(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019435
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20250131BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20250131BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20250131BHJP
【FI】
F25B1/00 321L
F25B1/00 311C
F25B43/00 L
F24F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123049
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 稜
(57)【要約】
【課題】制御ユニットの冷却を効率的に行うことができる冷却構造を備える空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、室外熱交換器と、室内熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、第2の四方弁と、気液分離器と、膨張弁と、冷却用熱交換器と、エジェクタと、第3の配管と、を備える。冷却用熱交換器は、第1の配管において圧縮機の吸入口に接続されて、室外機に設けられて当該室外機を制御する制御ユニットを冷却する。エジェクタは、第1の配管に設けられ、気液分離器の第3の開口から冷媒が流入する第1の流入口と、第1の四方弁から冷媒が流入する第2の流入口と、冷却用熱交換器に第1の流入口から流入した冷媒と第2の流入口から流入した冷媒とを混合させて流出させる流出口と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機に設けられた室外熱交換器と、
室内機に設けられた室内熱交換器と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な第1の四方弁と、
前記第2の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な第2の四方弁と、
前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続されて前記冷媒が流入可能な第1の開口と、前記第2の四方弁に接続されて液状の前記冷媒が流出可能な第2の開口と、前記第1の配管に少なくとも液状の前記冷媒を流出可能な第3の開口と、が設けられた気液分離器と、
前記気液分離器の前記第2の開口と前記第2の四方弁との間に設けられた膨張弁と、
前記第1の配管において前記圧縮機の前記吸入口に接続されて、前記室外機に設けられて当該室外機を制御する制御ユニットを冷却する冷却用熱交換器と、
前記第1の配管に設けられ、前記気液分離器の前記第3の開口から冷媒が流入する第1の流入口と、前記第1の四方弁から前記冷媒が流入する第2の流入口と、前記冷却用熱交換器に前記第1の流入口から流入した前記冷媒と前記第2の流入口から流入した前記冷媒とを混合させて流出させる流出口と、を備える、エジェクタと、
前記気液分離器の第3の開口と前記エジェクタの第1の流入口とを接続する第3の配管と、
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記冷却用熱交換器は、前記制御ユニットに含まれる電子部品と接触している、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室外熱交換器は、冷媒が通過する冷媒管と当該冷媒管が貫通する熱交換フィンとを備え、
前記冷却用熱交換器は、放熱フィンを備えるとともに、前記流出口から流出する冷媒が前記冷媒管の一部に流れ、当該冷媒管に前記放熱フィンを接触させる、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外機は、
前記室外熱交換器と当該室外熱交換器に空気を供給するファンとを含む主風路と、
前記主風路とは独立した風路であって、前記制御ユニットに含まれる電子部品と冷却用熱交換器とを含む冷却用風路と、
を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記冷却用風路の空気取り入れ口は、前記冷却用風路の孔形状の内部側から端部側に向かって広がるベルマウス形状である、請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記冷却用風路は、冷却風用ファンを備える、請求項4または請求項5に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。室外機は、内蔵する室外送風ファンの駆動によって室外熱交換器の周囲の空気を外部に排出させるとともに、外気を吸い込んで室外熱交換器の周囲を通過させることにより熱交換を促進している。このような室外機には、圧縮機等の機器を駆動するための電子部品を実装した制御ユニットが収められている。電子部品は、駆動時に発熱しやすく、また周囲温度の上昇の影響を受けやすい。そのため、電子部品を適切な温度範囲で動作させるための冷却構造を備える空気調和装置(室外機)が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般家庭用の室外機は、屋外の僅かなスペースを利用して設置される場合が多い。特に、マンション等でバルコニー等に設置される場合には、周囲に遮蔽物が存在する場合多い。そのため、例えば、冷房運転時において、室外機から排出される熱交換後の温風(熱風)が遮蔽物で拡散を阻まれ、室外機の周囲で滞留し易く、高温の空気が再び室外機の外気吸込み口から室外機内部に吸い込まれ、ショートサーキットを形成し易い場合がある。特に猛暑等で室外機の周囲温度自体が高い場合には、外気と排出された熱風の混合により、吸込み空気の温度が上昇する。このような状況でショートサーキットが形成されると、制御ユニット(電子部品等)の冷却が十分に行われず、制御ユニットの温度が上昇する場合があった。また、ショートサーキットが形成されない場合でも、制御ユニットは、なるべく高温にならないよう冷却することが望ましい。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、制御ユニット(電子部品等)の冷却を効率的に行うことができる冷却構造を備える空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室外熱交換器と、室内熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、第2の四方弁と、気液分離器と、膨張弁と、冷却用熱交換器と、エジェクタと、第3の配管と、を備える。室外熱交換器は、室外機に設けられる。室内熱交換器は、室内機に設けられる。第1の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。第1の四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。第2の四方弁は、前記第2の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。気液分離器は、前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続されて前記冷媒が流入可能な第1の開口と、前記第2の四方弁に接続されて液状の前記冷媒が流出可能な第2の開口と、前記第1の配管に少なくとも液状の前記冷媒を流出可能な第3の開口と、が設けられている。膨張弁は、前記気液分離器の前記第2の開口と前記第2の四方弁との間に設けられる。冷却用熱交換器は、前記第1の配管において前記圧縮機の前記吸入口に接続されて、前記室外機に設けられて当該室外機を制御する制御ユニットを冷却する。エジェクタは、前記第1の配管に設けられ、前記気液分離器の前記第3の開口から冷媒が流入する第1の流入口と、前記第1の四方弁から前記冷媒が流入する第2の流入口と、前記冷却用熱交換器に前記第1の流入口から流入した前記冷媒と前記第2の流入口から流入した前記冷媒とを混合させて流出させる流出口と、を備える。第3の配管は、前記気液分離器の第3の開口と前記エジェクタの第1の流入口とを接続する。
