(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019527
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20250131BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123177
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 令馬
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AS13
5H730BB42
5H730BB82
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
5H730XX03
5H730XX12
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX41
5H770BA05
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA07
5H770GA16
5H770HA03W
5H770HA03Z
5H770LA01W
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】回生電流に起因してスイッチング素子の切り換え動作が停止してしまうことを抑制することが可能な技術を提供する
【解決手段】電気機器は、トランスと、第1平滑回路と、第2平滑回路と、フィードバック回路と、スイッチング素子と、スイッチング制御回路と、第1平滑回路からの電力により動作するモータと、第2平滑回路からの電力により動作し、モータの回転数の指令値を示すモータ指令信号を出力するモータ制御回路と、モータ指令信号に従って、モータの動作を制御するモータ駆動回路と、モータからの回生電流を吸収する吸収抵抗器と、吸収抵抗器に流れる電流を制限する電流制限回路を備える。電流制限回路は、モータ指令信号が示すモータの回転数の指令値が低減する場合に、吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器であって、
一次巻線と、第1二次巻線と、第2二次巻線を備えるトランスと、
前記第1二次巻線からの交流電力を平滑化して第1電圧の直流電力を出力する第1平滑回路と、
前記第2二次巻線からの交流電力を平滑化して第2電圧の直流電力を出力する第2平滑回路と、
前記第1電圧の大きさを示すフィードバック信号を出力するフィードバック回路と、
前記一次巻線への通電のオン/オフを切り換えるスイッチング素子と、
前記フィードバック信号に基づいて、前記第1電圧が目標電圧に近づくように、前記スイッチング素子の切り換え動作を制御するスイッチング制御回路と、
前記第1平滑回路からの電力により動作するモータと、
前記第2平滑回路からの電力により動作し、前記モータの回転数の指令値を示すモータ指令信号を出力するモータ制御回路と、
前記モータ指令信号に従って、前記モータに供給される電力を制御することで、前記モータの動作を制御するモータ駆動回路と、
前記モータからの回生電流を吸収する吸収抵抗器と、
前記吸収抵抗器に流れる電流を制限する電流制限回路を備えており、
前記電流制限回路は、前記モータ指令信号が示す前記モータの前記回転数の前記指令値が低減する場合に、前記吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和するように構成されている、電気機器。
【請求項2】
前記第1平滑回路と前記吸収抵抗器の間に設けられたスイッチをさらに備えており、
前記モータ制御回路は、前記スイッチの導通/非導通を切り換え可能であり、
前記モータ制御回路は、前記モータを回転させる場合に、前記スイッチを導通とし、前記モータを停止させる場合に、前記スイッチを非導通とするように構成されている、請求項1の電気機器。
【請求項3】
前記電流制限回路が、
前記吸収抵抗器に直列に接続されており、トランジスタ制御信号に応じて動作するように構成されたトランジスタと、
反転入力端子に前記モータ指令信号に応じた電圧が入力され、出力端子から前記トランジスタ制御信号を出力するように構成されたオペアンプを備える、請求項1の電気機器。
【請求項4】
前記モータ指令信号が、前記モータの前記回転数の前記指令値の大きさをデューティ比で表したPWM信号であって、
前記電流制限回路が、前記モータ指令信号を平滑化した電圧を前記反転入力端子に入力する第3平滑回路をさらに備える、請求項3の電気機器。
