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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020072
(43)【公開日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20250204BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A61K8/365
A61Q5/04
A61K8/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118445
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・フロー
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・エン・ティン・リー
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
(72)【発明者】
【氏名】竹田 彩乃
(57)【要約】      (修正有)
【課題】毛髪等のケラチン繊維に、改善された再整形効果をもたらすことができる方法を提供する。
【解決手段】ケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための方法は、(i)少なくとも1種のタンパク質変性剤を含む組成物Aをケラチン繊維に適用する工程と、(ii)(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物を含む組成物Bをケラチン繊維に適用する工程と、(iii)任意選択により、工程(i)及び(ii)の両方を完了した後に、50℃超の温度でケラチン繊維を加熱する工程と、を含み、工程(i)に次いで工程(ii)、又は工程(ii)に次いで工程(i)を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための方法であって、
(i)組成物Aを前記ケラチン繊維に適用する工程であり、前記組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む、工程と、
(ii)組成物Bを前記ケラチン繊維に適用する工程であり、前記組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、工程と、
(iii)任意選択により、工程(i)及び(ii)の両方を完了した後に、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度で前記ケラチン繊維を加熱する工程と、を含み、
工程(i)に次いで工程(ii)、又は工程(ii)に次いで工程(i)を含む、方法。
【請求項2】
前記(a)タンパク質変性剤が、尿素及びその誘導体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物A中の前記(a)化合物の量が、前記組成物Aの総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物B中の前記(b)化合物の量が、前記組成物Bの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記(c)化合物が、レブリン酸、その塩、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物B中の前記(c)化合物の量が、前記組成物Bの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物B中に含まれる前記(b)化合物の前記(c)化合物に対する質量比が、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~7:1、より好ましくは2:1~5:1の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物BのpHが、7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ケラチン繊維にアンモニア又はチオール化合物を適用することを含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ケラチン繊維に還元剤又は酸化剤を適用することを含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物Aが、少なくとも1種のポリオールを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物A中の前記ポリオールの量が、前記組成物Aの総質量に対して、5質量%~60質量%、好ましくは10質量%~50質量%、より好ましくは15質量%~40質量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物AのpHが、4~11、好ましくは5~10、より好ましくは6~9である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するためのキットであって、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む組成物Aと、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む組成物Bと、
を含む、キット。
【請求項15】
毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための、組成物Aと組成物Bとの組み合わせの使用であって、
前記組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含み、
前記組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、毛髪等のケラチン繊維を処置、好ましくは再整形、より好ましくは直毛化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪等のケラチン繊維をアイロンで加熱することによってケラチン繊維を再整形することは、まとまりにくいケラチン繊維を扱いやすくし、ケラチン繊維のボリュームを減らし、より望ましく見えるようにする上で人気がある。このような加熱用アイロンを使用した再整形法は、即座のスタイリングに便利であるが、スタイルは短時間、例えば次にシャンプー洗浄するまでしか持続しない。多くの消費者にとって長時間持続する直毛化法が必要とされている。
【0003】
一方、還元剤及びアルカリ剤並びに酸化剤を使用し、加熱する従来の永久再整形法は、スタイルが長時間持続するケラチン繊維をもたらすことができるが、処理時間が長く、ケラチン繊維に損傷を与え、悪臭がする等のいくつかの欠点がある。
【0004】
これまでに、還元剤及び酸化剤を使用せずにケラチン繊維を再整形する幾つかの方法が報告されている。
【0005】
例えば、US-A-2023/0000742は、15~20質量%のグリオキシル酸及び0.1~5質量%のレブリン酸を含む、水性基剤を有する液体形態又は脂肪相を有するエマルション形態の半永久直毛化組成物を開示している。
【0006】
また、JP-A-2019-123701は、
(1)(a)13~30質量%のレブリン酸及び(b)1~2質量%のグリオキシル酸を含有し、レブリン酸及びグリオキシル酸の総含有量が15質量%以上であり、pHが1.5~3.0の範囲であるヘアトリートメント剤を毛髪に適用する工程と、
(2)毛髪を放置する工程と、
(3)毛髪を水で洗浄する工程と、
(4)毛髪を乾燥するのと同時に、又はその後に、特定の温度で、ヘアスタイリング用又は直毛化用アイロン及びブラシ等を用いて、毛髪を直毛化する工程と
を含む、ヘアトリートメント法を開示している。
【0007】
また、US-A-2012-312317は、
a)緩衝剤として作用可能なアルファ-ケト酸を含む溶液を適用する工程と、
b)15~120分間、溶液を毛髪と接触させて維持する工程と、
c)毛髪を乾燥する工程と、
d)約200+/-50℃の温度で直毛化用アイロンを用いて毛髪を直毛化する工程と
を含む、半永久直毛化の方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US-A-2023/0000742
【特許文献2】JP-A-2019-123701
【特許文献3】US-A-2012-312317
【特許文献4】欧州特許出願公開第0354835号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0368763号
【特許文献6】欧州特許出願公開第0432000号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0514282号
【特許文献8】仏国特許出願公開第2679448号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ケラチン繊維のための再整形法を改善することが依然として必要とされている。
【0011】
本発明の目的は、毛髪等のケラチン繊維を再整形するための改善された方法であって、ケラチン繊維に、改善された再整形効果をもたらすことができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の本発明の目的は、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための方法であって、
(i)組成物Aをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む、工程と、
(ii)組成物Bをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、工程と、
(iii)任意選択により、工程(i)及び(ii)の両方を完了した後に、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度でケラチン繊維を加熱する工程と、を含み、
工程(i)に次いで工程(ii)、又は工程(ii)に次いで工程(i)を含む、方法によって達成することができる。
【0013】
(a)タンパク質変性剤は、尿素及びその誘導体から選択されてもよい。
【0014】
組成物A中の(a)タンパク質変性剤の量は、組成物Aの総質量に対して、0.5質量%から20質量%、好ましくは1質量%から15質量%、より好ましくは3質量%から10質量%であってもよい。
【0015】
組成物B中の(b)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0016】
(c)化合物は、レブリン酸、その塩、及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0017】
組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0018】
組成物B中に含まれる(b)化合物の(c)化合物に対する質量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~7:1、より好ましくは2:1~5:1の範囲であってもよい。
【0019】
組成物BのpHは、7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下であってもよい。
【0020】
本発明による方法は、ケラチン繊維にアンモニア又はチオール化合物を適用することを含まなくてよい。
【0021】
本発明による方法は、ケラチン繊維に還元剤又は酸化剤を適用することを含まなくてよい。
【0022】
組成物Aは、少なくとも1種のポリオールを更に含んでもよい。
【0023】
組成物A中のポリオールの量は、組成物Aの総質量に対して、5質量%~60質量%、好ましくは10質量%~50質量%、より好ましくは15質量%~40質量%であってもよい。
【0024】
組成物AのpHは、4~11、好ましくは5~10、より好ましくは6~9であってもよい。
【0025】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するためのキットであって、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む組成物Aと、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む組成物Bと、
を含む、キットに関しうる。
【0026】
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための、組成物Aと組成物Bとの組み合わせの使用であって、
