(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019520
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、作業支援システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20250131BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123169
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120167
【弁理士】
【氏名又は名称】木田 博
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 晃暉
(72)【発明者】
【氏名】吉原 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 皓二
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 允紀
(72)【発明者】
【氏名】井原 駿也
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB06
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】 作業機械の内的な要因の影響を加味して作業精度を予測できる制御装置等を提供する。
【解決手段】 作業機械を用いて行う所定作業に係る目標施工面を取得する目標施工面取得部と、作業機械の本体姿勢に関する姿勢情報を取得する姿勢取得部と、所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の作業機械の動作予定情報を取得する予定情報取得部と、目標施工面と、姿勢情報と、動作予定情報とに基づいて、動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する予測部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を用いて行う所定作業に係る目標施工面を取得する目標施工面取得部と、
前記作業機械の本体姿勢に関する姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の前記作業機械の動作予定情報を取得する予定情報取得部と、
前記目標施工面と、前記姿勢情報と、前記動作予定情報とに基づいて、前記動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する予測部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、過去の実績データに基づいて、前記作業精度を予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作業機械は、エンジン、油圧ポンプ、アクチュエータ、及びバルブを含む駆動要素と、前記駆動要素の駆動により動作する動作要素とを含み、
前記動作予定情報は、前記駆動要素の駆動態様、及び、前記動作要素の動作態様のうちの少なくとも一方に関する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記駆動要素の状態を表す状態情報を取得する状態取得部を更に備え、
前記予測部は、前記状態情報に更に基づいて、前記作業精度を予測する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記所定作業の属性に更に基づいて、前記作業精度を予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記所定作業の属性ごとの過去の実績データに基づいて、前記作業精度を予測する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測部による予測結果に基づいて、前記作業機械に対する操作に関する操作支援情報を出力する情報出力部を更に備える、請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記操作支援情報は、前記目標施工面と、前記動作予定情報に基づき動作した場合の予測施工面との、又は、前記動作予定情報に基づき動作した場合の作業軌跡との、関係を表す、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報出力部は、前記作業機械に設けられる表示装置又はユーザ端末の表示部に操作支援情報を出力する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記予測部による予測結果に基づいて、前記作業精度が改善するように、前記動作予定情報を補正する補正処理部と、
前記補正処理部による補正後の前記動作予定情報に基づいて、前記作業機械の前記自動制御又は半自動制御を実行する制御部とを更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記作業機械に搭載される処理装置、及び、前記作業機械から離れた位置にありかつ前記作業機械と通信可能な処理装置の少なくともいずれか一方により実現される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
作業機械本体と、
情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記作業機械本体を用いて行う所定作業に係る目標施工面を取得する目標施工面取得部と、
