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▶ イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020091
(43)【公開日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ドアロックアセンブリ及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/00 20060101AFI20250204BHJP
   D06F 39/14 20060101ALI20250204BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
E05B65/00 N
D06F39/14 Z
E05B65/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024115569
(22)【出願日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】2023109072381
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】2024109274369
(32)【優先日】2024-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ワン トンシュアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドアロックアセンブリ及び電気機器の提供。
【解決手段】付勢ばねのそれぞれの一端はハウジングのばね当接面に当接し、回転ホイール座部はハウジングの内部に可動的に収容され、回転ホイール座部は付勢ばねを収容するように構成されたバレル形状の空洞を備え、バレル形状の空洞は空洞底面を有し、付勢ばねのそれぞれの他端が、対応する空洞底面に当接するようにされ、回転ホイールは、回転ホイール座部に回転可能に装着された回転シャフトを有し、回転ホイールが回転ホイール座部内で回転可能とされ、回転ホイールのカム構造が、ピンシャフトに当接でき、回転ホイールが回転ホイール座部内で回転するとき、回転ホイールが、回転ホイール座部と共にハウジング内で動くことができ、付勢ばねが、ハウジング内での回転ホイール座部の動きの間に、バレル形状の空洞内で圧縮され得るようにされる。付勢ばねは、バレル形状の空洞に収容され圧縮される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器のドアをロックするためのドアロックアセンブリであって、
ばね当接面を有する、ハウジングと、
少なくとも1つの付勢ばねであって、前記少なくとも1つの付勢ばねの一端が前記ばね当接面に当接している、少なくとも1つの付勢ばねと、
前記ハウジングの内部に移動可能に収容された回転ホイール座部であって、前記回転ホイール座部の少なくとも一方の側にバレル形状の空洞が設けられ、前記バレル形状の空洞が前記少なくとも1つの付勢ばねを収容するように構成され、前記バレル形状の空洞が空洞底面を有し、それにより、前記少なくとも1つの付勢ばねの他端が前記空洞底面に当接するようになっている、回転ホイール座部と、
前記ハウジングに固定的に装着されているピンシャフトと、
回転シャフトを有する回転ホイールであって、前記回転シャフトは、前記回転ホイール座部に回転可能に装着され、それにより、前記回転ホイールが前記回転ホイール座部内でドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転可能になっている、回転ホイールと、
を備え、
前記回転ホイールはカム構造を更に有し、前記カム構造は、前記ピンシャフトに当接可能に構成され、それにより、前記回転ホイールが前記回転ホイール座部内で前記ドア開放方向に又は前記ドア閉鎖方向に回転するときに、前記回転ホイール及び前記回転ホイール座部が前記ハウジング内を移動でき、前記ハウジング内での前記回転ホイール座部の移動の間に、前記少なくとも1つの付勢ばねが前記バレル形状の空洞内で圧縮されること又はばね復帰されることが可能になっている、
ドアロックアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの付勢ばねは、2つの付勢ばねを含む、
請求項1に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項3】
前記バレル形状の空洞が、前記回転ホイール座部の2つの側にそれぞれ設けられ、前記回転ホイール座部の前記2つの側における前記バレル形状の空洞は、前記2つの付勢ばねのうちの一方をそれぞれ収容するように構成され、それにより、前記2つの付勢ばねが、前記ばね当接面と前記バレル形状の空洞の前記空洞底面との間でそれぞれ当接し、したがって前記2つの付勢ばねが、前記ハウジング内での前記回転ホイール座部の移動の間に、圧縮されること又はばね復帰されることが可能になっている、
請求項2に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングの表面にドアフック穴が設けられ、前記ドアフック穴は、前記ドアに装着されたドアフックを受容するように構成され、
前記ドアフックを前記ドアフック穴に挿入すること又は前記ドアフックを前記ドアフック穴から引き出すことにより、前記回転ホイールが前記回転シャフトの周りを前記ドア閉鎖方向に又は前記ドア開放方向に回転される、
請求項1に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項5】
前記回転ホイールが、回転ホイール頭部セクション、回転ホイール中間部セクション及び回転ホイール後部セクションを含み、前記回転ホイール中間部セクションに前記回転シャフトが設けられ、前記回転ホイール頭部セクションにロックフックが設けられ、前記ロックフックは前記ドアフックと係合可能に構成され、前記ドアフックを前記ドアフック穴に挿入すること又は前記ドアフックを前記ドアフック穴から引き出すことにより、前記回転ホイールが前記回転シャフトの周りを前記ドア閉鎖方向に又は前記ドア開放方向に回転され、
前記回転ホイールは、回転の間に回転ホイールドア開放位置及び回転ホイールドア閉鎖位置を有する、
請求項4に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項6】
前記回転ホイール後部セクションに前記カム構造が設けられ、前記カム構造に内側表面及び外側表面が設けられ、前記内側表面は内側安定点を有し、前記外側表面はカム外側安定点を有し、
前記回転ホイールが前記回転ホイールドア閉鎖位置にあるときに、前記ピンシャフトが前記カムの前記内側安定点に位置し、前記回転ホイールが前記回転ホイールドア開放位置にあるときに、前記ピンシャフトが前記カム外側安定点に位置する、
請求項5に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項7】
前記回転ホイール座部に回転ホイール停止部が設けられ、前記回転ホイール停止部は、前記回転ホイールの回転範囲を制限するように構成され、それにより、前記回転ホイールが前記回転ホイールドア閉鎖位置から前記回転ホイールドア開放位置に回転するときに、前記ピンシャフトが前記カム外側安定点に位置する位置において、前記回転ホイールを安定させることが可能になっている、請求項6に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項8】
前記ばね当接面は、前記空洞底面の反対側に設けられ、
前記回転ホイールが前記回転ホイールドア閉鎖位置から前記回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、前記回転ホイールの前記カム構造と前記ピンシャフトとの間に相対移動が発生し、それにより、前記ピンシャフトが前記カム構造に当接する位置が、前記内側安定点から前記カム外側安定点まで移動するようになっており、前記回転ホイール座部が前記ハウジングの前記ばね当接面の近くに移動し、それにより、前記付勢ばねの対が圧縮されるようになっており、
