(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019395
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/43 20180101AFI20250131BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20250131BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20250131BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20250131BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20250131BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20250131BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20250131BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20250131BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250131BHJP
【FI】
F21S45/43
F21S41/148
F21S41/143
F21S45/47
F21V29/67 100
F21V29/83
F21V29/76
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122994
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】野末 洋和
(72)【発明者】
【氏名】武藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】崎野 克郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 大河
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(57)【要約】
【課題】送風手段の設置の自由度を高めることが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、前方に光を出射する第1光源、第1光源を搭載するための板材である第1ベース部材13、及び、第1放熱フィン14を備えた第1ユニットと、上方に光を出射する第2光源21、第2光源21を搭載するための板材である第2ベース部材24、及び、第2放熱フィン26を備えた第2ユニットとを並んで配置したものであって、第2ユニットは、第2ベース部材24に接続され、第1ベース部材13の延在方向に沿って延びる板材である第3ベース部材25をさらに備え、第1放熱フィン14は第1ベース部材13から後方に延びると共に、第2放熱フィン26は、第3ベース部材25から第1放熱フィン14に沿って延びている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に光を出射する第1光源、前記第1光源を搭載するための板材である第1ベース部材、及び、第1放熱フィンを備えた第1ユニットと、前記第1方向と交差する第2方向に光を出射する第2光源、前記第2光源を搭載するための板材である第2ベース部材、及び、第2放熱フィンを備えた第2ユニットとを並んで配置した車両用灯具であって、
前記第2ユニットは、前記第2ベース部材に接続され、前記第1ベース部材の延在方向に沿って延びる板材である第3ベース部材をさらに備え、
前記第1放熱フィンは、前記第1ベース部材から前記第1方向と反対側に延びると共に、前記第2放熱フィンは、前記第3ベース部材から前記第1放熱フィンの延在方向に沿って延びている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第3ベース部材は、前記第2光源から前記第2ベース部材の法線方向に向かって設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1放熱フィンと前記第2放熱フィンとは連続して一体とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第2光源は、前記第1光源よりも、前記第1方向の反対側に位置している
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1放熱フィン及び前記第2放熱フィンに対して送風する送風手段と、
前記第1放熱フィン及び前記第2放熱フィンと前記送風手段との間に介在されるブラケットと、をさらに備え、
前記ブラケットは、前記送風手段からの気流を前記第1放熱フィンと前記第2放熱フィンとのそれぞれに導く誘導部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記送風手段は、前記第1放熱フィンに対して、前記第1方向と反対側となる位置に設けられ、前記第1方向に向けて送風するものであって、
