(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019564
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】供給ジグ及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20250131BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20250131BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
B29C43/32
H01L21/56 R
B29C43/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123232
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】川本 佳久
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204AJ08
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF23
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ40
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA22
5F061DA06
5F061DE06
(57)【要約】
【課題】離型フィルム及び樹脂材料を効率良く供給することが可能な供給ジグを提供する。
【解決手段】離型フィルムを保持することが可能なフィルム保持具と、樹脂材料を保持することが可能な樹脂保持部を具備し、前記フィルム保持具に対して着脱可能な樹脂材料保持具と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型フィルムを保持することが可能なフィルム保持具と、
樹脂材料を保持することが可能な樹脂保持部を具備し、前記フィルム保持具に対して着脱可能な樹脂材料保持具と、
を具備する供給ジグ。
【請求項2】
前記樹脂材料保持具は、上下方向に開口する開口部を具備し、前記開口部を前記フィルム保持具に保持される前記離型フィルムに対して上方から対向させた状態で前記フィルム保持具に固定可能である、
請求項1に記載の供給ジグ。
【請求項3】
前記樹脂材料保持具は、前記フィルム保持具に対して固定される固定位置と、前記フィルム保持具に対する固定が解除される固定解除位置と、の間で移動可能な固定部を具備する、
請求項1又は請求項2に記載の供給ジグ。
【請求項4】
前記樹脂材料保持具は、
前記固定部に対して、前記固定位置に向かって力を付与する第1付与部と、
前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な操作部と、
を具備する、
請求項3に記載の供給ジグ。
【請求項5】
前記固定部は、前記樹脂材料保持具が前記フィルム保持具に接近するのに伴って、前記フィルム保持具に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第1案内面を具備する、
請求項3又は請求項4に記載の供給ジグ。
【請求項6】
前記フィルム保持具は、前記樹脂材料保持具が前記フィルム保持具に接近するのに伴って、前記固定部に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第2案内面を具備する、
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の供給ジグ。
【請求項7】
前記樹脂材料保持具は、前記樹脂保持部から上方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第1把持部を具備する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の供給ジグ。
【請求項8】
前記樹脂材料保持具は、前記樹脂保持部から側方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第2把持部を具備する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の供給ジグ。
【請求項9】
前記フィルム保持具は、
前記離型フィルムの一方の面に接触する第1押さえ部と、
前記離型フィルムの他方の面に接触する第2押さえ部と、
前記第1押さえ部に対して、前記離型フィルムに向かって力を付与する第2付与部と、
を具備する、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の供給ジグ。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の供給ジグを用いて、前記離型フィルム及び前記樹脂材料を成形型に供給する供給工程と、
前記離型フィルム及び前記樹脂材料を用いて樹脂成形する樹脂成形工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ジグ及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮成形装置には、電子素子が固定された基板を上型で保持し、下型に形成されたキャビティに離型フィルムを供給し、離型フィルムの上に樹脂材料を供給して樹脂封止を行うものがある。離型フィルム及び樹脂材料を手作業で下型に供給する場合、それぞれジグが用いられる場合がある。
【0003】
例えば特許文献1には、離型フィルムを保持して下型に供給可能なジグが記載されている。また特許文献2には、樹脂材料を保持して下型に供給可能なジグが記載されている。手作業で離型フィルム及び樹脂材料を下型に供給する場合には、まず特許文献1に記載のようなジグを用いて離型フィルムを下型に供給した後で、特許文献2に記載のようなジグを用いて樹脂材料を下型に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-112721号公報