前記回転ホイールが前記回転ホイールドア開放位置から前記回転ホイールドア閉鎖位置まで回転する過程において、前記回転ホイールの前記カム構造と前記ピンシャフトとの間に相対移動が発生し、それにより、前記ピンシャフトが前記カム構造に当接する位置が、前記カム外側安定点から前記内側安定点まで移動するようになっており、前記回転ホイール座部が前記ハウジングの前記ばね当接面から離れるように移動し、それにより、前記付勢ばねの対が圧縮状態からばね復帰されるようになっている、
請求項7に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項9】
前記回転ホイール座部に回転ホイール受容部分が設けられ、前記回転ホイール受容部分は、前記回転ホイールの前記回転シャフトを装着するように構成され、それにより、前記回転ホイールが前記回転ホイール座部に回転可能に装着されることが可能になっている、
請求項1に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項10】
前記ハウジングにピンシャフト装着部分が設けられ、前記ピンシャフト装着部分はピンシャフト装着穴を有し、前記ピンシャフト装着穴は前記ピンシャフトを固定的に装着するように構成されている、
請求項1に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項11】
マイクロスイッチアセンブリを更に備え、前記マイクロスイッチアセンブリは、
前記回転ホイールが前記回転ホイールドア閉鎖位置から前記回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、前記マイクロスイッチアセンブリが切り離され、
前記回転ホイールが前記回転ホイールドア開放位置から前記回転ホイールドア閉鎖位置まで回転する過程において、前記マイクロスイッチアセンブリがトリガーされる、
ように構成されている、請求項1に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項12】
前記回転ホイール座部にマイクロスイッチアセンブリ作動部分が更に設けられ、前記マイクロスイッチアセンブリ作動部分は、
前記回転ホイール座部が前記ばね当接面の近くに移動したときに、前記マイクロスイッチアセンブリ作動部分が前記マイクロスイッチアセンブリから切り離され、それにより、前記マイクロスイッチアセンブリがトリガーされないようになっており、
前記回転ホイール座部が前記ばね当接面から離れるように移動したときに、前記マイクロスイッチアセンブリ作動部分が前記マイクロスイッチアセンブリと接触し、それにより、前記マイクロスイッチアセンブリがトリガーされるようになっている、
ように構成されている、請求項11に記載のドアロックアセンブリ。
【請求項13】
電気機器(900)であって、請求項1~12のいずれか一項に記載のドアロックアセンブリ(100)を備える、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドアロックアセンブリ及び電気機器に関し、特に、電気機器において使用され、或る程度の内部押圧力に耐えることが可能なドアロックアセンブリ、及びドアロックアセンブリを使用する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの商業用又は家庭用の電気機器において、電気機器(乾燥機、洗濯機、又は食器洗い機等)のドアをロックする又は開けるための、ドアロック機構が使用され得る。従来のドアロック機構の内部には、典型的には付勢ばねが備えられ、ドア開放変位が臨界ドア開放変位に達していない場合、ドアロック機構は、ドア開放力が取り除かれた後、付勢ばねの作用の下で、ドアを閉状態に戻すことができる。上述したドアロック機構は、チャイルドセーフティ機構を更に備える必要がある。例えば、ドアが垂直な側に備えられた乾燥機のためのドアロック機構において、子供が誤って乾燥機に入ってしまった場合、閉じたドアをドアの内側から比較的小さな力で押して開けることが可能であり、子供が容易に乾燥機のドラムから出ることを可能にするべきである。これに加えて、かかるドアロック機構は、乾燥機が動作している間に乾燥機の内部の洗濯物が誤ってドアを押し開けてしまうことを防止する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
ドアロック機構は典型的には、その中に回転ホイールを備え、該回転ホイールは、ドアをロックするためにドアに備えられたドアフックと係合することが可能なロックフックを含む。回転ホイールは、回転シャフトの周りを回転することができ、回転ホイールのロックフックが、ドアフックと係合する又はドアフックから外れるようにする。
【0004】
一態様において、付勢ばねが回転ホイールの回転シャフトに直接に作用する場合、回転ホイール及びその回転シャフトは、ドアロック機構の内部で直線的に動きながら付勢ばねを圧縮させて、それにより回転ホイールを反対方向に動かす付勢力を発生させることができる。しかしながら、付勢ばねは、回転シャフトによって押圧される圧縮過程又は復帰過程の間、圧縮方向(回転シャフトの動きの方向)から逸脱する弾性変形を受け、例えば、圧縮方向以外の方向に生じる弾性変形を受けて、圧縮方向以外の方向に回転シャフトに対して付勢力を発生させ得る。例えば、圧縮方向に対して逸れた方向の作用力が、回転シャフトの回転が追加的な干渉力を受けるようにし、回転ホイールのぎくしゃくした、不安定な又は滑らかでない上下動に帰着し、このことが、ドア開放操作の、すなわち、ドア開閉動作の、全体的に滑らかでない手応えを引き起こすこととなる。
【0005】
別の態様において、チャイルドセーフティ機構を備えたドアロック機構において、乾燥機の内側からドアを押し開けるのに必要とされる作用力は大きすぎてはならず、例えば67ニュートンよりも小さいべきである。しかしながら、低すぎる開き力は、乾燥過程中に回転する洗濯物によってドアが誤って押し開けられてしまうことにつながる。上記の2つの状況を考慮し、遠心力で回転する洗濯物によってドアが押し開けられにくく、なおかつ乾燥機の内側から子供によって比較的小さな力でドアが押し開けられ得るようにすることが必要である。
【0006】
ドアロック機構に対する上記の要件を満たすために、本開示はドアロックアセンブリを提供する。回転ホイール座部が、ドアロックハウジングの内部に備えられ、回転ホイールが、回転ホイール座部に回転可能に装着され得る。回転ホイール座部は、少なくとも1つのバレル形状の空洞を備える。空洞は、付勢ばねをちょうど収容できるサイズのものとされてもよく、付勢ばねが、圧縮又はばね復帰のためにバレル形状の空洞に収容され得るようにする。バレル形状の空洞の空洞壁は、圧縮方向から逸脱する付勢ばねの屈曲を制限することができ、付勢ばねが、圧縮過程において、圧縮変位に比例したばね復帰力を発生させることができ、該ばね復帰力が、回転ホイール座部のバレル形状の空洞の底部に作用させられ、付勢力が、ドアロックハウジングの内部の回転ホイール座部及び回転ホイールの直線的な動きに加えられ得るようにする。付勢ばねが安定した付勢力を発生させるので、回転ホイール座部及び回転ホイールはハウジング内で安定して動き、ドア開閉動作の全体的な手応えが、ぎくしゃく感、不安定性又は不均一性のない、滑らかなものとなる。
【0007】
