(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001974
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241226BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101807
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シホンビン
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC12
5E353CC21
5E353EE02
5E353EE62
5E353JJ44
5E353LL03
5E353QQ01
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】高品質と高速生産のどちらのニーズにも対応出来る実装システムを提供する。
【解決手段】
実装システムは、生産管理装置と、少なくとも1台の表面実装機を有する実装ラインとを備える。前記生産管理装置は、基板の生産に関係する物品の画像を入力とし、機械学習による学習モデルを用いて、前記物品の良否を判定する。前記表面実装機は、基板に部品を搭載するヘッドユニットと、制御装置とを備える。前記制御装置は、第1実装モード又は第2実装モードの切り替えが可能であり、前記第1実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待つことなく部品搭載を継続するモードである。前記第2実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待って部品搭載を行うモードである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装システムであって、
生産管理装置と、
少なくとも1台の表面実装機を有する実装ラインと、を備え、
前記生産管理装置は、基板の生産に関係する物品の画像を入力とし、機械学習による学習モデルを用いて、前記物品の良否を判定し、
前記表面実装機は、
基板に部品を搭載するヘッドユニットと、
制御装置と、を、備え、
前記制御装置は、第1実装モード又は第2実装モードの切り替えが可能であり、
前記第1実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待つことなく部品搭載を継続するモードであり、
前記第2実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待って部品搭載を行うモードである、実装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の実装システムであって、
前記表面実装機は、前記第1実装モード選択中において、機械学習による良否判定結果として基板に搭載した部品がNG品であることを、その部品を基板に搭載した後に、前記生産管理装置から受信した場合、
NG品を搭載した基板の、作業状況に応じて異なるエラー対応を行う、実装システム。
【請求項3】
請求項2に記載の実装システムであって、
前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が、実装工程を終えリフロー装置への搬送途中であれば、基板搬送を停止し、オペレータコールを行う、実装システム。
【請求項4】
請求項2に記載の実装システムであって、
前記実装システムは、一枚の基板に対する部品の実装動作を直列に接続された複数の表面実装機により分担して実行する構成であり、
前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が実装工程内にあれば、搬送コンベアと連携して当該基板をNG品の実装作業を行った表面実装機まで戻し、
その後、NG品と判定された部品をヘッドユニットにより回収し、別の部品を基板に再搭載する、実装システム。
【請求項5】
請求項2に記載の実装システムであって、
前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が、リフロー工程を終了し、実装ラインから排出前の状態であれば、基板搬送を停止し、オペレータコールを行う、実装システム。
【請求項6】
請求項2に記載の実装システムであって、
一基板に対する作業を分担して行う複数の実装ラインを有し、
上流の実装ラインの表面実装機は、NG品を搭載した基板が、下流の実装ラインに排出された後であれば、下流の実装ラインにスキップコマンドを送信し、NG品を搭載した基板について、下流の実装ラインにおける作業をスキップする、実装システム。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の実装システムであって、
前記表面実装機は第1RAMを有し、
前記生産管理装置は第2RAMを有し、
前記表面実装機は、良否判定対象の画像を前記第1RAMに記憶し、
