(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019383
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】荷物受渡しシステム、無人地上運搬機及び荷物受渡し方法
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20250131BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20250131BHJP
【FI】
B65G61/00 550
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122970
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晴久
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】無人地上運搬機と相手ボックスとの間で荷物の受渡しをする際に荷物の盗難や荷物が雨風に晒されることを抑制する。
【解決手段】無人地上運搬機2は、相手ボックス60が設けられる場所まで移動する本体3と、宅配ボックス60との間で荷物100を受渡すための荷物ボックス8と、荷物ボックス8を宅配ボックス60に接近させるアーム15とを備える。荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、両ボックス8、60の開閉扉10、63を開く。その後、両ボックス8、60間で荷物100を移動させる。その後、両開閉扉10、63を閉じる。その後、アーム15は、荷物ボックス8を本体3に戻す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を運ぶ無人地上運搬機と、
荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した相手ボックスとを備え、
前記無人地上運搬機は、
前記荷物の収容部を有し、前記相手ボックスが設けられる場所まで移動する本体と、
前記本体に支持され、前記荷物を入れる荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した荷物ボックスと、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物ボックスを、前記荷物ボックスの前記開口部と前記相手ボックスの前記開口部とが対峙した接近位置へと移動させ、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間での前記荷物の受渡しの完了後に、前記荷物ボックスを前記接近位置から前記本体へと移動させるボックス駆動部と、
前記荷物ボックスが前記接近位置にあるときに、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記荷物を移動させる荷物移動部と、
前記荷物が入れられた前記荷物ボックスを前記接近位置又は前記本体へと移動させるときには前記荷物ボックスの前記開閉部を閉じ、前記接近位置にある前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しをするときには前記荷物ボックスの前記開閉部を開く開閉制御部とを備え、
前記相手ボックスの前記開閉部は、前記荷物の受渡しをするときに開き、前記荷物の受渡しの完了後に閉じる、
荷物受渡しシステム。
【請求項2】
前記荷物ボックスと前記相手ボックスの少なくとも一方は、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの対向方向に出っ張る形状の位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部が、前記荷物ボックスと前記相手ボックスのうち前記位置合わせ部が設けられない方の外面に対面した対面位置にあるときに、前記荷物ボックスの前記開口部の幅方向の位置と、前記相手ボックスの前記開口部の幅方向の位置とが合った状態となり、
前記ボックス駆動部は、前記位置合わせ部が前記対面位置にくるように前記荷物ボックスを移動させる請求項1に記載の荷物受渡しシステム。
【請求項3】
前記無人地上運搬機と前記相手ボックスの少なくとも一方は、前記無人地上運搬機から前記相手ボックスへの荷重を減衰させる荷重減衰部を備える請求項1に記載の荷物受渡しシステム。
【請求項4】
前記相手ボックスは、前記接近位置にある前記荷物ボックスの重さを受ける受け部を備える請求項1に記載の荷物受渡しシステム。
【請求項5】
荷物の収容部を有し、相手ボックスが設けられる場所まで移動する本体と、
前記本体に支持されて、前記荷物を外空間から隔てるための部材と、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物を前記部材で外空間から隔てながら、前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しを行う受渡し部と、
を備える無人地上運搬機。
【請求項6】
前記部材は、前記荷物を入れる荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した荷物ボックスであり、
前記受渡し部は、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物ボックスを、前記相手ボックスに接近した接近位置へと移動させ、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間での前記荷物の受渡しの完了後に、前記荷物ボックスを前記接近位置から前記本体へと移動させるボックス駆動部と、
前記荷物ボックスが前記接近位置にあるときに、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記開口部を通して前記荷物を移動させる荷物移動部と、
前記荷物が入れられた前記荷物ボックスを前記接近位置又は前記本体へと移動させるときには前記開閉部を閉じ、前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しをするときには前記開閉部を開く開閉制御部と、
を備える請求項5に記載の無人地上運搬機。
【請求項7】
無人地上運搬機と相手ボックスとの間で荷物の受渡しを行う方法であって、
前記相手ボックスが設けられる場所において、前記無人地上運搬機の本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記無人地上運搬機に設けられる荷物ボックスを、前記荷物ボックスの収容空間を閉塞する開閉部と前記相手ボックスの収容空間を閉塞する開閉部とが対峙した位置まで接近させるステップと、
前記荷物ボックスの前記開閉部と前記相手ボックスの前記開閉部とを開くステップと、
前記荷物ボックスから前記相手ボックスへ、又は前記相手ボックスから前記荷物ボックスへと前記荷物を移動させるステップと、
前記荷物ボックスの前記開閉部と前記相手ボックスの前記開閉部とを閉じるステップと、
前記荷物ボックスを前記本体に戻すステップと、
をこの順に実行する荷物受渡し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷物を運ぶ無人地上運搬機、それを利用した荷物受渡しシステム及び荷物受渡し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2には、無人地上運搬機としてのUGV(Unmanned Ground Vehicle)を利用して荷物の受渡しをすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-110227号公報
【特許文献2】特開2022-47000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人地上運搬機と相手側の荷受け又は荷渡しのためのボックス(相手ボックス)との間で荷物の受渡しをする際に、他人に荷物を盗られないようする必要がある。また、荷物が雨風に晒されるのは望ましくない。
