(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019389
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】臭気ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
F23G 7/06 20060101AFI20250131BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20250131BHJP
F23N 5/02 20060101ALI20250131BHJP
F23M 9/06 20060101ALI20250131BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20250131BHJP
B01D 53/75 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
F23G7/06 103
F23G7/06 101D
F23N5/00 E ZAB
F23N5/02 345Z
F23N5/00 T
F23N5/00 U
F23M9/06
B01D53/58
B01D53/75
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122982
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
(72)【発明者】
【氏名】尾松 大輔
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
3K078
4D002
【Fターム(参考)】
3K003EA10
3K003FA01
3K003FB04
3K003FB05
3K003GA03
3K005AB07
3K005BA05
3K005BA06
3K005DA07
3K078AA04
3K078BA25
3K078CA02
3K078CA09
3K078CA21
4D002AA13
4D002BA05
4D002BA12
4D002BA13
4D002CA13
4D002DA70
4D002EA03
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB03
4D002GB20
(57)【要約】
【課題】 アンモニア等を含む臭気ガスを分解させて処理するにあたり、装置が大型化することなく、臭気ガスを効率よく分解させて処理できるようにする。
【解決手段】 臭気ガス処理装置は、臭気ガスGnをバーナー12による燃焼によって加熱分解させる燃焼室10と、燃焼室の下に設けられて、燃焼室において加熱分解された臭気ガスの燃焼排ガスGn1の熱を蓄熱材21に蓄熱させると共に、蓄熱材に蓄熱された熱により前記の燃焼排ガスに残っている臭気ガスを分解させる蓄熱室20と、蓄熱室において臭気ガスを分解させた後の排ガスGn2を横方向に向けて排気させる排気部22とを備えるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭気ガスをバーナーによる燃焼によって加熱分解させる燃焼室と、前記の燃焼室の下に設けられて、燃焼室において加熱分解された第1分解ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させると共に、蓄熱材に蓄熱された熱により前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスを加熱分解させる蓄熱室と、前記の蓄熱室において臭気ガスを加熱分解させた後の第2分解ガスを排気させる排気部とを備えたことを特徴とする臭気ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の臭気ガス処理装置において、前記の臭気ガスがアンモニアを含む臭気ガスであることを特徴とする臭気ガス処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の臭気ガス処理装置において、前記の燃焼室に設けたバーナーに供給する燃料と燃焼用空気との流量を制御する制御装置を設けると共に、前記の排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度を検知する温度検知装置を設け、前記の温度検知装置によって検知された前記の第2分解ガスの温度に基づいて、前記の制御装置によりバーナーに供給する燃料と燃焼用空気それぞれの流量を制御することを特徴とする臭気ガス処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の臭気ガス処理装置において、前記の温度検知装置によって検知された排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が低い場合には、前記の制御装置により、前記のバーナーに供給する燃料と空気の流量を多くする一方、排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が高い場合には、前記の制御装置