(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019604
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】ガス製造システム、及びガス製造装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
B01D53/04 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123293
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】江口 陽介
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 康行
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博久
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012CA01
4D012CB16
4D012CD01
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF02
4D012CF10
4D012CG01
(57)【要約】
【課題】ガス製造効率を向上させること。
【解決手段】ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量未満である場合、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えていく。このため、第1吸着筒11及び第2吸着筒12で再生工程が実行されない状態が長時間続くことが回避される。したがって、第1吸着筒11及び第2吸着筒12において、第1吸着剤13及び第2吸着剤14の水分量が平衡状態となってしまうことが抑制される。よって、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が比較的多くなったときに、第1吸着剤13及び第2吸着剤14の水分量が平衡状態になっており、吸着工程が十分に実行することが困難となってしまうといった問題が回避される。その結果、ガス製造システム1の立ち上がりの悪化が回避される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス製造装置を複数備え、
前記各ガス製造装置は、
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
単一ガス供給源から供給ラインを介して前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着する吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行することにより、前記吸着工程によって水分を前記吸着剤により吸着することで乾燥ガスを製造し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を複数備え、
前記再生工程では、前記供給ラインを流れる単一ガスの一部を加熱部によって加熱した後に前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給するとともに、前記再生工程中の吸着筒から排出された単一ガスを冷却部によって冷却して前記単一ガスに含まれている水分を回収した後、前記供給ラインへ還流させるガス製造システムであって、
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において稼働させる特定のガス製造装置を順次切り換えていくことを特徴とするガス製造システム。
【請求項2】
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において稼働させる前記特定のガス製造装置を規定時間経過毎に順次切り換えていくことを特徴とする請求項1に記載のガス製造システム。
【請求項3】
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において停止時間が最も長いガス製造装置を優先的に稼働させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガス製造システム。
【請求項4】
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
単一ガス供給源から供給ラインを介して前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着する吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行することにより、前記吸着工程によって水分を前記吸着剤により吸着することで乾燥ガスを製造し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を3つ以上備え、
前記再生工程では、前記供給ラインを流れる単一ガスの一部を加熱部によって加熱した後に前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給するとともに、前記再生工程中の吸着筒から排出された単一ガスを冷却部によって冷却して前記単一ガスに含まれている水分を回収した後、前記供給ラインへ還流させるガス製造装置であって、
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程を実行させてから前記再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていくことを特徴とするガス製造装置。
【請求項5】
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程を実行させてから前記再生工程を実行させる特定の吸着筒を規定時間経過毎に順次切り換えていくことを特徴とする請求項4に記載のガス製造装置。
【請求項6】
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程及び前記再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に前記吸着工程を実行させるとともに前記再生工程を実行させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のガス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス製造システム、及びガス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスや酸素ガス等の単一ガスを乾燥ガスとして利用するためには、単一ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとする必要がある。そこで、吸着剤を内部に収容する吸着筒を備えたガス製造装置が知られている。このようなガス製造装置では、吸着工程と、再生工程と、が吸着筒にて交互に繰り返し実行される。吸着工程では、単一ガス供給源から供給ラインを介して吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を吸着剤により吸着する。再生工程では、吸着工程後に吸着剤に含まれている水分を離脱させて吸着剤を再生する。そして、ガス製造装置は、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて吸着工程を実行し得るべく吸着筒を複数備えている。
【0003】
このようなガス製造装置においては、例えば特許文献1のように、再生工程では、供給ラインを流れる単一ガスの一部を加熱部によって加熱した後に再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給することが考えられている。このようにすることで、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内の吸着剤に含まれている水分が、加熱部により加熱された高温の単一ガスによって離脱する。これにより、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内の吸着剤が再生される。そして、再生工程中の吸着筒から排出された単一ガスを冷却部によって冷却して単一ガスに含まれている水分を回収した後、供給ラインへ還流させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量の変動に対応するために、例えば、ガス製造装置を複数備えたガス製造システムが考えられている。そして、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が比較的多い場合には、可能な限り多くのガス製造装置を稼働させることで、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量に対応した乾燥ガスが製造可能となる。一方で、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が比較的少ない場合には、複数のガス製造装置のうち、特定のガス製造装置を稼働させるとともにその他のガス製造装置を停止させる。このようにすることで、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が少ないにもかかわらず、ガス製装置が無駄に稼働してしまうといったことが回避されるため、ガス製造システムにおいてランニングコストの低減を図ることができる。
【0006】