組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含み、
組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
鋭意検討の結果、本発明者らは、組成物A及び組成物Bの2つの異なる組成物を適用することによって、ケラチン繊維に、より長時間持続する改善された再整形効果をもたらすことができる、ケラチン繊維を再整形するための方法であって、組成物Aが、少なくとも1種のタンパク質変性剤を含み、組成物Bが、少なくとも1種のグリオキシル酸又はその誘導体及び少なくとも1種のケト酸又はその塩を含む、方法を提供することが可能であることを発見した。
【0028】
そのため、本発明は主に、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための方法であって、
(i)組成物Aをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む、工程と、
(ii)組成物Bをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、工程と、
(iii)工程(i)及び(ii)の両方を完了した後に、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度でケラチン繊維を加熱する工程と、を含み、
工程(i)に次いで工程(ii)、又は工程(ii)に次いで工程(i)を含む、方法に関する。
【0029】
本発明は、改善された再整形効果をもたらすことによって、組成物A及び組成物Bの2つの異なる組成物を適用して毛髪等のケラチン繊維を再整形するための方法を改善することができる。
【0030】
毛髪等のケラチン繊維の再整形は、本明細書では、ケラチン繊維の直毛化又はカーリングを包含する。
【0031】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維に、より長時間持続する再整形効果、好ましくは直毛化効果をもたらすことができる。そのため、本発明は、ケラチン繊維に対する再整形効果を延長又は長期化することができる。特に、本発明は更に、ケラチン繊維の再整形された形状を維持することができる、又は経時的なケラチン繊維の再整形された形状の損失を防止若しくは低減することができる。
【0032】
本発明は、還元剤/酸化剤を一切使用する必要がないため、従来の再整形法と比較して損傷が少ないケラチン繊維をもたらすことができる。本発明によって処置されたケラチン繊維は、梳かし易さに関して永続性を示すことができる。
【0033】
加えて、本発明は、アンモニア又はチオール化合物を使用しないか又は非常に少なくてもよく、したがって、アンモニア又はチオール化合物の使用を必要とする従来の方法と比較して、本発明の使用中の臭いを低減させることができる。また、本発明は、良好な使いやすさ、例えば、短い処理時間が可能である。
【0034】
以下において、本発明を詳細に説明する。
【0035】
[方法]
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を再整形、好ましくは直毛化するための方法であって、
(i)組成物Aをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む、工程と、
(ii)組成物Bをケラチン繊維に適用する工程であり、該組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、工程と、
(iii)任意選択により、工程(i)及び(ii)の両方を完了した後に、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度でケラチン繊維を加熱する工程と、を含み、
工程(i)に次いで工程(ii)、又は工程(ii)に次いで工程(i)を含む、方法に関する。
【0036】
本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維を再整形すること、好ましくは長時間の間、再整形させておくこと、より好ましくはシャンプー洗浄後でも再整形させておくことを目的とする。この意味で、本発明による方法は、半永久再整形法でありうる。
【0037】
{工程(i)}
工程(i)は、組成物Aをケラチン繊維に適用するための工程である。以下、組成物Aを詳細に説明する。
【0038】
組成物Aの適用は、ブラシ及び櫛等の任意の手段によって実施してもよい。
【0039】
適用される組成物Aのケラチン繊維に対する浴比は、0.1~10、より特定すると0.5~5、好ましくは0.3から2の間の範囲であってもよい。用語「浴比」は、適用される組成物の総質量とケラチン繊維の総質量との間の質量比を意味することが意図される。
【0040】
ケラチン繊維への組成物Aの適用量は特に限定されないが、一般に1gのケラチン繊維に対して0.1g~1gの範囲である。
【0041】
本発明の一実施形態において、ケラチン繊維は、工程(i)の前に洗浄される。この洗浄工程は、例えば、ケラチン繊維をシャンプー洗浄した後、ケラチン繊維をすすぎ流すことによって実施してもよい。すすぎ流した後、ケラチン繊維を乾燥してもよい。ケラチン繊維は、工程(i)の直前に濡れていることが好ましい。洗浄工程は、好ましくは、本発明の方法を実施する前に1回実施される。
【0042】
組成物Aの適用後、ケラチン繊維を、必要に応じて、特定の長さの時間にわたり、典型的には1秒間~10分間、好ましくは5秒間~5分間、より好ましくは10秒間~3分間そのままの状態で放置して、組成物Aをケラチン繊維中に浸透させることが可能でありうる。
【0043】
組成物Aは、工程(i)の後に、ケラチン繊維からすすぎ落としても、すすぎ落とさなくてもよい。本発明の一実施形態において、工程(i)の後に、ケラチン繊維を水ですすぎ流して、適用された組成物Aをケラチン繊維からすすぎ落とす。
【0044】
{工程(ii)}
工程(ii)は、組成物Bをケラチン繊維に適用するための工程である。以下、組成物Bを詳細に説明する。
【0045】
組成物Bの適用は、ブラシ又は櫛等の任意の手段によって実施してもよい。
【0046】
適用される組成物Bのケラチン繊維に対する浴比は、0.1~10、より特定すると0.5~5、好ましくは0.3から2の間の範囲であってもよい。用語「浴比」は、適用される組成物の総質量とケラチン繊維の総質量との間の質量比を意味することが意図される。
【0047】
ケラチン繊維への組成物Bの適用量は特に限定されないが、一般に1gのケラチン繊維に対して0.1g~1gの範囲である。
【0048】
本発明の一実施形態において、ケラチン繊維は、工程(ii)の前に洗浄される。この洗浄工程は、例えば、ケラチン繊維をシャンプー洗浄した後、ケラチン繊維をすすぎ流すことによって実施してもよい。すすぎ流した後、ケラチン繊維を乾燥してもよい。ケラチン繊維は、工程(ii)の直前に濡れていることが好ましい。
【0049】
組成物Bの適用後、ケラチン繊維を、必要に応じて、特定の長さの時間にわたり、典型的には1秒間~30分間、好ましくは5秒間~20分間、より好ましくは10秒間~15分間そのままの状態で放置して、組成物Bをケラチン繊維中に浸透させることが可能でありうる。
【0050】
組成物Bは、工程(ii)の後に、ケラチン繊維からすすぎ落としても、すすぎ落とさなくてもよい。本発明の一実施形態において、工程(ii)の後に、ケラチン繊維を水ですすぎ流して、適用された組成物Bをケラチン繊維からすすぎ落とす。
【0051】
好ましい一実施形態において、工程(i)と(ii)との間に洗浄工程がない。
【0052】
本発明の一実施形態において、方法は、工程(i)に次いで工程(ii)を、この順序で含む。この実施形態の場合、工程(i)と工程(ii)との間に、すすぎ工程が含まれないことが好ましい。
【0053】
本発明の一実施形態において、方法は、工程(ii)に次いで工程(i)を、この順序で含む。この実施形態の場合、工程(ii)と工程(i)との間に、すすぎ工程が含まれることが好ましい。
【0054】
別の好ましい実施形態において、方法は、工程(i)に次いで工程(ii)、それに次いで再度の工程(i)を、この順序で含む。この実施形態の場合、工程(i)と工程(ii)との間にすすぎ工程が含まれないこと、及び工程(ii)と工程(i)との間にすすぎ工程が含まれることが好ましい。
【0055】
{工程(iii)}
工程(iii)は、任意選択の工程である。工程(iii)は、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度でケラチン繊維を加熱する工程である。工程(iii)は、工程(i)及び(ii)の両方が完了した後に実施することができる。
【0056】
一実施形態において、工程(iii)の直前にケラチン繊維を乾燥させる。ケラチン繊維の乾燥は、ヘアドライヤー等の従来の乾燥手段で実施することができる。
【0057】
工程(iii)において、好ましくは乾燥しているケラチン繊維を、加熱器、好ましくは加熱用アイロンを用いて、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度で加熱する。この温度は、250℃未満、好ましくは240℃未満、より好ましくは230℃未満であってもよい。したがって、この温度は、50℃超且つ250℃未満、好ましくは100℃超且つ240℃未満、より好ましくは150℃超且つ230℃未満であってもよい。
【0058】
加熱は、加熱用アイロン若しくはカーラーの適用又はドライヤーによる乾燥等、従来の手段によって実施することができる。
【0059】
また、再整形は、ケラチン繊維に、機械的張力等の何らかの機械力を加えることによって実施してもよい。機械力は、意図した形状にケラチン繊維を変形する任意の再整形手段により、ケラチン繊維に加えることができる。例えば、機械的パワーは、少なくとも1つのアイロン、少なくとも1つのカーラー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの再整形手段によって加えることができる。再整形手段として、いずれの従来のアイロン又はカーラーを使用してもよい。
【0060】
再整形手段は、少なくとも1つの加熱器を備えることができる。そのため、再整形手段は、少なくとも1つの加熱用アイロン及び/又は少なくとも1つの加熱用カーラーであってもよい。ケラチン繊維を再整形することによって、ケラチン繊維を直毛化又はカーリングすることができる。そのため、本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維を直毛化又はカーリングすることを目的としてもよい。
【0061】
加熱用アイロンとしては、従来のいずれの加熱用アイロンを使用してもよい。加熱用アイロンは、例えば電熱によって加熱することができる少なくとも1つのプレート、好ましくは2つのプレートを有することができる。加熱したプレートをケラチン繊維上に適用し、ケラチン繊維の方向に沿って移動させ、ケラチン繊維を直毛化することができる。
【0062】
加熱用アイロンは、2つのプレートを有することが好ましく、ケラチン繊維は、加熱用アイロンの2つのプレート間に挟まれ、その内の少なくとも1つのプレートを加熱することができ、次いで2つのプレートをケラチン繊維の方向に沿って移動させて、ケラチン繊維が直毛化されることが好ましい。
【0063】
ケラチン繊維に接する加熱用アイロン、特にその一部、例えば1つ又は複数の加熱プレートは、50℃超且つ250℃未満、より好ましくは100℃超且つ240℃未満、更により好ましくは150℃超且つ230℃未満の温度を有することが好ましい。
【0064】
工程(iii)は、ケラチン繊維の方向に沿って加熱用アイロンを移動させる1回以上のストロークによって実施することができる。工程(iii)は、加熱用アイロンの温度のみではなく、加熱用アイロンのストローク数によっても制御することができる。
【0065】
加熱時間は、加熱用アイロンの温度によって決まりうるが、加熱用アイロンのストローク数によっても決まりうる。例えば、1秒から10分、好ましくは数秒から5分であってもよい。
【0066】
加熱用カーラーとしては、従来のいずれの加熱用カーラーを使用してもよい。ケラチン繊維を加熱用カーラーの周りに巻き付ける場合、この巻上げは、ケラチン繊維の全長に対して、又は、例えばケラチン繊維の半分の長さに対して実施されてよい。例えば、所望のヘアスタイルの形状及びカールの量によっては、巻上げを多少太い束で実施してもよい。
【0067】
ケラチン繊維に接する加熱用カーラー、特にその一部、例えば加熱ロッド及び加熱カバーは、50℃超且つ250℃未満の温度を有することが好ましく、より好ましくは100℃超且つ240℃未満、更により好ましくは150℃超且つ230℃未満の温度を有する。
