(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020024
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】メモリ読み出し回路
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
G11C7/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024117116
(22)【出願日】2024-07-22
(31)【優先権主張番号】10 2023 120 085.2
(32)【優先日】2023-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル イェフレーモフ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ケアン
(72)【発明者】
【氏名】アルント フォイクトレンダー
(57)【要約】
【課題】読み取りアクセス時間が可能な限り最短であり、かつ読み出しウインドウが可能な限り大きいメモリ読み出し回路を提供する。
【解決手段】一実施形態は、セル電流によってメモリセルを読み出すためにメモリセルによって放電される容量を有する読み出しノードと、デジタル出力信号をもたらし、(読み出しノードの放電ゆえに)読み出しノードの電位がスイッチングしきい値と交差するときに(レベルおよび下向きまたは上向きの極性の選択に応じ、すなわちスイッチングしきい値をオーバーシュートしたか、あるいはアンダーシュートしたかに応じて)出力信号を切り換えるように構成されたレベル検出器と、セル電流に応じてレベル検出器のスイッチングしきい値および/またはスイッチング速度を設定するように構成された制御回路と、を備えるメモリ読み出し回路を説明する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル電流によってメモリセルを読み出すために前記メモリセルによって放電される容量を有している読み出しノードと、
デジタル出力信号をもたらし、前記読み出しノードの電位がスイッチングしきい値と交差するときに前記出力信号を切り換えるように設定されたレベル検出器と、
前記セル電流に応じて前記レベル検出器の前記スイッチングしきい値および/またはスイッチング速度を設定するように構成された制御回路と、
を備えるメモリ読み出し回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記セル電流が大きいほど、前記スイッチング速度を高く設定するように構成される、
請求項1に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項3】
前記交差は、アンダーシュートであり、前記制御回路は、前記セル電流が大きいほど、前記スイッチング速度を高く設定するように構成される、
請求項1または2に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項4】
前記交差は、オーバーシュートであり、前記制御回路は、前記セル電流が大きいほど、前記スイッチング速度を低く設定するように構成される、
請求項1または2に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記レベル検出器の前記スイッチング速度を、前記レベル検出器のバイアス電流を設定することによって設定するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項6】
前記レベル検出器は、比較器である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項7】
前記制御回路は、前記比較器が前記読み出しノードの前記電位と比較する基準電圧を設定することによって、前記スイッチングしきい値を設定するように構成される、
請求項6に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項8】
前記レベル検出器は、インバータを有し、前記インバータの入力ノード電位は、前記読み出しノードの前記電位に応じて切り換えられる、
請求項1から6のいずれか一項に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項9】
前記制御回路は、前記容量の放電の放電電流を測定し、測定された放電電流に応じて前記スイッチングしきい値および/または前記スイッチング速度を設定するように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項10】
前記制御回路は、前記容量の放電の放電電流をミラーするように構成された少なくとも1つの電流ミラーを有し、前記制御回路は、前記ミラーした電流を前記レベル検出器にバイアス電流として供給し、かつ/または、抵抗器における前記ミラーした電流の電圧降下を前記レベル検出器に前記スイッチングしきい値として供給するように構成される、
