(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001955
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】先端部材接続装置、コネクタ接続装置および先端部材接続方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20241226BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20241226BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B25J15/00 C
H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101778
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】松下 友紀
(72)【発明者】
【氏名】熊代 由岐
(72)【発明者】
【氏名】砂川 義彦
【テーマコード(参考)】
3C707
5E051
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS03
3C707BS10
3C707BS24
3C707DS02
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU18
3C707EV02
3C707EV23
3C707EV26
3C707NS17
5E051BA02
5E051BA04
(57)【要約】
【課題】より短いタクトタイムで先端部材の接続が可能な装置を提供する。
【解決手段】線状物本体51の先端に取り付けられた先端部材52を相手方部材60に接続するための装置であって、ロボット20と、前記ロボットに装着されたグリッパ30とを有し、前記グリッパが、第1フィンガ、第2フィンガ、および、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記先端部材を位置決めする先端部材位置決め機構を備える先端部材接続装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状物本体の先端に取り付けられた先端部材を相手方部材に接続するための装置であって、
ロボットと、前記ロボットに装着されたグリッパとを有し、
前記グリッパが、第1フィンガ、第2フィンガ、および、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記先端部材を位置決めする先端部材位置決め機構を備える、
先端部材接続装置。
【請求項2】
請求項1において、前記先端部材がコネクタであり、前記相手方部材が相手方コネクタであり、前記先端部材位置決め機構が前記コネクタを位置決めするコネクタ位置決め機構である、
コネクタ接続装置。
【請求項3】
前記コネクタ位置決め機構は、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向において、前記コネクタを位置決めする、
請求項2に記載のコネクタ接続装置。
【請求項4】
前記コネクタ位置決め機構は、
前記第1フィンガに有する第1ガイド部と、前記第1フィンガと前記第2フィンガの間に配置された誘導部材とを備え、
前記第1ガイド部と前記誘導部材の距離を縮めて、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記コネクタを、前記第1ガイド部に誘導することにより、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向において前記コネクタを位置決めする、
請求項3に記載のコネクタ接続装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部は、前記第1フィンガの把持面から突出する部位であり、
前記誘導部材は、前記第1フィンガと前記第2フィンガの間に配置され、
前記第1フィンガもしくは前記誘導部材またはその両方が、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向に移動可能である、
請求項4に記載のコネクタ接続装置。
【請求項6】
前記コネクタ位置決め機構は、
前記第1フィンガの把持面の先端側から突出する第1ガイド部と、
前記第2フィンガの把持面の基端側から突出する第2ガイド部とを備え、
前記第1フィンガもしくは前記第2フィンガまたはその両方が、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向に移動可能である、
請求項3に記載のコネクタ接続装置。
【請求項7】
前記ロボットに装着された第2グリッパをさらに有し、
前記第2グリッパは、
前記グリッパが前記コネクタを把持したときに前記線状物本体を把持可能に配置され、
前記グリッパによる前記コネクタの把持、解放動作と独立に、前記線状物本体の把持、解放動作が可能である、
請求項2~6のいずれか一項に記載のコネクタ接続装置。
【請求項8】
前記第1フィンガが前記第2フィンガと独立に開閉動作可能である、
請求項2~6のいずれか一項に記載のコネクタ接続装置。
【請求項9】
線状物本体の先端に取り付けられた先端部材を相手方部材に接続するための方法であって、
