(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019819
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】豆腐のパック詰め装置
(51)【国際特許分類】
B65B 25/06 20060101AFI20250131BHJP
B65B 43/44 20060101ALI20250131BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20250131BHJP
A23L 11/45 20210101ALI20250131BHJP
【FI】
B65B25/06 G
B65B43/44 C
B65B5/04
A23L11/45 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123654
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】591162631
【氏名又は名称】株式会社高井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 東一郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一之
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 俊之
【テーマコード(参考)】
3E003
3E030
4B020
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AB01
3E003BA01
3E003BA03
3E003BB03
3E003BC01
3E003BD08
3E003DA02
3E003DA05
3E030AA01
3E030BA03
3E030BB06
3E030BC01
3E030DA01
3E030EA03
3E030GA04
3E030GA05
4B020LB02
4B020LC09
4B020LC10
4B020LP26
4B020LP27
4B020LP30
(57)【要約】
【課題】豆腐のパック詰め作業を円滑に、かつ保健衛生的に優れた状態で作業を行う。
【解決手段】豆腐のパック詰め装置1は、複数の豆腐A1に対して、パックPの開口部P1を下向きにした状態で、パックPを被せるパック被せ装置20と、パック被せ装置20に連続的にパックPを供給するパック供給コンベヤ40と、パック供給コンベヤ40上に連続的にパックを配置するパック供給マガジン70と、を備える。パック供給マガジン70は、開口部P1を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックPを支持する支持部材71と、支持部材71に支持された複数のパックPのうち、最下段に配置された最下段パックPAを、他の積み重ねられたパックPから、開口部P1を下向きにした状態で切り離す切り離し部材72と、を備える。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送コンベヤの搬送面上で、前後左右に所定の間隔に整列された複数の豆腐に対して、パックの開口部を下向きにした状態で、当該パックを被せるパック被せ装置と、
前記移送コンベヤの側方から、前記パック被せ装置に連続的にパックを供給するパック供給コンベヤと、
前記パック供給コンベヤ上に連続的にパックを配置するパック供給マガジンと、
を備え、
前記パック供給マガジンは、
前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックを支持する支持部材と、
前記支持部材に支持された複数のパックのうち、最下段に配置された最下段パックを、他の積み重ねられたパックから、前記開口部を下向きにした状態で切り離す切り離し部材と、
を備える豆腐のパック詰め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パックは、前記開口部の周縁部から外側に延出したフランジ部を有し、
前記切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部を有する、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項3】
請求項2に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記差し込み部は、水平な第1面と、前記第1面の下方に位置し、前記第1面に対して傾斜した第2面と、を有し、
前記第1面と前記第2面は、前記差し込み部の先端においてナイフエッジ形状を形成するように交わる、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項4】
請求項3に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部を有し、
前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、
前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置をさらに備え、
前記差し込み部の第1面は、前記最下段パック支持部に支持された前記最下段パックのフランジ部の上面よりも高く位置する、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項5】
請求項1に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部を有し、
前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、
前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置をさらに備える、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項6】
請求項5に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記駆動装置が、前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材に対し、水平方向の往復運動を付与し、前記切り離し部材による前記最下段パックの切り離しと、前記最下段パック支持部による次に積み重ねられたパックの支持とを繰り返す、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記最下段パック支持部の水平方向の両側には、一対の前記切り離し部材が配置され、
前記一対の切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部をそれぞれ有し、
前記駆動装置は、前記最下段パック支持部及び前記一対の切り離し部材を同時に水平方向に移動させる、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックの前記最下段パックをそれぞれ支持する一対の最下段パック支持部を有し、
前記切り離し部材は、水平方向の両端部に、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間にそれぞれ差し込まれる一対の差し込み部を有し、