【0068】
工程(iii)は、ケラチン繊維を加熱用カーラー上に維持し、したがって機械的張力をケラチン繊維に加えることによって実施することができる。工程(iii)は、加熱用カーラーの温度のみではなく、機械的張力の強さによっても制御することができる。
【0069】
加熱時間は、加熱用カーラーの温度によって決まりうるが、機械的張力の強さによっても決まりうる。例えば、1秒から10分、好ましくは数秒から5分であってもよい。
【0070】
必要に応じて、工程(iii)の前に、機械的張力を、上で説明した通りにケラチン繊維に加えてもよい。
【0071】
以下、本発明による方法において使用される組成物A及びBの詳細を説明する。
【0072】
組成物A
本発明の組成物Aは、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む。
【0073】
(形態)
本発明に使用される組成物Aは、局所的用途に好適な任意の形態とすることができ、特に、水性、アルコール性若しくは水性-アルコール性の、又は油性の、溶液又は懸濁液の形態;ローション若しくはセラムタイプの溶液又は分散体の形態;O/W、W/O若しくは多重タイプの、特に液状若しくは半液状の稠度を有するエマルションの形態(本発明に使用される組成物が少なくとも1種の油を含む場合);クリーム(O/W)若しくは(W/O)タイプの、軟質な稠度を有する懸濁液又はエマルションの形態;水性ゲルの形態、又は他の任意の化粧料の形態とすることができる。
【0074】
本発明の組成物Aは、好ましくは、溶液、より好ましくは水溶液の形態にある。
【0075】
本発明に使用される組成物Aは、任意の生薬の形態であってもよい。例えば、本発明に使用される組成物Aは、クリーム、ローション、又はジェル等の、一般的な任意のヘアトリートメントの形態であってもよい。
【0076】
(pH)
本発明に使用される組成物AのpHは、25℃で測定して11以下、好ましくは10以下、より好ましくは9以下であってもよい。
【0077】
本発明に使用される組成物AのpHは、25℃で測定して4以上、好ましくは5以上、より好ましくは6以上であってもよい。
【0078】
本発明に使用される組成物AのpHは、25℃で測定して4~11、好ましくは5~10、より好ましくは6~9であってもよい。
【0079】
組成物Aの成分を、以下で詳細に説明する。
【0080】
(a)タンパク質変性剤
本発明による方法における組成物Aは、少なくとも1種の(a)タンパク質変性剤を含む。2種以上の(a)タンパク質変性剤が、組成物A中に含まれていてもよい。したがって、単一のタイプの(a)タンパク質変性剤又は異なるタイプの(a)タンパク質変性剤の組み合わせを、組成物A中に使用することができる。
【0081】
本明細書では、用語「タンパク質変性剤」は、タンパク質の高次構造を緩め、ポリペプチド側鎖間の水素結合及び疎水性相互作用を解離させる機能を有する化合物を意味する。タンパク質変性剤は、タンパク質変性オスモライト/カオトロピック剤であってもよい。
【0082】
(a)タンパク質変性剤は、以下に説明する(b)化合物及び(c)化合物とは異なる。
【0083】
本発明の(a)タンパク質変性剤は、上で説明した機能を有する限り、特に限定されず、尿素及びその尿素誘導体;グアニジン及びその塩、例えば塩化グアニジン;タンパク質を変性する塩、例えば過塩素酸塩、例えば過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、KCl、LiCl、NH4Cl、(NH4)2SO4;タンパク質を変性する界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸リチウム;並びに有機溶媒、例えばエタノール、n-ブタノール、2-プロパノール、及びフェノールから選択することができる。
【0084】
好ましい一実施形態において、(a)タンパク質変性剤は、尿素及び尿素誘導体から選択される。
【0085】
用語「尿素誘導体」は、その化学式中に、2個の窒素原子に単純に結合されたカルボニル基、すなわち以下の単位を含む、尿素(CO(NH2)2)それ自体とは別の任意の化合物を意味する。
【0086】
【化1】
【0087】
好ましくは、(a)化合物は、式(I)若しくは(II)の化合物、その塩又はその水和物から選択される:
【0088】
【化2】
【0089】
[式中:
- R1、R2、R3及びR4は、独立して、以下を表す:
(i)水素原子、又は
(ii)直鎖状若しくは分枝状、環式若しくは非環式C1~C5低級アルキル基若しくはアルケニル基、C1~C5アルコキシ基、C6~C18アリール基、5~8員複素環式基(これらの基は、以下の基:ヒドロキシル、ジメチルアミノ等の(ジ)(C1~C4)(アルキル)アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C6~C18アリール、カルボキサミド及びN-メチルカルボキサミドから選択される基で任意選択により置換されている);
このとき、以下であることが理解される:
- R1、R2及びR3が水素原子を表す場合、R4は、カルボキサミド、メトキシ、エトキシ、1,2,4-トリアゾリル、シクロペンチル、(C1~C6)アルキルカルボニル、例えばアセチル、又は(C1~C6)アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル又はエトキシカルボニル、-CO-CH=CH-COOH、フェニルを示し得、これらは任意選択により塩素原子又はヒドロキシル、ベンジル若しくは2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル基で置換される;
- R1及びR3が水素原子を表す場合、R2は、水素原子又はメチル基若しくはエチル基を表し得、R4は、アセチル基を表しうる;
- R1=R2=Hの場合、R3及びR4は、それらを保持する窒素原子と一緒に、ピペリジン、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール又はマレイミド環を形成することができる;
- R1及びR2は、また、R3及びR4も、それらを保持する窒素原子と一緒に、イミダゾール環を形成することができる;
- R5及びR6は、互いに独立して、以下を表す:
(iii)水素原子、又は
(iv)直鎖状若しくは分枝状、環式若しくは非環式C1~C5低級アルキル基、アシル基若しくはアルケニル基、C1~C5アルコキシ基、C6~C18アリール基、5~8員複素環式基(これらの基は、以下の基:ヒドロキシル、アミノ、ジメチルアミノ、カルボキシル、ハロゲン、C6~C18アリール、カルボキサミド及びN-メチルカルボキサミドから選択される基で任意選択により置換されている);
- Aは、以下の基: CH2-CH2、CH=CH、CH2-CO、CO-NH、CH=N、CO-CO、CHOH-CHOH、(HOOC)CH-CH、CHOH-CO、CH2-CH2-CH2、CH2-NH-CO、CH=C(CH3)-CO、NH-CO-NH、CH2-CH2-CO、CH2-N(CH3)-CH2、NH-CH2-NH、CO-CH(CH3)-CH2、CO-CH2-CO、CO-NH-CO、CO-CH(COOH)-CH2、CO-CH=C(COOH)、CO-CH=C(CH3)、CO-C(NH2)=CH、CO-C(CH3)=N、CO-CH=CH、CO-CH=N及びCO-N=CHから選択される基である]。
【0090】
本発明による特に好ましい式(I)の化合物の中で、以下のものを挙げることができる:
- 尿素、
- メチル尿素、
- エチル尿素、
- プロピル尿素、
- n-ブチル尿素、
- sec-ブチル尿素、
- イソブチル尿素、
- tert-ブチル尿素、
- シクロペンチル尿素、
- エトキシ尿素、
- ヒドロキシエチル尿素、
- N-(2-ヒドロキシプロピル)尿素、
- N-(3-ヒドロキシプロピル)尿素、
- N-(2-ジメチルアミノプロピル)尿素、
- N-(3-ジメチルアミノプロピル)尿素、
- 1-(3-ヒドロキシフェニル)尿素、
- ベンジル尿素、
- N-カルバモイルマレアミド、
- N-カルバモイルマレアミック酸、
- ピペリジンカルボキサミド、
- 1,2,4-トリアゾール-4-イル尿素、
- ヒダントイン酸、
- アロファン酸メチル、
- アロファン酸エチル、
- アセチル尿素、
- ヒドロキシエチレン尿素、
- 2-(ヒドロキシエチル)エチレン尿素、
- ジアリル尿素、
- クロロエチル尿素、
- N,N-ジメチル尿素、
- N,N-ジエチル尿素、
- N,N-ジプロピル尿素、
- シクロペンチル-1-メチル尿素、
- 1,3-ジメチル尿素、
- 1,3-ジエチル尿素、
- 1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)尿素、
- 1,3-ビス(2-ヒドロキシプロピル)尿素、
- 1,3-ビス(3-ヒドロキシプロピル)尿素、
- 1,3-ジプロピル尿素、
- エチル-3-プロピル尿素、
- sec-ブチル-3-メチル尿素、
- イソブチル-3-メチル尿素、
- シクロペンチル-3-メチル尿素、
- N-アセチル-N'-メチル尿素、
- トリメチル尿素、
- ブチル-3,3-ジメチル尿素、
- テトラメチル尿素、及び
- ベンジル尿素。
【0091】
本発明による特に好ましい式(II)の化合物の中で、以下のものを挙げることができる:
- パラバン酸、
- 1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-2-オン、
- バルビツール酸、
- ウラシル、
- 1-メチルウラシル、
- 3-メチルウラシル、
- 5-メチルウラシル、
- 1,3-ジメチルウラシル、
- 5-アザウラシル、
- 6-アザウラシル、
- 5-フルオロウラシル、
- 6-フルオロウラシル、
- 1,3-ジメチル-5-フルオロウラシル、
- 5-アミノウラシル、
- 6-アミノウラシル、
- 6-アミノ-1-メチルウラシル、
- 6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、
- 4-クロロウラシル、
- 5-クロロウラシル、
- 5,6-ジヒドロウラシル、
- 5,6-ジヒドロ-5-メチルウラシル、
- 2-イミダゾリドン、
- 1-メチル-2-イミダゾリジノン、
- 1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、
- 4,5-ジヒドロキシ-イミダゾリジン-2-オン、
- 1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、
- 1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-イミダゾリジノン、
- 1-(3-ヒドロキシプロピル)-2-イミダゾリジノン、
- 4,5-ジヒドロキシ-1,3-ジメチル-イミダゾリジン-2-オン、
- 1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、
- 2-イミダゾリドン-4-カルボン酸、
- 1-(2-アミノエチル)-2-イミダゾール、
- 4-メチル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン、
- 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルピリミジン、
- 1-アミノ-4,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール-5-オン、
- ヒダントイン、
- 1-メチルヒダントイン、
- 5-メチルヒダントイン、
- 5,5-ジメチルヒダントイン、
- 5-エチルヒダントイン、
- 5-n-プロピルヒダントイン、
- 5-エチル-5-メチルヒダントイン、
- 5-ヒドロキシ-5-メチルヒダントイン、
- 5-ヒドロキシメチルヒダントイン、
- 1-アリルヒダントイン、
- 1-アミノヒダントイン、
- ヒダントイン-5-酢酸、
- 4-アミノ-1,2,4-トリアゾロン-3,5-ジオン、
- ヘキサヒドロ-1,2,4,5-テトラジン-3,6-ジオン、
- 5-メチル-1,3,5-トリアジノン-2-オン、
- 1-メチルテトラヒドロピリミジン-2-オン、
- 2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、
- ウラゾル、
- 4-メチルウラゾル、
- オロチン酸、
- ジヒドロキシオロチン酸、
- 2,4,5-トリヒドロキシピリミジン、
- 2-ヒドロキシ-4-メチルピリミジン、
- 4,5-ジアミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、
