(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002008
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】商材入荷箱内の商材の判別方法、装置、及び、そのための機械学習モデル生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101877
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】511104657
【氏名又は名称】JFEテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 英之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲成
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】商材入荷箱の外装の内容物表示をカメラで画像認識して、仕分け用ラベル貼付前の状態で、商材入荷箱内の商材を判別する。
【解決手段】商材入荷箱14の外装の正面の画像と側面の画像をカメラ114、116で撮影し、該商材入荷箱14の外装の正面のカメラ画像115と側面のカメラ画像117から生産者情報を取得し、該生産者情報と入荷予定情報の関係を機械学習により紐付けて、前記商材入荷箱14内の商材を判別する。この際、商材入荷箱14に貼付されている仕分け用ラベル(A、B)を外装のカメラ画像315、317より抽出し、バーコードBCを読み取り、入荷予定データと紐付けた情報を教師データ350として、商材入荷箱14内の商材を判別するための機械学習モデル330を生成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商材入荷箱の外装の正面の画像と側面の画像をカメラで撮影し、
該商材入荷箱の外装の正面のカメラ画像と側面のカメラ画像から生産者情報を取得し、
該生産者情報と入荷予定情報の関係を紐付けて、前記商材入荷箱内の商材を判別することを特徴とする、商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項2】
前記生産者情報と前記入荷予定情報の関係の紐付けを機械学習により行うことを特徴とする請求項1に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項3】
前記機械学習に際して、前記商材入荷箱正面のカメラ画像から読み取った情報に加えて、前記商材入荷箱側面のカメラ画像から読み取った情報も学習データとして用いることを特徴とする請求項2に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項4】
前記機械学習に際して、産地バーコードのコードマスターが無い状態でも前記商材入荷箱内の商材を判別できるように学習することを特徴とする請求項2に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項5】
前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱を仕分けすることを特徴とする請求項1に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項6】
前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱に仕分け用ラベルを貼付することを特徴とする請求項1に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項7】
エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用することを特徴とする請求項2に記載の商材入荷箱内の商材の判別方法。
【請求項8】
商材入荷箱の外装の正面の画像と側面の画像を撮影するカメラと、
該商材入荷箱の外装の正面のカメラ画像と側面のカメラ画像から生産者情報を取得する手段と、
該生産者情報と入荷予定情報の関係を紐付けて、前記商材入荷箱内の商材を判別する手段と、
を備えたことを特徴とする商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項9】
前記生産者情報と前記入荷予定情報の関係の紐付けを機械学習により行う手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項10】
前記機械学習に際して、前記商材入荷箱正面のカメラ画像から読み取った情報に加えて、前記商材入荷箱側面のカメラ画像から読み取った情報も学習データとして用いる手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項11】