【0007】
また、空気調和装置の前記冷却用熱交換器は、例えば、前記制御ユニットに含まれる電子部品と接触していてもよい。
【0008】
また、空気調和装置の前記室外熱交換器は、例えば、冷媒が通過する冷媒管と当該冷媒管が貫通する熱交換フィンとを備え、前記冷却用熱交換器は、放熱フィンを備えるとともに、前記流出口から流出する冷媒が前記冷媒管の一部に流れ、当該冷媒管に前記放熱フィンを接触させるようにしてもよい。
【0009】
また、空気調和装置の前記室外機は、例えば、前記室外熱交換器と当該室外熱交換器に空気を供給するファンとを含む主風路と、前記主風路とは独立した風路であって、前記制御ユニットに含まれる電子部品と冷却用熱交換器とを含む冷却用風路と、を備えてもよい。
【0010】
また、空気調和装置の前記冷却用風路の空気取り入れ口は、例えば、前記冷却用風路の孔形状の内部側から端部側に向かって広がるベルマウス形状であってもよい。
【0011】
また、空気調和装置の前記冷却用風路は、例えば、冷却風用ファンを備えてもよい。
【0012】
以上の空気調和装置によれば、例えば、室外機の内部に設けられた制御ユニットをより効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて冷房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る空気調和装置の室外機に搭載されるエジェクタの構成を説明する例示的かつ模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る空気調和装置の制御装置およびその制御装置によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成および冷却用熱交換器の配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す冷却用熱交換器の構成および制御ユニット(電子部品)の冷却構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成および冷却用熱交換器の配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す室外機の構成を示す例示的かつ模式的な上面図である。
【
図9】
図9は、
図8のA-A断面を示す例示的かつ模式的な構成図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成および冷却用熱交換器の配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す冷却用熱交換器の構成を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成および冷却用熱交換器の配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す冷却用熱交換器を備えるベルマウス付きの冷却用風路のおよび制御ユニット(電子部品)の冷却構造を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図14】
図14は、冷却用風路がベルマウスを備えない場合に圧力損失が発生する場合を示す例示的かつ模式的な比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、いくつかの実施形態について、
図1~
図15を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。なお、
図1は、冷房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図であり、
図2は、暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【0015】
図1、
図2は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。なお、
図1と
図2は、冷媒の流れる方向が異なるのみで、各構成は同じである。
【0016】
図1、
図2に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、第1の四方弁25と、第2の四方弁26と、エジェクタ27と、気液分離器28と、膨張弁29と、冷却用熱交換器30等を有する。また、室内機12は、室内熱交換器41と、室内送風ファン42とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、第3の配管53等を含む。
【0020】
第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、第1の四方弁25、エジェクタ27、冷却用熱交換器30は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、第1の領域51a、第2の領域51b、第3の領域51c、第4の領域51d、第5の領域51e、第6の領域51fを有する。第1の領域51aは、第1の四方弁25と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第2の領域51bは、第1の四方弁25とエジェクタ27の第2の流入口27bとを接続する配管領域である。第3の領域51cは、第1の四方弁25と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第4の領域51dは、第1の四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。第5の領域51eは、エジェクタ27の流出口27cと冷却用熱交換器30の流入口30aとを接続する配管領域である。第6の領域51fは、冷却用熱交換器30の流出口30bとアキュムレータ24とを接続する配管領域である。
【0021】
第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続する。第2の四方弁26、気液分離器28、膨張弁29は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、第7の領域52a、第8の領域52b、第9の領域52c、第10の領域52d、第11の領域52eを有する。第7の領域52aは、室外熱交換器21と第2の四方弁26とを接続する配管領域である。第8の領域52bは、第2の四方弁26と気液分離器28の第1の開口28aとを接続する配管領域である。第9の領域52cは、気液分離器28の第2の開口28bと膨張弁29とを接続する配管領域である。第10の領域52dは、膨張弁29と第2の四方弁26とを接続する配管領域である。第11の領域52eは、第2の四方弁26と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。
【0022】
第3の配管53は、気液分離器28の第3の開口(液用第3の開口28c、ガス用第3の開口28d)とエジェクタの第1の流入口27aとを接続する配管領域である。第3の配管53は、第12の領域53a、第13の領域53bを有する。第12の領域53aは、気液分離器28の液用第3の開口28cとエジェクタの第1の流入口27aとを接続する配管領域である。また、第13の領域53bは、気液分離器28のガス用第3の開口28dとエジェクタの第1の流入口27aとを接続する配管領域である。つまり、気液分離器28で気液分離された冷媒のうち液冷媒の一部は、膨張弁29に供給される。また、気液分離器28で気液分離された冷媒のうち液冷媒の一部と分離されたガス冷媒は、エジェクタ27の第1の流入口27aに、液ガスの状態で供給される。なお、
