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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019414
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】建物の施工方法及び建物の構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
E04B1/76 400C
E04B1/76 500F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123019
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】池田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】林本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 正道
(72)【発明者】
【氏名】船戸 俊哉
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA04
2E001FA16
2E001GA12
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD01
(57)【要約】
【課題】 高い断熱性能を有する建物の施工性を向上させることが可能な方法を提供する。
【解決手段】 建物の施工方法である。この施工方法は、壁断熱材13を含む外壁パネル5を準備する第1工程と、屋根断熱材22を含む屋根パネル6を準備する第2工程と、屋根梁9を準備する第3工程と、屋根梁9を断熱するための屋根梁断熱材7を準備する第4工程と、屋根梁9を含む架構体4を設置する第5工程と、外壁パネル5を架構体4の屋根梁9の下方空間に固定する第6工程と、屋根パネル6を屋根梁9に固定する第7工程と、第6工程及び第7工程の後、屋根梁断熱材7を、壁断熱材13と屋根断熱材22との間に配置する第8工程とを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の施工方法であって、
壁断熱材を含む外壁パネルを準備する第1工程と、
屋根断熱材を含む屋根パネルを準備する第2工程と、
屋根梁を準備する第3工程と、
前記屋根梁を断熱するための屋根梁断熱材を準備する第4工程と、
前記屋根梁を含む架構体を設置する第5工程と、
前記外壁パネルを前記架構体の前記屋根梁の下方空間に固定する第6工程と、
前記屋根パネルを前記屋根梁に固定する第7工程と、
前記第6工程及び前記第7工程の後、前記屋根梁断熱材を、前記壁断熱材と前記屋根断熱材との間に配置する第8工程とを含む、
建物の施工方法。
【請求項2】
前記第8工程は、前記屋根梁断熱材を、前記壁断熱材と前記屋根断熱材とに連続するように配置する、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項3】
前記第4工程は、
前記屋根梁断熱材の一部を構成する第1梁断熱材を準備する工程と、
前記屋根梁断熱材の一部を構成し、かつ、前記第1梁断熱材よりも硬質な第2梁断熱材を準備する工程とを含み、
前記第8工程は、
前記屋根梁の少なくとも一部と接触するように、前記第1梁断熱材を配置する工程と、
前記第1梁断熱材の外側に、前記第2梁断熱材を配置する工程とを含む、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項4】
前記第1梁断熱材を準備する工程は、前記第1梁断熱材の少なくとも一部を、繊維系断熱材で構成し、
前記第2梁断熱材を準備する工程は、前記第2梁断熱材の少なくとも一部を、発泡系断熱材で構成する、請求項3に記載の建物の構造。
【請求項5】
前記第2梁断熱材を準備する工程は、屋根勾配に沿って傾く上傾斜面を備えた前記第2梁断熱材を準備し、
前記第7工程は、前記屋根断熱材の下面が前記屋根勾配に沿って傾くように、前記屋根パネルを固定し、
前記第2梁断熱材を配置する工程は、前記屋根断熱材の前記下面と前記外壁パネルの上端との間で、前記第2梁断熱材の少なくとも一部が挟まれるように、前記屋根断熱材の前記下面に、前記第2梁断熱材の前記上傾斜面を当接させる、
請求項3又は4に記載の建物の施工方法。
【請求項6】
前記第1工程は、前記壁断熱材と、前記壁断熱材の厚さ方向の一方側に配された外装下地材と、前記外装下地材と前記壁断熱材との間で上下に延びる通気層とを含む前記外壁パネルを準備し、
前記第7工程は、前記通気層の上方を、前記屋根断熱材が覆うように、前記屋根パネルを固定する、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項7】
建物の構造であって、
屋根梁を含む架構体と、
前記架構体の前記屋根梁の下方空間に固定され、かつ、壁断熱材を含む外壁パネルと、
前記屋根梁に固定され、かつ、屋根断熱材を含む屋根パネルと、
前記壁断熱材と前記屋根断熱材との間に配置された屋根梁断熱材とを含み、
前記屋根梁断熱材は、第1梁断熱材と、前記第1梁断熱材の外側に配され、かつ、前記第1梁断熱材よりも硬質な第2梁断熱材とを含む、
建物の構造。
【請求項8】
前記屋根梁断熱材は、前記壁断熱材と前記屋根断熱材とに連続するように配置されている、請求項7に記載の建物の構造。
【請求項9】
前記第1梁断熱材は、繊維系断熱材を含み、
前記第2梁断熱材は、発泡系断熱材を含む、請求項7に記載の建物の構造。
【請求項10】
前記屋根断熱材の下面は、屋根勾配に沿って傾いており、
前記第2梁断熱材は、前記屋根断熱材の前記下面と前記外壁パネルの上端との間で、前記第2梁断熱材の少なくとも一部が挟まれるように、前記屋根勾配に沿って傾き、かつ、前記屋根断熱材の前記下面に当接する上傾斜面を有する、請求項7ないし9のいずれか1項に記載の建物の構造。
【請求項11】
前記外壁パネルは、前記壁断熱材の厚さ方向の一方側に配された外装下地材と、前記外装下地材と前記壁断熱材との間で上下に延びる通気層とをさらに含み、