更なる態様において、本開示におけるドアロックハウジングの内部に、ピンシャフトが固定的に備えられ、ピンシャフトは、付勢ばねの付勢力によって、回転ホイールに常に当接することができ、回転ホイールの回転の間、ピンシャフトは、回転ホイールに可変の作用力を加えることができる。本開示における回転ホイールのカム部は、異なる曲率を有する2つの曲面を備え、回転ホイールは、上述した異なる曲率を有する2つの曲面のうちのいずれか一方によって、ピンシャフトに当接する。回転ホイールがドア閉鎖位置から回転を開始すると、ピンシャフトによって回転ホイールに加えられる作用力が、ドア開放に必要とされる内部押圧力を、最大ドア開放力に近い量まで速やかに増大させる。後続する回転の間、回転ホイールがドア開放のための臨界位置に達するまで、ドア開放力は安定状態にとどまり、ゆっくりと増大する。回転ホイールがドア開放のための臨界位置を越えて回転した後は、ドア開放のための内部押圧力が取り除かれたとしても、回転ホイールはまた、付勢ばねとピンシャフトとの複合作用の下で、ドアが開けられる対応位置まで、自動的に回転することとなる。回転ホイールがドア開放のための臨界位置まで回転する前に、ドア開放力がなくなった場合、回転ホイールは、付勢ばねの付勢力の作用の下で、ドアが閉じられる対応位置に戻ることとなる。
【0008】
回転ホイールの上記のカム部を備えることの利点は、洗濯物が乾燥機の内部で遠心回転しているときにドアに加えられる作用力の特性、すなわち、作用力は、塊状になった洗濯物が遠心力の作用の下でドアに衝突するという事実によって発生するものであり、洗濯物が遠心方向に変位させられると、塊状になった洗濯物がほぐれて、ドアに対する衝撃力が即座になくなるという特性に対する、考慮を与える点にある。すなわち、ドアに加えられる洗濯物の作用力は、回転ホイールがドア開放のための臨界位置まで回転する前に消滅し、ドアが僅かに変位させられたとしても押し開けられないこととなる。しかしながら、誤って乾燥機に入ってしまった子供は、ドアに継続的な内部押圧力を加えることによって、回転ホイールをドア開放のための臨界位置を越えて回転させることができ、それゆえ、子供は、ドアを内側から押し開けることができる。
【0009】
それゆえ、本開示におけるドアロックアセンブリの技術手段が、以下に説明される。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリが提供される。本ドアロックアセンブリは、電気機器のドアをロックするために使用され、ハウジングと、少なくとも1つの付勢ばねと、回転ホイール座部と、ピンシャフトと、回転ホイールとを備えることを特徴とし、ハウジングは、ばね当接面を有し、少なくとも1つの付勢ばねの一端は、対応するばね当接面に当接し、回転ホイール座部は、ハウジングの内部に可動的に収容され、回転ホイール座部の少なくとも一方の側が、バレル形状の空洞を備え、バレル形状の空洞は、少なくとも1つの付勢ばねを収容するように構成され、バレル形状の空洞は、空洞底面を有し、少なくとも1つの付勢ばねの他端が、対応する空洞底面に当接するようにされ、ピンシャフトは、ハウジングに固定的に装着され、回転ホイールは、回転シャフトを有し、回転シャフトは、回転ホイール座部に回転可能に装着され、回転ホイールが、回転ホイール座部中でドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転することができるようにされ、回転ホイールは、カム構造を更に有し、カム構造は、ピンシャフトに当接することが可能となるように構成され、回転ホイールが回転ホイール座部中でドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転するとき、回転ホイールが回転ホイール座部と共にハウジング内で動くことができ、ハウジングの内部での回転ホイール座部の動きの間、少なくとも1つの付勢ばねが、バレル形状の空洞中で圧縮され得る又はばね復帰され得るようにする。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、少なくとも1つの付勢ばねが、2つの付勢ばねを含むことを特徴とする。
【0012】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、1つのバレル形状の空洞が、回転ホイール座部の2つの側に備えられ、回転ホイール座部の2つの側におけるバレル形状の空洞が、2つの付勢ばねのうちの一方をそれぞれ収容するように構成され、2つの付勢ばねが、ばね当接面とバレル形状の空洞の空洞底面との間でそれぞれ当接し、それにより2つの付勢ばねが、ハウジングの内部での回転ホイール座部の動きの間に圧縮され得る又はばね復帰され得るようにされていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、ハウジングの表面にドアフック穴が備えられ、ドアフック穴が、ドアに装着されたドアフックを受容するように構成され、ドアフックをドアフック穴に挿入すること、又はドアフックをドアフック穴から引き出すことが、回転ホイールを、回転シャフトの周りにドア閉鎖方向に又はドア開放方向に回転させることを特徴とする。
【0014】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、回転ホイールが、回転ホイール頭部セクション、回転ホイール中間部セクション及び回転ホイール後部セクションを含み、回転ホイール中間部セクションが、回転シャフトを備え、回転ホイール頭部セクションが、ロックフックを備え、ロックフックが、ドアフックと係合することが可能となるように構成され、ドアフックをドアフック穴に挿入すること、又はドアフックをドアフック穴から引き出すことが、回転ホイールを、回転シャフトの周りにドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転させ、回転ホイールが、回転の間に回転ホイールドア開放位置及び回転ホイールドア閉鎖位置を有することを特徴とする。
【0015】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、回転ホイール後部セクションが、カム構造を備え、カム構造が、内側表面及び外側表面を備え、内側表面が、内側安定点を有し、外側表面が、カム外側安定点を有し、回転ホイールが回転ホイールドア閉鎖位置にあるとき、ピンシャフトが、カムの内側安定点に位置し、回転ホイールが回転ホイールドア開放位置にあるとき、ピンシャフトが、カム外側安定点に位置することを特徴とする。
【0016】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、回転ホイール座部が、回転ホイール停止部を備え、回転ホイール停止部が、回転ホイールの回転範囲を制限するように構成され、回転ホイールが回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置に回転し、ピンシャフトがカム外側安定点に位置する位置において、回転ホイールが安定され得るようにされていることを特徴とする。
【0017】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、ばね当接面が、空洞底面の反対側に備えられ、回転ホイールが回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、回転ホイールのカム構造がピンシャフトに対して動いて、カム構造がピンシャフトに当接する位置が、内側安定点からカム外側安定点まで移動するようにされ、回転ホイール座部が、ハウジングのばね当接面の近くに動いて、付勢ばねの対が圧縮されるようにされ、回転ホイールが回転ホイールドア開放位置から回転ホイールドア閉鎖位置まで回転する過程において、回転ホイールのカム構造がピンシャフトに対して動いて、カム構造がピンシャフトに当接する位置が、カム外側安定点から内側安定点まで移動するようにされ、回転ホイール座部が、ハウジングのばね当接面から離れるように動いて、付勢ばねの対が圧縮状態からばね復帰されるようにされていることを特徴とする。
【0018】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、回転ホイール座部が、回転ホイール受容部分を備え、回転ホイール受容部分が、回転ホイールの回転シャフトを装着するように構成され、回転ホイールが、回転ホイール座部に回転可能に装着され得るようにされていることを特徴とする。