請求項1から9のいずれか一項に記載のメモリ読み出し回路。
【請求項11】
複数のメモリセルと、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのメモリ読み出し回路と、を備えるメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概して、メモリ読み出し回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリにおいて、メモリセルが0を記憶しているか、あるいは1を記憶しているかについての判定は、典型的には、メモリセルによって供給される読み取り電流に基づいて行われる。この目的のために、読み取り電流は、例えば、読み取り電流がプリチャージされた容量を放電し、容量における電圧が基準電圧と比較されることによって、基準と比較される。このようにして、読み取り電流は、デジタル信号に変換され、デジタル信号のエッジは、読み取り電流の強度に応じた時間的位置を有する。ここで、一方では、ロバストな読み出しを可能にするために、メモリセルが0を記憶しているときのエッジの時間的位置が、メモリセルが1を記憶しているときのエッジの時間的位置から充分に相違しなければならないが、他方では、メモリをできるだけ素早く読み出すことができなければならないという点で、トレードオフが存在する。これらの2つの要件を満たすことができるメモリ読み出し回路が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態は、セル電流によってメモリセルを読み出すためにメモリセルによって放電される容量を有する読み出しノードと、デジタル出力信号をもたらし、(読み出しノードの放電ゆえに)読み出しノードの電位がスイッチングしきい値と交差するときに(レベルおよび下向きまたは上向きの極性の選択に応じ、すなわちスイッチングしきい値をオーバーシュートしたか、あるいはアンダーシュートしたかに応じて)出力信号を切り換えるように構成されたレベル検出器と、セル電流に応じてレベル検出器のスイッチングしきい値および/またはスイッチング速度を設定するように構成された制御回路と、を備えるメモリ読み出し回路を提供する。
【0004】
図は、実際の比率を反映しておらず、むしろ種々の例示的な実施形態の原理を説明するように意図されている。種々の例示的な実施形態が、以下の図を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図3】読み出しプロセスについての関連の時間グラフを示している。
【
図4】メモリ読み出し回路の構成の概略図を示している。
【
図5】一実施形態による能動的読み出しウインドウ延長における時間グラフを示している。
【
図6】一実施形態によるメモリ読み出し回路を示している。
【
図8】読み出しプロセスについての関連の時間グラフを示している。
【
図9】能動的読み出しウインドウ延長を伴う読み出しプロセスと能動的読み出しウインドウ延長を伴わない読み出しプロセスとの比較を示している。
【
図10】別の実施形態によるメモリ読み出し回路を示している。
【
図11】一実施形態によるメモリ読み出し回路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、詳細および例示的な実施形態を示している添付の図面に関する。これらの例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施することができるようにきわめて詳細に記載されている。他の実施形態も可能であり、例示的な実施形態を、本発明の主題から逸脱することなく、構造的、論理的および電気的な観点から変更することが可能である。種々の例示的な実施形態は、必ずしも相互に排他的ではなく、むしろ、種々の実施形態を互いに組み合わせて、新たな実施形態を生成することができる。本明細書の範囲内で、「結合」、「接続」および「連結」という用語は、直接的および間接的な結合、直接的または間接的な接続、ならびに直接的または間接的な連結の両方を説明するために使用される。
【0007】
【0008】
メモリ100は、複数のメモリセル102を有するメモリアレイを含み、各々のメモリセル102は、それぞれのワード線101およびそれぞれのビット線103に接続される。
【0009】
データをメモリセル102に記憶し、メモリセル102から再び読み出すことができる。この種のメモリセル102を、例えばフラッシュ、RRAM(Resistive Random Access Memory)またはMRAM(Magnetic RAM)技術などのさまざまな技術の半導体に基づいて実現することができる。これらのメモリ技術はいずれも、メモリセル102を読み出すときに、典型的には、読み出し対象のメモリセル102が接続されているビット線103を(メモリセル102に一定の電圧が印加されているという事実に応じて)流れる読み取り電流(または、読み出し電流)を生成または測定するという共通の特徴を有する。ワード線101は、読み出されるメモリセル102(
