(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019566
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
B65D47/08 200
B65D47/08 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123235
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】汰木 陸人
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA22
3E084AA39
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084DB12
3E084DB20
3E084EA03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA06
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB26
3E084HB04
3E084HC03
3E084HC10
3E084HD02
3E084HD10
3E084KA20
3E084LA18
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】通液口が開放された状態においてヒンジ部や蓋体が邪魔になることを防止したキャップユニットを提供する。
【解決手段】上部が開口した容器本体2に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニット1Aであって、容器本体2の上部開口部を閉塞すると共に、上部に容器本体2の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体7と、キャップ本体7にヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられた状態で、通液口を開閉する蓋体9とを備え、キャップ本体7は、略円筒状に形成され、外周側を覆う周壁部7aと、周壁部7aの上部を覆う上壁部7bとを有し、ヒンジ部8におけるヒンジ軸8aの中心は、上壁部7bの最も高い位置よりも下方に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、上部に前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられた状態で、前記通液口を開閉する蓋体とを備え、
前記キャップ本体は、略円筒状に形成され、外周側を覆う周壁部と、前記周壁部の上部を覆う上壁部とを有し、
前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心は、前記上壁部の最も高い位置よりも下方に位置することを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記キャップ本体が前記容器本体に取り付けられた状態において、前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心が、前記容器本体の上部開口部よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心が、前記周壁部の最外径部よりも外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記キャップ本体は、被当接部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体が前側に変位したときに、前記被当接部に対して後側から当接する当接部を有することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられる容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットを備えたキャップ付き容器がある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
キャップユニットは、容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、上部に容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられた状態で、通液口を開閉する蓋体とを備えている。
【0004】
また、キャップユニットは、ヒンジ部に設けられた付勢部材により通液口を開放する方向に付勢された蓋体を、通液口を閉塞する位置にてキャップ本体に固定する蓋ロック機構を備えている。
【0005】
このようなキャップユニットを備えたキャップ付き容器では、蓋ロック機構による蓋体の固定を解除することによって、蓋体が付勢部材の付勢により回動しながら、通液口が開放された状態となる。これにより、容器本体を傾けながら通液口から流出される容器本体内の飲料を飲むことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来のキャップユニットを備えたキャップ付き容器では、容器本体を傾けながら通液口から流出される容器本体内の飲料を飲む際に、ヒンジ部や蓋体が鼻に当たることで、ヒンジ部や蓋体が邪魔になることがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、通液口が開放された状態においてヒンジ部や蓋体が邪魔になることを防止したキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、上部に前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられた状態で、前記通液口を開閉する蓋体とを備え、