前記屋根断熱材は、前記通気層の上方を覆う位置に配されている、請求項7に記載の建物の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の施工方法及び建物の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁パネルと屋根パネルとが屋根梁を介して固定された建物が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-141281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電力需給の逼迫や、エネルギー価格の不安定化などに伴って、断熱性能を向上させた建物への関心が高まっている。住宅等の建物の断熱性能の向上には、例えば、外壁パネル、屋根梁及び屋根パネルにかけて、断熱材を配置することが有効ではあるが、そのような構造は、施工性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、高い断熱性能を有する建物の施工性を向上させることが可能な方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の施工方法であって、壁断熱材を含む外壁パネルを準備する第1工程と、屋根断熱材を含む屋根パネルを準備する第2工程と、屋根梁を準備する第3工程と、前記屋根梁を断熱するための屋根梁断熱材を準備する第4工程と、前記屋根梁を含む架構体を設置する第5工程と、前記外壁パネルを前記架構体の前記屋根梁の下方空間に固定する第6工程と、前記屋根パネルを前記屋根梁に固定する第7工程と、前記第6工程及び前記第7工程の後、前記屋根梁断熱材を、前記壁断熱材と前記屋根断熱材との間に配置する第8工程とを含む、建物の施工方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の施工方法は、上記の工程を採用することにより、高い断熱性能を有する建物の施工性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建物の構造の一例を示す部分断面図である。
図2図1の分解断面図である。
図3】外壁パネルの部分斜視図である。
図4】屋根パネルの一部を示す分解斜視図である。
図5】建物の施工方法の処理手順を示すフローチャートである。
図6】架構体を設置する第5工程を説明するための部分断面図である。
図7】外壁パネルを固定する第6工程を説明するための部分断面図である。
図8】屋根パネルを固定する第7工程を説明するための部分断面図である。
図9】屋根梁断熱材を配置する第8工程を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物の構造]
図1は、建物の構造1の一例を示す部分断面図である。図2は、図1の分解断面図である。図1及び図2において、建物の構造1の各構成部材の位置等は、x軸と、y軸と、z軸との直交座標上で特定される場合がある。x軸方向及びz軸方向は、水平方向に設定されている。なお、z軸方向は、水平方向のうち、屋内外方向(外壁12の厚さ方向)に設定されている。また、y軸方向は、上下方向に設定されている。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態の建物2は、住宅3である場合が例示されているが、特に限定されるわけではなく、例えば、ビル等であってもよい。また、住宅3は、例えば、工業化住宅として構成されているが、特に限定されない。
【0012】
建物の構造(以下、「構造」ということがある。)1は、架構体4と、外壁パネル5と、屋根パネル6と、屋根梁断熱材7とを含んで構成されている。さらに、本実施形態の構造1には、内装パネル8が含まれている。外壁パネル5には、壁断熱材13が含まれている。屋根パネル6には、屋根断熱材22が含まれている。これらの屋根梁断熱材7、壁断熱材13及び屋根断熱材22により、建物2は、高い断熱性能を有している。
【0013】
[架構体]
架構体4には、屋根梁9が含まれている。さらに、本実施形態の架構体4には、土台10及び柱34(図2に示す)等が含まれる。土台10及び柱34等には、従来と同様のものが採用されうる。
【0014】
屋根梁9は、屋根パネル6(建物2の屋根11)を支持するためのものである。図2に示されるように、本実施形態の屋根梁9は、ウエブ9Aと、ウエブ9Aの長手方向の両側にそれぞれ配された第1フランジ9B及び第2フランジ9Cとを含んでおり、H型鋼として構成されている。なお、屋根梁9は、H形鋼に限定されるわけではなく、例えば、建物2求められる剛性等に応じて、任意のものが採用されうる。図1及び図2では、屋根梁9のうち、軒側の屋根梁9が代表して示されている。
【0015】
本実施形態のウエブ9Aは、上下方向(y軸方向)に延びている。第1フランジ9Bは、ウエブ9Aの上端を屋内外方向(z軸方向)に延びている。第2フランジ9Cは、ウエブ9Aの下端を屋内外方向(z軸方向)に延びている。これらのウエブ9A、第1フランジ9B及び第2フランジ9Cにより、屋根梁9には、一対の凹部9a、9bが形成されている。
【0016】
[外壁パネル]
図1に示されるように、外壁パネル5は、建物2の外壁12を形成するためのものである。本実施形態では、建物2の外周(外壁通り)に沿って、複数の外壁パネル5が配置されている。これにより、建物2の外壁12が形成される。
【0017】
外壁パネル5は、架構体4の屋根梁9の下方空間に固定されている。本実施形態の外壁パネル5は、屋根梁9と土台10との間に固定されている。図3は、外壁パネル5の部分斜視図である。
【0018】
図1図3に示されるように、外壁パネル5には、壁断熱材13が含まれている。本実施形態の外壁パネル5には、フレーム枠14と、外装下地材15とがさらに含まれている。これらの壁断熱材13、フレーム枠14及び外装下地材15が一体として固定されることで、外壁パネル5が形成される。これにより、建物2の工期の短縮や、外壁パネル5の品質の安定化の実現が可能となる。
【0019】