により、前記のバーナーに供給する燃料と空気の流量を少なくすることを特徴とする臭気ガス処理装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の臭気ガス処理装置において、前記の蓄熱室を前記の燃焼室の下から横方向に設けると共に、前記の燃焼室から離れた蓄熱室の位置に前記の排気部を設け、前記の排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に、燃焼室において加熱分解された第1分解ガスが前記の蓄熱室に流入を抑止する抑止部を設けて、前記の第1分解ガスを、前記の排気部から離れた位置から蓄熱室に導くことを特徴とする臭気ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア等を含む臭気ガスを分解させて処理する臭気ガス処理装置に関するものである。特に、アンモニア等を含む臭気ガスを分解させて処理するにあたり、装置が大型化することなく、臭気ガスを効率よく分解させて処理できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境衛生の点から、アンモニア等の含む臭気ガスを分解させて処理することが行われている。
【0003】
そして、特許文献1においては、アンモニアを含む処理対象ガスを電気ヒーターからの熱によりアンモニア分解室で分解させ、分解によって発生した窒素及び水素を含む処理対象ガスを熱分解ガス燃焼室内に導くと共に、熱分解ガス燃焼室内に空気を供給し、前記の水素を熱分解ガス燃焼室内において燃焼させるようにしたものが示されている。
【0004】
しかし、特許文献1に示されるものにおいては、アンモニアを含む処理対象ガスを電気ヒーターにより熱分解させるアンモニア分解室等が必要になり、装置が大型化し、設備コストが高くつくと共に、ランニングコストも高くつくという問題があった。
【0005】
また、特許文献2においては、バーナーを備える燃焼室と、それぞれ、蓄熱体を備え、前記燃焼室と連通する3つ以上の蓄熱室と、ファンを備え、前記蓄熱室のいずれかを通して前記燃焼室に原ガスを供給する供給流路と、前記蓄熱室のいずれかを通して前記燃焼室から処理されたガスを排気する排気流路と、前記蓄熱室のいずれかを通して前記燃焼室から処理されたガスを抜き出し、前記供給流路の前記ファンの上流に環流させるパージ流路と、前記供給流路の前記パージ流路の合流点の上流側または前記排気流路に配設された調整ダンパとを備え、前記調整ダンパの開度制御し、前記供給流路の前記パージ流路の合流点の上流側または前記排気流路の流路抵抗を調整して、前記パージ流路のガス流量が一定になるようにした蓄熱式燃焼脱臭装置が示されている。
【0006】
しかし、特許文献2に示されるものにおいても、装置全体が非常に大型化し、設備コストが非常に高くつくと共に、ランニングコストも高くつくという問題があった。
【0007】
また、特許文献3においては、脱臭の対象となる気体をバーナーで加熱して脱臭する加熱チャンバーと、該加熱チャンバーの側方に当該加熱チャンバーと横並びで配置され、該加熱チャンバーに気体を流通させる流路を構成し、気体が通過する際に熱交換するための蓄熱材が収容された複数の蓄熱部とを備えるようにした蓄熱式脱臭装置が示されている。
【0008】
しかし、特許文献3に示されるものにおいても、装置全体が横方向に長くなって、横方向に長いスペースが必要になると共に、設備コストが高くつくという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2012/120773号公報
【特許文献2】特許第5468359号公報
【特許文献3】特許第5878587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アンモニア等を含む臭気ガスを分解させて処理する装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明は、アンモニア等を含む臭気ガスを分解させて処理するにあたり、装置が大型化することなく、臭気ガスを効率よく分解させて処理できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明における臭気ガス処理装置においては、前記のような課題を解決するため、臭気ガスをバーナーによる燃焼によって加熱分解させる燃焼室と、前記の燃焼室の下に設けられて、燃焼室において加熱分解された第1分解ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させると共に、蓄熱材に蓄熱された熱により前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスを加熱分解させる蓄熱室と、前記の蓄熱室において臭気ガスを加熱分解させた後の第2分解ガスを排気させる排気部とを備えるようにした。
【0013】