前記キャップ本体は、略円筒状に形成され、外周側を覆う周壁部と、前記周壁部の上部を覆う上壁部とを有し、
前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心は、前記上壁部の最も高い位置よりも下方に位置することを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記キャップ本体が前記容器本体に取り付けられた状態において、前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心が、前記容器本体の上部開口部よりも下方に位置することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記ヒンジ部におけるヒンジ軸の中心が、前記周壁部の最外径部よりも外側に位置することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記キャップ本体は、被当接部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体が前側に変位したときに、前記被当接部に対して後側から当接する当接部を有することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられる容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、通液口が開放された状態においてヒンジ部や蓋体が邪魔になることを防止したキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示し、蓋体が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
【
図2】
図1に示すキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示し、蓋体が開放位置にある状態を示す側面図である。
【
図3】
図1に示すキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示し、蓋体が開放位置にある状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すキャップユニットの構成を示し、蓋体が閉塞位置にある状態を示す
図1とは異なる面の断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示し、蓋体が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示すキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示し、蓋体が開放位置にある状態を示す側面図である。
【
図7】
図5に示すキャップユニットの構成を示し、蓋体が閉塞位置にある状態を示す
図5とは異なる面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図4に示すキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100について説明する。
【0013】
なお、
図1は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100の構成を示し、蓋体9が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
図2は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100の構成を示し、蓋体9が開放位置にある状態を示す側面図である。
図3は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100の構成を示し、蓋体9が開放位置にある状態を示す斜視図である。
図4は、キャップユニット1Aの構成を示し、蓋体9が閉塞位置にある状態を示す
図1とは異なる面の断面図である。
【0014】
本実施形態のキャップ付き容器100は、
図1~
図4に示すように、本実施形態のキャップユニット1Aと、このキャップユニット1Aが着脱自在に取り付けられる容器本体2とを備えている。
【0015】
キャップ付き容器100は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、この容器本体2に収容された飲料(液体)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。
【0016】
具体的に、この容器本体2は、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。
【0017】
また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0018】
容器本体2は、略円形状の底部2aと、底部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。
【0019】
口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの内周面は、胴部2bの内周面よりも縮径されている。また、口頸部2cの外周面には、雄ネジ部6が設けられている。
【0020】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0021】