【特許文献2】特開2014-000747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような手作業では、離型フィルムと樹脂材料の供給をそれぞれ別個のジグを用いて段階的に行う必要があるため、作業効率の向上が求められる。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、離型フィルム及び樹脂材料を効率良く供給することが可能な供給ジグ及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するため、本発明に係る供給ジグは、離型フィルムを保持することが可能なフィルム保持具と、樹脂材料を保持することが可能な樹脂保持部を具備し、前記フィルム保持具に対して着脱可能な樹脂材料保持具と、を具備するものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記供給ジグを用いて、前記離型フィルム及び前記樹脂材料を成形型に供給する供給工程と、前記離型フィルム及び前記樹脂材料を用いて樹脂成形する樹脂成形工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、離型フィルム及び樹脂材料を効率良く供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る供給ジグの全体的な構成を示した斜視図。
【
図4】(a)第1押さえ部の上に離型フィルム及び第2押さえ部が配置された状態を示した背面断面図。(b)第2押さえ部により離型フィルム及び第1押さえ部が下方に押し込まれた状態を示した背面断面図。
【
図7】フィルム保持部に樹脂材料保持具が固定された状態を示した拡大斜視図。
【
図8】(a)離型フィルムを保持するフィルム保持具、及び、樹脂材料保持具を示した背面断面模式図。(b)爪部が押し広げられる様子を示した供給ジグの背面断面模式図。(c)爪部がフィルム保持具に固定された状態を示した供給ジグの背面断面模式図。(d)樹脂材料保持具が樹脂材料を保持した状態を示した供給ジグの背面断面模式図。
【
図9】フィルムセット装置及び供給ジグを模式的に示した斜視図。
【
図10】(a)樹脂成形装置を模式的に示した正面端面図。(b)下型に供給ジグに保持された離型フィルム及び樹脂材料が供給された様子を示した正面端面図。(c)離型フィルムが下型に吸着された様子を示した正面端面図。(d)樹脂成形装置から樹脂材料保持具が取り出された様子を示した正面端面図。(e)型締めされた様子を示した正面端面図。(f)型開き後に再び樹脂材料保持具がフィルム保持具に固定された様子を示した正面端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
【0012】
<供給ジグ10>
以下では、本発明の一実施形態に係る供給ジグ10の構成について説明する。
【0013】
図1に示す供給ジグ10は、樹脂成形装置50(
図10参照)に離型フィルムF及び樹脂材料Rを一括して供給するためのものである。特に本実施形態に係る供給ジグ10は、作業者の手作業によって、離型フィルムF及び樹脂材料Rを樹脂成形装置50に供給することができる。供給ジグ10は、主としてフィルム保持具100及び樹脂材料保持具200を具備する。フィルム保持具100と樹脂材料保持具200とは、互いに着脱可能となるように構成されている。以下、フィルム保持具100及び樹脂材料保持具200の構成について説明する。
【0014】
<フィルム保持具100>
図2に示すフィルム保持具100は、離型フィルムFを保持することが可能なものである。フィルム保持具100は、主として本体部110、第1押さえ部120、圧縮バネ130、取り付けピン140、第2押さえ部150及びボルト160を具備する。
【0015】
本体部110は、フィルム保持具100の主な構造体を形成する部分である。本体部110は、左右方向に延びる長辺と、前後方向に延びる短辺と、を有する平面視矩形状に形成される。本体部110は、主として開口部111、位置決め凹部112、固定凹部113、第1凹部114及び第2凹部115を具備する。
【0016】
開口部111は、本体部110の中央部に形成され、上下方向に開口する部分である。開口部111は、平面視矩形状に形成される。開口部111が形成されることによって、本体部110は平面視において環状(枠状)に形成される。開口部111は、後述する樹脂成形装置50の下型52(
図10参照)の上部の外形に対応する形状に形成される。これによって、フィルム保持具100を下型52の上部に嵌め合わせることができる。
【0017】
位置決め凹部112は、フィルム保持具100と、後述する樹脂材料保持具200との相対的な位置決めを行うためのものである。位置決め凹部112は、本体部110の後側面を前方に向かって凹ませるようにして形成される。位置決め凹部112は、本体部110の後側面の左部及び右部に1つずつ形成される。なお、位置決め凹部112が形成される位置や個数は特に限定するものではない。
【0018】
図2及び
図3に示す固定凹部113は、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に対して固定する際に用いられるものである。固定凹部113は、本体部110の左右側面の下部を左右内側に向かって凹ませるようにして形成される。固定凹部113は、本体部110の左右側面の前部及び後部に1つずつ形成される。なお、本体部110の左側面に形成される固定凹部113は図示を省略している。また、固定凹部113が形成される位置や個数は特に限定するものではない。
【0019】
図2から
図4に示す第1凹部114は、第1押さえ部120を収容するためのものである。第1凹部114は、本体部110の左右両端部近傍にそれぞれ形成される。第1凹部114は、本体部110の前端から後端まで延びる長手状に形成される。第1凹部114は、本体部110の上面を下方に向かって凹ませるようにして形成される。
【0020】
なお、フィルム保持具100は概ね前後及び左右に対称となるように形成されている。従って、以下では
図3及び
図4に示すように、フィルム保持具100の右後部に着目して説明を行い、他の部位については適宜図示及び説明を省略する。
【0021】
図3及び
