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特開2025-19774作業機械の制御システム、作業機械の制御方法および作業機械の遠隔操作システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019774
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム、作業機械の制御方法および作業機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
E02F9/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123581
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根田 知樹
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003BA01
2D003BA02
2D003BA04
2D003BA06
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
2D003DB06
(57)【要約】
【課題】作業機械による作業中に意図しない旋回が生じることを防ぐ。
【解決手段】作業機械の制御システムは、旋回体の操作がなく作業機の操作がなされているときに、旋回体が旋回しているか否かを判定する。制御システムは、旋回体が旋回しているか否かの判定の結果を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回中心周りに回転可能な旋回体と、前記旋回体に取り付けられた作業機と、を備える作業機械の制御システムであって、
前記作業機が駆動しているときに、前記旋回体の姿勢と前記旋回体の基準姿勢とのずれを特定する旋回判定部と、
特定された前記ずれの大きさに関する信号を出力する出力部と、を備える
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記出力部は、特定された前記ずれの大きさが所定の閾値より大きい場合、前記旋回体が旋回する方向の反対方向に前記旋回体を旋回させる操作信号を出力する
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記出力部は、特定された前記ずれの大きさが所定の閾値より大きい場合、前記旋回体が旋回していることを通知するための前記信号を出力する
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記作業機は、前記作業機が駆動する第一軸と交差する第二軸回りに回転可能な作業具を備え、
前記旋回判定部は、
前記作業具を前記第二軸回りに回転させる操作がなく前記作業機が前記第一軸回りに駆動しているときに、前記作業具が前記第二軸回りに回転しているか否かを判定する
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記旋回判定部は、前記作業機の駆動による作業の開始時における前記旋回体の姿勢を前記基準姿勢とする
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記旋回判定部は、前記作業機の駆動による作業の開始以降の前記旋回体を旋回させる旋回モータの作動媒体に係る計測値に基づいて、前記旋回体の姿勢を特定する
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
旋回中心周りに回転可能な旋回体と、前記旋回体に取り付けられた作業機と、を備える作業機械の制御方法であって、
前記作業機が駆動しているときに、前記旋回体の姿勢と前記旋回体の基準姿勢とのずれを特定するステップと、
特定された前記ずれの大きさに関する信号を出力するステップと
を有する作業機械の制御方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の作業機械の制御システムと、
前記作業機械から遠隔に設けられた表示装置および操作装置とを備える、
作業機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム、作業機械の制御方法および作業機械の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動掘削処理を行う作業機械に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-041354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旋回体に支持された作業機を備える作業機械による掘削作業や排土作業は、通常、旋回体を旋回させずに作業機を駆動させることで行われる。一方で、環境によっては、作業中に旋回体の旋回操作をしていないにも関わらず、旋回体が旋回してしまうことがある。例えば、溝の壁面の掘削など、バケットの片側を用いて掘削を行う場合、バケットに掛かる荷重が左右でアンバランスとなり、反力を受ける旋回体の回転中心にモーメントが発生し、旋回体が旋回してしまう可能性がある。また作業機械が傾斜地に停車している場合、重力によってモーメントが発生し、旋回体が旋回してしまう可能性がある。
本開示の目的は、作業中に意図しない旋回が生じることを防ぐことができる作業機械の制御システム、作業機械の制御方法および作業機械の遠隔操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、作業機械の制御システムは、旋回中心周りに回転可能な旋回体と、前記旋回体に取り付けられた作業機と、を備える作業機械の制御システムであって、前記作業機が駆動しているときに、前記旋回体の姿勢と前記旋回体の基準姿勢とのずれを特定する旋回判定部と、特定された前記ずれの大きさに関する信号を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、作業機械の制御システムは、作業機械による作業中に意図しない旋回が生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