前記切り離し部材の水平方向の両側には、前記一対の最下段パック支持部が配置され、
前記駆動装置は、一対の前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項9】
請求項1に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パック供給マガジンは、
切り離された前記最下段パックを下方で受け止めるパック受け部材と、
前記パック受け部材が受け止めた前記最下段パックを、前記パック供給コンベヤ上に移動させるパック移動部材と、をさらに有する、
豆腐のパック詰め装置。
【請求項10】
請求項9に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パック受け部材は、前記切り離し部材によって切り離された前記最下段パックを受け止める上方位置と、前記移送コンベアの搬送面が位置する高さの下方位置との間で、上下移動可能である、
豆腐のパック詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して製造されたシート状豆腐のカットからパック詰めまでを連続して自動で行う豆腐のパック詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に絹ごし豆腐は、型枠内でその原料となる豆乳に凝固剤を加えた状態で凝固熟成した後に、木綿豆腐は適当な容器(ex.寄桶、バケットや型枠等)で同様に凝固熟成して、これを型枠に流しこんで圧密・成型した後に、各々型枠から取り出して所定のサイズにカットし、パック詰めすることにより製造される。
【0003】
近年、連続的に凝固熟成されたシート状絹ごし豆腐又はその絹ごし豆腐を崩して連続的に圧密成型する木綿豆腐から一丁ずつ切り出してパックに詰めて包装する連続量産ラインが多くなってきた。
【0004】
従来の豆腐のパック詰め装置の例として、例えば特許文献1及び特許文献2に開示された装置が存在する。特許文献1は、型枠豆腐を水槽内に移送する第1の移送コンベヤと、水槽内に移送された型枠豆腐を縦・横方向に順次カットするカット手段と、カットされた豆腐を順次水槽外へ移送する第2の移送コンベヤと、第2の移送コンベヤの下流以降に設置され、移送された豆腐を順次または複数同時にパック詰めするパック詰め手段を有する豆腐の自動連続パック詰め装置を開示している。
【0005】
特許文献2は、互いに向かい合う状態で配設された1対の挟持体を有するクランプを備え、それら1対の挟持体を相対接近させることで豆腐製品を挟んで保持する保持ヘッドと、その保持ヘッドを移動させるヘッド移動装置とを含んで構成され、豆腐製品を保持して搬送する豆腐製品搬送装置であって、前記クランプが、前記1対の挟持体の各々の豆腐製品との接触面に、保持した豆腐製品が滑り落ちることを防止するための滑り止め手段が設けられた豆腐製品搬送装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-006759号公報
【特許文献2】特開2014-226759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
豆腐のパック詰め装置においては、豆腐と豆腐を詰める前の空パックの相対的な位置決めを含む、相対的な関係を把握することにより、円滑な作業を達成することが可能となる。特許文献1は、空パックについてはカメラ等で姿勢情報等を把握しておらず、パックが欠落した場合や、パックの位置及び姿勢がずれていた場合でも、ロボットが空パックを把持したものとして、豆腐に被せる動作を行うため、円滑な被せ動作が行われない可能性がある。特許文献2は柔らかい豆腐を掴み、空パックに落とし込む方式を採るため、当然ながら高速動作は不可能であり、処理能力に限界がある。
【0008】
本発明は、豆腐のパック詰め作業を円滑に、かつ保健衛生的に優れた状態で作業を行うことを可能とする豆腐のパック詰め装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様である豆腐のパック詰め装置は、移送コンベヤの搬送面上で、前後左右に所定の間隔に整列された複数の豆腐に対して、パックの開口部を下向きにした状態で、当該パックを被せるパック被せ装置と、前記移送コンベヤの側方から、前記パック被せ装置に連続的にパックを供給するパック供給コンベヤと、前記パック供給コンベヤ上に連続的にパックを配置するパック供給マガジンと、を備え、前記パック供給マガジンは、前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックを支持する支持部材と、前記支持部材に支持された複数のパックのうち、最下段に配置された最下段パックを、他の積み重ねられたパックから、前記開口部を下向きにした状態で切り離す切り離し部材と、を備える。
【0010】
例えば、前記パック詰め装置において、前記パックは、前記開口部の周縁部から外側に延出したフランジ部を有し、前記切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部を有する。
【0011】
例えば、前記パック詰め装置において、前記差し込み部は、水平な第1面と、前記第1面の下方に位置し、前記第1面に対して傾斜した第2面と、を有し、前記第1面と前記第2面は、前記差し込み部の先端においてナイフエッジ形状を形成するように交わる。
【0012】
例えば、前記パック詰め装置において、前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部を有し、前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置をさらに備え、前記差し込み部の第1面は、前記最下段パック支持部に支持された前記最下段パックのフランジ部の上面よりも高く位置する。
【0013】
例えば、前記パック詰め装置において、前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部を有し、前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置をさらに備える。
【0014】
例えば、前記パック詰め装置において、前記駆動装置が、前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材に対し、水平方向の往復運動を付与し、前記切り離し部材による前記最下段パックの切り離しと、前記最下段パック支持部による次に積み重ねられたパックの支持とを繰り返す。
【0015】
例えば、前記パック詰め装置において、前記最下段パック支持部の水平方向の両側には、一対の前記切り離し部材が配置され、前記一対の切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部をそれぞれ有し、前記駆動装置は、前記最下段パック支持部及び前記一対の切り離し部材を同時に水平方向に移動させる。
【0016】
例えば、前記パック詰め装置において、前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックの前記最下段パックをそれぞれ支持する一対の最下段パック支持部を有し、前記切り離し部材は、水平方向の両端部に、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間にそれぞれ差し込まれる一対の差し込み部を有し、前記切り離し部材の水平方向の両側には、前記一対の最下段パック支持部が配置され、前記駆動装置は、一対の前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる。