前記ブラケットの前記誘導部は、当該位置に設けられる前記送風手段からの気流を前記第2放熱フィン側に誘導するものを含み、
前記第3ベース部材は、前記第1ベース部材の前記第1光源の搭載側の面に対して傾斜すると共に、傾斜方向が前記送風手段から遠い側がより前記送風手段から離れる方向とされている
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1ベース部材は、前記送風手段から前記第1放熱フィンに向けられた気流が前記第1放熱フィンに到達し、到達後の気流が前記第2放熱フィン側と反対側に向くように誘導する傾斜部を、前記第1ベース部材の前記第1方向と反対側の部位に有する
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記ブラケットは、前記誘導部の開孔入口の面積よりも開孔出口の面積が小さくされている
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方に光を出射する第1光源を有する第1光源ユニットと、上方に光を出射する第2光源を有しリフレクタを通じて光を前方に出射する第2光源ユニットとを備えた車両用灯具が提案されている(例えば特許文献1参照)。この車両用灯具は、第1光源ユニットと第2光源ユニットとが側方に隣接して配置される。車両用灯具において第1光源ユニットは、第1光源からの光を直接前方に出射する直射タイプのものであって、基部の前面に第1光源を搭載し、基部の後面から後方に延びる放熱フィンを備えている。また、第2光源ユニットは、第2光源からの光をリフレクタにて前方に反射させるプロジェクタタイプのものであって、基部の上面に第2光源を搭載し、基部の下面から下方に延びる放熱フィンを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の車両用灯具は、第1光源ユニットにおいて放熱フィンが基部から後方に突出しており、第2光源ユニットにおいて放熱フィンが基部から下方に突出している。このため、放熱を促進するための送風手段を設置する場合には、後方に突出する放熱フィンと下方に突出する放熱フィンとの双方に対して気流が適切となる位置にしか設置できず、送風手段の設置に関して自由度が決して高いものではなかった。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、送風手段の設置の自由度を高めることが可能な車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用灯具は、第1方向に光を出射する第1光源、前記第1光源を搭載するための板材である第1ベース部材、及び、第1放熱フィンを備えた第1ユニットと、前記第1方向と交差する第2方向に光を出射する第2光源、前記第2光源を搭載するための板材である第2ベース部材、及び、第2放熱フィンを備えた第2ユニットとを並んで配置した車両用灯具であって、前記第2ユニットは、前記第2ベース部材に接続され、前記第1ベース部材の延在方向に沿って延びる板材である第3ベース部材をさらに備え、前記第1放熱フィンは、前記第1ベース部材から前記第1方向と反対側に延びると共に、前記第2放熱フィンは、前記第3ベース部材から前記第1放熱フィンの延在方向に沿って延びている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、送風手段の設置の自由度を高めることが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る車両用灯具を示す正面図である。
【
図6】
図2に示したファン及びブラケットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る車両用灯具を説明するが、本発明は実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具を示す正面図であり、
図2は、
図1の一部構成を示す前方斜視図である。なお、
図1においては、図示を分かり易くする都合上、
図1に示す構成の前方に設けられるアウターレンズ及びフレーム等の構成を省略するものとする。
【0011】
図1に示す車両用灯具1は、例えば車両の右前部に設けられる前照灯であって、第1ユニット10と、第2ユニット20と、これらの前方に設けられる投影レンズ2とを備えたものである。車両用灯具1は、第1ユニット10と第2ユニット20とを側方に並んで配置した構成となっている。投影レンズ2は、第1ユニット10の第1光源(後述する符号11)及び第2ユニット20の第2光源(後述する符号21)を受光して所定の光路を形成するように出射するものである。
【0012】