図2】第一実施形態に係る運転室の内部の構成を示す図である。
図3】第一実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図4】第一実施形態に係る目標軌跡の例を示す図である。
図5】第一実施形態に係る自動掘削制御方法を示すフローチャートである。
図6】第二実施形態に係る旋回モータの構成を示す図である。
図7】第三実施形態に係るチルトローテートバケットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
〈第一実施形態〉
《作業機械100の構成》
図1は、第一実施形態に係る作業機械100の構成を示す概略図である。第一実施形態に係る作業機械100は、オペレータの指示に従って自動掘削制御を行う。自動掘削制御とは、バケット133の刃先が掘削対象上の掘削開始位置に配置された状態から、ブーム131、アーム132、およびバケット133を駆動させて土砂を掘削する動作を自動的に実行する制御である。つまり、自動掘削制御において作業機械100は走行体110および旋回体120の操作信号を出力せず、作業機130を駆動させる。
作業機械100は、施工現場にて稼働し、土砂などの施工対象を掘削し、荷としてダンプトラックなどの積込対象のベッセルなど荷台に積み込む。作業機械100の例としては、フェイスショベル、バックホウショベル、ロープショベルなどが挙げられる。また作業機械100は電動駆動するものであってもよいし、油圧駆動するものであってもよい。第一実施形態に係る作業機械100は、バックホウショベルである。作業機械100は、走行体110、旋回体120、作業機130及び運転室140を備える。積込対象の例としては、ダンプトラック、ホッパなどが挙げられる。
【0009】
走行体110は、作業機械100を走行可能に支持する。走行体110は、左右に設けられた2つの無限軌道111と、各無限軌道111を駆動するための2つの走行モータ112を備える。走行体110は、支持部の一例である。
旋回体120は、走行体110に旋回中心回りに旋回可能に支持される。
作業機130は、油圧により駆動する。作業機130は、旋回体120の前部に上下方向に駆動可能に支持される。
運転室140は、オペレータが搭乗し、作業機械100の操作を行うためのスペースである。運転室140は、旋回体120の左前部に設けられる。
ここで、旋回体120のうち作業機130が取り付けられる部分を前部という。また、旋回体120について、前部を基準に、反対側の部分を後部、左側の部分を左部、右側の部分を右部という。
【0010】
《旋回体120の構成》
旋回体120は、エンジン121、油圧ポンプ122、コントロールバルブ123、旋回モータ124を備える。
エンジン121は、油圧ポンプ122を駆動する原動機である。エンジン121は、動力源の一例である。
油圧ポンプ122は、エンジン121により駆動される可変容量ポンプである。油圧ポンプ122は、コントロールバルブ123を介して各アクチュエータ(ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、バケットシリンダ133C、走行モータ112、及び旋回モータ124)に作動油を供給する。
コントロールバルブ123は、油圧ポンプ122から供給される作動油の流量を制御する。
旋回モータ124は、コントロールバルブ123を介して油圧ポンプ122から供給される作動油によって駆動し、旋回体120を旋回させる。
【0011】
《作業機130の構成》
作業機130は、ブーム131、アーム132、作業具としてのバケット133、ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、及びバケットシリンダ133Cを備える。作業具の他の例として、クラムバケット、チルトバケット、チルトローテートバケット、グラップル、リフティングマグネットなどの先端アタッチメントが挙げられる。
【0012】
ブーム131の基端部は、旋回体120にブームピンを介して回転可能に取り付けられる。なお、図1に示す作業機械100においては、ブーム131が旋回体120の正面中央部分に設けられるが、これに限られず、ブーム131は左右方向にオフセットして取り付けられたものであってもよい。この場合、旋回体120の旋回中心は作業機130の動作平面上に位置しない。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にアームピンを介して回転可能に取り付けられる。
バケット133は、アーム132の先端部にピンを介して回転可能に取り付けられる。バケット133を支持する部材として、ブーム131、アーム132がある。バケット133は、掘削した土砂を収容するための容器として機能する。バケット133は、開口が旋回体120側(後方)を向くように取り付けられる。つまり、バックホウショベルである作業機械100は、バケット133を旋回体120の手前側に引き寄せることで掘削を行う。
【0013】