前記作業機械本体の姿勢に関する姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の前記作業機械本体の動作予定情報を取得する予定情報取得部と、
前記目標施工面と、前記姿勢情報と、前記動作予定情報とに基づいて、前記動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する予測部とを有する、作業支援システム。
【請求項13】
作業機械を用いて行う所定作業に係る目標施工面を取得し、
前記作業機械の本体姿勢に関する姿勢情報を取得し、
前記所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の前記作業機械の動作予定情報を取得し、
前記目標施工面と、前記姿勢情報と、前記動作予定情報とに基づいて、前記動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、作業支援システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、地面不安定度を用いて作業機の先端位置の変動量を算出し、算出された先端位置の変動量に基づいて、車体が設置された地面の状態に起因した作業精度を判定する作業機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業精度は、車体が設置された地面の状態だけでなく、作業機械の内的な要因の影響も受ける。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、作業機械の内的な要因の影響を加味して作業精度を予測できる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、
作業機械を用いて行う所定作業に係る目標施工面を取得する目標施工面取得部と、
前記作業機械の本体姿勢に関する姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の前記作業機械の動作予定情報を取得する予定情報取得部と、
前記目標施工面と、前記姿勢情報と、前記動作予定情報とに基づいて、前記動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する予測部とを備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の内的な要因の影響を加味して作業精度を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例の制御装置を備える建設機械の駆動要素を例示する図である。
【
図3】本実施例の制御装置の構成を機能的に示す図である。
【
図4】運転モードとしてマシンコントロールモード(自動制御又は半自動制御に対応する運転モード)が選択された場合の処理を示すフローチャートである。
【
図5】実績データのデータ構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について説明する。
【0010】
図1は、本実施例の制御装置を備える建設機械の駆動要素を例示する図、
図2は、建設機械の機構を例示する図、
図3は、本実施例の制御装置の構成を機能的に示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施例の制御装置10を備える建設機械は、駆動要素として、作動油タンク21と、エンジン22と、エンジン22により駆動される油圧ポンプ23と、油圧ポンプ23の傾転を制御する傾転比例弁24と、比例弁25aを有するコントロールバルブ25と、冷却器27とを含んで構成される。作動油は、作動油タンク21から、油圧ポンプ23、コントロールバルブ25、冷却器27を順次、経由し、作動油タンク21に戻るように循環する。
【0012】
図2には、建設機械(
図1)としての油圧ショベルが例示されている。
【0013】
この油圧ショベルは、地面の上を走行可能な下部走行体41と、下部走行体41に搭載される上部旋回体42と、上部旋回体42に搭載される作業装置50とを備える。
【0014】
上部旋回体42は、旋回フレーム42aと、その上に搭載される複数の要素と、を有する。当該複数の要素は、エンジン22(
図1)を収容するエンジンルーム42bや運転室であるキャブ42cを含む。
【0015】
作業装置50は、掘削作業その他の必要な作業のための動作を行うことが可能であり、動作要素としてのブーム51、アーム52及びバケット53を含む。ブーム51は、旋回フレーム42aの前端に起伏可能すなわち水平軸回りに回動可能に支持される。アーム52は、ブーム51の先端部に水平軸回りに回動可能に取付けられる。バケット53は、アーム52の先端部に回動可能に取付けられる。また、ブーム51、アーム52及びバケット53のそれぞれに対応して、複数の伸縮可能な駆動要素(アクチュエータ)としての油圧シリンダ、具体的には、少なくとも一つのブームシリンダ61、アームシリンダ62及びバケットシリンダ63が設けられる。
【0016】
ブームシリンダ61、アームシリンダ62及びバケットシリンダ63の収縮により、それぞれブーム下げ、アーム押し、バケット開きの動作が行われる。他方、ブームシリンダ61、アームシリンダ62及びバケットシリンダ63の伸長により、それぞれブーム上げ、アーム引き、バケット閉じの動作が行われる。なお、ブームシリンダ、アームシリンダまたはバケットシリンダの伸縮方向と、ブーム、アームまたはバケットの回動方向との組み合わせは任意である。例えば、アームシリンダの伸長によりアーム押しを行う作業装置に対して、本実施例を適用することもできる。