前記機械学習に際して、産地バーコードのコードマスターが無い状態でも前記商材入荷箱内の商材を判別できるように学習する手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項12】
前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱を仕分けする手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項13】
前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱に仕分け用ラベルを貼付する手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項14】
エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用する手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の商材入荷箱内の商材の判別装置。
【請求項15】
商材入荷箱に貼付されている仕分け用ラベルを外装のカメラ画像より抽出し、バーコードを読み取り、入荷予定データと紐付けた情報を教師データとして、商材入荷箱内の商材を判別するための機械学習モデルを生成することを特徴とする機械学習モデル生成方法。
【請求項16】
前記商材入荷箱の外装に記載された生産者情報が、生産者の名前、商材の産地、商材名、品種名、等級、階級、入数、口数を含むことを特徴とする請求項15に記載の機械学習モデル生成方法。
【請求項17】
前記商材入荷箱の外装のカメラ画像が、文字、絵、印刷、手書きを含むことを特徴とする請求項15に記載の機械学習モデル生成方法。
【請求項18】
エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用することを特徴とする請求項15に記載の機械学習モデル生成方法。
【請求項19】
前記教師データを、前記カメラ画像から読み取ったバーコードに連携される入荷情報を利用して作成することを特徴とする請求項15に記載の機械学習モデル生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商材入荷箱内の商材の判別方法、装置、及び、そのための機械学習モデル生成方法に係り、特に、商材入荷箱の外装の内容物表示をカメラで撮影するだけで、仕分け用ラベル貼付前に商材入荷箱内の商材を的確に判別することが可能な、商材入荷箱内の商材の判別方法、装置、及び、そのための機械学習モデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
花き等の商材を生産地から出荷する際に、商材を入れたダンボール箱(商材入荷箱と称する)に、花き業態全国共通のバーコードを貼付し出荷するよう生産地に提唱されているが、現在、バーコードの貼付率は全体の2%程度であり、普及には至っていない。
【0003】
そこで花き市場では、入荷時に発行する仕分け用ラベルである、
図1(A)に例示するような、仕分け先(販売先)が決まっていない未販売品や競り品に貼られる入荷ラベルAや、
図1(B)に例示するような、仕分け先が決まっている販売済品に貼られる分荷ラベルBと、商材入荷箱の内容物表示を目視で照らし合わせ、人手で入荷ラベルAや分荷ラベルBを貼付している。
【0004】
従来の花き市場の一例における入荷から仕分けまでの作業の一例を
図2に示す。
【0005】
トラック12などに積まれて市場の荷捌き場10に搬入された商材入荷箱14は、トラック12からの荷卸しの際に一次仕分けが行われ、パレット16に載置されたままフォークリフト18で運ばれたり、あるいは、かご台車20に移し替えられて、入荷仮置き場31に移される。ここで、作業員8によりラベルプリンター32等を用いて印刷された入荷ラベルA又は分荷ラベルBが貼付され、例えばかご台車20に載せられて、販売先別エリア40に置かれたり、仕分けライン50に投入される。仕分けライン50で仕分けられた商材入荷箱14は、その出側でかご台車20に再び積み込まれ、販売先別エリア40に搬送される。
【0006】
又、仕分け先が決まっていないものは、とりあえず入荷ラベルAが貼られており、その後販売先が決まった後に入荷ラベルAの上に分荷ラベルBが貼付されて、仕分けライン50に投入され、分荷されて、同様に販売先別エリア40に搬送される。
【0007】
競りにかけられるものは、あらかじめ選別され入荷ラベルAが貼られ、競り後に仕分けライン50に投入され、販売先情報がダンボールに直接印字され、分荷されて、同様に販売先別エリア40に搬送される。
【0008】
なお、大口購入商品や注文商品などで販売先エリアが決まっているものは、仕分けライン50で自動仕分けすることなく、販売先別エリア40に搬送される。
【0009】
本発明に類似する技術として、特許文献1には、仕分け情報が記載された物品の特定の部位の画像をスキャナで読み取り、読み取られた画像を表示部で表示することが記載されている。