ロボットに装着されたグリッパが有する第1フィンガと第2フィンガによって前記先端部材を把持する把持工程と、
把持された前記先端部材を位置決めする位置決め工程と、
前記グリッパを移動させて前記先端部材を前記相手方部材に接続する接続工程と、
を有する先端部材接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状物の先端にあるコネクタ等の先端部材を、ロボットを用いて相手方部材に接続する装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電線などの先端に取り付けられたコネクタを把持して、対となる相手方コネクタに接続する作業を、ロボットを用いて自動化することが行われている。例えば、特許文献1および2には、電線の先端部に接続されたコネクタの把持位置をステレオカメラ等を用いて算出し、ロボットに装着されたグリッパでコネクタを把持し、コネクタの軸線周りの回転方向を計算してコネクタを所要の方向に回転させてコネクタハウジングに接続する先端部材接続方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112470号公報
【特許文献2】特開2020-110881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に開示された方法では、3次元視覚センサによってコネクタの位置および向きを計測して接続作業を行う。3次元視覚センサを用いて、把持すべきコネクタの位置を確認し、グリッパで把持したコネクタの位置および向きを計測し、コネクタと相手方コネクタの位置関係を確認しながら接続すれば、ワークの性状や作業条件が様々に異なっていても接続作業が可能となる。例えば、ワークが変形しやすい可撓性や軟弱な線状物であっても、また、供給されるワークや相手方コネクタの位置が一定しない場合であっても接続作業が可能となる。しかし、3次元視覚センサを用いて計測する項目が増えると、そのための演算時間が接続作業のタクトタイム短縮の障害となる。
【0005】
本発明は、上記を考慮してなされたものであり、より短いタクトタイムでコネクタ等の先端部材の接続が可能な装置および方法を提供することを目的とする。より詳細には、グリッパに把持された先端部材の位置および向きを計測することなく、先端部材を相手方部材に接続可能な装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の先端部材接続装置は、線状物本体の先端に取り付けられた先端部材を相手方部材に接続するための装置であって、ロボットと、前記ロボットに装着されたグリッパとを有し、前記グリッパが、第1フィンガ、第2フィンガ、および、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記先端部材を位置決めする先端部材位置決め機構を備える。
【0007】
上記先端部材接続装置の代表的な例において、前記先端部材がコネクタであり、前記相手方部材が相手方コネクタであり、前記先端部材位置決め機構が前記コネクタを位置決めするコネクタ位置決め機構である。この場合、当該先端部材接続装置は、線状物本体の先端に取り付けられたコネクタを相手方コネクタに接続するための装置であって、ロボットと、前記ロボットに装着されたグリッパとを有し、前記グリッパが、第1フィンガ、第2フィンガ、および、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記コネクタを位置決めするコネクタ位置決め機構を備えるコネクタ接続装置である。
【0008】
ここで、コネクタとは、対となる相手方コネクタと接続するための部材をいい、オス型であるかメス型であるかを問わず、プラグ、ジャック、コンタクトピン、レセプタクル、ハウジング、ピン端子、端子、ターミナル端子、圧着端子、金属端子、タブ、ソケット、カプラ等の名称で呼ばれるものを含む。
【0009】
上記コネクタ接続装置において、好ましくは、前記コネクタ位置決め機構は、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向において、前記コネクタを位置決めする。ここで、第1フィンガまたは第2フィンガの開閉方向とは、両フィンガの間隔を広げる方向または狭める方向をいう。コネクタの軸方向とは、コネクタの中心軸の方向であって、より正確にはコネクタの相手方コネクタとの接続部の中心軸の方向をいう。
【0010】
上記コネクタ接続装置において、好ましくは、前記コネクタ位置決め機構は、前記第1フィンガに有する第1ガイド部と、前記第1フィンガと前記第2フィンガの間に配置された誘導部材とを備え、前記第1ガイド部と前記誘導部材の距離を縮めて、前記第1フィンガと前記第2フィンガによって把持された前記コネクタを、前記第1ガイド部に誘導することにより、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向において前記コネクタを位置決めする。
【0011】