図1の例では、メモリセル102の行)を指定するために使用され、すなわち、各々がそれぞれのビット線上に読み取り電流を提供する。
【0010】
この場合、この読み取り電流について少なくとも2つの状態が存在し、例えば、より低い電流が論理「0」を表し、より高い電流が論理「1」を表すことができる。この場合のメモリ読み出し回路(伝統的に、「読み出し増幅器」と呼ばれる)の目的は、前記読み取り電流を測定し、論理「0」の状態または論理「1」の状態のどちらが存在するか、すなわち0または1のどちらがメモリセル102に最後に記憶されたかを判定することである。
【0011】
これを行う1つのやり方は、まず、電流Iまたは流れる電荷I×Δtを容量Cによって電圧ΔUに変換することによって、読み取り電流を時間情報に変換することである。コンデンサの式によれば、
C=ΔQ/ΔU=I×ΔT/ΔUまたはΔU=I×Δt/C
であり、前記電圧値ΔUはΔt時間とともに増加する。この手順の一例を
図2に示す。
【0012】
図2は、(積分に基づく)メモリ読み出し回路200を示しており、
図3は、読み出しプロセスについての関連の時間グラフ300を示している。
【0013】
比較器202の第1の入力に接続されたメモリ読み出し回路200の読み出しノード201が、第1のトランジスタ203(この場合には、例えばp-MOS(金属酸化膜半導体)トランジスタなどのpチャネル電界効果トランジスタ)を介して電圧レベルVpreに充電される(プリチャージ)。第2のトランジスタ204(電圧Vholdによって制御される保持トランジスタ、この場合には、例えばn-MOSトランジスタなどのnチャネル電界効果トランジスタ)および所望のビット線(すなわち、読み出し対象のメモリセルが接続されたビット線)をオンにするマルチプレクサ205が、読み出しノード201を、この場合には抵抗器によって表される読み出し対象のメモリセル206の端子に接続するために使用される。第3の(nチャネル電界効果)トランジスタ207が、読み出し対象のメモリセルの他方の端子を接地(すなわち、低い供給電位)に接続するために使用される。
【0014】
したがって、時間tpreにおいて、読み出しノード201と接地との間の接続がメモリセル206を介して確立され、すなわち、読み出し段階が開始される(したがって、第1のトランジスタ203の制御信号が0から1に設定され、プリチャージが終了する)。このようにして、読み取り電流Icellが流れ始め、積分容量Cint208を放電し、読み出しノードの電圧VsenseがVpreから連続的に減少し始める(積分容量208を読み出しノードの容量と考えることができる)。読み出しノード201が電圧レベルVref(比較器202の第2の入力に接続された基準電圧源209によって供給される)に達するとすぐに、比較器202は切り換わり、比較器のデジタル出力DOが、論理0から論理1に変化する。メモリセルを、0を記憶しているときに読み取り電流が大きく(メモリセルの抵抗が小さく)、1を記憶しているときに読み取り電流が小さく(メモリセルの抵抗が大きく)なるように構成されていると仮定する。これにより、これらの2つの場合について、それぞれ高速な放電曲線301または低速な放電曲線302が得られる。したがって、メモリセルが0を記憶している場合の比較器202の入力は早くなり(時刻t0)、あたかもメモリセルが1を記憶(時刻t1)しているかのように比較器202が切り換わる。
【0015】
最小読み取りアクセス時間Taccessも、グラフ300に示されている。これは、メモリセルが0を記憶しているときの放電電流Icell,0によって与えられる時間t0によって定義される。
Taccess=
プリチャージ時間+Icell,0における読み出し時間=
tpre+Cint×(Vpre-Vref)/Icell,0+tdelay(1)
【0016】
時間t
delayは、この場合、比較器の遅延(すなわち、読み出しノード201における電圧がV
refよりも低くなる時間と、DOが1にジャンプする時間と、の間の遅延)である。この遅延は、
図2においてバイアス電流源210によって表される比較器のバイアス電流I
biasに大きく依存する。
【0017】
さらに、読み出しウインドウTwindowがグラフ300に示されている。(積分に基づく)読み出しプロセスの読み出しウインドウは、t1-t0によって定義され、したがって、ゼロについてのセル電流Icell,0と1についてのセル電流Icell,1との間の差に対応する。
Twindow=(Vpre-Vref)×Cint(Icell,0-Icell,1)/(Icell,0×Icell,1)(2)
【0018】
読み出しプロセスは、一方では、