そして、本発明における臭気ガス処理装置のように、燃焼室において、臭気ガスをバーナーによる燃焼によって加熱分解させると共に、燃焼室において燃焼された臭気ガスの第1分解ガスを、燃焼室の下に設けられた蓄熱室に導き、蓄熱室内おける蓄熱材に臭気ガスの第1分解ガスにおける熱を蓄熱させると共に、蓄熱材に蓄熱された熱によって前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスを分解させるようにすると、臭気ガスの分解が短時間で済み、燃焼室を短く(高さを低く)できるため、従来のように装置が大型化するということがなく、臭気ガスを効率よく分解させて処理できるようになる。特に、燃焼室の高さを低くできることにより、天井の低い工場建屋内にも設置できるようになる。
【0014】
ここで、本発明における臭気ガス処理装置によって分解処理する臭気ガスの種類は特に限定されないが、アンモニアを含む臭気ガスを処理するのに使用することができる。
【0015】
また、本発明における臭気ガス処理装置においては、前記の燃焼室に設けたバーナーに供給する燃料と燃焼用空気との流量を制御する制御装置を設けると共に、前記の排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度を検知する温度検知装置を設け、前記の温度検知装置によって検知された前記の第2分解ガスの温度に基づいて、前記の制御装置によりバーナーに供給する燃料と燃焼用空気それぞれの流量を制御することができる。
【0016】
そして、前記の温度検知装置によって検知された排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が低い場合には、前記の制御装置により、バーナーに供給する燃料と空気の流量を多くする一方、排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が高い場合には、前記の制御装置により、バーナーに供給する燃料と空気の流量を少なくする。
【0017】
そして、前記の排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が低い場合に、バーナーに供給する燃料と空気の流量を多くすると、燃焼室において燃焼されて分解される臭気ガスの温度が高くなって、臭気ガスの分解が促進されると共に、蓄熱室に導かれる第1分解ガスの温度が高くなって、蓄熱室内の蓄熱材に蓄熱される熱が多くなり、蓄熱材に蓄熱された熱により前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスがより効率よく分解されるようになる。一方、前記の排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が高い場合には、バーナーに供給する燃料と空気の流量を少なくしても、前記の燃焼室や蓄熱室における蓄熱材の温度が高いため、前記の臭気ガスが燃焼室内において適切に燃焼されて分解できると共に、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスを分解でき、必要以上の燃料を使用せずに済む一方、前記の排気部から排気される前記の第2分解ガスの温度が低下し、第2分解ガスを冷却処理する冷却装置を保護することができるようになる。なお、燃焼室における臭気ガスの濃度が高くなりすぎた場合には、燃料の供給を止めるようにすることもできる。
【0018】
ここで、臭気ガスとして、アンモニアを含む臭気ガスを用いた場合、第1分解ガスに残っている臭気ガスに含まれる水素が、蓄熱材に蓄熱された熱により燃焼されて消費されると共に、この燃焼による熱が蓄熱材に蓄熱されるようになり、前記の第2分解ガスを安全に排気できるようになると共に、臭気ガスに含まれる水素を有効に利用できるようになる。
【0019】
また、本発明における臭気ガス処理装置においては、前記の蓄熱室を前記の燃焼室の下から横方向に設けると共に、前記の燃焼室から離れた蓄熱室の位置に前記の排気部を設け、前記の排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に、燃焼室において燃焼された臭気ガスの第1分解ガスが前記の蓄熱室に流入を抑止する抑止部を設けて、前記の第1分解ガスを、前記の排気部から離れた位置から蓄熱室に導くようにすることができる。このようにすると、燃焼室における燃焼によって加熱分解された臭気ガスの第1分解ガスが、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分から蓄熱室内に流入するのが抑制され、境界部分に設けられた前記の抑止部により、前記の排気部から離れた位置から前記の蓄熱室内に導入されて排気部に導かれるようになり、臭気ガスの第1分解ガスにおける熱が、蓄熱室における蓄熱材全体に効率よく蓄熱されると共に、前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスが、蓄熱室における蓄熱材に蓄熱された熱によってより効率よく分解されるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る臭気ガス処理装置においては、前記のように臭気ガスを燃焼室においてバーナーによって加熱分解させると共に、燃焼室において加熱分解された臭気ガスの第1分解ガスを、燃焼室の下に設けられた蓄熱室に導き、蓄熱室内おける蓄熱材に前記の第1分解ガスにおける熱を蓄熱させると共に、蓄熱材に蓄熱された熱により前記の第1分解ガスに残っている臭気ガスを分解させ、臭気ガスを分解させた後の第2分解ガスを排気部から排気させるようにした。