図1、
図2において、第3の配管53は、液冷媒用の第12の領域53aとガス冷媒用の第13の領域53bを分けた構成としたが、液ガス二相の冷媒をエジェクタの第1の流入口27aの供給する単一の液ガス用の配管領域を有するものとしてもよい。この場合、第12の領域53aと第13の領域53bとのいずれか一方の配管領域が省略可能となり、第3の配管53のシンプル化に寄与することができる。
【0023】
図1に示されるように、空気調和装置10の冷房運転および除湿運転時において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41からエジェクタ27、冷却用熱交換器30、アキュムレータ24、圧縮機23を介して、室外熱交換器21へ流れ、第2の配管52を通って室外熱交換器21から気液分離器28、膨張弁29を介して、室内熱交換器41へ流れる。また、
図2に示されるように、空気調和装置10の暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室外熱交換器21からエジェクタ27、冷却用熱交換器30、アキュムレータ24、圧縮機23を介して、室内熱交換器41へ流れ、第2の配管52を通って室内熱交換器41から気液分離器28を介して、膨張弁29を介して、室外熱交換器21へ流れる。なお、気液分離器28に一時的に貯留された液ガス状態の冷媒は、エジェクタ27を介して第1の配管51に流れ、さらに冷却用熱交換器30、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻される。
【0024】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に対して送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0025】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0026】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、ガス状の冷媒と液状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過したガス状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0027】
第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと、室外熱交換器21と、エジェクタ27の第2の流入口27bと、室内熱交換器41と、に接続される。第1の四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時(除湿運転時)とで、圧縮機23の吐出口23bと、室外熱交換器21と、エジェクタ27の第2の流入口27bと、室内熱交換器41と、のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0028】
冷房運転時および除湿運転時において、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bを室外熱交換器21に接続し、高温高圧のガス状の冷媒を凝縮器として機能する室外熱交換器21に供給する。室外熱交換器21で熱交換された冷媒は、第2の四方弁26、気液分離器28を介して膨張弁29に供給され、膨張弁29の膨張作用により低温低圧の冷媒に変化し、第2の四方弁26を介して、蒸発器として機能する室内熱交換器41に流れる。そして、室内熱交換器41で熱交換が行われ、冷房運転時には、室内に向けて冷風を放出する。また、除湿運転時には結露(結露水)を発生させるとともに結露水を回収して除湿を行う。冷房運転時および除湿運転時において、第1の四方弁25は、室内熱交換器41とエジェクタ27の第2の流入口27bとを接続し、室内熱交換器41から吐出される低温低圧のガス状の冷媒をエジェクタ27に吸引流として供給する。エジェクタ27に供給された吸引流は、エジェクタ27に気液分離器28から供給される気液二相状態の冷媒(駆動流)と混合される。エジェクタ27におけるエジェクタ効果により温度調整および昇圧された状態の冷媒は蒸発器として機能する冷却用熱交換器30でガス化されて圧縮機23に戻される。冷却用熱交換器30で熱交換が行われる際に、制御ユニット(電子部品)の冷却を行う。
【0029】
また、暖房運転時において、
図2に示されるように、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続し、高温高圧の気体状の冷媒を凝縮器として機能する室内熱交換器41に供給する。暖房運転時には、室内に向けて温風を放出する。室内熱交換器41で熱交換(凝縮)された冷媒は、第2の四方弁26を介して気液分離器28に供給され、分離された液状の冷媒は、膨張弁29の膨張作用により低温低圧の冷媒に変化し、第2の四方弁26を介して、蒸発器として機能する室外熱交換器21に流れる。そして、室外熱交換器21で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒は、第1の四方弁25を介してエジェクタ27の第2の流入口27bに吸引流として供給する。エジェクタ27に供給された吸引流は、エジェクタ27に気液分離器28から供給される気液二相状態の冷媒(駆動流)と混合される。エジェクタ27におけるエジェクタ効果により温度調整および昇圧された状態の冷媒は蒸発器として機能する冷却用熱交換器30でガス化されて圧縮機23に戻される。冷却用熱交換器30で熱交換が行われる際に、制御ユニット(電子部品)の冷却を行う。
【0030】
第2の四方弁26は、室内熱交換器41と、膨張弁29と、室外熱交換器21と、気液分離器28の第1の開口28aに接続される。第2の四方弁26は、冷房運転時(除湿運転時)と暖房運転時とで、室内熱交換器41と、膨張弁29と、室外熱交換器21と、気液分離器28の第1の開口28aのそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。なお、第2の四方弁26としては、一般的な四方弁に限らず、冷媒の流れる方向を変更できれば、その他の構成の弁であってもよい。例えば、4つの逆止弁を環状に繋いだブリッジ回路で置き替えてもよい。なお、第2の四方弁としてブリッジ回路を採用した場合は、後述する第2の四方弁駆動回路は省略が可能である。
【0031】
冷房運転時または除湿運転時において、
図1に示さるように、第2の四方弁26は、室内熱交換器41と膨張弁29とを接続し、膨張弁29での膨張の結果として低温低圧になった液状の冷媒を室内熱交換器41に供給する。また、第2の四方弁26は、室外熱交換器21と気液分離器28の第1の開口28aとを接続することにより、室外熱交換器21での熱交換の結果として中温高圧になった液状の冷媒を気液分離器28の第1の開口28aに供給する。
【0032】
また、暖房運転時において、
図2に示されるように、第2の四方弁26は、室内熱交換器41と気液分離器28の第1の開口28aを接続し、室内熱交換器41で熱交換の結果として凝縮した中温高圧の液状の冷媒を気液分離器28の第1の開口28aに供給する。また、第2の四方弁26は、膨張弁29と室外熱交換器21を接続することで、膨張弁29の膨張作用により低圧低温になった液状の冷媒を室外熱交換器21に供給する。
【0033】
気液分離器28は、第2の配管52に設けられる。気液分離器28は、例えば表面張力式気液分離器である。なお、気液分離器28は、液体状態の冷媒を一時的に貯留できれば、レシーバータンク等の他の気液分離器であってもよい。気液分離器28に、第1の開口28a(液ガス冷媒入口)と、第2の開口28b(液冷媒出口)と、第3の開口として液用第3の開口28c(液冷媒出口)、ガス用第3の開口28d(ガス冷媒出口)とが設けられる。気液分離器28は、冷房運転時(除湿運転時)および暖房運転時において、第1の開口28aは、液ガス二相の冷媒を受け入れ、第2の開口28bは、液冷媒を流出させる。また、液用第3の開口28cは、液冷媒を流出させ、ガス用第3の開口28dは、ガス冷媒を流出する。なお、上述したように、第3の配管53を液ガス二相の冷媒を流出させるように構成する場合、気液分離器28は、液ガス二相の冷媒を受け入る第1の開口28aと、膨張弁29に液冷媒を流出させる第2の開口28bと、液ガス二相の冷媒をエジェクタの第1の流入口27aに流出させる第3の開口としてもよい。この場合、気液分離器28は、入口一つ、出口二つのシンプルな構成とすることができる。