- 1,3-ジメチルバルビツール酸、
- シアヌル酸、
- 1-メチル-ヘキサヒドロピリミジン-2,4-ジオン、
- 1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2-1H-ピリミジノン、
- 5-ヒドロキシメチル-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオン、
- 2,4-ジヒドロキシピリミジン-5-カルボン酸、
- 6-アザチミン、
- 5-メチル-1,3,5-トリアジナン-2-オン、
- N-カルバモイルマレアミック酸、及び
- アロキサン一水和物。
【0092】
優先的には、(a)タンパク質変性剤は、尿素及びヒドロキシエチル尿素、より好ましくは尿素から選択される。
【0093】
(a)タンパク質変性剤は、組成物Aの総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上の量で存在していてもよい。
【0094】
(a)タンパク質変性剤は、組成物Aの総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量で存在していてもよい。
【0095】
本発明の組成物A中の(a)タンパク質変性剤の量は、組成物Aの総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0096】
組成物B
本発明の組成物Bは、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む。
【0097】
(形態)
本発明に使用される組成物Bは、局所的用途に好適な任意の形態とすることができ、特に、水性、アルコール性若しくは水性-アルコール性の、又は油性の、溶液又は懸濁液の形態;ローション若しくはセラムタイプの溶液又は分散体の形態;O/W、W/O若しくは多重タイプの、特に液状若しくは半液状の稠度を有するエマルションの形態(本発明に使用される組成物が少なくとも1種の油を含む場合);クリーム(O/W)若しくは(W/O)タイプの、軟質な稠度を有する懸濁液又はエマルションの形態;水性ゲルの形態、又は他の任意の化粧料の形態とすることができる。
【0098】
本発明の組成物Bは、好ましくは、エマルション、より好ましくはO/Wエマルションの形態にある。
【0099】
本発明に使用される組成物Bは、任意の生薬の形態であってもよい。例えば、本発明に使用される組成物Bは、クリーム、ローション、及びジェル等の、一般的な任意のヘアトリートメントの形態であってもよい。
【0100】
(pH)
本発明に使用される組成物BのpHは、25℃で測定して7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下であってもよい。
【0101】
本発明に使用される組成物BのpHは、25℃で測定して3以上であってもよい。
【0102】
本発明に使用される組成物BのpHは、25℃で測定して3~7、好ましくは3~6、より好ましくは3~5であってもよい。
【0103】
組成物Bの成分を、以下で詳細に説明する。
【0104】
(b)グリオキシル酸及びその誘導体
本発明の組成物Bは、(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0105】
単一のタイプの(b)化合物を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの(b)化合物を組み合わせて使用することもできる。
【0106】
(b)化合物は、グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。言い換えれば、(b)化合物は、グリオキシル酸及びその誘導体から選択される。
【0107】
グリオキシル酸溶媒和物として、例えば、グリオキシル酸一水和物等のグリオキシル酸水和物を挙げることができる。
【0108】
グリオキシル酸塩として、例えば、グリオキシル酸ナトリウム又はカリウム及びグリオキシル酸マグネシウム又はカルシウム等のグリオキシル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0109】
グリオキシル酸エスエルとして、例えば、グリオキシル酸メチル及びグリオキシル酸エチル等のグリオキシル酸アルキルエステルを挙げることができる。
【0110】
グリオキシル酸アミドとして、例えば、N-グリオキシロイルカルボシステイン及びN-グリオキシロイルケラチンアミノ酸を挙げることができる。
【0111】
(b)化合物として、グリオキシル酸を使用することが好ましい。
【0112】
本発明の組成物B中の(b)化合物の量は、該組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0113】
本発明の組成物B中の(b)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、25質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満である。
【0114】
そのため、本発明の組成物B中の(b)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.1質量%から25質量%未満、好ましくは0.5質量%から20質量%未満、より好ましくは1質量%から15質量%未満であってもよい。
【0115】
別の実施形態において、本発明の組成物B中の(b)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、3質量%超、好ましくは5質量%超、より好ましくは10質量%超であってもよい。
【0116】
そのため、この実施形態において、本発明の組成物B中の(b)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、3質量%超且つ25質量%未満、好ましくは5質量%超且つ20質量%未満、より好ましくは10質量%超且つ15質量%未満であってもよい。
【0117】
(c)ケト酸
本発明の組成物Bは、(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物を含む。2種以上の(c)化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(c)化合物、又は異なるタイプの(c)化合物の組み合わせを使用することができる。
【0118】
ケト酸は、α-ケト酸、β-ケト酸、γ-ケト酸、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0119】
α-ケト酸は、一般式(I)で表される化合物であってもよい:
R1-C(=O)-COOH (I)
(式中、
R1は、任意選択によりOH、COOH、又は塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子で置換された、直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基を示す)。
【0120】
α-ケト酸の例としては、ピルビン酸が挙げられる。
【0121】
β-ケト酸は、一般式(II)で表されうる:
R2-C(=O)-R3-COOH (II)
(式中、
R2は、任意選択によりOH、COOH、又は塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子で置換された、直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基を示し、
R3は、任意選択により塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子で置換された、メチレン基を示す)。
【0122】
β-ケト酸の例としては、アセト酢酸が挙げられる。
【0123】
γ-ケト酸は、一般式(III)で表されうる:
R2-C(=O)-R4-COOH (III)
(式中、
R2は、任意選択によりOH、COOH、又は塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子で置換された、直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基を示し、
R4は、任意選択により塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子で置換された、エチレン基を示す)。
【0124】
γ-ケト酸の例としては、レブリン酸が挙げられる。
【0125】
ケト酸の塩は、ケト酸ナトリウム又はカリウム塩、及びケト酸マグネシウム又はカルシウム塩等、ケト酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であってもよい。
【0126】
(c)化合物として、γ-ケト酸、より好ましくはレブリン酸及び/又はその塩、例えばレブリン酸ナトリウムを使用することが好ましい。
【0127】
本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0128】
本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0129】
そのため、本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~8質量%、より好ましくは1質量%~6質量%であってもよい。
【0130】
一実施形態において、本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0131】
そのため、この実施形態において、本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、該組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%、好ましくは0.5質量%~4質量%、より好ましくは1質量%~3質量%であってもよい。
【0132】
別の実施形態において、本発明の組成物B中の(c)化合物の量は、組成物Bの総質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%、より好ましくは2質量%~4質量%であってもよい。
【0133】
本発明の別の実施形態において、(c)化合物は、(b)化合物より少ない量で、組成物B中に存在する。例えば、組成物B中に含まれる(b)化合物の(c)化合物に対する質量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~7:1、より好ましくは2:1~5:1の範囲であってもよい。
【0134】
(他の任意選択の成分)
- 水
本発明による組成物A及びBは、それぞれ、水を含んでいてもよい。
【0135】
そのため、本発明による組成物A及びBのそれぞれが水を含む場合、本発明による組成物A及びBは、無水ではない。
【0136】
本発明による組成物A及びBのそれぞれの中の水の量は、各組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
【0137】
一方、本発明による組成物A及びBのそれぞれの中の水の量は、各組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0138】
本発明による各組成物中の水の量は、各組成物の総質量に対して、20質量%~95質量%、好ましくは30質量%~90質量%、より好ましくは40質量%~85質量%であってもよい。
【0139】
- アルカリ剤
本発明による組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用することができる。そのため、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組み合わせを使用することができる。
【0140】
本発明の一実施形態において、組成物Aはアルカリ剤を一切含まないが、組成物Bは少なくとも1種のアルカリ剤を含む。
【0141】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。アルカリ剤は、不揮発性であることが好ましい。無機アルカリ剤が、アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;並びにリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩からなる群から選択されることが好ましい。
【0142】
無機アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