【0017】
例えば、前記パック詰め装置において、前記パック供給マガジンは、切り離された前記最下段パックを下方で受け止めるパック受け部材と、前記パック受け部材が受け止めた前記最下段パックを、前記パック供給コンベヤ上に移動させるパック移動部材と、をさらに有する。
【0018】
例えば、前記パック詰め装置において、前記パック受け部材は、前記切り離し部材によって切り離された前記最下段パックを受け止める上方位置と、前記移送コンベアの搬送面が位置する高さの下方位置との間で、上下移動可能である。
【0019】
例えば、前記パック詰め装置において、前記支持部材は、前記フランジ部間の隙間が1mm以上となるように複数のパックを支持する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パック供給マガジンが、豆腐を詰める前の空パックを、開口部を下向きにした状態で連続的に供給する。よって、豆腐のパック詰め作業を円滑に、かつ保健衛生的に優れた状態で作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明が適用される豆腐のパック詰め装置の全体側面図及びその動作を示す図であり、(a)は連続したシート状豆腐を進行方向に沿って切断するとともに、複数丁の大きさで横切りする動作を示すと共に、ロボットが空パックを取り、所定の間隔に広げられた一丁の豆腐上に移動する動作を示し、(b)は複数丁の大きさで切断された豆腐を最終的に1丁分の大きさに横切りする動作を示すとともに、空パックを一丁の豆腐に被せる動作を示し、(c)は最終的に反転して、パックに豆腐が収容される動作を示すと共に、ロボットが再び空パックを取りに行く動作を示す。
【
図2】
図2は、本発明が適用される他の豆腐のパック詰め装置の全体側面図である。
【
図3】
図3は実施形態の豆腐のパック詰め装置を示し、パック被せ装置及びパック供給コンベヤの位置における側面図である。
【
図4】
図4は実施形態の豆腐のパック詰め装置を示し、パック被せ装置と、パック供給コンベヤと、パック供給マガジンを含む上面図である。
【
図6A】
図6Aはパック供給マガジンの一部の側面図であって、パック供給マガジンからパック供給コンベヤにパックを配置する第1工程を示す。
【
図6B】
図6Bはパック供給マガジンの一部の側面図であって、パック供給マガジンからパック供給コンベヤにパックを配置する第2工程を示す。
【
図6C】
図6Cはパック供給マガジンの一部の側面図であって、パック供給マガジンからパック供給コンベヤにパックを配置する第3工程を示す。
【
図6D】
図6Dはパック供給マガジンの一部の側面図であって、パック供給マガジンからパック供給コンベヤにパックを配置する第4工程を示す。
【
図6E】
図6Eはパック供給マガジンの一部の側面図であって、パック供給マガジンからパック供給コンベヤにパックを配置する第5工程を示す。
【
図8】
図8はリム付きパックの斜視図であり、(a)は側面に凸条を有するパックを示し、(b)は凸条のないパックを示す。
【
図9】
図9はパック供給マガジンの変形例の一部を示す側面図である。
【
図10】
図10はパック供給マガジンの他の変形例の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した豆腐のパック詰め装置の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1(a)~(c)は本発明が適用される豆腐のパック詰め装置を示している。豆腐のパック詰め装置1は、周回する無端状の第1の移送コンベヤ3と、カット装置4と、周回する無端状の第2の移送コンベヤ5と、パック被せ装置20と、パック供給コンベヤ40と、せり上がりコンベヤ60と、反転装置30と、周回する無端状の第3の移送コンベヤ50とを備える。さらにパック詰め装置1は、
図3、
図4に示すパック供給マガジン70を備えている。
【0024】
第1の移送コンベヤ3は連続したシート状豆腐Aの先端を水槽2内に移送する。カット装置4は連続したシート状豆腐Aの先端から、一部水中から露出させた状態(半陸上の状態)で縦・横方向に適宜順次カットして1丁の豆腐A1・・に切断する。第2の移送コンベヤ5はカットされた各豆腐A1・・を、半陸上の状態で順次間隔を離して配列して移送する。パック被せ装置20は第2の移送コンベヤ5の上方に設置され、パック供給コンベヤ40によって移送された各豆腐A1・・に順次パックPを被せてパック詰めする。せり上がりコンベヤ60は水槽2からパックPを被せられた各豆腐A1を取り出す。反転装置30はせり上がりコンベヤ60の下流側に配置されパックP(豆腐A1・・に途中まで被った状態)を上下反転させる。第3の移送コンベヤ50は上下反転したパックPを次の加工工程(包装工程)に移送する。
【0025】
なお、本発明が適用される豆腐のパック詰め装置は、
図1(a)~(c)に示すような、水槽2を用いて、切断、整列工程の一部が水中で行われる半陸上の形態に限らず、
図2に示すような、水槽を有しない、切断、整列工程が全て陸上で行われる形態であってもよい。この場合、
図1(a)~(c)に示すような、せり上がりコンベア60は設ける必要がなく、また、切断工程の順序も任意で、一丁ずつ所定の間隔に整列されればよい。
【0026】
また、本願では、連続したシート状豆腐の進行方向を縦方向または列方向とし、その進行方向と直角に交わる方向を横方向または行方向とする。図中のXYZ座標系は、図面上において豆腐のパック詰め装置1の向きを明確にするための座標系であり、X軸は連続したシート状豆腐の進行方向(縦方向または列方向)、Y軸はX軸に直交するシート状豆腐の横方向または行方向、Z軸は、X軸及びY軸に直交する高さ方向にそれぞれ対応する。
【0027】
第1の移送コンベヤ3は、連続したシート状豆腐Aの先端を水槽2内に移送するためのものであり、水槽2の後ろ側の周縁部付近から受け渡し板6を介してシート状豆腐Aを水槽2の内部に導く。シート状豆腐Aはさらに第2の移送コンベヤ5に導かれるが、受け渡し板6の下流部分から第2の移送コンベヤ5の上流部分において、カット装置4により適宜一丁サイズにカットされる。カット装置4は、連続したシート状豆腐Aを進行方向(縦方向)に沿って切断するロールカッタ4aと、複数丁(本例では2丁;
図1(b)、(c)参照)の大きさで横切りする横切りカッタ4bと、横切りカッタ4bによって複数丁の大きさで切断された豆腐を最終的に1丁分の大きさに横切りする横切り部材4c(
図1(b)、(c)参照)とを含む。ただし、カット装置4の具体的な構造等は特に限定されず、一度に格子状の切断刃で1丁単位(最小単位)のサイズに切断してもよい。
【0028】
第2の移送コンベヤ5は水槽2の内部に設置されており、カットされた各豆腐A1・・を、半陸上の状態、すなわち、各豆腐A1の上部のみを水から露出させた状態で、順次間隔を離して配列して移送する。パック被せ装置20は、第2の移送コンベヤ5によって搬送される各豆腐A1の水から露出した部分に対しパックPを被せる。パックPはパック供給コンベヤ40によってパック被せ装置20に連続的に供給される。パック被せ装置20とパック供給コンベヤ40については、後に詳述する。尚、