図2に示すように、第1ユニット10は、いわゆるハイビーム配光を形成するための灯具ユニットであって、第1光源11を搭載した回路基板CB1と、レンズ12と、第1ベース部材13とを備えている。第1光源11は、車両前方(第1方向)に光を出射するものである。この第1光源11は、第1光源11の発光制御を行う回路基板CB1上に搭載されている。回路基板CB1は、第1ベース部材13上に搭載されている。レンズ12は、第1光源11の前方に設けられるハイビーム用の光学レンズであって、ネジ部材等によって回路基板CB1を介して第1ベース部材13に固定されている。第1ベース部材13は、第1光源11を搭載するための金属製の板材である。この第1ベース部材13は、板材の法線方向が前方となるように設けられている。
【0013】
このような第1ユニット10は、第1ベース部材13の法線方向が前方となっており、第1ベース部材13上に回路基板CB1を介して第1光源11が搭載されている。このため、第1ユニット10は、第1光源11からの光を、レンズ12を介して車両前方に向けて出射する直射タイプの灯具として構成されることとなる。
【0014】
第2ユニット20は、いわゆるロービーム配光を形成するための灯具ユニットであって、第2光源21を搭載した回路基板CB2と、リフレクタ22と、シェード23と、第2ベース部材24とを備えている。第2光源21は、車両上方(第1方向と交差する第2方向)に光を出射するものである。この第2光源21は、第2光源21の発光制御を行う回路基板CB2上に搭載されている。回路基板CB2は、第2ベース部材24上に搭載されている。リフレクタ22は、回転楕円面を基調とする反射面を内側面に有するものであり、第2光源21の上方を覆い且つ回転楕円面の開放側が車両前方に向いて配置されている。シェード23は、第2光源21から出射しリフレクタ22によって反射された光の一部をカットするカット部23aによってロービーム用のカットオフラインを形成するものである。シェード23は、第2ベース部材24の前端部から上方に突き出るようにして設けられている。第2ベース部材24は、第2光源21を搭載するための金属製の板材である。この第2ベース部材24は、板材の法線方向が上方となるように設けられている。
【0015】
このような第2ユニット20は、第2ベース部材24の法線方向が上方となっており、第2ベース部材24上に回路基板CB2を介して第2光源21が搭載されている。また、第2ユニット20は、リフレクタ22が第2光源21の上方を覆うように且つ回転楕円面の開放側が車両前方となるように設置されている。よって、第2ユニット20は、第2光源21からの光を、リフレクタ22を介して車両前方に向けて出射するプロジェクタタイプの灯具として構成されることとなる。
【0016】
図3は、
図2の一部構成を示す前方斜視図であり、
図4は、
図2の一部構成を示す後方斜視図である。また、
図5は、
図2のIV-IV断面図である。
【0017】
図3及び
図4に示す第1ベース部材13と第2ベース部材24とは連続して一体とされている。また、
図3~
図5に示すように、第1ユニット10(
図1参照)はさらに第1放熱フィン14を備えている。
【0018】
第1放熱フィン14は、第1ベース部材13と一体に設けられた複数の金属製の板材である。この第1放熱フィン14は、第1ベース部材13から後方(第1方向と反対側)に延びて設けられている。なお、第1放熱フィン14は、第1ユニット10と第2ユニット20とが並ぶ方向である側方(詳細には第2ベース部材24と平行)に延びて形成されているが、特に、これに限らず、側方に対して角度を有していてもよい。
【0019】
さらに、
図4及び
図5に示すように、第2ユニット20(
図1参照)は第3ベース部材25と第2放熱フィン26とを備えている。第3ベース部材25は、第2ベース部材24と一体に接続され、第2ベース部材24から第1ベース部材13の延在方向(上下方向)に沿って延びる板材である。なお、第3ベース部材25は、第1ベース部材13の延在方向と平行に延びる場合に限らず、平行に対して多少角度(例えば20°以内程度)を有していてもよい。
【0020】
第2放熱フィン26は、第3ベース部材25と一体に設けられた複数の金属製の板材である。この第2放熱フィン26は、第3ベース部材25から第1放熱フィン14と同方向である後方に延びて形成されている。第2放熱フィン26についても、第1放熱フィン14と同様に、第1ユニット10と第2ユニット20とが並ぶ方向である側方(詳細には第2ベース部材24と平行)に延びて形成されている。しかし、第2放熱フィン26は、これに限らず、側方に対して角度を有していてもよい。
【0021】
このように、本実施形態に係る車両用灯具1は、直射タイプとプロジェクタタイプとのユニット10,20を有し、第1光源11と第2光源21とがそれぞれ異なる方向に光を出射する。よって、これら光源11,21を搭載する第1ベース部材13及び第2ベース部材24についても法線方向が異なっている。このため、単純にこれらのベース部材13,24に放熱フィンを形成した灯具は、それぞれの放熱フィンの延在方向が異なってしまう。しかし、本実施形態に係る車両用灯具1(
図1参照)は、第2ユニット20の第2ベース部材24から第1ベース部材13の延在方向と同方向に延びる第3ベース部材25を備えているため、第3ベース部材25から第2放熱フィン26を延ばすことができる。この結果、車両用灯具1は、第1ベース部材13から延びる第1放熱フィン14と、第3ベース部材25から延びる第2放熱フィン26とを同方向とできることとなる。