【0034】
エジェクタ27は、第1の配管51に設けられる。より具体的には、エジェクタ27は、第1の流入口27aと第2の流入口27bと流出口27cとを備える。第1の流入口27aには、冷房運転時および暖房運転時において気液分離器28の液用第3の開口28cから液冷媒が駆動流として流入し、ガス用第3の開口28dからガス冷媒が駆動流として流入する。また、第2の流入口27bには、冷房運転時に第1の四方弁25を介して室内熱交換器41から低温低圧のガス冷媒が流入する。また、第2の流入口27bには、暖房運転時に第1の四方弁25を介して室外熱交換器21から低温低圧のガス冷媒が流入する。そして、流出口27cは、冷房運転時および暖房運転時において第1の流入口27aに供給された冷媒と第2の流入口27bに供給された冷媒とを混合するとともに昇圧した状態の低温の冷媒を冷却用熱交換器30に流出させる。
【0035】
図3は、本実施形態のエジェクタ27の構造を示す例示的かつ模式的に示す断面図である。
図2に示すように、エジェクタ27は、簡素な構造を有するため、保守及び空気調和装置10への組み込みが容易である。なお、エジェクタ27の構造は、
図2の例に限られない。エジェクタ27には、第1の流入口27aと、第2の流入口27bと、流出口27cと、ノズル部61と、吸引部62と、混合部63と、ディフューザ部64とが設けられる。
【0036】
エジェクタ27の場合、
図1に示すように、第1の流入口27aは、第3の配管53の第12の領域53aおよび第13の領域53bを介して気液分離器28に接続されている。つまり、冷房運転時および暖房運転時において、第1の流入口27aには、気液二相の冷媒が駆動流として流れ込む。また、第2の流入口27bは、第1の配管51の第2の領域51bに接続される。冷房運転時には、室内熱交換器41から、暖房運転時には、室外熱交換器21からガス状の冷媒が流れ込む。この場合、液状の冷媒が含まれていてもよい。流出口27cは、第1の配管51の第5の領域51eに第1の流入口27aと第2の流入口27bとから流入した冷媒が混合され昇圧された状態で吐出される。エジェクタ27は、流量制御により温度調整が行われた低温の冷媒を冷却用熱交換器30に供給する。
【0037】
図3に示すように、エジェクタ27のノズル部61は、第1の流入口27aと混合部63との間に設けられる。ノズル部61は、混合部63に向かって先細る部分と徐々に拡大する部分とを有した流路である。なお、ノズル部61の形状は、これには限らず、流入した冷媒を減圧して高速で噴射することができれば、どのような構造であってもよい。ノズル部61は、第1の流入口27aに流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部63に噴出する。ノズル部61の出口近傍における圧力が低いため、ノズル部61に接続された第1の流入口27aは、冷媒を駆動流として吸引できる。
【0038】
吸引部62は、第2の流入口27bと混合部63との間に設けられる。吸引部62は、ノズル部61の周りに設けられ、混合部63に向かって先細る部分を有した略円筒状の流路である。吸引部62は、第2の流入口27bに流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部63に噴出する。吸引部62の出口近傍における圧力が低いため、吸引部62に接続された第2の流入口27bは、冷媒を吸引流として吸引できる。
【0039】
混合部63は、ノズル部61及び吸引部62と、ディフューザ部64との間に設けられる。エジェクタ27は、混合部63において、吸引部62から噴出した冷媒を、ノズル部61から噴出した冷媒と混合する。
【0040】
ディフューザ部64は、混合部63と流出口27cとの間に設けられる。ディフューザ部64は、流出口27cに向かって拡大する部分を有した流路である。混合部63で混合された冷媒は、ディフューザ部64で減速して昇圧し、流出口27cから放出される。
【0041】
エジェクタ27は、エジェクタ電磁弁65を有する。エジェクタ電磁弁65は、第1の流入口27aを開閉することが可能で、駆動流の流量制御が可能で、エジェクタ効果(ゼロ~最大)の調整が可能である。なお、
図3において、エジェクタ電磁弁65はノズル部61の外部に位置する例を示しているが、エジェクタ電磁弁65はノズル部61内部または他の部分に設けられてもよい。例えば、ノズル部61に挿入して開度を調整するニードル状の弁であってもよい。エジェクタ電磁弁65は、開度を制御されることで、第1の流入口27aに供給される冷媒の量を調節する。なお、エジェクタ27において、第2の流入口27bに供給される冷媒の量は、第1の流入口27aと同様にエジェクタ電磁弁を第2の流入口27bの部分または内部に設けてもよく、エジェクタ効果の調整を行うようにしてもよい。
【0042】
膨張弁29は、気液分離器28の第2の開口28bと第2の四方弁26との間に設けられる。膨張弁29は、例えば、電磁膨張弁である。なお、膨張弁29は、他の膨張弁であってもよい。膨張弁29は、開度を制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。
【0043】
冷却用熱交換器30は、第1の配管51においてエジェクタ27の流出口27cと圧縮機23の吸入口23a(アキュムレータ24)との間に接続されて、室外機11に設けられて当該室外機11を制御する室外制御装置14aに含まれる制御ユニットの電子部品(発熱部品)を冷却する。つまり、冷却用熱交換器30は、蒸発器として機能して、周囲から熱を吸収することで電子部品の冷却を行い、室外機11の機能の維持に寄与することができる。なお、冷却用熱交換器30の冷却能力を、より高めたい場合には、膨張弁29の開度を絞り側に制御する。膨張弁29の開度を絞ることにより、冷媒の膨張率が上がり、冷媒をより低温低圧の状態にすることができる。例えば、冷房運転時には、低温低圧の冷媒が、室内熱交換器41を介してエジェクタ27の第2の流入口27bに吸引流として供給される。また、暖房運転時には、低温低圧の冷媒が室外熱交換器21を介してエジェクタ27の第2の流入口27bに吸引流として供給される。その結果、エジェクタ27の流出口27cから流出する混合流の温度を下げ、冷却用熱交換器30の冷却能力を向上することができる。逆に、膨張弁29の開度を開き側に制御すると、エジェクタ27の第2の流入口27bに吸引流として供給される冷媒の温度を高めることができる。つまり、エジェクタ27の流出口27cから流出する混合流の温度を上げて、冷却用熱交換器30の冷却能力を抑制することができる。
【0044】
また、冷却用熱交換器30は、制御ユニット(発熱部品)と熱交換を行うことにより、内部に流れる冷媒のガス化を行うことができる。例えば、冷却用熱交換器30が存在しない構成の場合、蒸発器として機能する室外熱交換器21または室内熱交換器41で、圧縮機23に戻す冷媒のガス化を行っていた。一方、本実施形態のように、冷却用熱交換器30を備える場合、冷却用熱交換器30で制御ユニとの冷却を行う際に冷媒のガス化を行うことができる。つまり、室外熱交換器21または室内熱交換器41が蒸発器として機能する場合の負荷を軽減することができる。その結果、室外熱交換器21や室内熱交換器41の小型化に寄与することができる。このような冷却用熱交換器30を用いた冷却構造の詳細は後述する。
【0045】