また、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量の変動に対応するために、例えば、吸着筒を3つ以上備えたガス製造装置が考えられている。そして、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が比較的多い場合には、可能な限り多くの吸着筒で吸着工程を実行することで、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量に対応した乾燥ガスが製造可能となる。一方で、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が比較的少ない場合には、3つ以上の吸着筒のうち、特定の吸着筒にて吸着工程を実行させるとともにその他の吸着筒にて吸着工程及び再生工程のいずれも実行させないようにする。このようにすることで、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が少ないにもかかわらず、吸着筒が無駄に吸着工程を実行してしまうといったことが回避されるため、ガス製造装置においてランニングコストの低減を図ることができる。
【0007】
しかしながら、吸着筒で再生工程が実行されない状態が長時間続くと、当該吸着筒において、吸着剤の水分量が平衡状態となってしまう虞がある。そして、例えば、単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が比較的多くなったときに、吸着剤の水分量が平衡状態になっていると、当該吸着剤を内部に収容する吸着筒においては、吸着工程が十分に実行することが困難となる。したがって、例えば、吸着剤を再生する目的のために、単一ガスとは別のガスを当該吸着筒内に供給することにより、吸着剤を十分に再生させる必要がある。このように、ガス製造システム又はガス製造装置の立ち上がりが悪くなるため、ガス製造効率が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための各態様を記載する。
[態様1]
ガス製造装置を複数備え、
前記各ガス製造装置は、
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
単一ガス供給源から供給ラインを介して前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着する吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行することにより、前記吸着工程によって水分を前記吸着剤により吸着することで乾燥ガスを製造し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を複数備え、
前記再生工程では、前記供給ラインを流れる単一ガスの一部を加熱部によって加熱した後に前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給するとともに、前記再生工程中の吸着筒から排出された単一ガスを冷却部によって冷却して前記単一ガスに含まれている水分を回収した後、前記供給ラインへ還流させるガス製造システムであって、
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において稼働させる特定のガス製造装置を順次切り換えていくことを特徴とするガス製造システム。
【0009】
[態様2]
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において稼働させる前記特定のガス製造装置を規定時間経過毎に順次切り換えていくことを特徴とする[態様1]に記載のガス製造システム。
【0010】
[態様3]
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記複数のガス製造装置において停止時間が最も長いガス製造装置を優先的に稼働させることを特徴とする[態様1]又は[態様2]に記載のガス製造システム。
【0011】
[態様4]
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
単一ガス供給源から供給ラインを介して前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着する吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行することにより、前記吸着工程によって水分を前記吸着剤により吸着することで乾燥ガスを製造し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を3つ以上備え、
前記再生工程では、前記供給ラインを流れる単一ガスの一部を加熱部によって加熱した後に前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給するとともに、前記再生工程中の吸着筒から排出された単一ガスを冷却部によって冷却して前記単一ガスに含まれている水分を回収した後、前記供給ラインへ還流させるガス製造装置であって、
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程を実行させてから前記再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていくことを特徴とするガス製造装置。
【0012】
[態様5]
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程を実行させてから前記再生工程を実行させる特定の吸着筒を規定時間経過毎に順次切り換えていくことを特徴とする[態様4]に記載のガス製造装置。
【0013】
[態様6]
前記単一ガス供給源から供給される単一ガスの流量が所定流量未満である場合、前記3つ以上の吸着筒において前記吸着工程及び前記再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に前記吸着工程を実行させるとともに前記再生工程を実行させることを特徴とする[態様4]又は[態様5]に記載のガス製造装置。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ガス製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるガス製造システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の作用を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態におけるガス製造装置を示す模式図である。
【
図7】
図7は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、制御装置の制御の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、ガス製造システムを具体化した第1実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。
【0017】
<ガス製造システムの概要>
図1に示すように、ガス製造システム1は、ガス製造装置10を複数備えている。本実施形態のガス製造システム1は、ガス製造装置10を3つ備えている。なお、以下の説明では、各々のガス製造装置10を、「第1ガス製造装置10A」、「第2ガス製造装置10B」、「第3ガス製造装置10C」と記載する場合もある。
【0018】
ガス製造システム1は、供給配管2と、排出配管3と、を備えている。供給配管2は、単一ガス供給源A1に接続されている。なお、単一ガス供給源A1から供給される単一ガスは、水素ガスである。水素ガスは、電気分解により生成された水分を含んだ湿潤水素ガスである。排出配管3は、ガス製造システム1によって製造された乾燥ガスの図示しない供給対象に接続されている。
【0019】
<ガス製造装置>
次に、ガス製造装置10の構成について説明する。なお、第1ガス製造装置10A、第2ガス製造装置10B、及び第3ガス製造装置10Cそれぞれの構成は同じである。第1ガス製造装置10A、第2ガス製造装置10B、及び第3ガス製造装置10Cは、供給配管2及び排出配管3に対して並列接続されている。
【0020】
ガス製造装置10は、第1吸着筒11及び第2吸着筒12を備えている。第1吸着筒11は、吸着剤としての第1吸着剤13を内部に収容する吸着筒である。第2吸着筒12は、吸着剤としての第2吸着剤14を内部に収容する吸着筒である。したがって、ガス製造装置10は、吸着筒を複数備えている。第1吸着剤13及び第2吸着剤14は、水分を吸着可能に構成されている。第1吸着剤13及び第2吸着剤14としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオライト等が挙げられる。ガス製造装置10は、水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤13又は第2吸着剤14により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0021】
ガス製造装置10は、第1配管15、第2配管16、及び第3配管17を備えている。第1配管15の第1端は、供給配管2に接続されている。したがって、第1配管15内には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスが供給配管2を介して流れる。各ガス製造装置10の第1配管15の第1端は、供給配管2に並列接続されている。単一ガス供給源A1から供給配管2に流れる水素ガスは、各第1配管15内に分岐して流れる。
【0022】
第2配管16の第1端及び第3配管17の第1端は、第1配管15の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、第2配管16及び第3配管17は、第1配管15の第2端から分岐している。第2配管16の第2端は、第1吸着筒11の第1口11aに接続されている。第3配管17の第2端は、第2吸着筒12の第1口12aに接続されている。