ブームシリンダ131Cは、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ131Cの基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ131Cの先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ132Cは、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ132Cの基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ132Cの先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ133Cは、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ133Cの基端部は、アーム132に取り付けられる。バケットシリンダ133Cの先端部は、バケット133を回動させるリンク機構に取り付けられる。
【0014】
《運転室140の構成》
図2は、第一実施形態に係る運転室140の内部の構成を示す図である。
運転室140内には、運転席141、操作端末142及び操作装置143が設けられる。操作端末142は、運転席141の近傍に設けられ、後述する制御装置160とのユーザインタフェースである。操作端末142は、例えばタッチパネルで構成された表示装置であり、オペレータが操作する操作部と、操作を受け付ける入力受付部があってもよい。また、表示装置には、エンジン水温計、燃料計の計測データなどが表示されている。また、操作端末142は、LCDなどの表示部を備えるものであってよい。
【0015】
操作装置143は、オペレータの手動操作によって走行体110、旋回体120及び作業機130を駆動させるための装置である。操作装置143は、左操作レバー143LO、右操作レバー143RO、左フットペダル143LF、右フットペダル143RF、左走行レバー143LT、右走行レバー143RT、開始スイッチ143SWを備える。
【0016】
左操作レバー143LOは、運転席141の左側に設けられる。右操作レバー143ROは、運転席141の右側に設けられる。
【0017】
左操作レバー143LOは、旋回体120の旋回動作、及び、アーム132の掘削/ダンプ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを前方に倒すと、アーム132がダンプ動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを後方に倒すと、アーム132が掘削動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを右方向に倒すと、旋回体120が右旋回する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを左方向に倒すと、旋回体120が左旋回する。なお、他の実施形態においては、左操作レバー143LOを前後方向に倒した場合に旋回体120が右旋回又は左旋回し、左操作レバー143LOが左右方向に倒した場合にアーム132が掘削動作又はダンプ動作してもよい。
【0018】
右操作レバー143ROは、バケット133の掘削/ダンプ動作、及び、ブーム131の上げ/下げ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを前方に倒すと、ブーム131の下げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを後方に倒すと、ブーム131の上げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを右方向に倒すと、バケット133のダンプ動作が行われる。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを左方向に倒すと、バケット133の掘削動作が行われる。なお、他の実施形態においては、右操作レバー143ROを前後方向に倒した場合に、バケット133がダンプ動作又は掘削動作し、右操作レバー143ROを左右方向に倒した場合にブーム131が上げ動作又は下げ動作してもよい。
【0019】
左フットペダル143LFは、運転席141の前方の床面の左側に配置される。右フットペダル143RFは、運転席141の前方の床面の右側に配置される。左走行レバー143LTは、左フットペダル143LFに軸支され、左走行レバー143LTの傾斜と左フットペダル143LFの押し下げが連動するように構成される。右走行レバー143RTは、右フットペダル143RFに軸支され、右走行レバー143RTの傾斜と右フットペダル143RFの押し下げが連動するように構成される。
【0020】
左フットペダル143LF及び左走行レバー143LTは、走行体110の左側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが左フットペダル143LF又は左走行レバー143LTを前方に倒すと、左側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが左フットペダル143LF又は左走行レバー143LTを後方に倒すと、左側履帯は後進方向に回転する。
【0021】
右フットペダル143RF及び右走行レバー143RTは、走行体110の右側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが右フットペダル143RF又は右走行レバー143RTを前方に倒すと、右側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが右フットペダル143RF又は右走行レバー143RTを後方に倒すと、右側履帯は後進方向に回転する。
【0022】
開始スイッチ143SWは、例えば左操作レバー143LOのハンドル部分に設けられる。なお、開始スイッチ143SWは、運転席141に着座したオペレータの近傍に位置するように配置されればよい。開始スイッチ143SWが操作されると、制御装置160に掘削指示信号が出力される。制御装置160は、掘削指示信号の入力を受け付けると、自動掘削制御を開始する。
【0023】
《計測系の構成》