【0005】
そこで、本開示は、無人地上運搬機と相手ボックスとの間で荷物の受渡しをする際に荷物の盗難や荷物が雨風に晒されることを抑制できる荷物受渡しシステム、無人地上運搬機及び荷物受渡し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の荷物受渡しシステムは、
荷物を運ぶ無人地上運搬機と、
荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した相手ボックスとを備え、
前記無人地上運搬機は、
前記荷物の収容部を有し、前記相手ボックスが設けられる場所まで移動する本体と、
前記本体に支持され、前記荷物を入れる荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した荷物ボックスと、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物ボックスを、前記荷物ボックスの前記開口部と前記相手ボックスの前記開口部とが対峙した接近位置へと移動させ、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間での前記荷物の受渡しの完了後に、前記荷物ボックスを前記接近位置から前記本体へと移動させるボックス駆動部と、
前記荷物ボックスが前記接近位置にあるときに、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記荷物を移動させる荷物移動部と、
前記荷物が入れられた前記荷物ボックスを前記接近位置又は前記本体へと移動させるときには前記荷物ボックスの前記開閉部を閉じ、前記接近位置にある前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しをするときには前記荷物ボックスの前記開閉部を開く開閉制御部とを備え、
前記相手ボックスの前記開閉部は、前記荷物の受渡しをするときに開き、前記荷物の受渡しの完了後に閉じる。
【0007】
本開示によれば、無人地上運搬機は、荷物ボックスを介して相手ボックスとの間で荷物の受渡しをするので、受渡し中の荷物が露出するのを抑制できる。これにより、荷物の盗難や荷物が雨風に晒されることを抑制できる。また、無人地上運搬機の本体と相手ボックスとが離れた状態で荷物の受渡しを行うので、例えば相手ボックスが、段差がある場所に設置された場合であっても、荷物の受渡しが可能となる。
【0008】
前記荷物ボックスと前記相手ボックスの少なくとも一方は、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの対向方向に出っ張る形状の位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部が、前記荷物ボックスと前記相手ボックスのうち前記位置合わせ部が設けられない方の外面に対面した対面位置にあるときに、前記荷物ボックスの前記開口部の幅方向の位置と、前記相手ボックスの前記開口部の幅方向の位置とが合った状態となり、
前記ボックス駆動部は、前記位置合わせ部が前記対面位置にくるように前記荷物ボックスを移動させてよい。
【0009】
これによって、荷物ボックスの開口部と相手ボックスの開口部とが幅方向にずれてしまうのを抑制できる。
【0010】
前記無人地上運搬機と前記相手ボックスの少なくとも一方は、前記無人地上運搬機から前記相手ボックスへの荷重を減衰させる荷重減衰部を備えてよい。これによれば、荷物ボックスと相手ボックスとの接触時に相手ボックスが損傷するのを抑制できる。
【0011】
前記相手ボックスは、前記接近位置にある前記荷物ボックスの重さを受ける受け部を備えてよい。これによれば、荷物の受渡し中に荷物ボックスの開口部と相手ボックスの開口部とがずれてしまうのを抑制できる。
【0012】
本開示の無人地上運搬機は、
荷物の収容部を有し、相手ボックスが設けられる場所まで移動する本体と、
前記本体に支持されて、前記荷物を外空間から隔てるための部材と、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物を前記部材で外空間から隔てながら、前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しを行う受渡し部と、
を備える。
【0013】
前記部材は、前記荷物を入れる荷物収容空間を形成するとともに、その荷物収容空間の開口部を開閉させる開閉部を有した荷物ボックスであり、
前記受渡し部は、
前記場所において、前記本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記荷物ボックスを、前記相手ボックスに接近した接近位置へと移動させ、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間での前記荷物の受渡しの完了後に、前記荷物ボックスを前記接近位置から前記本体へと移動させるボックス駆動部と、
前記荷物ボックスが前記接近位置にあるときに、前記荷物ボックスと前記相手ボックスとの間で前記開口部を通して前記荷物を移動させる荷物移動部と、
前記荷物が入れられた前記荷物ボックスを前記接近位置又は前記本体へと移動させるときには前記開閉部を閉じ、前記相手ボックスとの間で前記荷物の受渡しをするときには前記開閉部を開く開閉制御部と、
を備えてよい。
【0014】
本開示の荷物受渡し方法は、
無人地上運搬機と相手ボックスとの間で荷物の受渡しを行う方法であって、
前記相手ボックスが設けられる場所において、前記無人地上運搬機の本体が前記相手ボックスから離れた位置にある状態で、前記無人地上運搬機に設けられる荷物ボックスを、前記荷物ボックスの収容空間を閉塞する開閉部と前記相手ボックスの収容空間を閉塞する開閉部とが対峙した位置まで接近させるステップと、
前記荷物ボックスの前記開閉部と前記相手ボックスの前記開閉部とを開くステップと、
前記荷物ボックスから前記相手ボックスへ、又は前記相手ボックスから前記荷物ボックスへと前記荷物を移動させるステップと、
前記荷物ボックスの前記開閉部と前記相手ボックスの前記開閉部とを閉じるステップと、
前記荷物ボックスを前記本体に戻すステップと、
をこの順に実行する。
【0015】
本開示の無人地上運搬機及び荷物受渡し方法によれば、上記荷物受渡しシステムと同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】宅配ボックスと、その前に位置する無人地上運搬機とを示す図である。
【
図2】無人地上運搬機の荷物ボックスを、宅配ボックスに接近させた状態を示す図である。
【
図4】荷物ボックスの斜視図であり、シャッター式の開閉扉を例示する図である。
【
図5】荷物ボックス、ダンパー及びアームを示す図である。
【
図6】無人地上運搬機側に設けられる相手側扉制御部と、宅配ボックス側に設けられる扉制御部との第1例を示す図である。
【
図7】無人地上運搬機側に設けられる相手側扉制御部と、宅配ボックス側に設けられる扉制御部との第2例を示す図である。
【
図8】無人地上運搬機側に設けられる相手側扉制御部と、宅配ボックス側に設けられる扉制御部との第3例を示す図である。
【
図9】無人地上運搬機側に設けられる相手側移動制御部と、宅配ボックス側に設けられる荷物移動制御部との第1例を示す図である。
【
図10】無人地上運搬機側に設けられる相手側移動制御部と、宅配ボックス側に設けられる荷物移動制御部との第2例を示す図である。
【
図11】無人地上運搬機の一部の構成を示すブロック図である。
【
図12】無人地上運搬機から宅配ボックスに荷物を受け渡す処理のフローチャートである。
【
図13】宅配ボックスに荷物ボックスを接近させる様子を示す図である。
【
図14】接近した荷物ボックスと宅配ボックスとの両開閉扉が開いた状態を示す図である。
【
図15】宅配ボックスから無人地上運搬機に荷物を受け渡す処理のフローチャートである。
【