図1(a)~(c)、
図2では、パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の進行方向(豆腐の進行方向)と平行に配置されているように図示されているが、
図3以降で示すように実際の実施形態では、パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の進行方向と交わるように、より具体的には第2の移送コンベヤ5の進行方向に対し、概ね横切って交わる方向(上から見て直角に交差する方向)となるよう配置されている。
【0029】
せり上がりコンベヤ60は水槽2からパックPを被せられた各豆腐A1を取り出し、反転装置30へ移送する。反転装置30はせり上がりコンベヤ60の下流側に配置されパックP(豆腐A1・・に途中まで被った状態)を上下反転させる。第3の移送コンベヤ50は上下反転したパックPを次の加工工程(包装工程)に移送する。
【0030】
豆腐のパック詰め装置1において、各種の装置は生産中に停止せず、一定速度で同調して連続動作するのが一般的であるが、同期同調して断続運転をしてもよい。
【0031】
次に、パック被せ装置20について説明する。パック被せ装置20は、
図3に示すように、モータ5mにより駆動される第2の移送コンベヤ5の上方において、基台である支持レール21がコンベヤ幅方向に掛渡されている。そして、この支持レール21に、移動基台部22がスライド可能に設けられ、この移動基台部22にパラレルリンク機構23が設けられている。すなわち、パック被せ装置20は、パックPを把持する先端把持部23bを三次元的に駆動する3本のリンクシャフト23aを含むパラレルリンク機構23を備えたロボットである。また、先端把持部23bは、パックPを吸盤で吸引吸着する吸着式或いは2~4本指の鉗子を備えて挟み込むチャック式、更にはこれらを組み合わせた把持構造とすることができ、パックの向きを同じにしてしっかり把持できる方式であれば、特に限定しない。移動基台部22や先端把持部23bにも水平回転軸や垂直回転軸を設け、合計4~6個の制御軸を設けてもよい。またパラレルリンク機構が好ましいが、そのほか、後に述べるようなスカラー式ロボットでもよく、1分間に200~300mmの水平距離を100回往復(サイクル)以上(100CPM;サイクル・パ-・ミニッツの略)の動作可能な高速型ロボットであればよい。好ましくは1分間に0.5~1.5mの水平距離を100回往復以上(100CPM;サイクル・パ-・ミニッツの略)の動作可能な高速型ロボットであれば一層によい。
【0032】
なお、基台である支持レール21が第2の移送コンベヤ5より高い位置に存在することにより、省スペースを達成するとともに、例えば支持レール21によって囲まれる空間をカバー等で覆うことにより、内部の第2の移送コンベヤ5やその他の機器の洗浄が容易となる。例えば、CIP洗浄除菌やSIP殺菌(蒸気殺菌)の可能な洗浄用ノズル等により当該空間を洗浄することにより、豆腐が直接接触するコンベヤや各種の部品の洗浄除菌や殺菌を行うとともに、ホコリや汚れ、異物なども洗い落とすことができる。各種のロボットやコンベヤは食品用洗浄剤や除菌剤に対する防食性や、防塵性防水性が高いIP65以上の規格(JIS C 0920-1993)をパスしたものが好ましい。また、生産中も蒸気を吹き込み、温調により庫内を60~100℃に保温することが好ましい。また、パラレルリンク機構23の下方に異物混入防止用の受け皿等の部材を設けてもよいし、パラレルリンク機構23自体が異物発生の起きない食品産業向けの仕様であってもよい。
【0033】
また、パック被せ装置20には、搬送面5s上を流れる各豆腐A1・・を撮像する画像センサ(カメラ装置)24が移動基台部22に設けられている。この画像センサ24により撮像された各豆腐A1・・の位置に合わせ各豆腐A1・・のパックPを正確に被せることができる。また、必要に応じて画像センサ用の照明部材を適宜設けるようにしても良い。
【0034】
また、パラレルリンク機構23は、コンベヤ幅方向左右に一台設置されている。ここで、パック被せ装置20の水平方向の移動範囲は、例えば、豆腐A1・・の配列幅が1.0メートルから3.0メートルの範囲であるので、0.5メートルから1.5メートルの範囲に設定され、動作精度は、±2.0ミリメートル以内、好ましくは±0.2ミリメートル、より好ましくは±0.02ミリメートル以内である。ただし、パラレルリンク機構23の数は特に限定されない。
【0035】
また、本実施形態のパラレルリンク機構(のロボット)23や図示しないスカラー機構(のロボット)は、例えば、0.2~3m、好ましくは0.5~1.5mの水平距離を水平往復で100往復(100CPM)以上の高速処理能力(高速駆動可能な能力)を有しているロボットが望ましい。本明細書で云う高速処理とは、一台のパック被せ装置20で1時間あたり4000~6000丁かそれ以上の処理能力を云う。二台あればその倍の処理能力になる。なお同等以上の高速処理可能であれば多関節型(シリアルリンク機構)のロボットでもよい。
【0036】
次にパック供給コンベヤ40について説明する。本実施形態において、パックPの供給は、第2の移送コンベヤ5の幅方向に隣接して設けられたパック供給コンベヤ40によって行われる。パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の側方からパック被せ装置20に連続的にパックを供給する。例えば、パック被せ装置20の台数と同じ台数のパック供給コンベヤ40を設けることができる。また、パック供給コンベヤ40に、パックPの状態を検出可能な画像センサを設けてもよい。
【0037】
本実施形態のパック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の上方まで延設され、パック被せ装置20(パラレルリンク機構23)が配置された位置までパックPを連続的に供給する。これにより、パック被せ装置20(パラレルリンク機構23)が大きく移動することなくパックPを把持することができ、作業時間を短縮することができる。
【0038】
また、パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の進行方向に交わる方向に沿ってパックPを供給し、特に実施形態では、パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の進行方向に対して上方からみて直角方向に重なるようにパックPを供給する。これにより、パック供給コンベヤ40は効率的にパック被せ装置20にパックPを供給することができる。
【0039】
さらにパック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の側方であって、後述するパック供給マガジン70に隣接する位置に配置された周回する無端状の第1のパックコンベヤ41と、第2の移送コンベヤ5の上方に配置され、第1のパックコンベヤ41から供給されたパックPをパック被せ装置20に供給する周回する無端状の第2のパックコンベヤ42と、第1のパックコンベヤ41と第2のパックコンベヤ42とを接続し、パックPを第1のパックコンベヤ41から第2のパックコンベヤ42へ搬送する無端状の第3のパックコンベヤ43と、を備える。第1のパックコンベア41、第3のパックコンベア43、第2のパックコンベア42の順に搬送速度を上げることで、搬送されるパックPの間隔を広げることができ、パラレルリンク機構23がパックPを把持し易くなる。なお、第3のパックコンベア43を設けずに、第1のパックコンベア41から第2のパックコンベア42へパックPを受け渡すようにしてもよく、その場合も、第1のパックコンベア41よりも第2のパックコンベア42の搬送速度のほうが速い。