【0017】
上部旋回体42には、上部旋回体42の傾き(水平面に対する角度)を検出するセンサ42dが取り付けられている。また、ブーム51の基端部には、下部走行体41に対するブーム51の角度を検出するセンサ51aが取り付けられている。また、アーム52の基端部には、ブーム51に対するアーム52の角度を検出するセンサ52aが、バケット53の基端部には、アーム52に対するバケット53の角度を検出するセンサ53aが、それぞれ取り付けられている。なお、センサ51a、センサ52aまたはセンサ53aの取付位置は任意であり、ブーム51、アーム52またはバケット53の基端部でなくてもよい。また、上部旋回体42に取り付けられるセンサ42dに代えて、またはこれに付加して、下部走行体41の傾きを検出するセンサを取り付けてもよい。
【0018】
運転モードとしてマシンコントロールモード(自動制御又は半自動制御に対応する運転モード)が選択されている場合、簡単な手動操作だけで、例えば、目標施工面F0に対応する自動制御が実行される。例えば、手動によるレバー操作により、アーム引きを行うと、センサ42d、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度に基づいて、ブームの上げ下げ動作及びバケットの開閉動作が自動制御される。すなわち、手動操作に従うアームシリンダ62の伸縮動作に応じて、ブームシリンダ61及びバケットシリンダ63の伸縮動作が制御される。これにより、例えば、アーム52を引き付ける手動操作をするだけで、バケット53の先端53bが目標施工面F0に沿って地面を掘削する自動制御(半自動制御)が実行される。バケット53の先端53bなどのアタッチメントの位置(座標)を認識する方法として、他の方法を適用することもできる。例えば、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度に代えて、ストロークセンサ付きのシリンダにより取得されるシリンダストロークに基づいて動作要素の姿勢を把握してもよい。また、アタッチメントの位置をGNSS(全地球航法衛星システム)により取得する方法や、アタッチメントを撮影した画像に基づきその位置を検出する方法を適用することもできる。動作時のシリンダの油圧を加味して、アタッチメントの位置を検出してもよい。
【0019】
なお、自動制御(半自動制御)における制御の内容は任意であり、自動制御(半自動制御)が適用される建設機械の種類も任意である。
【0020】
なお、
図1では、コントロールバルブ25のみを示しているが、実際には、建設機械の種類に応じた複数のコントロールバルブを設けることができる。例えば、
図2に示す油圧ショベルにおいては、少なくとも、ブームシリンダ61、アームシリンダ62及びバケットシリンダ63の伸縮をそれぞれ制御する複数のコントロールバルブが設けられる。
【0021】
図3に示すように、本実施例の制御装置10は、作業機械としての建設機械(
図1)を用いて行う所定作業に係る目標施工面(例えば、
図2の目標施工面F0)を取得する目標施工面取得部11と、建設機械の本体姿勢に関する姿勢情報を取得する姿勢取得部12と、所定作業を行うように自動制御又は半自動制御した場合の建設機械の動作予定情報を取得する予定情報取得部13と、目標施工面と、姿勢情報と、動作予定情報とに基づいて、動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を予測する予測部14とを備える。
【0022】
また、制御装置10は、上記の駆動要素の温度、圧力、速度、などの状態パラメータ(駆動要素の状態を表す状態情報)を取得する状態取得部15と、予測部14による予測結果に基づいて、建設機械に対する操作に関する操作支援情報を出力する情報出力部16とを備える。
【0023】
さらに、制御装置10は、予測部14による予測結果に基づいて、作業精度が改善するように、動作予定情報を補正する補正処理部17と、補正処理部17による補正後の動作予定情報に基づいて、作業機械の自動制御又は半自動制御を実行する制御部18とを備える。
【0024】
制御装置10の全部または一部は、建設機械に搭載された処理装置として構成することができる。また、制御装置10の全部または一部は、建設機械との間で通信可能なサーバやユーザ端末等の処理装置として構成することができる。後者の場合、サーバやユーザ端末等の位置は任意であり、例えば、建設機械から離れた位置にあってもよい。
【0025】
次に、建設機械の動作について説明する。
【0026】
図4は、運転モードとしてマシンコントロールモード(自動制御又は半自動制御に対応する運転モード)が選択された場合の処理を示すフローチャートである。
【0027】
図4のステップS102では、目標施工面取得部11は、目標施工面の入力を受け付け、入力された目標施工面を取得する。
【0028】
目標施工面の入力方法は任意であるが、例えば、作業の現場において、建設機械を用いて目標施工面を入力することができる。この場合、例えば、油圧ショベル(
図2)のバケット53の先端53bを用いて、目標施工面上の一点(座標)を指定し、この点を通り、かつ所定の傾斜角度を有する平面を目標施工面として入力することができる。また、油圧ショベルのバケット53の先端53bを用いて、目標施工面上の二点(座標)を指定し、この二点を通る平面を目標施工面として入力することができる。さらに、上記の方法により規定される平面を所定方向(例えば、垂直方向)に所定幅だけシフトさせた平面を目標施工面として入力することができる。
【0029】
