(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019600
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネント
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20250131BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123288
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 一良
(72)【発明者】
【氏名】滝 憲和
(72)【発明者】
【氏名】津江 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴明
(72)【発明者】
【氏名】山本 正明
(57)【要約】
【課題】電力消費部に好適な電力を供給できる、人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントを提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置は、電源から供給される電力の電圧を変換して電力消費部に電力を供給するように構成される電圧変換部を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、前記電圧変換部が、パルス幅変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第1電力供給状態と、パルス周波数変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第2電力供給状態と、のいずれかにおいて動作するように、前記電圧変換部を制御するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
電源から供給される電力の電圧を変換して電力消費部に電力を供給するように構成される電圧変換部を制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、前記電圧変換部が、パルス幅変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第1電力供給状態と、パルス周波数変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第2電力供給状態と、のいずれかにおいて動作するように、前記電圧変換部を制御するように構成される、制御装置。
【請求項2】
前記電力消費部の消費電力状態は、第1消費電力状態と、前記第1消費電力状態よりも消費電力が小さい第2消費電力状態と、の間において切り替わるように構成され、
前記制御部は、
前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態の場合、前記電圧変換部が前記第1電力供給状態において動作するように前記電圧変換部を制御するように構成され、
前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第2消費電力状態の場合、前記電圧変換部が前記第2電力供給状態において動作するように前記電圧変換部を制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第1消費電力状態および前記第2消費電力状態の一方から他方に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態の間に、前記電圧変換部を前記第1電力供給状態および前記第2電力供給状態の一方から他方に切り替えるように、前記電圧変換部を制御するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第2消費電力状態から前記第1消費電力状態に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第2消費電力状態から前記第1消費電力状態に切り替わった後に、前記電圧変換部を前記第2電力供給状態から前記第1電力供給状態に切り替えるように構成される、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第1消費電力状態から前記第2消費電力状態に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態から前記第2消費電力状態に切り替わる前に、前記電圧変換部を前記第1電力供給状態から前記第2電力供給状態に切り替えるように構成される、請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
人力駆動車用の電源装置であって、
請求項1に記載の制御装置と、
前記電圧変換部と、を備える、電源装置。
【請求項7】
人力駆動車用の電源装置であって、
請求項3に記載の制御装置と、
前記電圧変換部と、を備え、
前記電圧変換部は、前記第1電力供給状態および前記第2電力供給状態の一方から他方に切り替える場合に、前記電力消費部に供給される電力の電圧が変化するように構成される、電源装置。
【請求項8】
前記電力消費部は、前記制御部および前記人力駆動車用の電子部品の少なくとも1つを含む、請求項6または7に記載の電源装置。
【請求項9】
前記電力消費部は、前記制御部および前記電子部品を含み、
前記制御部は、
前記電圧変換部から電力が供給される電力線によって、前記電子部品と接続され、
前記電子部品と前記電力線を介して通信するように構成される、請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
人力駆動車用のコンポーネントであって、
請求項6または7に記載の電源装置を備える、コンポーネント。
【請求項11】
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを含むドライブユニットである、請求項10に記載のコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される人力駆動車用のコンポーネントは、電源から供給される電力によって動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、電力消費部に好適な電力を供給できる人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、電源から供給される電力の電圧を変換して電力消費部に電力を供給するように構成される電圧変換部を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、前記電圧変換部が、パルス幅変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第1電力供給状態と、パルス周波数変調制御によって電圧を変換して前記電力消費部に電力を供給する第2電力供給状態と、のいずれかにおいて動作するように、前記電圧変換部を制御するように構成される。