【請求項5】
前記トランジスタが、NPN型のバイポーラトランジスタである、請求項3の電気機器。
【請求項6】
前記電流制限回路が、
前記トランジスタのコレクタ端子と、前記オペアンプの非反転入力端子の間を接続する第1抵抗器と、
前記オペアンプの前記非反転入力端子と、前記トランジスタのエミッタ端子の間を接続する第2抵抗器をさらに備える、請求項5の電気機器。
【請求項7】
前記吸収抵抗器が、前記モータ駆動回路の正極端子と、前記トランジスタの前記コレクタ端子の間を接続しており、
前記電流制限回路が、前記モータ駆動回路の前記正極端子と、前記オペアンプの前記非反転入力端子の間を接続する第3抵抗器をさらに備える、請求項6の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器が開示されている。前記電気機器は、一次巻線と、第1二次巻線と、第2二次巻線を備えるトランスと、前記第1二次巻線からの交流電力を平滑化して第1電圧の直流電力を出力する第1平滑回路と、前記第2二次巻線からの交流電力を平滑化して第2電圧の直流電力を出力する第2平滑回路と、前記第1電圧の大きさを示すフィードバック信号を出力するフィードバック回路と、前記一次巻線への通電のオン/オフを切り換えるスイッチング素子と、前記フィードバック信号に基づいて、前記第1電圧が目標電圧に近づくように、前記スイッチング素子の切り換え動作を制御するスイッチング制御回路と、前記第1平滑回路からの電力により動作するモータと、前記第2平滑回路からの電力により動作し、前記モータの回転数の指令値を示すモータ指令信号を出力するモータ制御回路と、前記モータ指令信号に従って、前記モータに供給される電力を制御することで、前記モータの動作を制御するモータ駆動回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電気機器においては、モータの回転数が低減すると、回生電流が生じる。この回生電流が第1平滑回路に流れ込むと、第1電圧が上昇する。この際に、フィードバック回路が第1電圧の上昇を検知するので、スイッチング制御回路は、第1電圧を降下させるように、スイッチング素子の切り換え動作を制御する。これによって、第1電圧の上昇が抑制されて、第1電圧は目標電圧に維持される。しかしながら、このような第1電圧の調整能力を超えて第1電圧が上昇すると、スイッチング制御回路は、スイッチング素子の切り換え動作を停止させてしまう。この場合、第1二次巻線からの電力供給が停止されて、モータが停止してしまうだけでなく、第2平滑回路からの電力供給も停止されてしまい、モータ制御回路の動作が停止してしまう。
【0005】
本明細書では、回生電流に起因してスイッチング素子の切り換え動作が停止してしまうことを抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する第1の態様では、電気機器は、一次巻線と、第1二次巻線と、第2二次巻線を備えるトランスと、前記第1二次巻線からの交流電力を平滑化して第1電圧の直流電力を出力する第1平滑回路と、前記第2二次巻線からの交流電力を平滑化して第2電圧の直流電力を出力する第2平滑回路と、前記第1電圧の大きさを示すフィードバック信号を出力するフィードバック回路と、前記一次巻線への通電のオン/オフを切り換えるスイッチング素子と、前記フィードバック信号に基づいて、前記第1電圧が目標電圧に近づくように、前記スイッチング素子の切り換え動作を制御するスイッチング制御回路と、前記第1平滑回路からの電力により動作するモータと、前記第2平滑回路からの電力により動作し、前記モータの回転数の指令値を示すモータ指令信号を出力するモータ制御回路と、前記モータ指令信号に従って、前記モータに供給される電力を制御することで、前記モータの動作を制御するモータ駆動回路と、前記モータからの回生電流を吸収する吸収抵抗器と、前記吸収抵抗器に流れる電流を制限する電流制限回路を備えていてもよい。前記電流制限回路は、前記モータ指令信号が示す前記モータの前記回転数の前記指令値が低減する場合に、前記吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和するように構成されていてもよい。
【0007】
