(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019965
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】船用横揺防止具
(51)【国際特許分類】
B63B 39/06 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
B63B39/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023132724
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】518446341
【氏名又は名称】藤山 美恵子
(72)【発明者】
【氏名】藤山 美恵子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シンプルな構造でありながら、どのような形態の小型船にも着脱自在に取り付けられ、椅子等にも使用できる船用横揺防止具を提供する。
【解決手段】船本体Fの上端部周囲の適所に設けるもので、架板の両側に上端部に架設すべく固定具2bを設けた防止具本体と、防止具本体の少なくとも一側に、架板の上面に設けスライド可能な減揺板3を垂直に支持する支持部4を設けたことを特徴とする船用横揺防止具。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船本体の上端部周囲の適所に設けるもので、架板の両側に上端部に架設すべく固定具を設けた防止具本体と、防止具本体の少なくとも一側に、架板の上面に設けスライド可能な減揺板を垂直に支持する支持部を設けたことを特徴とする船用横揺防止具。
【請求項2】
前記減揺板の一端に、係止部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の船用横揺防止具。
【請求項3】
前記架板に前記減揺板を係止する係止片を設けると共に、前記支持部は上部に支持片を両側に案内片を設けてなることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の船用横揺防止具。
【請求項4】
前記支持部に、減揺板を係止固定する固定片を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の船用横揺防止具。
【請求項5】
前記架板を左右スライド可能にすべく、スライド部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれか一項に記載の船用横揺防止具。
【請求項6】
前記減揺板の下部に、横揺防止部を設けてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5のいずれか一項に記載の船用横揺防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に小型船の波等による横揺れを防止する船用横揺防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、貫通した筒を水中から船上に引き上げて航行するが、該筒を吊下げているロープをポールから甲板又は船底に、滑車と共に一旦U字状様に引き上げて、緊急時には前記滑車に設けた滑車解放機構により該滑車を甲板又は船底から外して解放し、一気に余長を生じさせて、巨大波との遭遇時にも素早く減揺装置の該筒を水中に降下出来るようにして転覆を防ぐようにしたものがある。(特許文献1参照)
【0003】
また、従来の従来技術として、船体の両舷側に設けられた減揺板支持部材にそれぞれ減揺板の一端部が取り付けられて、減揺板全体が上下に回動するように、または、減揺板の他端側の部分が上下に弾性変形するようになされており、減揺板支持部材と減揺板が、これら全体が船体内または水面上に位置する格納状態と減揺板が水中に位置する作動状態とに切り換えられるようになされている船舶の横揺れ防止装置がある。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-162150号公報
【特許文献2】実公平7-22395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記前者は、大型船や巨大波に対応するものであり、本発明のような小型船で小波を減揺させるものではない。
【0006】