図16】悪路に設置された宅配ボックスと、無人地上運搬機との間で荷物の受渡しをする様子を示す図である。
【
図17】変形例に係る荷物ボックス及び宅配ボックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1、
図2に示す荷物受渡しシステム1は、無人地上運搬機2(以下、地上機という場合がある)と、相手ボックスとしての宅配ボックス60とを備える。なお、
図1では、地上機2の本体3内を透視して図示している。また、
図2では、荷物ボックス8内及び宅配ボックス60内を透視して図示している。荷物受渡しシステム1は、地上機2と宅配ボックス60との間で荷物100の受渡しをするシステムである。荷物受渡しシステム1は、例えば地上機2から宅配ボックス60への荷物100の受渡しと、宅配ボックス60から地上機2への荷物100の受渡しの両方が可能に構成されるが、どちらか一方の受渡しのみを行うシステムとして構成されてもよい。先ず、地上機2の構成について説明する。
【0018】
(無人地上運搬機の構成)
地上機2は、荷物100を運ぶ無人地上車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle)である。なお、地上機2は、車輪4を備えない運搬機(二足歩行ロボット等)でもよい。地上機2は、荷物100の配送又は回収を行う業者側の基地(図示外)と、宅配ボックス60が設けられる場所との間を屋外走行するように構成される。地上機2は、本体3と、荷物ボックス8と、アーム15と、ダンパー20とを備える。
【0019】
(本体の構成)
本体3は、下部に車輪4を有して、荷物100の配送又は回収を行う業者側の基地と、宅配ボックス60が設けられる場所との間を移動可能に構成される。本体3は、直進移動だけでなく、進行方向を変更可能に構成されてよい。
【0020】
図1、
図3に示すように、本体3は、内側に、荷物100及び荷物ボックス8を収容する内部空間5を有する。なお、
図3では、本体3内を透視して図示するとともに、車輪4の回転軸が
図3の紙面に直交する方向から本体3を見た図である。内部空間5は、
図3に示すように、荷物ボックス8を配置させるボックス配置空間5aと、荷物ボックス8に入れられていない荷物100を配置させる荷物配置空間5bとを含む。これら空間5a、5bは隣接しており、空間5a、5bの間を荷物100が移動できるようになっている。荷物配置空間5bは複数の荷物100を配置可能な大きさに形成されてよい。荷物配置空間5bに配置される複数の荷物100は、異なる宅配ボックス60に配送される荷物でもよいし、同じ宅配ボックス60に配送される荷物でもよい。荷物配置空間5bにおける複数の荷物100の配置順は、異なる宅配ボックス60への配送順であってよい。なお、内部空間5には、予め荷物100が格納された荷物ボックス8のみが格納されてもよい。
【0021】
図1に示すように、本体3は、内部空間5と外空間とを導通させる開口部6と、開口部6を閉塞する開閉扉7とを有する。開口部6は例えば本体3の側面に形成される。開口部6は、荷物ボックス8を、本体3から出したり、本体3内に入れたりするための部分であり、荷物ボックス8を出し入れ可能な大きさに形成されている。開閉扉7は、開口部6を閉塞した閉位置と、開口部6を露出させる開位置との間で移動可能に設けられる。
【0022】
(荷物ボックスの構成)
荷物ボックス8は、本体3と宅配ボックス60との間で、荷物100を外空間から隔てながら受け渡すためのボックス(箱)である。荷物ボックス8は、後述のアーム15を介して、本体3に支持される。
図2、
図4に示すように、荷物ボックス8の内側には、荷物100を収容可能な荷物収容空間8aが形成される。荷物ボックス8は、荷物収容空間8aと外空間とを導通させる第1開口部9と、第1開口部9を閉塞する第1開閉扉10とを有する。第1開口部9は、荷物ボックス8から荷物100を出したり、荷物ボックス8内に荷物100を入れたりするための開口部であり、荷物100の出し入れが可能な大きさに形成される。また、第1開口部9は、宅配ボックス60の開口部62(
図1参照)に対峙させて、宅配ボックス60との間で荷物100を受渡しするための開口部である。第1開口部9は、例えば荷物ボックス8の側面に形成されて、荷物100を水平方向に出し入れ可能に形成される。第1開口部9は、荷物ボックス8が本体3内に格納された状態で、本体3の開口部6及び開閉扉7の側を向く。
【0023】
第1開閉扉10は、第1開口部9を閉塞する閉位置と、第1開口部9を露出させる開位置との間で移動可能に設けられる。第1開閉扉10は、例えば、開いたときに荷物ボックス8の外側に出ないように、すなわち荷物ボックス8内に収まるように構成されてよい。具体的には、
図4に示すように、第1開閉扉10は、第1開口部9の開口面に沿って開閉するとともに、折り曲げが可能なシャッターとしてよい。この場合、荷物ボックス8は、開位置にある第1開閉扉10(シャッター)を内側に収納する収納部8bを有する。
図4では、第1開閉扉10は、荷物ボックス8の上面部の内側に収納される例を示している。これによれば、第1開閉扉10と宅配ボックス60の開閉扉63(
図1、
図2参照)とが対峙した状態でも、第1開閉扉10を開くことができる。
【0024】
なお、第1開閉扉10は、
図4に示すシャッター以外の構造(横開き扉、縦開き扉、回転扉等)でもよい。この場合でも、第1開閉扉10は、開いたときに荷物ボックス8内に収納されるとしてよく、例えば、荷物ボックス8の内側に回動する扉であってよい。また、第1開閉扉10は、宅配ボックス60の開閉扉63に対峙した接近位置にある状態でも開くことができるのであれば、荷物ボックス8の外側に出るように開いてもよい。この場合、第1開閉扉10は、第1開口部9の開口面に平行にスライド移動するように構成されてよい。
【0025】
荷物ボックス8の、第1開口部9が形成された外面(第1開閉扉10の表面も含む)は、宅配ボックス60の、開口部62が形成された外面(宅配ボックス60の開閉扉63の表面も含む)に合った形状に形成され、具体的には例えば平面に形成される。これによれば、荷物ボックス8を宅配ボックス60に接近させたときに、両開口部9、62(両開閉扉10、63)の位置を合わせやすくできる。なお、荷物ボックス8の、第1開口部9が形成された外面と、宅配ボックス60の、開口部62が形成された外面とは、互いに合った曲面、すなわち同一曲率の曲面に形成されてもよい。
【0026】
図2に示すように、荷物ボックス8は、荷物収容空間8aと外空間とを導通させる第2開口部11と、第2開口部11を閉塞する第2開閉扉12とを有してよい。第2開口部11は、荷物ボックス8の、第1開口部9が形成される外面とは別の外面(例えば、第1開口部9が形成される側面の反対側の側面)に形成される。第2開口部11は、荷物ボックス8が本体3内に格納された状態で、本体3内の荷物配置空間5b(
図3参照)の側を向く位置に形成される。第2開口部11は、本体3内で、荷物ボックス8に荷物100を入れたり、荷物ボックス8から荷物100を出したりするための開口部であり、荷物100の出し入れが可能な大きさに形成される。第2開閉扉12は、第2開口部11を閉塞する閉位置と、第2開口部11を露出させる開位置との間で移動可能に設けられる。
【0027】
なお、荷物ボックス8は、第1開口部9及び第2開口部11の役割を兼用する1つの開口部のみを有し、第1開閉扉10及び第2開閉扉12の役割を兼用する1つの開閉扉を有してもよい。この場合、地上機2は、本体3内で荷物ボックス8の向きを変更する機構を備えて、その機構により、本体3内で荷物ボックス8の開口部(開閉扉)を、荷物配置空間5bの側に向けたり、本体3の開口部6及び開閉扉7の側に向けたりしてよい。
【0028】
図2、
図5に示すように、荷物ボックス8は、宅配ボックス60に接近したときに、第1開口部9の下端(言い換えれば、荷物収容空間8aの底面)の上下方向位置と、宅配ボックス60の開口部62の下端(言い換えれば、宅配ボックス60内の荷物収容空間の底面)の上下方向位置とを合わせるための位置合わせ部13を有する。位置合わせ部13は、例えば、荷物ボックス8の、第1開口部9が形成される側面の上端から水平方向に出っ張る形状に形成される。その出っ張り方向は、荷物ボックス8と宅配ボックス60との対向方向であり、より具体的には、荷物ボックス8から宅配ボックス60の方に向かう方向である。位置合わせ部13は、例えば荷物ボックス8の上面に連続した面を形成する板状に形成される。