上記の構成によれば、モータの回転数の低減によって発生する回生電流が、吸収抵抗器に流れ込んで吸収される。これによって、第1平滑回路に回生電流が流れ込むことを抑制することができ、第1電圧の上昇を抑制することができる。従って、第1電圧の上昇に起因してスイッチング素子の切り換え動作が停止してしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、上記の構成によれば、電流制限回路によって、吸収抵抗器に流れる電流が制限されている。これによって、第1平滑回路からの電流が吸収抵抗器に流れることによる、エネルギーの浪費を抑制することができる。さらに、上記の構成によれば、モータ指令信号が示すモータの回転数の指令値が低減する場合に、電流制限回路が吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和する。これによって、回生電流の発生が見込まれるタイミングで、吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和することができ、第1電圧の上昇を効果的に抑制することができる。
【0009】
第2の態様では、第1の態様の電気機器において、前記電気機器が、前記第1平滑回路と前記吸収抵抗器の間に設けられたスイッチをさらに備えていてもよい。前記モータ制御回路は、前記スイッチの導通/非導通を切り換え可能であってもよい。前記モータ制御回路は、前記モータを回転させる場合に、前記スイッチを導通とし、前記モータを停止させる場合に、前記スイッチを非導通とするように構成されていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、モータの停止時など、第1平滑回路からモータへの電力供給が不要な状況において、モータ制御回路がスイッチを非導通に切り換えることで、第1平滑回路から出力される電力が吸収抵抗器で浪費されてしまうことを抑制することができる。
【0011】
第3の態様では、第1または第2の態様の電気機器において、前記電流制限回路が、前記吸収抵抗器に直列に接続されており、トランジスタ制御信号に応じて動作するように構成されたトランジスタと、反転入力端子に前記モータ指令信号に応じた電圧が入力され、出力端子から前記トランジスタ制御信号を出力するように構成されたオペアンプを備えていてもよい。
【0012】
上記の構成では、吸収抵抗器を流れる電流が、吸収抵抗器に直列に接続されたトランジスタによって制限されている。そして、上記の構成では、モータ制御回路からモータの回転数を低減させるようなモータ指令信号が出力された場合に、オペアンプの反転入力端子に入力される電圧が低減するので、トランジスタ制御信号の電圧が上昇し、それによって吸収抵抗器に流れる電流の制限が緩和される。上記の構成によれば、簡素な回路構成によって、モータの回転数を低減させるようなモータ指令信号が出力された場合に、吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和することができる。
【0013】
第4の態様では、第3の態様の電気機器において、前記モータ指令信号が、前記モータの前記回転数の前記指令値の大きさをデューティ比で表したPWM信号であってもよい。前記電流制限回路は、前記モータ指令信号を平滑化した電圧を前記反転入力端子に入力する第3平滑回路をさらに備えてもよい。
【0014】
モータ指令信号がPWM信号である場合、モータの回転数を低減させる際には、PWM信号のデューティ比が低減する。上記の構成によれば、モータ指令信号を第3平滑回路で平滑化した電圧が反転入力端子に入力されるので、モータの回転数を低減させるようなモータ指令信号が出力されると、反転入力端子に入力される電圧が降下する。これによって、トランジスタ制御信号の電圧が上昇し、それによって吸収抵抗器に流れる電流の制限が緩和される。上記の構成によれば、モータ指令信号がPWM信号である場合であっても、モータの回転数を低減させるようなモータ指令信号が出力された場合に、吸収抵抗器に流れる電流の制限を緩和することができる。
【0015】
第5の態様では、第3または第4の態様の電気機器において、前記トランジスタが、NPN型のバイポーラトランジスタであってもよい。
【0016】
NPN型のバイポーラトランジスタでは、ベース電流の増減に伴って、コレクタ電流も増減する。上記の構成によれば、トランジスタ制御信号によってベース電流の大きさを調整することで、吸収抵抗器に流れる電流の大きさを調整することができる。
【0017】