前記生産管理装置は、良否判定対象の画像を、RDMA技術を利用して前記第1RAMから前記第2RAMに対して直接読み出す、実装システム。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の実装システムであって、
基板の生産に関係する前記物品は、
基板に搭載する部品、
基板に搭載する部品を吸着する実装ヘッド、
基板に付されたマーク、
基台に付されたマークのうち、少なくともいずれかを含む、実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を搭載する実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機は、プリント基板に搭載する部品を撮影し部品の良否を判定している。特許文献1は、部品の良否判定を、機械学習により行う点を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械学習は、他の判定方法に比べて、判定精度は高いが、判定時間が長い。そのため部品の良否判定に機械学習を用いた場合、品質向上が期待できるものの、基板の生産効率が低下する場合があった。
このような事情から、高品質生産と高速生産のどちらのニーズにも対応できるようにすることが、課題となっていた。尚、こうした課題は、部品の良否判断を行う場合に限らず、基板にマークや基台のマーク等の良否判定を行う場合も、同様である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)実装システムは、生産管理装置と、少なくとも1台の表面実装機を有する実装ラインを備える。前記生産管理装置は、基板の生産に関係する物品の画像を入力とし、機械学習による学習モデルを用いて、前記物品の良否を判定する。
前記表面実装機は、基板に部品を搭載するヘッドユニットと、制御装置と、を、備え、前記制御装置は、第1実装モード又は第2実装モードの切り替えが可能である。前記第1実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待つことなく実装を継続するモードである。前記第2実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、前記物品の画像を前記生産管理装置に送信後、前記生産管理装置から機械学習による良否判定結果の返信を待って部品実装を行うモードである。
【0006】
(2)(1)に記載の実装システムであって、前記表面実装機は、前記第1実装モード選択中において、機械学習による良否判定結果として基板に搭載した部品がNG品であることを、その部品を基板に搭載した後に、前記生産管理装置から受信した場合、NG品を搭載した基板の、作業状況に応じて異なるエラー対応を行ってもよい。この構成では、NG品を搭載した基板の作業状況に応じた、適切な対応が可能となる。
【0007】
(3)(2)に記載の実装システムであって、前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が、実装工程を終えリフロー装置への搬送途中であれば、基板搬送を停止し、オペレータコールを行ってもよい。
【0008】
(4)(2)に記載の実装システムであって、前記実装システムは、一枚の基板に対する部品の実装動作を直列に接続された複数の表面実装機により分担して実行する構成であり、前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が実装工程内にあれば、搬送コンベアと連携して当該基板をNG品の実装作業を行った表面実装機まで戻し、その後、NG品と判定された部品をヘッドユニットにより回収し、別の部品を基板に再搭載してもよい。
【0009】
(5)(2)に記載の実装システムであって、前記表面実装機は、NG品を搭載した基板が、リフロー工程を終了し、実装ラインから排出前の状態であれば、基板搬送を停止し、オペレータコールを行ってもよい。
【0010】
(6)(2)に記載の実装システムであって、一基板に対する作業を分担して行う複数の実装ラインを有し、上流の実装ラインの表面実装機は、NG品を搭載した基板が、下流の実装ラインに排出された後であれば、下流の実装ラインにスキップコマンドを送信し、NG品を搭載した基板について、下流の実装ラインにおける作業をスキップしてもよい。
【0011】
(7)(1)又は(2)に記載の実装システムであって、前記表面実装機は第1RAMを有し、前記生産管理装置は第2RAMを有してもよい。前記表面実装機は、良否判定対象の画像を前記第1RAMに記憶し、前記生産管理装置は、良否判定対象の画像を、RDMA技術を利用して前記第1RAMから前記第2RAMに対して直接読み出してもよい。この構成では、画像転送速度のボトルネックを解除し、画像データの転送を短時間で行うことが出来る。
【0012】
(8)(1)又は(2)に記載の実装システムであって、前記物品は、基板に搭載する部品、基板に搭載する部品を吸着する実装ヘッド、基板に付されたマーク、基台に付されたマークのうち、少なくともいずれかを含む構成でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高品質実装と高速実装のどちらのニーズにも、対応出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図6】実装システムにおけるデータのやり取りを示す図