・可能な限り迅速に読み出すことができるように、最小読み取りアクセス時間が可能な限り最短でなければならないが、
他方では、
・読み取りエラーおよびノイズに対してロバストであるために、読み出しウインドウが可能な限り大きくなければならない。
【0019】
読み取りアクセス時間(式(1)を参照)に関して、
・Tpreは、メモリエリア(ビット線容量)および技術パラメータによって与えられ、
・Icell,0は、それぞれのメモリ技術によって決定される。
【0020】
したがって、読み取りアクセス時間を短くするための残りの設計パラメータは、電圧差Vpre-VrefおよびCint(これのために低減されなければならない)ならびに遅延tdelayのみである。
【0021】
読み出しウインドウ(式(2)を参照)に関して、
・Icell,0およびIcell,1は、それぞれのメモリ技術によって決定される。
【0022】
したがって、読み出しウインドウを延ばすための残りの設計パラメータは、電圧差Vpre-VrefおよびCint(これのために低減されなければならない)のみである。
【0023】
これは、読み出し時間と読み出しウインドウとの間のトレードオフをもたらし、一定の比較器遅延において、読み出しウインドウを短縮することなく読み出し時間を短縮することはできない。
【0024】
図4は、メモリ読み出し回路の構成400の概略図を示している。
【0025】
メモリ読み出し回路200によれば、メモリ読み出し回路は、プリチャージ回路401を備え、ビット線準備および保持回路402を備え、マルチプレクサ403を備え、メモリセル404を備え(あるいは、これに接続され)、積分容量405を備え、比較器406を備え、これらが
図2に記載されたやり方で互いに接続されている。
【0026】
種々の実施形態によれば、読み出しウインドウを延ばすとともに、読み出し時間を短く保つために、セル電流が、比較器の基準電圧407および比較器のバイアス電流408を能動的に変化させるために使用される。具体的には、1つの例示的な実施形態において、大きなセル電流(すなわち、ゼロを記憶)において基準電圧407およびバイアス電流408が増やされ、その結果、比較器は、ゼロが記憶されている場合により速く切り換わる。1が記憶されている(セル電流が小さい)場合、基準電圧407およびバイアス電流408は増やされない(しかしながら、減らされてもよい)。これにより、読み出し時間が短縮され、読み出しウインドウが延長される。これは、以下では、能動的読み出しウインドウ延長とも呼ばれる。
【0027】
図5は、一実施形態による能動的読み出しウインドウ延長の場合における時間グラフ500を示している。
【0028】
時間グラフ300とは対照的に、ここでは、0および1を読み出すための基準電圧は同じではなく、0を読み出すための基準電圧Vref,0が、1を読み出すための基準電圧Vref,1よりも高い。加えて、0を読み出すためのバイアス電流は、1を読み出すためのバイアス電流よりも大きく、したがって、0を読み出すための比較器の遅延tdelay,0は、1を読み出すための比較器の遅延tdelay,1よりも小さい。これにより、(最小)読み出し時間が短縮され、読み出しウインドウが延長される。
【0029】
したがって、式は、形態(1)および(2)の代わりになる。
Taccess=tpre+Cint×(Vpre-Vref,0)/Icell,0+tdelay,0(3)
または
Twindow=(Vpre-Vref,1)×Cint/Icell,1-(Vpre-Vref,0)×Cint/Icell,0+tdelay,1-tdelay,0(4)
【0030】
以下の本文において、V
refおよびI
biasが可変であって、上述のようにセル電流に依存するメモリ読み出し回路を説明し、すなわち、セル電流に応じてV
refおよびI
biasを設定する制御回路が提供される。種々の実施形態によれば、V
refおよびI
biasは、容量による充電(または、放電)電流I
cap=I
cell(
図2を参照)に応じて使用され、すなわち、I
capが対応する回路によってタップ(または、測定)され、それに応じてV
refおよびI
biasが設定または変更される。
【0031】
図6は、一実施形態によるメモリ読み出し回路600を示している。
【0032】
メモリ読み出し回路600は、セル電流が積分容量において(読み出し段階における積分容量の放電電流に基づいて)測定され、これに基づいて比較器のバイアス電流および/または基準電圧(回路600の場合、両方)が可変に設定される回路の一例である。
【0033】
図2のメモリ読み出し回路200と同様に、メモリ読み出し回路600は、読み出しノード601を介して接続された第1のトランジスタ603(プリチャージトランジスタ)および第2のトランジスタ604(保持トランジスタ)と、比較器602と、積分容量608と、を含み、積分容量608は、その第1の端子によって読み出しノード601に接続され、その第2の端子によって第3の(nチャネル電界効果)トランジスタ605を介して接地に接続され、第3のトランジスタ605は、第4のトランジスタ606の動作点を定めるための定バイアス電流源I