第6の態様では、第5の態様の電気機器において、前記電流制限回路は、前記トランジスタのコレクタ端子と、前記オペアンプの非反転入力端子の間を接続する第1抵抗器と、前記オペアンプの前記非反転入力端子と、前記トランジスタのエミッタ端子の間を接続する第2抵抗器をさらに備えていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、オペアンプの非反転入力端子に、トランジスタのコレクタ-エミッタ間の電圧を第1抵抗器と第2抵抗器によって分圧した電圧が入力される。上記の構成によれば、トランジスタのコレクタ-エミッタ間に印可されている電圧に応じた電圧を、オペアンプの出力端子からトランジスタ制御信号として出力することができる。このような構成とすることによって、モータ指令信号の増減に対して、適切な感度でトランジスタの挙動を変化させることができる。
【0019】
第7の態様では、第6の態様の電気機器において、前記吸収抵抗器が、前記モータ駆動回路の正極端子と、前記トランジスタの前記コレクタ端子の間を接続していてもよく、前記電流制限回路が、前記モータ駆動回路の前記正極端子と、前記オペアンプの前記非反転入力端子の間を接続する第3抵抗器をさらに備えていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第3抵抗器として適切な大きさの抵抗値のものを用いることで、モータ指令信号の増減に対して、適切な感度でトランジスタの挙動を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例の電気機器2の概略の回路構成を示す図である。
【
図2】比較例の電気機器102の概略の回路構成を示す図である。
【
図3】比較例の電気機器102における各信号のタイミングチャートの例である。
【
図4】実施例の電気機器2における各信号のタイミングチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例の電気機器2の構成)
図1に示す電気機器2は、例えば給湯器等のバーナに燃焼用の空気を送風する送風機である。電気機器2は、電源回路4と、モータ6と、モータ駆動回路8と、モータ制御マイコン10と、吸収抵抗器42と、電流制限回路12を備えている。
【0023】
電源回路4は、一次平滑回路14と、トランス16と、スイッチング素子18と、スイッチング制御回路20と、第1二次平滑回路23と、フィードバック回路30と、第2二次平滑回路27と、電圧レギュレータ32を備えている。第1二次平滑回路23は、整流ダイオード22と、電解コンデンサ24を備えている。第2二次平滑回路27は、整流ダイオード26と、電解コンデンサ28を備えている。
【0024】
一次平滑回路14は、商用電源13から供給される交流電力を整流および平滑化して、直流電力を出力する。
【0025】
トランス16は、コア16aと、一次巻線16bと、第1二次巻線16cと、第2二次巻線16dを備えている。一次巻線16bと、第1二次巻線16cと、第2二次巻線16dは、コア16aに巻回されており、コア16aを介して磁気的に結合されている。一次巻線16bと、スイッチング素子18は、一次平滑回路14の出力に直列に接続されている。
【0026】
スイッチング素子18は、例えばNチャネル型のMOSFETである。スイッチング素子18がオンになると、一次平滑回路14から一次巻線16bに電流が流れる。スイッチング素子18がオフになると、一次平滑回路14から一次巻線16bへ流れる電流が遮断される。
【0027】
スイッチング制御回路20は、スイッチング素子18にスイッチング制御信号を出力して、スイッチング素子18の切り換え動作を制御する。具体的には、スイッチング制御回路20は、スイッチング素子18のオン/オフを繰り返し切り換える。これによって、一次巻線16bに周期的なパルス状の電流が流れて、それによって第1二次巻線16cと第2二次巻線16dのそれぞれに、交流電力が誘導される。
【0028】
第1二次巻線16cで誘導された交流電力は、第1二次平滑回路23において、整流ダイオード22により整流されて、電解コンデンサ24により平滑化される。これによって、第1正極端子4aと第1負極端子4bには、第1電圧V1の直流電力が出力される。フィードバック回路30は、第1電圧V1を監視しており、第1電圧V1の大きさを示すフィードバック信号をフォトカプラ(図示せず)を介してスイッチング制御回路20に送信する。スイッチング制御回路20は、受信したフィードバック信号に基づいて、第1電圧V1が目標電圧(例えば24V)に近づくように、スイッチング素子18の切り換え動作におけるオン/オフのデューティ比を調整する。
【0029】