【0029】
図2に示すように、位置合わせ部13が、宅配ボックス60の上面61bに対面した対面位置にあるときに、荷物ボックス8の開口部9の下端位置と、宅配ボックス60の開口部62の下端位置とが一致する。言い換えれば、位置合わせ部13が、宅配ボックス60の上面61bに対面した対面位置にあるときに、荷物ボックス8内の底面の高さと、宅配ボックス60内の底面の高さとが一致する。
【0030】
位置合わせ部13は、宅配ボックス60の上面61bに対面した位置にあるときに、上面61bに接触してもよいし、上面61bから微小距離離れていてもよい。位置合わせ部13は、上面61bに接触する場合には、荷物ボックス8の重さを宅配ボックス60に伝える重さ伝達部として機能する。
【0031】
図5に示すように、荷物ボックス8は、ダンパー20を介して、アーム15に接続される接続部14を有する。接続部14は、荷物ボックス8の側面のうち、第1開口部9の左右両側に位置する左側面及び右側面のそれぞれから突出するように設けられる。
【0032】
(アームの構成)
図1、
図2、
図5に示すアーム15は、荷物ボックス8を支持するとともに、荷物ボックス8を本体3と宅配ボックス60との間で移動させるボックス駆動部である。アーム15は、長手状に形成されて、長手方向の一端が本体3に支持され、他端がダンパー20を介して荷物ボックス8に接続される。アーム15は、本体3の開口部6を通して、荷物ボックス8を本体3から出したり、本体3内に入れたりする。荷物ボックス8が本体3内に格納されているときには、アーム15も本体3内に格納されてよい。
【0033】
アーム15は、本体3の外側で、水平方向における荷物ボックス8の位置、具体的には、本体3の、開口部6が形成された側面に直角な方向(言い換えれば、荷物ボックス8と宅配ボックス60との対向方向)における荷物ボックス8の位置(
図1、
図2の紙面の左右方向の位置)を変化させることが可能に構成される。また、アーム15は、本体3の外側で、荷物ボックス8の、上下方向における位置を変化させることが可能に構成される。さらに、アーム15は、本体3の外側で、上記対向方向と上下方向の双方に直角な方向(
図1、
図2の紙面に直角な方向)における荷物ボックス8の位置を変化させることが可能に構成されてよい。
【0034】
詳しくは、アーム15は、長手状の複数の骨格部16と、複数の骨格部16の1つである基端側骨格部16aと本体3とを連結する基端連結部17と、骨格部16同士を連結する中間連結部18と、複数の骨格部16の1つである先端側骨格部16bとダンパー20とを連結する先端連結部19とを有する。
図1、
図2、
図5の例では、骨格部16の個数が2つの例を示しているが、3つ以上でもよい。基端連結部17は、基端側骨格部16aと本体3との角度(
図1、
図2の紙面に直角な軸線回りの角度)を変化させることが可能に、本体3に連結される。基端連結部17は、基端側骨格部16aと本体3との、上下方向の軸線回りの角度も変化させることが可能に構成されてよい。
【0035】
中間連結部18は、2つの骨格部16間の角度(
図1の紙面に直角な軸線回りの角度)を変化させることが可能に、骨格部16同士を連結する。中間連結部18は、2つの骨格部16間の、上下方向の軸線回りの角度も変化させることが可能に構成されてよい。
【0036】
図5に示すように、先端連結部19は、先端側骨格部16bの先端から2つに分岐した形状に形成される。一方の分岐部19aは、荷物ボックス8の左右側面の一方側に設けられたダンパー20aに連結される。他方の分岐部19bは、荷物ボックス8の左右側面の他方側に設けられたダンパー20bに連結される。先端連結部19は、骨格部16a、16b間の角度、及び骨格部16aと本体3との角度に関わらず、荷物ボックス8の上下方向が常に鉛直方向を向くように(荷物ボックス8が斜めに傾かないように)、ダンパー20に連結される。さらに、先端連結部19は、骨格部16a、16b間の角度、及び骨格部16aと本体3との角度に関わらず、ダンパー20の作動方向が常に一定方向(具体的には例えば鉛直方向)を向くように、ダンパー20に連結される。
【0037】
(ダンパーの構成)
ダンパー20は、ダンパー20に加わる所定方向の衝撃を吸収するとともに、ダンパー20に加わる所定方向の荷重を減衰させる荷重減衰部である。ダンパー20は、荷物ボックス8の左右側面の両側それぞれに設けられる。ダンパー20は、
図5に示すように、例えば、所定方向に伸縮する伸縮式のダンパーとしてよい。この場合、ダンバー20は、ピストン21と、ピストン21を収容する筒状の収容部22と、ピストン21に連結された棒状部23とを有する。ピストン21は、収容部22内で筒状の軸線方向に移動可能に設けられる。収容部22内には、オイルや気体などが充填されている。棒状部23は、収容部22の外側に突出した突出端部を有する。
【0038】
ダンパー20は、荷物ボックス8とアーム15との間に介在するように設けられる。具体的には、収容部22がアーム15の先端連結部19に接続される。棒状部23の突出端部が荷物ボックス8の接続部14に接続される。
【0039】
ダンパー20は、荷物ボックス8への上下方向の荷重を減衰させるように、設けられる。具体的には、ダンパー20は、その作動方向(ピストン21の移動方向)が例えば水平方向よりも鉛直方向に近い方向を向くように、設けられる。この場合、ダンパー20の作動方向は鉛直方向でもよいし、鉛直方向に対して傾いた方向でもよい。ダンパー20は、鉛直方向に加えて水平方向の荷重も減衰させるように構成されてもよい。なお、ダンパー20とは別に、荷物ボックス8及びそれに接触する宅配ボックス60への水平方向の荷重を減衰させるダンパーが設けられてもよい。
【0040】
ダンパー20は、荷物ボックス8がアーム15により持ち上げられたときに、荷物ボックス8の全重量を、ダンパー20の下死点で支える。すなわち、荷物ボックス8がアーム15により持ち上げられたときに、ピストン21は収容部22内の下面(下死点)に接触する。
【0041】
(本体内荷物移動部の構成)
地上機2は、本体3内で荷物100を移動させる本体内荷物移動部24(
図3参照)と、その移動部24を駆動制御する本体荷物制御部25(
図11参照)とを備える。本体内荷物移動部24は、荷物配置空間5bの荷物100を、荷物ボックス8の第2開口部11(第2開閉扉12)の手前まで移動させる第1移動部と、第2開口部11の手前に位置する荷物100を荷物ボックス8内に移動させる第2移動部とを含んでよい。第1移動部は、荷物100を水平方向に移動させる水平移動部(例えばベルトコンベア)を含んでよい。また、第1移動部は、荷物100を上下方向に移動させる上下移動部を含んでよい。第1移動部は、複数の荷物100を本体3内で循環(ローテーション)させる循環移動部(例えばロータリーコンベアー)を含んでよい。第2移動部は、例えば荷物100を荷物ボックス8の方に押し出す押出部又は荷物ボックス8内に荷物100を引き込む引込部としてよい。なお、第2移動部は、後述のボックス荷物移動部32(
図2参照)としてもよい。また、第1移動部が第2移動部を兼ねてもよい。
【0042】
本体内荷物移動部24は、荷物ボックス8から荷物100を出す荷出し移動部を含んでよい。荷出し移動部は、後述のボックス荷物移動部32(
図2参照)としてもよい。
【0043】
なお、本体内荷物移動部24は荷物100を持ち上げて荷物ボックス8に出し入れする荷物持ち上げ部でもよい。
【0044】
図11の本体荷物制御部25は、本体3内で、荷物100を荷物ボックス8に入れるように、又は、荷物ボックス8から荷物100を出すように、本体内荷物移動部24を制御する。
【0045】
(ボックス扉制御部、相手側扉制御部の構成)
地上機2は、荷物ボックス8の第1開閉扉10及び第2開閉扉12の開閉を制御するボックス扉制御部26(