【0022】
ここで、
図5に示すように、第3ベース部材25は、第2光源21から第2ベース部材24の法線方向に向かって設けられている。このようにすることで、第3ベース部材25は例えば第2光源21の直下に設けられることとなる。これにより、車両用灯具1は、第2ベース部材24と第2放熱フィン26との間に介在される第3ベース部材25の存在によって放熱性が低下することを抑制することができる。なお、
図5に示す例では、第3ベース部材25の全体が第2光源21の法線方向と合致するように設けられているが、これに限らず、第2ベース部材24と第3ベース部材25との接続部Cが、第2光源21の法線方向となる位置に設けられるものであってもよい。
【0023】
さらに、
図4に示すように、第1放熱フィン14と第2放熱フィン26とは、複数枚(少なくとも1枚以上)が連続して一体とされていることが好ましい。これにより、例えば各フィン14,26同士の間となる放熱経路が連続することとなる。ここで、第1放熱フィン14と第2放熱フィン26との放熱経路が途切れてしまうと、途切れた部分において熱の滞留が発生し易くなり放熱性が低下する原因となり得る。しかし、本実施形態に係る車両用灯具1において第1放熱フィン14と第2放熱フィン26とは、少なくとも1枚以上が連続して一体とされているため、少なくとも1つの放熱経路は連続することとなる。よって、車両用灯具1は、熱の滞留の可能性を減じることに貢献したフィン構造を備えることとなる。
【0024】
さらに、
図3及び
図5に示すように、第2ユニット20は、第3ベース部材25と一体に設けられた複数の金属製の板材である第3放熱フィン27を備えている。ここで、第3放熱フィン27は、第3ベース部材25の後方ではなく前方に延びて設けられている。
図3に示すように、本実施形態において第2光源21は第1光源11よりも後方に位置する。また、
図5に示すように、第2光源21の直下等には第3ベース部材25が設けられている。このような構成であることから、第3ベース部材25もやや後方に位置して設けられることとなり、第3ベース部材25の前方にはスペースが存在することとなる。第3放熱フィン27は、このスペースを利用して第3ベース部材25の前方に延びて設けられている。なお、本実施形態において第3放熱フィン27は放熱経路が上下方向となるように形成されている。すなわち、第3放熱フィン27の放熱経路は第2放熱フィン26の放熱経路と交差(直交)することとなる。
【0025】
再度
図2を参照する。本実施形態に係る車両用灯具1は、さらに、ファン(送風手段)30と、ブラケット40とを備えている。
図6は、
図2に示したファン30及びブラケット40を示す斜視図であり、
図7は、
図2のVI-VI断面図である。なお、VI-VI断面は、第1放熱フィン14や第2放熱フィン26と平行となる断面である。
【0026】
図6及び
図7に示すファン30は、第1放熱フィン14(第1ベース部材13)と第2放熱フィン26(第3ベース部材25)とに対して送風するものである。このファン30は、第1放熱フィン14に対して後方となる位置に設けられ、前方に向けて送風するものである。
【0027】
ブラケット40は、ファン30と、第1放熱フィン14及び第2放熱フィン26との間に介在されるものである。このブラケット40は、ファン30からの気流を第1放熱フィン14へ導く第1誘導部(誘導部)41と、ファン30からの気流を第2放熱フィン26へ導く第2誘導部(誘導部)42とを備え、それぞれの放熱フィン14,26に気流を誘導する。
【0028】
図6及び
図7に示すように、第1誘導部41は、ブラケット40のうちファン30の一側寄りに位置した開孔部によって構成されている。この第1誘導部41は、略半円形状の開孔部となっている。第1誘導部41は、開孔に面する一側面41aと他側面41bとを有している。一側面41aは、前方となる先端が他側に傾斜している。一方、他側面41bも前方となる先端が僅かに他側に傾斜しているが、その傾斜角度は一側面41aよりも小さい。このような構成とされていることから、第1誘導部41は、入口の開孔面積よりも出口の開孔面積が小さくされている。しかも、開孔入口と開孔出口とは、略平行(例えば両者の平面角度の差が20°以内)となっている。このため、ファン30からの気流は第1誘導部41によって流速が高められた状態で第1放熱フィン14に供給されることとなる。
【0029】
第2誘導部42は、ブラケット40のうちファン30の他側寄りに位置した開孔部によって構成されている。この第2誘導部42は、開孔部の入口側が略半円形状となっており、開孔部の出口側が矩形状となっている。第2誘導部42は、開孔に面する一側面42aを有している。一側面42aは、前方側が他側に大きく傾斜している。このため、ファン30からの気流は第2誘導部42によって第2放熱フィン26に供給されることとなる。なお、第2誘導部42は、一側面42aに対向して平板43を有している。ここで、第2誘導部42についても、開孔入口の面積よりも開孔出口の面積が小さくされている。このため、ファン30からの気流は第2誘導部42によっても流速が高められて第2放熱フィン26に供給されることとなる。なお、第1誘導部41は、開孔入口と開孔出口とが略平行であるため、より流速が高められ易い。一方、第2誘導部42は、開孔入口と開孔出口とが略平行ではないため、第1誘導部41と比較すると流速を高める効果が小さくなる可能性がある。しかし、第2誘導部42であっても流速を高める効果を発揮できることに変わりはない。