第2二次巻線16dで誘導された交流電力は、第2二次平滑回路27において、整流ダイオード26により整流されて、電解コンデンサ28により平滑化される。これによって、第2正極端子4cと第2負極端子4dには、第2電圧V2の直流電力が出力される。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも小さく、例えば第1電圧V1が24Vの場合には、第2電圧V2は10V程度である。電圧レギュレータ32は、第2電圧V2の直流電力を降圧して、第3電圧V3(例えば5V)の直流電力を出力する。
【0030】
モータ6は、例えばU相端子6aと、V相端子6bと、W相端子6cを備える3相モータである。モータ駆動回路8は、モータ6に接続されたインバータ回路34と、インバータ回路34に接続されたモータドライバ36を備えている。インバータ回路34は、例えば、正極端子34aと、負極端子34bと、第1スイッチング素子34cと、第2スイッチング素子34dと、第3スイッチング素子34eと、第4スイッチング素子34fと、第5スイッチング素子34gと、第6スイッチング素子34hを備えている。正極端子34aと負極端子34bには、電流制限回路12を介して、第1電圧V1の直流電力が供給される。
【0031】
第1スイッチング素子34cと、第2スイッチング素子34dと、第3スイッチング素子34eと、第4スイッチング素子34fと、第5スイッチング素子34gと、第6スイッチング素子34hは、例えば、Nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチング素子34cは、正極端子34aとU相端子6aの間を接続している。第2スイッチング素子34dは、U相端子6aと負極端子34bの間を接続している。第3スイッチング素子34eは、正極端子34aとV相端子6bの間を接続している。第4スイッチング素子34fは、V相端子6bと負極端子34bの間を接続している。第5スイッチング素子34gは、正極端子34aとW相端子6cの間を接続している。第6スイッチング素子34hは、W相端子6cと負極端子34bの間を接続している。
【0032】
モータドライバ36は、インバータ回路34の第1スイッチング素子34cと、第2スイッチング素子34dと、第3スイッチング素子34eと、第4スイッチング素子34fと、第5スイッチング素子34gと、第6スイッチング素子34hのオン/オフを切り換えることで、モータ6に供給される電力を制御する。これによって、モータドライバ36は、モータ6を所望の回転数で回転させることや、モータ6の回転を停止させることができる。
【0033】
モータ制御マイコン10は、電圧レギュレータ32から供給される第3電圧V3の直流電力によって動作する。モータ制御マイコン10は、モータ6の回転数の指令値を示すモータ指令信号を生成し、モータ指令出力端子10aを介してモータドライバ36に出力する。モータ指令信号は、例えばPWM信号である。この場合、モータ6の回転数の指令値が大きいほど、PWM信号のデューティ比は大きくなり、モータ6の回転数の指令値が小さいほど、PWM信号のデューティ比は小さくなる。モータドライバ36は、モータ制御マイコン10からのモータ指令信号に従って、インバータ回路34を介してモータ6の動作を制御する。
【0034】
電流制限回路12は、トランジスタ38と、オペアンプ40と、抵抗器46,48,50,52,54,56,58と、コンデンサ60,62,64と、スイッチ66を備えている。
【0035】
トランジスタ38は、例えばNPN型のバイポーラトランジスタである。トランジスタ38のコレクタ端子は、吸収抵抗器42を介して、インバータ回路34の正極端子34aに接続されている。トランジスタ38のエミッタ端子は、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。
【0036】
オペアンプ40の出力端子は、互いに直列に接続された抵抗器46および抵抗器48を介して、トランジスタ38のベース端子に接続されている。オペアンプ40は、出力端子からトランジスタ制御信号を出力する。トランジスタ38のベース端子は、抵抗器50を介して、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。抵抗器46と抵抗器48の接続箇所は、コンデンサ60を介して、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。オペアンプ40の出力端子は、コンデンサ62を介して、オペアンプ40の反転入力端子に接続されている。