【0019】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、ハウジングが、ピンシャフト装着部分を備え、ピンシャフト装着部分が、ピンシャフト装着穴を有し、ピンシャフト装着穴が、ピンシャフトを固定的に装着するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、マイクロスイッチアセンブリを更に備え、マイクロスイッチアセンブリが、回転ホイールが回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、マイクロスイッチアセンブリが切り離され、回転ホイールが回転ホイールドア開放位置から回転ホイールドア閉鎖位置まで回転する過程において、マイクロスイッチアセンブリがトリガーされるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本開示の第1の態様によれば、ドアロックアセンブリは、回転ホイール座部が、マイクロスイッチアセンブリ作動部分を更に備え、マイクロスイッチアセンブリ作動部分が、回転ホイール座部がばね当接面の近くに動いたとき、マイクロスイッチアセンブリ作動部分が、マイクロスイッチアセンブリから切り離されて、マイクロスイッチアセンブリがトリガーされないようにし、回転ホイール座部がばね当接面から離れるように動いたとき、マイクロスイッチアセンブリ作動部分が、マイクロスイッチアセンブリと接触して、マイクロスイッチアセンブリがトリガーされるようにするように構成されていることを特徴とする。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、電気機器が提供される。本電気機器は、本開示の第1の態様において説明されるドアロックアセンブリを備えることを特徴とする。
【0023】
本開示の追加の態様及び利点の一部は、以下の説明において記載され、一部は以下の説明から明らかになる又は本開示の実施によって学ばれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】ドアフックが非挿入状態にある、本開示のドアロックアセンブリの斜視図である。
図1B】ハウジングの内部のより多くの構成要素を示すために、図1Aに示されるハウジングが隠された状態の、ドアロックアセンブリの斜視図である。
図1C】ドアフックが挿入された後の、図1Bに示されるドアロックアセンブリの状態図である。
図1D】ピンシャフトとハウジングとの間の組み立て関係、及びピンシャフトと回転ホイールとの間の協働関係を示すための、図1Aに示されるドアロックアセンブリの底側から見た斜視図である。
図1E】ばねとハウジングと回転ホイール座部との間の組み立て関係を示すための、図1DのM-M方向に沿うドアロックアセンブリの断面図である。
図1F】マイクロスイッチアセンブリが非トリガー状態にある、回転ホイール座部のマイクロスイッチアセンブリ作動部分とマイクロスイッチアセンブリとの間の協働関係を示すための、図1Bに示されるドアロックアセンブリの側面図である。
図1G】マイクロスイッチアセンブリがトリガー状態にある、回転ホイール座部のマイクロスイッチアセンブリ作動部分とマイクロスイッチアセンブリとの間の協働関係を示すための、図1Cに示されるドアロックアセンブリの側面図である。
図2】本開示のドアロックアセンブリの分解図である。
図3A】回転ホイールの正面図であり、回転ホイールが種々の動き段階にあるときの、回転ホイールとピンシャフトとの間の相対的な位置関係を示す。
図3B】回転ホイール座部の上方向への動きの変位(ドア開放変位)と、ドアが受ける内部押圧力と、の間の曲線関係のグラフである。
図4A】ドアフックが最大挿入状態にあり、ピンシャフトが回転ホイールの力支承面の点Oに当接している、本開示のドアロックアセンブリの内部の側面図である。
図4B図4Aに示される回転ホイールの拡大図及び力分析図Nである。
図5】ピンシャフトが回転ホイールの力支承面の点Aに当接している、回転ホイールを上方向に引くドアフックの概略図である。
図6】ピンシャフトが回転ホイールの力支承面のABセグメントに当接している、回転ホイールを上方向に引くドアフックの概略図である。
図7】ピンシャフトが回転ホイールの力支承面の点Bに当接している、回転ホイールを上方向に引くドアフックの概略図である。
図8A】回転ホイールの力支承面のBCセグメントに当接しているピンシャフトの概略図である。
図8B図8Aに示される回転ホイールの拡大図及び力分析図Qである。
図8C】点Cにおいて回転ホイールの力支承面に当接しているピンシャフトの概略図である。
図9】本開示のドアロックアセンブリがドア開放位置にある、乾燥機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の様々な特定の実施態様を、本開示の一部を構成する添付図面を参照して以下に説明するが、本開示を限定するものではない。本開示において、方向を示す「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、及び「後」等の用語が、本開示において本開示の様々な構造部品及び要素の向きを説明するために使用されるが、これらの用語は、単に説明を容易にするために使用され、添付図面に示される例示的な向きに基づいて決定されることを理解されたい。本開示の実施形態は、異なる方向で配置することができるため、方向を示すこれらの用語は、単なる例示であり、限定とみなされるべきではない。
【0026】
用語「備える/含む」及びその派生語は、制限なく含めることを意味する。別段の指定及び限定がない限り、「装着/搭載する(取り付ける)」、「接続する」及び「接続された」という用語は、広義に理解されるべきである。例えば、機械的若しくは電気的な接続、2つの要素間の内部の連通、又は直接的な接続若しくは中間媒体を介した間接的な接続等であり得る。当業者にとって、上記の用語の具体的な意味は、特定の場合に応じて理解することができる。可能な場合、本開示において使用される同一又は類似の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0027】
図1A図1Gは、それぞれの視点から見た、本開示のドアロックアセンブリ100の斜視図である。図1Bは、図1Aにおけるハウジング102を隠すことによって、ハウジング102の内部のより多くの構成要素を示し、図1Cは、ドアフック101が挿入された後の、図1Bに示されるドアロックアセンブリ100の状態図である。図1Dは、ピンシャフト112とハウジング102との間の組み立て関係、及びピンシャフト112と回転ホイール108との間の協働関係を示すための、図1Aに示されるドアロックアセンブリ100の底側から見た斜視図であり、図1Eは、ばね110及び111とハウジング102と回転ホイール座部104との間の組み立て関係を示すための、図1DのM-M方向に沿うドアロックアセンブリ100の断面図である。図1F及び図1Gは、回転ホイール座部104のマイクロスイッチアセンブリ作動部分172とマイクロスイッチアセンブリ114との間の協働関係を示すための、図1Bに示されるドアロックアセンブリ100の側面図である。
【0028】
説明及び観察の容易さのため、以下において図1Aが基準としてとられ、ハウジング102が前方から後方に向けられる方向が、Xの正の方向として定義され、ハウジング102が右から左に向けられる方向が、Yの正の方向として定義され、ドアフック101がハウジング102から引き出される方向が、Zの正の方向(ハウジング102が上方から下方に向けられる方向)として定義されることは、留意されるべきである。本開示の実施形態は、種々の方向で提供され得るので、方向を示すこれらの用語X、Y及びZは、単なる例示であり、限定としてみなされるべきではない。
【0029】
図1Aに示されるように、ドアロックアセンブリ100は、ハウジング102と、ハウジング102の内部に備えられた回転ホイール座部104とを備える。ハウジング102の上面は、電気機器のドアに装着されたドアフック101を収容するように構成された、ドアフック穴182を備える。ドアフック101は、ドアフック穴182の上方に位置する。ドアフック101がハウジング102の上面におけるドアフック穴182を通してドアロックアセンブリ100に挿入された後、ドアフック101は、ドアロックアセンブリ100の内部の回転ホイール(図1B及び図1Cにおける回転ホイール108を参照)とフックされる態様で係合することができる。回転ホイール108がロックされると、電気機器のドアもロックされる。