【0023】
ガス製造装置10は、第4配管18と、第5配管19と、第6配管20と、を有している。第4配管18の第1端は、第1吸着筒11の第2口11bに接続されている。第5配管19の第1端は、第2吸着筒12の第2口12bに接続されている。第6配管20の第1端は、第4配管18の第2端及び第5配管19の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、第4配管18及び第5配管19は、第6配管20に合流している。第6配管20の第2端は、排出配管3に接続されている。第6配管20内には、第1吸着剤13又は第2吸着剤14により水素ガスに含まれている水分が吸着されることにより製造された乾燥ガスが流れる。各ガス製造装置10の第6配管20の第2端は、排出配管3に並列接続されている。各第6配管20内を流れる乾燥ガスは、排出配管3内に合流する。
【0024】
ガス製造装置10は、第7配管21を備えている。第7配管21の第1端は、第1配管15に接続されている。したがって、第7配管21は、第1配管15から分岐している。第7配管21の第2端は、第4配管18及び第5配管19における第6配管20との合流箇所に接続されている。第7配管21には、加熱部22が設けられている。加熱部22は、第7配管21の一部分を周囲から加熱する電気ヒータである。
【0025】
ガス製造装置10は、第8配管23を備えている。第8配管23の第1端は、第2配管16及び第3配管17における第1配管15からの分岐箇所に接続されている。第8配管23の第2端は、第1配管15において、第1配管15における第7配管21との接続箇所よりも第2配管16及び第3配管17寄りの部分に接続されている。
【0026】
第8配管23には、冷却部24が設けられている。冷却部24は、水冷式の冷却器である。冷却部24は、各第8配管23内を流れる水素ガスを冷却可能に構成されている。第8配管23には、ドレン回収部25が設けられている。ドレン回収部25は、第8配管23における冷却部24よりも第1配管15寄りの部分に設けられている。ドレン回収部25は、第8配管23内を流れる水素ガスに含まれている水分を回収可能に構成されている。
【0027】
ガス製造装置10は、第1切換弁31を備えている。第1切換弁31は、第1配管15、第2配管16、第3配管17、及び第8配管23が全て合流する接続箇所に設けられている。第1切換弁31は、四方弁である。第1切換弁31は、第1口31a、第2口31b、第3口31c、及び第4口31dを有している。第1切換弁31の第1口31aには、第1配管15の第2端が接続されている。第1切換弁31の第2口31bには、第2配管16の第1端が接続されている。第1切換弁31の第3口31cには、第3配管17の第1端が接続されている。第1切換弁31の第4口31dには、第8配管23の第1端が接続されている。
【0028】
第1切換弁31は、第1口31aと第2口31bとを連通し、且つ、第3口31cと第4口31dとを連通する第1切換状態に切換可能に構成されている。また、第1切換弁31は、第1口31aと第3口31cとを連通し、且つ、第2口31bと第4口31dとを連通する第2切換状態に切換可能に構成されている。
【0029】
ガス製造装置10は、第2切換弁32を備えている。第2切換弁32は、第4配管18、第5配管19、第6配管20、及び第7配管21が全て合流する接続箇所に設けられている。第2切換弁32は、四方弁である。第2切換弁32は、第1口32a、第2口32b、第3口32c、及び第4口32dを有している。第2切換弁32の第1口32aには、第4配管18の第2端が接続されている。第2切換弁32の第2口32bには、第5配管19の第2端が接続されている。第2切換弁32の第3口32cには、第6配管20の第1端が接続されている。第2切換弁32の第4口32dには、第7配管21の第2端が接続されている。
【0030】
第2切換弁32は、第1口32aと第3口32cとを連通し、且つ、第2口32bと第4口32dとを連通する第1切換状態に切換可能に構成されている。また、第2切換弁32は、第1口32aと第4口32dとを連通し、且つ、第2口32bと第3口32cとを連通する第2切換状態に切換可能に構成されている。
【0031】
ガス製造装置10は、第1オンオフ弁41を備えている。第1オンオフ弁41は、二方弁である。第1オンオフ弁41は、第1配管15における第7配管21との接続箇所よりも供給配管2寄りの部分に設けられている。第1オンオフ弁41は、開状態となることにより、第1配管15内において第1オンオフ弁41を介した水素ガスの流れを許容する。一方で、第1オンオフ弁41は、閉状態となることにより、第1配管15内において第1オンオフ弁41を介した水素ガスの流れを遮断する。
【0032】
ガス製造装置10は、第2オンオフ弁42を備えている。第2オンオフ弁42は、二方弁である。第2オンオフ弁42は、第6配管20に設けられている。第2オンオフ弁42は、開状態となることにより、第6配管20内の水素ガスの流れを許容する。一方で、第2オンオフ弁42は、閉状態となることにより、第6配管20内の水素ガスの流れを遮断する。
【0033】
<ガス製造システムの電気的構成>
ガス製造システム1は、制御装置35を備えている。制御装置35は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御装置35は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御装置35は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0034】
制御装置35は、各第1切換弁31、各第2切換弁32、各第1オンオフ弁41、及び各第2オンオフ弁42に電気的に接続されている。制御装置35は、3つのガス製造装置10の第1切換弁31、第2切換弁32、第1オンオフ弁41、及び第2オンオフ弁42それぞれの駆動を一括して制御する。また、制御装置35は、3つのガス製造装置10の加熱部22及び冷却部24に電気的に接続されている。制御装置35は、3つのガス製造装置10の加熱部22及び冷却部24それぞれの駆動を一括して制御する。
【0035】
制御装置35は、単一ガス供給源A1の駆動を制御する外部制御機器36と電気的に接続されている。制御装置35は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量に関する旨の信号を外部制御機器36から受信する。また、制御装置35は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である旨の信号を外部制御機器36から受信する。
【0036】
<制御装置の制御>
図2に示すように、制御装置35には、第1吸着筒11にて吸着工程を実行するとともに第2吸着筒12にて再生工程を実行する第1プログラムが予め記憶されている。第1プログラムでは、第1切換弁31を第1切換状態にするとともに、第2切換弁32を第1切換状態にする。第1プログラムでは、第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を開状態にする。
【0037】
第1プログラムが実行されている場合、第1配管15及び第2配管16は、単一ガス供給源A1からの水素ガスを第1吸着筒11内に供給する供給ライン43を構成している。第1プログラムの吸着工程では、単一ガス供給源A1から供給ライン43を介して第1吸着筒11内に供給される水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤13により吸着する。このように、ガス製造装置10は、吸着工程によって水分を第1吸着剤13により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0038】
第1プログラムが実行されている場合、第7配管21及び第5配管19は、供給ライン43から分岐して再生工程を実行すべき対象である第2吸着筒12内に供給ライン43を流れる水素ガスの一部を供給する再生供給ライン44を構成している。
【0039】
第1プログラムの再生工程では、供給ライン43を流れる水素ガスの一部を加熱部22によって加熱した後に再生工程を実行すべき対象である第2吸着筒12内に供給する。そして、第1プログラムでは、再生工程を実行すべき対象である第2吸着筒12内の第2吸着剤14が再生される。したがって、第1プログラムの再生工程では、吸着工程後に第2吸着剤14に含まれている水分を離脱させて第2吸着剤14を再生する。
【0040】
第1プログラムが実行されている場合、第3配管17及び第8配管23は、再生工程中の第2吸着筒12から排出された水素ガスを供給ライン43に還流する再生還流ライン45を構成している。そして、第1プログラムでは、再生工程中の第2吸着筒12から排出された水素ガスを冷却部24によって冷却して水素ガスに含まれている水分をドレン回収部25により回収した後、供給ライン43へ還流させる。
【0041】
図3に示すように、制御装置35には、第1吸着筒11にて再生工程を実行するとともに第2吸着筒12にて吸着工程を実行する第2プログラムが予め記憶されている。第2プログラムでは、第1切換弁31を第2切換状態にするとともに、第2切換弁32を第2切換状態にする。第2プログラムでは、第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を開状態にする。
【0042】
第2プログラムが実行されている場合、第1配管15及び第3配管17は、単一ガス供給源A1からの水素ガスを第2吸着筒12内に供給する供給ライン43を構成している。第2プログラムの吸着工程では、単一ガス供給源A1から供給ライン43を介して第2吸着筒12内に供給される水素ガスに含まれている水分を第2吸着剤14により吸着する。このように、ガス製造装置10は、吸着工程によって水分を第2吸着剤14により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0043】
