(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019876
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】入力機器
(51)【国際特許分類】
G05G 5/03 20080401AFI20250131BHJP
A63H 5/04 20060101ALI20250131BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20250131BHJP
G05G 1/02 20060101ALI20250131BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
G05G5/03 Z
A63H5/04 Z
G06F3/01 560
G05G1/02 F
G05G25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123751
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】510072571
【氏名又は名称】株式会社丸和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 豊
(72)【発明者】
【氏名】古内 祐二
【テーマコード(参考)】
2C150
3J070
5E555
【Fターム(参考)】
2C150CA13
2C150DF01
2C150DF33
2C150DK18
2C150EB37
2C150EF16
2C150EF23
2C150FA42
3J070AA07
3J070BA19
3J070CB02
3J070CC71
3J070DA46
5E555AA08
5E555BA08
5E555BB08
5E555BC01
5E555CA17
5E555CB59
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザに感じさせる手応えを様々に変更可能な入力機器を提供すること。
【解決手段】入力機器は、移動子314と、前記移動子314に対向して配置された固定子313とを有するアクチュエータ31と、ユーザの身体により加えられた押圧力を前記移動子314に伝達する伝達体34と、前記移動子314と前記固定子313とを挟んで前記伝達体の反対側に配置された圧力センサ37とを備え、前記アクチュエータ31は、前記圧力センサ37が検出した押圧力に基づいて生成された駆動信号により前記移動子314を移動させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動子と、前記移動子に対向して配置された固定子とを有するアクチュエータと、
ユーザの身体により加えられた押圧力を前記移動子に伝達する伝達体と、
前記移動子と前記固定子とを挟んで前記伝達体の反対側に配置された圧力センサとを備え、
前記アクチュエータは、前記圧力センサが検出した押圧力に基づいて生成された駆動信号により前記移動子を移動させる
入力機器。
【請求項2】
前記圧力センサからの信号を出力する圧力センサ端子と、
前記アクチュエータに駆動信号を入力するアクチュエータ端子とを備える
請求項1に記載の入力機器。
【請求項3】
前記圧力センサが検出した押圧力に基づいて駆動信号を生成する制御回路を備える
請求項1に記載の入力機器。
【請求項4】
前記圧力センサが検出した押圧力に基づいて制御される被制御物に接続された
請求項1に記載の入力機器。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記移動子と前記固定子との間に配置された形状記憶合金ワイヤの収縮により動作する衝撃駆動型アクチュエータである
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の入力機器。
【請求項6】
前記移動子の移動により、前記ユーザの身体に触覚フィードバックを行なう
請求項5に記載の入力機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の情報機器のタッチパネルを透明板で覆い、ユーザが透明板を介してタッチパネルを操作した場合に、衝撃駆動型のアクチュエータを用いて透明板を動作させる触覚付与装置が提案されている(特許文献1)。タッチパネルの操作が受け付けられたことを、透明板の動作を介してユーザにフィードバックする、いわゆる触覚フィードバック機能を様々なタッチパネル方式の情報機器に付加できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえばタクタイルスイッチ、押しボタンスイッチおよびフットスイッチ等の、タッチパネル以外の様々な入力機器が使用されている。これらの入力機器においては、たとえば板バネ、コイルバネおよびダンパーのような部品を組み合わせた機械式の構造を用いて、操作した際の手応えをユーザに感じさせる。しかしながら機械式の構造では、ユーザに感じさせる手応えを様々に変更することは難しい。