【0037】
オペアンプ40の反転入力端子は、抵抗器52を介して、モータ制御マイコン10のモータ指令出力端子10aに接続されている。オペアンプ40の反転入力端子は、コンデンサ64を介して、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。抵抗器52とコンデンサ64は、信号平滑回路63を構成している。インバータ回路34の負極端子34bは、電源回路4の第1負極端子4bに接続されている。
【0038】
オペアンプ40の非反転入力端子は、抵抗器54を介して、トランジスタ38のコレクタ端子に接続されている。オペアンプ40の非反転入力端子は、抵抗器56を介して、インバータ回路34の正極端子34aに接続されている。オペアンプ40の非反転入力端子は、抵抗器58を介して、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。
【0039】
スイッチ66は、例えばPチャネル型のMOSFETである。スイッチ66は、電源回路4の第1正極端子4aとインバータ回路34の正極端子34aの間を接続している。スイッチ66がオンになると、電源回路4から電流制限回路12およびインバータ回路34へ第1電圧V1の直流電力が供給される。スイッチ66がオフになると、電源回路4から電流制限回路12およびインバータ回路34への第1電圧V1の直流電力の供給が遮断される。モータ制御マイコン10は、スイッチ66のオン/オフを切り換える。例えば、モータ制御マイコン10は、モータ6を所定の回転数で回転させる場合に、スイッチ66をオンとし、モータ6の回転を停止させる場合に、スイッチ66をオフとする。
【0040】
(比較例の電気機器2の構成)
図2は、比較例として、電流制限回路12を備えていない電気機器102を示している。
図2の電気機器102は、電流制限回路12を備えていない点を除いて、
図1の電気機器2と同様の構成を備えている。
図2の電気機器102では、電源回路4の第1正極端子4aが、インバータ回路34の正極端子34aに接続されており、電源回路4の第1負極端子4bが、インバータ回路34の負極端子34bに接続されている。
【0041】
(比較例の電気機器102の回生電流発生時の挙動)
モータ6が回転している状況で、モータ6の回転数が低減する場合や、モータ6の回転が停止する場合には、モータ6で回生電流が生じる。
図2に示す比較例の電気機器102では、モータ6で回生電流が生じると、インバータ回路34の正極端子34a、負極端子34bと、電源回路4の第1正極端子4a、第1負極端子4bを介して、第1二次平滑回路23に回生電流が流れ込む。これによって、電解コンデンサ24に蓄積された電荷が増大して、第1電圧V1が上昇する。この際に、フィードバック回路30が第1電圧V1の上昇を検知するので、スイッチング制御回路20は、第1電圧V1を降下させるようにスイッチング素子18の切り換え動作におけるオン/オフのデューティ比を調整する。これによって、
図3の時刻T0から時刻T1までの期間に示すように、第1電圧V1の上昇が抑制されて、第1電圧V1が目標電圧(例えば24V)に維持される。なお、この際には、スイッチング制御回路20は、第1電圧V1を降下させるようにスイッチング素子18の切り換え動作におけるオン/オフのデューティ比を調整するので、それに伴って第2電圧V2が降下していく。
【0042】
その後、モータ6からの回生電流が第1二次平滑回路23にさらに流入して、電源回路4による第1電圧V1の調整能力を超えて第1電圧V1が上昇すると、
図3の時刻T1に示すように、スイッチング制御回路20は、スイッチング素子18の切り換え動作を停止する。これによって、第1二次巻線16cでの交流電力の誘導が停止されるとともに、第2二次巻線16dでの交流電力の誘導が停止される。この場合、第1電圧V1は、その後も回生電流の流入によってわずかに上昇していくものの、回生電流の低減に伴って降下に転じていく。また、第2電圧V2は大きく降下していく。
【0043】
その後、
図3の時刻T2に示すように、第2電圧V2の低下に伴って電圧レギュレータ32の動作が停止する。さらに、
図3の時刻T3に示すように、第3電圧V3の低下に伴ってモータ制御マイコン10の動作が停止する。
【0044】
その後、