本実施形態のキャップユニット1Aは、上述した容器本体2の上部開口部2dを閉塞するキャップ本体7と、キャップ本体7に第1のヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられた蓋体9とを備えている。
【0022】
なお、以下の説明では、キャップ本体7に対して蓋体9が第1のヒンジ部8を介して取り付けられる側をキャップユニット1A(キャップ付き容器100)の「後側(背面側)」とし、それとは反対側をキャップユニット1A(キャップ付き容器100)の「前側(正面側)」として説明する。
【0023】
キャップ本体7は、例えば耐熱性樹脂からなり、容器本体2の胴部2bと連続するように略円筒状に形成され、外周側を全周に亘って覆う周壁部7aと、周壁部7aの上部を覆うと共に、容器本体2の内側と連通される通液口10及び通気口11が設けられた上壁部7bと、上部開口部2dから容器本体2の内側に嵌め込まれるように上壁部7bの下面から略円筒状に突出した内壁部7cとを有している。
【0024】
周壁部7aの内周面には、容器本体2の雄ネジ部6と螺合される雌ネジ部12が設けられている。これにより、キャップ本体7は、容器本体2の上部開口部2dを覆った状態で、口頸部2cの外側に螺合により着脱自在に取り付けられている。
【0025】
通液口10は、上壁部7bの第1のヒンジ部8よりも前側に位置して、上壁部7bを上下方向に貫通した状態で上方に向かって略円筒状に突出したノズル部により構成されている。
【0026】
通気口11は、上壁部7bの通液口10と第1のヒンジ部8との間に位置して、上壁部7bを上下方向に貫通した円形状の孔部により構成されている。通気口11は、通液口10に比べて開口面積が小さくなっている。
【0027】
キャップ本体7の内側の下面には、止水パッキン13が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン13は、容器本体2とキャップ本体7との間を密閉(止水)するためのシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0028】
止水パッキン13は、上壁部7bの下面、内壁部7cの外周面及び下端面に沿った段差形状を有して、全体として円形リング状に形成されている。止水パッキン13は、上壁部7bの下面、内壁部7cの外周面に接触し、内壁部7cの下端面と僅かに離間しながら下方から覆った状態で、キャップ本体7の内側の下面に嵌め付けられている。
【0029】
一方、止水パッキン13は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、キャップ本体7の内側の下面から取り外すことが可能である。これにより、止水パッキン13とキャップ本体7とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン13とキャップ本体7との間を衛生的に保つことが可能である。
【0030】
また、止水パッキン13の上端部には、拡径方向に全周に亘って突出された弾性フランジ部13aが設けられている。止水パッキン13は、容器本体2にキャップ本体7が取り付けられた際に、この弾性フランジ部13aが弾性変形しながら、上面側が上壁部7bの下面と、下面側が口頸部2cの上端部と、それぞれ全周に亘って密着した状態となる。これにより、キャップ本体7と容器本体2との間を液密に封止(止水)することが可能となっている。
【0031】
蓋体9は、例えば耐熱性樹脂からなり、キャップ本体7の周壁部7a(キャップ本体7の外周面)と連続するように略円筒状に形成された周壁部9aと、周壁部9aの天面を覆う天壁部9bとを有している。
【0032】
第1のヒンジ部8は、キャップ本体7の周壁部7aと上壁部7bとの間の後端部に位置している。蓋体9は、この第1のヒンジ部8を介して通液口10及び通気口11を閉塞する位置(以下、「閉塞位置」という。)と、通液口10及び通気口11を開放する位置(以下、「開放位置」という。)との間で回動自在に取り付けられている。
【0033】
蓋体9の内側の下面には、蓋パッキン14が位置して着脱自在に取り付けられている。蓋パッキン14は、キャップ本体7と蓋体9との間を密閉するためのシール部材であり、上記止水パッキン13と同じ材質の弾性部材からなる。
【0034】
蓋パッキン14は、通液口10を閉塞する通液栓部14aと、通気口11を閉塞する通気栓部14bとを有している。
【0035】
通液栓部14aは、
図1及び
図3に示すように、蓋パッキン14の前側の下面から下方へドーム状に突出して設けられている。通気栓部14bは、蓋パッキン14の後側の下面から下方へ有底長円筒状に突出して設けられている。
【0036】
また、蓋パッキン14は、蓋体9に設けられた孔部9cに嵌め込まれる嵌合凸部14cと、蓋体9に設けられた筒壁部9dが嵌め込まれる通気嵌合部14dとを有している。
【0037】
孔部9cは、天壁部9bの前側を上下方向に略円筒状に貫通して設けられている。嵌合凸部14cは、蓋パッキン14の前側の通液栓部14aとは反対側である上面から上方へ略円筒状に突出して設けられている。筒壁部9dは、天壁部9bの後側の下面から下方へ長円筒状に突出して設けられている。通気嵌合部14dは、蓋パッキン14の後側の通気栓部14bとは反対側である上面から、通気栓部14bの内側を凹ませるように上方に突出して設けられている。
【0038】
蓋パッキン14は、孔部9cに嵌合凸部14cが嵌め込まれ、通気嵌合部14dに筒壁部9dが嵌め込まれた状態で、蓋体9の内側の下面に取り付けられている。なお、本実施形態では、上述した通気嵌合部14dの内側に筒壁部9dが嵌め込まれた構成となっているが、筒壁部9dの内側に通気嵌合部14dを嵌め込んだ構成であってもよい。すなわち、蓋体9と蓋パッキン14とが嵌合により一体化された構成であればよい。