また、前記後者においては、一般に販売されている小型船には取り付けにくく、邪魔になり、本発明のような椅子としての使用もできないものである。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有する問題を解決しようとするもので、架板と固定具と減揺板等とからなるシンプルな構造でありながら、どのような形態の小型船にも着脱自在に取り付けられ、椅子等にも使用できる船用横揺防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、船本体の上端部周囲の適所に設けるもので、架板の両側に上端部に架設すべく固定具を設けた防止具本体と、防止具本体の少なくとも一側に、架板の上面に設けスライド可能な減揺板を垂直に支持する支持部を設けたこと。前記減揺板の一端に、係止部を設けてなること。前記架板に前記減揺板を係止する係止片を設けると共に、前記支持部は上部に支持片を両側に案内片を設けてなること。前記支持部に、減揺板を係止固定する固定片を設けたこと。前記架板を左右スライド可能にすべく、スライド部を設けたこと。前記減揺板の下部に、横揺防止部を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
1)、架板と固定具と減揺板と支持部によるシンプルな構造でありながら、小型船の船本体の上端部周囲の適所に架設して着脱自在に取り付けられ、横波等を減揺できる。
2)、椅子としても使用できる。
3)、減揺板は、横にスライドさせて、垂直に支持することにより、簡単に横波を減揺できる。
4)、支持部により、減揺板を確実に垂直に支持することができる。
5)、固定片により、より一層確実に減揺板を垂直に支持できる。
6)、架板を左右スライド可能にすべく、スライド部を設けることにより、船本体の幅に合わせて調整できる。
7)、横揺防止部により、一層横揺れを防止し、安定を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の第1実施例を示す船用横揺防止具の正面図。
【
図2】 本発明の第1実施例を示す船用横揺防止具の右側面図。
【
図3】 本発明の第1実施例を示す船用横揺防止具の平面図。
【
図4】 本発明の第1実施例を示す船用横揺防止具の使用状態図。
【
図5】 本発明の第2実施例を示す船用横揺防止具の支持部の正面図。
【
図6】 本発明の第2実施例を示す船用横揺防止具の支持部の平面図。
【
図7】 本発明の第3実施例を示す船用横揺防止具の架板要部の正面図。
【
図8】 本発明の第4実施例を示す船用横揺防止具の減揺板の正面図。
【
図9】 本発明の第4実施例を示す船用横揺防止具の減揺板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1は、小型の船本体の上端部周囲の適所に架設して取り付ける船用横揺防止具である。
2は、平板状の架板2aの両側に、船本体の上端部周囲に着脱自在に取り付けるべくボルトBによる固定具2b・2bを設けた防止具本体である。なお、必要に応じて、後述する減揺板のズレ止め用の係止片2c・2cを設けてある。
3は、架板2aの上面に設けた左右スライド可能な減揺板で、左端に上方に突出した係止部3aを設けてある。
4は、減揺板3を垂直に支持する支持部で、防止具本体2の一側面に設け、正面コの字形に形成し、上部に支持片4aを、両側に案内片4b―――(この実施例の場合、4箇所)を設けてある。(
図1・
図2・
図3)
【0012】
上記船用横揺防止具1の使用例について説明する。
小型船F(基本的には2~3人乗りの釣船や小型のヨットを想定している)の船本体FHの後部の上端部周囲Sに船用横揺防止具1を架設すべく、まず、両側の固定具2bを上端部周囲Sの上方より挿入し、ボルトBを締め付けて固定する。
その後、漁場等に着いて、例えば魚釣りをする前に減揺板3の係止部3aを摘んで横方向にスライドさせ、支持部4までスライドさせた後に、架板3を垂直に支持すべく係止部3aを支持部4の支持片4aと案内片4b―――に係止固定する。
【0013】
この状態で、横波Nが減揺板3に当り、小型船Fの横揺れを減揺できるものである。(
図4)
【0014】
つぎに、第2実施例の船用横揺防止具の支持部24について説明する。
この支持部24は、前記支持部4と同形で、上方の案内片4bの一方に円筒状の掛片4cを設け、反対側の案内片4bに多少弾性のあるフックワイヤー4dを設けてある。(
図5・
図6)
この支持部24は、フックワイヤー4dの先端を掛片4cに引っ掛けて減揺板3を確実に支持固定できるものである。
なお、必要に応じて上下に設けてもよい。
【0015】
つづいて、第3実施例の船用横揺防止具の架板32について説明する。
架板32は、左右にスライド可能にすべく、挿入孔を形成したスライド部5を設けてある。
これは、小型船の幅に合わせて調整できるものである。(
図7)
【0016】
最後に、第4実施例の船用横揺防止具の減揺板43について説明する。
この減揺板43は、下部に幅広(この実施例の場合、長方形状)の横揺防止部43aを設けてある。
これにより、一層横揺を防止できるものである。(
図8)
【0017】
上記各実施例において、各部材の材質は特に限定するものではなく、大きさや形状も、同様な機能を有するものであれば特に限定しない。
また、
【符号の説明】
【0018】
1―――船用横揺防止具
2―――防止具本体
3―――減揺板
4―――支持部
5―――スライド部
N―――横波
F―――小型船