制御装置14は、室外機11および室内機12に設けられる上述した室外送風ファン22、室内送風ファン42、圧縮機23、および各制御弁等の制御を行い、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転制御を行う。制御装置14は、例えば、室外機11に設けられた室外制御装置14a、室内機12に設けられた室内制御装置14b等で構成される。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、電気的に接続され相互に制御信号の送受を行い、協働して室外機11と室内機12の制御を行う。室内機12に設けられた室内制御装置14bは、例えば、利用者が操作するリモートコントローラから信号を入力されて制御されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されて制御されてもよい。なお、室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、まとめて一つの制御装置14としてもよい。この場合、制御装置14は、室外機11に設けても室内機12に設けてもよいが、例えば室内機12に設けることができる。
【0046】
制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。
【0047】
図4は、本実施形態の空気調和装置10の制御装置14およびその制御装置14によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
図4に示すように、本実施形態の空気調和装置10は、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85、膨張弁駆動回路86、エジェクタ電磁弁駆動回路87等とを有する。
【0048】
室外ファン駆動回路81は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路82は、室内送風ファン42の駆動回路である。インバータ回路83は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の周波数を変更する。インバータ回路83は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路83は、この例に限られない。
【0049】
第1の四方弁駆動回路84は、第1の四方弁25の駆動回路である。第2の四方弁駆動回路85は、第2の四方弁26の駆動回路である。膨張弁駆動回路86は、膨張弁43の駆動回路である。エジェクタ電磁弁駆動回路87は、エジェクタ電磁弁65の駆動回路である。
【0050】
制御装置14は、温度センサT1,T2・・・と、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85、膨張弁駆動回路86、エジェクタ電磁弁駆動回路87とに接続される。なお、
図1、
図2、
図4では、図示の簡略化のため、温度センサは、室内熱交換器41の温度を測定する温度センサT1、冷却用熱交換器30の温度を測定する温度センサT2のみを図示しているが、室外機11、室内機12の各構成部品や冷媒配管13の各所の温度を測定する温度センサが複数設けられている。制御装置14は、温度取得部91と、運転切替部92と、室外ファン制御部93と、室内ファン制御部94と、圧縮機制御部95と、弁制御部96とを備える。
【0051】
温度取得部91は、温度センサT1,T2・・・を用いて、冷凍サイクル内の各部分の温度を測定し、測定した温度に基づき、室外機11および室内機12の制御を実行する。
【0052】
運転切替部92は、空気調和装置10における冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転の切り替えを行う。
【0053】
室外ファン制御部93は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部93は、室外ファン駆動回路81を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0054】
室内ファン制御部94は、室内送風ファン42を制御する。例えば、室内ファン制御部94は、室内ファン駆動回路82を制御することで、室内送風ファン42のモータの回転数を制御する。
【0055】
圧縮機制御部95は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部95は、インバータ回路83を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の周波数(運転周波数)を制御する。
【0056】
弁制御部96は、第1の四方弁25、第2の四方弁26、膨張弁29、エジェクタ電磁弁65を制御する。弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84を制御することで、第1の四方弁25のアクチュエータを駆動し、第1の四方弁25の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第2の四方弁駆動回路85を制御することで、第2の四方弁26のアクチュエータを駆動し、第2の四方弁26の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、膨張弁駆動回路86を制御することで、膨張弁43の開度を変更させて、媒体の膨張量を調整する。また、弁制御部96は、エジェクタ電磁弁駆動回路87を制御することで、エジェクタ電磁弁65の開度を変更させて、エジェクタ27に流れる媒体の流量を調整し、エジェクタ効果量(流出口から流出させる冷媒の昇圧量や温度)の調整を行う。
【0057】
ところで、空気調和装置10が、例えば、冷房運転行う場合、高温の冷媒が室外熱交換器21を通過して熱交換を行う結果、熱を放出する。放出された熱は、室外送風ファン22によって室外機11の外部に排出される。この時、室外機11の周囲に遮蔽物等が存在する場合、室外機11の周囲で当該室外機11から排出された空気(熱風)が滞留し、室外機11の外気取入口から再び室外機11内部に吸い込まれる場合がある。空気調和装置10が冷房運転されている場合、一般に戸外の温度は高く、吸い込む空気は周囲の空気と混合され、その温度がさらに上昇して外気温より高くなり、室外機11を制御する室外制御装置14a(制御ユニット)の冷却が不十分になる場合がある。例えば、室外機11には、圧縮機23等の機器を駆動するための電子部品を実装した制御ユニットが収められている。電子部品は、駆動時に発熱しやすく、また周囲温度の上昇の影響を受けやすい。
【0058】
そこで、本実施形態の空気調和装置10では、エジェクタ27を用いた冷凍サイクルの途中、具体的には、エジェクタ27の流出口27cの下流に、冷却用熱交換器30を配置し、圧縮機23(アキュムレータ24)に戻る前の低温の冷媒を利用して、制御ユニット(発熱する電子部品)の冷却を行う。以下、冷却用熱交換器30を用いた制御ユニット(発熱する電子部品)の冷却構造のバリエーションの詳細を説明する。
【0059】
<第1実施形態>
図5は、第1実施形態に係る空気調和装置10Aの室外機11Aの構成および冷却用熱交換器30Aの配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。また、
図6は、
図5に示す冷却用熱交換器30Aの構成および制御ユニット100(電子部品100a)の冷却構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0060】
空気調和装置10Aおよび室外機11Aの基本構成は、
図1で示す空気調和装置10および室外機11と同じである。第1実施形態では、
図1に示す冷却用熱交換器30の一形態としての冷却用熱交換器30Aの構成を示す。
【0061】