第1側面の制御装置によれば、制御部は、第1電力供給状態と、第2電力供給状態と、のいずれかにおいて、電圧変換部を動作させるため、電圧変換部によって、電源から供給される電力を好適な電力に変換できる。したがって、制御装置は、電力消費部に好適な電力を供給できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記電力消費部の消費電力状態は、第1消費電力状態と、前記第1消費電力状態よりも消費電力が小さい第2消費電力状態と、の間において切り替わるように構成され、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態の場合、前記電圧変換部が前記第1電力供給状態において動作するように前記電圧変換部を制御するように構成され、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第2消費電力状態の場合、前記電圧変換部が前記第2電力供給状態において動作するように前記電圧変換部を制御するように構成される。
第2側面の制御装置によれば、制御部は、第1消費電力状態と、第2消費電力状態と、において、異なる電力供給状態によって電圧変換部を制御できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第1消費電力状態および前記第2消費電力状態の一方から他方に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態の間に、前記電圧変換部を前記第1電力供給状態および前記第2電力供給状態の一方から他方に切り替えるように、前記電圧変換部を制御するように構成される。
第3側面の制御装置によれば、制御部は、第1消費電力状態の間に、電圧変換部の電力供給状態を切り替えるため、第2消費電力状態において、電力供給状態の切り替えの影響が生じることを抑制できる。
【0008】
本開示の第2または3側面に従う第4側面の制御装置において、前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第2消費電力状態から前記第1消費電力状態に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第2消費電力状態から前記第1消費電力状態に切り替わった後に、前記電圧変換部を前記第2電力供給状態から前記第1電力供給状態に切り替えるように構成される。
第4側面の制御装置によれば、制御部は、第1消費電力状態において、電圧変換部の電力供給状態を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替えるため、第2消費電力状態において、電力供給状態の切り替えの影響が生じることを好適に抑制できる。
【0009】
本開示の第2から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記電力消費部の前記消費電力状態が、前記第1消費電力状態から前記第2消費電力状態に切り替わる場合、前記制御部は、前記電力消費部の前記消費電力状態が前記第1消費電力状態から前記第2消費電力状態に切り替わる前に、前記電圧変換部を前記第1電力供給状態から前記第2電力供給状態に切り替えるように構成される。
第5側面の制御装置によれば、制御部は、第1消費電力状態において、電圧変換部の電力供給状態を第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えるため、第2消費電力状態において、電力供給状態の切り替えの影響が生じることを好適に抑制できる。
【0010】
本開示の第6側面に従う電源装置は、人力駆動車用の電源装置であって、第1から第5側面のいずれか1つに記載の制御装置と、前記電圧変換部と、を備える。
第6側面の電源装置によれば、電力消費部に好適な電力を供給できる。
【0011】
本開示の第7側面に従う電源装置は、人力駆動車用の電源装置であって、第3から第5側面のいずれか1つに記載の制御装置と、前記電圧変換部と、を備え、前記電圧変換部は、前記第1電力供給状態および前記第2電力供給状態の一方から他方に切り替える場合に、前記電力消費部に供給される電力の電圧が変化するように構成される。
第7側面の電源装置によれば、制御部は、第1消費電力状態の間に、電圧変換部の電力供給状態を切り替えるため、第2消費電力状態において、電力消費部に供給される電力の電圧の変化が生じることを抑制できる。
【0012】
本開示の第6または第7側面に従う第8側面の電源装置において、前記電力消費部は、前記制御部および前記人力駆動車用の電子部品の少なくとも1つを含む。
第8側面の電源装置によれば、制御部および人力駆動車用の電子部品の少なくとも1つに好適な電力を供給できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の電源装置において、前記電力消費部は、前記制御部および前記電子部品を含み、前記制御部は、前記電圧変換部から電力が供給される電力線によって、前記電子部品と接続され、前記電子部品と前記電力線を介して通信するように構成される。
第9側面の電源装置によれば、制御部は、電子部品への電力の供給および電子部品との通信を、電力線によって行うことができる。
【0014】
本開示の第10側面に従うコンポーネントは、人力駆動車用のコンポーネントであって、第6または第7側面に記載の電源装置を備える。
第10側面のコンポーネントによれば、電力消費部に好適な電力を供給できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面のコンポーネントにおいて、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータを含むドライブユニットである。