図1に示すように、作業機械100は、位置方位演算器151、傾斜計測器152、ブームストロークセンサ153、アームストロークセンサ154、バケットストロークセンサ155、形状検出装置156を備える。
【0024】
位置方位演算器151は、旋回体120の位置及び旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器151は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。2つの受信器は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器151は、受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点(ショベル座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器151は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、旋回体120の向く方位を演算する。旋回体120が向く方位とは、旋回体120の正面に直交する方向である。旋回体120が向く方位は、作業機130のブーム131からバケット133へ伸びる直線の延在方向の水平成分に等しい。
【0025】
傾斜計測器152は、旋回体120の加速度及び角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、ロール角、ピッチ角、ヨー角)および旋回速度を検出する。傾斜計測器152は、例えば旋回体120の下面に設置される。傾斜計測器152は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0026】
ブームストロークセンサ153は、ブームシリンダ131Cに取り付けられ、ブームシリンダ131Cのシリンダ長を検出する。ブームシリンダ131Cのシリンダ長は、旋回体120に対するブーム131の相対角度に換算可能である。
アームストロークセンサ154は、アームシリンダ132Cに取り付けられ、アームシリンダ132Cのシリンダ長を検出する。アームシリンダ132Cのシリンダ長は、ブーム131に対するアーム132の相対角度に換算可能である。
バケットストロークセンサ155は、バケットシリンダ133Cに取り付けられ、バケットシリンダ133Cのシリンダ長を検出する。バケットシリンダ133Cのシリンダ長は、アーム132に対するバケット133の相対角度に換算可能である。
第一実施形態に係る作業機械100は、ブームストロークセンサ153、アームストロークセンサ154、及びバケットストロークセンサ155を用いて作業機130の各リンク部品の角度を特定するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態においては、ストロークセンサに代えて、リンク部品の相対回転角を検出するポテンショメータを備えてもよいし、各リンク部品の対地角を検出する傾斜センサを備えてもよい。
【0027】
形状検出装置156は、検出方向に存在する対象物の位置および表面形状を検出する。形状検出装置156の例としては、ステレオカメラ、レーザスキャナなどが挙げられる。形状検出装置156は、例えば検出方向が作業機械100の運転室140の前方を向くように設けられる。形状検出装置156は、対象物の表面形状を、形状検出装置156の位置を基準とした座標系で特定する。なお、他の実施形態に係る形状検出装置156は、形状検出装置156の取付位置を車体座標系基準で事前計測した寸法値に基づいて、車体座標系基準で対象物の表面形状を特定してもよい。また、他の実施形態に係る形状検出装置156は、形状検出装置156の取付位置を車体座標系基準で事前計測した寸法値、並びに車体の現場座標系における位置および姿勢情報に基づいて、現場座標系基準で対象物の表面形状を特定してもよい。
【0028】
《制御装置160の構成》
図3は、第一実施形態に係る制御装置160の構成を示す概略ブロック図である。
作業機械100は、制御装置160を備える。制御装置160は、操作端末142に実装されるものであってもよいし、操作端末142と別個に設けられ、操作端末142からの入出力を受け付けるものであってもよい。制御装置160は、操作装置143から操作信号を受信する。制御装置160は、受信した操作信号又は自動制御のために生成された操作信号をコントロールバルブ123に出力することで、作業機130、旋回体120及び走行体110を駆動させる。以下、操作装置143から受信した操作信号を手動操作信号ともよび、自動制御のために生成された操作信号を自動操作信号ともよぶ。なお、自動操作信号は、旋回体120および作業機130を駆動させる操作信号からなり、走行体110を駆動させる操作信号を含まない。自動制御中に、オペレータによる手動操作信号を受信した場合、制御装置160は自動制御を停止してもよい。
【0029】
制御装置160は、プロセッサ610、メインメモリ630、ストレージ650、インタフェース670を備えるコンピュータである。ストレージ650は、プログラムを記憶する。プロセッサ610は、プログラムをストレージ650から読み出してメインメモリ630に展開し、プログラムに従った処理を実行する。
【0030】
ストレージ650の例としては、半導体メモリ、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等が挙げられる。ストレージ650は、制御装置160の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース670を介して制御装置160に接続される外部メディアであってもよい。メインメモリ630及びストレージ650は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0031】