【
図8】第1実装モード選択中に実行されるエラー処理の説明図
【
図9】第1実装モード選択中に実行されるエラー処理の説明図
【
図10】第1実装モード選択中に実行されるエラー処理の説明図
【
図11】第1実装モード選択中に実行されるエラー処理の説明図
【
図13】各部品状態について部品の良否判定結果をまとめた図表
【
図14】学習モデルの生成過程を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
1.実装システムS
図1は、実装システムSの全体図である。実装システムSは、実装ラインLvと、生産管理装置40と、を含む。実装ラインLvは、上流側(
図1の右側)から順に、印刷機11、表面実装機12、検査機13、リフロー装置15を備えており、これらが複数のマシン11、12、13、15が搬送コンベアを介して直列に接続されている。
【0016】
印刷機11は表面実装機12の上流側に位置し、表面実装機12に投入する基板Pに対して、はんだペーストを印刷する。
【0017】
表面実装機12は、印刷機11の下流側に位置している。表面実装機12は、電子部品Eを基板Pの表面に実装する装置である。表面実装機12の台数は、1台の場合や複数台の場合があり、この実施形態は、3台の表面実装機12を直列に配置したライン構成になっている。表面実装機12の構成については後述する。電子部品Eは基板に搭載する部品の一例である。
【0018】
検査機13は、表面実装機12の下流側に位置する。検査機13は、電子部品Eが実装された基板Pを、リフロー装置15に投入する前に検査する装置である。
【0019】
リフロー装置15は、検査機13の下流に位置する。リフロー装置15は、検査済みの基板Pを加熱し、基板Pの表面に塗布されたはんだペーストを溶融することにより、基板Pと電子部品Eを、はんだ接合する装置である。
【0020】
2.表面実装機
表面実装機12は、
図2に示すように、基台21、搬送コンベア22、駆動装置23、ヘッドユニット26、テープフィーダF1及びトレイフィーダF2備えている。尚、以下の説明において、テープフィーダF1及びトレイフィーダF2を総称して、フィーダFとする。
【0021】
以下の説明において、基台21の長手方向(
図2の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、基台21の奥行方向(
図2の上下方向)をY方向、
図3の上下方向(実装ヘッド26Aの昇降方向)をZ方向とする。
【0022】
搬送コンベア22は、基台21の中央に配置されている。搬送コンベア22はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト22Aを備えており、搬送ベルト22A上の基板Pを、X方向に搬送する。
【0023】
本実施形態では、
図2に示す右側が入り口となっており、基板Pは、
図2に示す右側より搬送コンベア22を通じて機内へと搬入される。搬入された基板Pは、搬送コンベア22により基台中央の作業位置まで運ばれる。
【0024】
基台21上には、基板Pの作業位置の周囲4箇所に、テープフィーダF1、トレイフィーダF2が設置されている。
【0025】
テープフィーダF1は、部品供給テープ(図略)を供給位置に送り出すことにより、テープ部品E1を供給する装置である。テープ部品E1は、例えば、チップコンデンサ等の小型電子部品である。
【0026】
トレイフィーダF2は、トレイ部品E2を収容したトレイを、保管庫から引き出すことによりトレイ部品E2を供給する装置である。トレイ部品E2は、例えば、IC等の中大型電子部品である。尚、以下の説明において、テープフィーダF1及びトレイフィーダF2を総称して、フィーダFとする。また、テープ部品E1及びトレイ部品E2を総称して、電子部品Eとする。
【0027】
駆動装置23は、
図2、
図3に示すように、一対のYビーム24、Xビーム25、Y軸ボールねじ24A、Y軸モータ24B、X軸ボールねじ25A、X軸モータ25Bから構成される。
【0028】
具体的に説明すると、
図2に示すように、一対のYビーム24は、基台21のX方向両側に位置している。一対のYビーム24は、Y方向に平行に延びており、Xビーム25をY方向にスライド可能に支持している。
【0029】
Yビーム24の上面には、Y方向に延びるY軸ボールねじ24Aと、その軸端部にY軸モータ24Bが配置されている。Y軸ボールねじ24Aは、Y軸方向の駆動軸であり、Xビーム25の下面に固定されたボールナット(図略)が螺合している。
【0030】
Y軸モータ24Bの駆動により、Y軸ボールねじ24Aを軸中心に回転させることで、Xビーム25及びヘッドユニット26をY方向に移動させることが出来る(Y軸サーボ機構)。
【0031】
Xビーム25は、X方向に長い形状であり、ヘッドユニット26をX方向に沿ってスライド可能に支持している。Xビーム25の側面には、X方向に延びるX軸ボールねじ25Aと、その軸端部にX軸モータ25Bが配置されている。X軸ボールねじ25Aは、X軸方向の駆動軸であり、ヘッドユニット26に固定されたボールナット(図略)が螺合している。