第11側面のコンポーネントによれば、ドライブユニットは、電力消費部に好適な電力を供給できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントは、電力消費部に好適な電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントを含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の制御部が行う切替制御の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の切替制御が行われる場合の電力消費部の消費電力状態、電圧変換部の電力供給状態、および、電圧変換部のスイッチング状態の変化の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から
図4を参照して、人力駆動車用の制御装置70、人力駆動車用の電源装置60、および、人力駆動車用のコンポーネント50が説明される。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、人力駆動車10は、電動アシスト自転車として説明される。
【0019】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪12および車体14を含む。少なくとも1つの車輪12は、例えば、前輪12Fおよび後輪12Rを含む。車体14は、例えば、フレーム16を含む。
【0020】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動力が入力されるクランク18をさらに含む。クランク18は、例えば、クランク軸20およびクランクアーム22を含む。クランク軸20は、例えば、フレーム16に対して回転可能である。クランクアーム22には、例えば、ペダル24が連結される。
【0021】
クランクアーム22は、例えば、第1クランクアーム22Aおよび第2クランクアーム22Bを含む。ペダル24は、例えば、第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bを含む。第1クランクアーム22Aおよび第2クランクアーム22Bは、例えば、クランク軸20の軸方向の各端部に設けられる。第1クランクアーム22Aには、例えば、第1ペダル24Aが連結される。第2クランクアーム22Bには、例えば、第2ペダル24Bが連結される。
【0022】
フレーム16には、例えば、フロントフォーク26が接続される。フロントフォーク26には、例えば、前輪12Fが取り付けられる。フロントフォーク26には、例えば、ハンドルバー28がステム30を介して連結される。後輪12Rは、例えば、フレーム16に支持される。本実施形態では、クランク18は、駆動機構32によって後輪12Rと連結される。後輪12Rは、例えば、クランク軸20が回転することによって駆動される。前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つが、例えば、駆動機構32によってクランク18に連結されてもよい。
【0023】
駆動機構32は、例えば、クランク軸20に連結される少なくとも1つの第1回転体34を含む。第1回転体34は、例えば、フロントスプロケットを含む。第1回転体34は、プーリまたはベベルギアを含んでいてもよい。クランク軸20は、フロントスプロケットと、ワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。
【0024】
駆動機構32は、例えば、少なくとも1つの第2回転体36および伝達部材38をさらに含む。伝達部材38は、第1回転体34の回転力を少なくとも1つの第2回転体36に伝達するように構成される。伝達部材38は、例えば、チェーンを含む。伝達部材38は、ベルト、または、シャフトを含んでいてもよい。第2回転体36は、例えば、リアスプロケットを含む。第2回転体36は、プーリまたはベベルギアを含んでもよい。チェーンは、例えば、フロントスプロケットおよびリアスプロケットに巻き掛けられる。第2回転体36は、例えば、後輪12Rに連結される。後輪12Rは、例えば、第2回転体36の回転にともなって回転するように構成される。
【0025】
人力駆動車10は、例えば、電源40をさらに含む。電源40は、例えば、コンポーネント50に電力を供給するように構成される。電源40は、例えば、電力消費部42に電力を供給するように構成される。電源40は、例えば、バッテリである。バッテリは、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。電源40は、第1電圧V1の電力を出力する。第1電圧V1は、例えば、36Vである。
【0026】
人力駆動車10は、例えば、電力消費部42をさらに含む。電力消費部42は、例えば、電源40から供給される電力によって動作するように構成される。電力消費部42は、例えば、電源40に電気的に接続される。
【0027】
人力駆動車10は、少なくとも1つの電子部品44をさらに含む。
図2には、一例として、3つの電子部品44が示される。人力駆動車10に含まれる電子部品44の数は
図2の例には限定されない。電子部品44は、例えば、電源40およびコンポーネント50に、電気的に接続される。電子部品44は、例えば、操作装置44A、電動変速機、サイクルコンピュータ、電動アジャスタブルシートポスト、および、電動サスペンションの少なくとも1つを含む。
【0028】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動車用のコンポーネント50をさらに含む。コンポーネント50は、ハウジング50Aを有する。コンポーネント50は、電源40が接続される第1接続部52と、電子部品44が接続される第2接続部54と、をさらに有する。第1接続部52および第2接続部54は、例えば、ハウジング50Aに設けられる。
【0029】
コンポーネント50は、例えば、電力線46によって、電子部品44と相互に接続される。電力線46は、例えば、電圧変換部62から電力が供給される。コンポーネント50は、例えば、電力線46によって、電子部品44と電力線通信(Power Line Communication;PLC)を行うように構成される。
【0030】
コンポーネント50は、CAN(Controller Area Network)またはUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって、通信してもよい。コンポーネント50がCANまたはUARTによって通信する場合、コンポーネント50は、例えば、電力線46とは異なる通信線を介して電子部品44と通信する。コンポーネント50は、電子部品44と無線通信するように構成されてもよい。
【0031】