上記コネクタ接続装置において、より好ましくは、前記第1ガイド部は、前記第1フィンガの把持面から突出する部位であり、前記誘導部材は、前記第1フィンガと前記第2フィンガの間に配置され、前記第1フィンガもしくは前記誘導部材またはその両方が、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向に移動可能である。この構造によって、第1ガイド部と誘導部材が相対的に接近または離反することができ、第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタを第1ガイド部と誘導部材で挟むことにより、コネクタを位置決めすることができる。
【0012】
あるいは、好ましくは、前記コネクタ位置決め機構は、前記第1フィンガの把持面の先端側から突出する第1ガイド部と、前記第2フィンガの把持面の基端側から突出する第2ガイド部とを備え、前記第1フィンガもしくは前記第2フィンガまたはその両方が、前記第1フィンガまたは前記第2フィンガの開閉方向、および前記コネクタの軸方向に垂直な方向に移動可能である。この構造によって、第1ガイド部と第2ガイド部が相対的に接近または離反することができ、第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタを第1ガイド部と第2ガイド部で挟むことにより、コネクタを位置決めすることができる。
【0013】
上記いずれかのコネクタ接続装置において、好ましくは、前記ロボットに装着された第2グリッパをさらに有し、前記第2グリッパは、前記グリッパが前記コネクタを把持したときに前記線状物本体を把持可能に配置され、前記グリッパによる前記コネクタの把持、解放動作と独立に、前記線状物本体の把持、解放動作が可能である。この構造により、オス型のコネクタの全体をメス型の相手方コネクタの内部に挿入する場合など、第1グリッパでコネクタを把持したままでは相手方コネクタへの押し込みが難しい場合にも、第2グリッパでコネクタを押し込むことができる。
【0014】
上記いずれかのコネクタ接続装置において、好ましくは、前記第1フィンガが前記第2フィンガと独立に開閉動作可能である。これにより、コネクタがオス型であって、複数のコネクタを、複数の挿入口を有する相手方コネクタに順次接続する場合にも、コネクタを把持したグリッパをすでに接続された他の線状物と干渉させることなく接続作業を行うことができる。
【0015】
本発明の先端部材接続方法は、線状物本体の先端に取り付けられた先端部材を相手方部材に接続するための方法であって、ロボットに装着されたグリッパが有する第1フィンガと第2フィンガによって前記先端部材を把持する把持工程と、把持された前記先端部材を位置決めする位置決め工程と、前記グリッパを移動させて前記先端部材を前記相手方部材に接続する接続工程とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の先端部材接続装置または先端部材接続方法によれば、グリッパが備える第1フィンガ、第2フィンガおよび先端部材位置決め機構によって、グリッパに把持された先端部材の位置および向きを確定できる。その結果、3次元視覚センサ等を用いた計測を行うことなく先端部材を相手方部材に接続することが可能となり、接続作業のタクトタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態のコネクタ接続装置を示す図である。
【
図2】第1グリッパおよび第2グリッパの主要部を示す図である。
【
図3】第1グリッパの構成を説明するための図である。
【
図4】他の第1グリッパの構成を説明するための図である。
【
図5】他の第1グリッパの構成を説明するための図である。
【
図6】第2グリッパの構成を説明するための図である。
【
図7】一実施形態のコネクタ接続方法の工程フロー図である。
【
図8】相手方コネクタの挿入口にコネクタを挿入する順番を説明するための図である。
【
図9】一実施形態のコネクタ接続方法を説明するための図である。A、B:コネクタ把持工程、C:コネクタ位置決め工程
【
図10】一実施形態のコネクタ接続方法を説明するための図である。A、B:コネクタ挿入工程、C:コネクタ解放工程
【
図11】一実施形態のコネクタ接続方法を説明するための図である。A:コネクタ挿入工程、B、C、D:コネクタ解放工程
【
図12】一実施形態のコネクタ接続方法を説明するための図である。A、B:コネクタ押し込み工程、C:線状物本体解放工程
【
図13】一実施形態のコネクタ接続方法を説明するための図である。A:コネクタ押し込み工程、B、C:線状物本体解放工程
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、本発明の一実施形態であるコネクタ接続装置10は、ロボット20と、ロボット20の1本のアームの先端に装着された第1グリッパ30および第2グリッパ40を有する。第1グリッパ30は一対のフィンガと後述するコネクタ位置決め機構を備える。第2グリッパ40は一対のフィンガを備える。コネクタ接続装置10は、線状物本体51の先端に先端部材であるコネクタ52が装着された線状物50をワークとして、コネクタ52を相手方部材である相手方コネクタ60に接続する。
【0019】
線状物50は、線状物本体51と、その先端に装着されたコネクタ52からなる。線状物本体51は、可撓性のものや、自在に変形する軟弱なものであってもよい。線状物本体としてはワイヤ、ケーブル、電線、光ファイバ、樹脂チューブなどが例示される。コネクタ52は、対となる相手方コネクタ60と接続するための部品であり、オス型であるかメス型であるかを問わず、プラグ、ジャック、コンタクトピン、レセプタクル、ハウジング、ピン端子、端子、ターミナル端子、圧着端子、金属端子、タブ、ソケット、カプラ等の名称で呼ばれるものを含む。