【0039】
ここで、蓋体9が閉塞位置にある場合でも、嵌合凸部14cは、蓋体9の上面側から目視することが可能である。これにより、蓋体9が開放位置にある場合に限らず、蓋パッキン14が蓋体9に取り付けられていることを目視で確認することができ、蓋パッキン14を付け忘れることがない。
【0040】
一方、蓋体9の内側の下面から蓋パッキン14を取り外すことによって、蓋パッキン14と蓋体9とをそれぞれ別々に洗浄することができ、これら蓋パッキン14と蓋体9との間を衛生的に保つことができる。
【0041】
なお、蓋パッキン14については、上述した蓋体9に着脱自在に取り付けられた構成となっているが、このような構成に限らず、例えば蓋体9に対して蓋パッキン14が一体に取り付けられた構成であってもよい。この場合、蓋体9と蓋パッキン14の間に隙間を設けないように一体化することで、蓋パッキン14と蓋体9との間に水等が入り込むこともなく、衛生的に保つことが可能である。
【0042】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞したときに、通液栓部14aが弾性変形しながら通液口10の上部の周囲に密着した状態で通液口10を閉塞すると共に、通気栓部14bが弾性変形しながら通気口11の周囲に密着した状態で通気口11を閉塞する。これにより、蓋パッキン14を介してキャップ本体7と蓋体9との間を密閉することが可能となっている。
【0043】
キャップ本体7は、通気栓部14bが通気口11を閉塞した状態において、通気栓部14bと密着するシール面7dと、上壁部7b(キャップ本体7)の上面から上方へ縮径しながら突出された通気凸部7eとを有している。シール面7dは、通気凸部7eの上面に平坦面として構成されている。
【0044】
通気口11は、
図1に示すように、シール面7d及び通気凸部7eの第1のヒンジ部8とは反対側(前側)に偏倚して設けられている。通気口11は、シール面7dに通気栓部14bが密着した状態において、筒壁部9dの先端部の前側と平面視で重なる位置に設けられている。また、シール面7dに通気栓部14bが密着した状態において、筒壁部9dの先端部の内周側は、平面視の前後方向においてシール面7dの内側に位置している。
【0045】
これにより、筒壁部9dの先端部の前側により通気栓部14bが下方に向かって通気口11に強く押し付けられた状態となり、通気口11を確実に閉塞することが可能である。
【0046】
また、シール面7d及び通気凸部7eは、前後方向において、通気口11の前後幅の3倍以上の長さを有している。例えば試作段階において、通気口11の位置を重ねることなく、シール面7d及び通気凸部7eに対して通気口11が前側に偏倚した位置、中央位置、後側に偏倚した位置をそれぞれとる試作品を製造することが可能である。
【0047】
これにより、シール面7d全体に対する通気栓部14bの密着状態を変えずに、通気口11の位置だけを変更した試作品を製造し、通気口11の閉塞状態を確認することが可能である。また、通気口11の閉塞状態に不具合が発生した場合の調整がし易く、開発コストを抑えることが可能である。
【0048】
第1のヒンジ部8には、回動方向の一方側(以下、「開方向」という。)に向けて蓋体9を付勢する第1の付勢部材(図示せず)が設けられている。
【0049】
第1の付勢部材は、例えばトーションバネのようなバネ部材からなり、第1のヒンジ部8の内側に取り付けられている。
【0050】
なお、第1の付勢部材については、上述したバネ部材からなるものに限らず、例えばゴムやエラストマー等からなるリング状の弾性部材をキャップ本体7と蓋体9との間で掛け止めされることによって、蓋体9を開方向に付勢する構成であってもよい。
【0051】
本実施形態のキャップユニット1Aは、第1の付勢部材の付勢に抗して回動方向の他方側(以下、「閉方向」という。)に向けて回動された蓋体9をキャップ本体7に対して固定する蓋ロック機構15を備えている。
【0052】
蓋ロック機構15は、キャップ本体7に第2のヒンジ部16を介して回動自在に取り付けられたロック部材17及びリングストッパー18を有している。
【0053】
ロック部材17は、キャップ本体7(周壁部7a)の前側に設けられた第2のヒンジ部16により回動自在に支持されている。ロック部材17は、第2のヒンジ部16から上方に延長された第1のアーム部17aと、第2のヒンジ部16から下方に延長された第2のアーム部17bとを有している。
【0054】
第1のアーム部17aの先端(ロック部材17の上端)には、フック部19が後方に向かって突出して設けられている。
【0055】
第2のアーム部17bと周壁部7aとの間には、例えばコイルバネなどのバネ部材からなる第2の付勢部材20が配置されている。なお、第2の付勢部材20については、上述したバネ部材の代わりに、例えばゴムやエラストマー等の弾性部材を用いてもよい。
【0056】
リングストッパー18は、一部が開放されたリング状の部材からなり、その両端が第2のヒンジ部16の外側に回動自在に支持されている。これにより、リングストッパー18は、上下方向に回動可能となっている。
【0057】
一方、蓋ロック機構15は、ロック部材17のフック部19が係止されるロック受部21と、リングストッパー18が掛け止めされるストッパー受部22とを有している。
【0058】
ロック受部21は、蓋体9(周壁部9a)の前側の下端部から前方に突出された爪部からなる。ストッパー受部22は、リングストッパー18の内側に対応した形状で、ロック受部(爪部)21の周囲を囲む位置から前方に突出された壁部からなる。