第2プログラムが実行されている場合、第7配管21及び第4配管18は、供給ライン43から分岐して再生工程を実行すべき対象である第1吸着筒11内に供給ライン43を流れる水素ガスの一部を供給する再生供給ライン44を構成している。
【0044】
第2プログラムの再生工程では、供給ライン43を流れる水素ガスの一部を加熱部22によって加熱した後に再生工程を実行すべき対象である第1吸着筒11内に供給する。そして、第2プログラムでは、再生工程を実行すべき対象である第1吸着筒11内の第1吸着剤13が再生される。したがって、第2プログラムの再生工程では、吸着工程後に第1吸着剤13に含まれている水分を離脱させて第1吸着剤13を再生する。
【0045】
第2プログラムが実行されている場合、第2配管16及び第8配管23は、再生工程中の第1吸着筒11から排出された水素ガスを供給ライン43に還流する再生還流ライン45を構成している。そして、第2プログラムでは、再生工程中の第1吸着筒11から排出された水素ガスを冷却部24によって冷却して水素ガスに含まれている水分をドレン回収部25により回収した後、供給ライン43へ還流させる。
【0046】
制御装置35には、第1プログラムに切り換えてから一定時間経過後に第2プログラムに切り換えるプログラムが予め記憶されている。なお、「一定時間」とは、第2吸着筒12内の第2吸着剤14に含まれている水分が十分に離脱したと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。
【0047】
制御装置35には、第2プログラムに切り換えてから一定時間経過後に第1プログラムに切り換えるプログラムが予め記憶されている。なお、「一定時間」とは、第1吸着筒11内の第1吸着剤13に含まれている水分が十分に離脱したと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。
【0048】
このように、ガス製造装置10は、吸着工程と、再生工程と、を第1吸着筒11及び第2吸着筒12にて交互に繰り返し実行することにより、吸着工程によって水分を第1吸着剤13及び第2吸着剤14により吸着することで乾燥ガスを製造する。したがって、ガス製造装置10は、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて吸着工程を実行し得るべく吸着筒を複数備えている。
【0049】
図4に示すように、制御装置35には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量に基づいて、各ガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42の駆動を制御するプログラムが予め記憶されている。なお、
図4は、第1ガス製造装置10Aの第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を開状態とするとともに、第2ガス製造装置10B及び第3ガス製造装置10Cの第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を閉状態とした一例である。この場合、第1ガス製造装置10Aは、第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42が開状態であるため、複数のガス製造装置10において稼働している特定のガス製造装置10である。一方で、第2ガス製造装置10B及び第3ガス製造装置10Cは、第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42が閉状態であるため、停止した状態になっている。
【0050】
図5に示すように、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx以上であったとする。この場合、制御装置35は、3つのガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を全て開状態とし、3つのガス製造装置10を全て稼働させる。
【0051】
例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、所定流量Qxよりも少ない流量である第1所定流量Qx1よりも上回っている場合を考える。この場合、制御装置35は、3つのガス製造装置10のうち、2つのガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を開状態とすることで、2つのガス製造装置10を稼働させる。そして、残りの1つのガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を閉状態とすることで、残り1つのガス製造装置10の稼働を停止する。
【0052】
例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、所定流量Qx1以下である場合を考える。この場合、制御装置35は、3つのガス製造装置10のうち、1つのガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を開状態とすることで、1つのガス製造装置10を稼働させる。そして、残りの2つのガス製造装置10の第1オンオフ弁41及び第2オンオフ弁42を閉状態とすることで、残り2つのガス製造装置10の稼働を停止する。
【0053】
制御装置35には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えていくプログラムが予め記憶されている。詳細には、制御装置35には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を規定時間経過毎に順次切り換えていくプログラムが予め記憶されている。したがって、ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を規定時間経過毎に順次切り換えていく。なお、「規定時間」とは、各ガス製造装置10が稼働し始めてから予め定められた時間だけ経過した時間のことである。
【0054】
このように、ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えていく。
【0055】
制御装置35には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において停止時間が最も長いガス製造装置10を優先的に稼働させるプログラムが予め記憶されている。したがって、ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において停止時間が最も長いガス製造装置10を優先的に稼働させる。なお、制御装置35は、各々のガス製造装置10の停止時間をタイマーにより計測している。
【0056】
[第1実施形態の作用]
次に、第1実施形態の作用を説明する。
図2に示すように、制御装置35は、第1プログラムを実行し、単一ガス供給源A1から供給配管2を介して供給される水素ガスを、第1配管15、第2配管16、及び第1口11aを介して第1吸着筒11内に供給する。そして、第1吸着筒11内に供給される水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤13により吸着する吸着工程を行う。このように、ガス製造装置10は、吸着工程によって水分を第1吸着剤13により吸着することで乾燥ガスを製造する。第1吸着筒11にて吸着工程が実行されることにより製造された乾燥ガスは、第2口11b、第4配管18、第6配管20、及び排出配管3を介して乾燥ガスの供給対象に供給される。
【0057】
第1配管15を流れる水素ガスの一部は、第7配管21に流れる。そして、第7配管21を流れる水素ガスは、加熱部22によって加熱される。さらに、加熱部22によって加熱された水素ガスを、第5配管19及び第2口12bを介して第2吸着筒12内に供給する。そして、第2吸着筒12内の第2吸着剤14に含まれている水分を、加熱部22によって加熱された高温の水素ガスによって離脱させて第2吸着剤14を再生する再生工程を行う。このように、再生工程では、供給ライン43を流れる水素ガスの一部を加熱部22によって加熱した後に第2吸着筒12内に供給する。
【0058】
第2吸着筒12内の水素ガスは、第3配管17を介して第8配管23を流れる。第8配管23を流れる水素ガスは、冷却部24によって冷却される。そして、冷却部24によって冷却された水素ガスに含まれている水分は、ドレン回収部25によって回収される。ドレン回収部25によって水分が回収された水素ガスは、第8配管23を介して第1配管15へ還流する。このように、再生工程中の第2吸着筒12から排出された水素ガスを冷却部24によって冷却した後、供給ライン43へ還流させる。
【0059】
図3に示すように、制御装置35は、第1プログラムを実行してから一定時間経過後に第2プログラムを実行し、単一ガス供給源A1から供給配管2を介して供給される水素ガスを、第1配管15、第3配管17、及び第1口12aを介して第2吸着筒12内に供給する。そして、第2吸着筒12内に供給される水素ガスに含まれている水分を第2吸着剤14により吸着する吸着工程を行う。このように、ガス製造装置10は、吸着工程によって水分を第2吸着剤14により吸着することで乾燥ガスを製造する。第2吸着筒12にて吸着工程が実行されることにより製造された乾燥ガスは、第2口12b、第5配管19、第6配管20、及び排出配管3を介して乾燥ガスの供給対象に供給される。
【0060】