図4に示す第2凹部115は、圧縮バネ130を収容するためのものである。第2凹部115は、第1凹部114の前後両端部近傍にそれぞれ形成される。第2凹部115は、第1凹部114の底面をさらに下方に向かって凹ませるようにして形成される。第2凹部115は、平面視円形状に形成される。第2凹部115の直径は、第1凹部114の左右方向の幅よりも小さく形成される。
【0022】
図2から
図4に示す第1押さえ部120は、離型フィルムFを下方から押さえるためのものである。第1押さえ部120は板状に形成される。第1押さえ部120は、長手方向を前後方向に向けた平面視矩形状に形成される。第1押さえ部120の左右方向の幅は、第1凹部114の左右方向の幅より若干小さく形成される。第1押さえ部120の上下方向の幅(厚さ)は、第1凹部114の深さ(上下方向の幅)よりも小さく形成される。第1押さえ部120は、第1凹部114の内側に配置される。
【0023】
図4に示す圧縮バネ130は、第1押さえ部120に対して、上方に向かって力を付与する(以下、「付勢する」とも言う)ためのものである。なお、圧縮バネ130は、本発明に係る第2付与部の実施の一形態である。圧縮バネ130は、伸縮方向を上下方向に向けて、ある程度収縮した状態で第2凹部115の内側に配置される。圧縮バネ130の上端部は、第1押さえ部120に下方から接触する。これによって圧縮バネ130は、第1押さえ部120に対して、上方に向かって力を付与することができる。
【0024】
図2及び
図4に示す取り付けピン140は、第1押さえ部120を本体部110に取り付けるためのものである。取り付けピン140は、軸線を上下方向に向けた略円柱状に形成される。取り付けピン140の上端部は、下部よりも直径が大きくなるように形成される。取り付けピン140は、第1押さえ部120の前後両端部近傍を貫通するように配置される。取り付けピン140の下端部は、第2凹部115の底部に固定される。このように取り付けピン140を固定することによって、第1押さえ部120は、第1凹部114の内側において、取り付けピン140の長手方向(上下方向)に沿って移動可能となるように支持される。また、第1押さえ部120の上方(第1凹部114の外側)への移動は、取り付けピン140の上端部によって規制される。
【0025】
図2から
図4に示す第2押さえ部150は、離型フィルムFを上方から押さえるためのものである。第2押さえ部150は板状に形成される。第2押さえ部150は、長手方向を前後方向に向けた平面視略矩形状に形成される。第2押さえ部150の前後両端部は、左右に広がるように形成され、ボルト160が設けられる。第2押さえ部150は、平面視において第1押さえ部120と重複するように形成される。第2押さえ部150は、主としてと突部151、開口部152及びテーパ面153を具備する。
【0026】
突部151は、第2押さえ部150の底面から下方に突出するように形成された部分である。突部151は、第1押さえ部120と上下方向に対向する部分に形成される。言い換えると、突部151は、第1押さえ部120と同様に、長手方向を前後方向に向けた底面視矩形状に形成される。
【0027】
開口部152は、第2押さえ部150を上下に貫通するように形成された貫通孔である。開口部152は、取り付けピン140と上下方向に対向する位置に形成される。これによって、第2押さえ部150と取り付けピン140の上端部との干渉を避けることができる。
【0028】
図2及び
図3に示すテーパ面153は、後述する樹脂材料保持具200の爪部250を案内するためのものである。なお、テーパ面153は、本発明に係る第2案内面の実施の一形態である。テーパ面153は、第2押さえ部150の上面の左右外側の端部を斜めに切り欠くように形成される。これによってテーパ面153は、第2押さえ部150の左右外側に向かって下方に傾斜するような傾斜面状に形成される。テーパ面153は、第2押さえ部150の前部及び後部に1つずつ形成される。
【0029】
図2から
図4に示すボルト160は、第2押さえ部150を本体部110に固定するためのものである。ボルト160を第2押さえ部150に対して上方から挿入すると共に、下端部を本体部110に締結することで、第2押さえ部150を本体部110に固定することができる。
【0030】
このように構成されたフィルム保持具100によって離型フィルムFを保持する場合、本体部110から第2押さえ部150が取り外された状態で、本体部110の開口部111を上方から覆うように、本体部110の全域にわたって離型フィルムFが配置される。この際、
図4(a)に示すように、本体部110及び第1押さえ部120の上に離型フィルムFが配置される。この状態で、離型フィルムFの上に第2押さえ部150が配置され、ボルト160によって第2押さえ部150が本体部110に固定される。
【0031】
ボルト160が本体部110に締結されると、
図4(b)に示すように、第2押さえ部150の突部151によって第1押さえ部120が下方に押し込まれる。これによって、離型フィルムFが第1凹部114の内側に入り込むように引っ張られるため、離型フィルムFに張力を与えてシワを伸ばすことができる。また、ボルト160によって締結された第2押さえ部150と、圧縮バネ130によって上方に力を付与された第1押さえ部120との間で離型フィルムFを強固に保持することができる。特に本実施形態では、離型フィルムFが第1凹部114の内側に入り込むように屈曲しているため、離型フィルムFをより強固に保持することができる。
【0032】
本実施形態では、本体部110の長手方向(左右方向)における両端部に第1押さえ部120及び第2押さえ部150を設けている。これによって、本体部110の上に配置された左右に長い離型フィルムFの長手方向に沿って張力を与えることができ、効率的にシワを伸ばすことができる。
【0033】
<樹脂材料保持具200>
図5に示す樹脂材料保持具200は、フィルム保持具100に取り付けられた状態において樹脂材料Rを保持することが可能なものである。樹脂材料保持具200は、主として本体部210、規定部220、第1ハンドル230、第2ハンドル240、爪部250及びねじりバネ260を具備する。
【0034】
図5及び
図6に示す本体部210は、樹脂材料保持具200の主な構造体を形成する部分である。本体部210は、左右方向に延びる長辺と、前後方向に延びる短辺と、を有する平面視矩形状に形成される。本体部210の中央には、後述する規定部220を配置可能な開口が形成される。本体部210は、主として軸受部211、第2規制部212、第1位置決め部213及び第2位置決め部214を具備する。