プロセッサ610は、プログラムの実行により、計測データ取得部611、操作信号入力部612、作業機位置特定部613、軌跡生成部614、移動制御部615、旋回判定部616、旋回制御部617、操作信号出力部618を備える。
【0032】
計測データ取得部611は、例えば旋回体120の旋回速度、位置および方位、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、旋回体120の姿勢、並びに作業機械100の環境の表面形状を取得する。なお、作業機械100の環境の表面形状には、掘削対象の表面形状が含まれる。
【0033】
計測データ取得部611は、作業機械100の計測系による計測データを取得する。具体的には、計測データ取得部611は、位置方位演算器151、傾斜計測器152、ブームストロークセンサ153、アームストロークセンサ154、バケットストロークセンサ155および形状検出装置156から計測データを取得する。計測データ取得部611は、傾斜計測器152が計測した旋回体120の角速度を積分することで、旋回体120の角度を算出する。
【0034】
操作信号入力部612は、操作装置143からオペレータが手動で操作された手動操作信号の入力を受け付ける。手動操作信号には、ブーム131のダンプ操作や掘削操作をする駆動信号、アーム132のダンプ操作や掘削操作をする駆動信号、バケット133のダンプ操作や掘削操作をする駆動信号、旋回体120の右旋回操作や左旋回操作をする駆動信号、走行体110の走行操作をする駆動信号、ならびに作業機械100の掘削指示信号が含まれる。
【0035】
作業機位置特定部613は、計測データ取得部611が取得した計測データに基づいて、旋回体120を基準とする車体座標系におけるバケット133の刃先の位置を特定する。
作業機位置特定部613は、ブーム131の傾斜角と既知のブーム131の長さ(基端部のピンから先端部のピンまでの距離)とに基づいて、ブーム131の長さの垂直方向成分及び水平方向成分を求める。同様に、作業機位置特定部613は、アーム132の長さの垂直方向成分及び水平方向成分を求める。また、作業機位置特定部613は、バケット133の傾斜角と既知のバケット133の形状とに基づいて、バケット133のピンから刃先までの垂直方向成分及び水平方向成分を求める。作業機位置特定部613は、作業機械100の位置から、作業機械100の方位及び姿勢から特定される方向に、ブーム131、アーム132およびバケット133の長さの垂直方向成分の和及び水平方向成分の和だけ離れた位置を、バケット133の刃先の位置として特定する。
【0036】
軌跡生成部614は、掘削指示信号が入力されたときに作業機位置特定部613が特定したバケット133の刃先の位置と、形状検出装置156の計測データとに基づいて、バケット133の目標軌跡Tを生成する。図4は、第一実施形態に係る目標軌跡の例を示す図である。バケット133の目標軌跡Tは、掘削指示信号が入力されたときのバケット133の刃先の位置から、掘削方向に向けて掘削対象を掘削するような刃先の軌跡として描かれる。バックホウショベルにおいては、掘削方向は旋回体120の後方向きである。第一実施形態に係る目標軌跡Tの形状は円弧である。目標軌跡Tは、旋回動作なしで、作業機130のみ動作をさせて掘削するときの目標軌跡である。バケット133の目標軌跡Tは、図4に示すように予め定められた掘削曲線比率に係る弧を描く。掘削曲線比率は、掘削長さLに対する掘削深さDの比として表される値(D/L)である。掘削曲線比率が小さいほど、掘削長さLが長く掘削深さDが浅い。掘削曲線比率が大きいほど、掘削長さLが短く掘削深さDが深い。掘削曲線比率の特定方法については後述する。軌跡生成部614は、生成した目標軌跡Tに従って掘削したときの掘削量を算出し、掘削量がバケット133の最大収容量に等しくなるように、バケット133の目標軌跡Tを生成する。なお、他の実施形態に係る目標軌跡Tの形状は、楕円弧、放物線、および変曲点を有しないなだらかな曲線など、下に凸の形状を有する任意の曲線であってよい。なお、第一実施形態に係る目標軌跡Tは、旋回動作なしで作業機130のみ動作させて掘削するときの目標軌跡あるが、これに限られない。他の実施形態に係る目標軌跡Tは、一定の旋回速度で旋回しながら掘削するときの目標軌跡であってよい。この場合、目標軌跡Tは変曲点を有しないなだらかな曲線であってもよい。
【0037】
移動制御部615は、操作信号入力部612が掘削指示信号の入力を受け付けた場合に、バケット133の刃先を目標軌跡Tに沿って移動させるための自動操作信号を生成する。
【0038】
旋回判定部616は、位置方位演算器151によって計測された自動掘削制御開始時の旋回体120の方位(基準姿勢)と現在の旋回体120の方位との差に基づいて、オペレータの意図しない旋回が生じているか否かを判定する。
【0039】
旋回制御部617は、オペレータの意図しない旋回が生じている場合に、旋回している方向の逆方向に旋回体120を旋回させるための自動操作信号を生成する。旋回制御部617は、旋回体120の姿勢と基準姿勢とのずれの大きさに関する信号を出力する出力部の一例である。旋回体120の姿勢とは、旋回体120の方位である。
【0040】
操作信号出力部618は、操作信号入力部612に入力された手動操作信号、移動制御部615が生成した自動操作信号、または旋回制御部617が生成した自動操作信号を出力する。具体的には、操作信号出力部618は、自動掘削制御中である場合に、移動制御部615および旋回制御部617が生成した自動操作信号を出力し、自動掘削制御中でない場合に、操作信号入力部612に入力された手動操作信号を出力する。
【0041】
《動作》
作業機械100のオペレータは、バケット133の刃先を掘削開始位置に移動させると、開始スイッチ143SWを操作する。これにより、操作装置143は、掘削指示信号を生成し出力する。掘削開始位置は、掘削対象の表面上の位置である。
【0042】