bとして機能する。積分容量のこの第2の端子は、第4の(pチャネル電界効果)トランジスタ606のドレインにさらに接続される。
【0034】
第4のトランジスタ606は、第5の(pチャネル電界効果)トランジスタ607とともに、基準電流Irefを提供する第1の電流ミラーを形成し、第6の(pチャネル電界効果)トランジスタ609とともに、バイアス電流Ibiasを比較器602に供給する第2の電流ミラーを形成する。したがって、第4のトランジスタ606は、電流測定素子として用いられ、電流IbiasおよびIrefを制御する。
【0035】
基準電圧Vrefは、基準電流Irefを(接地へと)流す抵抗610において降下する電圧によって与えられる。
【0036】
プリチャージ段階の後にメモリセルを通ってセル電流Icellが流れると、積分容量は、この電流Icellによって第4のトランジスタ606を介して放電される。これは、セル電流およびVref(すなわち、基準電流Irefと抵抗610の値との積として)を測定し、Ibiasは、このセル電流に応じて2つの電流ミラーを介して設定される。したがって、(レベル検出器として使用される)比較器602のスイッチングしきい値およびスイッチング速度は、セル電流に依存する。
【0037】
したがって、
図4および
図5を参照して説明したように、メモリ読み出し回路600においては、V
refおよびI
biasがセル電流に依存する。
【0038】
この依存性を実現する制御回路は、とくには、2つの電流ミラーおよび抵抗610を含む。
【0039】
図7は、さらなる実施形態に従い、メモリ読み出し回路700を示しており、
図8は、読み出しプロセスについての関連の時間グラフ800を示している。
【0040】
図2のメモリ読み出し回路200と同様に、メモリ読み出し回路700は、読み出しノード701を介して接続された第1のトランジスタ703(プリチャージトランジスタ)および第2のトランジスタ704(保持トランジスタ)と、比較器(この場合には、第7の(nチャネル電界効果)トランジスタ712の形態であり、以下を参照されたい)と、第1の端子によって読み出しノード701に接続された積分容量708と、を含む(マルチプレクサおよびメモリセルは、簡略化のためにここでは省略されている)。
【0041】
さらに、積分容量の前記第2の端子は、第4の(pチャネル電界効果)トランジスタ706のドレインに接続される。
【0042】
第4のトランジスタ706は、第5の(pチャネル電界効果)トランジスタ707とともに、バイアス電流Ibiasをインバータ702の入力ノード709に供給する第2の電流ミラーを形成する。したがって、第4のトランジスタ706は、電流測定素子として用いられ、電流Ibiasを制御する。
【0043】
積分容量708の第2の端子は、第6の(nチャネル電界効果)トランジスタ710のドレインにさらに接続され、第6のトランジスタ710のソースは、接地(すなわち、低い供給電位)に接続される。
【0044】
第6のトランジスタ710は、そのゲートにおいてバイアス電圧vbiasを入力電圧として受け取り、これにより、プリチャージ段階において、すなわちIcellが0に等しいとき、電流ミラーは依然として特定のバイアス電流Ibを反映し、すなわちプリチャージ段階において、バイアス電流IbiasはIbに等しい。
【0045】
プリチャージ段階、すなわちPREがアクティブ(この例においては、PREの低レベルに対応する)であるとき、プリチャージ電圧Vpreが第1のトランジスタ703を介して読み出しノード701に接続され、積分容量708の第2の端子が第2のトランジスタ704を介して接地に接続され、それにより、上記の例と同様に、積分容量708が充電される。
【0046】
加えて、PREがアクティブである(したがって、
【数1】
が高である)とき、補償容量(または、オフセット容量)711の第1の端子(その電位はV
coffpと称される)は電圧V
refに接続され、第2の端子(その電位はV
coffnと称される)は第7の(nチャネル電界効果)トランジスタ712のゲートに接続され、そのソースは接地に接続され、そのドレインはインバータ入力ノード709に接続される。プリチャージ段階(
【数2】
が高)において、第7のトランジスタ712のドレインもそのゲートに接続され、すなわち、第7のトランジスタ712はダイオードとして接続される。したがって、そのしきい値電圧VthN1は、プリチャージ段階においてそれを横切って低下する。したがって、バランス容量711は、プリチャージ段階においてVthN1-V
refに充電される。(第7のトランジスタ712のオーバードライブ電圧をV