本実施形態の壁断熱材13は、フレーム枠14で囲まれる空間に配されている。本実施形態の壁断熱材13は、例えば、繊維系断熱材(ロックウールやグラスウール等)や、発泡系断熱材(ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等)を含む断熱材料で構成されうる。
【0020】
フレーム枠14は、スチール等の金属製である。このようなフレーム枠14は、例えば、木質材で形成されるフレーム枠(図示省略)に比べて、高い剛性を有する。したがって、外壁パネル5の耐久性能が向上する。
【0021】
本実施形態のフレーム枠14は、図1に示した上横枠材14A及び下横枠材14Bと、図3に示した縦枠材14Cとを含んで構成される。図1に示されるように、上横枠材14A及び下横枠材14Bは、水平方向(x軸方向)に延びている。一方、図3に示されるように、縦枠材14Cは、上下方向(y軸方向)に延びている。これらの上横枠材14A及び下横枠材14Bが、縦枠材14Cの上端側及び下端側に接合されることで、正面視において矩形状のフレーム枠14が形成される。
【0022】
図1図3に示されるように、上横枠材14A、下横枠材14B及び縦枠材14Cは、一対のフランジ18a、18bと、一対のフランジ18a、18bを継ぐウエブ18cとを含んで構成されている。これらの一対のフランジ18a、18b及びウエブ18cにより、上横枠材14A、下横枠材14B及び縦枠材14Cは、一つの凹部18d有する断面コ字状に形成されている。
【0023】
図1及び図2に示されるように、上横枠材14A及び下横枠材14Bは、それぞれの凹部18d、18dが、パネル内側(フレーム枠14の上下方向の内側)に向くように配されている。一方、図3に示されるように、一対の縦枠材14C、14Cは、それぞれの凹部18d、18dが、パネル内側(フレーム枠14の水平方向の内側)に向くように配されている。
【0024】
外装下地材15は、壁断熱材13(フレーム枠14)の厚さ方向の一方側(屋外側So)に配されている。本実施形態の外装下地材15は、正面視矩形の板状に形成されており、胴縁16を介して、フレーム枠14に固着されている。これにより、外壁パネル5には、外装下地材15と壁断熱材13との間で上下方向に延びる通気層17が形成される。このような通気層17により、室内から外壁パネル5内に浸入した水蒸気(湿気)が、通気層17を上昇する空気の流れによって、外壁パネル5の外部に排出されうる。したがって、外壁パネル5内での結露や、外壁パネル5の劣化等が抑制されうる。
【0025】
外装下地材15は、例えば、窯業系セメント板や、ALC等の発泡コンクリートパネルで形成される。外装下地材15には、例えば、図示しないタイルなどの外装材(化粧材)が固着されうる。
【0026】
本実施形態の外壁パネル5は、図2に示されるように、外壁パネル固定部材19を介して、屋根梁9に固定されている。本実施形態の外壁パネル固定部材19は、水平方向(z軸方向)に延びる板状の第1部分19Aと、第1部分19Aの屋外側Soの一端から下方に延びる板状の第2部分19Bとを含み、側面視においてL字状に形成されている。この外壁パネル固定部材19は、水平方向(x軸方向)に隔設されている。
【0027】
第1部分19Aの上面は、屋根梁9の第2フランジ9Cの下面に固定される。第2部分19Bの屋外側Soの側面は、外壁パネル5の上横枠材14Aを構成する一対のフランジ18a、18bのうち、屋内側Siのフランジ18bに固定される。これらの固定には、ボルト等の固定金具20が用いられる。このような外壁パネル固定部材19により、外壁パネル5と屋根梁9とが強固に固定されうる。また、外壁パネル5は、例えば、外壁パネル固定部材19を介して、土台10等に固定されてもよい。
【0028】
図1に示されるように、本実施形態では、壁断熱材13と屋根梁9との間に、補充断熱材21が配置されているのが好ましい。このような補充断熱材21により、外壁パネル5から屋根梁9までの間において、断熱材が連続して配置されるため、建物2の断熱性能が向上する。補充断熱材21には、例えば、壁断熱材13と同様のものが採用されうる。
【0029】
[屋根パネル]
屋根パネル6は、建物2の屋根11を形成するためのものである。本実施形態では、複数の屋根パネル6が、屋根梁9等に固定される。これにより、建物2の屋根11が形成される。
【0030】
図1及び図2に示されるように、屋根パネル6は、屋根断熱材22が含まれる。本実施形態の屋根パネル6には、垂木23と、野地板24とがさらに含まれている。これらの屋根断熱材22、垂木23及び野地板24が一体として固定されることで、屋根パネル6が形成される。これにより、建物2の工期の短縮や、屋根パネル6の品質の安定化の実現が可能となる。図4は、屋根パネル6の一部を示す分解斜視図である。
【0031】
垂木23は、棟側から軒側に向かって下降する勾配(屋根勾配)を有している。本実施形態では、建物2の外周(外壁通り)に沿って、複数の垂木23が間隔を空けて配されている。
【0032】
野地板24は、パネル状に形成されている。本実施形態の野地板24としては、例えば、強度の高い構造用合板が採用されうる。図2に示されるように、野地板24の下面24dは、垂木23の上面23uに当接しており、垂木23によって支持される。これにより、野地板24は、垂木23の勾配(屋根勾配)に沿って配置される。一方、野地板24の上面24uには、防水シート層(図示省略)を介して、屋根仕上材(図示省略)が配置される。この屋根仕上材としては、例えば、瓦、金属板葺、又は、スレート葺等が採用されうる。
【0033】
本実施形態の屋根パネル6は、屋根パネル固定部材25を介して、屋根梁9に固定されている。本実施形態の屋根パネル固定部材25は、第1部分25A、第2部分25B及び第3部分25Cを含んで構成されている。これらの第1部分25A、第2部分25B及び第3部分25Cは、それぞれ板状に形成されている。
【0034】
第1部分25Aは、水平方向(z軸方向)に延び、かつ、屋根梁9の第1フランジ9Bの上面と平行な面(x軸-z軸の平面)を有している。第2部分25Bは、第1部分25Aから上方に延び、かつ、垂木23の側面と平行な面(y軸-z軸の平面)を有している。第3部分25Cは、第1部分25Aから上方に延び、かつ、垂木23の側面と直交する面(x軸-y軸の平面)を有している。