【0040】
図3はパラレルリンク機構23が第2のパックコンベヤ42からパックPを把持して持ち上げるタイミングの状態を示している。
図4はパラレルリンク機構23が把持したパックPを各豆腐A1に被せるタイミングの状態を示している。
【0041】
次にパック供給マガジン70について説明する。上述した様に、パック被せ装置20は、第2の移送コンベヤ5の搬送面上で、前後左右に所定の間隔に整列された複数の豆腐A1・・に対して、パックPの開口部を下向きにした状態で、当該パックPを被せる。パック供給コンベヤ40は、第2の移送コンベヤ5の側方から、パック被せ装置20に連続的にパックPを供給する。そして、パック供給マガジン70は、パック供給コンベヤ40上に連続的にパックPを配置する役割を果たす。
【0042】
図3、
図4に示す様に、パック供給マガジン70は、外形箱型の形状を備え、複数のパックPを上下方向に積み重ねてそれぞれ収納する、Y軸方向に沿って並んだ複数のパック収納部70aを有する。パック供給マガジン70は、内部に複数のパックPを、その開口部が下向きになる様に支持するとともに、複数のパックPのうち特定のパックPをパック供給コンベヤ40上に配置する。
【0043】
図5は、パック供給マガジン70の上面図を示す。パック供給マガジン70は、パック供給コンベヤ40の第1のパックコンベヤ41に隣接するように配置される。パック供給マガジン70は、その開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックPを支持する支持部材71を備える。支持部材71は、例えば、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のいずれかに延びる複数の金属フレームを組み合わせることにより形成される。
【0044】
図6Aは、パック供給マガジン70の一部の側面図である。本図は、
図5において右側から視認した場合の側面図である。複数のパックPは、開口部を下向きにした状態で、
図5の紙面に垂直な高さ方向、すなわちZ軸方向に積み重ねられている。パックPは、開口部P1の周縁部から外側に延出したフランジ部Fを有している。上側のパックPが、開口部P1から下側のパックPの本体に被さることにより、パックPは積み重ねられ、各パックPのフランジ部Fが高さ方向で隣接する様に積み重なっている。
【0045】
支持部材71は、積み重ねられた複数のパックPのうち、最下段に配置された最下段パックPAを支持する最下段パック支持部71aを有する。最下段パック支持部71aは、例えば支持部材71のY軸方向に延びるフレーム部品71bに取り付けられた樹脂製で棒状の部材であり、下側から最下段パックPAのフランジ部Fを支持する。
【0046】
パック供給マガジン70は、さらに、切り離し部材72と、パック受け部材73と、パック移動部材74と、を備える。切り離し部材72は、最下段に配置された最下段パックPAを、他の積み重ねられたパックPから、開口部P1を下向きにした状態で切り離す。パック受け部材73は、切り離し部材72によって切り離された最下段パックPAを下方で受け止める。パック移動部材74は、パック受け部材73が受け止めた最下段パックPAを、パック供給コンベヤ40の第1のパックコンベヤ41上に移動させる。
【0047】
切り離し部材72は、モータ等によって構成される駆動装置76により、水平方向(X軸方向)に移動可能である。切り離し部材72は、駆動装置76の駆動による積み重ねられた複数のパックPへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックPの二つのフランジ部Fの間の隙間に差し込まれる差し込み部75を有する。
【0048】
差し込み部75は、パックPのフランジ部Fに対し平行に延びる水平な第1面75aと、第1面75aの下方に位置し、第1面75aに対して傾斜した第2面75bと、を有する。また、第1面75aと第2面75bは、差し込み部75の先端75cにおいて、ナイフエッジ形状を形成するように交わっている。第2面75bの傾斜は直線のほか、略直線状の湾曲線や屈曲線であってもよい。
即ち、切り離し部材72は、鉋の刃に相当し、鉋掛けのように、積み重ねられた複数のパックPからパックPを1つずつ切り出すように機能する。
【0049】
また、差し込み部75の先端75cはパックPのフランジ部Fを傷つけないよう、鋭利というより、0.1~0.5mm程度のC面(角面)、R面(丸面)、糸面取りなどの面取りを施すことが好ましい。またパックPとの摺動する部分は、滑らかな鏡面(面粗さRa5nm以下、好ましくはRa2nm以下、更に好ましくはRa1nm以下である)の鏡面仕上げに加工することが好ましく、バフ研磨や電解研磨など加工手段は限定されない。
【0050】
切り離し部材72の素材は特に限定されないが、パックPのフランジ部Fと摺動するため、フランジ部Fを傷つけにくい材料であることが好ましい。具体的な素材としては、例えば、ステンレスやチタン、アルミニウム等の金属材料であってもよいし、UHMW(超高分子ポリエチレン)、MC(モノマーキャスト)ナイロン、PP(ポリプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂材料が適宜選択される。
【0051】
上述した様に支持部材71は、最下段パックPAを下方から支持する最下段パック支持部71aを有している。そして、最下段パック支持部71aと切り離し部材72とが、水平方向に並んで配置されている。最下段パック支持部71aと切り離し部材72は、例えば、支持部材71を構成するフレームのうち、駆動装置76によって移動可能なY軸方向に延びるフレーム部品71bに取り付けられる。これにより、駆動装置76は、最下段パック支持部71a及び切り離し部材72を同時に水平方向に移動させることができる。
なお、駆動装置76による駆動としては、エアシリンダや電動シリンダ(リニアアクチュエータ)による往復駆動、サーボモータやロータリーエンコーダ等の回転駆動をボールねじやカムによって変換した往復駆動などが適用できる。
【0052】
また、最下段パック支持部71aと切り離し部材72のフレーム部品71bへの取り付けに際して、差し込み部75の第1面75aは、最下段パック支持部71aの上面よりも高く、実際には、最下段パック支持部71aに支持された最下段パックPAのフランジ部Fの上面よりも高く位置する。より具体的には、差し込み部75の第1面75aは、最下段パックPAの周縁のフランジ部Fの厚み(例えば、0.3~1mm)より+0.1mm以上高くなるように、フレーム部品71bに取り付けられる。
【0053】
次に、
図6A~
図6Eを用いて、パック供給マガジン70からパック供給コンベヤ40の第1のパックコンベヤ41に、パックPを配置する手順について説明する。
図6Aは本手順の第1工程を示し、
図6Bは本手順の第2工程を示し、
図6Cは本手順の第3工程を示し、
図6Dは本手順の第4工程を示し、
図6Eは本手順の第5工程を示す。
【0054】