図3の時刻T4に示すように、第1電圧V1が十分に降下すると、スイッチング制御回路20は、スイッチング素子18のオン/オフの切り換え動作を再開する。これによって、第1二次巻線16cでの交流電力の誘導が再開されて、第1二次平滑回路23からの電力供給が再開される。また、第2二次巻線16dでの交流電力の誘導も再開されて、第2二次平滑回路27からの電力供給も再開される。これによって、電圧レギュレータ32およびモータ制御マイコン10が動作を再開する。
【0045】
(実施例の電気機器2の回生電流発生時の挙動)
図1に示す実施例の電気機器2では、モータ制御マイコン10からモータドライバ36へ出力されるモータ指令信号が、信号平滑回路63によって平滑化されて、オペアンプ40の反転入力端子に入力される。モータ指令信号はPWM信号であるため、モータ制御マイコン10からモータ6の回転数を低減させるようなモータ指令信号が出力されると、オペアンプ40の非反転入力端子の入力電圧が降下する。これによって、オペアンプ40の出力端子の電圧が上昇し、トランジスタ38のベース電流が増加する。それに応じて、トランジスタ38のコレクタ電流が増加して、吸収抵抗器42を流れる電流が増加する。
【0046】
このため、モータ6の回転数の低減によって発生する回生電流は、吸収抵抗器42に流れ込んで吸収される。これによって、電源回路4の第1二次平滑回路23に回生電流が流れ込むことを抑制することができ、第1電圧V1の上昇を抑制することができる(
図4の時刻T0以降の期間参照)。なお、第1二次平滑回路23に流れ込む回生電流をゼロにはできないので、第1電圧V1はわずかに上昇し、それに応じてスイッチング素子18の切り換え動作におけるオン/オフのデューティ比が調整されるので、第1電圧V1は目標電圧(例えば24V)に維持され、第2電圧V2は降下していく。しかしながら、実施例の電気機器2では、電源回路4による第1電圧V1の調整能力を超えて第1電圧V1が上昇することがないので、スイッチング制御回路20が、スイッチング素子18の切り換え動作を停止することがない。従って、第1電圧V1の上昇に起因するスイッチング素子18のオン/オフの切り換え動作の停止を抑制することができ、それによる第1二次平滑回路23からの電力供給の停止や、第2二次平滑回路27からの電力供給の停止を抑制することができる。電圧レギュレータ32やモータ制御マイコン10が動作を停止してしまうことを抑制することができる。
【0047】
(対応関係)
第1二次平滑回路23が第1平滑回路の例であり、第2二次平滑回路27が第2平滑回路の例であり、モータ制御マイコン10がモータ制御回路の例であり、信号平滑回路63が第3平滑回路の例であり、抵抗器54が第1抵抗器の例であり抵抗器58が第2抵抗器の例であり、抵抗器56が第3抵抗器の例である。
【0048】
(変形例)
電気機器2は、他の種類の電気機器であってもよい。また、第1平滑回路、第2平滑回路、フィードバック回路、スイッチング制御回路、モータ制御回路、モータ駆動回路、電流制限回路、第3平滑回路等の具体的な構成は、実施例に記載の構成に限定されるものではなく、同様の機能を発揮する他の構成によって置き換えられてもよい。
【0049】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
2 :電気機器
4 :電源回路
4a :第1正極端子
4b :第1負極端子
4c :第2正極端子
4d :第2負極端子
6 :モータ
6a :U相端子
6b :V相端子
6c :W相端子
8 :モータ駆動回路
10 :モータ制御マイコン
10a :モータ指令出力端子
12 :電流制限回路
13 :商用電源
14 :一次平滑回路
16 :トランス
16a :コア
16b :一次巻線
16c :第1二次巻線
16d :第2二次巻線
18 :スイッチング素子
20 :スイッチング制御回路
22 :整流ダイオード
23 :第1二次平滑回路
24 :電解コンデンサ
26 :整流ダイオード
27 :第2二次平滑回路
28 :電解コンデンサ
30 :フィードバック回路
32 :電圧レギュレータ
34 :インバータ回路
34a :正極端子
34b :負極端子
34c :第1スイッチング素子
34d :第2スイッチング素子
34e :第3スイッチング素子
34f :第4スイッチング素子
34g :第5スイッチング素子
34h :第6スイッチング素子
36 :モータドライバ
38 :トランジスタ
40 :オペアンプ
42 :吸収抵抗器
46 :抵抗器
48 :抵抗器
50 :抵抗器
52 :抵抗器
54 :抵抗器
56 :抵抗器
58 :抵抗器
60 :コンデンサ
62 :コンデンサ
63 :信号平滑回路
64 :コンデンサ
66 :スイッチング素子
102 :電気機器