【0032】
X軸モータ25Bの駆動により、X軸ボールねじ25Aを軸中心に回転させることで、Xビーム25に対して、ヘッドユニット26をX方向に移動させることが出来る(X軸サーボ機構)。
【0033】
以上のことから、X軸モータ25B、Y軸モータ24Bを複合的に制御することで、基台21上の任意の位置に、ヘッドユニット26を移動させることが出来る。
【0034】
ヘッドユニット26は、複数本の実装ヘッド26Aを有している。実装ヘッド26Aはヘッドユニット26に対してX方向に一列状に配置されている。各実装ヘッド26Aは、Z軸モータ26Bの駆動により、上下方向に移動することが出来る(Z軸サーボ機構)。
【0035】
実装ヘッド26AはZ方向に長いシャフトであり、先端(下端)に、吸着ノズルを有している。吸着ノズルの内圧を、負圧と正圧に切り換えることで、テープ部品E1、トレイ部品E2を保持又は解放出来る。
【0036】
このような構成とすることで、X軸モータ25B、Y軸モータ24B、Z軸モータ26Bを所定のタイミングで作動させることにより、テープフィーダF1により供給されるテープ部品E1や、トレイフィーダF2により供給されるトレイ部品E2を、実装ヘッド26Aにより取り出して、基板P上に搭載することが出来る。
【0037】
尚、
図2に示す符号27は部品認識カメラ、
図3に示す符号28は基板認識カメラである。部品認識カメラ27は基台21上において撮影面を上に向けて固定されており、実装ヘッド26Aにより取り出されたテープ部品E1やトレイ部品E2の画像(下面画像)を撮影する。
【0038】
基板認識カメラ28は、ヘッドユニット26に対して撮影面を下に向けて取り付けられており、基台21上をヘッドユニット26と共に移動することが出来る。基板認識カメラ28は、基板Pに設けられた各マークや基台21上の補正マーク等を撮影する。
【0039】
次に、
図4を参照して、表面実装機12の電気的構成について説明する。表面実装機12は、演算処理部30、通信部31、データ記憶部32、プログラム記憶部33、モータ制御部34、認識部35、表示部37、操作部38等を備えている。
【0040】
演算処理部30は、CPU、RAM等を備えている。演算処理部30は、制御プログラムに従って、モータ制御部34を制御することで、電子部品Eを基板Pに実装する。演算処理部30は、本発明の「制御装置」に相当する。
【0041】
通信部31は、生産管理装置40との間で情報の通信を行うためのインターフェースである。通信部31は、通信ケーブルを介して生産管理装置40と通信可能に接続されている。
【0042】
認識部35は、部品認識カメラ27及び基板認識カメラ28と接続されている。認識部35は、カメラ27、28から出力される画像を用いて対象物を画像認識し、対象物の良否判定を実行する。良否判定は、後に詳しく説明する。
【0043】
データ記憶部32には、カメラ27、28から出力された画像が一時的に記憶される。撮影された画像は、認識部35による画像認識に使用されるほか、通信ケーブルを介して生産管理装置40に送信され、全画像保存される。プログラム記憶部33には、第1実装モード、第2実装モードの実行プログラム、及び2つの実装モードを切り換えるプログラムが記憶されている。また、画像認識用の認識アルゴリズムが記憶されている。
【0044】
表示部37は、例えばディスプレイである。操作部38は、ユーザが入力操作をするためのユーザインターフェースである。
【0045】
3.生産管理装置40の構成
生産管理装置40は、実装ラインLvを管理する装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。
図4に示すように、生産管理装置40は、通信部41と、制御部42と、記憶部43と、表示部44と、操作部45と、を備える。
【0046】
通信部41は、表面実装機12の通信部31とは、通信ケーブルを介して相互に通信可能に接続されている。表面実装機12と生産管理装置40との間では、コマンド(指示)の送受信や、データの送受信を行うことが出来る。
【0047】
制御部42は、CPU、RAM等を備えている。記憶部43には、表面実装機12で生産する基板Pの情報や、基板Pに搭載する電子部品Eの情報が記憶されている。記憶部43には、表面実装機12から受信したすべての画像が保存される。
【0048】
表示部44は、例えばディスプレイである。操作部45は、ユーザが入力操作をするためのユーザインターフェースである。
【0049】
4.電子部品Eの良否判定
表面実装機12は、フィーダFにより供給される電子部品Eを実装ヘッド26Aにより吸着した後、部品認識カメラ27で撮影し、基板Pに搭載する電子部品Eの良否を、撮影した画像に基づいて判定している。
【0050】
電子部品Eの良否判定方法には、2つの判定方法がある。第1判定は、認識アルゴリズムを用いた判定方法であり、第2判定は、機械学習による学習モデルMを用いた判定方法である。
【0051】
認識アルゴリズムは、あらかじめ用意された、ルールベースの判定を行う。例えば、画像から抽出した特徴量(例えば、対象物の形状、位置、角度など)を、しきい値と比較することにより、電子部品Eの良否を判定する。