図6Aの第1工程は初期状態に相当する。切り離し部材72は後退位置に位置しており、パックPから離れている。パック受け部材73は下降位置に位置しており、第1のパックコンベヤ41と同じ高さに位置している。パック移動部材74は後退位置に位置している。
【0055】
図6Bの第2工程では、駆動装置76が駆動して、切り離し部材72を矢印で示す様に前進移動させる。最下段パック支持部71aと切り離し部材72は、移動可能なY軸方向に延びるフレーム部品71bに取り付けられているため、最下段パック支持部71aと切り離し部材72は、連動して水平方向に前進移動する。
【0056】
最下段パック支持部71aと切り離し部材72の前進により、最下段パックPAのフランジ部Fの一端が、最下段パック支持部71aの支えから脱落するため、最下段パックPAは、切り離し部材72に向かう方向において下方向に傾斜する。最下段パックPAの傾斜により、最下段パックPAのフランジ部Fと次のパックP(最下段パックPAの直上のパック)のフランジ部Fとの間の隙間が広がり、大きな隙間G1が形成される。そして、前進してきた切り離し部材72の差し込み部75の先端部分が、その先端75cから隙間G1に差し込まれる。このとき、差し込み部75の第1面75aは、次のパックPのフランジ部Fの下面と摺動しながら前進し、第2面75bは、最下段パックPAのフランジ部Fの一端と摺動しながら前進する。
【0057】
図6Cの第3工程では、第2工程からさらに前進した切り離し部材72が、最下段パックPAの下面の全体をカバーする位置に至る。これにより、最下段パックPAが他のパックPから切り離されて落下し、上昇してきたパック受け部材73が、切り離された最下段パックPAを、切り離し部材72の下方で受け止める。これにより、次のパックが下降し、最下段パックとなる。
【0058】
パック受け部材73は、
図6Bの第2工程の間に、図示せぬ昇降装置により、矢印で示す様に上昇する。上昇のタイミングは、第3工程の前まで、すなわち、切り離し部材72が最下段パックPAの下面の全体をカバーする位置に至る前までの任意のタイミングでよい。ただし、パック受け部材73は、切り離し部材72が最下段パックPAを他の積み重ねられたパックPから切り離す前までに、切り離し部材72の直下に移動可能である。これにより、パック受け部材73は、パックPが上下横方向に大きく揺れることなく、パックPを受け止めることができる。
【0059】
図6Dの第4工程では、図示せぬ昇降装置が、最下段パックPAを受け止めたパック受け部材73を、矢印で示す様に下降させ、パック受け部材73は、
図6Aの第1工程と同様に、第1のパックコンベヤ41の搬送面と同じ高さに位置する。また、任意のタイミングで、駆動装置76が駆動して、最下段パック支持部71aと切り離し部材72を後退させ、
図6Aの第1工程と同じ初期位置に戻る。
即ち、パック受け部材73は、切り離し部材72によって切り離された最下段パックPAを受け止める上方位置と、パック供給コンベア40の搬送面が位置する高さの下方位置との間で、上下移動可能である、
【0060】
図6Eの第5工程では、図示せぬ駆動装置が駆動して、パック移動部材74を矢印で示す様に前進移動させる。パック移動部材74は、例えば金属板を断面L字状に加工した形状を持つ。パック移動部材74は、矢印で示す様に、パック受け部材73が受け止めた最下段パックPAを押して、第1のパックコンベヤ41上に移動させる。第1のパックコンベヤ41上に移動した最下段パックPAは、第3のパックコンベヤ43、第2のパックコンベヤ42を経て、パック被せ装置20まで搬送される。なお、降下してきたパック受け部材73と第1のパックコンベヤ41との間には、パック供給マガジン70と第1のパックコンベヤ41との間の隙間を埋める受け部材77が配置されており、パック移動部材74、最下段パックPAは、受け部材77の上を通過して、第1のパックコンベヤ41上に移動する。
【0061】
図7は、
図6Dの第4工程において、右側から見た側面図であり、第1のパックコンベヤ41の図示は省略されている。上方で支持されている複数のパックPの鉛直下方向に、パック受け部材73(受け部材77の後方に位置)が位置する。なお、受け部材77、パック受け部材73は、最下段パックPAのフランジ部Fの両側において、凸状の案内部材78を有している。案内部材78は、パック移動部材74が、パック受け部材73に載置された最下段パックPAを押す際に、最下段パックPAが直線的に進むように案内して、第1のパックコンベヤ41上に円滑に移動させる役割を果たす。
【0062】
実施形態のパック詰め装置1においては、パック供給マガジン70が、豆腐を詰める前の空パックPを、開口部P1を下向きにした状態で連続的に供給する。すなわち、パックPを伏せて取り扱うため、豆腐のパック詰め作業を円滑に、かつ保健衛生的に優れた状態で作業を行うことができる。
【0063】
具体的には、開口部P1が下向きであるため、パックP内に異物(例えば人に付着したゴミ、髪の毛、環境からの落下ゴミ、虫等)が混入するリスクを極力減らし、保健衛生的に優れた状態で作業を行うことができる。また、伏せたパックPが装置の上方で支持されており、装置の下方で支持される形態に比べて、床との距離を確保し、浮遊菌、汚染水等の飛沫の付着を抑制しやすく、保健衛生的に優れている。さらに、開口部P1が下向きであるので、後工程で、パックPを豆腐Tにそのまま被せることができ、パックPを天地反転させる反転コンベアが不要となる。
【0064】
また、切り離し部材72の差し込み部75が、二つのフランジ部Fの間の隙間に差し込まれるため、最下段パックPAを他の積み重ねられたパックPから、円滑に切り離すことができる。
【0065】
特に差し込み部75において、第1面75aが、次のパックPのフランジ部Fの下面と摺動しながら前進し、第2面75bは、最下段パックPAのフランジ部Fの一端と摺動しながら前進する。よって、差し込み部75を、二つのフランジ部Fの間の隙間に円滑に差し込むことができる。
【0066】
さらに第1面75aと第2面75bは、先端75cにおいてナイフエッジ形状を形成しており、差し込み部75を、二つのフランジ部Fの間の隙間により円滑に差し込むことができる。
【0067】
また、最下段パック支持部71aと切り離し部材72とが水平方向に並んで配置され、駆動装置76が、最下段パック支持部71aと切り離し部材72を同時に水平方向に移動させるため、最下段パックPAを他の積み重ねられたパックPから、円滑に切り離すことができる。
【0068】
駆動装置76は、最下段パック支持部71a及び切り離し部材72に対し、水平方向の往復運動を付与し、切り離し部材72による最下段パックPAの切り離しと、最下段パック支持部71aによる次に積み重ねられたパックの支持とを繰り返す。これにより、最下段パックPAの切り離しを連続的かつ効率的に行うことができる。
【0069】
この水平往復運動は、支持部材71において積み重ねられたパックPがなくなるまで行われる。パックPがなくなって動作が終了し、パックPを再びパック供給マガジン70にセットして装置の動作が開始するまでの1サイクル時間t(秒)、連続的に同時に落下可能なパックの数n(供給マガジンの本数)、装置のパック処理能力C(個/時)は、以下の式(1)を満たす。
【0070】
C=n×3,600÷t
t=n×3,600÷C ・・・(1)
【0071】
以下に、具体的な数値の例を挙げる。
n=10の場合、C=3,000個/時、t=12秒
n=10の場合、C=4,500個/時、t=9秒