また、あらかじめ作成された目標施工面の3次元モデルまたは2次元モデルを用いて目標施工面を入力することができる。例えば、作業現場で油圧ショベルのバケット53の先端53bを用いて、目標施工面上の一点(座標)を指定することにより、この点を通る目標施工面を入力することができる。
【0030】
ステップS104では、目標施工面取得部11は、作業の属性を取得する。作業の属性には、目標施工面取得部11により取得された目標施工面(ステップS102)の属性が含まれる。目標施工面の属性には、例えば、目標施工面取得部11により取得された目標施工面が水平面であるか、法面であるかを示す情報が含まれてもよい。また、目標施工面の属性には、入力された他の情報、例えば、掘削される土壌の種別や硬度などが含まれてもよい。
【0031】
ステップS106では、姿勢取得部12は、建設機械の現在の姿勢、すなわち作業開始時の姿勢を取得する。現在の姿勢には、センサ41a、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度が含まれる。
【0032】
ステップS108では、状態取得部15は、駆動要素の温度、圧力などの状態パラメータを取得する。状態パラメータとして、例えば、作動油タンク21、油圧ポンプ23、傾転比例弁24、比例弁25a、ブームシリンダ61、アームシリンダ62またはバケットシリンダ63の温度、作動油タンク21、油圧ポンプ23、傾転比例弁24、比例弁25a、ブームシリンダ61、アームシリンダ62またはバケットシリンダ63における作動油の温度、圧力などを使用することができる。
【0033】
ステップS112では、予定情報取得部13は、マシンコントロールモードにより作業を行う場合の建設機械の動作予定情報を取得する。動作予定情報には、目標施工面に沿ってバケット53の先端53bを移動させるような自動制御または半自動制御を実行した場合の駆動要素の駆動態様、および動作要素の動作態様のいずれか一方が含まれる。
【0034】
駆動要素の駆動態様としては、例えば、アーム引きのレバー操作の開始から終了までの間のアーム操作信号、ブーム操作信号の強度の推移、アーム制御ゲイン、ブーム制御ゲインを例示することができる。
【0035】
また、動作要素の動作態様としては、例えば、アーム引きのレバー操作の開始から終了までの間のブーム51、アーム52及びバケット53の目標角度や目標角速度を例示することができる。
【0036】
ステップS114では、予測部14は、実機稼働情報(過去の実績データ)を蓄積したデータベース(例えば、サーバ内のデータベース)にアクセスし、今回の作業に一致し、あるいは最も近似(類似)する(一致度が最も高い)実績データを選択し、取得する。この場合、作業の属性(後述の作業属性情報に対応)が今回の作業の属性に一致することを条件として実績データを選択してもよい。
【0037】
図5は、実績データのデータ構成を例示する図である。
【0038】
図5に示す例では、実績データには、目標施工情報、作業属性情報、姿勢情報、状態情報、予定動作情報および実績施工面情報が含まれる。ここで、目標施工面情報は、目標施工面取得部11により取得された目標施工面F0(ステップS102)に対応する。作業属性情報は、目標施工面取得部11により取得された作業の属性(ステップS104)に対応する。姿勢情報は、姿勢取得部12により取得された建設機械の現在の姿勢(ステップS106)に対応する。状態情報は、状態取得部15により取得された状態パラメータに対応する。予定動作情報は、予定情報取得部13により取得された動作予定情報(ステップS112)に対応する。
【0039】
また、
図5に示す例では、実績データの予定動作情報には、駆動態様情報および動作態様情報が含まれる。ここで、駆動態様情報は、予定情報取得部13により取得された駆動要素の駆動態様(ステップS112)に対応する。動作態様情報は、予定情報取得部13により取得された動作要素の動作態様(ステップS112)に対応する。
【0040】
さらに、
図5に示す例では、実績施工面情報が含まれる。実績施工面情報には、
図2に示す実績施工面F1に相当する施工面の形状が含まれる。
図2に示すように、実績施工面F1は、目標施工面F0に対する垂直方向の誤差ΔLを有する。実績施工面情報には、誤差ΔLに係る情報も含まれ、例えば、誤差ΔLの最大値、最小値を含むことができる。最大値は、実績施工面F1が目標施工面F0に対して上方に最大にずれた位置における誤差ΔL(正の値)であり、最小値は、実績施工面F1が目標施工面F0に対して下方に最大にずれた位置における誤差ΔL(負の値)である。
【0041】
実績データは、例えば、建設機械のメーカー側で用意することができる。この場合、様々な目標施工面情報、作業属性情報、姿勢情報、状態情報、予定動作情報に対応する種々の条件を用意し、マシンコントロールモードによる実際の掘削作業を実機により実行することにより実績データを蓄積することができる。実績データのうち、実績施工面情報に関しては、例えば、油圧ショベル(
図2)のバケット53の先端53bの軌跡を実績施工面として取得することができる。この場合、バケット53の先端53bの軌跡は、センサ41a、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度に基づいて算出される。
【0042】
また、ユーザが建設機械による作業を行うたびに、目標施工面情報、作業属性情報、姿勢情報、状態情報、予定動作情報を記憶するとともに、実績施工面情報を算出して記憶することにより、実績データとして蓄積することができる。この場合、実績データの蓄積に応じて、後述する作業精度の予測精度や操作支援情報の信頼性、有用性を向上させることができる。また、同一機種の個々の建設機械の実績データをまとめてサーバなどに蓄積することにより、例えば、蓄積された実績データを異なるユーザにおいて共通に使用することも可能となる。