コンポーネント50は、例えば、電源40と通信可能に接続される。コンポーネント50は、例えば、PLC、CAN、および、UARTの少なくとも1つによって電源40と通信する。コンポーネント50は、電源40と無線通信するように構成されてもよい。
【0032】
コンポーネント50は、例えば、ドライブユニット56である。ドライブユニット56は、例えば、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ56Aを含む。モータ56Aは、例えば、ハウジング50Aに設けられる。モータ56Aは、例えば、クランク軸20にモータ56Aの駆動力を伝達するように構成される。コンポーネント50は、電動変速機、サイクルコンピュータ、電動アジャスタブルシートポスト、および、電動サスペンションの少なくとも1つであってもよい。
【0033】
ドライブユニット56は、例えば、インバータ56Bをさらに含む。モータ56Aには、例えば、電源40の電力が供給される。モータ56Aは、例えば、インバータ56Bを介して電源40に接続される。インバータ56Bは、例えば、モータ56Aの駆動回路を含む。インバータ56Bは、例えば、制御部72によって制御される。
【0034】
コンポーネント50は、例えば、電源装置60を備える。人力駆動車用の電源装置60は、例えば、制御装置70と、電圧変換部62と、を備える。
【0035】
電圧変換部62は、例えば、電源40から供給される電力の電圧を変換して電力消費部42に電力を供給するように構成される。電圧変換部62は、例えば、コンバータを含む。コンバータは、例えば、DC/DCコンバータである。コンバータは、例えば、スイッチング素子を含む。スイッチング素子は、例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の少なくとも1つを含む。MOSFETは、Nチャネル型であってもよく、Pチャネル型であってもよい。
【0036】
電圧変換部62は、例えば、第1接続部52に接続される。電圧変換部62は、例えば、電源40から供給される第1電圧V1を第2電圧V2に変換する。第2電圧V2は、例えば、電力消費部42への供給に適した値である。第2電圧V2は、例えば、第2電圧V21および第2電圧V22を含む。第2電圧V21および第2電圧V22は、例えば、電力消費部42への供給に適した値である。電圧変換部62は、例えば、第2接続部54に接続される。電圧変換部62は、例えば、制御部72および第2接続部54の少なくとも1つに電源40の電力を供給するように構成される。
【0037】
電圧変換部62は、例えば、第1電力供給状態と、第2電力供給状態と、のいずれかにおいて動作するように構成される。第1電力供給状態は、例えば、電圧変換部62が、パルス幅変調(Pulse Width Modulation;PWM)制御によって電圧を変換して電力消費部42に電力を供給する電力供給状態である。第2電力供給状態は、例えば、電圧変換部62が、パルス周波数変調(Pulse Frequency Modulation;PFM)制御によって電圧を変換して電力消費部42に電力を供給する電力供給状態である。電圧変換部62は、例えば、1つのIC(Integrated Circuit)チップによって構成される。電圧変換部62を、1つのICチップによって構成することによって、電源装置60の構成部品の数を低減できる。電源装置60の構成部品の数を低減することによって、電源装置60を小型化できる。電源装置60の構成部品の数を低減することによって、電源装置60の組立工数を低減できる。
【0038】
電圧変換部62は、例えば、第1電力供給状態および第2電力供給状態の一方から他方に切り替える場合に、電力消費部42に供給される電力の電圧が変化するように構成される。電圧変換部62が第1電力供給状態の場合、電力消費部42に供給される電力の電圧は、第2電圧V21である。電圧変換部62が第2電力供給状態の場合、電力消費部42に供給される電力の電圧は、第2電圧V22である。第2電圧V22は、例えば、第2電圧V21の95%から105%までの値である。第2電圧V22は、例えば、第2電圧V21よりも大きい。第2電圧V22は、例えば、第2電圧V21の102%である。第2電圧V21は、例えば、8Vである。第2電圧V22は、例えば、8.16Vである。
【0039】
電源装置60は、例えば、逆流防止部64をさらに備える。逆流防止部64は、例えば、電圧変換部62に電流が逆流することを防止する。逆流防止部64は、例えば、電源40から電力消費部42までの電力供給経路において、電圧変換部62よりも下流に設けられる。逆流防止部64は、例えば、ショットキーバリアダイオード(Schottky-Barrier Diode;SBD)または電界効果トランジスタ(Field effect transistor;FET)を含む。
【0040】
電源装置60は、例えば、LDO(Low Drop Out)レギュレータ66をさらに備える。電圧変換部62は、LDOレギュレータ66を介して制御部72に接続される。LDOレギュレータ66は、電圧変換部62から供給される電力の電圧を変換する。LDOレギュレータ66は、例えば、電圧変換部62から供給される電力の第2電圧V2を、第3電圧V3に変換する。第3電圧V3は、例えば、3.3Vである。
【0041】
人力駆動車用の制御装置70は、例えば、制御部72を備える。制御部72は、例えば、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部72は、電圧変換部62とともに、コンポーネント50が有する回路基板上に設けられる。
【0042】
制御部72は、例えば、電源40と有線または無線によって通信可能に接続される。制御部72は、例えば、電源40から電力を供給されるように構成される。制御部72は、例えば、電圧変換部62を介して、電源40に接続される。
【0043】
制御部72は、例えば、電子部品44と有線または無線によって通信可能に接続される。制御部72は、例えば、電力線46によって、電子部品44と接続される。制御部72は、例えば、電子部品44と電力線46を介して通信するように構成される。
【0044】
制御装置70は、例えば、記憶部74をさらに備える。記憶部74は、例えば、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部74は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部74は、例えば、制御部72と同じ回路基板上に設けられる。記憶部74は、制御部72と異なる回路基板上に設けられてもよく、人力駆動車10の外部に設けられ、かつ、制御部72と通信するように構成されてもよい。