n=10の場合、C=6,000個/時、t=6秒
n=15の場合、C=3,000個/時、t=18秒
n=15の場合、C=4,500個/時、t=12秒
n=15の場合、C=6,000個/時、t=9秒
n=20の場合、C=3,000個/時、t=24秒
n=20の場合、C=4,500個/時、t=16秒
n=20の場合、C=6,000個/時、t=12秒
【0072】
パックの数nを増やすことにより、パック処理能力Cを上げるとともに、パックをセットするためのサイクル時間tを確保することができる。サイクル時間tは、5秒以上、より好ましくは10秒以上である。なお、支持部材71は、
図5に示す様に、例えばY軸方向に沿って複数個所に渡って複数のパック収納部70aのパックPを支持することができ、効率的に多数のパックPを供給できる。
【0073】
図8はリム付きパックPの斜視図であり、(a)は側面に凸条P3を有するパックを示し、(b)は凸条のないパックを示す。本図のパックPは、平面視(Z軸方向から見て)で四角形状(正方形、長方形)を有する。パックPが四角形状を有する場合、支持部材71をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に延びる複数の金属フレームを組み合わせることにより形成することができ、パック供給マガジン70を簡易な構成にすることができる。パックPは周縁にフランジ部を有すれば、平面視で円形、楕円形などの形状であって、寄せ豆腐やおぼろ豆腐用の容器であってもよい。
【0074】
支持部材71は、フランジ部F間の隙間が1mm以上、好ましくは3mm以上となるように複数のパックを支持することが好ましい。これにより、切り離し部材72の差し込み部75が二つのフランジ部Fの間の所定以上の隙間に差し込まれるため、最下段パックPAを他の積み重ねられたパックPから、円滑に切り離すことができる。
【0075】
大きな隙間を確保するため、パックPは
図8の様な、角部でフランジ部Fに隣接する位置に外側に膨出するリムRを有するリム付きパックであることが好ましい。リム付きパックの場合、フランジ部間の隙間は、一般的には5mm~6mmに設定される。
【0076】
パックPのフランジ部Fの厚み(特に角部における厚み≒成型前原反の厚み)は、0.3mm以上であればよいが、0.4mm以上であることが好ましく、0.8mm以上である、硬いパックであることがさらに好ましい。フランジ部の厚みは、一般的には0.5mm~1.5mmに設定される。
【0077】
なお、パックは平面視で円形状等であってもよい。また、パックは平面視で、二分割、四分割、六分割等、領域が分割された多分割型のパックでもよい。パックは紙パックであってもよい。
【0078】
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、パック受け部材73とパック移動部材74とを設けることで、パック供給マガジン70をパック供給コンベア40の側方に配置して、メンテナンス性の向上、レイアウトの自由度の向上を図っている。ただし、本発明は、これに限らず、切り離し部材72によって切り離された最下段パックPAをパック供給コンベア40(第1のパックコンベヤ41)に直接落下させてもよい。その際、第1のパックコンベヤ41は、一旦停止と駆動とを繰り返す断続運転が行われればよい。
また、上記実施形態のように、上下動するパック受け部材73を有する構成としてもよいが、最下段パックPAとパック受け部材73との落差を小さくして、パック受け部材73が上下動しないシンプルな形態としてもよい。
【0079】
また、パック供給マガジンは、上記実施形態のほか、
図9に示すように、支持部材71のY軸方向に延びるフレーム部品71bにおいて、最下段パック支持部71aの水平方向の両側に、差し込み部75が向かい合って設けられた一対の切り離し部材72が配置される構成であってもよい。
これにより、駆動装置76は、最下段パック支持部71a及び一対の切り離し部材72を同時に水平方向に移動させるので、一対の切り離し部材72がフレームの往復動作の往路と復路で最下段パックPAを切り離すことができ、少ない往復回数で、より効率よく、パックPを切り離して落下させ、機械部品の消耗や寿命を延ばすことができる。
【0080】
また、この場合も、一対の切り離し部材72の差し込み部75は、いずれも、積み重ねられた複数のパックPへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックPの二つのフランジ部Fの間の隙間に差し込まれるようにフレーム部品71bに取付けられる。
【0081】
また、2つのパック供給マガジン70がY軸方向に並んで配置されるような場合、
図10に示すように、支持部材71のY軸方向に延びるフレーム部品71bは、切り離し部材72の水平方向両側に、各パック収納部70aにおいて積み重ねられた複数のパックをそれぞれ支持する一対の最下段パック支持部71aを有する。また、切り離し部材72は、水平方向の両端部に、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間にそれぞれ差し込まれる一対の差し込み部75を有する。
【0082】
したがって、Y軸方向に延びるフレーム部品71bにおいて、一対の最下段パック支持部71aが、切り離し部材72の水平方向の両側に配置され、駆動装置76は、一対の最下段パック支持部71a及び切り離し部材72を同時に水平方向に移動させる。
【0083】
この場合も、一対の差し込み部75がフレームの往復動作の往路と復路で二つのパック収納部70aの最下段パックPAを切り離すことができ、少ない往復回数で、より効率よく、パックPを切り離して落下させ、機械部品の消耗や寿命を延ばすことができる。
【0084】
(1)移送コンベヤ(第2の移送コンベヤ5)の搬送面上で、前後左右に所定の間隔に整列された複数の豆腐(豆腐A1)に対して、パック(パックP)の開口部(開口部P1)を下向きにした状態で、当該パックを被せるパック被せ装置(パック被せ装置20)と、
前記移送コンベヤの側方から、前記パック被せ装置に連続的にパックを供給するパック供給コンベヤ(パック供給コンベヤ40)と、
前記パック供給コンベヤ上に連続的にパックを配置するパック供給マガジン(パック供給マガジン70)と、
を備え、
前記パック供給マガジンは、
前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックを支持する支持部材(支持部材71)と、
前記支持部材に支持された複数のパックのうち、最下段に配置された最下段パック(最下段パックPA)を、他の積み重ねられたパックから、前記開口部を下向きにした状態で切り離す切り離し部材(切り離し部材72)と、
を備える豆腐のパック詰め装置(豆腐のパック詰め装置1)。
これにより、パック供給マガジンが、豆腐を詰める前の空パックを、開口部を下向きにした状態で連続的に供給する。よって、豆腐のパック詰め作業を円滑に、かつ保健衛生的に優れた状態で作業を行うことができる。
【0085】
(2)(1)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パックは、前記開口部の周縁部から外側に延出したフランジ部(フランジ部F)を有し、