【0005】
一つの側面では、ユーザに感じさせる手応えを様々に変更可能な入力機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
入力機器は、移動子と、前記移動子に対向して配置された固定子とを有するアクチュエータと、ユーザの身体により加えられた押圧力を前記移動子に伝達する伝達体と、前記移動子と前記固定子とを挟んで前記伝達体の反対側に配置された圧力センサとを備え、前記アクチュエータは、前記圧力センサが検出した押圧力に基づいて生成された駆動信号により前記移動子を移動させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、ユーザに感じさせる手応えを様々に変更可能な入力機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図2におけるIII-III線による拡大断面図である。
【
図6】アクチュエータ、アクチュエータケース、伝達体および圧力センサの半断面図である。
【
図10】レバーを押し込んだ状態を説明する説明図である。
【
図11】入力機器の制御回路を説明する説明図である。
【
図12】押圧力と駆動信号との関係の例を示す表である。
【
図13】実施の形態2の玩具を説明する説明図である。
【
図16】実施の形態3の入力機器の分解斜視図である。
【
図17】ボタンを押し込んだ実施の形態3の入力機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、入力機器10の斜視図である。本実施の形態の入力機器10は、被制御物18(
図11参照)に接続して使用される。入力機器10は、略直方体形状であり、略長方形箱型の外ケース50と、外ケース50の開口部を覆う蓋21と、レバー60とを備える。蓋21は、四本の外ケースネジ24により外ケース50に取り付けられている。ユーザが不用意に蓋21を外すことを防ぐために、外ケースネジ24は目隠し用のシール等により覆われていてもよい。
【0010】
レバー60は、外ケース50の一つの側面の大半の部分に対応する第1板601と、隣接する他の側面の一部に対応する第2板602とを備える略L字形である。第1板601のうち、第2板602に近い部分には、たとえば溝状の滑り止め603が設けられている。ユーザは、たとえば手指等の身体の一部で滑り止め603を押し込むことにより、被制御物18のON/OFF操作等を行なえる。外ケース50およびレバー60の形状の詳細については、後述する。
【0011】
図2は、蓋21を外した入力機器10の正面図である。
図3は、
図2におけるIII-III線による拡大断面図である。
図4は、入力機器10の分解斜視図である。
図5は、
図4におけるIV部拡大図である。
図1から
図5を使用して、入力機器10の構成の概要を説明する。
【0012】
図4に示すように蓋21には外ケースネジ24が挿通される4個のザグリ穴と、貫通するレバー軸穴211とが設けられている。
図4および
図5に示すように、外ケース50の内部には、内ケース40、アクチュエータケース33、アクチュエータ31、伝達体34および二本のコイルバネ27が収容されている。内ケース40は、第1板601側に開口部を向けた長方形箱型である。内ケース40の一方の短辺の外側に、二本のバネ保持柱43が設けられている
【0013】
内ケース40の底部から、開口部とは反対側に向かって固定板401が突出している。固定板401には、厚さ方向に貫通する二つの固定穴46(
図8参照)が設けられている。
図2に示すように、内ケース40は、固定穴46に挿通された内ケースネジ25により外ケース50に固定されている。内ケース40および外ケース50の形状の詳細については、後述する。
【0014】
内ケース40の内部に、アクチュエータケース33が収容されている。アクチュエータケース33は、第1板601側に開口部を向けた長方形箱型である。アクチュエータケース33の底面の中央部から、内ケース40の底部に向かって柱状の押圧突起331が突出している。
【0015】
アクチュエータケース33の側面に四本の摺動突起332が設けられている。それぞれの摺動突起332は、内ケース40の底部に対して垂直である。アクチュエータケース33は、内ケース40に対して内ケース40の開口から出入りする向き、すなわち摺動突起332の長手方向の向きに摺動可能である。
【0016】