図11参照)を備える。ボックス扉制御部26は、宅配ボックス60の開閉扉63を開閉制御する相手側扉制御部を含んでよい。相手側扉制御部は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にある状態で、宅配ボックス60の開閉扉63を開閉制御する。
【0046】
具体的には、相手側扉制御部は、例えば
図6に示すように、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にあるときに、宅配ボックス60に設けられた扉開閉スイッチ65に当たって該スイッチ65を操作するスイッチ操作部材27としてよい。スイッチ操作部材27は、例えば、荷物ボックス8の、開閉扉10が設けられる外面(前面)から突出する突出部としてよい。扉開閉スイッチ65は、例えば、宅配ボックス60の、開閉扉63が設けられる外面(前面)に形成される凹部66内に設けられてよい。この場合、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近するに伴い、スイッチ操作部材27が凹部66に挿入されて、扉開閉スイッチ65がオンする。また、荷物ボックス8が宅配ボックス60から離れるに伴い、スイッチ操作部材27が扉開閉スイッチ65から離間し、扉開閉スイッチ65がオフする。なお、扉開閉スイッチ65は例えば押下スイッチとしてよい。凹部66内に扉開閉スイッチ65が設けられることで、扉開閉スイッチ65が他人に操作されてしまうのを抑制できる。
【0047】
なお、地上機2は、スイッチ操作部材27を、荷物ボックス8から突出させる突出位置と、荷物ボックス8内に退避した退避位置との間で移動させる駆動部を備えてもよい。
【0048】
図6の場合、宅配ボックス60は、スイッチ65がオンされたことに基づいて開閉扉63を開き、スイッチ65がオフされたことに基づいて開閉扉63を閉じる扉駆動部67を備える。
【0049】
相手側扉制御部は
図7のように構成されてもよい。
図7では、相手側扉制御部は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にあるときに、宅配ボックス60の開閉扉63自体又は開閉扉63の開閉機構に設けられた係合部68に係合する係合部28(歯車等)と、係合部28を駆動制御する制御部29とを含む。係合部28は、宅配ボックス60の係合部68に係合した状態で第1方向に駆動されると、開閉扉63を開き、第1方向の反対の第2方向に駆動されると、開閉扉63を閉じるように、構成される。なお、係合部28は、荷物ボックス8の開閉扉10の開閉機構の一部を構成してもよい。この場合、係合部28が上記第1方向に駆動されると開閉扉10が開き、上記第2方向に駆動されると開閉扉10が閉じる。
【0050】
制御部29は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にある状態で、荷物ボックス8と宅配ボックス60との間で荷物100の受渡しをするときに、係合部28を第1方向に駆動し、その受渡しが完了したときに、係合部28を第2方向に駆動する。
【0051】
このように、
図7の場合は、地上機2(荷物ボックス8)からの駆動力を宅配ボックス60の開閉扉63に伝達させることで、開閉扉63を開閉させる。この場合、宅配ボックス60は、開閉扉63を開閉させる電動部材(モータ等)を備えなくてよい。
【0052】
相手側扉制御部は
図8のように構成されてもよい。
図8では、相手側扉制御部は、宅配ボックス60側に無線送信する送信部30と、送信部30を介して、宅配ボックス60側に、開閉扉63の開閉を指示する開閉指示信号を送信する制御部31とを含む。これら送信部30及び制御部31は、荷物ボックス8に設けられてもよいし、地上機2の、荷物ボックス8以外の部分(例えば本体3)に設けられてもよい。
【0053】
送信部30の通信媒体は電波、赤外線、光などいずれの媒体でもよい。制御部31は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にある状態で、荷物ボックス8と宅配ボックス60との間で荷物100の受渡しをするときに、開閉扉63が開くことを指示する信号を送信部30に送信させる。制御部31は、荷物100の受渡しが完了したときに、開閉扉63が閉じることを指示する信号を送信部30に送信させる。
【0054】
図8の場合、宅配ボックス60は、送信部30から送信される開閉指示信号を受信する受信部69と、受信部69が受信した開閉指示信号に基づいて、開閉扉63を開閉させる扉駆動部70とを備える。
【0055】
(ボックス荷物移動部の構成)
地上機2は、荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、荷物ボックス8から荷物100を出すように、又は荷物ボックス8に荷物100を入れるように、荷物100を移動させるボックス荷物移動部32(
図2参照)と、その移動部32を駆動制御するボックス荷物制御部33(
図11参照)とを備える。ボックス荷物移動部32は、荷物ボックス8から宅配ボックス60に荷物100を移動させる荷渡し移動部を含んでよい。ボックス荷物移動部32は、宅配ボックス60から荷物ボックス8へ荷物100を移動させる荷受け移動部を含んでよい。荷渡し移動部及び荷受け移動部は兼用されてもよいし、別体に設けられてもよい。ボックス荷物移動部32(荷渡し移動部及び荷受け移動部)は、例えば荷物ボックス8内の底面に設けられるベルトコンベアーとしてよい。荷渡し移動部は、荷物100を宅配ボックス60の方に押し出す押出部(ピストン等の伸縮部)でもよい。荷受け移動部は、宅配ボックス60の方に伸びて荷物100を吸引する伸縮吸引部でもよい。
【0056】
(相手側移動制御部の構成)
地上機2は、宅配ボックス60側に設けられる荷物移動部64(
図2参照)を駆動制御する相手側移動制御部を備えてよい。相手側移動制御部は、荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、荷物ボックス8の荷物移動部32と、宅配ボックス60の荷物移動部64(例えばベルトコンベア)とが同期して同方向に駆動されように、荷物移動部64を駆動制御する。
【0057】
相手側移動制御部は、例えば
図9のように構成されてよい。
図9の相手側移動制御部は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した接近位置にあるときに、宅配ボックス60に設けられる係合部71(歯車等)に係合する係合部34(歯車等)と、係合部34を駆動制御する制御部35とを含む。係合部34は、係合部71に係合した状態で第1方向に駆動されると、荷物100を宅配ボックス60内に入れる方向に荷物移動部64を駆動する。係合部34は、係合部71に係合した状態で、第1方向の反対の第2方向に駆動されると、荷物100を宅配ボックス60から出す方向に荷物移動部64を駆動する。
【0058】
制御部35は、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した状態で、荷物ボックス8から宅配ボックス60へと荷物100を移動させるときには、係合部34を上記第1方向に駆動する。制御部35は、宅配ボックス60から荷物ボックス8へと荷物100を移動させるときには、係合部34を上記第2方向に駆動する。
【0059】
なお、係合部34は、荷物ボックス8の荷物移動部32の駆動機構の一部を構成してもよい。この場合、荷物移動部32は、係合部34が上記第1方向に駆動されると、荷物ボックス8から荷物100を出すように駆動される。荷物移動部32は、係合部34が上記第2方向に駆動されると、荷物ボックス8に荷物100を入れるように駆動される。この場合の制御部35は、荷物移動部32を駆動制御する制御部(
図11のボックス荷物制御部33)を構成する。
【0060】
このように、
図9の相手側移動制御部は、地上機2(荷物ボックス8)からの駆動力を荷物移動部64に伝達させることで、荷物移動部64を駆動する。この場合、宅配ボックス60は、荷物移動部64を駆動する電動部材(モータ等)を備えなくてよい。
【0061】