【0020】
1つの相手方コネクタ60に複数のコネクタ52を接続する場合は、コネクタ接続装置10でコネクタ52を1本ずつ把持して接続することを繰り返す。本実施形態では、電線51の先端にオス型のコンタクトピン52が装着された線状物50を、コンタクトピン52の挿入口62が複数格子状に配列されたメス型のハウジング60に接続する場合を例として説明する。
【0021】
線状物50は1本ずつ供給してもよいし、
図1に示したように一度に複数を供給して、コネクタ接続装置10で1本ずつ処理してもよい。線状物50の供給位置は特に限定されないが、好ましくは定位置に供給する。供給位置が定まらない場合は、線状物を把持するためにカメラ等の視覚センサを利用する必要があるのに対して、供給位置が一定する場合は、視覚センサを省略して、教示によって線状物を把持できるからである。線状物が変形しやすい可撓性や軟弱性があるものであっても、供給位置をある程度一定に定めれば、教示によって線状物を把持した後に、後述する位置決め機構により、線状物をグリッパの一定の位置に位置決めすることができる。
図1では、複数の線状物50を、供給台53に載せて、一定の位置に供給している。
【0022】
ロボット20の形式は特に限定されず、直交ロボット、パラレルリンクロボット、垂直多関節ロボット等を利用できる。ロボット20の軸数は、供給された線状物を相手方コネクタに接続できれば特に限定されない。例えば、線状物50を相手方コネクタ60への接続方向に向けて1本ずつ供給する場合は、
図1の高さ方向と接続方向の2つのスライド軸があればよい。ロボット20の軸数は、好ましくは3以上、より好ましくは4~7である。
図1には、複数のリンク21と関節22を有する垂直多関節型のロボット20を示した。
【0023】
ロボット20のアームの先端には、第1グリッパ30および第2グリッパ40が装着されている。第1グリッパと第2グリッパは一体となるように連結されていると狭いスペースでの作業性に優れるとともに、単腕ロボット1台でコネクタの接続が可能となる。ただし、第1グリッパと第2グリッパは別々のアームに装着されていてもよい。
図2に両グリッパの主要部を示す。第1グリッパ30は第1フィンガ31と第2フィンガ35を備え、線状物50の先端にあるコネクタ52を把持する。第2グリッパ40は第3フィンガ41と第4フィンガ45を備え、線状物本体51のコネクタ52近傍を把持する。第1グリッパ30と第2グリッパ40は、第1グリッパがコネクタ52を把持したときに、第2グリッパが線状物本体51を把持可能であるような位置関係で配置される。
【0024】
図2および
図3を参照して、第1グリッパ30は、第1フィンガ31、第2フィンガ35および誘導部材37を備える。第1フィンガ31と第2フィンガ35は、それぞれの把持面32、36を互いに平行に相対向して配置され、把持面32、36を平行に保ったまま開閉可能である。グリッパまたはフィンガが開閉するとは、把持面同士の間隔を広げる方向または狭める方向にフィンガが移動することをいい、フィンガが開閉時に移動する方向(
図2および
図3のY方向)を開閉方向という。第1フィンガの開閉方向と第2フィンガの開閉方向は同じであるので、以下において、第1フィンガまたは第2フィンガの開閉方向を単にフィンガの開閉方向という。これにより、第1フィンガと第2フィンガでコネクタ52を、コネクタをその軸方向(
図2および
図3のX方向)と直角の方向から挟んで、把持することができる。また、フィンガの開閉方向およびコネクタの軸方向に垂直な方向(
図2および
図3のZ方向)を、本実施形態でフィンガの長手方向という。また、本明細書において単にグリッパというときは、第1グリッパ30を意味する。
【0025】
本実施形態のように、複数のコネクタ52を、複数の挿入口62を有する相手方コネクタ60に順次接続する場合であって、かつ相手方コネクタの挿入口が密に配置されている場合は、第2フィンガ35の先端のコネクタ52を把持する部分が、コネクタの軸方向から見て薄く形成されていることが好ましい。さらには、コネクタの軸方向から見て楔型に形成されることが好ましい。これにより、コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に順次接続する場合に、第2フィンガがすでに接続された他の線状物と干渉することを防止できる。
【0026】
第1グリッパ30としては、第1フィンガ31と第2フィンガ35が把持面32、36の中間の平面を挟んで対称に、同時に開動作および閉動作を行う一般的な平行開閉型のものを用いることができる。一般的な平行開閉型のグリッパでは1個のアクチュエータで両方のフィンガを開閉できるものが市販されている。
【0027】
好ましくは、第1グリッパ30は、第1フィンガ31が第2フィンガ35と独立に開閉動作可能とする。このとき、第2フィンガは開閉せず固定されていて、第1フィンガだけが開閉可能な構造であってもよい。第2フィンガが固定であれば、アクチュエータの数は1個でよい。これにより、コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に順次接続する場合に、すでに接続された他の線状物との干渉を避けることができる。
【0028】