図5は、室外機11Aの前面側パネルを外した状態が図示されている。上述したように、室外機11Aには、当該室外機11Aと室内機12との間を流れる冷媒を圧縮して循環させる圧縮機23と、室外熱交換器21と、室外熱交換器21に外気を供給して熱交換を促進させるための室外送風ファン22とがハウジング内に収容されている。なお、室外熱交換器21は、室外送風ファン22の例えば後ろ側に広がり、室外送風ファン22の駆動による風が効率的に当たるように配置されるが、詳細な図示は省略している。そして、空気調和装置10Aが運転中の場合、圧縮機23は、室内機12が設置された室内温度と設定温度及び室外機11Aが設置された戸外の外気温度等に応じて、冷媒配管13を循環する冷媒が最適な状態になるように、圧縮駆動状態の切替制御を頻繁に調整している。圧縮機23の制御状態の切り替えは、室外機11Aの一部に配置された制御ユニット100(室外制御装置14a)によって実行される。
【0062】
上述したように圧縮機23の運転状態の制御を行う制御ユニット100には、スイッチング素子等の電子部品100a(発熱部品)が含まれる。そして、第1実施形態においては、
図5、
図6に示されるように、制御ユニット100(電子部品100a)と冷却用熱交換器30Aとが直接接触している。冷却用熱交換器30Aには、
図5に示されるように、第1の配管51の第5の領域51eが接続された複数の冷媒管30Apが貫通している。また、
図6に示されるように、冷却用熱交換器30Aの表面には複数の放熱フィン30Aaが形成されている。つまり、電子部品100aと放熱フィン30Aaとの間に、エジェクタ27の流出口27cから流出する低温の冷媒が流れる配管が存在し、冷却用熱交換器30Aは蒸発器として機能する。冷却用熱交換器30Aは、空気調和装置10Aの運転状態(冷房運転、暖房運転等)にかかわらず電子部品100a(制御ユニット100)との間で熱交換を行い、制御ユニット100が冷却される。また、室外送風ファン22により発生する風が放熱フィン30Aaに当たることで、冷却用熱交換器30Aにおける熱交換を促進し、電子部品の冷却効率を向上させる。
【0063】
このように、第1実施形態の冷却用熱交換器30Aでは、室外機11Aにおいて、エジェクタ27の流出口27cから流出する低温の冷媒を、冷媒管30Apによって冷却用熱交換器30Aを通過させることによって制御ユニット100(電子部品100a)の液冷冷却を実現する。また、冷却用熱交換器30Aは、室外送風ファン22により発生する風による制御ユニット100(電子部品100a)の空冷冷却を実現する。その結果、冷却用熱交換器30Aは、制御ユニット100(電子部品100a)の冷却を効果的に実行することができる。また、上述したように、冷却用熱交換器30Aは、制御ユニット(発熱部品)と熱交換を行うことにより、内部を流れる冷媒のガス化を行うことができる。その結果、蒸発器として機能する室外熱交換器21または室内熱交換器41で、圧縮機23に戻す冷媒の完全ガス化を行う必要がなくなり、室外熱交換器21または室内熱交換器41が蒸発器として機能する場合の負荷を軽減することができる。つまり、室外熱交換器21や室内熱交換器41の小型化に寄与することができる。なお、冷却用熱交換器30Aの冷却能力の調整は、上述したように、膨張弁29の開度調整によって行うことができる。
【0064】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る空気調和装置10Bの室外機11Bの構成および冷却用熱交換器30Bの配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。また、
図8は、
図7に示す室外機11Bの構成を示す例示的かつ模式的な上面図である。
図9は、
図8のA-A断面を示す例示的かつ模式的な構成図である。
【0065】
空気調和装置10Bおよび室外機11Bの基本構成は、
図1で示す空気調和装置10および室外機11と同じである。第2実施形態では、
図1に示す冷却用熱交換器30の一形態としての冷却用熱交換器30Bの構成を示す。
【0066】
図7は、室外機11Bの前面側パネルを外した状態が図示されている。上述したように、室外機11Bには、当該室外機11Bと室内機12との間を流れる冷媒を圧縮して循環させる圧縮機23と、室外熱交換器21と、室外熱交換器21に外気を供給して熱交換を促進させるための室外送風ファン22とがハウジング内に収容されている。なお、室外熱交換器21は、室外送風ファン22の例えば後ろ側に広がり、室外送風ファン22の駆動による風が効率的に当たるように配置される。
図7では、室外熱交換器21において、冷媒が通過する冷媒管21aの一部が図示されている。そして、空気調和装置10Bが運転中の場合、圧縮機23は、室内機12が設置された室内温度と設定温度及び室外機11Bが設置された戸外の外気温度等に応じて、冷媒配管13を循環する冷媒が最適な状態になるように、圧縮駆動状態の切替制御を頻繁に調整している。圧縮機23の制御状態の切り替えは、室外機11Bの一部に配置された制御ユニット100(室外制御装置14a)によって実行される。
【0067】
上述したように圧縮機23の運転状態の制御を行う制御ユニット100には、スイッチング素子等の電子部品100a(発熱部品)が含まれる。そして、第2実施形態においては、室外熱交換器21は、
図7~
図9に示されるように、冷媒が通過する冷媒管21aと当該冷媒管21aが貫通する熱交換フィン21bとを備えている。なお、この構成は、第1実施形態の室外熱交換器21も同様である。また、冷却用熱交換器30Bは、放熱フィン30Baを備えるとともに、エジェクタ27の流出口27cから流出する冷媒が、室外熱交換器21の冷媒管21aの一部に流れるように構成されている。例えば、室外熱交換器21の冷媒管21aの上部の何本かが、エジェクタ27の流出口27cに接続された第1の配管51の第5の領域51eに接続された冷却用冷媒管21aaとして利用されるように構成されている。そして、この冷却用冷媒管21aaに放熱フィン30Baを接触している(例えば貫通している)。冷却用熱交換器30Bは、放熱フィン30Baに電子部品100a(制御ユニット100)が熱的に接続される。この場合、空気調和装置10Bの運転状態(冷房運転、暖房運転等)にかかわらず、冷却用冷媒管21aaには常に、低温の冷媒が流れるようにすることができる。その結果、空気調和装置10Bの運転状態にかかわらず、室外熱交換器21の冷媒管21aの一部として構成される冷却用冷媒管21aaを流れる低温の冷媒と電子部品100a(制御ユニット100)との熱交換が可能になり、電子部品100a(制御ユニット100)の冷却が行われる。なお、第2実施形態の場合も室外送風ファン22により発生する風が放熱フィン30Baに当たることで、冷却用熱交換器30Bにおける熱交換を促進し、電子部品の冷却効率を向上させることができる。
【0068】
このように、第2実施形態の冷却用熱交換器30Bでは、室外機11Bにおいて、基本構成として存在する室外熱交換器21の冷媒管21aの一部にエジェクタ27の流出口27cから流出する低温の冷媒を流し、冷却用冷媒管21aaを構成し、当該冷却用冷媒管21aaに放熱フィン30Baを接続することにより、制御ユニット100(電子部品100a)の液冷冷却を実現する。また、冷却用熱交換器30Bは、室外送風ファン22により発生する風を放熱フィン30Baに当たることにより制御ユニット100(電子部品100a)の空冷冷却を実現する。その結果、冷却用熱交換器30Bは、制御ユニット100(電子部品100a)の冷却を効果的に実行することができる。また、上述したように、冷却用熱交換器30Bは、制御ユニット(発熱部品)と熱交換を行うことにより、内部に流れる冷媒のガス化を行うことができる。その結果、蒸発器として機能する室外熱交換器21または室内熱交換器41で、圧縮機23に戻す冷媒の完全ガス化を行う必要がなくなり、室外熱交換器21または室内熱交換器41が蒸発器として機能する場合の負荷を軽減することができる。つまり、室外熱交換器21や室内熱交換器41の小型化に寄与することができる。なお、冷却用熱交換器30Bの冷却能力の調整は、上述したように、膨張弁29の開度調整によって行うことができる。
【0069】