アクチュエータケース33の内部に、略直方体形状のアクチュエータ31が収容されている。アクチュエータ31は、移動子314と、移動子314に対向して配置された固定子313とを備える。固定子313は、アクチュエータケース33に対して固定されている。アクチュエータ31は、駆動信号を印加する際に用いられるアクチュエータ基板312を備える。アクチュエータ基板312は、屈曲および折り曲げ可能なFPC(Flexible printed circuits:フレキシブルプリント基板)である。アクチュエータ31の構造の詳細については、後述する。
【0017】
図2に示すように、アクチュエータ基板312は外ケース50の外側に引き出されている。
図3に示すように、移動子314の一部は、アクチュエータケース33の開口部から突出している。
【0018】
図5に戻って説明を続ける。伝達体34は、長方形板状の伝達板342と、伝達板342の長辺から内ケース40側にそれぞれ突出する二枚の係合板343とを有する略U字板状である。伝達板342の中央部から係合板343とは反対方向に、角柱状の伝達突起341が突出している。係合板343の先端には、内向きに突出して内ケース40と係合する係合爪348と、係合板343の先端側に開口する略U字溝形状のセンサ溝344とが設けられている。
【0019】
圧力センサ37は、略円形の感圧部371と、感圧部371から延びる略長方形のセンサ基板372とを備える。センサ基板372は、屈曲および折り曲げ可能なFPCである。本実施の形態においては、センサ基板372は一か所で約90度の角度で折り曲げられている。
【0020】
図3に戻って説明を続ける。
図3は、レバー60が押し込まれておらず、アクチュエータ31が動作していない状態における入力機器10の断面を示す。
図3においては、入力機器10は、第1板601を上側にして、静置した状態である。
【0021】
内ケース40とアクチュエータケース33との間に、感圧部371が挟まれている。アクチュエータケース33は、自重により感圧部371に接触している。このとき、アクチュエータケース33の開口部の端面は、内ケース40の内側に位置している。アクチュエータ31は、移動子314の先端が内ケース40の端面よりも長さMだけ突出している。前述したように、アクチュエータケース33は内ケース40の内側で
図3における上下方向に摺動可能である。
【0022】
伝達体34と、内ケース40との間には、隙間が設けられており、伝達体34は係合爪348と内ケース40との係合が外れない範囲で内ケース40に対して
図3における上下方向に移動可能である。
図3においては、伝達体34は、自重により移動子314に接触している。
【0023】
第1板601から伝達突起341に向かって、略球形の先端部を有するレバー突起64が突出している。レバー突起64と伝達突起341との間隔を、長さLで示す。
【0024】
図2に戻って説明を続ける。
図5を使用して説明したバネ保持柱43と、レバー60に設けられたバネ保持柱43(
図8参照)との間に、二本のコイルバネ27が保持されている。
図2に示す状態では、コイルバネ27の長さはほぼ自然長である。
【0025】
アクチュエータ31から延びるアクチュエータ基板312と、感圧部371から延びるセンサ基板372とが、外ケース50の外側に引き出されている。図示を省略するが、アクチュエータ基板312の先端部には、FPCコネクタに差し込んで導通させることが可能なアクチュエータ端子が形成されている。同様にセンサ基板372の先端部には、FPCコネクタに差し込んで導通させることが可能な圧力センサ端子が形成されている。
【0026】
図6は、アクチュエータ31、アクチュエータケース33、伝達体34および圧力センサ37の半断面図である。
図6を使用して、アクチュエータ31の構成の概要を説明する。前述のとおり、アクチュエータ31は、移動子314と、移動子314に対向して配置された固定子313とを備える。
【0027】
移動子314と固定子313との間に、固定子ローラ315と移動子ローラ316とが交互に配置されている。固定子ローラ315は、固定子313に回動可能に取り付けられている。移動子ローラ316は、移動子314に回動可能に取り付けられている。固定子ローラ315と移動子ローラ316との間に、ワイヤ317が挟まれている。
【0028】
ワイヤ317の両端は、固定子313に固定されている。ワイヤ317の両端は、アクチュエータ基板312に設けられた配線にそれぞれ接続されている。ワイヤ317は、形状記憶合金ワイヤである。
【0029】
アクチュエータ基板312を介してワイヤ317の両端にパルス電圧が印加された場合、ワイヤ317はジュール熱により瞬時に発熱する。ワイヤ317は、温度が変態点を超えた場合に、瞬時に約4パーセントから5パーセント程度短くなる。ワイヤ317が短くなることにより、移動子ローラ316が固定子313から離れる向きに瞬時に移動する。移動子ローラ316の動きに伴い、移動子314も固定子313から離れる向きに瞬時に移動する。