第1配管15を流れる水素ガスの一部は、第7配管21に流れる。そして、第7配管21を流れる水素ガスは、加熱部22によって加熱される。さらに、加熱部22によって加熱された水素ガスを、第4配管18及び第2口11bを介して第1吸着筒11内に供給する。そして、第1吸着筒11内の第1吸着剤13に含まれている水分を、加熱部22により加熱された高温の水素ガスによって離脱させて第1吸着剤13を再生する再生工程を行う。このように、再生工程では、供給ライン43を流れる水素ガスの一部を加熱部22によって加熱した後に第1吸着筒11内に供給する。
【0061】
第1吸着筒11内の水素ガスは、第2配管16を介して第8配管23を流れる。第8配管23を流れる水素ガスは、冷却部24によって冷却される。そして、冷却部24によって冷却された水素ガスに含まれている水分は、ドレン回収部25によって回収される。ドレン回収部25によって水分が回収された水素ガスは、第8配管23を介して第1配管15へ還流する。このように、再生工程中の第1吸着筒11から排出された水素ガスを冷却部24によって冷却した後、供給ライン43へ還流させる。
【0062】
制御装置35は、第2プログラムを実行してから一定時間経過後に第1プログラムを実行する。したがって、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行する。このように、吸着工程と、再生工程と、を吸着筒にて交互に繰り返し実行することにより、吸着工程によって水分を吸着剤により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0063】
図4及び
図5に示すように、制御装置35は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である旨の信号を外部制御機器36から受信すると、3つのガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換える。
【0064】
図5に示すように、制御装置35は、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、所定流量Qx1以下である旨の信号を外部制御機器36から受信したとする。すると、制御装置35は、第1ガス製造装置10Aを稼働させるとともに、第2ガス製造装置10B及び第3ガス製造装置10Cを停止させる。そして、制御装置35は、第1ガス製造装置10Aが稼働し始めてから既定時間経過後に、第1ガス製造装置10Aを停止させるとともに第2ガス製造装置10Bを稼働させる。
【0065】
さらに、制御装置35は、第2ガス製造装置10Bが稼働し始めてから既定時間経過後に、第2ガス製造装置10Bを停止させるとともに第3ガス製造装置10Cを稼働させる。このとき、第3ガス製造装置10Cは、第1ガス製造装置10Aよりも停止時間が長い。したがって、制御装置35は、3つのガス製造装置10において停止時間が最も長い第3ガス製造装置10Cを稼働させる。よって、制御装置35は、第3ガス製造装置10Cを稼働させた後、次に、第1ガス製造装置10Aを稼働する。
【0066】
続けて、制御装置35は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx以上である旨の信号を外部制御機器36から受信すると、3つのガス製造装置10を全て稼働させる。
【0067】
続けて、制御装置35は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、第1所定流量Qx1よりも上回っている旨の信号を外部制御機器36から受信したとする。すると、制御装置35は、3つのガス製造装置10において停止時間が最も長いガス製造装置10を優先的に稼働させるため、第2ガス製造装置10B及び第3ガス製造装置10Cの稼働を継続させたまま、第1ガス製造装置10Aを停止させる。そして、制御装置35は、既定時間経過後に、第1ガス製造装置10Aを稼働させるとともに第2ガス製造装置10Bを停止させる。
【0068】
このようにして、ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つのガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を規定時間経過毎に順次切り換えていく。
【0069】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えていく。このため、第1吸着筒11及び第2吸着筒12で再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避することができる。したがって、第1吸着筒11及び第2吸着筒12において、第1吸着剤13及び第2吸着剤14の水分量が平衡状態となってしまうことを抑制することができる。よって、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が比較的多くなったときに、第1吸着剤13及び第2吸着剤14の水分量が平衡状態になっており、吸着工程が十分に実行することが困難となってしまうといった問題を回避することができる。したがって、例えば、第1吸着剤13及び第2吸着剤14を再生する目的のために、水素ガスとは別のガスを第1吸着筒11及び第2吸着筒12内に供給する必要が無いため、ガス製造システム1の立ち上がりの悪化を回避することができる。以上により、ガス製造効率を向上させることができる。
【0070】
(1-2)ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を規定時間経過毎に順次切り換えていく。このような構成は、例えば、センサなどを別途設けることなく、特定のガス製造装置10を順次切り換えていくことができるため、第1吸着筒11及び第2吸着筒12で再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避する上で好適な構成である。
【0071】
(1-3)ガス製造システム1は、単一ガス供給源A1から供給される単一ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において停止時間が最も長いガス製造装置10を優先的に稼働させる。このような構成は、第1吸着筒11及び第2吸着筒12で再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避する上で好適な構成である。
【0072】
(1-4)本実施形態のガス製造システム1によれば、ガス製造装置10が停止している際に、当該ガス製造装置10のメンテナンスを実施することが可能となる。その結果、ガス製造システム1全体を停止させることなく、各々のガス製造装置10のメンテナンスを実施することができるため、ガス製造効率を向上させつつも、ガス製造装置10のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0073】
(1-5)本実施形態のガス製造システム1によれば、例えば、1つのガス製造装置10でトラブルが生じたとしても、その他のガス製造装置10によって乾燥ガスの製造を行うことができる。したがって、1つのガス製造装置10でトラブルが生じても、ガス製造システム1全体を停止させることなく、乾燥ガスの製造を継続させることができるため、ガス製造効率を向上させることができる。
【0074】
[第2実施形態]
以下、ガス製造装置を具体化した第2実施形態を
図6~
図10にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0075】
<ガス製造装置>
図6に示すように、ガス製造装置50は、第1吸着筒51を3つ備えている。ガス製造装置50は、第2吸着筒52を3つ備えている。各第1吸着筒51は、吸着剤としての第1吸着剤53を内部に収容する吸着筒である。各第2吸着筒52は、吸着剤としての第2吸着剤54を内部に収容する吸着筒である。したがって、ガス製造装置50は、吸着筒を3つ以上備えている。各第1吸着剤53及び各第2吸着剤54は、水分を吸着可能に構成されている。各第1吸着剤53及び各第2吸着剤54としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオライト等が挙げられる。ガス製造装置50は、水素ガスに含まれている水分を各第1吸着剤53又は各第2吸着剤54により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0076】
なお、以下の説明では、各々の第1吸着筒51を、「第1吸着筒51A」、「第1吸着筒51B」、「第1吸着筒51C」と記載する場合もある。また、以下の説明では、各々の第2吸着筒52を、「第2吸着筒52A」、「第2吸着筒52B」、「第2吸着筒52C」と記載する場合もある。
【0077】
ガス製造装置50は、供給配管55と、排出配管56と、再生配管57と、還流配管58と、を備えている。供給配管55は、単一ガス供給源A1に接続されている。排出配管56は、ガス製造装置50によって製造された乾燥ガスの図示しない供給対象に接続されている。再生配管57は、供給配管55から分岐している。還流配管58は、供給配管55に接続されている。
【0078】
ガス製造装置50は、第1配管61と、第2配管62と、第3配管63と、をそれぞれ3つずつ備えている。各第1配管61の第1端は、供給配管55に接続されている。各第1配管61は、供給配管55に並列接続されている。供給配管55内を流れる水素ガスは、各第1配管61内に分岐して流れる。
【0079】
各第2配管62の第1端及び各第3配管63の第1端は、各第1配管61の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、各第2配管62及び各第3配管63は、各第1配管61の第2端から分岐している。各第2配管62の第2端は、各第1吸着筒51の第1口51aに接続されている。各第3配管63の第2端は、各第2吸着筒52の第1口52aに接続されている。
【0080】