また、相手側移動制御部は
図10のように構成されてもよい。
図10の相手側移動制御部は、宅配ボックス60側に無線送信する送信部36と、送信部36を介して、宅配ボックス60側に、荷物移動部64の駆動を指示する駆動指示信号を送信する制御部37とを含む。これら送信部36及び制御部37は、荷物ボックス8に設けられてもよいし、地上機2の、荷物ボックス8以外の部分(例えば本体3)に設けられてもよい。
【0062】
送信部36の通信媒体は電波、赤外線、光などいずれの媒体でもよい。制御部37は、荷物ボックス8から宅配ボックス60へと荷物100を移動させるときには、宅配ボックス60に荷物100を入れる方向に、荷物移動部64を駆動することを指示する信号を送信部36に送信させる。また、制御部37は、宅配ボックス60から荷物ボックス8へと荷物100を移動させるときには、宅配ボックス60から荷物100を出す方向に、荷物移動部64を駆動することを指示する信号を送信部36に送信させる。制御部37は、荷物ボックス8と宅配ボックス60との間での荷物100の受渡しが完了したときに、荷物移動部64の駆動を停止させる信号を送信部36に送信させてよい。
【0063】
図10の場合、宅配ボックス60は、送信部36から送信される信号を受信する受信部72と、受信部72が受信した信号に基づいて、荷物移動部64を駆動する駆動部73とを備える。
【0064】
なお、相手側移動制御部は、荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、宅配ボックス60側に設けられたスイッチを操作するスイッチ操作部材(図示外)と、そのスイッチ操作部材を駆動制御する制御部(図示外)とを含んで構成されてもよい。この場合、宅配ボックス60は、スイッチの操作に基づいて、荷物移動部64を駆動制御する駆動部(図示外)を備える。上記スイッチは、荷物移動部64の駆動方向に応じた操作方向(第1操作方向、第2操作方向)を有したスイッチでもよいし、荷物移動部64の駆動方向毎のスイッチ(第1スイッチ、第2スイッチ)を含んでもよい。荷物移動部64の駆動部は、スイッチが第1操作方向に操作された場合、又は第1スイッチが操作された場合には、荷物100を宅配ボックス60に入れる方向に、荷物移動部64を駆動する。駆動部は、スイッチが第2操作方向に操作された場合、又は第2スイッチが操作された場合には、荷物100を宅配ボックス60から出す方向に、荷物移動部64を駆動する。
【0065】
(地上機のその他の構成)
図11に示すように、地上機2は、さらに、本体3の移動(車輪4の駆動)を制御する本体移動制御部38と、本体3の開閉扉7を開閉制御する本体扉制御部39と、アーム15を駆動制御するアーム制御部40とを備える。アーム制御部40は、荷物ボックス8を本体3から出したり、入れたりするように、アーム15を駆動制御する。アーム制御部40は、荷物ボックス8を本体3から出した状態で、アーム15の各骨格部16の位置を制御し、言い換えれば、基端側骨格部16aと本体3との角度、及び骨格部16a、16b間の角度を制御する。
【0066】
さらに、地上機2は、地上機2の制御に必要な各種データを記憶する記憶部41と、外部と無線通信する通信部42と、各種センサ43とを備える。通信部42は、荷物100の配送又は回収を行う業者側の施設に設けられた業者側通信部と通信を行う通信部、宅配ボックス60側に設けられた宅配ボックス側通信部と通信を行う通信部、又は宅配ボックス60の場所に向かう経路上に設けられた経路上通信部と通信を行う通信部を含んでよい。
【0067】
センサ43は、例えば、地上機2の現在位置を検知する現在位置センサ44(GPSセンサ、方位センサなど)、地上機2(本体3)の周囲又は本体3から出された荷物ボックス8の周囲を撮影する撮影部45、荷物ボックス8と宅配ボックス60との接触を検知する接触センサ46、本体3又は荷物ボックス8と宅配ボックス60との距離を検知する距離センサ47などを含んでよい。接触センサ46は、荷物ボックス8の前面(開閉扉10の表面を含む)と、宅配ボックス60の前面(開閉扉63の表面を含む)との接触を検知するセンサ、荷物ボックス8の位置合わせ部13と宅配ボックス60の上面61bとの接触を検知するセンサなどを含んでよい。距離センサ47は、荷物ボックス8の前面(開閉扉10の表面を含む)と、宅配ボックス60の前面(開閉扉63の表面を含む)との距離を検知するセンサ、荷物ボックス8の位置合わせ部13と宅配ボックス60の上面61bとの距離を検知するセンサなどを含んでよい。
【0068】
(宅配ボックスの構成)
次に、宅配ボックス60の構成を説明する。宅配ボックス60は、地上機2からの荷物100を受け取る荷物受取ボックスであるとともに、地上機2に回収させる荷物100を入れる荷物回収ボックスである。宅配ボックス60は、例えば戸建住宅、集合住宅、施設、事業所等に設けられる。また、宅配ボックス60は例えば屋外に設けられる。
図1、
図2に示すように、宅配ボックス60は、本体ボックス61と、荷物移動部64とを備える。
【0069】
本体ボックス61は、その内側に、荷物100を収容可能な荷物収容空間61aを有する。本体ボックス61は、荷物収容空間61aと外空間とを導通させる開口部62と、開口部62を閉塞する開閉扉63とを有する。開口部62は、本体ボックス61から荷物100を出したり、本体ボックス61内に荷物100を入れたりするための開口部であり、荷物100の出し入れが可能な大きさに形成される。開口部62は、荷物ボックス8の開口部9と同じ大きさ(同じ形状)に形成されてもよいし、異なる大きさに形成されてもよい。開口部62は、例えば本体ボックス61の側面に形成されて、荷物100を水平方向に出し入れ可能に形成される。
【0070】
開閉扉63は、開口部62を閉塞する閉位置と、開口部62を露出させる開位置との間で移動可能に設けられる。開閉扉62は、例えば、開いたときに本体ボックス61の外側に出ないように、すなわち本体ボックス61内に収まるように構成されてよい。具体的には、開閉扉63は、
図4の荷物ボックス8の開閉扉10と同様に、開口部62の開口面に沿って開閉するとともに、折り曲げが可能なシャッターとしてよい。なお、開閉扉63は、荷物ボックス8の開閉扉10に対峙した接近位置にある状態でも開くことができるのであれば、本体ボックス61の外側に出る形態で開くように構成されてよい。この場合、開閉扉63は、開口部62の開口面に平行にスライド移動するように構成されてよい。
【0071】
本体ボックス61は、開口部62及び開閉扉63とは別に、宅配ボックス60の所有者が、本体ボックス61に荷物100を出し入れするための第2開口部及びそれを閉塞する第2開閉扉を有してもよい。なお、第2開口部及び第2開閉扉が設けられなくてもよい。この場合には、宅配ボックス60の所有者は、開口部62を介して荷物100を出し入れすればよい。
【0072】
本体ボックス61は、本体ボックス61に接近した荷物ボックス8の重さを受ける受け部61c(
図2参照)を有してよい。受け部61aは、本体ボックス61の上面61bのうち、荷物ボックス8の位置合わせ部13に接触する接触部である。
【0073】
荷物移動部64は、荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、荷物ボックス8からの荷物100を本体ボックス61に入れるように、又は本体ボックス61から荷物ボックス8の方に荷物100を出すように、荷物100を移動させる部分である。荷物移動部64は、荷物ボックス8からの荷物100を本体ボックス61内に入れる荷受け移動部と、本体ボックス61内の荷物100を荷物ボックス8に移動させる荷渡し移動部とを含んでよい。荷受け移動部及び荷渡し移動部は兼用されてもよいし、別体に設けられてもよい。荷物移動部64(荷渡し移動部及び荷受け移動部)は、例えば本体ボックス61内の底面に設けられるベルトコンベアーとしてよい。
【0074】
宅配ボックス60は、開閉扉63の開閉を制御する扉制御部を備える。扉制御部は、宅配ボックス60と荷物ボックス8とが接近した状態で、荷物ボックス8の開閉扉10が開く時に開閉扉63を開き、開閉扉10が閉じる時に開閉扉63を閉じる。具体的には、扉制御部は上述の