【0030】
パルス電圧の終了に伴い、ジュール熱の発生は停止する。ワイヤ317に発生した熱は、固定子ローラ315および移動子ローラ316を介して外部に放散されて、ワイヤ317の温度は変態点以下に下がる。図示を省略する付勢バネの作用により移動子314は固定子ローラ315に向けて押され、アクチュエータ31は元の状態に戻る。
【0031】
以上に説明したとおり、アクチュエータ31は、アクチュエータ基板312を介してパルス電圧状の駆動信号が印加された場合に、移動子314が固定子313から離れる方向に瞬時に移動する、いわゆる衝撃駆動型アクチュエータである。パルス電圧の幅、最大電圧、およびパルス電圧を印加する回数等を変化させることにより、移動子314の動作状態を変化させることができる。
【0032】
図7は、外ケース50の斜視図である。前述のとおり、外ケース50は略長方形箱型である。外ケース50の側面は、
図7における上部と右上部においては切り欠かれている。外ケース50の底面には、側面が切り欠かれた部分に沿って略L字形状の薄肉部58が形成されている。
【0033】
上部の切り欠きの縁の近傍に、レバー軸穴51が配置されている。レバー軸穴51は、外ケース50の底面を貫通する丸穴である。
図7におけるレバー軸穴51の右側に、略四辺形のレバー保持部55が配置されている。レバー保持部55は、薄肉部58に形成されており、底が平らで、底と縁とが垂直な窪みである。
【0034】
図7の下側に示す側面には、センサ基板溝56およびアクチュエータ基板溝57が設けられている。センサ基板溝56は、内側にアクチュエータ基板312を配置可能な幅を有する略U字溝である。アクチュエータ基板溝57は、内側にセンサ基板372を配置可能な幅を有する略U字溝である。
【0035】
外ケース50の底面から、外ケース50の側面と同じ方向に四つのボスが突出している。ボスの突出高さは、側面の高さよりも若干低い。それぞれのボスの中央部には、外ケースネジ24が取り付けられる外ケースネジ穴52が形成されている。
【0036】
四個の外ケースネジ穴52により囲まれる四辺形の内側に、二個の内ケースネジ穴53と、円形の第1穴541と、長円形の第2穴542とが設けられている。第2穴542の短径は、第1穴541の内径と略同一である。内ケースネジ穴53、第1穴541および第2穴542は、いずれも外ケース50の底面を貫通していない。
【0037】
二個の内ケースネジ穴53の中心を結ぶ線は、外ケース50の底面の長辺と略平行である。第2穴542の長軸も、外ケース50の底面の長辺と略平行である。第1穴541の中心と、第2穴542の中心とを結ぶ線も、外ケース50の底面の長辺と略平行である。ここで第2穴542の中心は、第2穴542の長軸の中点を意味する。
【0038】
第1穴541の中心と、第1穴541に近い側の内ケースネジ穴53の中心とを結ぶ線は、外ケース50の底面の短辺と略平行である。第2穴542の中心と、第2穴542に近い側の内ケースネジ穴53の中心とを結ぶ線も、外ケース50の底面の短辺と略平行である。すなわち、二個の内ケースネジ穴53と、第1穴541と第2穴542は、それぞれの中心が略長方形を構成するように配置されている。
【0039】
図8は、内ケース40の斜視図である。前述のとおり内ケース40は、長方形箱型である。一方の長辺側の側面は、底面側に延びて固定板401を形成している。前述のとおり固定板401には、厚さ方向に貫通する二個の固定穴46が設けられている。
【0040】
長辺側の側面には、略長方形のケース凹部45が形成されている。
図5に示すように、固定板401が設けられていない側の側面では、ケース凹部45により内ケース40の側面が二分されている。
【0041】
図8に戻って説明を続ける。ケース凹部45は、内ケース40の開口側に配置された第1凹部451と、内ケース40の開口側から遠い第2凹部452とを含む。内ケース40の側面からみて、第2凹部452は第1凹部451よりも深く形成されている。第1凹部451と第2凹部452との境界部は、一段の階段状に形成されている。
【0042】
図2および
図5に示すように、ケース凹部45は、伝達体34の側面により覆われる。係合爪348が、第1凹部451と第2凹部452との間の段差に係合して、たとえば入力機器10が第1板601を下に向けて配置された場合であっても、伝達体34が内ケース40から外れて落下することが防止されている。
【0043】
第1凹部451と第2凹部452との境界に沿って、センサ穴42が設けられている。センサ穴42は、長手方向を底面に平行に配置した長穴である。センサ穴42の長手方向の側面のうち一方は、内ケース40の底面と同一平面上に配置されている。したがって、
図3に示すように、センサ穴42に挿通された感圧部371は、内ケース40の底面に平らな状態で保持される。