ガス製造装置50は、第4配管64と、第5配管65と、第6配管66と、をそれぞれ3つずつ有している。各第4配管64の第1端は、各第1吸着筒51の第2口51bに接続されている。各第5配管65の第1端は、各第2吸着筒52の第2口52bに接続されている。各第6配管66の第1端は、各第4配管64の第2端及び各第5配管65の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、各第4配管64及び各第5配管65は、各第6配管66に合流している。各第6配管66の第2端は、排出配管56に接続されている。各第6配管66内には、各第1吸着剤53又は各第2吸着剤54により水素ガスに含まれている水分が吸着されることにより製造された乾燥ガスが流れる。各第6配管66の第2端は、排出配管56に並列接続されている。各第6配管66内を流れる乾燥ガスは、排出配管56内に合流する。
【0081】
ガス製造装置50は、第7配管67を3つ備えている。各第7配管67の第1端は、再生配管57に接続されている。各第7配管67は、再生配管57に並列接続されている。したがって、各第7配管67は、再生配管57から分岐している。各第7配管67の第2端は、各第4配管64及び各第5配管65における各第6配管66との合流箇所に接続されている。各第7配管67には、加熱部71がそれぞれ設けられている。各加熱部71は、各第7配管67の一部分を周囲から加熱する電気ヒータである。
【0082】
ガス製造装置50は、第8配管68を3つ備えている。第8配管68の第1端は、各第2配管62及び各第3配管63における各第1配管61からの分岐箇所に接続されている。各第8配管68の第2端は、還流配管58に接続されている。各第8配管68は、還流配管58に並列接続されている。各第8配管68内を流れる水素ガスは、還流配管58内に合流する。
【0083】
各第8配管68には、冷却部72が設けられている。冷却部72は、水冷式の冷却器である。各冷却部72は、各第8配管68内を流れる水素ガスを冷却可能に構成されている。各第8配管68には、ドレン回収部73が設けられている。各ドレン回収部73は、各第8配管68における冷却部72よりも還流配管58寄りの部分に設けられている。各ドレン回収部73は、各第8配管68内を流れる水素ガスに含まれている水分を回収可能に構成されている。
【0084】
ガス製造装置50は、第1切換弁81を3つ備えている。各第1切換弁81は、各第1配管61、各第2配管62、各第3配管63、及び各第8配管68が全て合流する接続箇所に設けられている。各第1切換弁81は、四方弁である。各第1切換弁81は、第1口81a、第2口81b、第3口81c、及び第4口81dを有している。各第1切換弁81の第1口81aには、各第1配管61の第2端が接続されている。各第1切換弁81の第2口81bには、各第2配管62の第1端が接続されている。各第1切換弁81の第3口81cには、各第3配管63の第1端が接続されている。各第1切換弁81の第4口81dには、各第8配管68の第1端が接続されている。
【0085】
各第1切換弁81は、第1口81aと第2口81bとを連通し、且つ、第3口81cと第4口81dとを連通する第1切換状態に切換可能に構成されている。また、各第1切換弁81は、第1口81aと第3口81cとを連通し、且つ、第2口81bと第4口81dとを連通する第2切換状態に切換可能に構成されている。
【0086】
ガス製造装置50は、第2切換弁82を3つ備えている。各第2切換弁82は、各第4配管64、各第5配管65、各第6配管66、及び各第7配管67が全て合流する接続箇所に設けられている。各第2切換弁82は、四方弁である。各第2切換弁82は、第1口82a、第2口82b、第3口82c、及び第4口82dを有している。各第2切換弁82の第1口82aには、各第4配管64の第2端が接続されている。各第2切換弁82の第2口82bには、各第5配管65の第2端が接続されている。各第2切換弁82の第3口82cには、各第6配管66の第1端が接続されている。各第2切換弁82の第4口82dには、第7配管67の第2端が接続されている。
【0087】
各第2切換弁82は、第1口82aと第3口82cとを連通し、且つ、第2口82bと第4口82dとを連通する第1切換状態に切換可能に構成されている。また、各第2切換弁82は、第1口82aと第4口82dとを連通し、且つ、第2口82bと第3口82cとを連通する第2切換状態に切換可能に構成されている。
【0088】
ガス製造装置50は、第1オンオフ弁83を3つ備えている。各第1オンオフ弁83は、二方弁である。各第1オンオフ弁83は、各第1配管61に設けられている。各第1オンオフ弁83は、開状態となることにより、各第1配管61内の水素ガスの流れを許容する。一方で、各第1オンオフ弁83は、閉状態となることにより、各第1配管61内の水素ガスの流れを遮断する。
【0089】
ガス製造装置50は、第2オンオフ弁84を3つ備えている。各第2オンオフ弁84は、二方弁である。各第2オンオフ弁84は、各第6配管66に設けられている。各第2オンオフ弁84は、開状態となることにより、各第6配管66内の水素ガスの流れを許容する。一方で、各第2オンオフ弁84は、閉状態となることにより、各第6配管66内の水素ガスの流れを遮断する。
【0090】
ガス製造装置50は、第3オンオフ弁85を3つ備えている。各第3オンオフ弁85は、二方弁である。各第3オンオフ弁85は、各第7配管67における各加熱部71よりも再生配管57寄りの部分に設けられている。各第3オンオフ弁85は、開状態となることにより、各第7配管67内の水素ガスの流れを許容する。一方で、各第3オンオフ弁85は、閉状態となることにより、各第7配管67内の水素ガスの流れを遮断する。
【0091】
ガス製造装置50は、第4オンオフ弁86を3つ備えている。各第4オンオフ弁86は、二方弁である。各第4オンオフ弁86は、各第8配管68における各ドレン回収部73よりも還流配管58寄りの部分に設けられている。各第4オンオフ弁86は、開状態となることにより、各第8配管68内の水素ガスの流れを許容する。一方で、各第4オンオフ弁86は、閉状態となることにより、各第8配管68内の水素ガスの流れを遮断する。
【0092】
<ガス製造装置の電気的構成>
ガス製造装置50は、制御装置74を備えている。制御装置74は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御装置74は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御装置74は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0093】
制御装置74は、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、及び各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86に電気的に接続されている。制御装置74は、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86それぞれの駆動を制御する。また、制御装置74は、各加熱部71及び各冷却部72に電気的に接続されている。制御装置74は、各加熱部71及び各冷却部72それぞれの駆動を制御する。
【0094】
制御装置74は、単一ガス供給源A1の駆動を制御する外部制御機器75と電気的に接続されている。制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量に関する旨の信号を外部制御機器75から受信する。また、制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である旨の信号を外部制御機器75から受信する。
【0095】
<制御装置の制御>
図7及び
図8は、制御装置74の制御の一例を示している。
図7に示すように、制御装置74には、各第1吸着筒51にて吸着工程を実行するとともに各第2吸着筒52にて再生工程を実行する第1プログラムが予め記憶されている。第1プログラムでは、各第1切換弁81を第1切換状態にするとともに、各第2切換弁82を第1切換状態にする。第1プログラムでは、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86を開状態にする。
【0096】
第1プログラムが実行されている場合、供給配管55、各第1配管61、及び各第2配管62は、単一ガス供給源A1からの水素ガスを各第1吸着筒51内に供給する供給ライン87を構成している。第1プログラムの吸着工程では、単一ガス供給源A1から供給ライン87を介して各第1吸着筒51内に供給される水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤53により吸着する。このように、ガス製造装置50は、吸着工程によって水分を各第1吸着剤53により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0097】
第1プログラムが実行されている場合、再生配管57、各第7配管67、及び各第5配管65は、供給ライン87から分岐して再生工程を実行すべき対象である各第2吸着筒52内に供給ライン87を流れる水素ガスの一部を供給する再生供給ライン88を構成している。
【0098】
第1プログラムの再生工程では、供給ライン87を流れる水素ガスの一部を加熱部71によって加熱した後に再生工程を実行すべき対象である各第2吸着筒52内に供給する。そして、第1プログラムでは、再生工程を実行すべき対象である各第2吸着筒52内の第2吸着剤54が再生される。したがって、第1プログラムの再生工程では、吸着工程後に各第2吸着剤54に含まれている水分を離脱させて各第2吸着剤54を再生する。
【0099】