より好ましくは、第1グリッパ30は、第1フィンガ31が第2フィンガ35と独立に開閉動作可能であると同時に、第2フィンガが第1フィンガと独立に開閉動作可能とする。この場合は、第1フィンガと第2フィンガをそれぞれ開閉するために、計2個のアクチュエータが必要となり、グリッパの構造が複雑になる。しかし、これにより、コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に順次接続する場合に、すでに接続された他の線状物との干渉を避けることができるとともに、コネクタの把持が容易になる。他の線状物との干渉について、詳細は後述する。
【0029】
第1グリッパ30は、第1フィンガ31と第2フィンガ35が把持したコネクタ52をフィンガの長手方向において位置決めするコネクタ位置決め機構を備える。
図2および
図3では、コネクタ位置決め機構は、第1フィンガに設けられた第1ガイド部33と、誘導部材37を備える。
【0030】
第1ガイド部33は、第1フィンガ31の把持面32の先端側から突出して設けられる。第1ガイド部は、その把持面32側に、把持面から直角に立ち上がる第1ガイド面34を有する。
【0031】
誘導部材37は、第1フィンガ31と第2フィンガ35の間に配置される。誘導部材37は、第1フィンガまたは第2フィンガの開閉動作に追随して、開閉方向に移動可能としてもよい。誘導部材は、フィンガの長手方向に移動可能で、先端の第2ガイド面38で、第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタ52を、第1フィンガおよび第2フィンガの基端側から先端側に向かって押すことにより、第1ガイド部33に誘導することができる。誘導部材が第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタ52を、第1ガイド部33の第1ガイド面34に押し当てることで、コネクタ52をフィンガの長手方向において位置決めすることができる。なお、第1フィンガと第2フィンガとでコネクタを把持する力は、当該把持されたコネクタを誘導部材で押すことができる程度の力である。例えば、誘導部材がコネクタを押す力が45N程度である場合、把持する力は10~40Nである。この力は、コネクタの材質や形状等で異なる。
【0032】
第1グリッパ30のコネクタ位置決め機構は、第1フィンガ31をその長手方向基端側に移動させ、第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタ52を、誘導部材37に向かって押して、第2ガイド面38に押し当てることで、フィンガの長手方向において位置決めしてもよい。
【0033】
図4を参照して、コネクタ位置決め機構の他の例を説明する。第1グリッパ70は第1フィンガ31と第2フィンガ75を備える。第2フィンガ75は、把持面76の基端側に開閉方向に突出する第2ガイド部77を備え、第2ガイド部は、その把持面76側に、把持面76から直角に立ち上がる第2ガイド面78を有する。より具体的には、第2フィンガ75は、把持面76に開閉方向(Y方向)に突出する段差を備え、この開閉方向へ突出する段差面が第2ガイド部となる。第1フィンガ31および第2フィンガ75は、そのいずれかまたは両方をフィンガの長手方向に移動可能とする。これにより、第1フィンガ31と第2フィンガ75がコネクタ52を把持した状態で、第1ガイド面34と第2ガイド面78の距離を縮め、第1ガイド面34と第2ガイド面78でコネクタを挟み込むことで、コネクタ52をフィンガの長手方向において位置決めできる。
【0034】
図5を参照して、コネクタ位置決め機構のさらに他の例を説明する。第1グリッパ80は第1フィンガ81と第2フィンガ35と誘導部材37を備える。第1フィンガ81は、把持面82の下端に第1ガイド部としてコネクタの形状に合わせて形成された溝83を有する。
図3の場合と同様に、第1フィンガと第2フィンガに把持されたコネクタ52を、誘導部材37がフィンガの先端側に向かって押すことにより、第1ガイド部83に誘導することができる。コネクタ52は溝83に嵌ってフィンガの長手方向において位置決めされる。
【0035】
なお、
図5における第2フィンガ35と誘導部材37に代えて、
図4に示した第2フィンガ75を用いてもよい。
【0036】
図2および
図6を参照して、第2グリッパ40は、第3フィンガ41と第4フィンガ45を備える。第3フィンガ41と第4フィンガ45は、それぞれの把持面42、46を互いに平行に相対向して配置され、把持面42、46を平行に保ったまま開閉可能である。
【0037】
第2グリッパ40としては、第3フィンガ41と第4フィンガ45が把持面42、46の中間の平面を挟んで対称に、同時に開動作および閉動作を行う一般的な平行開閉型のものを用いることができる。なお、第2グリッパは、第1グリッパと同様に、第4フィンガを固定して第3フィンガが独立に開閉可能としてもよいし、第3フィンガと第4フィンガが互いに他方と独立に開閉可能としてもよい。
【0038】