【0030】
ドアフック101は、ドアフック基部122、ドアフック開口部124及びドアフック頭部126を含み、ドアフック基部122は、電気機器のドアに装着され、ドアフック頭部126は、ドアフック頭部上側面128を有する。ドアフック101がドアロックアセンブリ100に挿入されるとき、ドアフック頭部126が回転ホイール108を押して回転させることができ、ドアフック101がドアロックアセンブリ100の内部から引き出されるとき、ドアフック頭部上側面128が回転ホイール108を引いて反対方向に回転させることができ、ドアが閉状態にある時、ドアフック101の一部はドアロックアセンブリ100の内部に保持され、ドアフック開口部124は回転ホイール108に捕捉されて、ドアフック101がロックされて動くことができないようにする。
【0031】
ここでもまた図1Aに示されるように、Z方向に備えられたハウジング制限穴103が、ハウジング102に備えられ、回転ホイール座部制限突起106が、回転ホイール座部104の外壁に備えられる。回転ホイール座部制限突起106は、ハウジング制限穴103の内側から外向きに突出してもよく、ハウジング制限穴103によって画定された溝の中をZ方向に往復してもよく、回転ホイール座部104がハウジング102内をZ方向に往復するよう制限され得るようにする。
【0032】
図1B及び図1Cは、非挿入状態及び挿入状態におけるドアフック101の概略図を更に示す。
【0033】
図1B及び図1Cに示されるように、ドアロックアセンブリ100は、回転ホイール108を更に備え、回転ホイール108は、回転ホイール座部104に回転可能に装着されて、回転ホイール108が、回転ホイール座部104内でドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転することができるようにする。具体的には、回転ホイール座部104は、回転ホイール108の回転シャフト208(図2を参照)を装着するように構成された回転ホイール受容部分152及び153を備え、回転ホイール108が回転ホイール座部104に回転可能に固定されて回転することができるようにする。
【0034】
引き続き図1B及び図1Cを参照すると、ドアロックアセンブリ100は、2つの付勢ばね110及び111を更に備える。バレル形状の空洞132及び134が、回転ホイール座部104のY方向における左側及び右側にそれぞれ備えられており、バレル形状の空洞132及び134のそれぞれは、付勢ばね110及び111のうちの一方を収容するように構成されている。バレル形状の空洞132及び134の内径は、付勢ばね110及び111の外径よりも僅かに大きく、付勢ばねがバレル形状の空洞中で圧縮されたときに、圧縮方向から逸脱した屈曲変形が発生しないようにする。付勢ばねのそれぞれの一端は、対応するバレル形状の空洞132及び134の底面に当接し、他端は、ハウジング102の内側に当接する。ハウジング102が固定されている場合、回転ホイール座部104がZ方向にハウジング102の近くに動くと、付勢ばね110及び111が圧縮されて、付勢ばね110及び111が、回転ホイール座部104の動きの方向とは反対の方向に回転ホイール座部104に付勢力を加えることができるようにされ、かくして回転ホイール座部104は、ハウジング102から離れるように動く傾向となることとなる。
【0035】
当業者のため、回転ホイール座部104がZ方向にハウジング102の近くに動くときに付勢ばねの付勢力を受けることができる限りにおいて、回転ホイール座部104に1つのバレル形状の空洞のみが備えられ、対応するドアロックアセンブリ100は1つの付勢ばねのみを備えてもよいし、又は、回転ホイール座部104に3つ以上のバレル形状の空洞が備えられ、各バレル形状の空洞が1つの付勢ばねを収容するように構成されていてもよい。具体的には、ドア開放過程において、回転ホイール座部104がハウジング102の近くに動き、付勢ばねが圧縮され、ドア閉鎖過程において、回転ホイール座部104がハウジング102から離れるように動き、付勢ばねが圧縮状態から初期状態に徐々にばね復帰する。
【0036】
引き続き図1B及び図1Cを参照すると、ドアロックアセンブリ100は、マイクロスイッチアセンブリ114を更に備え、マイクロスイッチアセンブリ114は、Z方向において回転ホイール座部104の近くに配置される。マイクロスイッチアセンブリ114は、回転ホイール108が回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転するとき、マイクロスイッチアセンブリ114が回転ホイール座部104から切り離され、回転ホイール108が回転ホイールドア開放位置から回転ホイールドア閉鎖位置まで回転するとき、マイクロスイッチアセンブリ114が回転ホイール座部104によってトリガーされ得るように構成される。回転ホイールドア閉鎖位置は、ドアの閉位置に対応し、回転ホイールドア開放位置は、ドアの開位置に対応する。
【0037】
図1Dは、ピンシャフト112とハウジング102との間の組み立て関係、及びピンシャフト112と回転ホイール108との間の協働関係を示すための、図1Aに示されるドアロックアセンブリ100の底側から見た斜視図である。
【0038】
図1Dに示されるように、ドアロックアセンブリ100は、ピンシャフト112を更に備え、ハウジング102は、左右のピンシャフト装着部分144及び146を更に備え、ピンシャフト装着部分144及び146のそれぞれは、ピンシャフト112を確実に装着するように構成された対応するピンシャフト装着穴145及び147のうちの一方を有する。ハウジング102は、マイクロスイッチアセンブリ114を受容するように構成された、マイクロスイッチアセンブリ受容部分142を備える。
【0039】
図1Eは、ばね110及び111とハウジング102と回転ホイール座部104との間の組み立て関係を示すための、図1Dに示されるM-M方向に沿うドアロックアセンブリ100の断面図である。
【0040】
図1Eに示されるように、回転ホイール座部104のバレル形状の空洞132及び134は、空洞底面133及び135を有し、バレル形状の空洞132及び134に収容された付勢ばね110及び111のうちの一方の一端が、空洞底面133及び135のうちの対応する一方に当接することができるようにされている。また、ばね当接面162及び164が、ハウジング102の内側に対応して備えられ、付勢ばね110及び111のうちの一方の他端が、ばね当接面162及び164のうちの対応する一方に当接することができるようにされている。それゆえ、付勢ばね110及び111は、回転ホイール座部104の空洞底面133及び135とハウジング102のばね当接面162及び164との間で圧縮されるように制限され、空洞底面133は、ばね当接面162の反対側に備えられ、空洞底面135は、ばね当接面164の反対側に備えられる。バレル形状の空洞132及び134の空洞壁は、圧縮方向から逸脱する付勢ばね110及び111の屈曲変形を制限することができ、付勢ばね110及び111が、圧縮の間に圧縮変位に比例したばね復帰力を発生させることができるようにし、ばね復帰力は、バレル形状の空洞132及び134のばね当接面162及び164に作用し、回転ホイール座部104及び回転ホイール108に対する付勢力を発生させることができる。付勢ばねが安定した付勢力を発生させるので、ハウジング102の内部の回転ホイール座部104及び回転ホイール108の動きは、従来技術における回転ホイールと比較して、より安定したものとなり、ドア開閉動作の全体的な手応えが、より滑らかになる。
【0041】
図1F及び図1Gは、回転ホイール座部104のマイクロスイッチアセンブリ作動部分172とマイクロスイッチアセンブリ114との間の協働関係を示すための、図1Bに示されるドアロックアセンブリ100の側面図である。