第1プログラムが実行されている場合、各第3配管63、各第8配管68、及び還流配管58は、再生工程中の各第2吸着筒52から排出された水素ガスを供給ライン87に還流する再生還流ライン89を構成している。そして、第1プログラムでは、再生工程中の各第2吸着筒52から排出された水素ガスを各冷却部72によって冷却して水素ガスに含まれている水分を各ドレン回収部73により回収した後、供給ライン87へ還流させる。
【0100】
図8に示すように、制御装置74には、各第1吸着筒51にて再生工程を実行するとともに各第2吸着筒52にて吸着工程を実行する第2プログラムが予め記憶されている。第2プログラムでは、各第1切換弁81を第2切換状態にするとともに、各第2切換弁82を第2切換状態にする。第2プログラムでは、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86を開状態にする。
【0101】
第2プログラムが実行されている場合、供給配管55、各第1配管61、及び各第3配管63は、単一ガス供給源A1からの水素ガスを各第2吸着筒52内に供給する供給ライン87を構成している。
【0102】
第2プログラムの吸着工程では、単一ガス供給源A1から供給ライン87を介して各第2吸着筒52内に供給される水素ガスに含まれている水分を各第2吸着剤54により吸着する。このように、ガス製造装置50は、吸着工程によって水分を各第2吸着剤54により吸着することで乾燥ガスを製造する。
【0103】
第2プログラムが実行されている場合、再生配管57、各第7配管67、及び各第4配管64は、供給ライン87から分岐して再生工程を実行すべき対象である各第1吸着筒51内に供給ライン87を流れる水素ガスの一部を供給する再生供給ライン88を構成している。
【0104】
第2プログラムの再生工程では、供給ライン87を流れる水素ガスの一部を各加熱部71によって加熱した後に再生工程を実行すべき対象である各第1吸着筒51内に供給する。そして、第2プログラムでは、再生工程を実行すべき対象である各第1吸着筒51内の第1吸着剤53が再生される。したがって、第2プログラムの再生工程では、吸着工程後に各第1吸着剤53に含まれている水分を離脱させて各第1吸着剤53を再生する。
【0105】
第2プログラムが実行されている場合、各第2配管62、各第8配管68、及び還流配管58は、再生工程中の各第1吸着筒51から排出された水素ガスを供給ライン87に還流する再生還流ライン89を構成している。そして、第2プログラムでは、再生工程中の各第1吸着筒51から排出された水素ガスを各冷却部72によって冷却して水素ガスに含まれている水分を各ドレン回収部73により回収した後、供給ライン87へ還流させる。
【0106】
制御装置74には、第1プログラムに切り換えてから一定時間経過後に第2プログラムに切り換えるプログラムが予め記憶されている。なお、「一定時間」とは、各第2吸着筒52内の第2吸着剤54に含まれている水分が十分に離脱したと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。
【0107】
制御装置74には、第2プログラムに切り換えてから一定時間経過後に第1プログラムに切り換えるプログラムが予め記憶されている。なお、「一定時間」とは、各第1吸着筒51内の第1吸着剤53に含まれている水分が十分に離脱したと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。
【0108】
このように、ガス製造装置50は、吸着工程と、再生工程と、を各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52にて交互に繰り返し実行することにより、吸着工程によって水分を各第1吸着剤53及び各第2吸着剤54により吸着することで乾燥ガスを製造する。したがって、ガス製造装置50は、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて吸着工程を実行し得るべく吸着筒を複数備えている。
【0109】
図9に示すように、制御装置74には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量に基づいて、各第1切換弁81及び各第2切換弁82それぞれの駆動を制御するプログラムが予め記憶されている。また、制御装置74には、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量に基づいて、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86それぞれの駆動を制御するプログラムが予め記憶されている。
【0110】
なお、
図9は、第1吸着筒51A及び第2吸着筒52Aに対応する第1オンオフ弁83、第2オンオフ弁84、第3オンオフ弁85、及び第4オンオフ弁86を開状態としている。さらに、その他の第1吸着筒51及び第2吸着筒52に対応する各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86を閉状態としている。そして、
図9では、第1吸着筒51A及び第2吸着筒52Aに対応する第1切換弁81及び第2切換弁82が第2切換状態になっている。したがって、
図9では、第1吸着筒51Aにて再生工程が実行されるとともに第2吸着筒52Aにて吸着工程が実行されており、その他の第1吸着筒51及び第2吸着筒52では、吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない。
【0111】
図10に示す表は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cそれぞれが吸着工程中であるか否か、又は、再生工程中であるか否か、もしくは、吸着工程及び再生工程のいずれも実行していないか否かを示している。
【0112】
図10に示すように、制御装置74には、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cそれぞれにて吸着工程を実行させてから再生工程を実行させるプログラムが予め記憶されている。制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていく。したがって、ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つ以上の吸着筒において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていく。
【0113】
制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を規定時間経過毎に順次切り換えていく。したがって、ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量未満である場合、3つ以上の吸着筒において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を規定時間経過毎に順次切り換えていく。なお、「規定時間」とは、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程が始まってから予め定められた時間だけ経過した時間のことである。
【0114】
制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に吸着工程を実行させるとともに再生工程を実行させる。したがって、ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、3つ以上の吸着筒において吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に吸着工程を実行させるとともに再生工程を実行させる。なお、制御装置74は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない時間をタイマーにより計測している。
【0115】
[第2実施形態の作用]
次に、第2実施形態の作用を説明する。
制御装置74は、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、所定流量Qxよりも少ない流量である第1所定流量Qx1以下である旨の信号を外部制御機器75から受信したとする。すると、制御装置74は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cのうち1つが吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒となるように、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86それぞれの駆動を制御する。そして、制御装置74は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cにおいて吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていく。
【0116】
また、制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx以上である旨の信号を外部制御機器75から受信したとする。すると、制御装置74は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cのうち3つの吸着筒にて吸着工程が実行されるように、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86それぞれの駆動を制御する。そして、吸着工程が実行された吸着筒は、一定時間経過後に再生工程に切り換わるとともに他の吸着筒が吸着工程に切り換わる。
【0117】