【0045】
制御装置70は、例えば、通信部76をさらに備える。通信部76は、例えば、制御部72と同じ回路基板上に設けられる。通信部76は、制御部72と異なる回路基板上に設けられてもよい。制御部72は、例えば、通信部76を介して、電子部品44と通信する。
【0046】
通信部76は、例えば、電力線46を介して、電子部品44と通信する。通信部76は、例えば、PLCによって、電子部品44と通信するように構成される。通信部76がPLCによって通信する場合、電力線46は、PLCのために用いられる通信線としても働く。
【0047】
通信部76は、CANまたはUARTによって、電子部品44と通信してもよい。通信部76がCANまたはUARTによって電子部品44と通信する場合、通信部76は、例えば、電力線46とは異なる通信線を介して電子部品44と通信する。通信部76は、電子部品44と無線通信するように構成されてもよい。
【0048】
電力消費部42は、例えば、制御部72および人力駆動車用の電子部品44の少なくとも1つを含む。本実施形態では、電力消費部42は、例えば、制御部72および電子部品44を含む。人力駆動車10が複数の電子部品44を含む場合、例えば、複数の電子部品44のそれぞれが、電力消費部42と対応する。
【0049】
電力消費部42の消費電力状態は、例えば、第1消費電力状態と、第1消費電力状態よりも消費電力が小さい第2消費電力状態と、の間において切り替わるように構成される。電力消費部42は、例えば、第1消費電力状態において、通常の動作を行うように構成される。電力消費部42は、例えば、第2消費電力状態において、通常よりも動作が制限されるように構成される。電力消費部42は、例えば、第2消費電力状態において、通信信号を受信しない間は通常の動作を行わないように構成される。電力消費部42は、例えば、電源40と接続されると、第2消費電力状態において起動する。
【0050】
電力消費部42は、例えば、完全に動作を停止する電源オフ状態の代わりに、第2消費電力状態において動作する。したがって、電力消費部42が第2消費電力状態において動作する場合、電源40の電力の消費を抑制でき、かつ、電源オフ状態よりも早く第1消費電力状態に移行できる。
【0051】
制御部72は、例えば、電圧変換部62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1電力供給状態と、第2電力供給状態と、のいずれかにおいて動作するように、電圧変換部62を制御するように構成される。
【0052】
制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態の場合、電圧変換部62が第1電力供給状態において動作するように電圧変換部62を制御するように構成される。電圧変換部62は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態の場合、PWM制御によって動作する。
【0053】
制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態の場合、電圧変換部62が第2電力供給状態において動作するように電圧変換部62を制御するように構成される。電圧変換部62は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態の場合、PFM制御によって動作する。
【0054】
電子部品44は、例えば、操作装置44Aを含む。操作装置44Aは、ユーザによって操作可能な操作部を含む。操作装置44Aは、例えば、コンポーネント50および操作装置44A以外の電子部品44の少なくとも1つを操作するように構成される。操作装置44Aは、例えば、ドライブユニット56、電動変速機、サイクルコンピュータ、電動アジャスタブルシートポスト、および、電動サスペンションの少なくとも1つを操作するように構成される。
【0055】
操作部は、例えば、少なくとも1つのスイッチを含む。操作部は、レバーまたはダイヤルを含んでいてもよい。スイッチは、例えば、電気スイッチを含む。電気スイッチは、ユーザによる操作に応じて、電気スイッチのスイッチング状態が切り替えられる。電気スイッチは、ユーザによる操作に応じて、電気スイッチの電気接点が接続されてもよく、電気スイッチの電気接点が開放されてもよい。
【0056】
操作装置44Aは、例えば、ユーザが操作部を操作する場合、操作信号を出力する。操作信号は、例えば、ドライブユニット56をオンまたはオフするための操作信号を含む。操作信号は、ドライブユニット56のアシストモードを変更するための操作信号および電動変速機の変速ステージを切り替えるための操作信号の少なくとも1つを含んでいてもよい。操作信号は、サイクルコンピュータ、電動アジャスタブルシートポスト、および、電動サスペンションの少なくとも1つをオンまたはオフするための操作信号を含んでいてもよい。
【0057】
制御部72は、例えば、操作装置44Aからの操作信号を受信するように構成される。制御部72は、例えば、操作信号を受信する場合、電力消費部42の消費電力状態を、第1消費電力状態および第2消費電力状態の一方から第1消費電力状態および第2消費電力状態の他方に切り替えるように構成される。
【0058】
制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態において操作信号を受信する場合、電力消費部42の消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替えるように構成される。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態において操作信号を受信する場合、電力消費部42の消費電力状態を第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えるように構成される。
【0059】
制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態において操作信号を受信する場合、消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替えるように構成される。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態において操作信号を受信する場合、電子部品44の消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替えるための第1制御信号を、電子部品44に送信するように構成される。電子部品44は、第1制御信号の受信に応答して、第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わる。電子部品44は、第1消費電力状態から第2消費電力状態への切り替えが完了した場合、第1切替完了信号を、制御部72に送信するように構成される。