【0059】
蓋ロック機構15では、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞したときに、ロック部材17のフック部19がロック受部21に係止されることによって、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞した状態(閉塞位置)が保持される。
【0060】
この状態から、ロック部材17の第2のアーム部17b側を第2の付勢部材20の付勢に抗して押圧操作することによって、ロック受部21に対するフック部19の係止状態が解除される。これにより、第1の付勢部材により付勢された蓋体9を開方向に回動させることで、開放位置とすることが可能である。
【0061】
一方、蓋ロック機構15では、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞したときに、リングストッパー18がストッパー受部22に掛け止めされることによって、蓋体9の開方向への回動が阻止される。これにより、蓋ロック機構15では、ロック部材17の不要な(意図しない)操作によって蓋体9が開くことを防止できる。
【0062】
ところで、本実施形態のキャップユニット1Aでは、
図1及び
図4に示すように、キャップ本体7の上壁部7bよりも下方に、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部が位置している。また、キャップ本体7の周壁部7aの下端における最外径よりも外側に、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部が位置している。
【0063】
具体的には、
図1に示すように、キャップ本体7の上壁部7bは、通液口10よりも前側が後側よりもやや低くなるように設けられている。
【0064】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Aでは、通液口10のノズル部が上壁部7bから突出する長さ(高さ)を前側で長く(高く)設けやすくなり、容器本体2を傾けて通液口10から流出される容器本体2内の飲料を飲む際に、下唇や顎部と上壁部7bが当たらないため、飲用者の使用感が良い。
【0065】
また、キャップ本体7の上壁部7bにおける通液口10よりも後側は、緩やかに後方が低くなるように傾斜し、その中央部後側に通気凸部7eが形成され、更にその後端側から後方へ張り出すようにして、第1のヒンジ部8が設けられている。すなわち、第1のヒンジ部8は、キャップ本体7の後側の側面から突出した配置となっている。
【0066】
具体的には、
図1に示すように、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部は、上壁部7bにおける通液口10後側の最も高い位置よりも下方に位置している。より具体的には、通液口10が上壁部7bから立ち上がる下端(根本)の部分のうち、最も高い位置よりも下方に、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部が位置している。
【0067】
また、キャップ本体7の周壁部7aは、容器本体2の胴部2bと連続するように形成されているため、下端側が胴部2bと同径程度に外側へ張り出した最外径部となっている。第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部は、この周壁部7aの最外径部よりも外側に位置している。
【0068】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Aでは、第1のヒンジ部8をキャップ本体7の上面からキャップ本体7の後側の側面へと離間させ、
図2に示す開放位置まで蓋体9が回動された状態において、蓋体9をキャップ本体7の後側の側面側へと大きく回動させることが可能である。
【0069】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100では、上述した容器本体2を傾けながら通液口10から流出される容器本体2内の飲料を飲む際に、第1のヒンジ部8の位置が飲用者の鼻から遠ざかることになり、第1のヒンジ部8や蓋体9が鼻に当たるといったことがなく、第1のヒンジ部8や蓋体9が邪魔になることがないため、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0070】
また、本実施形態のキャップユニット1Aは、
図3及び
図4に示すように、例えば落下等の衝撃によって蓋体9が前側に変位したときに、蓋体9側に設けられた当接部9eが、キャップ本体7側に設けられた被当接部7fに対して当接する構成となっている。
【0071】
具体的に、本実施形態において、当接部9eは、第1のヒンジ部8を構成する蓋体9側の一対の軸受部8bにより構成されている。一方、被当接部7fは、キャップ本体7の後側の一対の軸受部8bと対向する壁部により構成されている。
【0072】
本実施形態のキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100では、例えば落下等により第1のヒンジ8側(後側)から衝撃を受けた場合などに、蓋体9が前側に変位して、蓋体9の当接部9eがキャップ本体7の被当接部7fに後側から当接する。
【0073】
これにより、衝撃が受け止められ、蓋体9のそれ以上の前側へ向けた変位が抑制される。また、蓋体9の前側への変位量を小さく抑えることができるため、蓋ロック機構15による蓋体9のロック状態が意図せず解除されることを抑制することが可能である。さらに、第1のヒンジ部8に加わる負荷によって、ヒンジ軸8aと軸受部8bとの位置ズレが生じ難くなり、ヒンジ軸8aが曲がってしまうなどの第1のヒンジ部8や蓋体9の損傷を防ぐことが可能である。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図5~