【0044】
内ケース40の短辺側の側面の一方から、内ケース40の底面と平行なバネ保持ベース44が突出している。バネ保持ベース44の、内ケース40の開口部側の面から、二本のバネ保持柱43が突出している。バネ保持柱43は、先端が若干細くなった略円柱形状である。バネ保持柱43の外径は、コイルバネ27の内径と略同一である。
【0045】
固定板401に連続している側面から、二個の固定突起47が突出している。固定突起47の外径は、
図7を使用して説明した第1穴541の内径と略同一である。二本の固定突起47が、第1穴541および第2穴542にそれぞれ嵌合することにより、外ケース50に対する内ケース40の位置決めが精度良く実現される。内ケース40が位置決めされた状態で、二本の内ケースネジ25が固定穴46を介して内ケースネジ穴53に締め込まれることにより、内ケース40が外ケース50に固定される。
【0046】
内ケース40の内面には、底面に垂直な四本の摺動溝48が設けられている。内ケース40にアクチュエータケース33を収容した場合、アクチュエータケース33の側面に設けられた摺動突起332が、摺動溝48内を摺動する。したがって、アクチュエータケース33は、内ケース40の開口から出入りする向きに摺動可能である。
【0047】
図9は、レバー60の斜視図である。前述の通りレバー60は、略長方形の第1板601と、第1板601の一方の短辺から突出する略長方形の第2板602とを備える略L字形である。第1板601の他方の短辺から第2板602と同じ方向に突出する短い略長方形板の二つの側面のそれぞれから、略円柱形状のレバー軸61が突出している。二本のレバー軸61の中心軸は、同一直線上に配置されている。
【0048】
前述のとおり、第1板601から、第2板602と同じ向きに、略球形の先端部を有するレバー突起64が突出している。レバー突起64と第2板602との間において、第1板601の一方の長辺の縁から、第2板602と同じ向きに略L字型の係止突起65が突出している。係止突起65の先端は、第1板601の外側に突出している。
【0049】
係止突起65と第2板602との間において、第1板601から、第2板602と同じ方向に二本のバネ保持柱63が突出している。バネ保持柱63は、先端が若干細くなった略円柱形状である。バネ保持柱63の外径は、コイルバネ27の内径と略同一である。前述のとおり、バネ保持柱63とバネ保持柱43との間に、コイルバネ27が保持される。
【0050】
一方のレバー軸61は、
図7を使用して説明したレバー軸穴51に挿通される。他方のレバー軸61は、蓋21に設けられたレバー軸穴211に挿通される。係止突起65の先端は、レバー保持部55に収容される。以上により、レバー60はレバー軸61を軸として回動可能に保持される。回動可能な範囲は、係止突起65とレバー保持部55とにより規制される。
【0051】
図10は、レバー60を押し込んだ状態を説明する説明図である。
図10を使用して、入力機器10の動作を説明する。ユーザは、たとえば手指等の身体の一部で滑り止め603を押し込む。レバー60は、レバー軸61を軸にして
図10における時計回りに回動する。レバー突起64は、長さL押し込まれた場合に伝達突起341に接触する。
【0052】
レバー60は、滑り止め603を力点、レバー軸61を支点、レバー突起64を作用点とする梃子の機能を果たす。したがって伝達体34は、ユーザが押圧する力よりも強い力で押し込まれる。
図3および
図6に示すように、伝達体34が移動子314に接触する。なお、前述の通り移動子314の先端が内ケース40の端面よりも長さMだけ突出している。したがって伝達体34は、内ケース40の端面に接触する前に、確実に移動子314に接触する。
【0053】
ユーザがさらにレバー60を押し込むことにより、移動子314が固定子313およびアクチュエータケース33が感圧部371に向けて押し込まれる。押圧突起331により感圧部371が押圧される。
【0054】
感圧部371により検出された圧力は、センサ基板372を介して後述する制御回路16(
図11参照)に伝達される。制御回路16からアクチュエータ基板312を介してアクチュエータ31にパルス電圧状の駆動信号が印加される。
【0055】
駆動信号によりワイヤ317が瞬時に収縮して、移動子314が固定子313から離れる方向に瞬時に動作する。移動子314の動作は、伝達突起341および伝達体34を介して、レバー60に伝達される。したがって滑り止め603を押し込んでいるユーザの手指に、移動子314の動作が伝達され、ユーザは触覚フィードバックを感知する。
【0056】