【0035】
なお、本体部210は概ね前後及び左右に対称となるように形成されている。従って、以下では
図6に示すように、本体部210の右後部に着目して説明を行い、他の部位については適宜図示及び説明を省略する。
【0036】
軸受部211は、第2ハンドル240を回転可能に支持するものである。軸受部211は、本体部210の上面の四隅にそれぞれ設けられる。軸受部211は、本体部210から上方に突出するように配置される。軸受部211には、第1規制部211aが設けられる。
【0037】
図6に示す第1規制部211aは、第2ハンドル240の回転を所定の位置で規制するためのものである。第1規制部211aは、軸線を前後方向に向けた円柱状に形成される。第1規制部211aは、軸受部211の後側面から後方に向かって突出するように配置される。
【0038】
第2規制部212は、爪部250の回転を所定の位置で規制するためのものである。第2規制部212は、本体部210の左右側面にそれぞれ設けられる。第2規制部212は、本体部210の左右側面から左右外側へと突出するように配置される。第2規制部212は、爪部250の左右方向における内側に、爪部250と対向するように配置される。
【0039】
図5に示す第1位置決め部213は、樹脂材料保持具200と、後述する樹脂成形装置50の下型52との相対的な位置決めを行うためのものである。第1位置決め部213は、本体部210の前後左右の各側面に形成される。第1位置決め部213は、本体部210の下面を上方に向かって凹ませるようにして凹状に形成される。第1位置決め部213に対して、樹脂成形装置50の下型52に形成された位置決め用の突起部(不図示)が挿入されることで、樹脂成形装置50の下型52と、樹脂材料保持具200との位置決めを行うことができる。なお、第1位置決め部213が形成される位置や個数は特に限定するものではない。
【0040】
第2位置決め部214は、樹脂材料保持具200と、フィルム保持具100との相対的な位置決めを行うためのものである。第2位置決め部214は、フィルム保持具100の位置決め凹部112に対応する位置に形成される。具体的には、第2位置決め部214は、本体部210の後側面に形成される。第2位置決め部214は、本体部210の後側面の左部及び右部にそれぞれ形成される。第2位置決め部214は、本体部210から下方に向かって突出するように形成される。第2位置決め部214を、フィルム保持具100に形成された位置決め凹部112(
図2参照)に挿入することで、樹脂材料保持具200と、フィルム保持具100との相対的な位置決めを行うことができる。
【0041】
規定部220は、樹脂材料Rを収容する範囲を規定するためのものである。規定部220は、本体部210の開口部に対応した平面視矩形枠状に形成される。規定部220は、本体部210の開口に嵌め合わされた状態で、本体部210に取り付けられる。規定部220には、開口部221が形成される。
【0042】
開口部221は、規定部220の中央部に形成され、上下方向に開口する部分である。開口部221は、樹脂成形装置50のキャビティに対応した形状に形成される。本実施形態では、開口部221は、平面視矩形状に形成されているが、開口部221の形状は、キャビティや成形対象物の形状等に応じて任意に変更することが可能である。本実施形態では、本体部210及び規定部220によって平面視矩形状の枠体が形成され、その内側に樹脂材料Rを保持することができる。なお、本体部210及び規定部220は、本発明に係る樹脂保持部の実施の一形態である。
【0043】
第1ハンドル230は、作業者が把持することが可能なものである。なお、第1ハンドル230は、本発明に係る第1把持部の実施の一形態である。第1ハンドル230は、本体部210の左部及び右部にそれぞれ設けられる。第1ハンドル230は、側面視で上下逆向きのU字状に形成される。第1ハンドル230の両端部は、本体部210の上面の前部及び後部のそれぞれに固定される。これによって第1ハンドル230は、本体部210の上面から上方に突出するように設けられる。
【0044】
図5及び
図6に示す第2ハンドル240は、作業者が把持することが可能であり、後述する爪部250を操作することが可能なものである。なお、第2ハンドル240は、本発明に係る操作部及び第2把持部の実施の一形態である。第2ハンドル240は、本体部210の左部及び右部にそれぞれ設けられる。第2ハンドル240は、主として軸部241及びグリップ242を具備する。
【0045】
軸部241は、軸線を前後方向に向けた略円柱状の部分である。軸部241は、本体部210の前部及び後部に設けられた軸受部211に回転可能に支持される。軸部241は、後側の軸受部211からさらに後方に延びるように配置される。このようにして、軸部241は、本体部210から側方(後方)に突出するように設けられる。軸部241の後端部には、作業者が把持し易い素材(例えば、ゴム等)により形成されたグリップ242が設けられる。軸部241には、取付部241a及び規制ピン241bが設けられる。
【0046】
図6に示す取付部241aは、軸部241に規制ピン241bを取り付けるためのものである。取付部241aは、円環状に形成され、軸受部211のすぐ後方において軸部241に固定される。これによって取付部241aは、第2ハンドル240と一体的に回転することができる。
【0047】
規制ピン241bは、第2ハンドル240の回転を所定の位置で規制するためのものである。規制ピン241bは、略円柱状に形成される。規制ピン241bは、取付部241aの外周面から、第2ハンドル240の径方向外側へと突出するように設けられる。
図6に示す右側の第2ハンドル240が背面視反時計回りにある程度回転すると、規制ピン241bが第1規制部211aと接触する。これによって第2ハンドル240の背面視時計回り方向への回転が規制される。
【0048】
図5及び