制御装置74は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満であり、且つ、第1所定流量Qx1よりも上回っている旨の信号を外部制御機器75から受信したとする。すると、制御装置74は、第1吸着筒51A,51B,51C及び第2吸着筒52A,52B,52Cのうち2つの吸着筒にて吸着工程が実行されるように、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86それぞれの駆動を制御する。そして、吸着工程が実行された吸着筒は、一定時間経過後に再生工程に切り換わるとともに他の2つの吸着筒が吸着工程に切り換わる。
【0118】
このようにして、ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、吸着筒において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていく。
【0119】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では以下の効果を得ることができる。
(2-1)ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていく。このため、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避することができる。したがって、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において、第1吸着剤53及び第2吸着剤54の水分量が平衡状態となってしまうことを抑制することができる。よって、例えば、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が比較的多くなったときに、各第1吸着剤53及び各第2吸着剤54の水分量が平衡状態になっており、吸着工程が十分に実行することが困難となってしまうといった問題を回避することができる。したがって、例えば、各第1吸着剤53及び各第2吸着剤54を再生する目的のために、水素ガスとは別のガスを各第1吸着筒51内及び各第2吸着筒52内に供給する必要が無いため、ガス製造装置50の立ち上がりの悪化を回避することができる。以上により、ガス製造効率を向上させることができる。
【0120】
(2-2)ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を規定時間経過毎に順次切り換えていく。このような構成は、例えば、センサなどを別途設けることなく、吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていくことができるため、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52で再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避する上で好適な構成である。
【0121】
(2-3)ガス製造装置50は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に吸着工程を実行させるとともに再生工程を実行させる。このような構成は、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52で再生工程が実行されない状態が長時間続くことを回避する上で好適な構成である。
【0122】
(2-4)本実施形態のガス製造装置50によれば、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程及び再生工程のいずれも実行していない吸着筒のメンテナンスを実施することが可能となる。その結果、ガス製造装置50全体を停止させることなく、各々の吸着筒のメンテナンスを実施することができるため、ガス製造効率を向上させつつも、ガス製造装置50のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0123】
(2-5)本実施形態のガス製造装置50によれば、例えば、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52のうちの1つでトラブルが生じたとしても、その他の各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52によって乾燥ガスの製造を行うことができる。したがって、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52のうちの1つでトラブルが生じても、ガス製造装置50全体を停止させることなく、乾燥ガスの製造を継続させることができるため、ガス製造効率を向上させることができる。
【0124】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0125】
・第1実施形態において、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、例えば、再生工程中の吸着筒の出口に設けられた露点計により計測される露点に基づいて、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えてもよい。例えば、再生工程中の吸着剤から水分が完全に離脱したと推定される露点になったことを契機に複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えてもよい。
【0126】
・第1実施形態において、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において停止時間が最も長いガス製造装置10を優先的に稼働させなくてもよい。
【0127】
・第2実施形態において、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、例えば、再生工程中の吸着筒の出口に設けられた露点計により計測される露点に基づいて、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒に順次切り換えてもよい。例えば、再生工程中の吸着剤から水分が完全に離脱したと推定される露点になったことを契機に各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒に順次切り換えてもよい。
【0128】
・第2実施形態において、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程及び再生工程のいずれも実行されていない時間が最も長い吸着筒を優先的に吸着工程を実行させるとともに再生工程を実行させるといったことを行わなくてもよい。
【0129】
・第1実施形態において、ガス製造システム1は、供給配管2を流れる水素ガスの流量を検出する流量センサを備えていてもよい。供給配管2を流れる水素ガスの流量は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量である。そして、制御装置35は、流量センサにより検出される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、複数のガス製造装置10において稼働させる特定のガス製造装置10を順次切り換えていくようにしてもよい。
【0130】
・第2実施形態において、供給配管55における再生配管57との接続箇所よりも単一ガス供給源A1寄りの部分を流れる水素ガスの流量を検出する流量センサを備えていてもよい。供給配管55における再生配管57との接続箇所よりも単一ガス供給源A1寄りの部分を流れる水素ガスの流量は、単一ガス供給源A1から供給される水素ガスの流量である。そして、制御装置74は、流量センサにより検出される水素ガスの流量が所定流量Qx未満である場合、各第1吸着筒51及び各第2吸着筒52において吸着工程を実行させてから再生工程を実行させる特定の吸着筒を順次切り換えていくようにしてもよい。
【0131】
・上記各実施形態において、各加熱部22,71は、電気ヒータでなくてもよく、例えば、蒸気ヒータであってもよい。
・上記各実施形態において、各冷却部24,72は、水冷式の冷却器でなくてもよく、例えば、空冷式の冷却器であってもよい。
【0132】
・第1実施形態において、ガス製造装置10の数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
・第2実施形態において、第1吸着筒51の数及び第2吸着筒52の数は、第1吸着筒51及び第2吸着筒52を合わせて3つ以上であれば特に限定されるものではない。
【0133】
・第1実施形態において、第1切換弁31、第2切換弁32、第1オンオフ弁41、及び第2オンオフ弁42は、電気的制御ではなく、手動式であってもよい。
・第2実施形態において、各第1切換弁81、各第2切換弁82、各第1オンオフ弁83、各第2オンオフ弁84、各第3オンオフ弁85、及び各第4オンオフ弁86は、電気的制御ではなく、手動式であってもよい。
【0134】
・第1実施形態において、ガス製造システム1は、例えば、単一ガスである酸素ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとしてもよい。要は、単一ガスは、水素ガスに限定されるものではない。
【0135】
・第2実施形態において、ガス製造装置50は、例えば、単一ガスである酸素ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとしてもよい。要は、単一ガスは、水素ガスに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0136】
1…ガス製造システム、10,50…ガス製造装置、11,51…吸着筒である第1吸着筒、12,52…吸着筒である第2吸着筒、13,53…吸着剤としての第1吸着剤、14,54…吸着剤としての第2吸着剤、22,71…加熱部、24,72…冷却部、43,87…供給ライン、A1…単一ガス供給源。