また、第2実施形態において冷却用熱交換器30Bは、既存の室外熱交換器21の冷媒管21aの一部にエジェクタ27の流出口27cから流出する低温の冷媒を流して、冷却用冷媒管21aaとして機能させ、そこに放熱フィン30Baを接続する、簡易な構造で構成できる。その結果、冷却用熱交換器30Bを備える空気調和装置10Bを低コストで実現することができる。
【0070】
なお、
図8に示す構成の場合、冷却用熱交換器30Bの放熱フィン30Baは、電子部品100a(制御ユニット100)と熱的に接続される(例えば、直接接触されている)例を示したが、これに限られない。例えば、放熱フィン30Baと電子部品100a(制御ユニット100)とが分離された状態で、放熱フィン30Baの風下に電子部品100a(制御ユニット100)が配置されてもよい。この配置により、冷却用熱交換器30Bの放熱フィン30Baを通過させて冷却された空気(気流)を、放熱フィン30Baの風下に位置する電子部品100a(制御ユニット100)に供給して、空冷するようにしてもよい。この場合、電子部品100a(制御ユニット100)の冷却を行いつつ、電子部品100aの配置自由度、すなわち、制御ユニット100の設計自由度の向上に寄与することができる。
【0071】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係る空気調和装置10Cの室外機11Cの構成および冷却用熱交換器30Cの配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。また、
図11は、
図10に示す冷却用熱交換器30Cの構成を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0072】
空気調和装置10Cおよび室外機11Cの基本構成は、
図1で示す空気調和装置10および室外機11と同じである。第3実施形態では、
図1に示す冷却用熱交換器30の一形態としての冷却用熱交換器30Cの構成を示す。
【0073】
図10は、室外機11Cの前面側パネルを外した状態が図示されている。上述したように、室外機11Cには、当該室外機11Cと室内機12との間を流れる冷媒を圧縮して循環させる圧縮機23と、室外熱交換器21と、室外熱交換器21に外気を供給して熱交換を促進させるための室外送風ファン22とがハウジング内に収容されている。なお、室外熱交換器21は、室外送風ファン22の例えば後ろ側に広がり室外送風ファン22の駆動による風が効率的に当たるように配置されるが、詳細な図示は省略している。そして、空気調和装置10Cが運転中の場合、圧縮機23は、室内機12が設置された室内温度と設定温度及び室外機11Cが設置された戸外の外気温度等に応じて、冷媒配管13を循環する冷媒が最適な状態になるように、圧縮駆動状態の切替制御を頻繁に調整している。圧縮機23の制御状態の切り替えは、室外機11Cの一部に配置された制御ユニット100(室外制御装置14a)によって実行される。
【0074】
上述したように圧縮機23の運転状態の制御を行う制御ユニット100には、スイッチング素子等の電子部品100a(発熱部品)が含まれる。そして、第3実施形態においては、
図10に示されるように、室外機11Cは、例えば、室外熱交換器21と当該室外熱交換器21に空気を供給する室外送風ファン22とを含む主風路11Faと、この主風路11Faとは独立した風路であって、制御ユニット100に含まれる電子部品100aと冷却用熱交換器30Cとを含む冷却用風路11Fbと、を備える。なお、主風路11Faと冷却用風路11Fbとは独立した流路であるが、第3実施形態の場合、両者は連通している。
【0075】
冷却用風路11Fbは、室外機11Cに設けられた、例えば円筒状の風路であり、一端が外気に開放した流入口11Fbaを有し、他端に室外機11Cの内部空間(主風路11Fa)に開放された流出口11Fbbを有する。そして、冷却用風路11Fbの内部で、流入口11Fbaに近い側には、冷却用熱交換器30Cが配置されている。また、流入口11Fbaに対して冷却用熱交換器30Cより下流側、すなわち、流出口11Fbbに近い側には、制御ユニット100に熱的に接続された放熱フィン100fが冷却用風路11Fbの内部に、例えば突出した状態で形成されている。
【0076】
また、冷却用熱交換器30Cの内部には、
図11に示されるように、第1の配管51の第5の領域51eが接続された、複数の冷媒管30Cpが貫通している。また、冷媒管30Cpの延設方向と例えば、直交する方向には、流入口11Fbaに開口した通風路30Csが流出口11Fbbに向けて貫通形成されている。つまり、流入口11Fbaから流入した外気が流出口11Fbbに向けて流動可能であり、その流動途中で、冷媒管30Cpの内部を流れる低温の冷媒と熱交換を行い、冷却される。前述したように、冷却用熱交換器30Cより下流側、すなわち、流出口11Fbbに近い側には、制御ユニット100に熱的に接続された放熱フィン100fが冷却用風路11Fbに、例えば突出した状態で形成されている。したがって、放熱フィン100fを介して、冷媒管30Cpの内部を流れる低温の冷媒により冷却された空気(外気)との間で熱交換が行われ、制御ユニット100(電子部品100a)が冷却される。なお、室外送風ファン22の駆動による気流により主風路11Faと連通する冷却用風路11Fbが負圧になるため、室外送風ファン22の駆動中、冷却用風路11Fbには、流入口11Fbaから外気が効率的に吸い込まれ、冷却用熱交換器30Cに供給され、冷風が生成される。
【0077】
このように、第3実施形態の冷却用熱交換器30Cでは、室外機11Cにおいては、室外熱交換器21の熱交換を効果的に行うための風が通る主風路11Faとは独立した冷却用風路11Fbを形成している。そして、冷却用風路11Fbに外気が取り入れられ、その外気を冷却用熱交換器30Cで冷却し、さらに、その冷却された空気で、制御ユニット100(電子部品100a)を冷却する。その結果、制御ユニット100(電子部品100a)を優先的に効率的に冷却することができる。
【0078】
また、上述したように、冷却用熱交換器30Cは、冷却用熱交換器30A,30Bと同様に、制御ユニット100(発熱部品)と熱交換を行うことにより、内部を流れる冷媒のガス化を行うことができる。その結果、蒸発器として機能する室外熱交換器21または室内熱交換器41で、圧縮機23に戻す冷媒の完全ガス化を行う必要がなくなり、室外熱交換器21または室内熱交換器41が蒸発器として機能する場合の負荷を軽減することができる。つまり、室外熱交換器21や室内熱交換器41の小型化に寄与することができる。なお、冷却用熱交換器30Cの冷却能力の調整は、上述したように、膨張弁29の開度調整によって行うことができる。また、冷却用熱交換器30Cの場合、制御ユニット100(電子部品100a)が発生する熱との熱交換に加え、外気との熱交換が可能になるので、冷媒管30Cpを流れる冷媒のガス化をより確実に行うことが可能になる。
【0079】
<第4実施形態>
図12~
図14は、第4実施形態に係る空気調和装置10Dの室外機11Dの構成および冷却用熱交換器30Cの配置位置を示す例示的かつ模式的な図である。なお、第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、冷却用風路11Fcの形状が第3実施形態の冷却用風路11Fbと異なる点以外は実質的に同じ構成であり、同等の部材には同じ符号を付し、その説明の詳細は省略する。
図13は、
図12に示す冷却用熱交換器30Cを備えるベルマウス11Fcm付きの冷却用風路11Fcおよび制御ユニット100(電子部品100a)の冷却構造を示す例示的かつ模式的な図である。また、
図14は、比較例として冷却用風路Fがベルマウスを備えない場合に圧力損失が発生する場合を示す例示的かつ模式的な図である。
【0080】