【0035】
第1部分25Aの下面は、屋根梁9の第1フランジ9Bの上面に固定される。第2部分25Bの側面は、垂木23の側面に固定される。これらの固定には、ボルト等の固定金具26が用いられる。このような屋根パネル固定部材25により、屋根パネル6と屋根梁9とが強固に固定されうる。
【0036】
第2部分25Bの上端25uは、屋根勾配に沿って傾いている。このような上端25uが、野地板24の下面24dに当接されることにより、屋根パネル6が屋根勾配に沿って傾くように、屋根パネル6が容易に位置決めされうる。
【0037】
図2及び図4に示されるように、屋根断熱材22は、隣接する一対の垂木23、23と、野地板24とで囲まれる空間の少なくとも一部に配されている。図2に示されるように、本実施形態の屋根断熱材22の下面22dは、屋根勾配に沿って傾いている。このような屋根断熱材22により、図1に示した屋根11が断熱されるため、小屋裏27の有効活用が可能となる。本実施形態の屋根断熱材22は、例えば、発泡系断熱材(ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等)を含む断熱材料で構成されうる。
【0038】
図2に示されるように、屋根断熱材22の上面22uと直交する方向(屋根断熱材22の厚さ方向)において、屋根断熱材22の上面22uと、野地板24の下面24dとが離間しているのが好ましい。これにより、屋根パネル6には、屋根断熱材22と野地板24との間に、屋根勾配に沿って延びる通気層30が形成される。このような通気層30により、図1に示した外壁パネル5の通気層17から屋根パネル6側に排出された水蒸気(湿気)や、室内から屋根パネル6側に浸入した水蒸気(湿気)が、通気層30に沿った空気の流れによって、屋根パネル6の外部に排出されうる。
【0039】
図1に示されるように、屋根断熱材22は、外壁パネル5の通気層17の上方を覆う位置に配されているのが好ましい。これにより、通気層17から屋根パネル6側に排出された水蒸気(湿気)が、野地板24の下面24dに直接的に付着するのが抑制され、野地板24に結露が発生するのが防止されうる。このような作用を効果的に発揮させるために、屋根断熱材22の軒側の端部と、通気層17との最短距離L1は、20mm以上に設定されるのが好ましい。
【0040】
[内装パネル]
内装パネル8は、外壁パネル5のフレーム枠14に対して、屋内側Siに固定されている。図1及び図2に示されるように、本実施形態の内装パネル8には、例えば、内装断熱材28と、内装下地材29とが含まれている。これらの内装断熱材28と、内装下地材29とが、例えば、枠体38を介して一体に固定される。これにより、内装パネル8が形成されうる。
【0041】
内装断熱材28は、外壁パネル5の屋内側Siに配置されており、パネル状に形成されている。この内装断熱材28は、例えば、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォームを含む断熱材料で構成されうる。内装下地材29は、例えば、石膏ボードで構成されている。この内装下地材29は、内装断熱材28の屋内側Siに配置されている。
【0042】
[屋根梁断熱材]
図1に示されるように、屋根梁断熱材7は、屋根梁9を断熱するためのものである。この屋根梁断熱材7は、壁断熱材13と屋根断熱材22との間に配置されている。このような屋根梁断熱材7と、壁断熱材13及び屋根断熱材22とにより、外壁パネル5、屋根梁9及び屋根パネル6にかけて、断熱材が配置されうる。これにより、建物2の断熱性能が向上する。
【0043】
屋根梁断熱材7は、壁断熱材13と屋根断熱材22とに連続するように配置されるのが好ましい。これにより、建物2の断熱性能がさらに向上する。本実施形態では、補充断熱材21を介して、屋根梁断熱材7と壁断熱材13とが連続するように配置されているが、このような態様に限定されない。なお、本実施形態において、補充断熱材21と屋根梁断熱材7との間には、図2に示した屋根梁9の第2フランジ9Cと、外壁パネル固定部材19の第1部分19Aとが配されている。上述したように、外壁パネル固定部材19は、水平方向(x軸方向)に隔設されているため、x軸方向において、上下方向の隙間(図示省略)が形成されている。この隙間を介して、補充断熱材21と、屋根梁断熱材7とが、部分的に接触していることから、補充断熱材21と屋根梁断熱材7との間の断熱性が維持されている。したがって、補充断熱材21と屋根梁断熱材7とが連続するように配置されているものとして取り扱われる。
【0044】
屋根梁断熱材7は、第1梁断熱材31と、第2梁断熱材32とを含んで構成されている。
【0045】
第1梁断熱材31は、屋根梁断熱材7の一部を構成しており、屋根梁9の少なくとも一部と接触している。本実施形態の第1梁断熱材31は、図2に示した屋根梁9の一対の凹部9a、9bのうち、屋外側Soの凹部9aに配置されており、断面略矩形状に形成されている。
【0046】
第1梁断熱材31は、繊維系断熱材を含んで構成されるのが好ましい。このような第1梁断熱材31は、柔軟性を有しているため、屋根梁9の凹部9aに沿って柔軟に変形することができる。このため、第1梁断熱材31と凹部9aとの間に隙間が形成されるのが抑制されうる。したがって、第1梁断熱材31は、屋根梁9の断熱性能と、防音性能(吸音性能)とを向上しうる。繊維系断熱材の一例としては、ロックウールやグラスウール等が挙げられるが、特に限定されない。
【0047】
図1に示されるように、第1梁断熱材31が凹部9aに配置された状態において、第1梁断熱材31の屋外側Soの端部31tが、屋根梁9(第1フランジ9B及び第2フランジ9C)の屋外側Soの端部9tよりも、屋外側Soに配置されるのが好ましい。これにより、屋根梁9の凹部9aに、繊維系断熱材を含む多くの第1梁断熱材31が配置されるため、断熱性能及び防音性能がさらに向上する。
【0048】