制御装置160は、オペレータから掘削指示信号の入力を受け付けると、まずバケット133の目標軌跡Tを生成する。具体的には、制御装置160は以下の手順で目標軌跡Tを生成する。
まず計測データ取得部611は、旋回体120の位置および方位、ブーム131、アーム132およびバケット133の相対角度、旋回体120の姿勢、並びに掘削対象の表面形状に係る計測データを取得する。作業機位置特定部613は、計測データ取得部611が取得した計測データに基づいて、掘削指示信号の入力時のバケット133の刃先の位置を特定する。軌跡生成部614は、作業機位置特定部513が特定した刃先の位置を通り、かつ掘削量がバケット133の最大収容量に等しくなるように、バケット133の目標軌跡Tを生成する。またこのとき旋回判定部616は、掘削指示信号の入力時における旋回体120の方位をメインメモリ630に記録する。
【0043】
図5は、第一実施形態に係る自動掘削制御方法を示すフローチャートである。目標軌跡が生成されると、制御装置160は、図5に示す自動掘削制御を実行する。
【0044】
計測データ取得部611は、旋回体120の位置および方位、ブーム131、アーム132およびバケット133の相対角度、旋回体120の姿勢、並びに掘削対象の表面形状に係る計測データを取得する(ステップS1)。作業機位置特定部613は、計測データ取得部611が取得した計測データに基づいて、掘削指示信号の入力時のバケット133の刃先の位置を特定する(ステップS2)。移動制御部615は、目標軌跡Tとバケット133の刃先の位置とに基づいて、バケット133の刃先の目標位置およびバケット133の目標姿勢を決定する(ステップS3)。
【0045】
移動制御部615は、刃先の目標位置およびバケット133の目標姿勢に基づいて、ブーム131およびアーム132の目標位置および目標姿勢を決定する(ステップS4)。例えば、移動制御部615は、刃先の目標位置およびバケット133の目標姿勢から特定されるバケット133の基端部の位置と、既知のブーム131の基端部の位置との関係により、バケット133の刃先を目標位置に移動させるためのブーム131の先端部の位置すなわちアーム132の基端部の位置を特定することができる。移動制御部615は、特定したブーム131、アーム132、およびバケット133の目標位置および目標姿勢に基づいて作業機130の自動操作信号を生成する(ステップS5)。
【0046】
旋回判定部616は、ステップS1で位置方位演算器151から取得された計測データが示す旋回体120の方位と、メインメモリ630に記録された掘削指示信号の入力時における旋回体120の方位との差の角度(旋回角)を計算する(ステップS6)。
【0047】
旋回判定部616は、計算された旋回角の絶対値が所定の旋回角閾値を超えるか否かを判定する(ステップS7)。旋回角閾値は、位置方位演算器151の計測誤差に鑑みて設定されてよい。旋回角の絶対値が旋回角閾値を超えない場合(ステップS7:NO)、旋回判定部616は、オペレータの意図しない旋回が発生していないと判定する。
オペレータの意図しない旋回が発生していないと判定された場合、操作信号出力部618は、ステップS5で移動制御部615が生成した自動操作信号をコントロールバルブ123に出力する(ステップS8)。これにより、作業機130が目標軌跡Tに沿って移動する。
【0048】
他方、旋回角の絶対値が旋回角閾値を超える場合(ステップS7:YES)、旋回判定部616は、オペレータの意図しない旋回が発生していると判定する。
オペレータの意図しない旋回が発生していると判定された場合、旋回制御部617は、ステップS6で計算された旋回角に基づいて、旋回が生じた方向と逆方向に旋回体120を旋回させるための自動操作信号を生成する(ステップS9)。旋回制御部617は、旋回角の絶対値が大きいほど自動操作信号の制御量を大きくする。
【0049】
操作信号出力部618は、移動制御部615が生成した自動操作信号および旋回制御部617が生成した自動操作信号をコントロールバルブ123に出力する(ステップS10)。これにより、作業機130が目標軌跡Tに沿って移動し、かつ旋回体120がオペレータの意図しない旋回を打ち消すように旋回する。
【0050】
移動制御部615は、バケット133の刃先の位置が、目標軌跡Tの終点に位置するか否かを判定する(ステップS11)。バケット133の刃先の位置が目標軌跡Tの終点に位置しない場合(ステップS11:NO)、制御装置160は処理をステップS1に戻し、作業機130の次の目標位置および目標姿勢を決定する。他方、バケット133の刃先の位置が目標軌跡Tの終点に位置する場合(ステップS11:YES)、制御装置160は、自動掘削制御を終了する。
【0051】
《作用・効果》
このように、第一実施形態に係る作業機械100の制御装置160は、自動掘削制御時に旋回体120が旋回しているか否かを判定し、旋回体120が旋回していると判定された場合に、旋回体120が旋回する方向の反対方向に旋回体120を旋回させる制御信号を出力する。自動掘削制御は、作業機械100は走行体110および旋回体120の操作信号を出力せず、作業機130を駆動させる制御である。
これにより、制御装置160は、オペレータの意図しない旋回体120の旋回を打ち消すことができる。
【0052】
なお、第一実施形態に係る制御装置160は、位置方位演算器151の計測データが示す旋回体120の方位を用いて、自動掘削制御の開始時における旋回体120の姿勢と、自動掘削制御の間の旋回体120の姿勢とを比較するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係る制御装置160は、自動掘削制御の開始以降の傾斜計測器152の計測データが示す旋回体120の角速度の積算値を用いて自動掘削制御の開始時における旋回体120の姿勢と、自動掘削制御の間の旋回体120の姿勢とを比較してもよい。また、他の実施形態に係る制御装置160は、旋回体に設けられた図示しないエンコーダの計測値の積算値を用いて自動掘削制御の開始時における旋回体120の姿勢と、自動掘削制御の間の旋回体120の姿勢とを比較してもよい。また、自動制御において、一定の旋回速度で自動旋回しながら自動で作業機130を動かす場合、制御装置160は、目標旋回速度に従って旋回したときの旋回体120の理想的な姿勢と、計測された実旋回速度で旋回した旋回体120の実際の姿勢とを比較してもよい。例えば、制御装置160は、目標旋回速度と実旋回速度の差分の積算値が閾値を超えたか否かに基づいて、旋回体120の姿勢を判定しても良い