【0021】
この結果、本発明における臭気ガス処理装置においては、装置が大型化するということがなく、臭気ガスを効率よく分解させて処理できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る臭気ガス処理装置において、燃焼室に設けた各バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給させて燃焼させると共に、臭気ガスを燃焼させて加熱分解させる状態を示した概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置において、排気部を通して排気される第2分解ガスの温度が高くなりすぎた場合に、燃焼室に設けた各バーナーに燃焼用空気だけを供給させて、臭気ガスを燃焼させて加熱分解させる状態を示した概略説明説明図である。
【
図3】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置において、各バーナーから燃料ガスと燃焼用空気を燃焼室の内周側の接線方向に噴射させて、臭気ガスを燃焼室内で旋回させるようにして燃焼させる状態を示した概略断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置において、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に、燃焼室において燃焼された臭気ガスの第1分解ガスが蓄熱室に流入するのを抑止する抑止部として、半円形状になった抑止板を設けると共に、蓄熱室と排気部との間に上方に傾斜した傾斜板を複数設けた変更例を示した断面説明図である。
【
図5】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置の変更例において、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に、半円形状になった抑止板を設けた状態を示した上から見た断面説明図である。
【
図6】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置の変更例において、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に設ける抑止板の第1の変更例を示した上から見た断面説明図である。
【
図7】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置の変更例において、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に設ける抑止板の第2の変更例を示した上から見た断面説明図である。
【
図8】前記の実施形態に係る臭気ガス処理装置において、排気部から近い燃焼室と蓄熱室との境界部分に、燃焼室において燃焼された臭気ガスの第1分解ガスが蓄熱室に流入を抑止する抑止部を設ける場合の更なる変更例を示した断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る臭気ガス処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る臭気ガス処理装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0024】
実施形態に係る臭気ガス処理装置においては、
図1及び
図2に示すように、アンモニアNH
3を含む臭気ガスGnを、燃焼室10の上部に設けた導入部11から燃焼室10内に導入させ、この燃焼室10に設けた各バーナー12により前記の臭気ガスGnを燃焼させるようにして、臭気ガスGnに含まれるアンモニアNH
3を燃焼及び水素H
2と窒素N
2とに加熱分解させ、このように燃焼された臭気ガスGnの第1分解ガスGn1を、前記の燃焼室10の下に横方向に向けて設けた蓄熱室20内に導き、この蓄熱室20内に収容された蓄熱材21に前記の第1分解ガスGn1の熱を蓄熱させると共に、蓄熱材21に蓄熱された熱により前記の第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnを加熱分解させ、このように蓄熱室20内において第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnを分解させた後の第2分解ガスGn2を、横方向に向けて設けた排気部22を通して排気させるようにしている。このようにすると、従来のように蓄熱室を縦方向に設け、排気部を蓄熱室の下部に設けた場合よりも、臭気ガス処理装置全体の高さを低くすることができ、天井の低い工場建屋内にも設置できるようになる。
【0025】
そして、実施形態に係る臭気ガス処理装置においては、前記のように排気部22を通して排気される第2分解ガスGn2の温度を温度検知装置31により検知し、この温度検知装置31によって検知された第2分解ガスGn2の温度を制御装置30に出力させるようにしている。