図11は、入力機器10の制御回路16を説明する説明図である。制御回路16は、センサ基板372およびアクチュエータ基板312がそれぞれ接続されるコネクタを備える。感圧部371で検出された圧力が、センサ基板372を介して制御回路16に入力される。制御回路16は、所定の関数または変換表等に基づいて、駆動信号を生成する。圧力と駆動信号との関係の例については、後述する。駆動信号は、アクチュエータ基板312を介してアクチュエータ31に印加される。
【0057】
制御回路16は、被制御物18に接続されるコネクタを備えても良い。制御回路16と被制御物18とは、無線通信を介して接続されていてもよい。制御回路16は、感圧部371で検出された圧力に基づいて被制御物18を制御する制御信号を生成する。制御信号は、被制御物18に入力される。
【0058】
制御信号は、ON-OFFの切り替え信号であっても、押圧力に応じて連続的に変化する信号であってもよい。感圧部371で検出された圧力が制御回路16を介さずに被制御物18に直接入力されてもよい。駆動信号と同一の信号が、被制御物18に入力されてもよい。
【0059】
制御回路16は、たとえば入力機器10と制御回路16との間に接続された、信号変換機能を有するハードウェアである。制御回路16は、ソフトウェアにより駆動信号を生成する情報機器であってもよい。制御回路16は、被制御物18に搭載されていてもよい。
【0060】
制御回路16は、入力機器10に内蔵されていてもよい。制御回路16が入力機器10に内蔵されている場合、センサ基板372およびアクチュエータ基板312は外ケース50の外に露出しない。
【0061】
図12は、押圧力と駆動信号との関係の例を示す表である。
図12には、No.1とNo.2との二種類の例を示す。
図12に示す関係は例示であり、押圧力と駆動信号との関係は、No.1およびNo.2に限定されるものではない。
【0062】
No.1に示す例では、感圧部371により検出された押圧力の大きさに基づいて、駆動信号の電圧が変化する。駆動信号のパルス幅W1は変化しない。駆動信号の電圧は、たとえば押圧力に応じて連続的に変化する。駆動信号の電圧は、押圧力に応じて二値または三値等の離散的な値に変化してもよい。
【0063】
No.2に示す例では、感圧部371により検出された押圧力の大きさに基づいて、駆動信号の電圧とパルス数とが変化する。例えば押圧力がF1である場合には、駆動信号は電圧V3、パルス幅W3の一パルスであり、押圧力がF2である場合には、駆動信号は電圧V4、パルス幅W4の五パルスである。
【0064】
滑り止め603に触れているユーザは、駆動信号のパルス数および電圧の大小を明確に感知するとは限らないが、触れている感触の相違は感知できる。
【0065】
本実施の形態によると、ユーザに感じさせる手応えを様々に変更可能な入力機器10を提供できる。滑り止め603を押し込む力の大小に基づいて、被制御物18がたとえば「ゆっくり動く」と「早く動く」等の二種類の動作を行なう場合を例にして説明する。押圧力と駆動信号との関係については、
図12のNo.1を使用する。
【0066】
滑り止め603を押し込む力が最初の閾値であるF1を超えて被制御物18が「ゆっくり動く」動作を開始するとき、
図12の一番上の行に示す駆動信号がアクチュエータ31に印加される。ユーザは、滑り止め603に触れている手指に軽い振動を感じる。
【0067】
滑り止め603を押し込む力が二つ目の閾値であるF1を超えて被制御物18が「早く動く」動作を開始するとき、
図12上から二番目の行に示す駆動信号がアクチュエータ31に印加される。ユーザは、滑り止め603に触れている手指に強い振動を感じる。
【0068】
以上により、ユーザが被制御物18の動作を目視してなくても、所望の押圧力を入力できたことを速やかに感知できる入力機器10を提供できる。一つの入力機器10で複数通りの入力を行なえるため、少ない数の入力機器10を使用して、被制御物18に対する様々な操作を行なえる。
【0069】
[実施の形態2]
本実施の形態は、入力機器10を内蔵する玩具70に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0070】
図13は、実施の形態2の玩具70を説明する説明図である。本実施の形態の玩具70は、トリガ71を備えるピストル型である。グリップ内に入力機器10が収容されている。トリガ71は、ユーザによりトリガ71が引かれた場合に、レバー60を押し込むように取り付けられている。
【0071】
グリップには、制御回路16およびスピーカ72も内蔵されている。スピーカ72は、本実施の形態における被制御物18の例示である。
【0072】
たとえばユーザが軽くトリガ71を引いた場合、アクチュエータ31からトリガ71に軽い衝撃が伝達される。スピーカ72からはピストルの発射音を模した音が出力される。
【0073】
たとえばユーザが強くトリガ71を引いた場合、アクチュエータ31からトリガ71に強い振動が伝達される。スピーカ72からは機関銃の発射音を模した音が出力される。
【0074】