第2グリッパ40は、第1グリッパ30がコネクタ52を把持したときに、コネクタ近傍の線状物本体51を把持可能であるように配置される。具体的には、第1グリッパと第2グリッパの開閉方向を平行にして、第1フィンガ31と第2フィンガ35の中間の平面と、第3フィンガ41と第4フィンガ45の中間の平面とが略一致するように配置される。第1グリッパ30と第2グリッパ40は、互いに独立に開閉可能であり、互いに独立にフィンガの長手方向に移動可能である。なお、第1グリッパが前記コネクタを把持したときに前記第2グリッパが前記線状物本体を把持可能である、という記載は、後述するコネクタ接続方法において第1グリッパがコネクタを把持する工程と第2グリッパが線状物本体を把持する工程との順番を特定するものではない。第1グリッパがコネクタを把持する工程が先で、第2グリッパが線状物本体を把持する工程が同時または後であることが好ましいが、第2グリッパが線状物本体を把持する工程が、第1グリッパがコネクタを把持する工程より先であっても良い。
【0039】
第2グリッパ40の各部を駆動するアクチュエータ群49は、第1グリッパ30の各部を駆動するアクチュエータ群39の後方、つまり、
図2および
図6のX方向において把持したコネクタ52から遠い側に配置される。そこで、第2グリッパが線状物本体51をコネクタ52の近傍で把持するために、第3フィンガ41と第4フィンガ45はそれぞれ、アクチュエータ群49から線状物50の先端方向へ延びるオフセット部43、47を介して支持される。なお、オフセット部の長さは、通常10~90mm程度である。第2グリッパが線状物本体をコネクタの近傍で把持する理由は、後述するように、可撓性のあるいは軟弱な線状物本体を把持して、コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に押し込むためである。したがって、ここで近傍とは、線状物本体51の性状に応じて、線状物本体を把持して、コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に押し込むことが可能な程度に近いことをいう。具体的には5~100mm程度であり、可撓性のあるいは軟弱な線状物本体の場合は5~50mm程度であることが好ましい。
【0040】
なお、第1グリッパ30がコネクタ52を把持した状態のままで相手方コネクタ60との接続を完了できる場合は、コネクタを押し込む必要がないので、第2グリッパは省略できる。本実施形態の第2グリッパは、コネクタが相手方コネクタに完全に挿入される場合の他にも、例えば、コネクタが小さく第1グリッパで把持したまま相手方コネクタへの押し込みが難しい場合、コネクタと相手方コネクタとが嵌合した際に相手方コネクタの挿入口から出ているコネクタ部分が小さい場合、相手方コネクタの挿入口同士の間隔が狭く第1繰グリッパで押し込むと既に嵌合している線状物と第1グリッパとが干渉して押し込めない場合など、特に有用である。
【0041】
次に、本実施形態のコネクタ接続方法を、
図7の流れに沿って説明する。
【0042】
本実施形態では、相手方コネクタ60の複数の挿入口62に、
図7の工程S1~S7によって線状物50を1本ずつ接続していく。このとき、挿入口62が密に配列されている場合は、まず、線状物を接続する順番を決める必要がある。
図8を参照して、複数の挿入口のうち、接続時に相手方コネクタに対向した第1グリッパ30のフィンガの先端側の列(
図8の下段の列)を先に、基端側の列(
図8の上段の列)を後に接続する。同じ列の中では、接続時に相手方コネクタに対向した第1グリッパ30のフィンガのうち、先端を薄く形成した第2フィンガ側(
図8の左側)の挿入口に先に接続する。
図8に示した相手方コネクタ60では、挿入口62に番号を付した順番に線状物を接続していく。
【0043】
(S1)第1グリッパ30でコネクタ52を把持する。具体的には、第1グリッパ30を、コネクタ把持手前位置に移動し、第1フィンガ31と第2フィンガ35を開いてコネクタに向けて前進し、第1フィンガと第2フィンガの間にコネクタが入り込んだら(
図9A)、第1フィンガと第2フィンガを閉じてコネクタを把持する(
図9B)。コネクタ把持手前位置は、コネクタの側方にあって、第1グリッパがコネクタに向かって真っすぐ前進を開始する位置である。第1グリッパ30は、後述するコネクタの位置決めの精度が上がるため、フィンガの長手方向をコネクタ52の軸方向に直角にしてコネクタを把持することが好ましい。第1グリッパ30は、把持手前位置でフィンガの長手方向をコネクタ52の軸方向に直角となる姿勢になっていてもよいし、または第1フィンガと第2フィンガの間にコネクタが入り込んだ際に(
図9A)フィンガの長手方向をコネクタ52の軸方向に直角となる姿勢にグリッパの向きを回転させてから把持してもよい。
【0044】
なお、第2フィンガ35が開閉せず固定されている場合は、第1フィンガ31だけを開閉させてコネクタ52を把持する。ただし、第1フィンガと第2フィンガの中間に入り込んだコネクタを第1フィンガだけを閉じて把持する場合は、コネクタを第1フィンガによって第2フィンガまで押すことになり、両方のフィンガを閉じるのと比べてコネクタの移動距離が大きくなり、把持動作中にコネクタが第1フィンガと第2フィンガの間から脱落しやすくなる。したがって、第1フィンガと第2フィンガの両方が開閉可能である方が、コネクタの把持は容易である。
【0045】
第1フィンガ31と第2フィンガ35でコネクタ52を挟むことによって、コネクタ52は開閉方向において位置決めされる。また、コネクタの軸の開閉方向(
図9のY方向)への振れは矯正される。コネクタの軸方向に垂直な断面が等方的である場合は、コネクタの軸回りの回転の向きは問題とならない。コネクタの断面が等方的でない場合でも、例えばコネクタの軸方向の一部に断面の外形が四角形の部分があれば、第1フィンガと第2フィンガで当該部分を挟むことによって、コネクタの軸回りの回転の向きは矯正される。