【0026】
また、この実施形態においては、前記の蓄熱室20内に収容された蓄熱材21が排気部22にこぼれ出すのを防止するため、蓄熱室20と排気部22との間にグレーチング23を設けるようにしている。
【0027】
ここで、この実施形態に係る臭気ガス処理装置においては、前記の燃焼室10に設けた各バーナー12により臭気ガスGnを燃焼させて加熱分解させるにあたり、各バーナー12に燃料ガスGaを供給する各燃料供給管13に流量調整弁13aを設けると共に、各バーナー12に燃焼用空気Airを供給する各空気供給管14に流量調整弁14aを設けている。
【0028】
そして、前記のように蓄熱室20内から排気部22を通して排気される第2分解ガスGn2の温度を温度検知装置31によって検知し、この温度検知装置31によって検知された第2分解ガスGn2の温度に基づいて、前記の制御装置30により、各燃料供給管13に設けた流量調整弁13aを調整して、各バーナー12に供給する燃料ガスGaの量を調整すると共に、前記の各空気供給管14に設けた流量調整弁14aを調整して、各バーナー12に供給する燃焼用空気Airを調整するようにしている。
【0029】
ここで、前記の温度検知装置31によって検知された第2分解ガスGn2の温度が所定の温度、例えば、第2分解ガスGn2の加熱分解が困難になる800℃に達していない場合には、
図1に示すように、前記の制御装置30により、各燃料供給管13に設けた流量調整弁13aを調整して、各バーナー12に供給する燃料ガスGaの量を調整すると共に、前記の各空気供給管14に設けた流量調整弁14aを調整して、各バーナー12に供給する燃焼用空気Airを調整し、各バーナー12において、燃料ガスGaと燃焼用空気Airとを混合させて燃焼させ、前記のように導入部11から燃焼室10内に導入されたアンモニアNH
3を含む臭気ガスGnを燃焼室10内で加熱させて、臭気ガスGnに含まれるアンモニアNH
3を水素H
2と窒素N
2とに分解させるようにしている。
【0030】
そして、このように燃焼された臭気ガスGnの第1分解ガスGn1を前記の蓄熱室20内に導いて、この蓄熱室20内に収容された蓄熱材21に、前記の第1分解ガスGn1の熱を蓄熱させると共に、蓄熱材21に蓄熱された熱により第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnを加熱分解させるようにしている。
【0031】
一方、前記の温度検知装置31によって検知された第2分解ガスGn2の温度が所定の温度の800℃以上になって、前記の燃焼室10内の温度が、アンモニアNH3を含む臭気ガスGnを加熱分解できる温度に達した場合には、前記の制御装置30により、各バーナー12に供給する燃料ガスGaと燃焼用空気Airの流量を少なくして、前記の燃焼室10内の温度を保てるように制御する。
【0032】
また、燃焼室10内の温度が高くなりすぎた場合には、
図2に示すように、前記の制御装置30により、各燃料供給管13に設けた流量調整弁13aを閉じて、各バーナー12に燃料ガスGaを供給させないようにし、さらに燃焼室10内の温度が上昇するのを抑制するため、前記の各空気供給管14から各バーナー12に燃焼用空気Airだけを供給させて、導入部11から燃焼室10内に導入されたアンモニアNH
3を含む臭気ガスGnを燃焼室10内で燃焼させて加熱分解させるようにしている。なお、流量調整弁13a及び流量調整弁14aは、開を白抜きで、閉を黒塗りで示した。
【0033】
そして、このように燃焼されて加熱分解された臭気ガスGnの第1分解ガスGn1を蓄熱室20内に導くと、この蓄熱室20内に収容されて高温になった蓄熱材21に蓄熱された熱により、第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnが十分に加熱分解させるようになる。なお、前記の燃焼室10内の温度が、アンモニアNH3を含む臭気ガスGnが燃焼する燃焼温度に達しているかを検知するため、燃焼室10内の温度を検知する燃焼室温度センサー(図示せず)を設けることもできる。
【0034】
このようにすると、各バーナー12に供給する燃料ガスGaの量を減少させることができて、燃料コストが低減されると共に、排気部22を通して排気される第2分解ガスGn2の温度が必要以上に高温になるのが防止され、排気部22を通して排気された第2分解ガスGn2を冷却処理する冷却装置(図示せず)を保護することもできるようになる。
【0035】
また、前記のように臭気ガスGnとして、アンモニアNH3を含む臭気ガスGnを用いた場合、第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnに含まれる水素H2が、蓄熱材21に蓄熱された熱により燃焼されて消費されると共に、この燃焼による熱が蓄熱材21に蓄熱されるようになり、前記の第2分解ガスGn2を安全に排気できるようになると共に、臭気ガスGnに含まれる水素H2を有効に利用できるようになる。
【0036】
また、この実施形態に係る臭気ガス処理装置において、前記のように燃焼室10に設けた各バーナー12により臭気ガスGnを燃焼させるにあたっては、