【0143】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、モノアミン及びジアミンからなる群から選択されることが好ましい。
【0144】
モノアミンの例としては、アルカノールアミン、例えば、1~3つのヒドロキシアルキル(C1~C4)基を含む、モノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミンを挙げることができる。特に、アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンから選択することができる。
【0145】
ジアミンは、以下の構造式(B):
【0146】
【化3】
【0147】
(式中、Wは、ヒドロキシル又はC1~C4アルキル基により任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを表し、Ra、Rb、Rc及びRdは、独立して、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を表す)で記載されているものであってもよく、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる。
【0148】
本発明による組成物A及びBのそれぞれの中のアルカリ剤の量は、各組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0149】
一方、本発明による組成物A及びBのそれぞれの中のアルカリ剤の量は、各組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0150】
そのため、本発明による各組成物中のアルカリ剤の量は、各組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0151】
- 油
本発明の組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種の油を含んでいても、含んでいなくてもよい。2種以上の油を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの油を使用しても、異なるタイプの油の組み合わせを使用してもよい。
【0152】
一実施形態において、本発明の組成物Bは、少なくとも1種の油を含む。一実施形態において、本発明の組成物Aは、少なくとも1種の油を含まない。
【0153】
本明細書では、「油」は、大気圧下(760mmHg)、室温(25℃)にて、液体又はペースト又は固体の形態にある脂肪化合物又は物質を意味する。油としては、化粧品において一般に使用されるものを、単独で又は組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0154】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はそれらの混合物であってもよい。
【0155】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群から選択することができる。
【0156】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ホホバエステル、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0157】
合成油の例としては、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0158】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10個以上である。
【0159】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
【0160】
一酸のモノエステル及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル等、パルミチン酸セチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0161】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0162】
特に以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0163】
エステル油として、C6~C30の、好ましくはC12~C22の脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0164】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、アルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0165】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステル混合物からなる群から特に選ぶことができる。これらの化合物が不飽和である場合、1~3つの共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
【0166】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0167】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0168】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0169】
挙げることができる一例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0170】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0171】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0172】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等; 環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等; 並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0173】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液状ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0174】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0175】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0176】
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選択され、更に、より詳細には、以下のものから選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109を挙げることもできる。
【0177】
【化4】
【0178】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文に記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0179】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用されてよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中では、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0180】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60 000mm2/sの粘度を有するDC200、
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0181】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
【0182】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけ、ポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633シリーズ及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0183】
有機変性液状シリコーンは、特にポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有しうる。そのため、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0184】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0185】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0186】
油は、極性油から選択されることが好ましく、より好ましくはエステル油、更により好ましくはモノエステル油から選択される。
【0187】
本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の油の量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0188】
一方、本発明による組成物A及びBのそれぞれの中の油の量は、各組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0189】
そのため、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の油の量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0190】
- 脂肪族アルコール
本発明の組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種の脂肪族アルコールを含んでいても、含んでいなくてもよい。単一のタイプの脂肪族アルコールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの脂肪族アルコールを組み合わせて使用することもできる。
【0191】
一実施形態において、本発明の組成物Bは、少なくとも1種の脂肪族アルコールを含むが、組成物Aは、脂肪族アルコールを含まない。
【0192】
用語「脂肪族」は、本明細書では、比較的多数の炭素原子の包含を意味する。したがって、6個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。2種以上の脂肪族アルコールを組み合わせて使用することができる。
【0193】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8~40個の炭素原子、例えば8~30個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態において、Rは、C12~C24アルキル基及びC12~C24アルケニル基から選択される。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0194】
挙げることができる(h)脂肪族アルコールの非限定的な例には、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール、及びそれらの混合物がある。
【0195】
好適な脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
脂肪族アルコールは、脂肪族アルコールの混合物を表すことができ、これは、脂肪族アルコールのいくつかの種が、市販製品中、混合物の形態で共存できることを意味する。
【0197】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪族アルコールは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(セテアリルアルコール)から選ばれる。
【0198】
(h)脂肪族アルコールは、セチルアルコール、セテアリルアルコール、及びステアリルアルコールからなる群から選択されることが好ましい。