【0052】
学習モデルMは、例えば、
図5に示すように、電子部品Eの画像と良否結果を教師データとした教師有りの学習モデルであり、電子部品Eの画像を入力として、電子部品Eの良否を判定する。具体的には、電子部品Eが良品である確率と、不良品である確率を出力する。
【0053】
尚、こうした学習モデルMは、ニューラルネットワークを利用した深層学習による学習モデルを例示することが出来る。
【0054】
学習モデルMの生成及び判定は、演算負荷が大きく、表面実装機12の演算能力がスペック不足になる場合がある。そのため、この実施形態では、
図6に示すように、表面実装機12から教師データを送り、生産管理装置40で学習モデルMを生成する。
【0055】
そして、基板Pの生産中に、電子部品Eの良否判定(二次判定)をする場合についても、表面実装機12から生産管理装置40に画像のデータを送り、生産管理装置40にて、学習モデルMに基づいて、電子部品Eの良否判定を行っている。
【0056】
5.実装モード
学習モデルMは、認識アルゴリズムに比べて、判定精度は高いが、判定時間が長い。そのため電子部品Eの良否判定に学習モデルMを用いた場合、基板Pの品質向上は期待出来るものの、基板Pの生産効率が低下する場合がある。
【0057】
この実施形態では、吸着した電子部品Eを部品認識カメラ27で撮影した後、認識アルゴリズムを用いた第1判定と並行して、電子部品Eの画像を生産管理装置40に送信し、学習モデルMを用いて第2判定を行う。
【0058】
そして、判定対象の電子部品Eを基板Pに搭載するにあたり、生産管理装置40からの第2判定の結果を待つか否かにより、2つの実装モードを設定している。ユーザは、操作部39等の操作により、生産開始前に、2つの実装モードを選択することが出来る。
【0059】
第1実装モードは、良否判定のため、電子部品Eの画像を生産管理装置40に送信後、生産管理装置40から深層学習による良否判定結果の返信を待つことなく部品実装を継続するモードである。尚、部品実装は、部品EをフィーダFから取り出して基板Pに搭載することを意図する。
【0060】
第1実装モードは、第2判定の結果を待たず、第1判定の結果だけで、電子部品Eの良否を判断して、部品実装を行う。そのため、第2実装モードに比べて、判定時間が短く、基板Pの生産を高速で行うことが出来る。
【0061】
第2実装モードは、良否判定のため、電子部品Eの画像を生産管理装置40に送信後、生産管理装置40から深層学習による良否判定結果の返信を待って部品実装を行うモードである。
【0062】
第2実装モードは、第1判定と第2判定の併用が可能なため、電子部品Eの良否判定精度が高い。そのため、基板搭載前にNG品を高精度に検出することが出来るため、不良基板の発生頻度が低く、基板Pの生産品質が高い。
【0063】
尚、第1判定と第2判定を併用する場合、両判定ともOK(良)の場合、電子部品Eを良品と判定し、それ以外の場合は、不良と判定することが考えられる。
【0064】
また、この実施形態では、良否判定のため、表面実装機12から生産管理装置40に画像を送る際に、画像と紐付けて、(1)と(3)のデータについても、表面実装機12から生産管理装置40に対して送信する。このようにすることで、学習モデルMでNGの判定結果になった場合、生産管理装置40は、どの表面実装機12で、どの基板Pに搭載される電子部品Eが不良なのか、判断することが出来る。
【0065】
<表面実装機12から生産管理装置40に送信するデータ>
(1)基板の番号
(2)基板に搭載する電子部品の画像
(3)自機を識別する情報(表面実装機が複数ある場合)
【0066】
7.効果
以上のように、表面実装機12は、第1実装モードと第2実装モードの2つの実装モードを設定しており、ユーザは、操作部38を介した入力操作等により、これら2つの実装モードを任意に選択して切り換えることが出来る。そのため、高品質実装、高速実装のどちらのニーズにも対応することが出来る。
【0067】
<実施形態2>
図8~
図9は実装ラインLvのライン構成図である。実施形態2の実装ラインLvは、複数台の表面実装機12A~12Cを直列に接続しており、ローダ10、印刷機11、3台の表面実装機12A~12C、搬送機器14及びリフロー装置15を有している。
【0068】
基板Pは、ローダ10から送り出され、印刷機11、表面実装機12A、12B、12C、搬送機器14、リフロー装置15を順に通過し、印刷工程(印刷機11)、実装工程(表面実装機12A~12C)、リフロー工程(リフロー装置15)が実施される。
【0069】
そして、リフロー装置15の下流には、
図10に示すように、搬送機器16、アンローダ17が設置されており、基板Pは、リフロー工程終了後、アンローダ17より実装ライン外に排出される。
【0070】
実施形態1にて説明したように、表面実装機12は、第1実装モードと第2実装モードの選択が可能である。第1実装モードは、学習モデルMの判定結果を待たずに、部品実装を行う。
【0071】