【0053】
〈第二実施形態〉
第一実施形態に係る制御装置160は、自動掘削制御の開始時における旋回体120の姿勢と、自動掘削制御の間の旋回体120の姿勢とを比較することで、旋回体120が旋回しているか否かを判定する。これに対し第二実施形態に制御装置160は、自動掘削制御の開始以降の旋回モータ124の作動油の圧力の計測値に基づいて、旋回体120が旋回しているか否かを判定する。
【0054】
図6は、第二実施形態に係る旋回モータ124の構成を示す図である。
旋回モータ124は、コントロールバルブ123に接続されている。第二実施形態に係る作業機械100は、旋回モータ124の2つのポートそれぞれに作動油の圧力を計測する圧力計157を備える。旋回モータ124の旋回方向は、コントロールバルブ123のバルブの位置によって決定される。コントロールバルブ123が中立位置にあるとき、作動油は旋回モータ124へ供給されない。このとき、外界からの作用によって旋回モータ124が回転すると、旋回モータ124の2つのポートの内圧が変化する。そのため、制御装置160は、2つの圧力計157の計測値の差によって、旋回体120が旋回しているか否かを判定することができる。なお、油圧回路には図7に示すように、2つのポートの内圧が負圧となることを防止するためのチェック弁と、外界からの作用による内圧の過大な上昇を防止するためのリリーフ弁とが設けられる。
【0055】
第二実施形態に係る旋回判定部616は、2つの圧力計157から取得された計測データの差に基づいて、旋回モータ124のポート間の差圧を計算する。旋回判定部616は、旋回モータ124のポート間の差圧の絶対値が所定の差圧閾値を超える場合に、オペレータの意図しない旋回が発生していると判定する。また、旋回判定部616は、差圧の符号によって旋回モータ124の旋回方向を特定することができる。
オペレータの意図しない旋回が発生していると判定された場合、旋回制御部617は、計算された差圧に基づいて、旋回が生じた方向と逆方向に旋回体120を旋回させるための自動操作信号を生成する。旋回制御部617は、差圧の絶対値が大きいほど自動操作信号の制御量を大きくする。
【0056】
《作用・効果》
このように、第二実施形態に係る作業機械100の制御装置160は、自動掘削制御時に旋回体120が旋回しているか否かを判定し、旋回体120が旋回していると判定された場合に、旋回体120が旋回する方向の反対方向に旋回体120を旋回させる制御信号を出力する。これにより、第二実施形態に係る制御装置160は、第一実施形態と同様に、オペレータの意図しない旋回体120の旋回を打ち消すことができる。
【0057】
なお、第一実施形態に係る制御装置160は、旋回モータ124のポート間の差圧を用いて、旋回体120の旋回の有無を判定するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係る制御装置160は、旋回モータ124における作動油の流速を計測し、当該流速に基づいて旋回の有無を判定してもよい。この場合、制御装置160は作動油の流れ方向によって旋回の方向を特定することができる。
【0058】
〈第三実施形態〉
第一実施形態に係る作業機械100は、作業具としてバケット133を備える。これに対し第三実施形態に制御装置160は、作業具としてチルトローテータ134とバケット133とを有するチルトローテートバケットを備える。
【0059】
図7は、第三実施形態に係るチルトローテートバケットの構成を示す図である。
チルトローテータ134は、バケット133を支持するようにアーム132の先端に取り付けられる。チルトローテータ134は、取付部1341、チルト部1342、回転部1343を備える。取付部1341は、図示左右方向に伸びる軸回りに回転可能にアーム132の先端に取り付けられる。チルト部1342は、図示前後方向に伸びる軸回りに回転可能に取付部1341に取り付けられる。回転部1343は、図示上下方向に伸びる軸回りに回転可能にチルト部1342に取り付けられる。理想的には、取付部1341、チルト部1342、回転部1343の回転軸は互いに直交する。バケット133の基端部は、回転部1343に固定される。これにより、バケット133は、アーム132に対して互いに直交する3軸を中心に回転することができる。ただし、実際には取付部1341、チルト部1342、回転部1343の回転軸は設計誤差を含み、必ずしも直交しない可能性がある。一方で、少なくともチルト部1342の回転軸および回転部1343の回転軸は、作業機130の回転軸(取付部1341の回転軸)と交差する。取付部1341の回転軸は第一軸の一例であり、チルト部1342の回転軸および回転部1343の回転軸は第二軸の一例である。
【0060】
チルトローテートバケットを備える作業機械100において、溝の壁面の掘削など、バケット133の片側を用いて掘削を行う場合、バケット133に掛かる荷重が左右でアンバランスとなり、旋回体120のみならず、チルト部1342および回転部1343の回転軸に対してもモーメントが発生し、チルトローテータ134が回転してしまう可能性がある。
【0061】
第三実施形態に係るチルトローテータ134は、チルト部1342の回転軸回りの回転角を計測するチルトエンコーダ1344と、回転部1343の回転軸回りの回転角を計測するローテートエンコーダ1345とを備える。