図7に示すキャップユニット1Bについて説明する。
【0075】
なお、
図5は、キャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100の構成を示し、蓋体9が閉塞位置にある状態を示す断面図である。
図6は、キャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100の構成を示し、蓋体9が開放位置にある状態を示す側面図である。
図7は、キャップユニット1Bの構成を示し、蓋体9が閉塞位置にある状態を示す
図5とは異なる面の断面図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0076】
本実施形態のキャップユニット1Bは、
図5~
図7に示すように、上記キャップユニット1Aの構成のうち、第1のヒンジ部8の配置が異なる以外は、上記キャップユニット1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0077】
具体的に、本実施形態のキャップユニット1Bにおいて、第1のヒンジ部8は、
図5~
図7に示すように、キャップ本体7の後側の側面に位置している。
【0078】
また、キャップ本体7の上壁部7bよりも下方に、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部が位置している。また、キャップ本体7の周壁部7aの下端の最外径よりも外側に、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部が位置している。
【0079】
具体的には、
図5に示すように、キャップ本体7の上壁部7bにおける通液口10よりも後側は、緩やかに後方が低くなるように傾斜し、その中央部後側に通気凸部7eが形成されている。さらに、キャップ本体7の後端側において、上壁部7bの後端側から一段下がり、第1のヒンジ部8が後方へ張り出すようにして形成されている。すなわち、第1のヒンジ部8は、キャップ本体7の後側の側面から突出した配置となっている。
【0080】
また、
図5に示すように、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部は、上壁部7bにおける最も低い位置よりも下方に位置している。さらに、容器本体2にキャップユニット1B(キャップ本体7)が取り付けられた状態において、第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部は、容器本体2の上部開口部2dよりも下方に位置している。
【0081】
また、キャップ本体7の周壁部7aは、容器本体2の胴部2bと連続するように形成されているため、下端側が胴部2bと同径程度に外側へ張り出した最外径部となっている。第1のヒンジ部8のヒンジ軸8aの中心部は、この周壁部7aの最外径部よりも外側に位置している。
【0082】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Bでは、第1のヒンジ部8をキャップ本体7の上面からキャップ本体7の後側の側面下方へと離間させ、
図6に示す開放位置まで蓋体9が回動された状態において、蓋体9をキャップ本体7の後側の側面側へと大きく回動させることが可能である。
【0083】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100では、上述した容器本体2を傾けながら通液口10から流出される容器本体2内の飲料を飲む際に、第1のヒンジ部8の位置が飲用者の鼻から遠ざかることになり、第1のヒンジ部8や蓋体9が鼻に当たるといったことがなく、第1のヒンジ部8や蓋体9が邪魔になることがないため、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0084】
また、本実施形態のキャップユニット1Bでは、第1のヒンジ部8がキャップ本体7の後側の側面に位置することで、例えば落下等により第1のヒンジ部8側(後側)から衝撃を受けた場合などに、上述した蓋体9が前側に変位して、蓋体9の当接部9eがキャップ本体7の被当接部7fに後側から当接する。
【0085】
これにより、衝撃が受け止められ、蓋体9のそれ以上の前側へ向けた変位が抑制される。また、蓋体9の前側への変位量を小さく抑えることができるため、蓋ロック機構15による蓋体9のロック状態が意図せず解除されることを抑制することが可能である。さらに、第1のヒンジ部8に加わる負荷によって、ヒンジ軸8aと軸受部8bとの位置ズレが生じ難くなり、ヒンジ軸8aが曲がってしまうなどの第1のヒンジ部8や蓋体9の損傷を防ぐことが可能である。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせた飲料用容器に本発明を適用した場合を例示しているが、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備えたキャップ付き容器に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1A,1B…キャップユニット 2…容器本体 7…キャップ本体 7a…周壁部 7b…上壁部 7d…シール面 8…第1のヒンジ部 8a…ヒンジ軸 9…蓋体 10…通液口 11…通気口 13…止水パッキン 14…蓋パッキン 14a…通液栓部 15…蓋ロック機構 100…キャップ付き容器