【0199】
本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の脂肪族アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であってもよい。
【0200】
一方、本発明による組成物A及びBのそれぞれの中の脂肪族アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0201】
そのため、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の脂肪族アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは2質量%~10質量%であってもよい。
【0202】
- 非イオン性界面活性剤
本発明の組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。単一のタイプの非イオン性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0203】
非イオン性界面活性剤の任意選択の成分は、本明細書では、(a)タンパク質変性剤とは異なってもよい。
【0204】
一実施形態において、本発明の組成物Bは、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0205】
非イオン性界面活性剤は、それら自体において又はそれら自体の周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、アルファジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選ぶことができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であること、及びグリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた挙げることができる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5つの、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含む、ソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにそれらの混合物もまた、非限定的に挙げることができる。
【0206】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選ぶことができる。オキシアルキレン単位は、より特定するとオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0207】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ソルビトールとの、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、及び
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0208】
界面活性剤は、1~100の間、好ましくは1~50の間、より好ましくは1~20の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを好ましくは含有する。
【0209】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、モノオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、モノオキシエチレン化脂肪族アルコール(エチレングリコールと脂肪族アルコールとのエーテル)、モノオキシエチレン化脂肪エステル(エチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びそれらの混合物から選ぶことができる。
【0210】
挙げることができるモノオキシアルキレン化脂肪エステルの例には、ジステアリン酸グリコールがある。
【0211】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪族アルコール(ポリエチレングリコールと脂肪族アルコールとのエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪エステル(ポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びそれらの混合物から選ぶことができる。
【0212】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪族アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-2からラウレス-20);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-2からベヘネス-20);セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-2からセテアレス-20);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-2からセテス-20);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-2からステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-2からイソステアレス-20);及びそれらの混合物がある。
【0213】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪族アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-2からオレス-20)、及びそれらの混合物がある。
【0214】
非イオン性界面活性剤は、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤から選択されることが好ましく、より好ましくはポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤、更により好ましくはポリオキシエチレン化脂肪族アルコールから選択される。
【0215】
本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の非イオン性界面活性剤の量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であってもよい。
【0216】
一方、本発明による組成物A及びBのそれぞれの中の非イオン性界面活性剤の量は、各組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0217】
そのため、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の非イオン性界面活性剤の量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.25質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%であってもよい。
【0218】
- ポリオール
本発明の組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種のポリオールを含んでいても、含んでいなくてもよい。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用することもできる。
【0219】
一実施形態において、組成物A及びBの両方が、少なくとも1種のポリオールを含む。
【0220】
本発明の目的に関して、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0221】
本発明における使用に適したポリオールは、少なくとも2つの-OH官能基をアルキル鎖上に保持する、直鎖状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和アルキルタイプの化合物であってもよい。
【0222】
好ましくは、ポリオールは、少なくとも2つの-OH官能基、好ましくは2~5つの-OH官能基、より好ましくは2~4つの-OH官能基、更により好ましくは2又は3つの-OH官能基をアルキル鎖上に保持する、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状のアルキルタイプの化合物である。
【0223】
有利に好適なポリオールは、とりわけ2~8個の炭素原子、又は例えば3~6個の炭素原子を有するものである。
【0224】
ポリオールは、3~8個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状ポリオールから選択されてもよく、とりわけ、以下を挙げることができる:
- ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール等のジオール;並びに
- グリセロール(グリセリン)等のトリオール、
並びにそれらの混合物。
【0225】
本発明の一実施形態において、ポリオールは、3~6個の炭素原子を有する直鎖状アルキルタイプのポリオールから選択される。
【0226】
ポリオールは、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中に、各組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上の量で存在していてもよい。
【0227】
ポリオールは、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中に、各組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下の量で存在していてもよい。
【0228】
本発明の組成物A及びBのそれぞれの中のポリオールの量は、各組成物の総質量に対して、0.5質量%~50質量%、好ましくは1質量%~40質量%、より好ましくは2質量%~35質量%であってもよい。
【0229】
- 一価アルコール
本発明の組成物A及びBのそれぞれは、少なくとも1種の一価アルコールを含んでいても、含んでいなくてもよい。単一のタイプの一価アルコールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの一価アルコールを組み合わせて使用することもできる。
【0230】
一価アルコールの任意選択の成分は、本明細書では、(a)タンパク質変性剤とは異なってもよい。
【0231】
一実施形態において、本発明の組成物Bは、少なくとも1種の一価アルコールを含む。一実施形態において、本発明の組成物Aは、少なくとも1種の一価アルコールを含まない。
【0232】
一価アルコールは、本明細書では、水溶性の親水性一価アルコールであってもよい。本発明の目的に関して、用語「親水性」は、本明細書では、物質が、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で水に可溶性であることを意味する。
【0233】
一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有し、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を保持する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和一価アルコールであってもよい。
【0234】
一実施形態において、一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する脂肪族一価アルコールであってもよい。
【0235】
用語「脂肪族一価アルコール」は、本明細書では、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を保持する、任意の直鎖状又は分枝状の飽和アルカン化合物を意味する。
【0236】
脂肪族一価アルコールは、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0237】
本発明の好ましい一実施形態において、一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族一価アルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0238】