第2梁断熱材32は、屋根梁断熱材7の一部を構成しており、第1梁断熱材31の外側(屋外側So)に配されている。この第2梁断熱材32は、第1梁断熱材31よりも硬質である。このような第2梁断熱材32が、柔軟性を有する第1梁断熱材31の外側に配置されることで、第2梁断熱材32と屋根梁9との間で、第1梁断熱材31が安定して保持されうる(挟み込まれうる)。したがって、建物2の施工性及び断熱性能が向上する。
【0049】
第2梁断熱材32は、発泡系断熱材を含んで構成されるのが好ましい。このような第2梁断熱材32は、防湿性能を有しているため、第1梁断熱材31への防湿加工を最小限に抑えつつ、第1梁断熱材31での結露が抑制されうる。したがって、建物の施工性が向上する。
【0050】
さらに、第2梁断熱材32は、発泡系断熱材の優れた断熱性能により、建物2の断熱性能が向上する。発泡系断熱材の一例としては、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等が挙げられるが、特に限定されない。
【0051】
第2梁断熱材32は、屋根断熱材22の下面22dと、外壁パネル5の上端5uとの間で、第2梁断熱材32の少なくとも一部が挟まれている(圧入されている)のが好ましい。このような第2梁断熱材32により、屋根断熱材22と外壁パネル5との間において、断熱材が連続して配置されるため、建物2の断熱性能が向上する。さらに、第2梁断熱材32は、屋根断熱材22の下面22dと、外壁パネル5の上端5uとの間で安定して保持されるため、建物2の施工性が向上する。
【0052】
図2に示されるように、第2梁断熱材32は、屋根勾配に沿って傾き、かつ、屋根断熱材22の下面22dに当接する上傾斜面32uを有している。このような上傾斜面32uにより、第2梁断熱材32は、屋根断熱材22の下面22dと密着することができるため、建物2の断熱性能が向上する。
【0053】
第2梁断熱材32の下面32dは、外壁パネル5の上横枠材14Aのウエブ18cに沿って水平方向(z軸方向)に延びている。これにより、第2梁断熱材32は、屋内側Siから屋外側Soに向かって、上下方向(y軸方向)の長さが漸減する断面台形状に形成されている。このような第2梁断熱材32が、図1に示した屋根断熱材22の下面22dと、外壁パネル5の上端5uとの間で、第2梁断熱材32の少なくとも一部が楔状に挟まれる(圧入される)ことにより、第2梁断熱材32が屋外側Soに抜け落ちるのが抑制される。これにより、屋根断熱材22の下面22dと、外壁パネル5の上端5uとの間で、第2梁断熱材32が安定して保持されるため、建物2の施工性が向上する。本実施形態の第1梁断熱材31の屋外側Soの端部31tが、屋根梁9(第1フランジ9B及び第2フランジ9C)の屋外側Soの端部9tよりも屋外側Soに配置されている。これにより、第1梁断熱材31による第2梁断熱材32(屋外側So)への反発力により、第2梁断熱材32が安定して保持されうる。
【0054】
[建物の施工方法]
次に、建物2の施工方法(以下、「施工方法」ということがある。)が説明される。図5は、建物の施工方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
[外壁パネルを準備(第1工程)]
本実施形態の施工方法では、先ず、図1及び図3に示した外壁パネル5が準備される(第1工程S1)。図1に示されるように、本実施形態では、建物2の外周(外壁通り)に沿って、複数の外壁パネル5が配置されることで、建物2の外壁12が形成される。このため、第1工程S1では、複数の外壁パネル5が準備される。
【0056】
本実施形態の第1工程S1では、先ず、図1及び図3に示されるように、フレーム枠14が準備される。上述したように、フレーム枠14は、図1に示した上横枠材14A及び下横枠材14Bと、図3に示した縦枠材14Cとが含まれる。これらの上横枠材14A及び下横枠材14Bが、縦枠材14Cの上端側及び下端側に接合されることで、正面視において矩形状のフレーム枠14が形成される。上横枠材14A及び下横枠材14Bと、縦枠材14Cとは、例えば、溶接等で接合される。
【0057】
次に、本実施形態の第1工程S1では、フレーム枠14で囲まれる空間に、壁断熱材13が配される。壁断熱材13の詳細は、上述のとおりである。
【0058】
次に、本実施形態の第1工程S1では、壁断熱材13の厚さ方向の一方側に、外装下地材15が配される。外装下地材15は、正面視矩形の板状に形成されており、胴縁16を介して、フレーム枠14に固着されている。これにより、外装下地材15と壁断熱材13との間には、上下に延びる通気層17が形成される。
【0059】
本実施形態の第1工程S1では、上記の手順が実施されることで、図1図3に示されるように、壁断熱材13と、外装下地材15と、通気層17とを含む外壁パネル5が準備されうる。このような外壁パネル5は、建物2の施工現場で準備されてもよいが、工場等において予め準備されるのが好ましい。これにより、建物2の工期の短縮や、外壁パネル5の品質の安定化が実現されうる。
【0060】
[屋根パネルを準備(第2工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1及び図4に示されるように、屋根パネル6が準備される(第2工程S2)。図1に示されるように、本実施形態では、複数の屋根パネル6が、屋根梁9等に固定されることで、建物2の屋根11が形成される。このため、第2工程S2では、複数の屋根パネル6が準備される。
【0061】
本実施形態の第2工程S2では、先ず、図4に示されるように、複数本の垂木23が、間隔を空けて配置される。次に、本実施形態の第2工程S2では、隣接する一対の垂木23、23の間に、屋根断熱材22が配置される。このとき、屋根断熱材22の上面22uは、垂木23の上面23uよりも下方に位置している。そして、屋根断熱材22と垂木23とが固定される。これらの屋根断熱材22と垂木23との固定には、例えば、公知の固定部材(図示省略)が用いられる。
【0062】
次に、本実施形態の第2工程S2では、図2及び図4に示されるように、垂木23の上面23uに、野地板24の下面24dが当接される。そして、垂木23と野地板24とが固定される。これらの垂木23と野地板24との固定には、例えば、ビスなどの固定部材(図示省略)が用いられる。