図6に示す爪部250は、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に固定するためのものである。なお、爪部250は、本発明に係る固定部の実施の一形態である。爪部250は、第2ハンドル240の長手方向に沿って2つ設けられる。爪部250は第2ハンドル240に固定され、第2ハンドル240と一体的に回転することができる。爪部250は、第2ハンドル240から概ね下方に向かって延びるように形成される。爪部250の下部は、左右方向における内側に突出するように形成される。爪部250の下部(内側に突出した部分)をフィルム保持具100の固定凹部113に引っ掛けることで、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に固定することができる(
図7参照)。
【0049】
なお、以下では、爪部250の回動位置のうち、爪部250をフィルム保持具100の固定凹部113に引っ掛けてフィルム保持具100に固定することができる位置を「固定位置」と称する。また、爪部250の回動位置のうち、フィルム保持具100に対する爪部250の固定が解除される位置を「固定解除位置」と称する。
【0050】
図6に示すように、爪部250には、テーパ面251が形成される。なお、テーパ面251は、本発明に係る第1案内面の実施の一形態である。テーパ面251は、爪部250の底面を斜めに切り欠くように形成される。テーパ面251は、左右外側に向かって下方に傾斜するような傾斜面状に形成される。
【0051】
爪部250の左右内側には、第2規制部212が配置されている。
図6に示す右側の第2ハンドル240が背面視時計回りにある程度回転すると、爪部250が第2規制部212と接触する。これによって第2ハンドル240の背面視時計回り方向への回転が規制される。
【0052】
なお、爪部250の具体的な形状は特に限定するものではなく、フィルム保持具100と樹脂材料保持具200とを固定可能な任意の形状に形成することが可能である。
【0053】
ねじりバネ260は、第2ハンドル240に対して、所定の方向に回転するように力を付与するものである。なお、ねじりバネ260は、本発明に係る第1付与部の実施の一形態である。ねじりバネ260は、前側の軸受部211の後方及び後側の軸受部211のすぐ前方において、第2ハンドル240に設けられる。ねじりバネ260は、爪部250の下部が左右内側に向かうように、第2ハンドル240を常時付勢する。
図6に示す第2ハンドル240を例に挙げて説明すると、ねじりバネ260は、第2ハンドル240を背面視時計回り方向に常時付勢する。
【0054】
<供給ジグ10による離型フィルムF及び樹脂材料Rの保持方法の概略>
以下では、
図8及び
図9を用いて、上述のように構成された供給ジグ10(フィルム保持具100及び樹脂材料保持具200)による離型フィルムF及び樹脂材料Rの保持方法について説明する。以下の手順は、作業者の手作業によって行われる。なお、
図8及び
図9では、説明のため、各部の構成を簡略化して示した模式図を用いている。
【0055】
まず、
図8(a)に示すように、フィルム保持具100と樹脂材料保持具200とが分離された状態で、フィルム保持具100に離型フィルムFが保持される。この時、第2押さえ部150はフィルム保持具100に取り付けられていない。
【0056】
フィルム保持具100に離型フィルムFを保持する際には、
図9に示すようなフィルムセット装置30を用いることができる。フィルムセット装置30は、上面にフィルム保持具100に対応した凹部31bを具備する箱状の本体31を有している。フィルム保持具100で離型フィルムFを保持する場合、予め凹部31bにフィルム保持具100が収容される。
【0057】
本体31の内部には、ロール状に巻かれた離型フィルムFを保持するロール保持部32が収容されている。ロール保持部32に巻かれた離型フィルムFは、案内ローラ33によって案内され、本体31の上面に形成されたスリット31aを介して本体31の上側へと供給される。
【0058】
本体31の上側へと供給された離型フィルムFは、フィルム保持具100の上方に配置され、第2押さえ部150がフィルム保持具100にボルト160で固定されることによってフィルム保持具100に保持される。なお、フィルム保持具100による離型フィルムFの保持方法は前述したため、説明を省略する。
【0059】
その後、適宜の位置で離型フィルムFが切断され、ロール保持部32に巻かれた離型フィルムFと、フィルム保持具100に保持された離型フィルムFとが分断される。このようにして、一回の樹脂成形に必要な離型フィルムFを、フィルム保持具100によって保持することができる。
【0060】
なお、詳細な説明は省略するが、フィルムセット装置30には、離型フィルムFに張力を付与する張力付与機構、離型フィルムFを保持する保持機構、離型フィルムFを切断する切断機構等、適宜の機構を設けることも可能である。
【0061】
次に、
図8(b)に示すように、フィルム保持具100の上方から樹脂材料保持具200を下方に移動させる。なお、この作業は、フィルム保持具100をフィルムセット装置30(本体31)に保持したまま行うことができる。
【0062】
樹脂材料保持具200を下方に移動させる際には、作業者は、第1ハンドル230(
図5参照)を把持することで、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の位置合わせを容易に行うことができる。
【0063】
樹脂材料保持具200がある程度フィルム保持具100に近づくと、固定位置に向かって力を付与された爪部250のテーパ面251が、フィルム保持具100(より詳細には、第2押さえ部150に形成されたテーパ面153(
図3参照))と接触する。この状態でさらに樹脂材料保持具200を下方に移動させると、爪部250がフィルム保持具100によって押し広げられ、固定解除位置へと回転する。これによって、樹脂材料保持具200はさらに下方へと移動することができる。
【0064】
図8(c)に示すように、樹脂材料保持具200の規定部220が、フィルム保持具100に保持された離型フィルムFに上方から接触する程度まで下降すると、ねじりバネ260の付勢力によって、爪部250が再び固定位置(より詳細には、固定凹部113(
図7参照)に引っかかる位置)まで内側に向かって回動する。これによって、フィルム保持具100に対して樹脂材料保持具200が固定される。この状態では、規定部220の開口部221が、フィルム保持具100に保持された離型フィルムFに対して上方から対向するように配置される。離型フィルムF上に配置された規定部220(開口部221)によって、樹脂材料Rを収容可能な空間が規定される。なお、この際、樹脂材料保持具200の第2位置決め部214が、フィルム保持具100の位置決め凹部112に嵌め合わされることで、フィルム保持具100と樹脂材料保持具200の相対的な位置決めを行うことができる。