そのため、当該実装機12での実装作業を終了し、下流のマシンに基板Pを送り出した後、表面実装機12は、基板Pに搭載した電子部品Eが、学習モデルMによる良否判定の結果、NG品であることを、生産管理装置40から通知される場合がある。
【0072】
この実施形態では、第1実装モード選択中において、深層学習による良否判定結果として基板Pに搭載した電子部品EがNG品であることを、その電子部品Eを基板Pに搭載した後に、生産管理装置40から受信した場合、表面実装機12の演算処理部30は、NG品を搭載した基板Pの、作業状況に応じて、異なるエラー対応を行う。このようにすることで、NG品を搭載した基板Pの作業状況に応じた、適切なエラー対応が可能となる。
【0073】
<ケース1>
図8は、表面実装機12Aは、2番基板Pの実装作業中に、学習モデルMによる良否判定の結果、「5番基板Pに紐付けられた電子部品EはNG品」であることを、生産管理装置40から通知されたことを示している。
【0074】
この場合、NG品を搭載した5番基板Pは、
図8に示すように表面実装機12Aから見て、基板3枚分(5番基板-2番基板)下流のマシン、つまり搬送機器14に位置しており、NG品を搭載した基板Pは、実装工程を既に終え、リフロー装置15への搬送途中と判断出来る。このように、表面実装機12Aは、NG品を搭載した基板Pの番号、作業中の基板Pの番号及び実装ラインLvのライン構成からNG品を搭載した基板Pの作業状況を把握することが出来る。尚、表面実装機12は、基板番号に紐づけて基板Pの生産履歴をデータ記憶部32に残すとよい。生産履歴を残すことで基板Pの生産状況を容易に把握出来る。また、実装ラインLvのライン構成のデータは、データ記憶部32に予め記憶しておき、必要に応じて読み出すとよい。
【0075】
そして、
図8の場合、表面実装機12Aの演算処理部30は、搬送機器14に対して停止コマンドを送信し、5番基板Pの搬送を停止する。また、オペレータコールを行い、NG品が搭載された5番基板Pが搬送機器14で停止中であること報知する。
【0076】
これにより、オペレータは、5番基板Pを搬送機器14から回収するなどの措置を講じることが出来る。回収した5番基板Pは、廃棄してもよいし、リフロー前であることから、手作業による修正(NG品の除去および正常部品の再搭載)を行った後、実装ラインLvに戻すことも可能である。
【0077】
<ケース2>
図9は、表面実装機12Aは、2番基板Pの実装作業中に、学習モデルMによる良否判定の結果、「3番基板Pに紐付けられた部品EはNG品」であることを、生産管理装置40からを通知されたことを示している。
【0078】
この場合、NG品を搭載した3番基板Pは、表面実装機12Aから見て、基板1枚分(3番基板-2番基板)下流のマシン、つまり表面実装機12Bに位置しており、実装作業中であることが判断可能である。
【0079】
この場合、表面実装機12Aの演算処理部30は、3番基板Pを実装中の表面実装機12Bを含め、それよりも上流側の各マシン、つまり、表面実装機12B、表面実装機12A、印刷機11、ロータ10に逆送コマンドをそれぞれ送信する。これにより、各マシン12B、12A、11、10の搬送コンベア22が逆回転し、各マシン上の基板Pを上流に逆送する。
【0080】
そして、
図9に示すようにNG品を搭載した3番基板Pが表面実装機12Aに戻ると、表面実装機12Aは、ヘッドユニット26を3番基板上に移動し、3番基板PからNG品を回収する共に、正常部品Eを再搭載する。このようにすることで、不良基板の発生なく、NG品の搭載をリカバー出来る。
【0081】
<ケース3>
図10は、表面実装機12Aが、2番基板Pの実装作業中に、学習モデルMによる良否判定の結果、「9番基板Pに紐付けられた部品EはNG品」であることを生産管理装置40から通知されたことを示している。
【0082】
この場合、NG品を搭載した9番基板Pは、
図10に示すように、表面実装機12Aから見て、基板7枚分(9番基板-2番基板)下流のマシン、つまり、リフロー装置15の下流に位置する搬送機器16に位置しており、リフロー工程を既に終え、実装ラインLvから排出される直前の段階であると、判断出来る。
【0083】
この場合、表面実装機12Aの演算処理部30は、搬送機器16を含め、それよりも下流に位置するマシン、つまり、搬送機器16、アンローダ17に停止コマンドを送信し、9番基板Pの搬送を停止する。
【0084】
その後、表面実装機12は、オペレータコールを行い、NG品が搭載された9番基板Pが、搬送機器16で停止している旨を報知する。尚、オペレータコールは、例えば、表面実装機12に付属する異常灯や警告音を鳴らすもの等が考えられる。また、これらと併用してエラーメッセージを表示部37に表示してもよい。
【0085】
このようにすることで、NG品を搭載した基板Pが、実装ライン外に排出されることを防止出来る。また、オペレータは、9番基板Pを搬送機器16から回収して廃棄するなどの措置を講じることが出来る。
【0086】
<ケース4>
ケース4は複数ライン間における基板回収方法を開示するものである。
図11に示すように、実装ラインLvは、第1実装ラインLv1と第2実装ラインLv2の2ライン構成であり、基板Pは第1実装ラインLv1で実装作業(例えば、基板Pの第1面の実装作業)を行った後、第2実装ラインLv2に送られて残りの実装作業(例えば、基板Pの第2面の実装作業)を行う。