【0030】
ここで、
図7の断面図に示すように、第3ベース部材25は、第1ベース部材13のうち、第1光源11の搭載側の面13aに対して傾斜した構造となっている。傾斜方向は、第2放熱フィン26への送風方向に沿う方向となっている。すなわち、第3ベース部材25は、当該面13aと比較すると、ファン30から遠い側がファン30からより離れる方向に傾いた傾斜とされている。
【0031】
加えて、
図7の断面図に示すように、第1ベース部材13は、第2ベース部材24側(他側)に傾斜部13bを備えている。傾斜部13bは、ファン30から第1放熱フィン14に向けられた気流が第1放熱フィン14に到達し、到達後の気流が第2放熱フィン26側と反対に向くように誘導するものである。この傾斜部13bは、第1ベース部材13の後方側の部位を肉厚とすることで形成されている。
【0032】
より詳細に説明する。まず、第1誘導部41の一側面41aは、一側面41aと平行に流れる気流A1を発生させる。車両用灯具1は、気流A1と傾斜部13bとのなす角度(一側において形成される角度)が90°以上となっている。さらに、第1誘導部41の他側面41bは、他側面41bと平行に流れる気流A2を発生させる。車両用灯具1は、気流A2と傾斜部13bとのなす角度(一側において形成される角度)が90°以上となっている。よって、第1誘導部41によって誘導された気流は、このような傾斜部13bの角度設定により、一側(第2放熱フィン26と反対側)に跳ね返るようになる。この結果、車両用灯具1は、気流が第2放熱フィン26側に流れてしまい、滞留してしまう可能性を減じることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る車両用灯具1の作用を説明する。まず、車両用灯具1は、第2ベース部材24に対して第3ベース部材25が設けられており、この第3ベース部材25が第1ベース部材13の延在方向に沿って設けられている。このため、車両用灯具1は、第1ベース部材13に設けられる第1放熱フィン14と第3ベース部材25に設けられる第2放熱フィン26とを同方向に延在するように設けることができる。これにより、車両用灯具1は、放熱フィンの延在方向が異なることによるファン30の設置位置に制約を受け難くすることができる。
【0034】
特に、車両用灯具1は、双方の放熱フィン14,26について同方向に延ばせることから、双方の放熱フィン14,26の少なくとも1枚を連続して一体に形成でき、放熱経路を連続させることも可能となる。
【0035】
また、第3ベース部材25は第2光源21の位置から第2ベース部材24の法線方向に向かって、すなわち直下に設けられている。このため、車両用灯具1は、第2光源21の熱を素早く第3ベース部材25に伝達して第2放熱フィン26から放熱させることができる。
【0036】
加えて、第2光源21が第1光源11よりも後方に設けられていることから、第2光源21の直下に設けられる第3ベース部材25についても、やや後方に位置することとなる。このため、車両用灯具1は、第3ベース部材25の前方に第3放熱フィン27を設けることができる。
【0037】
さらに、車両用灯具1は、ファン30と第1放熱フィン14及び第2放熱フィン26との間に第1誘導部41及び第2誘導部42を有したブラケット40を備える。このため、車両用灯具1は、第1誘導部41及び第2誘導部42によってファン30からの気流を誘導でき、ファン30の設置位置に制限を受け難く、ファン30の設置の自由度を向上させることができる。
【0038】
また、第1誘導部41及び第2誘導部42は、開孔の入口面積よりも出口面積が小さくされていることから、第1放熱フィン14及び第2放熱フィン26に向かう気流の流速を高めることとなる。
【0039】
ここで、第1ベース部材13は傾斜部13bを後方側の部位に有している。傾斜部13bは、第1誘導部41を介して到達する気流を第2放熱フィン26と反対側に向ける角度設定とされている。このため、第1誘導部41を介して第1放熱フィン14に誘導された気流は、第1ベース部材13に到達後、第2放熱フィン26の反対方向へ円滑に流れていくこととなる。
【0040】
一方、第3ベース部材25は、第1ベース部材13の第1光源11の搭載側の面13aに対して傾斜している。この傾斜は、当該面13aと比較して、第3ベース部材25のうちファン30から遠い側が、ファン30から遠ざかる方向にとなっている。よって、第2誘導部42によって第2放熱フィン26に誘導された気流は、第3ベース部材25によって跳ね返るものの、その跳ね返り量が小さくなる。この結果、車両用灯具1は、第3ベース部材25の近い側によって跳ね返った気流により、第3ベース部材25の奥側までファン30からの気流が届かなくなる可能性を減じることとなる。
【0041】
