荷物200の場合でも、荷受け部20を傾斜動作させることができる。
【0087】
宅配ボックス2は庇部102に固定されるので、建造物100の大改造を抑制でき、宅配ボックス2を設置する初期費用を抑えることができる。
【0088】
(変形例1)
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、ワイヤー案内部は
図10、
図11のように構成されてもよい。なお、
図10、
図11において、上記実施形態と同様の構成には同一の符号を付している。
図10、
図11のワイヤー案内部70は、開口部5の上方に設けられて、ワイヤー44及び荷物200を開口部5の中央側に案内するための部分である。ワイヤー案内部70は、ワイヤー44及び荷物200を開口部5の中央側に案内する案内本体部71と、案内本体部71を支持する支持部75とを有する。案内本体部71及び支持部75は線状部材(中実棒状部材又は中空棒状部材)から構成される。
【0089】
案内本体部71は、
図11の平面視で見て、水平方向に延びた線対称軸線L3に関して対称な形状に形成されている。線対称軸線L3は開口中心線L2に一致する。案内本体部71は、その内側に、ワイヤー44を水平方向から受け入れるワイヤー受入領域を形成する。ワイヤー受入領域は、ワイヤー受入領域の入口から奥側に向かうにしたがって徐々に線対称軸線L3に直角な方向Yにおける幅が狭くなる漸次幅狭領域と、漸次幅狭領域よりも奥側に位置する、方向Yにおける幅が一定の方形領域とを含む。漸次幅狭領域と方形領域とは導通している。案内本体部71は、漸次幅狭領域を形成する漸次幅狭部72と、方形領域を形成する方形部73、74とを有する。
【0090】
漸次幅狭部72は、線対称軸線L3に関して対称な形状の一対の線状部材から構成される。一対の線状部材72の一端72a、72a間がワイヤー受入領域の入口となる。一端72aは、
図11の平面視で見て、方向Xにおける開口部5よりも外側に位置し、かつ、方向Yにおける開口部5よりも外側に位置する。一端72a、72a間の幅(ワイヤー受入領域の入口幅)は、方向Yにおける開口部5の幅よりも大きい。漸次幅狭部72の他端72bが方形部73、74に接続される。その他端72bは、平面視で見て、開口部5内に位置する。
【0091】
方形部73、74は、互いに平行な一対の線状部材から構成される平行部73と、平行部73の端部間を接続する線状部材である接続部74とを有する。接続部74は、
図11の平面視で見て、開口部5の中心Oよりも、ワイヤー受入領域の入口から奥側に向かう方向X1の側に位置する。
図11の平面視で見て、方形部73、74が形成する方形領域の面積は、開口部5の面積よりも小さい。すなわち、方形部73、74の方向Xにおける幅は、開口部5の方向Xにおける幅よりも小さい。方形部73、74の方向Yにおける幅は、開口部5の方向Yにおける幅よりも小さい。このように、平面視で見て、方形部73、74の全体が開口部5の内側に位置する。また、平面視で見て、方形領域の中心が、開口部5の中心Oに一致してよい。
【0092】
図10に示すように、案内本体部71は、ワイヤー受入領域の入口から奥側に向かうにしたがって徐々に下方に変位するよう、水平線に対して若干傾斜している。漸次幅狭部72の傾斜角と、平行部73の傾斜角とは互いに同じとしてよい。漸次幅狭部72を構成する一対の線状部材の傾斜角は互いに同じである。平行部73を構成する一対の線状部材の傾斜角は互いに同じである。
【0093】
支持部75は、上下方向に延びた上下延設部75aと、上下延設部75aの上端と案内本体部71の接続部74の中間部とを接続する接続部75bとを有する。上下延設部75aの下端が本体3に接続される。接続部75bは、上下延設部75aから水平方向に屈曲するように形成される。接続部75bは、
図11の平面視で見て、開口部5の内側に位置するとともに、線対称軸線L3及び開口中心線L1に重なる。
【0094】
無人飛行機40の制御部59(
図7参照)は、
図8のステップS3において、ワイヤー44を、漸次幅狭部72が形成する漸次幅狭領域に水平方向から入れた後、方形部73、74が形成する方形領域に入れるよう、無人飛行機40を制御する。すなわち、制御部59は、方形領域の真上位置まで無人飛行機40を移動させる。
【0095】
このように、変形例1によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、案内本体部71の方形領域があることで、無人飛行機40を、開口部5の真上位置に移動させてホバリングさせる際の、そのホバリングの目標位置を定めやすい。方形領域の面積は開口部5の面積より小さいので、ワイヤー44を方形領域に入れることで、荷物200を開口部5内に入れやすくできる。
【0096】
(他の変形例)
ワイヤー案内部30、70は設けられなくてもよい。この場合には、
図8のステップS2は省略されてよい。すなわち、無人飛行機40の制御部59は、開口部5の真上位置に到達するまでは、ワイヤー44及び荷物200を降ろさない。制御部59は、無人飛行機40が開口部5の真上位置に到達した時に、ワイヤー44及び荷物200を降ろす。
【0097】
宅配ボックス2は、建造物100の外壁104を本体3が貫いて、荷物取出口11が建造物100内に位置するように、設けられてもよい。荷物取出口11が建造物100内に位置する場合、扉部12は設けられなくてもよい。
【0098】
宅配ボックス2は、建造物100に取り付けられなくてもよく、例えば、建造物100が位置する敷地内(庭)、門柱などに設けられてもよい。
【0099】
扉部12に代えて、本体3内の荷物取出口11の手前で荷物200を停止させる、取出口11の全体を閉塞しない形状のストッパ部、又は非開閉状のストッパ部が設けられてもよい。
【0100】
本体3の開口部5は設けられなくてもよく、荷受け部20は外空間に露出するように設けられてもよい。
【0101】
上記実施形態では、荷受け部20を自動復帰させる例を示したが、手動で復帰させてもよい。この場合、荷受け部20を復帰させるスプリング23を設けなくてもよい。
【0102】
上記実施形態では、スプリング23及び重り部材24の協働作用により、荷受け部20を水平状態に復帰又は保持する例を示したが、スプリング23と重り部材24のいずれか一方のみで、荷受け部20を水平状態に復帰又は保持させてもよい。
【0103】
上記実施形態では、線状部材から構成されたワイヤー案内部30、70を例示したが、板状部材から構成されたワイヤー案内部を採用してもよい。この場合、開口部5の上方空間の周囲の一部が開き、残部が閉じたワイヤー受入領域を形成するよう、ワイヤー案内部の板状部材が構成されてよい。また、ワイヤー案内部の板状部材は、ワイヤー案内部30、70の平面視形状(
図3、
図11に示す平面視形状)と同様の平面視形状となるように設けられてよい。これによれば、風によるワイヤー44及び荷物200の振れをより一層抑制できる。
【0104】
また、ワイヤー案内部の案内本体部は、上述の案内本体部31、71以外の形状でもよい。例えば、平面視でU字状の案内本体部でもよい。また、
図11の方形部73、74の平面視形状がU字状でもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 荷物受取システム
2 宅配ボックス(荷物受取ボックス)
3 本体
5 開口部
6 入口側空間
10 出口側空間
11 取出口
12 扉部(ストッパ部)
20 荷受け部
22 ダンパー(減衰装置)
23 スプリング
24 重り部材
25、26 回転体
30、70 ワイヤー案内部
40 無人飛行機
44 ワイヤー
45 フック
200 荷物