【0060】
制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態において操作信号を受信する場合、消費電力状態を第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えるように構成される。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態において操作信号を受信する場合、電子部品44の消費電力状態を第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えるための第2制御信号を、電子部品44に送信するように構成される。電子部品44は、第2制御信号の受信に応答して、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わる。電子部品44は、第2消費電力状態から第1消費電力状態への切り替えが完了した場合、第2切替完了信号を、制御部72に送信するように構成される。
【0061】
電力消費部42の消費電力状態が、第1消費電力状態および第2消費電力状態の一方から他方に切り替わる場合、制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態の間に、電圧変換部62を第1電力供給状態および第2電力供給状態の一方から他方に切り替えるように、電圧変換部62を制御するように構成される。制御部72は、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態である期間に、電圧変換部62を第1電力供給状態および第2電力供給状態の一方から他方に切り替えないように、電圧変換部62を制御するように構成される。
【0062】
電力消費部42の消費電力状態が、第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わる場合、制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わる前に、電圧変換部62を第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えるように構成される。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替えるための操作信号を受信すると、電圧変換部62を第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えた後、第2制御信号を、電子部品44に送信するように構成されてもよい。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替えるための操作信号を受信すると、第1期間の経過後に、第2制御信号を、電子部品44に送信するように構成されてもよい。第1期間は、例えば、電圧変換部62を第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えるために十分な期間が設定される。
【0063】
電力消費部42の消費電力状態が、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わる場合、制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態が、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わった後に、電圧変換部62を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替えるように構成される。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態を第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えるための操作信号を受信すると、第1制御信号を電子部品44に送信した後、電子部品44から第1切替完了信号を受信すると、電圧変換部62を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替えるように構成されてもよい。制御部72は、例えば、電力消費部42の消費電力状態を第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えるための操作信号を受信すると、第1制御信号を電子部品44に送信した後、第2期間の経過後に、電圧変換部62を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替えるように構成されてもよい。第2期間は、例えば、電子部品44が第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わるために十分な期間が設定される。
【0064】
図3を参照して、制御部72による電圧変換部62の電力供給状態および電力消費部42の消費電力状態の切替制御の一例が説明される。制御部72は、電源40から電力が供給されると、
図3のステップS11に移行して処理を開始する。制御部72は、予め定める周期ごとに
図3の切替制御を実行する。制御部72は、電源40からの電力の供給が停止されると、処理を停止する。
【0065】
図3に示されるように、制御部72は、ステップS11において、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態であるか否かを判定する。電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態である場合、制御部72は、ステップS12に移行する。
【0066】
制御部72は、ステップS12において、操作装置44Aから操作信号を受信したか否かを判定する。操作装置44Aから操作信号を受信した場合、制御部72は、ステップS13に移行する。操作装置44Aから操作信号を受信していない場合、制御部72は、処理を終了する。
【0067】