【0010】
又、特許文献2には、包装品に印された銘柄パターンについての画像処理を行い、画像パターンマッチングを行って、銘柄を判定することが記載されている。
【0011】
又、特許文献3には、配達物の画像を撮像して配達先を認識することが記載されている。
【0012】
又、特許文献4には、荷物の複数面の画像を撮像して、バーコードが読めない時に、前記画像から仕分け先を認識することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平4-277120号公報
【特許文献2】特開平6-201346号公報
【特許文献3】特開2003-136022号公報
【特許文献4】特開2013-220362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、
図2に例示した従来の方法では、作業時間、作業人員が膨大で、作業場所も必要であり、例えば年間600万ケースの場合、1日3万~7万ケース分ものラベル貼付作業が必要になる。
【0015】
又、特許文献1~4に記載の技術では、手書き文字、スタンプ文字、記号、記号選択、バーコードなどを用いて、不定形に表記されている商材入荷箱内の商材を的確に判別することができないという問題点を有していた。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、仕分け用ラベル貼付前の状態で、花き等の商材入荷箱内の商材を外装から的確に判別することが可能な、商材入荷箱内の商材の判別方法及び装置を提供することを第1の課題とする。
【0017】
本発明は、又、前記商材入荷箱内の商材の判別方法に用いるのに適した、機械学習モデル生成方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、商材入荷箱の外装の正面の画像と側面の画像をカメラで撮影し、該商材入荷箱の外装の正面のカメラ画像と側面のカメラ画像から生産者情報を取得し、該生産者情報と入荷予定情報の関係を紐付けて、前記商材入荷箱内の商材を判別することを特徴とする、商材入荷箱内の商材の判別方法により、前記第1の課題を解決するものである。
【0019】
ここで、前記生産者情報と前記入荷予定情報の関係の紐付けを機械学習により行うことができる。
【0020】
又、前記機械学習に際して、前記商材入荷箱正面のカメラ画像から読み取った情報に加えて、前記商材入荷箱側面のカメラ画像から読み取った情報も学習データとして用いることができる。
【0021】
又、前記機械学習に際して、産地バーコードのコードマスターが無い状態でも前記商材入荷箱内の商材を判別できるように学習することができる。
【0022】
又、前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱を仕分けすることができる。
【0023】
又、前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱に仕分け用ラベルを貼付することができる。
【0024】
又、エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用することができる。
【0025】
本発明は、又、商材入荷箱の外装の正面の画像と側面の画像を撮影するカメラと、該商材入荷箱の外装の正面のカメラ画像と側面のカメラ画像から生産者情報を取得する手段と、該生産者情報と入荷予定情報の関係を紐付けて、前記商材入荷箱内の商材を判別する手段と、を備えたことを特徴とする商材入荷箱内の商材の判別装置を提供することにより、同様に前記第1の課題を解決するものである。
【0026】
ここで、前記生産者情報と前記入荷予定情報の関係の紐付けを機械学習により行う手段を備えることができる。
【0027】
又、前記機械学習に際して、前記商材入荷箱正面のカメラ画像から読み取った情報に加えて、前記商材入荷箱側面のカメラ画像から読み取った情報も学習データとして用いる手段を備えることができる。
【0028】
又、前記機械学習に際して、産地バーコードのコードマスターが無い状態でも前記商材入荷箱内の商材を判別できるように学習する手段を備えることができる。
【0029】
又、前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱を仕分けする手段を備えることができる。
【0030】
又、前記判別結果に基づいて前記商材入荷箱に仕分け用ラベルを貼付する手段を備えることができる。
【0031】
又、エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用する手段を備えることができる。
【0032】
本発明は、又、商材入荷箱に貼付されている仕分け用ラベルを外装のカメラ画像より抽出し、バーコードを読み取り、入荷予定データと紐付けた情報を教師データとして、商材入荷箱内の商材を判別するための機械学習モデルを生成することを特徴とする機械学習モデル生成方法により、前記第2の課題を解決するものである。