このようにして、本実施形態に係る車両用灯具1によれば、第2ユニット20は、第2ベース部材24から第1ベース部材13の延在方向に沿って延びる第3ベース部材25を備える。このため、車両用灯具1は、第1ベース部材13と第3ベース部材25とにそれぞれの放熱フィン14,26を設けることで、双方の放熱フィン14,26を同様の方向に延ばすことができる。これにより、車両用灯具1は、双方の放熱フィンの延在方向が異なることによるファン30の設置位置の制約が緩和され、ファン30の設置の自由度を高めることができる。
【0042】
また、第3ベース部材25は、第2光源21から第2ベース部材24の法線方向に向かって設けられているため、第2光源21によって発生した熱は第2ベース部材24を通じて早期に第3ベース部材25に伝達され放熱されることとなる。従って、車両用灯具1は、放熱性を高めることに寄与することができる。
【0043】
また、第1放熱フィン14と第2放熱フィン26とは連続して一体とされているため、第1放熱フィン14による放熱経路がそのまま第2放熱フィン26の放熱経路と連続する。これにより、車両用灯具1は、互いの放熱経路が途切れることによる熱の滞留を抑制することができる。
【0044】
また、第2光源21は第1光源11よりも後方に位置しているため、第3ベース部材25についても第1光源11より後方に位置することとなる。これにより、車両用灯具1は、第3ベース部材25の前方にはスペースを有することとなる。よって、車両用灯具1は、例えば第3ベース部材25の前方にさらなる第3放熱フィン27を設けることができる。
【0045】
また、車両用灯具1は、ファン30と双方の放熱フィン14,26との間にブラケット40を備え、ブラケット40はファン30の気流をそれぞれに導くための誘導部41,42を有する。このため、車両用灯具1は、ファン30からの気流を誘導部41,42によってそれぞれに分配することができ、ファン30の設置位置に制限を受け難くファン30の設置の自由度を高めることができる。
【0046】
また、第3ベース部材25は、第1ベース部材13に対して傾斜しており、傾斜方向はファン30から遠い側がよりファン30から離れる方向とされている。このため、車両用灯具1は、ファン30からの気流が第3ベース部材25に接触して後方に跳ね返る風量を小さくすることができる。これにより、第3ベース部材25の近い側に送風されて跳ね返った気流により、ファン30からの気流が第3ベース部材25の奥側まで届かなくなってしまう可能性を抑制することができる。従って、車両用灯具1は、放熱性能の向上に寄与することができる。
【0047】
また、車両用灯具1は、第1放熱フィン14に到達した後の気流が第2放熱フィン26側と反対側に向くように誘導する傾斜部13bを有するため、第2放熱フィン26側に気流が向いてしまい、滞留してしまう可能性を低減することができる。
【0048】
また、ブラケット40は、第1誘導部41及び第2誘導部42の開孔入口の面積よりも開孔出口の面積が小さくされているため、気流の流速を高めることとなり、放熱性を高めることに寄与することができる。
【0049】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0050】
例えば、本実施形態において第3ベース部材25は第2ベース部材24に対して垂直に設けられているが、特に垂直に限らず、第1ベース部材13の延在方向に沿っていれば、垂直に限られるものではない。
【0051】
また、第3ベース部材25は第2光源21の直下となる位置に設けられているが、特に、この位置に限らず、多少ズレていてもよい。
【0052】
また、第1放熱フィン14と第2放熱フィン26とは
図5に示すように同一平面をなして一体化されているが、特に同一平面に限らない。例えば第1放熱フィン14については側方に延び第2放熱フィン26については側方に対して多少傾斜した状態で一体化される等、両者は同一平面をなしていなくともよい。
【0053】
また、ファン30は、第1放熱フィン14の後方に設けられているが、特にこれに限られない。例えばファン30は、第2放熱フィン26の後方等、他の位置に設けられ、ブラケット40の誘導部41,42を利用して、それぞれの放熱フィン14,26に送風するようになっていてもよい。なお、本実施形態に係る車両用灯具1は、第2光源21が第1光源11よりも後方に設けられる関係上、第1光源11の後方(すなわち第1放熱フィン14の後方)にスペースがある。このため、ファン30は第1放熱フィン14の後方に設けられることが好ましいといえる。
【0054】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は前照灯を例に説明しているが、特に前照灯に限られるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 :車両用灯具
10 :第1ユニット
11 :第1光源
13 :第1ベース部材
13a :面
13b :傾斜部
14 :第1放熱フィン
20 :第2ユニット
21 :第2光源
24 :第2ベース部材
25 :第3ベース部材
26 :第2放熱フィン
27 :第3放熱フィン
30 :ファン(送風手段)
40 :ブラケット
41 :第1誘導部(誘導部)
42 :第2誘導部(誘導部)