【0087】
図11は、第1実装ラインLv1の表面実装機12Aは、2番基板Pの実装作業中に、学習モデルMによる良否判定の結果、「11番基板Pに紐付けられた電子部品EはNG品」であることを、生産管理装置40から通知されたことを示している。
【0088】
この場合、11番基板Pは、表面実装機12Aから見て基板9枚分(11番基板-2番基板)下流のマシンに位置することになる。つまり、第2実装ラインLv2の印刷機11に位置することになる。
【0089】
この場合、表面実装機12Aの演算処理部30は、第2実装ラインLv2を構成する各マシン、つまり、印刷機11、表面実装機12A、12B、AOI(検査機)にスキップコマンドを送信し、NG品を搭載した11番基板Pに対する作業(印刷、実装、検査)をスキップさせる。
【0090】
このように表面実装機12Aは、NG品を搭載した基板Pが、下流の実装ラインLv2に排出された後であれば、下流の実装ラインLv2の各マシンにスキップコマンドを送信し、NG品を搭載した基板について、下流の実装ラインLv2における作業をスキップする。これにより、NG品を搭載した11番基板Pを、第2実装ラインLv2で作業を行うことなく、未作業の状態でライン外に排出することが出来る。
【0091】
<実施形態3>
実施形態3の実装システムは、表面実装機12と生産管理装置40の間の画像データの転送に、RDMA(リモートダイレクトメモリアクセス:Remote Direct Memory Access)技術を用いる。RDMAは、異なるコンピュータのメモリ間で、直接データを転送する技術である。
【0092】
図12(A)は、表面実装機12と生産管理装置40の間におけるデータ転送機能に関するブロック図である。
【0093】
表面実装機12の演算処理部30は第1RAM30Aを有し、生産管理装置40の制御部42は、第2RAM42Aを有している。
【0094】
第1RAM30Aと第2RAM42Aは、バス50を介してデータ転送可能に接続されており、相互にリモートアクセス可能である。
【0095】
表面実装機12で撮影した画像データは、第1RAM30Aに対して一時的に記憶される。そして、第1RAM30Aに一時保存された画像データは、バス50を介して、第1RAM30Aから第2RAM42Aに対して直接転送、記憶される。
【0096】
図12(B)は、比較例を示しており、表面実装機12で撮影した画像データは、RAMに一時的に記憶された後、ハードディスクに記憶される。その後、画像データは、表面実装機12のハードディスクから、生産管理装置40のハードディスクに、イーサネット経由で転送される。
【0097】
一般的に、RAMの読み書き速度はハードディスクの読み書き速度よりも速い。そのためRDMA技術を適用することにより、表面実装機12と生産管理装置40の間において、画像データの転送を短時間で行うことが出来る。
【0098】
そのため、大量の画像データを送信する場合であっても、通信の滞りを抑制し、装置間のデータ転送に係る時間が実装作業のボトルネックになるのを防ぐことが出来る。
【0099】
なお、第1RAM30A、第2RAM42A間を接続するバス50の一例としては、転送速度が大きく遅延時間の短いインフィニバンド(InfiniBand)(登録商標)を例示することが出来る。
【0100】
<実施形態4>
実施形態1にて、電子部品Eの画像と良否結果を教師データとして、電子部品Eの良否を判定する学習モデルMを生成する点を説明した(
図6参照)。
【0101】
実施形態4は教師データの抽出方法と学習モデルMの生成フローについて説明する。
図13は、各部品状態について、認識アルゴリズムによる、電子部品Eの良否結果をまとめた図である。
【0102】
この実施形態では、認識アルゴリム判定として、位置角度判定と方向判定を行う。位置角度判定は、実装ヘッド26Aに吸着保持された電子部品Eの位置や角度の是非を判断し、方向判定は、実装ヘッド26Aに吸着保持された電子部品Eの方向の是非を判断する。
【0103】
図13に記載の学習デフォルト判定結果は、位置角度判定と方向判定より、電子部品Eの良否を判断したものであり、位置角度判定と方向判定の双方ともOKの場合、その電子部品Eは良品と判断し、いずれか1つでもNGの場合、その電子部品Eは不良と判断する。
【0104】
このように、認識アルゴリズムの良否判定結果を、学習モデルMの教師データに利用することが出来る。
【0105】
尚、認識アルゴリム判定は、良否判定可能な事象がアルゴリムに依存しており、アルゴリズムの種類が少ないと、判定できない事象(例えば、クラック有無や異物付着)が存在する。そのため、アルゴリズム判定を補うため、オペレータ判定を、併用してもよい。
【0106】
2つの判定方法(アルゴリズム判定、オペレータ判定)を併用することで、アルゴリム判定だけでは判定できない事象(例えば、クラック有無や異物付着)についても、電子部品Eの良否を、判定することが出来る。
【0107】