制御部72は、ステップS13において、電圧変換部62の電力供給状態を第2電力供給状態へ切り替えて、ステップS14に移行する。制御部72は、ステップS14において、電圧変換部62の第2電力供給状態への切り替えが完了したか否かを判定する。電圧変換部62の第2電力供給状態への切り替えが完了した場合、制御部72は、ステップS15に移行する。電圧変換部62の第2電力供給状態への切り替えが完了していない場合、制御部72は、ステップS14の処理を繰り返す。
【0068】
制御部72は、ステップS15において、電子部品44に第1制御信号を送信して、ステップS16に移行する。制御部72は、ステップS16において、制御部72の消費電力状態を第2消費電力状態に切り替えて、処理を終了する。制御部72は、ステップS15と、ステップS16との順番を入れ替えて実行してもよい。
【0069】
制御部72は、ステップS11において、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態でない場合、ステップS17に移行する。本実施形態では、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態でない場合は、第2消費電力状態である場合に対応する。
【0070】
制御部72は、ステップS17において、操作装置44Aから操作信号を受信したか否かを判定する。操作装置44Aから操作信号を受信した場合、制御部72は、ステップS18に移行する。操作装置44Aから操作信号を受信していない場合、制御部72は、処理を終了する。
【0071】
制御部72は、ステップS19において、電子部品44に第2制御信号を送信して、ステップS19に移行する。制御部72は、ステップS19において、制御部72の消費電力状態を第1消費電力状態に切り替えて、ステップS20に移行する。制御部72は、ステップS18と、ステップS19との順番を入れ替えて実行してもよい。
【0072】
制御部72は、ステップS20において、電力消費部42の第1電力供給状態への切り替えが完了したか否かを判定する。制御部72は、例えば、制御部72が電子部品44から、第1切替完了信号を受信した場合、電力消費部42の第1電力供給状態への切り替えが完了したと判定する。電力消費部42の第1電力供給状態への切り替えが完了した場合、制御部72は、ステップS21に移行する。電力消費部42の第1電力供給状態への切り替えが完了していない場合、制御部72は、ステップS20の処理を繰り返す。制御部72は、ステップS21において、電圧変換部62の電力供給状態を第1電力供給状態へ切り替えて、処理を終了する。
【0073】
図4を参照して、
図3に示される切替制御によって生じる電圧変換部62の電力供給状態および電力消費部42の消費電力状態の変化の一例が説明される。
図4には、電力消費部42の消費電力状態の変化が示される。制御部72の消費電力状態の変化タイミングは、例えば、電子部品44の消費電力状態の変化タイミングと実質的に同じである。
【0074】
時刻t11は、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態において、制御部72が操作信号を受信した時刻である。時刻t11において、制御部72が操作信号を受信すると、制御部72は、電圧変換部62の電力供給状態を、第1電力供給状態から第2電力供給状態へ切り替える制御を開始する。時刻t11において、電圧変換部62は、PWM制御において動作する。
【0075】
時刻t12は、電圧変換部62の電力供給状態が、第1電力供給状態から第2電力供給状態へ切り替わった時刻である。時刻t12において、制御部72は、電子部品44に第2制御信号を送信する。時刻t12において、制御部72は、自身の消費電力状態を第2消費電力状態に切り替えるための制御を開始する。時刻t12以降において、電圧変換部62は、PFM制御において動作する。時刻t12において、第2電圧V2は、第2電圧V21から第2電圧V22に変化する。
【0076】
時刻t13は、電力消費部42の消費電力状態が、第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わった時刻である。電力消費部42の消費電力状態が、第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わった後、制御部72が再び操作信号を受信するまでは、第2消費電力状態が維持される。
【0077】
時刻t14は、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態において、制御部72が操作信号を受信した時刻である。時刻t14において、制御部72は、電力消費部42に第1制御信号を送信する。時刻t14において、制御部72は、自身の消費電力状態を第1消費電力状態に切り替えるための制御を開始する。
【0078】
時刻t15は、電力消費部42の消費電力状態が、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わった時刻である。時刻t15において、制御部72は、電圧変換部62の電力供給状態を、第2電力供給状態から第1電力供給状態へ切り替える制御を開始する。
【0079】
時刻t16は、電圧変換部62の電力供給状態が、第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替わった時刻である。時刻t16以降において、電圧変換部62は、PWM制御において動作する。時刻t16において、第2電圧V2は、第2電圧V22から第2電圧V21に変化する。
【0080】
図4に示されるように、電圧変換部62の電力供給状態が第1電力供給状態の場合、PWM制御によって、電圧変換部62のスイッチング状態のオンおよびオフが切り替わる。電圧変換部62の電力供給状態が第1電力供給状態の場合、電圧変換部62は、第1電圧V1が第2電圧V21に変換されるようにデューティ比を調整する。デューティ比は、スイッチング状態がオン状態のオン期間と、スイッチング状態がオフ状態のオフ期間と合計の期間に対する、オン期間の比率である。
【0081】
電圧変換部62の電力供給状態が第2電力供給状態の場合、PFM制御によって、電圧変換部62のスイッチング状態のオンおよびオフが切り替わる。電圧変換部62の電力供給状態が第2電力供給状態の場合、電圧変換部62は、オン期間を一定にしてオフ期間を変化させるように制御される。電圧変換部62の電力供給状態が第2電力供給状態の場合、電圧変換部62は、第1電圧V1が第2電圧V22に変換されるように、オフ期間を変化させるように制御される。電圧変換部62の電力供給状態が第2電力供給状態の場合、電圧変換部62は、オフ期間を一定にしてオン期間を変化させるように制御されてもよい。
【0082】