【0033】
ここで、前記商材入荷箱の外装に記載された生産者情報が、生産者の名前、商材の産地、商材名、品種名、等級、階級、入数、口数を含むことができる。
【0034】
又、前記商材入荷箱の外装のカメラ画像が、文字、絵、印刷、手書きを含むことができる。
【0035】
又、エラー発生時は、エラーが発生した商材入荷箱の情報を修正して再学習に利用することができる。
【0036】
又、前記教師データを、前記カメラ画像から読み取ったバーコードに連携される入荷情報を利用して作成することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、仕分け用ラベル貼付前の状態で、花き等の商材入荷箱内の商材を外装から的確に認識して、判別・自動ラベル貼付・仕分けすることが可能となる。又、商材入荷箱内の商材の判別に適した機械学習モデル生成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来用いられている仕分け用ラベルの例である(A)未販売品用の入荷ラベル、競り品用の入荷ラベル及び(B)販売済品の分荷ラベルの例を示す図
【
図2】従来の花き市場の一例における、入荷から仕分けまでの作業の例を示す斜視図
【
図3】本発明の実施形態における、入荷から仕分けまでの作業を示す斜視図
【
図4】同じく商材入荷箱の表記自動認識装置の要部構成を示す斜視図
【
図6】同じく表記認識の処理手順を示すフローチャート
【
図9】同じく機械学習の処理手順を示すフローチャート
【
図10】同じく機械学習モデルの生成に用いる教師データの一例を示す図
【
図13】本発明の実施形態における作業手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0040】
本発明適用後の花き市場における入荷から仕分け作業の実施形態を
図3に示す。
【0041】
この実施形態で、例えば前々日又は前日16時前にトラック12で運び込まれた商材入荷箱14は、例えば荷卸しコンベア22により本発明に係る表記自動認識装置110に投入され、操作盤111によって操作される表記自動認識装置110の認識結果によって、仕分け用ラベルの例である入荷ラベルA又は分荷ラベルBが自動ラベラー131で貼られ、事前仕分けライン200に投入される。
【0042】
この事前仕分けライン200では、バーコードリーダー210によってバーコードBCが読み取られ、競り用の見本品及び競り品は、翌日競り場裏へ移動される。又、大口購入品は出荷エリアへ移動される。
【0043】
仕分けライン50の手前には、本発明に係る機械学習を行うための教師データ収集装置310が設けられており、商材入荷箱14の正面写真、側面写真およびすべてのバーコード読み取り結果が収集された後、自動仕分けラインに送られ、例えばかご台車20に積み込まれて方面別に搬送される。
【0044】
一方、例えば16時前に到着した商材入荷箱14の一部は、荷捌き場10に送られて自動倉庫24に一時保管される。これは、例えば16時までに入荷品の15%の競り用見本を決め、残り85%の商品を極力販売してからラベルを発行し、ラベルの二度貼りを少なくするためである。
【0045】
前記表記自動認識装置110は、
図4に要部を示す如く、搬送コンベア上の所定位置に商材入荷箱14が到達したことを検知してデータ取込みトリガを発生するための光電センサ112と、商材入荷箱14の正面写真を撮影するための、バーコードBC読取り用を兼ねた正面写真用カメラ114と、商材入荷箱14の側面写真を撮影するための側面写真用カメラ116と、光電センサ112、正面写真用カメラ114、側面写真用カメラ116を制御するための表記データ収集システム制御装置118とを備えている。なお、バーコードBCは一次元バーコードに限定されず、二次元コードやRFIDタグであってもよい。
【0046】
前記実施形態における商材入荷箱14の仕分けシステムの全体構成を
図5に示す。このシステムの表記自動認識部分は、表記自動認識装置110のデータ取込みトリガ用の光電センサ112と、バーコードBC読取りを含む正面写真用カメラ114と、側面写真用カメラ116と、表記データ収集システム制御装置118と、表記自動認識用中央処理ユニット(CPU)120と、推論実行用デジタル処理プロセッサ(DSP)122とを備えている。
【0047】
又、教師データ収集装置310の部分は、表記自動認識装置110と同様のデータ取込みトリガ用の光電センサ312と、バーコードBC読取りを含む正面写真用カメラ314と、側面写真用カメラ316と、教師データ収集システム制御装置318と、機械学習用CPU320とを備えている。
【0048】
なお、バーコードBCの読取りは、正面写真用カメラ114、314以外のバーコードリーダーで行ってもよい。
【0049】