【0043】
上記のステップS114では、予測部14は、
図5に示す実績データのうち、目標施工面情報、作業属性情報、姿勢情報、状態情報および予定動作情報が、ステップS102~ステップS112で取得された各情報に一致し、または最も近似(類似)するものを選択し、取得する。
【0044】
ステップS116では、予測部14は、ステップS114で取得された実績データの実績施工面情報に基づき、作業精度を予測する。作業精度は、例えば、ステップS114で取得された実績データの実績施工面情報に示される誤差ΔLに係る情報であり、誤差ΔLの最大値、最小値であってもよい。
【0045】
このように、本実施例では、目標施工面、姿勢情報、動作予定情報が一致または最も近似する実績データに基づいて、作業精度を予測している。このため、作業機械の内的な要因を予測結果に反映させることにより、作業精度を正確に予測することができる。例えば、姿勢情報の相違として、最大リーチ姿勢と最小リーチ姿勢では、ブーム上げの応答性が大きく異なり施工精度が変化する。また、マシンコントロールモードにおいて、アーム引き操作を行う際に、アーム引き開始前のアームシリンダヘッド圧やロッド圧によって、アーム52の起動速度が変化し、施工精度に影響を及ぼす。また、作動油温度や比例弁物温によって機構の応答速度が変化し、同様に施工精度に影響を及ぼす。本実施例では、このような内的要因を反映した施工精度を予測することができる。
【0046】
ステップS118では、情報出力部16は、建設機械に対する操作に関する操作支援情報を出力する。操作支援情報は、例えば、建設機械に設けられる表示装置又はユーザ端末の表示部に表示される。
【0047】
ここで、操作支援情報は、例えば、実績データの実績施工面情報に示される誤差ΔLに係る情報であり、誤差ΔLの最大値、最小値であってもよい。また、操作支援情報は、
図2の実績施工面F1および目標施工面F0に相当するような、予定される掘削後の施工面の形状を目標施工面の形状と比較して画面上で表示するような情報であってもよい。
図2では、水平面である目標施工面F0に対し、うねり(高さ方向の誤差)を有する実績施工面F1が示されている。この場合、誤差ΔLや誤差ΔLの最大値、最小値を画面上で表示することも可能である。施工面の形状を画面上で示すことにより、オペレータは直感的に施工面の形状や施工精度を把握できる。
【0048】
ステップS120では、制御部18は、ユーザ(オペレータ)の指示を受け付け、その内容が作業の実行を指示するか否か判断する。制御部18は、判断が肯定されれば処理をステップS122へ進め、判断が否定されれば、すなわち指示内容が作業の中止を意味するものであれば、処理を終了する。
【0049】
ここでは、ユーザ(オペレータ)は、操作支援情報に示される誤差ΔLに係る情報に基づいて、マシンコントロールモードによる作業を実行するか否か判断し、上記の指示を入力することができる。
【0050】
なお、誤差ΔLに係る情報に基づいて、制御部18においてマシンコントロールモードによる作業を実行するか否か判断してもよい。この場合には、例えば、誤差ΔLが所定の範囲内に収まっている場合に限り、マシンコントロールモードによる掘削作業が実行されてもよい。
【0051】
ステップS122では、制御部18は、動作予定情報に基づいてマシンコントロールモードによる作業を実行し、処理を終了する。ここでは、制御部18は、例えば、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度に基づくフィードバック制御を実行する。フィードバック制御では、例えば、センサ51a、センサ52aおよびセンサ53aにより検出される角度と所定の目標角度(ブーム角、アーム角等)との差分を、所定の制御ゲイン(アーム制御ゲイン、ブーム制御ゲイン等)で増幅することにより、操作信号(ブーム操作信号、アーム操作信号等)を得ることができる。ここで、目標角度(ブーム角、アーム角等)は、例えば、バケット53の先端53bの軌跡が目標施工面F0に一致する状態の角度に設定される。
【0052】
ステップS122では、作業精度が改善するように、補正処理部17により動作予定情報を補正し、補正された動作予定情報に基づいて、制御部18により作業機械の自動制御又は半自動制御を実行してもよい。
【0053】
補正処理部17による補正の対象となる動作予定情報としては、駆動要素の駆動態様および動作要素の動作態様のうちのいずれか一方、または両者を含むことができる。
【0054】
駆動要素の駆動態様としては、例えば、アーム引きのレバー操作の開始から終了までの間のアーム操作信号、ブーム操作信号の強度の推移、アーム制御ゲイン、ブーム制御ゲイン等を補正することができる。
【0055】
また、動作要素の動作態様としては、例えば、アーム引きのレバー操作の開始から終了までの間のブーム51、アーム52等の目標角度(ブーム角、アーム角等)や目標角速度(ブーム角速度、アーム角速度等)を補正することができる。
【0056】
以上のように、本実施例では、自動制御又は半自動制御した場合の作業機械の動作予定情報に従って動作した場合の作業精度を、目標施工面と、姿勢情報とに基づき予測している。このため、作業機械の内的な要因を予測結果に反映させることにより、正確な作業精度を予測することができる。
【0057】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 制御装置
11 目標施工面取得部
12 姿勢取得部
13 予定情報取得部
14 予測部
15 状態取得部
16 情報出力部
17 補正処理部
18 制御部