【0046】
線状物50の供給位置や向きが一定しない場合は、2次元または3次元視覚センサで線状物の位置および向きを確認して、コネクタ52の所要の把持位置を把持することができる。好ましくは、線状物を定位置に供給することによって、視覚センサ等を用いることなく、教示によってコネクタを把持できる。コネクタを定位置に供給する場合の位置精度に対する要求はそれほど厳しいものではない。コネクタが供給される範囲のばらつきが、開閉方向において第1グリッパ30を開いたときの第1フィンガ31と第2フィンガ35の間隔より小さく、フィンガの長手方向において把持面32、36の長さより小さく、コネクタの軸方向においてコネクタの長さより小さければ、教示によってコネクタを把持できる。特に、柔軟性や可撓性のある線状物が供給される場合、
図1のように供給台53上に線状物が供給されていても、コネクタが供給される位置にばらつきが生じやすいが、第1フィンガと第2フィンガでコネクタを挟むことで、コネクタは開閉方向において位置決め可能である。
【0047】
(S2)コネクタ52を位置決めする。より正確には、コネクタをフィンガの長手方向において位置決めする。具体的には、
図3に示した第1グリッパ30なら、第1フィンガ31と第2フィンガ35でコネクタ52を把持した状態で、誘導部材37をフィンガの基端側から先端側に向かって相対的に移動させ、コネクタ52を第1ガイド部33に向かって押して、第1ガイド面34に押し当てる(
図9C)。第1フィンガ31と誘導部材37をフィンガの長手方向に相対的に移動させるには、第1フィンガ31と誘導部材37のいずれか一方または両方をフィンガの長手方向に移動させる。
図4に示した第1グリッパ70なら、第1フィンガ31と第2フィンガ75でコネクタ52を把持した状態で、第1フィンガと第2フィンガをその長手方向に相対的に移動させて、第1ガイド面34と第2ガイド面78の距離を縮めて、第1ガイド面と第2ガイド面でコネクタを挟み込む。第1フィンガ31と第2フィンガ75をその長手方向に相対的に移動させるには、第1フィンガ31と第2フィンガ75のいずれか一方または両方をフィンガの長手方向に移動させる。
【0048】
前述のとおり、第1グリッパでコネクタ52を把持した段階で、コネクタはフィンガの開閉方向において位置決めされ、軸回りの回転の向きが決まっているので、本工程(S2)でコネクタをフィンガの長手方向において位置決めすることで、コネクタの位置および向きが3次元的に決まる。また、コネクタの軸のフィンガの長手方向(
図9のZ方向)への振れは矯正される。ただし、コネクタの形状や供給状態によっては、位置決めされたコネクタの軸回りの回転の向きが正しくない場合がある。例えば、コネクタ所望の向きから45度もしくは90度回転した状態で把持される場合がある。そのため、誤った角度で把持していないか、または正しくないコネクタを把持していないかを確認するコネクタの向き確認工程を追加してもよい。使用するセンサは、正常な向きで把持ができているか確認できるものであればよく、例えば位置決めスイッチ、触覚センサ、画像センサ、距離センサ等が挙げられる。具体的には、位置決め工程の後に、フィンガの基端部に設けられた位置決めスイッチ(タッチセンサ)でフィンガが所定の間隔まで閉じているか否かを検知することで、正常な軸回りの回転の向きにコネクタを把持しているかを確認できる。コネクタの軸回りの回転の向きが正常でない場合は、一旦コネクタを解放して、コネクタ把持工程(S1)からやり直すことができる。なお、コネクタの向きに指向性が無い場合や線状物の供給方法によっては、コネクタの軸回りの回転の向き確認工程を省略することができる。
【0049】
(S3)第2グリッパ40でコネクタ52近傍の線状物本体51を把持する。第1グリッパ30がコネクタ52を把持した状態では、第2グリッパは、第3フィンガ41と第4フィンガ45の先端が線状物本体に向いている。そこで、第3フィンガ41と第4フィンガ45を開いて線状物本体に向けて前進し、第3フィンガと第4フィンガの間に線状物本体が入り込んだら、第3フィンガと第4フィンガを閉じて線状物本体を把持する。なお、第4フィンガが開閉せず固定されている場合は、第3フィンガだけを開閉させて線状物本体を把持することは、第1グリッパの場合と同様である。なお、この線状物本体把持工程(S3)はコネクタ位置決め工程(S2)より先に実施することもできる。また、コネクタ把持工程(S1)より先に実施することも不可能ではない。線状物を第1グリッパと第2グリッパの2か所で把持することで、線状物を安定的に保持し、所定の位置に正確に搬送することができる。例えば、線状物が長尺で複数本供給される場合に線状物同士が絡まることがあるが、線状物の2箇所を把持することで、位置決めしたコネクタの位置・姿勢に影響を与えることなく所望の1本の線状物を安定して引き抜くことができる。
【0050】
(S4)コネクタ52を相手方コネクタ60の挿入口62に挿入する。具体的には、コネクタ52を把持した第1グリッパ30および線状物本体51を把持した第2グリッパ40を、すでに他のコネクタ52aが接続された第1挿入口62aの隣に位置する第2挿入口62bに向けて移動し(