又、表記自動認識装置110の表記自動認識用CPU120及び教師データ収集装置310の機械学習用CPU320は、ローカルエリアネットワーク(LAN)400を介して入荷予定情報データベース(DB)412を含む基幹システムサーバー410及び自動仕分けシステム420に接続されている。
【0050】
前記表記自動認識装置110の処理手順を
図6に示す。
【0051】
表記データ収集システム制御装置118は、正面写真用カメラ114で撮影された正面写真のカメラ画像(以下、単に正面写真と称する)115からステップ1100でバーコードBCを読み取り、側面写真用カメラ116で撮影された側面写真のカメラ画像(以下、単に側面写真と称する)117とともに表記自動認識用CPU120に送る。
【0052】
表記自動認識用CPU120は、ステップ1200でバーコードBCを判別して産地バーコード(複数)30を認識する。ここで、産地バーコード30は、産地の農協などの仕分けシステムによって、品目、品種、色、入数などが別途バーコード化され、例えばシールで貼付されているものである。
【0053】
又、ステップ1300で正面写真115から商材入荷箱14の正面のみの画像を切り出し、外乱となる部分を削除するとともに明度、彩度を最適化し、斜めになっているものを真正面の写真に変形処理することによって画像を正規化する。
【0054】
次いでステップ1310で分荷シールを分離して正規化正面写真115’を得る。ここで、分荷シールを除くのは、実施形態が分荷シールがない状態で認識するようにされているためである。なお、通常は入荷直後であり分荷シールは貼られていない為、システムによっては分荷シールを必ずしも除く必要はない。
【0055】
次いでステップ1320、1330、1340で、前記正規化正面写真115’から品名・等級・サイズ等の印刷文字を分離し、品名・本数等の手書き文字を分離し、等級などの記号を分離する。
【0056】
又、ステップ1400で側面写真117の画像を正規化して正規化側面写真117’を得る。
【0057】
前記表記自動認識用CPU120で認識された産地バーコード30、正規化正面写真115’及び印刷文字・手書き文字・記号、正規化側面写真117’は、推論実行用DSP122に送られ、後出学習済みモデルデータ(重み係数)360を用いて、ステップ1500で推論が実行され、産地・品名・サイズ・入数・等級などが推定される。
【0058】
推論実行結果は表記自動認識用CPU120に送られ、ステップ1600で基幹システムサーバー410から得た入荷データと関連付けられ、入荷データ番号130とともに表記自動認識結果が出力される。
【0059】
商材入荷箱14の正面写真及び側面写真の例を
図7に示す。
【0060】
教師データ収集装置310で用いる機械学習モデル330の構成例を
図8に示す。この機械学習モデル330は、畳み込み層である1層目332と、プーリング層である2層目334と、局所コントラスト正規化層である3層目336と、畳み込み層である4層目338と、プーリング層である5層目340と、全結合層である6層目342及び7層目344と、エラー層から構成されている。なお、機械学習モデル330の構成は、これに限定されない。
【0061】
機械学習の処理手順を
図9に示す。教師データ収集システム制御装置318のステップ3100で正面写真315から読み取ったバーコードBC、及び、正面写真315、側面写真317は、データベース319に格納される。
【0062】
データベース319から出力されるバーコードBC、正面写真315、側面写真317は機械学習用CPU320に送られ、ステップ3200でバーコードBCを判別して、入荷ラベルA、分荷ラベルB、バーコードBC及び産地バーコード(複数)30を得る。
【0063】
そして、ステップ3210で基幹システムサーバー410から得た入荷データと関連付けて教師データ350を得る。
【0064】
又、ステップ3300、3310で表記自動認識装置110の表記自動認識用CPU120と同様の画像正規化、分荷シール分離を行って正規化正面写真315’を得るとともに、ステップ3400で側面写真317の画像正規化を行って正規化側面写真317’を得る。
【0065】
又、ステップ3320、3330、3340で正規化正面写真315’から印刷文字分離、手書き文字分離、記号分離を行う。
【0066】
そして、ステップ3500で機械学習モデル330に入力して、産地・品名・サイズ・入数・等級などを深層学習(ディープラーニング)し、学習結果により学習済みモデルデータ(重み係数)360を生成する。
【0067】
教師データ350の例を
図10乃至
図12に示す。教師データ350の作成に際しては、従来実施している「目視により貼り付けたバーコード付きラベル」を利用し、読み取ったバーコードBCに連携される入荷情報を利用することができる。
【0068】
又、認識精度を上げるため、正面の印刷文字・手書き文字・記号では表現されない内容について、商材入荷箱側面の絵柄も学習データとして利用することができる。更に、産地バーコードのコードマスターが無い状態でも認識できるように学習データとして利用することができる。