上述したように、第4実施形態の空気調和装置10Dの室外機11Dは、冷却用風路11Fcの流入口11Fcaの形状がベルマウス11Fcmになっている点以外は、第3実施形態の冷却用風路11Fbと同じである。すなわち、冷却用風路11Fcは、室外機11Dに設けられた、例えば円筒状の風路であり、一端が外気に開放した流入口11Fcaを有している。この流入口11Fcaは、端部が冷却用風路11Fcの中央部の直径より拡径されたベルマウス11Fcmを備える。同様に、冷却用風路11Fcの他端は、室外機11Dの内部空間に開放された流出口11Fcbを有している。この流出口11Fcbは、端部が冷却用風路11Fcの中央部の直径より拡径されたベルマウス11Fcmを備える。そして、冷却用風路11Fcの内部で、流入口11Fbcに近い側には、冷却用熱交換器30Cが配置されている。また、流入口11Fcaに対して冷却用熱交換器30Cより下流側、すなわち、流出口11Fcbに近い側には、制御ユニット100に熱的に接続された放熱フィン100fが冷却用風路11Fcに、例えば突出した状態で形成されている。冷却用風路11Fcの内部に配置される冷却用熱交換器30Cの構成は、
図11に示す構成と同じであり、同様の効果を有するので、その説明は省略する。
【0081】
冷却用風路11Fcの流入口11Fcaおよび流出口11Fcbにベルマウス11Fcmを設けることにより、縮流Sによる圧力損出を低減し、冷却用風路11Fcにおける外気の流れを改善する。例えば、
図14に示すように、冷却用風路Fの流入口Faにベルマウスが設けられていない場合、流入口Faの縁部に縮流Sが生じて、冷却用風路Fの風路径r1(例えば、
図13において放熱フィン100fが設けられている位置の風路径)より流入口Faの実質的な外気の流入径r2が縮径されてしまう。つまり、圧力損失が大きくなり、外気の流動量(冷却される空気の量)が減って、制御ユニット100(電子部品100a)の冷却効率が低下する。
【0082】
一方、冷却用風路11Fcの流入口11Fcaにベルマウス11Fcmを設けることにより縮流Sの形成位置を外径側に移動させ、流入口11Fcaにおける外気の流入径を例えば、冷却用風路11Fcの風路径に近づける。その結果、冷却用風路11Fcにおける圧力損失を軽減し、外気の流動量(冷却される空気の量)の低下を抑制し、制御ユニット100(電子部品100a)の冷却効率を、ベルマウス11Fcmを設けない場合に比べて向上することができる。
【0083】
図15は、
図13に示す冷却用風路11Fcの変形例を示す例示的かつ模式的な図である。第3実施形態で説明したように、冷却用風路11Fcは、室外送風ファン22の駆動により発生する負圧により、外気を取り入れている。この場合、室外機11Dの周囲環境により負圧のみでは、十分に外気を引き込めない場合がある。このような場合は、
図15に示すように、冷却用風路11Fcの一部、例えば、放熱フィン100fと流出口11Fcbとの間に冷却風用ファン102(プロペラファン、送風機)を配置し、冷却用風路11Fcへの外気の吸気能力を増大させて、冷却用熱交換器30Cによる冷風の生成効率および冷却用熱交換器30Cの内部を流れる冷媒のガス化効率を向上させる。つまり、冷却用熱交換器30Cの能力を向上させる。なお、冷却風用ファン102の配置位置は、
図15の位置に限定されず、冷却用風路11Fcの内部または、流出口11Fcb、流出口11Fcbの近傍であればよく、同様の効果を得ることができる。また、ベルマウス11Fcmを備えない、第3実施形態の冷却用風路11Fbに冷却風用ファン102を設けてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上説明された実施形態に係る空気調和装置10は、室外熱交換器21と、室内熱交換器41と、第1の配管51と、第2の配管52と、圧縮機23と、第1の四方弁25と、第2の四方弁26と、気液分離器28と、膨張弁29と、冷却用熱交換器30と、エジェクタ27と、第3の配管53と、を備える。室外熱交換器21は、室外機11に設けられる。室内熱交換器41は、室内機12に設けられる。第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続し、冷媒が流れる。圧縮機23は、第1の配管51に設けられ、冷媒を吸入する吸入口23aと、冷媒を吐出する吐出口23bと、を有する。第1の四方弁25は、第1の配管51に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。第2の四方弁26は、第2の配管52に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。気液分離器28は、第2の配管52に設けられ、第2の四方弁26と接続されて冷媒が流入可能な第1の開口28aと、第2の四方弁26に接続されて液状の冷媒が流出可能な第2の開口28bと、第1の配管51に少なくとも液状の冷媒を流出可能な第3の開口(液用第3の開口28c)と、が設けられている。膨張弁29は、気液分離器28の第2の開口28bと第2の四方弁26との間に設けられる。冷却用熱交換器30は、第1の配管51において圧縮機23の吸入口23a(アキュムレータ24)に接続されて、室外機11に設けられて当該室外機11を制御する制御ユニット100を冷却する。エジェクタ27は、第1の配管51に設けられ、気液分離器28の第3の開口(液用第3の開口28c)から冷媒が流入する第1の流入口27aと、第1の四方弁25から冷媒が流入する第2の流入口27bと、冷却用熱交換器30に第1の流入口27aから流入した冷媒と第2の流入口27bから流入した冷媒とを混合させて流出させる流出口27cと、を備える。第3の配管53は、気液分離器28の第3の開口(液用第3の開口28c)とエジェクタ27の第1の流入口27aとを接続する。この構成によれば、例えば、制御ユニット100(電子部品100a等)の冷却を効率的に行うことができる冷却構造を備える空気調和装置10を提供可能となる。
【0085】
また、空気調和装置10の冷却用熱交換器30は、例えば、制御ユニット100に含まれる電子部品100aと接触していてもよい。この構成によれば、例えば、電子部品100aの冷却を効率的に行うことができる。
【0086】
また、空気調和装置10の室外熱交換器21は、例えば、冷媒が通過する冷媒管21aと当該冷媒管21aが貫通する熱交換フィン21bとを備え、冷却用熱交換器30は、放熱フィン30Baを備えるとともに、流出口27cから流出する冷媒が冷媒管21aの一部(冷却用冷媒管21aa)に流れ、当該冷却用冷媒管21aaに放熱フィン30Baを接触させるようにしてもよい。この構成によれば、既存の室外熱交換器21の構成を利用して、制御ユニット100に含まれる電子部品100aの冷却を行う冷却用熱交換器30を設置することができる。その結果、構造の簡略化、製造コストの軽減に寄与できる。
【0087】
また、空気調和装置10の室外機11は、例えば、室外熱交換器21と当該室外熱交換器21に空気を供給する室外送風ファン22とを含む主風路11Faと、主風路11Faとは独立した風路であって、制御ユニット100に含まれる電子部品100aと冷却用熱交換器30とを含む冷却用風路11Fbと、を備えてもよい。この構成によれば、例えば、外気を取り入れて、その外気を電子部品100aの冷却専用に冷却することができるので、電子部品100aの冷却効率を向上させることができる。
【0088】
また、空気調和装置10の冷却用風路11Fcの少なくとも空気取り入れ口(流入口11Fca)は、冷却用風路11Fcの孔形状の内部側から端部側に向かって広がるベルマウス11Fcmの形状(ホーン形状)であってもよい。この構成によれば、冷却用風路11Fcにおける圧力損失を軽減し、外気の流動量(冷却される空気の量)の低下を抑制し、制御ユニット100(電子部品100a)の冷却効率を、ベルマウス11Fcmを設けない場合に比べて向上することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10,10A,10B,10C,10D…空気調和装置、11…室外機、12…室内機
13…冷媒配管、14…制御装置、21…室外熱交換器、22…室外送風ファン、23…圧縮機、25…第1の四方弁、26…第2の四方弁、27…エジェクタ、28…気液分離器、29…膨張弁、30…冷却用熱交換器、41…室内熱交換器、51…第1の配管、52…第2の配管、53…第3の配管、100…制御ユニット、100a…電子部品。