ovとする。)図示のスイッチを、追加の電界効果トランジスタ(pチャネルまたはnチャネル)を使用して実装することができる。図示の例において、それらは、それらの隣に与えられる信号(PREまたは
【数3】
が高いときに閉じられると仮定される。
【0047】
読み出し段階(今やPREが高く、すなわち
【数4】
が低い)において、読み出し容量の第1の端子は、読み出しノード701に接続する(V
refから絶縁される)。同様に、第7のトランジスタ712のゲートが、そのドレインから絶縁される。今や積分容量708は電流ミラーを介して充電され、それにより、読み出しノードにおける電圧V
senseは、V
preから始まって連続的に減少し、セル電流I
cellが大きいほど、バイアス電流I
biasが大きくなる。
【0048】
読み出しノードの電圧が(セル電流Icellのレベルに依存する時間の後に)低下して第7のトランジスタ712が遮断されると、インバータ702の入力ノードDOaの電圧が上昇して、インバータ702が切り換わり、インバータ702の出力信号DOが高レベルになる。セル電流が大きい場合、Ibiasはより大きくなり、一方では、ノードDOaはより速く充電され、他方では、スイッチングしきい値はVthN1+Vovに変更され、そこからノードDOaが増加し始める。
【0049】
回路700は、第7のトランジスタ712のしきい値電圧VthN1について生じ得る変動が補償される状況を達成する。
【0050】
加えて、
図6の回路600と同様に、レベル検出器(この場合、第7のトランジスタ712を中心的な構成要素として有する)のスイッチングしきい値およびスイッチング速度が、セル電流に依存する。この依存性を実現する制御回路は、とくには電流ミラーを含む。
【0051】
積分容量708が放電時にVDDに接続されるため、電源電圧のノイズの読み取りに悪影響が及ぶ。これを回避するために、第4のトランジスタおよび第5のトランジスタのソースに、(VDDの代わりに)プリチャージ電圧Vpre(これは、例えば、事前調整プロセスによって安定化される)を供給することもできる。
【0052】
図9は、
図6および
図7の回路のような能動的読み出しウインドウ延長を伴う読み出しプロセス(上側のグラフ901)と、
図2の回路のような能動的読み出しウインドウ延長を伴わない読み出しプロセス(下側のグラフ902)と、の比較を示している。能動的読み出しウインドウ延長により、読み出しウインドウT
windowを約25%延ばすことができ、ゼロの読み出しに要する時間を大幅に短縮することができる。結果として、能動的読み出しウインドウ延長を用いて、プロセス変動に対するより高いロバスト性を達成することができる。
【0053】
能動的読み出しウインドウ延長を伴う回路の上記の例において、セル電流は、読み出し容量の放電電流を測定することによって決定される。また、読み出し容量を分割し、2つの部分容量のうちの一方においてのみ放電電流を測定することも可能である。この例を
図10に示す。
【0054】
図10は、別の実施形態によるメモリ読み出し回路1000を示している。
【0055】
この例においては、2つの積分容量1001、1002が存在し、第2の積分容量1002の放電電流が測定され、これに基づいて比較器1003のバイアス電流および基準電圧が設定される。それ以外は、機能は
図2の回路と同じである。
【0056】
要約すると、種々の実施形態によれば、
図11に示されるようなメモリ読み出し回路が提供される。
【0057】
図11は、一実施形態によるメモリ読み出し回路1100を示している。
【0058】
メモリ読み出し回路1100は、セル電流によってメモリセル1104を読み出すためにメモリセル1104によって放電される容量を有する読み出しノード1101を含む。
【0059】
さらに、メモリ読み出し回路1100は、デジタル出力信号をもたらし、(読み出しノードの放電ゆえに)読み出しノードの電位がスイッチングしきい値と交差するときに(レベルおよび下向きまたは上向きの極性の選択に応じ、すなわちスイッチングしきい値をオーバーシュートしたか、あるいはアンダーシュートしたかに応じて)出力信号を切り換えるように構成されたレベル検出器1102と、セル電流に応じてレベル検出器のスイッチングしきい値および/またはスイッチング速度を設定するように構成された制御回路と、を含む。
【0060】
種々の実施形態によれば、例えば、比較器の基準電圧(したがって、スイッチングしきい値)およびバイアス電流(したがって、スイッチング速度)が、読み出しウインドウを広げ、アクセス時間を短縮するために能動的に変更される。これは、例えば、読み出し段階において積分容量を通って流れる電流を測定し、これに応じて比較器の基準電圧およびバイアス電流(または、一般には、レベル検出器のスイッチングしきい値およびスイッチング速度)を設定することによって行われる。
【0061】
一実施形態によれば、複数のメモリセルと、本明細書で指定される実施形態のうちの1つによる少なくとも1つのメモリ読み出し回路と、を備えるメモリが提供され、読み出されるメモリセルは、複数のメモリセルのうちの1つである。