図6~
図8のように構成されてよい。
図6の扉制御部は、上述の扉開閉スイッチ65と扉駆動部67とを含んで構成される。
図7の扉制御部は上述の係合部68を含んで構成される。
図8の扉制御部は、上述の受信部69と扉駆動部70とを含んで構成される。
【0075】
宅配ボックス60は、荷物移動部64を駆動制御する荷物移動制御部を備える。荷物移動制御部は、荷物ボックス8と宅配ボックス60とが接近した状態で、荷物ボックス8の荷物移動部32と、宅配ボックス60の荷物移動部64とが同期して同方向に駆動されように、荷物移動部64を駆動制御する。荷物移動制御部は、例えば上述の
図9、
図10のように構成されてよい。
図9の荷物移動制御部は上述の係合部71を含んで構成される。
図10の荷物移動制御部は上述の受信部72と駆動部73とを含んで構成される。
【0076】
(荷物受渡しシステムの作用、地上機の処理)
次に、荷物受渡しシステム1の作用及び地上機2の処理を説明する。先ず、荷物100を、地上機2から宅配ボックス60に受け渡す場合の、地上機2(荷物受渡しシステム1)の処理を説明する。
図12はその処理のフローチャートである。
図12の処理が開始すると、先ず、地上機2の本体移動制御部38(
図11参照)は、荷物ボックス8及び荷物100を格納した本体3を、基地から、宅配ボックス60前まで移動させる(S1)。本体移動制御部38は、例えば、記憶部41(
図11参照)に予め記憶された宅配ボックス60の場所データと、現在位置センサ44(
図11参照)が検知する現在位置とに基づいて、宅配ボックス60が設けられる場所(宅配ボックス60の周辺)まで本体3を移動させる。本体移動制御部38は、例えば、撮影部45(
図11参照)が撮影する地上機2周辺の画像、距離センサ47(
図11参照)が検知する距離(本体3と本体ボックス61との距離)などに基づいて、本体3の開閉扉7が宅配ボックス60の開閉扉63の側を向くように、本体3を、宅配ボックス60の前に位置させる(
図1参照)。このとき、本体移動制御部38は、本体3を、宅配ボックス60の本体ボックス61から所定距離以内の距離をあけて位置させる。この所定距離は、アーム15が伸びる範囲内の距離(例えば2m以内)である。
【0077】
なお、本体移動制御部38は、外部(例えば、荷物100を配送する業者側、宅配ボックス60側、又は基地と宅配ボックスの間の経路上)からの遠隔制御信号又は誘導信号を通信部42(
図11参照)を介して受信し、受信した遠隔制御信号又は誘導信号に基づいて、本体3の移動を制御してもよい。
【0078】
次に、ボックス扉制御部26(
図11参照)は、荷物ボックス8の第2開閉扉12を開ける。そして、本体荷物制御部25(
図11参照)は、本体内荷物移動部24(
図3参照)を駆動制御して、本体3内で、今回の配送対象の荷物100を第2開口部11を通して荷物ボックス8内に格納させる(S2)。その後、ボックス扉制御部26は第2開閉扉12を閉じる。
【0079】
次に、本体扉制御部39(
図11参照)は、本体3の開閉扉7を開ける。その後、アーム制御部40(
図11参照)は、アーム15を駆動制御して、荷物ボックス8を、本体3の開口部6を通して本体3の外側に出す。そして、アーム制御部40は、アーム15を駆動制御して、荷物ボックス8の開閉扉10(開口部9)と、宅配ボックス60の開閉扉63(開口部62)とが対峙した接近位置まで荷物ボックス8を移動させる(
図2参照)(S3)。この際、アーム制御部40は、荷物ボックス8と宅配ボックス60との対向方向における荷物ボックス8の前面(開閉扉10)と宅配ボックス60の前面(開閉扉63)との距離を所定距離以下にする。なお、荷物ボックス8の前面と宅配ボックス60の前面とを接触させてもよい。
【0080】
また、アーム制御部40は、荷物ボックス8の開口部9(開閉扉10)と、宅配ボックス60の開口部62(開閉扉63)との上下方向における位置を合わせる。具体的には、アーム制御部40は、荷物ボックス8の開口部9の下端(言い換えれば、荷物ボックス8内の底面)と、宅配ボックス60の開口部62の下端(言い換えれば、宅配ボックス60内の底面)との上下方向位置を一致させる。より具体的には、アーム制御部40は、荷物ボックス8の位置合わせ部13を宅配ボックス60の上面61bに所定距離以下に対面させる。この際、位置合わせ部13を上面61bに接触させてよい。この場合、アーム制御部40は、
図13に示すように、荷物ボックス8を、宅配ボックス60の手前で、宅配ボックス60よりも若干上方に移動させた後、位置合わせ部13と上面61bとが接触するまで、荷物ボックス8を、宅配ボックス60に向けて斜め下方にゆっくりと移動させてよい。これによれば、位置合わせ部13と上面61bとの接触時の衝撃を小さくでき、宅配ボックス60又は荷物ボックス8の損傷を抑制できる。
【0081】
位置合わせ部13と上面61bとを接触させる場合には、荷物ボックス8の全重量を宅配ボックス60に負荷させてもよいし、荷物ボックス8の重量の一部を宅配ボックス60に負荷させてもよい。ただし、アーム15の重量が宅配ボックス60に負荷されないようにする。アーム制御部40は、荷物ボックス8の全重量を宅配ボックス60に負荷させる場合には、
図5のダンパー20のピストン21を、収容部22の底面に接触させないで、収容部22の中間に位置させた状態となるように、アーム15を制御する。また、アーム制御部40は、荷物ボックス8の重量の一部を宅配ボックス60に負荷させる場合には、位置合わせ部13と上面61bとを接触させつつ、ダンパー20のピストン21を、収容部22の底面に接触させた状態となるように、アーム15を制御する。
【0082】
また、位置合わせ部13を上面61bに接触させないで、位置合わせ部13と上面61bとの間に隙間があってもよい。この場合、ダンパー20のピストン21が下死点に位置して、荷物ボックス8の全重量をアーム15が負担することになる。
【0083】
また、アーム制御部40は、荷物ボックス8の開口部9(開閉扉10)と、宅配ボックス60の開口部62(開閉扉63)との左右方向における位置を合わせる。このように、上記接近位置は、荷物ボックス8と宅配ボックス60との対向方向において荷物ボックス8及び宅配ボックス60の両前面が所定距離以下に対峙し、かつ、両開口部9、62の上下及び左右の位置(幅方向の位置)が合った位置である。なお、アーム制御部40は、荷物ボックス8の下面を地面に接触させずに、荷物ボックス8を接近位置まで移動させてよい。また、荷物ボックス8が宅配ボックス60に接近した状態では、荷物ボックス8の下面が地面に接していなくてよい。
【0084】
アーム制御部40は、荷物ボックス8を接近位置に移動させる際に、例えば、撮影部45の撮影画像に基づいて宅配ボックス60の位置(開口部62、開閉扉63、上面61bの位置)を判定してよい。アーム制御部40は、例えば、接触センサ46又は距離センサ47に基づいて、荷物ボックス8の前面と宅配ボックス60の前面との接触若しくは距離を判定し、又は、位置合わせ部13と上面61bとの接触若しくは距離を判定してよい。
【0085】
次に、
図11のボックス扉制御部26、及び
図6~
図8の相手側扉制御部は、
図14に示すように、荷物ボックス8及び宅配ボックス60の両開閉扉10、63を開く(S4)。なお、
図14では、分かりやすくするために、開閉扉10、63がボックス8、60の下方に出る形態で開く例を示しているが、ボックス8、60内に収まるように開いてもよい。
【0086】
次に、
図11のボックス荷物制御部33及び
図9、
図10の相手側移動制御部は、
図14に示すように、荷物100を、荷物ボックス8から宅配ボックス60(本体ボックス61)へと移動させるように、荷物ボックス8の荷物移動部32及び宅配ボックス60の荷物移動部64を駆動制御する(S5)。
【0087】
次に、
図11のボックス扉制御部26、及び
図6~
図8の相手側扉制御部は、荷物ボックス8及び宅配ボックス60の両開閉扉10、63を閉じる(S6)。
【0088】
次に、
図11のアーム制御部40は、アーム15を駆動制御して、荷物ボックス8を本体3内に戻す(S7)。その後、