以上により、トリガ71を引く力に応じて異なる動作をする玩具70を提供できる。
【0075】
なお制御回路16は、いったん駆動信号を出力した後は、圧力センサ37に加えられた押圧力に対して所定の不感時間の間反応しないように構成されていてもよい。所定の不感時間は、たとえば50ミリ秒程度である。不感時間を設けることにより、ユーザがトリガ71を引いている最中にアクチュエータ31からトリガ71に加えられた振動を圧力センサ37が検出して、制御回路16が駆動信号を出力することを防止できる。以上により、ユーザの意に反した動作を防止した玩具70を実現できる。
【0076】
なお不感時間は、実施の形態1の入力機器10が接続される制御回路16に設定されていてもよい。
【0077】
[実施の形態3]
本実施の形態は押しボタン型の入力機器10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0078】
図14は、実施の形態3の入力機器10の斜視図である。
図15は、実施の形態3の入力機器10の断面図である。
図16は、実施の形態3の入力機器10の分解斜視図である。本実施の形態の入力機器10は、外ケース50、ボタン75、伝達体34、アクチュエータ31、アクチュエータケース33、内ケース40およびベース板59を備える。
【0079】
外ケース50は、四角形の筒状である。ボタン75は、四角形の板の各辺から脚が延びる形状である。ベース板59は、外ケース50の一面を覆う板である。ベース板59の四隅は、外ケースネジ24により外ケース50に固定されている。
【0080】
内ケース40は、四角形の板の中央に長方形の箱が設けられた形状である。内ケース40は、二本の内ケースネジ25により、ベース板59に固定されている。内ケース40の中に、アクチュエータケース33およびアクチュエータ31が収容されて、伝達体34が被せられている。アクチュエータケース33、アクチュエータ31および伝達体34の形状は、実施の形態1とほぼ同一である。アクチュエータケース33とベース板59との間に、感圧部371が挟み込まれている。レバー突起64と伝達体34との間隔を、長さLで示す。
【0081】
内ケース40は、長方形の箱の長辺の外側に、二本のバネ保持柱43を備える。
図15に示すように、ボタン75はベース板59側に突出する伝達体34と、二本のバネ保持柱63とを備える。バネ保持柱43とバネ保持柱63との間にそれぞれコイルバネ27が保持されている。外ケース50は、コイルバネ27によりベース板59から離れる向きに付勢されている。
【0082】
図17は、ボタン75を押し込んだ実施の形態3の入力機器10の断面図である。レバー突起64が長さL押し込まれた場合に、レバー突起64と伝達体34とが接触する。レバー突起64が伝達体34およびアクチュエータ31を介してアクチュエータケース33をベース板59に向けて押し込むことにより、感圧部371に押圧力が加わる。押圧力に基づいて生成された駆動信号により、アクチュエータ31が動作する。
【0083】
本実施の形態によると、平たいボタン型の入力機器10を提供できる。複数個を並べて配置しやすい入力機器10を提供できる。
【0084】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0085】
特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらずあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0086】
10 入力機器
16 制御回路
18 被制御物
21 蓋
211 レバー軸穴
24 外ケースネジ
25 内ケースネジ
27 コイルバネ
31 アクチュエータ
312 アクチュエータ基板
313 固定子
314 移動子
315 固定子ローラ
316 移動子ローラ
317 ワイヤ(形状記憶合金ワイヤ)
33 アクチュエータケース
331 押圧突起
332 摺動突起
34 伝達体
341 伝達突起
342 伝達板
343 係合板
344 センサ溝
348 係合爪
37 圧力センサ
371 感圧部
372 センサ基板
40 内ケース
401 固定板
42 センサ穴
43 バネ保持柱
44 バネ保持ベース
45 ケース凹部
451 第1凹部
452 第2凹部
46 固定穴
47 固定突起
48 摺動溝
50 外ケース
51 レバー軸穴
52 外ケースネジ穴
53 内ケースネジ穴
541 第1穴
542 第2穴
55 レバー保持部
56 センサ基板溝
57 アクチュエータ基板溝
58 薄肉部
59 ベース板
60 レバー
601 第1板
602 第2板
603 滑り止め
61 レバー軸
63 バネ保持柱
64 レバー突起
65 係止突起
70 玩具
71 トリガ
72 スピーカ
75 ボタン