【0069】
又、学習は、新規学習とすることも、学習したものを更新することも可能である。
【0070】
なお、表記認識システムでエラーとなったエラー物品は、正しい情報を入力して学習に再利用することができる。
【0071】
エラーは、例えば学習済みシステムで認識を試みたが、一致する入荷データがない、認識が間違っており、明らかに商品内容とラベル内容が違う等である。これらの原因は、商材入荷箱の文字が読み取りにくい、又は、記入ミス、入荷データ投入ミスが考えられる。又は、新しい生産者、新しい商材入荷箱の絵柄などの未学習品もある。そこでこれらを修正し、人がラベル貼付して自動仕分けラインに流すことで、再学習させることができる。
【0072】
本実施形態における作業フローを
図13に示す。生産者(組織)は、ステップ4000で生産・箱詰めし、箱に内容を記入する。次いでステップ4010で出荷情報を作成する。次いでステップ4020で集荷して各市場に発送する。
【0073】
市場では、ステップ5000で生産者から送られてくる出荷情報を入手し、ステップ5010で競りの対象とする取引商品を決定する。競り対象品は、例えば入荷品の15%とすることができる。競り取引対象外の商品については、ステップ5020で例えば上場しネット販売/個別営業により販売する。
【0074】
次いでステップ5030に進み、販売済みでない商品を再びステップ5020に戻す。
【0075】
ステップ5010で決定された競り取引商品及びステップ5030で決定された販売済み商品は、基幹システムサーバー410の販売管理システムデータベース414に送られる。
【0076】
生産者によってステップ4020で発送された商品は、ステップ5050で例えばトラック輸送により市場に送られ、ここで入荷・荷捌きが行われる。
【0077】
次いでステップ6000で自動認識ラインに投入され、ステップ6010で本発明により表記が自動認識され、ステップ6020で本発明により分荷ラベルB(販売済)、入荷ラベルA(競り取引品)、入荷ラベルA(未販売品)等の自動ラベル貼りが行われ、ステップ6030で自動一次仕分けが行われる。
【0078】
次いでステップ6040に進み、販売済み品、競り取引品、未販売品及び大口購入品に自動分類される。
【0079】
販売済み品はステップ6050に進んで自動仕分けラインに投入され、ステップ6060で自動仕分けが行われる。
【0080】
一方、競り取引品はステップ6070で競り場裏へ移動され、ステップ6080で競りが行われて販売先が決定される。
【0081】
又、大口購入品はステップ6090で大口購入品扱いとされる。
【0082】
ステップ6060又は6090終了後、ステップ6100に進み、方面別出荷待機エリアへ移動し、ステップ6110で販売先に引き取られる。
【0083】
一方、ステップ6040で未販売品と判定された商材は、ステップ6200で自動仕分けライン前で待機され、ステップ6210で販売時間が終了したか否を判定される。販売時間が終了した場合にはステップ6000に戻る。
【0084】
本発明によれば、トラックからの荷卸しの際、人手でかご車に積載して入荷ラベルを貼付し、自動仕分けラインに投入している作業を自動化し、高速化することができるため、入荷トラックの拘束時間を短縮でき、入荷バースのみならず周辺道路の渋滞緩和に寄与することができる。又、ラベル貼付前の仕分け待機場所も最小限となり、仕分け後の人員及び出荷待機場所を確保することができる。
【0085】
なお、前記実施形態においては、本発明が花き市場に適用されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されない。
【符号の説明】
【0086】
A…入荷ラベル
B…分荷ラベル
BC…バーコード
8…作業員
10…荷捌き場
12…トラック
14…商材入荷箱
22…荷卸しコンベア
24…自動倉庫
30…産地バーコード
110…表記自動認識装置
111…操作盤
112…光電センサ
114…正面写真用カメラ
115…正面写真(カメラ画像)
116…側面写真用カメラ
117…側面写真(カメラ画像)
118…表記データ収集システム制御装置
120…表記自動認識用中央処理ユニット(CPU)
122…推論実行用デジタル処理プロセッサ(DSP)
200…事前仕分けライン
310…教師データ収集装置
312…光電センサ
314…正面写真用カメラ
315…正面写真(カメラ画像)
316…側面写真用カメラ
317…側面写真(カメラ画像)
318…教師データ収集システム制御装置
320…機械学習用中央処理ユニット(CPU)
330…機械学習モデル
350…教師データ
360…学習済みモデルデータ(機械学習データ)
400…ローカルエリアネットワーク(LAN)
410…基幹システムサーバー
412…入荷予定情報データベース(DB)
414…販売管理システムデータベース
420…自動仕分けシステム