電圧変換部62の電力供給状態が第1電力供給状態の場合、PLCによって通信する電力線46における電圧は、例えば、第2電圧V21に維持される。電圧変換部62の電力供給状態が第2電力供給状態の場合、PLCによって通信する電力線46における電圧は、例えば、第2電圧V22に維持される。LDOレギュレータ66から制御部72に出力される電圧は、第3電圧V3に維持される。
【0083】
電子部品44およびLDOレギュレータ66は、例えば、供給される電力が途切れるとリセットされるように構成される。制御部72は、電圧変換部62から電子部品44およびLDOレギュレータ66に供給される電圧を、電力消費部42の消費電力状態が第2電力消費状態の期間にも第2電圧V2に維持することによって、電子部品44およびLDOレギュレータ66がリセットされることを抑制できる。
【0084】
電圧変換部62は、例えば、第1電力供給状態において、PWM制御によって電圧を変換するため、第2電力供給状態よりも、電源品質が低下しにくく、かつ、出力電圧のリップルが発生しにくい。電圧変換部62は、例えば、第2電力供給状態において、PFM制御によって電圧を変換するため、第1電力供給状態よりも、軽負荷時における電源効率が高い。したがって、電圧変換部62は、PWM制御とPFM制御とを切り替えることによって、消費電力を抑制できる。
【0085】
電圧変換部62の電力供給状態が切り替わる場合に生じる電圧変化は、電力線46を介して電力消費部42に伝達される。第1消費電力状態に切り替えるための操作信号、および、第1制御信号の少なくとも1つが簡単な信号によって構成されることによって、第2電力消費状態における電力消費部42の消費電力を好適に抑制できる。第2制御信号が簡単な信号によって構成される場合、電力消費部42は、例えば、第2電力消費状態において電圧変化を検出すると、電圧変化を第1消費電力状態に切り替えるための操作信号、または、第1制御信号と誤認識するおそれがある。
【0086】
制御部72は、電圧変換部62の電力供給状態が第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えた後に、電力消費部42の消費電力状態を第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替える。したがって、電圧変換部62の電力供給状態の切り替えによる電圧変化が、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態の間に発生するため、電圧変化によって電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わるおそれを低減できる。
【0087】
制御部72は、電力消費部42の消費電力状態が第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替えた後に、電圧変換部62の電力供給状態を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替える。したがって、電圧変換部62の電力供給状態の切り替えによる電圧変化が、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態の間に発生するため、電圧変化によって電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わることを抑制できる。
【0088】
<変更例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の電源装置、および、人力駆動車用のコンポーネントは、例えば、以下に示される実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
・電力消費部42は、操作装置44Aへの操作とは異なる予め定める条件が成立する場合に、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わるように構成されてもよい。予め定める条件は、例えば、人力駆動車10が走行を開始する場合、および、人力駆動車10に振動が加わる場合の少なくとも1つの場合に成立する。人力駆動車10は、例えば、振動センサを含み、人力駆動車10の振動の大きさが予め定める大きさ以上である場合、予め定める条件が成立すると判定する。人力駆動車10は、加速度センサを含み、人力駆動車10の加速度が予め定める加速度以上である場合、予め定める条件が成立すると判定してもよい。
【0090】
・電力消費部42は、制御部72を含み、かつ、電子部品44を含まなくてもよい。本変更例では、人力駆動車10は、電子部品44を含まなくてもよい。
【0091】
・電力消費部42は、電子部品44を含み、かつ、制御部72を含まなくてもよい。
【0092】
・電力消費部42の消費電力状態の切り替えタイミングと、電圧変換部62の電力供給状態の切り替えタイミングとは、同じであってもよい。電力消費部42の消費電力状態の切り替えタイミングと、電圧変換部62の電力供給状態の切り替えタイミングとを、同じにすることによって、電力消費部42の消費電力状態を早期に切り替えできる。
【0093】
・電力消費部42の消費電力状態が、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わる場合、制御部72は、電力消費部42の消費電力状態が、第2消費電力状態から第1消費電力状態に切り替わる前に、電圧変換部62を第2電力供給状態から第1電力供給状態に切り替えるように構成されてもよい。
【0094】
・電力消費部42の消費電力状態が、第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わる場合、制御部72は、電力消費部42の消費電力状態が第1消費電力状態から第2消費電力状態に切り替わった後に、電圧変換部62を第1電力供給状態から第2電力供給状態に切り替えるように構成されてもよい。
【0095】
・電圧変換部62および制御部72の少なくとも1つは、電子部品44に設けられてもよい。例えば、電圧変換部62は、コンポーネント50に設けられ、かつ、制御部72は、電子部品44に設けられる。電圧変換部62および制御部72の少なくとも1つは、電源40に設けられてもよい。
【0096】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0097】
10…人力駆動車、40…電源、42…電力消費部、44…電子部品、46…電力線、50…コンポーネント、56…ドライブユニット、56A…モータ、60…電源装置、62…電圧変換部、70…制御装置、72…制御部。