【0063】
本実施形態の第2工程S2では、上記の手順が実施されることで、図1及び図2に示されるように、屋根断熱材22と、垂木23と、野地板24とを含む屋根パネル6が準備されうる。本実施形態の屋根パネル6は、屋根断熱材22の上面22uと、野地板24の下面24dとが離間している。これにより、屋根パネル6には、屋根断熱材22と野地板24との間に、屋根勾配に沿って延びる通気層30が形成される
【0064】
屋根パネル6は、建物2の施工現場で準備されてもよいが、工場等において予め準備されるのが好ましい。これにより、建物2の工期の短縮や、屋根パネル6の品質の安定化が実現されうる。
【0065】
[屋根梁を準備(第3工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1及び図2に示した屋根梁9が準備される(第3工程S3)。本実施形態の屋根梁9は、建物2の架構体4を構成している。したがって、第3工程S3では、架構体4を構成するのに必要な複数の屋根梁9が準備される。
【0066】
図2に示されるように、屋根梁9は、ウエブ9A、第1フランジ9B及び第2フランジ9Cを含んでおり、H型鋼として構成されている。このような屋根梁9は、工場等において予め準備(製造)されるのが好ましい。
【0067】
[屋根梁断熱材を準備(第4工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、屋根梁断熱材7が準備される(第4工程S4)。上述したように、本実施形態では、複数の屋根梁9が準備される。このため、第4工程S4では、複数の屋根梁9のそれぞれを断熱するための複数の屋根梁断熱材7が準備される。
【0068】
本実施形態の屋根梁断熱材7は、第1梁断熱材31と、第2梁断熱材32とを含んで構成されている。これらの第1梁断熱材31及び第2梁断熱材32は、屋根梁断熱材7の一部をそれぞれ構成している。これらの第1梁断熱材31及び第2梁断熱材32は、工場等において予め準備(製造)されるのが好ましい。
【0069】
[第1梁断熱材を準備]
本実施形態の第4工程S4では、先ず、第1梁断熱材31を準備する工程が実施される。この工程では、第1梁断熱材31の少なくとも一部(本例では、全て)が、上述の繊維系断熱材で構成される。これにより、柔軟性を有する第1梁断熱材31が準備されうる。
【0070】
本実施形態では、第1梁断熱材31が凹部9aに配置される前の状態において、第1梁断熱材31の断面積が、屋根梁9の屋外側Soの凹部9aの面積と同一、又は、当該面積よりも大きく設定されている。これにより、凹部9aの全域に亘って配置(埋め込み)可能な第1梁断熱材31が準備されうる。なお、第1梁断熱材31の断面積は、y軸-z軸の平面に沿った断面で特定される。また、凹部9aの面積は、ウエブ9A、第1フランジ9B及び第2フランジ9Cとで囲まれる領域において、y軸-z軸の平面に沿った断面で特定される。
【0071】
[第2梁断熱材を準備]
次に、本実施形態の第4工程S4では、第2梁断熱材32を準備する工程が実施される。この工程では、第2梁断熱材32の少なくとも一部(本例では、全て)が、上述の発泡系断熱材で構成されている。これにより、第1梁断熱材31よりも硬質な第2梁断熱材32が準備されうる。
【0072】
本実施形態では、屋根勾配に沿って傾く上傾斜面32uを備えた第2梁断熱材32が準備される。さらに、本実施形態では、水平方向(x軸方向)に延びる下面32dを備えた第2梁断熱材32が準備される。これにより、上下方向(y軸方向)の長さが漸減する断面台形状の第2梁断熱材32が形成される。このような上傾斜面32uや下面32dは、第2梁断熱材32を構成する発泡系断熱材が、屋根勾配に沿って切断されることで、容易に形成されうる。
【0073】
[屋根梁を含む架構体を設置(第5工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1に示した屋根梁9を含む架構体4が設置される(第5工程S5)。本実施形態の第5工程S5では、従来と同様の手順に基づいて、架構体4が設置されうる。図6は、架構体4を設置する第5工程S5を説明するための部分断面図である。
【0074】
本実施形態の第5工程S5では、先ず、建物2の基礎33に、土台10が設置される。次に、本実施形態の第5工程S5では、土台10の長手方向(x軸方向)に沿って、複数本の柱34が隔設される。そして、隣接する柱34を跨るように、屋根梁9が固定される。これにより、架構体4が設置される。
【0075】
[外壁パネルを固定(第6工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1に示した外壁パネル5が、図6に示した架構体4の屋根梁9の下方空間35に固定される(第6工程S6)。本実施形態において、下方空間35は、屋根梁9、土台10及び柱34で囲まれる空間として特定される。図7は、外壁パネル5を固定する第6工程S6を説明するための部分断面図である。
【0076】
図1に示されるように、本実施形態では、建物2の外周(外壁通り)に沿って、複数の外壁パネル5が配置されることで、建物2の外壁12が形成される。このため、本実施形態の第6工程S6では、図6に示した屋根梁9の下方空間35に、図7に示した複数の外壁パネル5がそれぞれ固定される。これらの外壁パネル5と屋根梁9との固定には、外壁パネル固定部材19が用いられる。
【0077】
本実施形態の第6工程S6では、先ず、屋根梁9に、外壁パネル固定部材19が固定される。本実施形態では、屋根梁9の第2フランジ9Cの下面に、外壁パネル固定部材19の第1部分19Aの上面が固定される。屋根梁9と、外壁パネル固定部材19との固定には、ボルト等の固定金具20が用いられる。
【0078】
次に、本実施形態の第6工程S6では、外壁パネル5が、架構体4の屋根梁9の下方空間35(図6に示す)に配置され、外壁パネル固定部材19に固定される。本実施形態では、外壁パネル5の上横枠材14Aを構成する一対のフランジ18a、18bのうち、屋内側Siのフランジ18bに、外壁パネル固定部材19の第2部分19Bの屋外側Soの側面が固定される。外壁パネル固定部材19と、外壁パネル5との固定には、ボルト等の固定金具20が用いられる。