図11の本体移動制御部38は、地上機2を次の配送場所又は基地に移動させる。
【0089】
次に、荷物100を、宅配ボックス60から地上機2に受け渡す場合の、地上機2(荷物受渡しシステム1)の処理を説明する。
図15はその処理のフローチャートである。
図15の処理を開始すると、本体3を宅配ボックス60の前まで移動させ、その後、荷物ボックス8を宅配ボックス60に接近させ、その後、両開閉扉10、63を開く(S10~S12)。ステップS10~S12は、
図12のステップS1、S3、S4と同様である。次に、
図11のボックス荷物制御部33及び
図9、
図10の相手側移動制御部は、荷物100を、宅配ボックス60から荷物ボックス8へと移動させるように、荷物ボックス8の荷物移動部32及び宅配ボックス60の荷物移動部64を駆動制御する(S13)。その後、両開閉扉10、63を閉じて、荷物ボックス8を本体3内に戻す(S14、S15)。ステップS14、S15は
図12のステップS6、S7と同様である。
【0090】
(効果)
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、荷物ボックス8を介して宅配ボックス60との間で荷物100の受渡しをするので、受渡し中の荷物100が露出するのを抑制できる。これにより、荷物100の盗難や荷物100が雨風に晒されることを抑制できる。また、本体3と宅配ボックス60とが離れた状態で荷物の受渡しを行うので、例えば
図2に示すように、宅配ボックス60が、段差がある場所に設置された場合であっても、荷物100の受渡しが可能となる。また、例えば
図16に示すように、宅配ボックス60の周りが悪路(傾斜面)になっている場合であっても、アーム15と本体3との角度及びアーム15の骨格部16間の角度を調整することで、本体3が悪路に位置した状態で荷物ボックス8を宅配ボックス60に接近させることができる。この際、荷物ボックス8が傾いてしまうのを抑制できる。
【0091】
位置合わせ部13により、荷物ボックス8の開口部9の下端位置と、宅配ボックス60の開口部63の下端位置とを合わせることができる。これにより、両ボックス8、60間で荷物100を水平移動させるだけで、荷物100の受渡しが可能となる。
【0092】
また、位置合わせ部13と宅配ボックス60の上面61bとを接触させることで、荷物100の受渡し中に、荷物ボックス8の開口部9が、宅配ボックス60の開口部63に対して下方にずれてしまうのを抑制できる。
【0093】
また、ダンパー20により、両ボックス8、60が接触した瞬間、及び両ボックス8、60の接触中に、アーム15の重量が宅配ボックス60に伝わるのを抑制できる。特に、ダンパー20の作動方向が水平方向よりも鉛直方向に近い方向に定められるので、両ボックス8、60が接触中に、アーム15が上下方向に微小変位したとしても、その微小変位に起因した荷重が宅配ボックス60に伝わるのを抑制できる。これにより、宅配ボックス60が損傷するのを抑制できる。
【0094】
また、地上機2は、宅配ボックス60の開閉扉63の開閉する相手側扉制御部、及び宅配ボックス60の荷物移動部64を駆動制御する相手側移動制御部を備えるので、宅配ボックス60の構成又は処理が複雑になるのを抑制できる。
【0095】
(変形例1)
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。
図17は変形例1に係る荷物ボックス80及び宅配ボックス90を示している。なお、
図17では、ボックス80、90内を透視して図示している。荷物ボックス80は、宅配ボックス90側に出っ張る形状の位置合わせ部を備えていない点で上述の荷物ボックス8と異なり、それ以外は荷物ボックス8と同じである。
【0096】
宅配ボックス90は、本体ボックス91と、ダンパー92と、板部93と、荷物移動部94とを備える。本体ボックス91は上述の本体ボックス61と同様である。荷物移動部94は上述の荷物移動部64と同様である。ダンパー92は、本体ボックス91内の空間91aに設けられて、ダンパー92に加わる所定方向の荷重を減衰させる荷重減衰部である。ダンパー92の作動方向は、例えば、鉛直方向に定められ、又は水平方向よりも鉛直方向に近い方向に定められる。
【0097】
板部93は、ダンパー92の上に載って、板部93への荷重がダンパー92に作用するように設けられる。板部93は、本体ボックス91内の空間91aに入った内側部93aと、本体ボックス91の外側(本体ボックス91と荷物ボックス80との対向方向)に出っ張った外側部93bとを含む。内側部93aは、本体ボックス91内の荷物収容空間の底面を構成する。外側部93bは、荷物ボックス80の開口部81の上下方向位置と、本体ボックス91の開口部95の上下方向位置とを合わせるための位置合わせ部である。すなわち、位置合わせ部93bが、荷物ボックス80の下面82に対面した対面位置にあるときに、両開口部81、95の上下方向位置が合った状態となる。より具体的には、位置合わせ部93bが上記対面位置にあるときに、荷物ボックス80内の底面の上下方向位置と、本体ボックス91内の底面の上下方向位置とが一致する。
【0098】
また、外側部93bは、荷物ボックス80の下面82に接触してもよい。この場合には、外側部93bは、荷物ボックス80の重量を受ける受け部として機能する。
【0099】
これによれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、位置合わせ部93bによって、両開口部81、95の上下方向位置を合わせやすくできる。また、ダンパー92によって、アーム15の荷重が本体ボックス91に伝わるのを抑制できる。これにより、宅配ボックス90の損傷を抑制できる。
【0100】
(他の変形例)
荷物ボックス8又は宅配ボックス60に、両開口部9、62の左右方向位置を合わせるための左右位置合わせ部を設けてもよい。左右位置合わせ部は、荷物ボックス8又は宅配ボックス60の一方から他方の方に出っ張る形状に形成されて、他方の左右側面に対面した対面位置にあるときに、両開口部9、62の左右方向位置があった状態となる。これによれば、両開口部9、62の左右方向位置を合わせやすくできる。
【0101】
また、両開口部9、62の大きさが異なる場合において、荷物ボックス8と宅配ボックス60とを接近させて両開閉扉10、63を開く際に、小さい方の開口部の大きさに合わせて、大きい方の開口部の開閉扉の開き度合いを調整してもよい。これによれば、小さい方の開口部と大きい方の開口部との差に相当する隙間が露出するのを抑制できるので、荷物100の受渡しを安全に行うことができる。
【0102】
また、上記実施形態では、地上機2が宅配ボックス60の場所に着いた時に、荷物ボックス8内に配送対象の荷物100を入れる例を示した(
図12のステップS2)。これに限定されず、基地などにおいて、荷物ボックス8に予め荷物100を自動又は手動で入れてよい。
【0103】
また、荷物ボックス8及び宅配ボックス60に、それらが接近した状態で互いに離れないように係合する係合部(ロック機構)が設けられてもよい。これによって、両ボックス8、60間での荷物100の受渡し中に、両開口部9、62がずれてしまうのをより一層抑制できる。
【0104】
また、上記実施形態では、両ボックス8、60間で水平方向に荷物100を受け渡す例を示した。これに限定されず、水平方向以外の方向(例えば上下方向)に荷物を受渡してもよい。この場合、荷物の受渡し方向(例えば上下方向)に、荷物ボックス及び宅配ボックスの開口部を設けて、荷物の受渡し方向(例えば上下方向)に、荷物ボックス及び宅配ボックスを対峙させればよい。
【符号の説明】
【0105】
1 荷物受渡しシステム
2 無人地上運搬機
3 無人地上運搬機の本体
8、80 荷物ボックス
9、81 荷物ボックスの開口部
10 荷物ボックスの開閉扉
13、93b 位置合わせ部
20、92 ダンパー(荷重減衰部)
15 アーム(ボックス駆動部)
26 ボックス扉制御部(開閉制御部)
32、82 荷物移動部
60、90 宅配ボックス(相手ボックス)
62、95 宅配ボックスの開口部
63 宅配ボックスの開閉扉