【0042】
図1F及び図1Gに示されるように、回転ホイール座部104の後側は、マイクロスイッチアセンブリ作動部分172を更に備え、マイクロスイッチアセンブリ作動部分172は、マイクロスイッチアセンブリ作動傾斜面174を有する。マイクロスイッチアセンブリ114はボタン116を有し、ボタン116が押されたときにマイクロスイッチアセンブリ114がトリガーされ、ボタン116が押されていないときにはマイクロスイッチアセンブリ114はトリガーされない。マイクロスイッチアセンブリ作動部分172は、回転ホイール座部104がハウジング102のばね当接面162及び164の近くに動いたとき、マイクロスイッチアセンブリ作動傾斜面174がボタン116を押さず、マイクロスイッチアセンブリ114がトリガーされないようにし、回転ホイール座部104がハウジング102のばね当接面162及び164から離れるように動いたとき、マイクロスイッチアセンブリ作動傾斜面174がボタン116を押して、マイクロスイッチアセンブリ114がトリガーされるように構成されている。
【0043】
図2は、ドアロックアセンブリ100における様々な構成要素の装着関係及び位置関係を示すための、本開示のドアロックアセンブリ100の分解図である。
【0044】
図2に示されるように、電気機器のドアに装着されたドアフック101は、ハウジング102の上面のドアフック穴182を通してハウジング102に挿入することができ、ドアフックが、ハウジング102の内部に備えられた回転ホイール108と係合するようにする。ハウジング102に挿入されると、ドアフック101は、回転ホイール108に衝突して、回転ホイールをドア閉鎖方向に回転させることができ、ハウジング102から引き出されると、ドアフック101は、回転ホイール108を引いて、回転ホイールをドア開放方向に回転させることができる。回転ホイール108は、その回転シャフト208によって回転ホイール座部104に回転可能に装着されて、回転ホイール108が、回転ホイール座部104においてドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転することができるようにし、回転を除いて、回転ホイール座部104に対する回転ホイール108のいずれの他のタイプの動きも生じないようにする。回転ホイール座部104は、回転ホイール座部制限突起106によって、ハウジング102のハウジング制限穴103中に制限され、回転ホイール座部104が、ハウジング制限穴103の延在方向(Z方向)にのみ、ハウジング102に対して動くことができるようにする。回転ホイール108及び回転ホイール座部104は、ハウジング102に対する回転ホイール座部104の直線運動の間、ハウジング102に対して同時に動くことができる。ピンシャフト112は、ハウジング102の下端に固定的に装着され、付勢ばね110及び111によって回転ホイール108に当接したままとなる。回転ホイール108のカム外周は異なる回転半径を有するので、回転ホイール108は、そのカム外周のピンシャフト112に対する当接によって、回転の間にハウジング102に対して動くことができ、それによって回転ホイール座部104をハウジング102に対して動くように駆動する。ハウジング102に対する回転ホイール座部104の動きの間、ハウジング102の内部に備えられたマイクロスイッチアセンブリ114が作動させられて、マイクロスイッチアセンブリ114がオン又はオフされるようにすることができる。
【0045】
図3Aは、回転ホイール108の正面図であり、種々の動きの段階における回転ホイール108とピンシャフト112との間の相対的な位置関係を示し、図3Bは、回転ホイール座部104の上方向への動きの変位(ドア開放変位)と、ドアが受ける内部押圧力と、の間の曲線関係のグラフである。
【0046】
図3Aに示されるように、回転ホイール108は、回転ホイール頭部セクション222、回転ホイール中間部セクション224及び回転ホイール後部セクション226を含み、回転ホイール中間部セクション224は、回転シャフト208を備え、回転ホイール頭部セクション222は、下部ロックフック202、上部ロックフック204及びロックフック受容空洞206を備える。ドアフック101がハウジング102に挿入されると、ドアフック101のドアフック頭部126が、回転ホイール108の下部ロックフック202に衝突して、回転ホイール108が、ドア閉鎖方向(時計回り方向)に回転するようにすることができ、ドアフック101がハウジング102から引き出されると、ドアフック101のドアフック頭部上側面128が、回転ホイール108の上部ロックフック204を引いて、上部ロックフックが、ドア開放方向(反時計回り方向)に回転するようにすることができ、ドアが閉状態にあるとき、ドアフック101は、ドアロックアセンブリ100の内部に保持され、ドアフック101のドアフック開口部124は、回転ホイール108のロックフック受容空洞206中に制限されて、ドアフック101が、ロックされ動けないようにされる。
【0047】
回転ホイール後部セクション226は、カム構造を有し、カム構造の外周は、異なる回転半径を有する。カム構造は、ピンシャフト112に当接することが可能となるように構成され、回転ホイール108が回転ホイール座部104中でドア開放方向に又はドア閉鎖方向に回転するとき、回転ホイール108が回転ホイール座部104と共にハウジング102内で動くことができ、ハウジング102の内部での回転ホイール座部104の動きの間、付勢ばね110及び111が、バレル形状の空洞132、134中で圧縮され又はばね復帰させられ、回転ホイール座部104及び回転ホイール108に付勢力が加えられるようにする。
【0048】
回転ホイール108のカム構造は、互いに接続された内側と外側とを備え、内側は、互いに接続された第1の作業側面212と第2の作業側面214とを有し、外側は、第3の作業側面216を有し、第1の作業側面212は、凹状の面であり、第2の作業側面214は、第1の方向に突出し、第3の作業側面216は、第2の方向に突出し、ドア開放過程において、回転ホイール108のカム構造とピンシャフト112との間の当接位置が、第1の作業側面212から第2の作業側面214及び第3の作業側面216へと順次移行し、それによって内部押圧力の変化を引き起こす。
【0049】
具体的には、図3Aを引き続き参照すると、本開示の一実施形態において、内側は、円形の切り欠き212及び上昇傾斜面214を含み、外側は、下降傾斜面216を含む。円形の切り欠き212は、点Aにおいて上昇傾斜面214に接続し、上昇傾斜面214は、点Bにおいて下降傾斜面216に接続する。円形の切り欠き212の切り欠き内径は、ピンシャフト112のシャフト外径と同じであり、ピンシャフト112が、円形の切り欠き212に正確にスナップ接続されるようにし、ピンシャフト112が円形の切り欠き212にスナップ接続される位置は、回転ホイール108が回転ホイールドア閉鎖位置にある位置に対応する安定位置である。
【0050】
回転ホイール108がドア開放方向(図3Aにおいて反時計回り方向)に回転する傾向にあるとき、ピンシャフト112が円形の切り欠き212に当接する作用力点が、円形の切り欠き212の点Oにおいて生じ、この場合、回転ホイール108は、回転ホイールドア閉鎖位置にある。ドアが完全に開けられると、回転ホイール108は、回転ホイール座部104の回転ホイール停止部402(図8Cを参照)に当接する。この場合、回転ホイール108は、回転ホイールドア開放位置にあり、ピンシャフト112は、回転ホイール108の下降傾斜面216の点Cに、すなわち、回転ホイールドア開放位置における回転ホイール108の安定位置に当接する。
【0051】
引き続き図3Aを参照すると、以下の説明の容易さのため、カム構造の外側輪郭は、3つのセグメント、すなわち、カム構造の内側の円形の切り欠き212のOAセグメント、カム構造の内側の上昇傾斜面214のABセグメント、及びカム構造の外側の下降傾斜面216のBCセグメントに分割される。OAセグメント、ABセグメント及びBCセグメント以外の、カム構造の外側輪郭の他のセグメントは、本明細書では説明されない。