【0079】
このように、第6工程S6では、外壁パネル固定部材19が用いられることで、外壁パネル5が、架構体4の屋根梁9の下方空間35に容易に固定されうる。したがって、建物2の施工性が向上する。
【0080】
本実施形態の第6工程S6では、建物2の外周(外壁通り)に沿って、屋根梁9の下方空間35に、外壁パネル5が順次固定される。これらの外壁パネル5は、屋根梁9だけでなく、例えば、外壁パネル固定部材19を介して、土台10や柱34等にも固定されてもよい。
【0081】
[屋根パネルを屋根梁に固定(第7工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1及び図2に示した屋根パネル6が、屋根梁9に固定される(第7工程S7)。図8は、屋根パネル6を固定する第7工程S7を説明するための部分断面図である。
【0082】
図1に示されるように、本実施形態では、複数の屋根パネル6が、屋根梁9等に固定されることで、建物2の屋根11(図1に示す)が形成される。このため、本実施形態の第7工程S7では、複数の屋根パネル6がそれぞれ固定される。これらの屋根パネル6と屋根梁9との固定には、屋根パネル固定部材25が用いられる。
【0083】
本実施形態の第7工程S7では、先ず、屋根梁9に、屋根パネル固定部材25が固定される。本実施形態では、屋根パネル固定部材25の第1部分25Aの下面が、屋根梁9の第1フランジ9Bの上面に固定される。屋根パネル6と屋根パネル固定部材25との固定には、ボルト等の固定金具26が用いられる。
【0084】
次に、本実施形態の第7工程S7では、屋根パネル6が、屋根梁9の上方に配置され、屋根パネル固定部材25に固定される。本実施形態の屋根パネル固定部材25は、第2部分25Bの上端25uが、屋根勾配に沿って傾いている。この上端25uが、屋根パネル6の野地板24の下面24dに当接されることにより、屋根勾配に沿って、屋根パネル6を容易に傾けることが可能となる。したがって、建物2の施工性が向上する。
【0085】
本実施形態では、屋根パネル固定部材25の第2部分25Bの側面が、垂木23の側面に固定される。屋根パネル固定部材25と垂木23との固定には、ボルト等の固定金具(図示省略)が用いられる。
【0086】
このように、第7工程S7では、屋根パネル固定部材25が用いられることで、屋根パネル6を屋根勾配に沿って傾けて、かつ、その屋根勾配に沿って傾けられた外壁パネル5が屋根梁9に容易に固定されうる。したがって、建物2の施工性が向上する。さらに、第7工程S7では、屋根パネル6が屋根勾配に沿って傾けられることで、屋根断熱材22の下面22dを、屋根勾配に沿って容易に傾けることができる。
【0087】
本実施形態の第7工程S7では、外壁パネル5の通気層17の上方を、屋根断熱材22が覆うように、屋根パネル6が固定される。これにより、建物2は、通気層17から屋根パネル6側に排出された水蒸気(湿気)が、野地板24の下面24dに直接的に付着するのが抑制され、かつ、野地板24での結露の発生を防止しうる建物2の施工が可能となる。
【0088】
本実施形態の第7工程S7では、屋根梁9に沿って、複数の屋根パネル6が順次固定される。これらの屋根パネル6は、屋根梁9以外の部材に固定されてもよい。
【0089】
[屋根梁断熱材を配置(第8工程)]
次に、本実施形態の施工方法では、図1及び図2に示した屋根梁断熱材7が、壁断熱材13と屋根断熱材22との間に配置される(第8工程S8)。本実施形態の第8工程S8は、第6工程S6及び第7工程S7の後に実施される。図9は、屋根梁断熱材7を配置する第8工程S8を説明する部分断面図である。
【0090】
本実施形態の施工方法では、屋根梁断熱材7を配置する第8工程S8に先立ち、外壁パネル5を屋根梁9に固定する第6工程S6と、屋根パネル6を屋根梁9に固定する第7工程S7とが実施される。これにより、屋根梁9に固定される屋根梁断熱材7によって、外壁パネル5及び屋根パネル6の屋根梁9への固着が阻害されることがない。これにより、高い断熱性能を有する建物2の施工性が向上する。
【0091】
さらに、本実施形態の施工方法では、外壁パネル5及び屋根パネル6が屋根梁9に固定された後に、壁断熱材13と屋根断熱材22のとの間に、屋根梁断熱材7が配置される。これにより、屋根梁断熱材7を介して、例えば、壁断熱材13と屋根断熱材22とを容易に連続させることが可能となる。したがって、高い断熱性能を有する建物2の施工性が向上する。
【0092】
本実施形態の第8工程S8では、先ず、屋根梁9の少なくとも一部と接触するように、第1梁断熱材31を配置する工程が実施される。本実施形態では、屋根梁9の一対の凹部9a、9bのうち、屋外側Soの凹部9aに、第1梁断熱材31が配置(充填)される。これにより、屋根梁9の断熱性能と、防音性能(吸音性能)とが向上する。
【0093】
上述したように、第1梁断熱材31の断面積は、屋根梁9の凹部9a(ウエブ9A、第1フランジ9B及び第2フランジ9Cとで囲まれる部分)の面積と同一、又は、当該面積よりも大きく設定されている。これにより、第1梁断熱材31は、凹部9aの全域に亘って配置(埋め込み)されうる。図1に示されるように、本実施形態では、第1梁断熱材31の屋外側Soの端部31tが、屋根梁9(第1フランジ9B及び第2フランジ9C)の屋外側Soの端部9tよりも屋外側Soに配置されている。
【0094】
次に、本実施形態の第8工程S8では、図9に示されるように、第1梁断熱材31の外側に、第2梁断熱材32を配置する工程が実施される。
【0095】
第2梁断熱材32は、防湿性能を有する発泡系断熱材を含んで構成されている。このため、第1梁断熱材31の外側を覆うように、第2梁断熱材32が配置されることで、第1梁断熱材31に防湿材等の施工を必要とすることなく、第1梁断熱材31に結露が生じるのを防ぐことが可能となる。したがって、建物2の施工性が向上する。
【0096】