図14は、学習モデルの生成手順を示すフローチャートである。学習モデルMの生成フローはS10~S70から構成されいる。学習モデルMの生成フローは、教師データの登録にあたり、認識アルゴリズム判定とオペレータ判定を併用して、電子部品Eの良否判定を行っている(S30、S40)。
【0108】
尚、生産管理装置40は、全画像保存機能を有しており、基板Pの生産中、表面実装機12A~12Cにて撮影した全画像(部品以外の画像も含む)は、表面実装機12から生産管理装置40に送信され、生産管理装置40の記憶部43に対して保存される。
【0109】
また、電子部品Eなど学習対象となるものについては、表面実装機12から生産管理装置に対して、画像だけでなく、画像と紐づけて、認識アルゴリズムによる良否判定結果についても、送信される。生産管理装置40に所定数の画像が蓄積すると、生産管理装置40は機械学習を開始する。
【0110】
機械学習の開始後、生産管理装置40は、S10にて、記憶部43から画像を読み出して取得する。その後、S20に移行し、生産管理装置40は、記憶部43から読み出した画像が、学習対象か判断する。
【0111】
画像が学習対象の場合(この例では、実装ヘッド26Aにより吸着保持された電子部品Eの画像の場合)、生産管理装置40は、S30にて、学習対象の画像について、認識アルゴリズムの判定結果を取得する。その後、S40に移行し、生産管理装置40は、S30で取得した認識アルゴリズムの判定結果に対して、オペレータ判定の結果を考慮して、電子部品Eの良否判定結果を確定する。
【0112】
その後、S50に移行し、S10で取得した電子部品の画像と、S40に確定した良否判定結果が教師データとして、登録される。
【0113】
生産管理装置40は、教師データの登録後、深層学習を実行し、電子部品Eの画像を入力として、電子部品Eの良否を判定する学習モデルMを生成する。
【0114】
その後、S70に移行して、残りの画像が有る場合(S70:YES)、S10に戻り、次の画像が読み出される。このような手順で、教師データが順次登録され、深層学習が繰り返される。そして、残りの画像が無くなると、深層学習は終了する(S70:NO)。そして、深層学習後、学習モデルMによる良否判定が可能となる。
【0115】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0116】
(1)上記実施形態では、実装ヘッド26Aにより吸着保持した電子部品Eの良否を、認識アルゴリズムや学習モデルを利用して判定した。判定対象は、基板Pの生産に関係する物品であれば、基板Pに搭載する部品以外でもよい。例えば、基板マーク81や基台マーク82(
図2参照)等でもよい。また、これ以外に、実装ヘッド26Aを判定対象に含めてもよい。尚、基板マーク81は、位置確認用のフィデューシャルマークや基板の良否を識別するためのバットマークである。また、基台マーク82は、例えば、軸の熱伸びを検出することで、ヘッドユニット26の位置補正を行う補正マークである。
【0117】
(2)上記実施形態において、第1実装モードでは、第1判定(認識アルゴルズム)による良否判定後、電子部品Eを基板Pに実装した。第1実装モードは、学習モデルによる良否判定のため、電子部品Eの画像を生産管理装置40に送信後、生産管理装置40から深層学習による良否判定結果の返信を待つことなく部品搭載を継続するものであれば、第1判定は実施しても、しなくてもどちらでもよい。また、第2実装モードについても同様であり、学習モデルMによる良否判定のため、電子部品Eの画像を生産管理装置40に送信後、生産管理装置40から深層学習による良否判定結果の返信を待って部品搭載を行うものであれば、第1判定は実施しても、しなくてもどちらでもよい。
【0118】
(3)上記実施形態において、実装ラインLvの構成として、ローダ10、印刷機11、表面実装機12、搬送機器14、リフロー装置15、搬送機器16、アンローダ17からなる例を示した。実装ラインLvの構成は、実施形態の例に限定されるものではなく、少なくとも、1台以上の表面実装機12を含む構成であれば、実施形態とは異なるライン構成でもよい。
【0119】
(4)上記実施形態2において、深層学習による良否判定結果として、基板Pに搭載した電子部品EがNG品であることを、その部品Eを基板Pに搭載した後に分かった場合、表面実装機12は、NG品を搭載した基板Pの作業状況に応じて、異なるエラー対応をした。エラー対応は、表面実装機12に代えて生産管理装置40で行うようにしてもよい。例えば、生産管理装置40は、基板Pの生産状況の監視データ(各マシンについて作業対象の基板の番号と作業状況を監視するデータ)からNG品を搭載した基板Pの作業状況を特定し、作業状況に応じて、異なるエラー対応を行ってもよい。
【0120】
(5)上記実施形態1では、機械学習の一例として深層学習を例示した。機械学習は、深層学習に限定されるものではなく、電子部品の良否を判定するものであれば、深層学習以外の学習方法で代用することも出来る。他の物品を良否判断する場合も、同様である。
【符号の説明】
【0121】
12:表面実装機
26:ヘッドユニット
26A:実装ヘッド
27:部品認識カメラ
28:基板認識カメラ
30:演算処理部(制御装置)
40:生産管理装置
Lv:実装ライン
P:基板
E:電子部品
S:実装システム