【0052】
回転ホイール108のカム構造は、OAセグメント、ABセグメント及びBCセグメントにおいて異なる曲率を有し、OAセグメントの曲率は、ピンシャフト112の外径の曲率とほぼ等しく、ABセグメントの曲率は、点Aから点Bに向かって徐々に増大し、BCセグメントの曲率は、一定のままであることが分かる。回転ホイール108が回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、ピンシャフト112は、異なる曲率を有する回転ホイール108のこれらのセグメントにおいて回転ホイール108に当接し、一方、回転ホイール108は更に、異なる曲率を有するこれらのセグメントにおいて、異なる回転ホイール回転半径を有し、そのため、異なる曲率を有するこれらのセグメントにおいて、ピンシャフト112が回転ホイール108に当接するときに発生する相互作用力は可変であり、ピンシャフト112の可変の作用力と付勢ばねの付勢力との複合作用の下で、回転ホイール108を引くのに必要とされる力(すなわち、内部押圧力又はドア開放力)は、図3Bに示されるように、可変の傾向を有する。それゆえ、本開示のドアロック機構において、ピンシャフト112は、内部押圧力についての力調節デバイスとみなすこともできる。
【0053】
図3Bに示されるように、「内部押圧力」を縦座標としてとり、「ドア開放変位」を横座標としてとることにより、「内部押圧力対ドア開放変位」曲線(以下「曲線」と呼ぶ)を得ることができる。実線によって示される曲線は、本開示の技術手段におけるドア開放変位と内部押圧力との間の相関の曲線であり、点線によって示される曲線は、従来技術におけるドア開放変位と内部押圧力との間の相関の曲線である。
【0054】
本開示の技術手段の曲線は、4つの臨界点O、A、B及びCを有する。この4つの点O、A、B及びCは、ピンシャフト112及び回転ホイール108の4つの当接位置、すなわち、回転ホイールドア閉鎖位置に対応するピンシャフト112の当接点O、回転ホイール108のOAセグメントとABセグメントとの接合部におけるピンシャフト112の当接点A、回転ホイール108のABセグメントとBCセグメントとの接合部におけるピンシャフト112の当接点B、及び回転ホイールドア開放位置に対応するピンシャフト112の当接点Cに対応している。曲線のOAセグメント、ABセグメント及びBCセグメントは、それぞれOAセグメント、ABセグメント及びBCセグメントにおける回転ホイール108のカム構造に対するピンシャフト112の当接位置に対応している。回転ホイール108が静止しているとみなされる場合、ドア開放過程において、ピンシャフト112は、円形の切り欠き212から、回転ホイール108に対してOAセグメント、ABセグメント及びBCセグメントを通って、下降傾斜面216の点Cまで動く。ドア閉鎖過程において、ピンシャフト112は、下降傾斜面216の点Cから、回転ホイール108に対してBCセグメント、ABセグメント及びOAセグメントを通って、円形の切り欠き212まで動く。
【0055】
ドアが閉位置において内部押圧力を受けると、回転ホイール108は、回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置に向かって反時計回りに回転することができる。ピンシャフト112は、内部押圧力についての力調節デバイスとして機能し、回転ホイール108に当接することによって回転ホイール108に調節力を加えることができる。この調節力は、回転ホイール108が、回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転する過程において、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)及び回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)を含む、2つの回転経路曲線を呈することを可能とし、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)は、第1の経路開始点(O)及び第1の経路終了点(A)を有し、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)は、第2の経路開始点(A)及び第2の経路終了点(B)を有し、第1の経路終了点は第2の経路開始点と一致する。「内部押圧力対ドア開放変位」曲線において、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)の傾きは、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)の傾きよりもかなり大きいことが分かる。
【0056】
回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)の傾き及び形状は、円形の切り欠き212の曲率及び形状に依存し、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)の傾き及び形状は、上昇傾斜面214の曲率及び形状に依存する。本開示の一実施形態において、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)は、80度~90度の範囲の傾きを有し、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)に対応する変位は、0mm~2mmの範囲であり、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)は、0度~15度の範囲の傾きを有し、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)に対応する変位は、5mm~10mmの範囲であり、回転経路の第1のセグメント(OAセグメント)に対応する変位に対する、回転経路の第2のセグメント(ABセグメント)に対応する変位の比率は、5~20の範囲である。
【0057】
ピンシャフト112(力調節デバイス)からの調節力は、図3Bに描かれているように、内部押付力を、可変の内部押付力として具現されるようにする。可変の内部押圧力が、回転ホイール108を第1の経路開始点(O)と第2の経路終了点(B)との間のいずれかの位置にしか動かすことができない場合、可変の内部押圧力がなくなった後、回転ホイール108が、回転ホイールドア閉鎖位置、すなわち、ピンシャフト112が回転ホイール108の円形の切り欠き212にスナップ接続される位置に戻ることとなり、可変の内部押圧力が、回転ホイール108を第2の経路終了点Bを越える位置にまで動かすことができる場合、可変の内部押圧力がなくなった後、回転ホイール108は、回転ホイールドア開放位置まで動くこととなる。すなわち、回転ホイール108がBCセグメントによってピンシャフト112に当接するように回転すると、付勢ばねの付勢力とピンシャフトの当接力との複合作用の下で、回転ホイール108は、内部押圧力がなくても、回転ホイールドア開放位置、すなわち、回転ホイール108が点Cにおいてピンシャフト112に当接する位置まで、自動的に回転することができる。摩擦力等の実際の要因を考慮すると、曲線のBCセグメントは、水平軸に垂直な垂直線に近似する。
【0058】
本開示の技術手段において、曲線上の点Oの手前に機械製造公差により引き起こされるドア開放変位があり、公差移動後に第1の経路開始点Oが開始することが分かる。また、曲線上の点Oに対応する初期変位によって必要とされる内部押圧力は、5N~10Nの範囲であり、このことは、回転ホイール108が、隣接する構成要素からの静止摩擦力に打ち勝つまで、最初は回転すること又は動くことができないことを示している。
【0059】