第2梁断熱材32は、屋根勾配に沿って傾く上傾斜面32uと、水平方向(x軸方向)に延びる下面32dとを備えている。本実施形態の第8工程S8では、屋根断熱材22の下面22dと外壁パネル5の上端5uとの間で、第2梁断熱材32の少なくとも一部が挟まれる(圧入される)ように、屋根断熱材22の下面22dに、第2梁断熱材32の上傾斜面32uを当接させている。これにより、第2梁断熱材32は、屋根断熱材22の下面22dと外壁パネル5の上端5uとの間に、楔状に挟まれるため、それらの間に安定して保持されうる。したがって、施工性が向上する。
【0097】
本実施形態の第8工程S8では、第1梁断熱材31及び第2梁断熱材32が配置されることで、壁断熱材13と屋根断熱材22との間に、屋根梁断熱材7が配置されうる。
【0098】
本実施形態の第8工程S8は、屋根梁断熱材7(第1梁断熱材31及び第2梁断熱材32)が、壁断熱材13と屋根断熱材22とに連続するように配置されている。本実施形態では、図1に示されるように、補充断熱材21を介すことで、屋根梁断熱材7と壁断熱材13とが連続するように配置されているが、このような態様に限定されない。
【0099】
このように、本実施形態では、第1工程S1~第8工程S8の処理が順次実施されることで、図1に示されるように、外壁パネル5及び屋根パネル6が、屋根梁9に固定された建物2が形成される。このような建物2では、屋根梁断熱材7を介して、壁断熱材13と屋根断熱材22とが連続して配置されるため、高い断熱性能を有する。
【0100】
本実施形態の施工方法では、内装パネル8、補充断熱材21、天井36及び床37が、任意のタイミングで設置されうる。これらの内装パネル8、天井36及び床37の設置は、屋根梁断熱材7によって阻害されないため、施工性が向上する。
【0101】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0102】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0103】
[本発明1]
建物の施工方法であって、
壁断熱材を含む外壁パネルを準備する第1工程と、
屋根断熱材を含む屋根パネルを準備する第2工程と、
屋根梁を準備する第3工程と、
前記屋根梁を断熱するための屋根梁断熱材を準備する第4工程と、
前記屋根梁を含む架構体を設置する第5工程と、
前記外壁パネルを前記架構体の前記屋根梁の下方空間に固定する第6工程と、
前記屋根パネルを前記屋根梁に固定する第7工程と、
前記第6工程及び前記第7工程の後、前記屋根梁断熱材を、前記壁断熱材と前記屋根断熱材との間に配置する第8工程とを含む、
建物の施工方法。
[本発明2]
前記第8工程は、前記屋根梁断熱材を、前記壁断熱材と前記屋根断熱材とに連続するように配置する、本発明1に記載の建物の施工方法。
[本発明3]
前記第4工程は、
前記屋根梁断熱材の一部を構成する第1梁断熱材を準備する工程と、
前記屋根梁断熱材の一部を構成し、かつ、前記第1梁断熱材よりも硬質な第2梁断熱材を準備する工程とを含み、
前記第8工程は、
前記屋根梁の少なくとも一部と接触するように、前記第1梁断熱材を配置する工程と、
前記第1梁断熱材の外側に、前記第2梁断熱材を配置する工程とを含む、本発明1又は2に記載の建物の施工方法。
[本発明4]
前記第1梁断熱材を準備する工程は、前記第1梁断熱材の少なくとも一部を、繊維系断熱材で構成し、
前記第2梁断熱材を準備する工程は、前記第2梁断熱材の少なくとも一部を、発泡系断熱材で構成する、本発明3に記載の建物の構造。
[本発明5]
前記第2梁断熱材を準備する工程は、屋根勾配に沿って傾く上傾斜面を備えた前記第2梁断熱材を準備し、
前記第7工程は、前記屋根断熱材の下面が前記屋根勾配に沿って傾くように、前記屋根パネルを固定し、
前記第2梁断熱材を配置する工程は、前記屋根断熱材の前記下面と前記外壁パネルの上端との間で、前記第2梁断熱材の少なくとも一部が挟まれるように、前記屋根断熱材の前記下面に、前記第2梁断熱材の前記上傾斜面を当接させる、
本発明3又は4に記載の建物の施工方法。
[本発明6]
前記第1工程は、前記壁断熱材と、前記壁断熱材の厚さ方向の一方側に配された外装下地材と、前記外装下地材と前記壁断熱材との間で上下に延びる通気層とを含む前記外壁パネルを準備し、
前記第7工程は、前記通気層の上方を、前記屋根断熱材が覆うように、前記屋根パネルを固定する、本発明1ないし5のいずれかに記載の建物の施工方法。
[本発明7]
建物の構造であって、
屋根梁を含む架構体と、
前記架構体の前記屋根梁の下方空間に固定され、かつ、壁断熱材を含む外壁パネルと、
前記屋根梁に固定され、かつ、屋根断熱材を含む屋根パネルと、
前記壁断熱材と前記屋根断熱材との間に配置された屋根梁断熱材とを含み、
前記屋根梁断熱材は、第1梁断熱材と、前記第1梁断熱材の外側に配され、かつ、前記第1梁断熱材よりも硬質な第2梁断熱材とを含む、
建物の構造。
[本発明8]
前記屋根梁断熱材は、前記壁断熱材と前記屋根断熱材とに連続するように配置されている、本発明7に記載の建物の構造。
[本発明9]
前記第1梁断熱材は、繊維系断熱材を含み、
前記第2梁断熱材は、発泡系断熱材を含む、本発明7又は8に記載の建物の構造。
[本発明10]
前記屋根断熱材の下面は、屋根勾配に沿って傾いており、
前記第2梁断熱材は、前記屋根断熱材の前記下面と前記外壁パネルの上端との間で、前記第2梁断熱材の少なくとも一部が挟まれるように、前記屋根勾配に沿って傾き、かつ、前記屋根断熱材の前記下面に当接する上傾斜面を有する、本発明7ないし9のいずれかに記載の建物の構造。
[本発明11]
前記外壁パネルは、前記壁断熱材の厚さ方向の一方側に配された外装下地材と、前記外装下地材と前記壁断熱材との間で上下に延びる通気層とをさらに含み、
前記屋根断熱材は、前記通気層の上方を覆う位置に配されている、本発明7ないし10のいずれかに記載の建物の構造。
【符号の説明】
【0104】
4 架構体
5 外壁パネル
6 屋根パネル
7 屋根梁断熱材
9 屋根梁
13 壁断熱材
22 屋根断熱材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9