前記切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部(差し込み部75)を有する、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、切り離し部材の差し込み部が二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれるため、最下段パックを他の積み重ねられたパックから、円滑に切り離すことができる。
【0086】
(3)(2)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記差し込み部は、水平な第1面(第1面75a)と、
前記第1面の下方に位置し、前記第1面に対して傾斜した第2面(第2面75b)と、を有し、
前記第1面と前記第2面は、前記差し込み部の先端(先端75c)においてナイフエッジ形状を形成するように交わる、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、差し込み部を、二つのフランジ部の間の隙間に円滑に差し込むことができる。
【0087】
(4)(3)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部(最下段パック支持部71a)を有し、
前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、
前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置(駆動装置76)をさらに備え、
前記差し込み部の第1面は、前記最下段パック支持部に支持された前記最下段パックのフランジ部の上面よりも高く位置する、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、最下段パック支持部と切り離し部材とが水平方向に並んで配置され、駆動装置が、最下段パック支持部と切り離し部材を同時に水平方向に移動させるため、最下段パックを他の積み重ねられたパックから、円滑に切り離すことができる。
【0088】
(5)(1)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記最下段パックを支持する最下段パック支持部(最下段パック支持部71a)を有し、
前記最下段パック支持部と前記切り離し部材とが、水平方向に並んで配置され、
前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる駆動装置(駆動装置76)をさらに備える、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、最下段パック支持部と切り離し部材とが水平方向に並んで配置され、駆動装置が、最下段パック支持部と切り離し部材を同時に水平方向に移動させるため、最下段パックを他の積み重ねられたパックから、円滑に切り離すことができる。
【0089】
(6)(5)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記駆動装置が、前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材に対し、水平方向の往復運動を付与し、前記切り離し部材による前記最下段パックの切り離しと、前記最下段パック支持部による次に積み重ねられたパックの支持とを繰り返す、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、最下段パックの切り離しを連続的かつ効率的に行うことができる。
【0090】
(7)(5)又は(6)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記最下段パック支持部の水平方向の両側には、一対の前記切り離し部材が配置され、
前記一対の切り離し部材は、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間に差し込まれる差し込み部をそれぞれ有し、
前記駆動装置は、前記最下段パック支持部及び前記一対の切り離し部材を同時に水平方向に移動させる、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、一対の切り離し部材が往復動作の往路と復路で最下段パックを切り離すことができ、少ない往復回数で、より効率よく、パックを切り離して落下させ、機械部品の消耗や寿命を延ばすことができる。
【0091】
(8)(5)又は(6)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記支持部材は、前記開口部を下向きにした状態で積み重ねられた複数のパックの前記最下段パックをそれぞれ支持する一対の最下段パック支持部を有し、
前記切り離し部材は、水平方向の両端部に、積み重ねられた複数のパックへの接近に伴い、積み重ねられた二つのパックの二つのフランジ部の間の隙間にそれぞれ差し込まれる一対の差し込み部を有し、
前記切り離し部材の水平方向の両側には、前記一対の最下段パック支持部が配置され、
前記駆動装置は、一対の前記最下段パック支持部及び前記切り離し部材を同時に水平方向に移動させる、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、一対の差し込み部が往復動作の往路と復路で二つのパック収納部の最下段パックを切り離すことができ、少ない往復回数で、より効率よく、パックを切り離して落下させ、機械部品の消耗や寿命を延ばすことができる。
【0092】
(9)(1)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パック供給マガジンは、
切り離された前記最下段パックを下方で受け止めるパック受け部材(パック受け部材73)と、
前記パック受け部材が受け止めた前記最下段パックを、前記パック供給コンベヤ上に移動させるパック移動部材(パック移動部材74)と、をさらに有する、
これにより、メンテナンス性の向上と、パック供給マガジンとパック供給コンベアのレイアウトの自由度の向上を図ることができる。
【0093】
(10)(9)に記載の豆腐のパック詰め装置であって、
前記パック受け部材は、前記切り離し部材によって切り離された前記最下段パックを受け止める上方位置と、前記ハック供給コンベアの搬送面が位置する高さの下方位置との間で、上下移動可能である、
豆腐のパック詰め装置。
これにより、パック受け部材は、パックが上下横方向に大きく揺れることなく、パックを受け止めることができる。
【0094】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0095】
1 豆腐のパック詰め装置
3 第1の移送コンベヤ
5 第2の移送コンベヤ(移送コンベヤ)
20 パック被せ装置
21 支持レール
22 移動基台部
23 パラレルリンク機構
24 画像センサ
30 反転装置
40 パック供給コンベヤ
41 第1のパックコンベヤ
42 第2のパックコンベヤ
43 第3のパックコンベヤ
70 パック供給マガジン
71 支持部材
71a 最下段パック支持部
72 切り離し部材
73 パック受け部材
74 パック移動部材
75 差し込み部
75a 第1面
75b 第2面
75c 先端
76 駆動装置
77 受け部材
78 案内部材
A 連続したシート状豆腐
A1 1丁単位の豆腐
F フランジ部
P パック
PA 最下段パック
P1 開口部
P3 凸条
R リム
T 一丁単位に切断された豆腐