制御装置160は、チルトエンコーダ1344およびローテートエンコーダ1345の計測データに基づいて、チルト部1342および回転部1343の回転角が所定の閾値を超えるか否かを判定し、チルト部1342または回転部1343においてオペレータの意図しない回転が発生しているか否かを判定する。
【0062】
オペレータの意図しない回転が発生していると判定された場合、制御装置160は、チルトエンコーダ1344およびローテートエンコーダ1345の計測データに基づいて、回転が生じた方向と逆方向にチルトローテータ134を回転させるための自動操作信号を生成する。
【0063】
《作用・効果》
このように、第三実施形態に係る制御装置160は、自動掘削制御時にチルトローテータ134が回転しているか否かを判定する。これにより、制御装置160は作業機械100による作業中に意図しないチルトローテータ134の回転が生じることを防ぐことができる。なお、他の実施形態に係る作業機械100は、チルトローテートバケットに代えて、チルトバケットまたはローテートバケットを備えるものであってもよい。
【0064】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係る制御装置160は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、制御装置160の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで制御装置160として機能するものであってもよい。このとき、制御装置160を構成する一部のコンピュータが作業機械の内部に搭載され、他のコンピュータが作業機械の外部に設けられてもよい。
【0065】
上述した実施形態に係る制御装置160は、自動掘削制御時におけるオペレータの意図しない旋回が生じているか否かを判定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置160は、自動排土制御を実行する機能を有し、自動排土制御中に、オペレータの意図しない旋回が生じているか否かを判定してもよい。
【0066】
また例えば、他の実施形態に係る制御装置160は、オペレータの手動操作において意図しない旋回が生じているか否かを判定してもよい。例えば、他の実施形態に係る制御装置160は、作業機130の手動操作信号が入力され、かつ旋回体120の手動操作信号が入力されていない場合または旋回体120の姿勢を維持する中立信号が入力されている場合に、旋回体120の旋回の有無を判定してもよい。また、他の実施形態に係る制御装置160は、オペレータの手動操作において意図しない旋回が生じていると判定された場合に、操作端末142などを介してオペレータに意図しない旋回が生じていることを通知してもよい。つまり、他の実施形態に係る制御装置160は、旋回体120の姿勢と基準姿勢とのずれが閾値以上である場合に、旋回が生じていることを通知するための信号を操作端末142などに出力する出力部を備えてもよい。これにより、制御装置160は、オペレータに操作装置143に意図しない旋回を打ち消す旋回操作を入力することを促すことで、意図しない旋回が生じることを防ぐことができる。つまり、制御装置160による判定の結果の出力は、自動操作信号の出力に限られず、表示装置などへの信号の出力であってもよい。
【0067】
上述した実施形態に係る作業機械100の旋回モータ124は、作動媒体である作動油によって駆動する油圧モータであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る旋回モータ124は電気モータであってよい。電気モータに流れる電流は作動媒体の一例である。第二実施形態のように作動媒体の計測値に基づいて旋回体120の旋回を判定する場合、制御装置160は、電気モータに流れる電流の方向に基づいて旋回方向を特定してもよい。
【0068】
上述した実施形態に係る作業機械100は、オペレータが搭乗して操作する有人運転車両であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業機械100は、遠隔の事務所にいるオペレータがモニタの画面を見ながら操作する遠隔操作装置から、通信により取得する操作信号によって作動する遠隔運転車両であってもよい。この場合、制御装置160の一部の機能が遠隔操作装置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0069】
100…作業機械 110…走行体 111…無限軌道 112…走行モータ 120…旋回体 121…エンジン 122…油圧ポンプ 123…コントロールバルブ 124…旋回モータ 130…作業機 131…ブーム 131C…ブームシリンダ 132…アーム 132C…アームシリンダ 133…バケット 133C…バケットシリンダ 134…チルトローテータ 1341…取付部 1342…チルト部 1343…回転部 1344…チルトエンコーダ 1345…ローテートエンコーダ 140…運転室 141…運転席 142…操作端末 143…操作装置 143LF…左フットペダル 143LO…左操作レバー 143LT…左走行レバー 143RF…右フットペダル 143RO…右操作レバー 143RT…右走行レバー 143SW…開始スイッチ 151…位置方位演算器 152…傾斜計測器 153…ブームストロークセンサ 154…アームストロークセンサ 155…バケットストロークセンサ 156…形状検出装置 157…圧力計 160…制御装置 610…プロセッサ 611…計測データ取得部 612…操作信号入力部 613…作業機位置特定部 614…軌跡生成部 615…移動制御部 616…旋回判定部 617…旋回制御部 618…操作信号出力部 630…メインメモリ 650…ストレージ 670…インタフェース T…目標軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7