図3に示すように、前記の燃焼室10を円筒状に形成すると共に、各バーナー12から燃料ガスGaと燃焼用空気Airを、燃焼室10の内周側の接線方向に噴射させて、導入部11から燃焼室10内に導入された臭気ガスGnを、燃焼室10内で旋回させるようにして燃焼させるようにことが好ましい。このようにすると、燃焼室10内に導入された臭気ガスGnが燃焼室10内で十分に攪拌されながら燃焼されるようになり、臭気ガスGnが速やかに燃焼されて分解されるようになり、燃焼室10の高さを低くすることができるようになる。
【0037】
また、この実施形態に係る臭気ガス処理装置において、
図4及び
図5に示すように、燃焼室10において燃焼された臭気ガスGnの第1分解ガスGn1が、前記の排気部22に近い位置における燃焼室10から蓄熱室20に流入されて排気部22にすぐに導かれて排出されるのを抑制するため、前記の排気部22から近い燃焼室10と蓄熱室20との境界部分に、前記の第1分解ガスGn1が蓄熱室20に導かれるのを抑止する抑止部40として、半円形状になった抑止板41を中心部に向けて突出するように設け、抑止板41が設けられていない排気部22から離れた連通部50を通して、前記の第1分解ガスGn1が蓄熱室20に導かれるようにすることができる。
【0038】
このようにすると、前記の第1分解ガスGn1が、前記の連通部50を通して排気部22から離れた位置から蓄熱室20内に導入されて排気部22に導かれるようになり、前記の第1分解ガスGn1の熱が、蓄熱室20における蓄熱材21全体に効率よく蓄熱され、第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnが、蓄熱室20における蓄熱材21に蓄熱された熱によってより効率よく分解されるようになる。
【0039】
また、
図4に示す臭気ガス処理装置においては、蓄熱室20内に収容された蓄熱材21が排気部22にこぼれ出すのを防止するため、前記のグレーチング23に代えて、排気方向に対して上方に傾斜した傾斜板24を上下に所要間隔を介して複数設けるようにしている。
【0040】
また、この実施形態に係る臭気ガス処理装置において、燃焼室10において燃焼された臭気ガスGnの第1分解ガスGn1が、前記の排気部22に近い位置における燃焼室10から蓄熱室20に流入して排気部22にすぐに導かれるのを抑制するために、前記の排気部22から近い燃焼室10と蓄熱室20との境界部分に抑止部40を設けるにあたっては、例えば、
図6に示すように、前記の半円形状よりも面積が大きくなるように両側が排気部22よりも離れる方向に円弧状になった抑止板42を設け、前記の第1分解ガスGn1が前記の連通部50を通して排気部22から離れた位置から蓄熱室20に導かれるようにしたり、
図7に示すように、燃焼室10と蓄熱室20との境界部分を閉塞するような円板上になった抑止板43に、大きさの異なる円形状の連通部50を複数設けるようにし、円形状の連通部50の径を排気部22から離れるほど大きくなるようにすることもできる。
【0041】
そして、
図6及び
図7に示すようにした場合にも、前記のように臭気ガスGnの第1分解ガスGn1が、前記の連通部50を通して排気部22から離れた位置から蓄熱室20内に導入されて排気部22に導かれるようになり、前記の第1分解ガスGn1の熱が、蓄熱室20における蓄熱材21全体に効率よく蓄熱され、第1分解ガスGn1に残っている臭気ガスGnが、蓄熱室20における蓄熱材21に蓄熱された熱によってより効率よく分解されるようになる。
【0042】
また、この実施形態に係る臭気ガス処理装置において、前記のように抑止部40により、第1分解ガスGn1が、前記の燃焼室10から前記の排気部22に近い位置における蓄熱室20に流入して排気部22にすぐに導かれるのを抑制するにあたっては、
図8に示すように、前記の排気部22から近い燃焼室10と蓄熱室20との境界部分に、燃焼室10から蓄熱室20側に向けて上面44aが下方に傾斜するようにして中心部に向けて突出させた抑止部材44を設け、臭気ガスGnの第1分解ガスGn1が、前記の抑止部材44の上面44aに沿って連通部50に導かれて蓄熱室20に導入されるようにすることができる。
【0043】
また、
図8に示すように、前記の蓄熱室20において、前記の排気部22から離れた下側の角部に傾斜した案内部51を設け、曲がり部の流れの抵抗を減らして、前記のようにして排気部22から離れた連通部50から蓄熱室20に導入された前記の第1分解ガスGn1が前記の案内部51に案内されて蓄熱室20内に収容された蓄熱材21を通して前記の排気部22に導かれるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10 :燃焼室
11 :導入部
12 :バーナー
13 :燃料供給管
13a :流量調整弁
14 :空気供給管
14a :流量調整弁
20 :蓄熱室
21 :蓄熱材
22 :排気部
23 :グレーチング
24 :傾斜板
30 :制御装置
31 :温度検知装置
40 :抑止部
41 :抑止板
42 :抑止板
43 :抑止板
44 :抑止部材
44a :上面
50 :連通部
51 :案内部
Air :燃焼用空気
Ga :燃料ガス
Gn :臭気ガス
Gn1 :第1分解ガス
Gn2 :第2分解ガス