本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の一価アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.25質量%以上であってもよい。
【0239】
一方、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の一価アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0240】
そのため、本発明の組成物A及びBのそれぞれの中の一価アルコールの量は、各組成物の総質量に対して、0.1質量%~25質量%、好ましくは0.2質量%~20質量%、より好ましくは0.25質量%~15質量%であってもよい。
【0241】
- 任意選択の成分
本発明による組成物A及びBのそれぞれはまた、特に、粘度調整剤、例えば多糖類等の増粘剤;日焼け止め剤;保湿剤;フケ防止剤;抗酸化剤;安息香酸等の抗菌剤;フェノキシエタノール等の防腐剤;キレート剤;真珠光沢剤及び乳白剤;可塑剤又はコアレッサー;充填剤;乳化剤;ポリマー、特にカチオン性ポリマー等のコンディショニングポリマー;香料;シラン;架橋剤;並びにアニオン性及び両性界面活性剤を含めた界面活性剤から選択される、少なくとも1種の他の任意選択の成分も含んでよい。組成物は、当然ながら、上記の一覧に登場するいくつかの化粧用成分を含むことができる。
【0242】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物B中のポリオールの量は、組成物Bの総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0243】
上記の任意選択の成分は、正常量で存在することができ、その量は、当業者によって容易に決定され得、組成物A及びBのそれぞれにおいて、各成分、0.01質量%から80質量%の間であってもよい。当業者は、本発明に使用される組成物の特性に害を与えないように、組成物に含まれる成分と、更にそれらの量とを、注意深く選択することになる。
【0244】
- アンモニア及びチオール化合物
本発明による方法が、ケラチン繊維にアンモニア又はチオール化合物を適用することを含まないことが好ましい。そのため、組成物A及びBのそれぞれが、アンモニア又はチオール化合物を非含有であることが好ましい。用語「アンモニア又はチオール化合物を非含有である」は、本発明による組成物が、実質的な量のアンモニア又はチオール化合物を含まないことを意味する。
【0245】
一実施形態において、本発明の組成物A及びBのそれぞれは、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下のアンモニア又はチオール化合物を含み、特に、アンモニア又はチオール化合物を含まない。
【0246】
アンモニア及び/又はチオール化合物の使用量がきわめて少量であるか又は皆無なために、本発明によるプロセス中の悪臭を、低減又は防止できる。
【0247】
チオール化合物は、本明細書では、少なくとも1つのチオール(-SH)基を有する化合物を意味する。
【0248】
チオール化合物は、還元剤であってもよい。チオール還元剤は、チオグリコール酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオグリコール酸グリセロール又はモノチオグリコール酸グリコール等のそのエステル;チオ乳酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオ乳酸グリセロール等のそのエステル;3-メルカプトプロピオン酸及びその誘導体、とりわけ、3-メルカプトプロピオン酸グリセロール及び3-メルカプトプロピオン酸エチレングリコール等のそのエステル;システアミン及びその誘導体、とりわけ、N-アセチルシステアミン及びN-プロピオニルシステアミン等のそのC1~C4アシル誘導体;モノチオグリセロール及びその誘導体、とりわけエステル;システイン及びその誘導体、とりわけ、N-アセチルシステイン、N-アルカノイルシステイン及びシステインアルキルエステル等のエステル;チオグリセリン及びその誘導体、とりわけs-アルキル誘導体、並びにそれらの塩からなる群から選択されてもよい。
【0249】
上述の塩として、例えば、アンモニウム塩;第一級、第二級又は第三級アミン塩;アルカリ金属塩;及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。第一級、第二級、又は第三級アミンとして、例えば、それぞれ、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、又はトリエタノールアミンを挙げることができる。
【0250】
チオール還元剤の他の例には、N-(メルカプト-2-エチル)グルコンアミド、β-メルカプトプロピオン酸、及びそれらの誘導体等の糖N-メルカプトアルキルアミド;チオリンゴ酸;パンテテイン;欧州特許出願公開第0354835号に記載されているもの等のN-(メルカプトアルキル)ω-ヒドロキシアルキルアミド及び欧州特許出願公開第0368763号に記載されているもの等のN-モノ-又はN,N-ジアルキルメルカプト4-ブチルアミド;欧州特許出願公開第0432000号に記載されているもの等のアミノメルカプトアルキルアミド及び欧州特許出願公開第0514282号に記載されているもの等のアルキルアミノメルカプトアルキルアミド;(2/3)ヒドロキシ-2プロピルチオグリコレート;並びに仏国特許出願公開第2679448号に記載されているヒドロキシ-2メチル-1エチルチオグリコレート系混合物(67/33)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0251】
- 還元剤及び酸化剤
本発明による方法は、ケラチン繊維に還元剤又は酸化剤を適用することを含まないことが好ましい。そのため、組成物A及びBのそれぞれが、還元剤又は酸化剤を非含有であることが好ましい。用語「還元剤又は酸化剤を非含有である」は、組成物が、実質的な量の還元剤又は酸化剤を含まないことを意味する。
【0252】
一実施形態において、本発明の組成物A及びBのそれぞれは、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下の還元剤又は酸化剤を含み、特に還元剤又は酸化剤を含まない。
【0253】
還元剤は、チオール還元剤又は非チオール還元剤であってよい。チオール還元剤は、上に記載したものである。
【0254】
非チオール還元剤は、本明細書では、チオール基を含まない還元剤を意味する。非チオール還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、スルフィネート、ホスフィン、糖、リダクトン及び水素化物からなる群から選択されてもよい。非チオール還元剤は、亜硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウム、並びに金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムから選択されてもよい。
【0255】
酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属臭素酸塩、フェリシアン化物、過酸化塩、及び加水分解によって過酸化水素を生成することができる化合物から選択することができる。例えば、酸化剤は、過酸化水素水溶液、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、並びに過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩から選択することができる。
【0256】
{任意選択の工程(iv)}
本発明による方法は、組成物A及び組成物B以外の少なくとも1種のトリートメント組成物をケラチン繊維に適用するための追加の工程(iv)を含んでいても、含んでいなくてもよい。以下、トリートメント組成物を詳細に説明する。
【0257】
トリートメント組成物の適用は、ブラシ及び櫛等の任意の手段によって実施してもよい。
【0258】
本発明による方法は、組成物A及びBの両方を適用した後並びに存在する場合は工程(iii)の前に、工程(iv)を含んでもよい。そのため、本発明による方法は、工程(i)及び(ii)の両方を完了した後並びに存在する場合は工程(iii)の前に、工程(iv)を含んでもよい。
【0259】
本発明の一実施形態において、本発明による方法は、工程(i)、工程(ii)、工程(iv)、及び工程(iii)を、この順序で含む。
【0260】
本発明の別の実施形態において、本発明による方法は、工程(ii)、工程(i)、工程(iv)、及び工程(iii)を、この順序で含む。
【0261】
本発明による方法は、工程(iv)の直前及び/又は後に、ケラチン繊維をすすぎ流し、ケラチン繊維を乾燥する又は乾燥しない任意選択の工程を含んでもよい。
【0262】
トリートメント組成物の適用後、ケラチン繊維を、必要に応じて、特定の長さの時間にわたり、典型的には1分間~1時間、好ましくは2~30分間、より好ましくは3~10分間そのままの状態で放置して、組成物をケラチン繊維中に浸透させることが可能でありうる。
【0263】
ケラチン繊維へのトリートメント組成物の適用量は特に限定されないが、一般に1gのケラチン繊維に対して0.01g~0.5gの範囲である。
【0264】
本発明による方法は、1回の工程(iv)を含んでもよい、又は2回以上の工程(iv)を含んでもよい。好ましい一実施形態において、本発明による方法は、2回の工程(iv)を含んでもよい。
【0265】
方法が2回以上の工程(iv)を含む場合、各工程(iv)は、同じ又は異なるトリートメント組成物の適用を含むことができる。
【0266】
本発明の一実施形態において、方法は、2回の工程(iv)を含み、各工程(iv)は、ケラチン繊維に異なる組成物を適用することを含む。
【0267】
本発明の一実施形態において、本発明による方法は、工程(iv)の後に、すすぎ工程を含まない。この実施形態において、工程(iv)で使用されるトリートメント組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物であってもよい。
【0268】
(トリートメント組成物)
本発明に使用することができるトリートメント組成物の形態は、局所的用途に好適な任意の形態とすることができ、特に、水性、アルコール性若しくは水性-アルコール性の、又は油性の、溶液又は懸濁液の形態;ローション若しくはセラムタイプの溶液又は分散体の形態;O/W、W/O若しくは多重タイプの、特に液状若しくは半液状の稠度を有するエマルションの形態(本発明に使用される組成物が少なくとも1種の油を含む場合);クリーム(O/W)若しくは(W/O)タイプの、軟質な稠度を有する懸濁液又はエマルションの形態;水性ゲルの形態、又は他の任意の化粧料の形態とすることができる。
【0269】
本発明に使用することができるトリートメント組成物のpHは、25℃で3~8、好ましくは3~7であってもよい。
【0270】
トリートメント組成物の配合は特に限定されず、化粧分野において一般に使用されるケラチン繊維のための組成物を用いることができる。一実施形態において、トリートメント組成物は、ヘアケア組成物であってもよい。
【0271】
例えば、トリートメント組成物は、少なくとも1種のシリコーン及び/又は少なくとも1種のポリオールを含んでも、含んでいなくてもよい。
【0272】
好ましくは、トリートメント組成物は、少なくとも1種のアミノ変性シリコーン又はアミノシリコーンを含む。
【0273】
用語「アミノシリコーン」は、本明細書では、少なくとも1つの第一級、第二級若しくは第三級アミン基、又は少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味する。
【0274】
トリートメント組成物中の(a)シリコーンの量は、トリートメント組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~20質量%であってもよい。
【0275】
トリートメント組成物中に含まれうるポリオールは、上で説明したポリオールと同じであり、同じ説明を適用することができる。
【0276】
好ましくは、トリートメント組成物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びカプリリルグリコール等のジオール並びにグリセロール等の他のポリオールから選択される少なくとも1種のポリオールを含む。
【0277】
トリートメント組成物中のポリオールの量は、トリートメント組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0278】