【0065】
次に、
図8(d)に示すように、規定部220の内側に樹脂材料Rが収容される。この際、作業者は、第1ハンドル230又は第2ハンドル240を掴んで樹脂材料保持具200を前後左右に揺らすことで、樹脂材料Rを規定部220の内側に均一に分布させることができる。また、適宜のジグを用いて樹脂材料Rを樹脂材料保持具200に供給することで、樹脂材料Rの均一化を図ることも可能である。例えば編目状に形成されたプレートに樹脂材料Rを載せ、規定部220の上方から編目を通過するように樹脂材料Rを落下させることで、樹脂材料Rを分散させ、規定部220の内側に均一に分布させることもできる。なお、樹脂材料Rとしては、顆粒状や液状など、任意の樹脂材料Rを用いることが可能である。
【0066】
このように、互いに固定されたフィルム保持具100及び樹脂材料保持具200(供給ジグ10)によって、離型フィルムF及び樹脂材料Rを一括して保持することができる。
【0067】
<樹脂成形方法>
以下では、主に
図10を用いて、供給ジグ10を用いて離型フィルムF及び樹脂材料Rを樹脂成形装置50へと供給し、樹脂成形を行う方法について説明する。供給ジグ10を用いた離型フィルムF及び樹脂材料Rの供給は、作業者の手作業によって行われる。なお、
図10では、説明のため、各部の構成を簡略化して示した模式図を用いている。また
図10では、各部の断面のみを示した切断部端面図を示しているが、説明の都合上、樹脂材料Rを除いて、各部の断面を示すハッチングの記載を省略している。
【0068】
まず、離型フィルム・樹脂材料保持工程において、上述のように供給ジグ10を用いて離型フィルムF及び樹脂材料Rが保持される(
図8参照)。
【0069】
次に、基板供給工程において、樹脂成形装置50の上型51に、成形対象物である基板Wが供給される(
図10(a)参照)。基板Wは、樹脂封止の対象となる半導体チップなどの電子素子を下方に向けた状態で、上型51の下面に吸着されて保持される。
【0070】
なお、基板Wとしては、シリコンウエハ等の半導体製基板、金属製基板、ガラス製基板、セラミック製基板、又は、樹脂製基板等を用いることができる。また基板Wには、配線が施されていても、施されていなくてもよい。また、本実施形態では矩形状の基板Wを用いるものとするが、基板Wの形状は特に限定するものではなく、例えば円形状の基板Wを用いることも可能である。
【0071】
次に、離型フィルム・樹脂材料供給工程において、樹脂成形装置50の下型52に、供給ジグ10に保持された離型フィルムF及び樹脂材料Rが供給される(
図10(b)参照)。この際フィルム保持具100の開口部111に、下型52(側面部材55)の上部が嵌め合わされる。なお、樹脂材料保持具200の第1位置決め部213(
図5参照)が、下型52に形成された位置決め用の突起部(不図示)と嵌め合わされることで、供給ジグ10と下型52の相対的な位置決めを行うことができる。
【0072】
この際、作業者は、第2ハンドル240を掴んで供給ジグ10を樹脂成形装置50へと移動させることができる。これによって、下型52が予め加熱されている場合であっても、作業者は下型52から離れた位置から作業を行うことができるため、作業性を向上させることができる。
【0073】
この状態では、フィルム保持具100の上面と、下型52の上面との上下位置が概ね一致する。またフィルム保持具100に保持された離型フィルムFが、下型52の上面に接するように配置される。また、樹脂材料保持具200に保持された樹脂材料Rは、下型52のキャビティ53の上方に位置するように配置される。なお、離型フィルム・樹脂材料供給工程は、本発明に係る供給工程の実施の一形態である。
【0074】
次に、吸着工程において、離型フィルムFが下型52に吸着される(
図10(c)参照)。これによって、離型フィルムFが下型52のキャビティ53に沿うように吸着される。またこれに伴って、離型フィルムFの上に載置された樹脂材料Rが、キャビティ53内に収容される。
【0075】
次に、分離工程において、フィルム保持具100から樹脂材料保持具200が取り外され、樹脂材料保持具200が樹脂成形装置50から取り出される(
図10(d)参照)。この際、作業者は、爪部250が外側(固定解除位置)に開くように第2ハンドル240を回転させることで、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の固定を解除することができる。作業者は、このまま第2ハンドル240を持って樹脂材料保持具200を取り出すことができる。このように、樹脂材料保持具200を持つための第2ハンドル240が、爪部250を操作するための操作具を兼ねているため、作業者は効率的に作業を行うことができる。
【0076】
次に、型締め工程において、図示しない型締め機構が駆動されることによって、下型52のベースプレート54が上昇する(
図10(e)参照)。ベースプレート54が上昇すると、キャビティ53の側面を形成する側面部材55が基板Wの下面と接触する。さらにベースプレート54を上昇させると、ベースプレート54と側面部材55との間に配置された弾性部材56が縮む。これによって、側面部材55に対して、キャビティ53の底面を形成する底面部材57が相対的に上方へと移動する。これによって、キャビティ53内の樹脂材料Rが加圧される。底面部材57がある程度上昇した時点で、型締めが完了する。
【0077】
次に、樹脂成形工程において、樹脂材料Rを加圧した状態で、所定時間待機する。これによって、熱硬化性の樹脂材料Rの温度はさらに上昇し、樹脂材料Rは硬化する。結果、基板Wに対して樹脂成形を行うことができる。
【0078】
次に、型開き工程において、上型51と下型52とが開かれる。具体的には、図示しない型締め機構によって下型52が上型51から離れるように下方へと移動する。
【0079】
次に、搬出工程において、樹脂成形された基板W(樹脂成形品)が樹脂成形装置50から搬出される。また、フィルム保持具100が樹脂成形装置50から搬出される。フィルム保持具100を搬出する場合には、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に再度固定し(