【0062】
種々の例示的な実施形態を以下に記載する。
【0063】
例示的な実施形態1は、
図11を参照して説明したメモリ読み出し回路である。
【0064】
例示的な実施形態2は、例示的な実施形態1によるメモリ読み出し回路であって、制御回路が、セル電流が大きいほど、スイッチング速度を高く設定するように構成される。
【0065】
例示的な実施形態3は、例示的な実施形態1または2によるメモリ読み出し回路であって、交差が、アンダーシュートであり、制御回路が、セル電流が大きいほど、スイッチング速度を高く設定するように構成される。
【0066】
例示的な実施形態4は、例示的な実施形態1または2によるメモリ読み出し回路であって、交差が、オーバーシュートであり、制御回路が、セル電流が大きいほど、スイッチング速度を低く設定するように構成される。
【0067】
例示的な実施形態5は、例示的な実施形態1から4のいずれか1つによるメモリ読み出し回路であって、制御回路が、レベル検出器のスイッチング速度を、レベル検出器のバイアス電流を設定することによって設定するように構成される。
【0068】
例示的な実施形態6は、例示的な実施形態1から5のいずれか1つによるメモリ読み出し回路であって、レベル検出器が、比較器である。
【0069】
例示的な実施形態7は、例示的な実施形態6によるメモリ読み出し回路であって、制御回路が、比較器が読み出しノードの電位と比較する基準電圧を設定することによって、スイッチングしきい値を設定するように構成される。
【0070】
例示的な実施形態8は、例示的な実施形態1から6のいずれか1つによるメモリ読み出し回路であって、レベル検出器が、インバータを有し、インバータの入力ノード電位が、読み出しノードの電位に応じて切り換えられる。
【0071】
例示的な実施形態9は、例示的な実施形態1から8のいずれか1つによるメモリ読み出し回路であって、制御回路が、容量の放電の放電電流を測定し、測定された放電電流に応じてスイッチングしきい値および/またはスイッチング速度を設定するように構成される。
【0072】
例示的な実施形態10は、例示的な実施形態1から9のいずれか1つによるメモリ読み出し回路であって、制御回路が、容量の放電の放電電流をミラーするように構成された少なくとも1つの電流ミラーを有し、制御回路が、ミラーした電流をレベル検出器にバイアス電流として供給し、かつ/または抵抗器におけるミラーした電流の電圧降下をレベル検出器にスイッチングしきい値として供給するように構成される。
【0073】
例示的な実施形態11は、複数のメモリセルと、例示的な実施形態1から10のいずれか1つによる少なくとも1つのメモリ読み出し回路と、を備えるメモリである。
【0074】
本発明を、主に特定の実施形態を参照して図示および説明してきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の本質および範囲から逸脱することなく、その構成および詳細に関して多くの修正がなされ得ることを、当業者であれば理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定され、その意図は、特許請求の範囲の文字どおりの意味または同等の範囲に含まれるすべての変更を包含することである。
【符号の説明】
【0075】
100 メモリ
101 ワード線
102 メモリセル
103 ビット線
200 メモリ読み出し回路
201 読み出しノード
202 比較器
203,204 トランジスタ
205 マルチプレクサ
206 メモリセル
207 トランジスタ
208 積分容量
209 基準電圧源
210 バイアス電流源
300 読み出しプロセスの時間グラフ
301,302 放電曲線
401 プリチャージ回路
402 ビット線準備および保持回路
403 マルチプレクサ
404 メモリセル
405 積分容量
406 比較器
407 基準電圧
408 バイアス電流
500 能動的読み出しウインドウ延長を伴う読み出しプロセスの時間グラフ
600 メモリ読み出し回路
601 読み出しノード
602 比較器
603-607 トランジスタ
608 積分容量
609 トランジスタ
610 抵抗
700 メモリ読み出し回路
701 読み出しノード
702 インバータ
703-707 トランジスタ
708 積分容量
709 インバータ入力ノード
710 トランジスタ
711 補償容量
712 トランジスタ
800 読み出しプロセスの時間グラフ
901 能動的読み出しウインドウ延長を伴う読み出しプロセスの時間グラフ
902 能動的読み出しウインドウ延長を伴わない読み出しプロセスの時間グラフ
1000 メモリ読み出し回路
1001,1002 積分容量
1003 比較器
1100 メモリ読み出し回路
1101 読み出しノード
1102 レベル検出器
1103 制御回路
1104 メモリセル
【外国語明細書】