トリートメント組成物は、水を含んでもよい。この実施形態において、トリートメント組成物は、無水ではない。
【0279】
トリートメント組成物中の水の量は、該組成物の総質量に対して、40質量%~95質量%、好ましくは50質量%~95質量%、より好ましくは60質量%~90質量%であってもよい。
【0280】
[キット]
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するためのキットであって、本発明の組成物Aと組成物Bとの組み合わせを含む、キットにも関する。
【0281】
そのため、本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するためのキットであって、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含む組成物Aと、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む組成物Bと、
を含む、キットにも関する。
【0282】
本発明によるキットにおいて、組成物A及び組成物Bは、例えば、異なる容器内に、別々に供給されてもよい。
【0283】
本発明によるキットは、ケラチン繊維に、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度を加えることができる、アイロン又はカーラー等の少なくとも1つの加熱器を更に含んでいてもよい。
【0284】
キット中の加熱器は、ケラチン繊維を、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度で加熱できる限り、限定されない。この温度は、250℃未満、好ましくは240℃未満、より好ましくは230℃未満であってもよい。したがって、この温度は、50℃超且つ250℃未満、好ましくは100℃超且つ240℃未満、より好ましくは150℃超且つ230℃未満であってもよい。
【0285】
任意の従来の加熱用アイロン又は加熱用カーラーを含めた、任意の従来のアイロン又はカーラーを、本発明によるキット中の上記アイロン又はカーラーとして使用してもよい。
【0286】
加熱器は、上記の[方法]という題名の項で説明した加熱用アイロン又はカーラーであることが好ましい。また、本発明によるキットにおいて使用される組成物の詳細は、上記の[方法]という題名の項で説明している。
【0287】
[使用]
本発明は、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための、本発明の組成物Aと組成物Bとの組み合わせの使用に関しうる。
【0288】
そのため、本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するための、組成物Aと組成物Bとの組み合わせの使用であって、
組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含み、
組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、使用にも関する。
【0289】
特に、本発明は、組成物Bを用いてケラチン繊維を再整形、好ましくは直毛化するためのプレトリートメント剤及び/又はポストトリートメント剤としての組成物Aの使用であって、
組成物Aが、
(a)少なくとも1種のタンパク質変性剤
を含み、
組成物Bが、
(b)グリオキシル酸、グリオキシル酸溶媒和物、グリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに
(c)ケト酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、(b)化合物とは異なる、少なくとも1種の化合物
を含む、使用に関する。
【0290】
本発明の使用は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を加熱することによって実施することができる。本発明の使用において、加熱は、組成物A及びBがケラチン繊維に適用された後に行うことができる。
【0291】
加熱は、ケラチン繊維を、50℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超の温度で加熱できる限り、限定されない。この温度は、250℃未満、好ましくは240℃未満、より好ましくは230℃未満であってもよい。したがって、この温度は、50℃超且つ250℃未満、好ましくは100℃超且つ240℃未満、より好ましくは150℃超且つ230℃未満であってもよい。
【0292】
本発明による使用に関する組成物の詳細は、上記の[方法]という題名の項で説明している。
【実施例0293】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0294】
[調製]
組成物A及び組成物Bを、Table 1(表1)及びTable 2(表2)に示す成分を混合することによって調製した。成分の量の数値は、全て、原料の「質量%」に基づく。
【0295】
【表1】
【0296】
【表2】
【0297】
(実施例1~3及び比較例1~4)
(実施例1)
長さ27cmのブラジル人の巻き毛の毛髪見本(タイプIV)1gを、0.5gのプレーンシャンプー組成物でシャンプー洗浄した。プレーンシャンプー組成物の配合を、以下のTable 3(表3)に示す。成分の量の数値は、全て、原料の「質量%」に基づく。毛髪見本を、水道水で完全にすすぎ流した。
【0298】
【表3】
【0299】
0.2gの量の組成物Aを、プレトリートメントとして、濡れた毛髪見本に適用した(工程(i))。
【0300】
次いで、すすぎをせずに、0.6gの量の組成物Bを毛髪見本に適用した(工程(ii))。
【0301】
毛髪見本を、室温(25℃)で10分間放置した。次いで、毛髪見本を水道水で完全にすすぎ流し、その後、毛髪見本が乾燥するまでヘアドライヤーで乾かした。
【0302】
毛髪見本を、直毛化用アイロン(株式会社ハッコー(日本)製のADST Premium DS2)を180℃で、4秒/ストロークで用いて、3ストロークすることによって、直毛化に供した(工程(iii))。
【0303】
(比較例1)
実施例1で使用したものと同じ毛髪見本を、実施例1によるプレーンシャンプー0.5gでシャンプー洗浄した。プレーンシャンプーの配合は、実施例1で使用したものと同じであった。次いで、比較例1による毛髪見本にはトリートメントを適用しなかった。そのため、この方法では、工程(i)~(iii)を実施しなかった。
【0304】
(比較例2)
比較例2によるサンプルは、実施例1によるプレーンシャンプー0.5gでシャンプー洗浄し、次いで毛髪見本が乾燥するまで、該毛髪見本をヘアドライヤーで乾かすことによって調製した。次いで、該毛髪見本を、一切のトリートメントなしで、直毛化用アイロンを用いて直毛化に供した。直毛化プロセスは、実施例1のそれと同じであった。そのため、この方法では、工程(iii)のみを実施した。
【0305】
(比較例3)
比較例3によるサンプルは、実施例1と同じ方法で調製したが、組成物Aによるプレトリートメントを実施しなかった。そのため、この方法では、本発明の工程(i)は実施しなかった。
【0306】
(実施例2)
実施例2によるサンプルは、実施例1と同じ方法で調製したが、ブラジル人の巻き毛の毛髪見本(タイプIV)の代わりに中国人の巻き毛の毛髪見本(タイプIII)を使用した。
【0307】
(実施例3)
実施例2を繰り返したが、組成物Bを水道水ですすぎ流した後、0.25gのヘアケア組成物Yを毛髪見本に適用した。毛髪見本を室温(25℃)で5分間放置し、その後、水道水で完全にすすぎ流した。次いで、0.03gのヘアケア組成物Zを毛髪見本に適用した。毛髪見本が乾燥するまで、ヘアドライヤーを用いて毛髪見本を乾かし、実施例1と同じ方法で直毛化に供した。
【0308】
そのため、実施例3による方法には、追加の工程(iv)が含まれていた。
【0309】
ヘアケア組成物Y及びZの配合を、それぞれ、以下のTable 4(表4)及びTable 5(表5)に示す。成分の量の数値は、全て、原料の「質量%」に基づく。
【0310】
【表4】
【0311】
【表5】
【0312】
(比較例4)
比較例4によるサンプルは、実施例2と同じ方法で調製したが、組成物Aによるプレトリートメントを実施しなかった。そのため、この方法では、工程(i)は実施しなかった。
【0313】
実施例1~3及び比較例1~4による方法を、Table 4(表4)にまとめる。上で説明したように、これらの実施例では、工程(i)、(ii)、(iv)、及び(iii)を、存在する場合、この順序で実施した。
【0314】
【表6】
【0315】
(実施例4及び5)
(実施例4)
長さ27cmの中国人の巻き毛の毛髪見本(タイプIII)1gを、0.5gのプレーンシャンプーでシャンプー洗浄した。プレーンシャンプーの配合は、実施例1で使用したものと同じであった。
【0316】
0.6gの量の組成物Bを、プレトリートメントとして、濡れた毛髪見本に適用した(工程(ii))。
【0317】
毛髪見本を室温(25℃)で10分間放置し、その後、水道水で完全にすすぎ流した。
【0318】
0.2gの量の組成物Aを、ポストトリートメントとして、毛髪見本に適用した(工程(i))。次いで、毛髪見本を水道水で完全にすすぎ流し、その後、毛髪見本が乾燥するまでヘアドライヤーで乾かした。
【0319】
毛髪見本を、直毛化用アイロン(株式会社ハッコー(日本)製のADST Premium DS2)を180℃で、4秒/ストロークで用いて、3ストロークすることによって、直毛化に供した(工程(iii))。
【0320】
(実施例5)
実施例4を繰り返したが、組成物Aを水道水ですすぎ流した後、0.25gのヘアケア組成物Yを毛髪見本に適用した。毛髪見本を室温(25℃)で5分間放置し、その後、水道水で完全にすすぎ流した。次いで、0.03gのヘアケア組成物Zを毛髪見本に適用した。次いで、毛髪見本が乾燥するまで、ヘアドライヤーで毛髪見本を乾かした。ヘアケア組成物Y及びZの配合は、実施例2で使用したものと同じである。
【0321】
そのため、実施例5による方法には、追加の工程(iv)が含まれていた。
【0322】
毛髪見本を、直毛化用アイロン(株式会社ハッコー(日本)製のADST Premium DS2)を180℃で、4秒/ストロークで用いて、3ストロークすることによって、直毛化に供した(工程(iii))。
【0323】
実施例4及び5による方法を、Table 7(表7)にまとめる。上で説明したように、これらの実施例では、工程(ii)、(i)、(iv)、及び(iii)を、存在する場合、この順序で実施した。
【0324】
【表7】
【0325】
[評価]
(直毛化効果)
処置した各毛髪見本を室温(25℃)で3時間維持した後、処置した毛髪見本の直毛化レベルを、以下の基準下で、「直毛化性能」、「縮れレベル」、及び「ボリューム」の3つの側面に基づいて目視で評価した。
5: きわめて良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: きわめて不良
【0326】
(永続性)
中国人の巻き毛(タイプIII)を使用した実施例2~4及び比較例4による毛髪見本に対する効果の永続性を評価した。特に、ルーチンシャンプー組成物によるシャンプー洗浄を1回行った後の毛髪見本に対して、「直毛化効果」及び「梳かし易さ」に関する永続性を評価した。ルーチンシャンプー組成物の配合を、以下のTable 8(表8)に示す。シャンプー洗浄後、毛髪見本を水道水で完全にすすぎ流し、ヘアドライヤーで(乾燥するまで、約90秒間)乾かした。
【0327】
直毛化効果を、上記と同じ方法で測定し、評価を、以下の基準下で行った。
5: 優良
4: きわめて良好
3: 良好
2: 普通
1: 不良
【0328】
処置した毛髪見本に対する梳かし易さは、訓練を受けた者が見本を梳かして測定し、以下の基準下で、櫛通りに対する抵抗を評価した。
4: 摩擦を全く感じることなく、櫛を通すことができる
3: 摩擦をほぼ感じることなく、櫛を通すことができる
2: 許容可能な低い摩擦で容易に櫛が通る
【0329】
【表8】
【0330】
結果を、以下のTable 9(表9)に示す。
【0331】
【表9】
【0332】
工程(i)及び(ii)、任意選択で(iii)を含む実施例による方法が、工程(i)及び(ii)、任意選択の(iii)の全てを含まない比較例による方法と比較して、改善された直毛化効果と永続性の両方をもたらしたことが明らかである。更に、実施例による方法で処置した毛髪見本は、比較例による方法で処置した毛髪見本と比較して、シャンプー洗浄後に、同等の又は改善された梳かし易さの感覚特性を示すことができた。
【外国語明細書】