図10(f)参照)、第2ハンドル240を用いてフィルム保持具100を樹脂成形装置50から取り出すことができる。
【0080】
このように供給ジグ10を用いることで、離型フィルムF及び樹脂材料Rを一括して樹脂成形装置50へと供給することができるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0082】
例えば上記実施形態では、フィルムセット装置30を用いて供給ジグ10に離型フィルムF及び樹脂材料Rを保持させる例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の装置を用いることが可能である。
【0083】
また、上記実施形態では、爪部250を用いてフィルム保持具100と樹脂材料保持具200とを固定する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、フィルム保持具100と樹脂材料保持具200とを固定する方法は任意に変更することが可能である。例えば、ボルトやナット等の締結具を用いて両者を固定することも可能である。
【0084】
また、上記実施形態で例示した付与部(圧縮バネ130及びねじりバネ260)は一例であり、その他種々の力を付与可能な部材(板バネ、引張りバネ、弾性部材等)を用いることが可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、矩形状に開口された開口部221(
図5参照)で一括して樹脂材料Rを保持する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、開口部221をさらに複数の領域に区画する仕切りを設けて、各領域に均等に計量された樹脂材料Rを保持させる構成とすることも可能である。これによって、開口部221内における樹脂材料Rの均等化を図ることができ、更には樹脂成形品の品質向上を図ることができる。
【0086】
また例えば、
図5等に示す樹脂材料保持具200の規定部220を、本体部210に対して所定の範囲で上下に相対移動可能に構成することも可能である。これによって、
図8(c)に示すようにフィルム保持具100と樹脂材料保持具200とが固定された際に、規定部220が自重によってフィルム保持具100に保持された離型フィルムFに押し付けられる。このように規定部220を離型フィルムFに押し付けることで、離型フィルムFと規定部220との間に樹脂材料Rが侵入したり、外部へこぼれるのを防止することができる。
【0087】
<付記>
本開示の第1側面の供給ジグ10は、
離型フィルムFを保持することが可能なフィルム保持具100と、
樹脂材料Rを保持することが可能な樹脂保持部(本体部210及び規定部220)を具備し、前記フィルム保持具100に対して着脱可能な樹脂材料保持具200と、
を具備する。
本開示の第1側面の供給ジグ10によれば、離型フィルムF及び樹脂材料Rを効率良く供給することができる。すなわち、フィルム保持具100と樹脂材料保持具200とを一体化した状態で、離型フィルムF及び樹脂材料Rをまとめて樹脂成形装置50へと供給することができる。これによって、離型フィルムF及び樹脂材料Rの供給作業を効率良く行うことができる。また、離型フィルムF及び樹脂材料Rを一括して樹脂成形装置50へと自動的に供給する樹脂成形装置(自動機)を用いる場合と同様に、離型フィルムF及び樹脂材料Rを一括して供給できるため、自動機による成形条件を、手作業でも再現することができる。
【0088】
第1側面に従う第2側面の供給ジグ10において、
前記樹脂材料保持具200は、上下方向に開口する開口部221を具備し、前記開口部221を前記フィルム保持具100に保持される前記離型フィルムFに対して上方から対向させた状態で前記フィルム保持具100に固定可能である。
本開示の第2側面の供給ジグ10によれば、フィルム保持具100に保持された離型フィルムFの上に、樹脂材料Rを配置する領域(開口部221によって)を規定することができる。
【0089】
第1又は第2側面に従う第3側面の供給ジグ10において、
前記樹脂材料保持具200は、前記フィルム保持具100に対して固定される固定位置と、前記フィルム保持具100に対する固定が解除される固定解除位置と、の間で移動可能な固定部(爪部250)を具備する。
本開示の第3側面の供給ジグ10によれば、固定具を移動させることで、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の着脱を容易に行うことができる。
【0090】
第3側面に従う第4側面の供給ジグ10において、
前記樹脂材料保持具200は、
前記固定部に対して、前記固定位置に向かって力を付与する第1付与部(ねじりバネ260)と、
前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な操作部(第2ハンドル240)と、
を具備する。
本開示の第4側面の供給ジグ10によれば、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の着脱を容易に行うことができる。すなわち、固定部が固定位置に向かって力を付与されているため、固定部を固定位置へと移動させる操作を行う必要がなく、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に容易に固定することができる。
【0091】
第3又は第4側面に従う第5側面の供給ジグ10において、
前記固定部は、前記樹脂材料保持具200が前記フィルム保持具100に接近するのに伴って、前記フィルム保持具100に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第1案内面(テーパ面251)を具備する。
本開示の第5側面の供給ジグ10によれば、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の着脱を容易に行うことができる。すなわち、第1案内面によって固定部を固定解除位置に移動させることができるため、固定部を固定解除位置へと移動させる操作を行う必要がなく、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に容易に固定することができる。
【0092】