図10A)、第2フィンガ35を第1挿入口62a側にして、コネクタ52の軸方向を挿入口の挿入方向に一致させて、コネクタ52を第2挿入口62bの挿入手前位置から前進させて、コネクタ52の先端を第2挿入口62bに挿入する(
図10B、
図11A)。
【0051】
相手方コネクタ60の挿入口62が密に配置されている場合は、すでに第1挿入口62aに挿入されている他のコネクタ52aまたは他の線状物本体51aと、新たに挿入するコネクタ52の距離が近いので、その間に入る第2フィンガ35の先端部が薄く形成されていることが重要である。具体的な先端部の厚みとしては0.3~5.0mm程度、より汎用的には0.3~2.5mm程度に薄く形成すればよい。
【0052】
コネクタ52の位置と向きは第1グリッパ30に対して位置決めされており、第1グリッパの位置と向きは、ロボット20の制御部にとって既知であるので、相手方コネクタ60が所定の位置と向きで配置されていれば、3次元視覚センサ等で計測することなく、予め教示しておくことで挿入作業を行うことができる。市販のコンタクトピンとハウジングの挿入口では、挿入時の両者の隙間(片側)は0.1~0.5mm程度なので、コネクタ52の位置決め誤差と相手方コネクタ60の配置の誤差を合わせたものがこれ以下であればよい。
【0053】
(S5)第1グリッパ30がコネクタ52を解放する。具体的には、誘導部材37をフィンガの基端側に後退させ(
図11B)、第1挿入口62aに挿入された他のコネクタ52aから遠い側にある第1フィンガ31を開き(
図11C)、第1グリッパ30をコネクタ52から遠ざかるように後退させる(
図10C、
図11D)。これにより、第1グリッパ30の第2フィンガ35が他のコネクタ52aまたは他の線状物本体51aと干渉することなくコネクタ52を解放できるので、他のコネクタ52aや接続しようとするコネクタ52が変形したり破損したりすることがない。なお、コネクタの解放動作において、第1グリッパが後述する第2グリッパの押し込み動作に障害とならない場合は、第1グリッパ後退動作(
図11D)は必須ではなく、コネクタの把持圧を押し込み動作が可能な程度に解放する動作のみで良い。また、第1フィンガと第2フィンガが独立して開閉可能である場合は、第1フィンガの開きと同時に、他の線状物本体と干渉しない程度、第2フィンガをわずかに開くことも可能である。
【0054】
(S6)コネクタ52を第2挿入口62bに押し込む。具体的には、線状物本体51を把持した第2グリッパ40を相手方コネクタ60に向かって前進させて、コネクタ52を第2挿入口62bの中に押し込んで(
図12A)、接続を完了させる(
図12B、
図13A)。
【0055】
(S7)第2グリッパ40が線状物本体51を解放する。具体的には、第3フィンガ41と第4フィンガ45を開き(
図13B)、第2グリッパ40を線状物本体51から遠ざかるように後退させる(
図12C、
図13C)。なお、第3フィンガが単独で開閉可能であれば、コネクタ解放工程(S5)と同様に、第1挿入口62aに接続された他の線状物本体51aから遠い側にある第3フィンガ41のみを開いて線状物本体51を解放してもよい。しかし、線状物本体が可撓性や柔軟なものであれば、第4フィンガが隣の他の線状物本体51aと干渉しても、損傷を与える可能性は低い。
【0056】
以上で、1本の線状物50の接続が完了するので、これを所要の回数繰り返して、挿入口に順次コネクタを接続していく。
【0057】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0058】
例えば、コネクタ52と相手方コネクタ60が一対一で接続される場合は、接続済みの他のコネクタ等との干渉を考慮しなくてもよいので、第2フィンガ35の先端部を薄く形成することや、第1フィンガ31を単独で開閉可能とすることは不要である。また、コネクタ52と相手方コネクタ60が多対一で接続される場合でも、相手方コネクタの挿入口同士の間隔が広ければ、同様である。
【0059】
また、コネクタ52を把持したままで接続を完了できる場合、例えばコネクタ52がメス型であったり、コネクタ52がオス型であっても相手方コネクタの内部に完全には入り込まないで接続が完了する場合は、コネクタ押し込み工程(S3)が不要となる。したがって、第2グリッパ40は省略可能で、線状物本体把持工程(S3)、線状物本体解放工程(S7)も省略可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 コネクタ接続装置
20 ロボット
21 リンク
22 関節
30 第1グリッパ
31 第1フィンガ
32 把持面
33 第1ガイド部
34 第1ガイド面
35 第2フィンガ
36 把持面
37 誘導部材
38 第2ガイド面
39 アクチュエータ群
40 第2グリッパ
41 第3フィンガ
42 把持面
43 オフセット部
45 第4フィンガ
46 把持面
47 オフセット部
49 アクチュエータ群
50 線状物
51 線状物本体(電線)
51a 他の線状物本体
52 コネクタ(コンタクトピン)
52a 他のコネクタ
53 供給台
60 相手方コネクタ(ハウジング)
62 挿入口
62a 第1挿入口
62b 第2挿入口
70 第1グリッパ
75 第2フィンガ
76 把持面
77 第2ガイド部
78 第2ガイド面
80 第1グリッパ
81 第1フィンガ
82 把持面
83 第1ガイド部(溝)
X コネクタの軸方向
Y フィンガの開閉方向
Z フィンガの長手方向