第3から第5側面のいずれかに従う第6側面の供給ジグ10において、
前記フィルム保持具100は、前記樹脂材料保持具200が前記フィルム保持具100に接近するのに伴って、前記固定部に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第2案内面(テーパ面153)を具備する。
本開示の第6側面の供給ジグ10によれば、フィルム保持具100に対する樹脂材料保持具200の着脱を容易に行うことができる。すなわち、第2案内面によって固定部を固定解除位置に移動させることができるため、固定部を固定解除位置へと移動させる操作を行う必要がなく、樹脂材料保持具200をフィルム保持具100に容易に固定することができる。
【0093】
第1から第6側面のいずれかに従う第7側面の供給ジグ10において、
前記樹脂材料保持具200は、前記樹脂保持部から上方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第1把持部(第1ハンドル230)を具備する。
本開示の第7側面の供給ジグ10によれば、離型フィルムF及び樹脂材料Rを供給する際の作業性を向上させることができる。例えば、作業者は第1把持部を掴んで樹脂材料保持具200を持つことができ、フィルム保持具100に対する位置合わせや固定を容易に行うことができる。
【0094】
第1から第7側面のいずれかに従う第8側面の供給ジグ10において、
前記樹脂材料保持具200は、前記樹脂保持部から側方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第2把持部(第2ハンドル240)を具備する。
本開示の第8側面の供給ジグ10によれば、離型フィルムF及び樹脂材料Rを供給する際の作業性を向上させることができる。例えば、作業者は第2把持部を掴んで樹脂材料保持具200を持つことができ、樹脂成形装置50の外側から、下型52へと離型フィルムF及び樹脂材料Rを供給することができる。
【0095】
第1から第8側面のいずれかに従う第9側面の供給ジグ10において、
前記フィルム保持具100は、
前記離型フィルムFの一方の面に接触する第1押さえ部120と、
前記離型フィルムFの他方の面に接触する第2押さえ部150と、
前記第1押さえ部120に対して、前記離型フィルムFに向かって力を付与する第2付与部(圧縮バネ130)と、
を具備するものである。
本開示の第9側面の供給ジグ10によれば、第2付与部により付与される力によって、離型フィルムFを強固に保持することができる。
【0096】
本開示の第10側面の樹脂成形品の製造方法は、
第1から第9側面までのいずれかの供給ジグ10を用いて、前記離型フィルムF及び前記樹脂材料Rを成形型(下型52)に供給する供給工程(離型フィルム・樹脂材料供給工程)と、
前記離型フィルムF及び前記樹脂材料Rを用いて樹脂成形する樹脂成形工程と、
を含む。
本開示の第10側面の樹脂成形品の製造方法によれば、離型フィルムF及び樹脂材料Rを効率良く供給することができる。これによって、樹脂成形品を効率良く製造することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 供給ジグ
100 フィルム保持具
120 第1押さえ部
130 圧縮バネ
150 第2押さえ部
153 テーパ面
200 樹脂材料保持具
210 本体部
220 規定部
221 開口部
230 第1ハンドル
240 第2ハンドル
250 爪部
251 テーパ面
260 ねじりバネ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型フィルムを保持することが可能なフィルム保持具と、
樹脂材料を保持することが可能な樹脂保持部を具備し、前記フィルム保持具に対して着脱可能な樹脂材料保持具と、
を具備する供給治具。
【請求項2】
前記樹脂材料保持具は、上下方向に開口する開口部を具備し、前記開口部を前記フィルム保持具に保持される前記離型フィルムに対して上方から対向させた状態で前記フィルム保持具に固定可能である、
請求項1に記載の供給治具。
【請求項3】
前記樹脂材料保持具は、前記フィルム保持具に対して固定される固定位置と、前記フィルム保持具に対する固定が解除される固定解除位置と、の間で移動可能な固定部を具備する、
請求項1に記載の供給治具。
【請求項4】
前記樹脂材料保持具は、
前記固定部に対して、前記固定位置に向かって力を付与する第1付与部と、
前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な操作部と、
を具備する、
請求項3に記載の供給治具。
【請求項5】
前記固定部は、前記樹脂材料保持具が前記フィルム保持具に接近するのに伴って、前記フィルム保持具に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第1案内面を具備する、
請求項3に記載の供給治具。
【請求項6】
前記フィルム保持具は、前記樹脂材料保持具が前記フィルム保持具に接近するのに伴って、前記固定部に接触して前記固定部を前記固定位置から前記固定解除位置に向かって移動させることが可能な第2案内面を具備する、
請求項3に記載の供給治具。
【請求項7】
前記樹脂材料保持具は、前記樹脂保持部から上方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第1把持部を具備する、
請求項1に記載の供給治具。
【請求項8】
前記樹脂材料保持具は、前記樹脂保持部から側方に突出するように設けられ、作業者が把持可能な第2把持部を具備する、
請求項1に記載の供給治具。
【請求項9】
前記フィルム保持具は、
前記離型フィルムの一方の面に接触する第1押さえ部と、
前記離型フィルムの他方の面に接触する第2押さえ部と、
前記第1押さえ部に対して、前記離型フィルムに向かって力を付与する第2付与部と、
を具備する、
請求項1に記載の供給治具。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の供給治具を用いて、前記離型フィルム及び前記樹脂材料を成形型に供給する供給工程と、
前記離型フィルム及び前記樹脂材料を用いて樹脂成形する樹脂成形工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。