したがって、ドアが開位置において外部押圧力を受けると、回転ホイール108は、回転ホイールドア開放位置から回転ホイールドア閉鎖位置まで時計回り方向に回転することができる。上記の過程とは逆に、ピンシャフト112は、まず点Cにおいて回転ホイール108に当接し、ドアフック101の更なる挿入により、回転ホイール108が、時計回りに回転し、ピンシャフト112と回転ホイール108との間の当接位置は、BCセグメントを通過することによって点Cから点Bに移動させられ、次いでABセグメントを通過することによって点Aに移動させられ、最後にOAセグメントを通過することによって点Oに移動させられる。
【0060】
引き続き図3Bを参照すると、従来技術におけるドア開放変位と内部押圧力との間の相関の曲線は、3つの臨界点O’、B及びCを有し、点O’は、点Oに非常に近く、O’Bセグメントは、直線に近似し、O’Bセグメントの傾きは、本開示の技術手段におけるOAセグメントの傾きよりも小さい。
【0061】
当業者には知られているように、ドアが受ける内部押圧力は、ドア開放過程においてドアロックアセンブリに仕事をし、仕事の大きさは、ドア開放変位に対する内部押圧力の累積(積分)であり、図3Bにおける曲線と横軸及び縦軸とによって囲まれた面積を反映している。本開示の技術手段におけるドア開放過程において内部押圧力によって行われる仕事は、従来技術におけるドア開放過程において内部押圧力によって行われる仕事よりも、明らかに大きいことが分かるが、このことは、本開示の技術手段において、ドア開放の初期段階(例えば、1.2mmのドア開放変位に対応する点Aの前の段階)においてドア開放に必要とされる内部押圧力が、35ニュートン~45ニュートンの範囲にまで急速に増大し、ドアは、内部押圧力(連続的にゆっくりと増大する)の作用の下で、累積的に約8mmの変位を達成する連続的な押圧によってのみ押し開けられるのに対し、従来技術において達成される同じドア開放力に対応するドア開放変位は、約7mmであることによる。しかしながら、本開示の技術手段におけるドア開放に必要とされる最大内部押圧力は、従来技術におけるものと一致するように保たれ、すなわち、40ニュートン~45ニュートン(点Bに対応する内部押圧力の大きさ)の範囲であり、それゆえ、本開示の技術手段は、子供によって内側からドアを押すことの困難性を増大させることはない。逆に、同じ洗濯物の衝撃力(洗濯物の初期衝撃運動エネルギー)に関しては、衝撃力が仕事をすることによってドアを押し開けるための従来技術におけるドア開放抵抗にちょうど打ち勝つことができるものである場合、本開示の技術手段におけるドアは、この衝撃力によっては押し開けられない。本開示の実施形態において、本開示の技術手段においてドア開放抵抗に打ち勝つために行われる必要とされる仕事は、従来技術において必要とされる仕事よりも、55%大きい。
【0062】
図4A図8Cは、ドア開放過程における種々の当接位置にある回転ホイール108及びピンシャフト112の概略図である。
【0063】
図4Aは、ドアフック101が最大挿入状態にあり、ピンシャフト112が回転ホイール108の力支承面の点Oに当接している、本開示のドアロックアセンブリ100の内部の側面図であり、ドアロックアセンブリ100の内部の様々な構成要素間の協働関係を示すために、ハウジング102の構造の一部が隠されている。図4Bは、図4Aに示される回転ホイール108の拡大図及び力分析図Nである。
【0064】
図4Aに示されるように、回転ホイール座部104は、回転ホイール108の回転範囲を制限するように構成された回転ホイール停止部402を備え、回転ホイール108が回転ホイールドア閉鎖位置から回転ホイールドア開放位置まで回転するとき、回転ホイール108が回転ホイール停止部402によって停止され、したがって、ピンシャフト112がカムの下降傾斜面216の点Cに当接する位置において安定させられ得るようにする。図4Aは、回転ホイール108が回転ホイールドア閉鎖位置にある状態、すなわち、ドアが閉位置にある状態を示しており、このとき、ピンシャフト112は、回転ホイール108の円形の切り欠き212内に当接している。
【0065】
図4Bに示されるように、回転ホイールドア閉鎖位置にある回転ホイール108が、ドアフックからドア開放引き力P(ドアが受ける内部押圧力に相当する)を受けると、回転ホイール108は、反時計回りに回転する傾向となり、回転ホイール108が回転する又は動く前に、初期製造公差及び静止摩擦力の影響に打ち勝ち、動く前にピンシャフト112との相互作用力Fを発生させる必要がある。この場合、付勢ばねは、未だ圧縮されておらず、したがって、回転ホイール座部104及び回転ホイール108は、Z方向(垂直方向)における付勢ばねのばね力Tを未だ受けていない。回転ホイール108が反時計回りに回転を開始すると、付勢ばねが圧縮され、次いで、回転ホイール座部104及び回転ホイール108が、Z方向における付勢ばねのばね力Tを受け、ばね力Tが、回転ホイール108の回転シャフト208の中心に作用し、それゆえ、回転ホイール108に追加的なトルクはもたらされない。ドア開放引き力P及びピンシャフト112の反作用力Fは、それぞれ回転ホイール108に方向的に反対のトルクを加え、2つの力によって発生するトルクは、等しい大きさとなる。ドア開放引き力Pと、反作用力Fと、付勢ばねのばね力Tによって回転ホイール108にZ方向(垂直方向)に加えられる作用力とは、互いに釣り合っている。
【0066】
図5は、ピンシャフト112が回転ホイール108の力支承面の点Aに当接している、回転ホイール108を上方向に引くドアフック101の概略図である。
【0067】
図4A及び図5に示されるように、回転ホイール108が回転を開始した後、連続的なドア開放引き力Pが、回転ホイール108に加えられ、回転ホイール108は、図4Aに示される位置から回転し、図5に示される位置まで上方向に並進することができる。この場合、ピンシャフト112は、回転ホイール108の円形の切り欠き212内に当接する位置から力支承表面の点Aまで、回転ホイール108に対して動き、点Aにおいて回転ホイール108に当接する。回転ホイール108は、ピンシャフト112に当接する過程において、反時計回りに上方向に並進し、OAセグメントにおける回転ホイール108の外側輪郭は、ピンシャフト112がそれに対して反作用力Fを発生させることを可能にするような形状とされ、このことが、ドア開放変位と共にドア開放引き力Pを急速に増大させ、かくして図3Bに示される曲線のOAセグメントの形状を形成する。図5に示される点Aにおいて、ドア開放引き力P又は内部押圧力は、35ニュートン~45ニュートンの範囲であり、ドア開放変位は、僅か約1.2mmである。
【0068】
図6は、ピンシャフト112が回転ホイール108の力支承面のABセグメントに当接している、回転ホイール108を上方向に引くドアフック101の概略図であり、図7は、ピンシャフト112が回転ホイール108の力支承面の点Bに当接している、回転ホイール108を上方向に引くドアフック101の概略図である。
【0069】
図5図7に示されるように、ドア開放引き力Pは、図5に示される回転ホイール位置において回転ホイール108に加えられ続け、回転ホイール108は、図5に示される位置から回転し、図6に示される位置まで上方向に並進することができる。この場合、ピンシャフト112は、点Aの位置から、ピンシャフトが回転ホイール108に当接するABセグメントまで、回転ホイール108に対して動かされる。ドア開放引き力Pを継続的に加えることにより、回転ホイール108に対するピンシャフト112の位置は、ABセグメントを通過して点Bの位置に達することができる。
【0070】
ABセグメントにおいて、回転ホイール108は、反時計回りに回転し、ピンシャフト112に当接する過程において上方向に並進し、ABセグメントにおける回転ホイール108の外側輪郭の曲率は、点Aから点Bに向かって徐々に増大し、ピンシャフト112がそれに対して反作用力Fを発生させるようにし、ドア開放変位と共にドア開放引き力Pを着実に増大させ、かくして図3Bに示される曲線のABセグメントの形状を形成する。図7に示される点Bにおいて、ドア開放引き力P又は内部押圧力は、40ニュートン~45ニュートンの範囲内にあるピーク値に達し、ドア開放変位は、約8mmである。
【0071】
図8Aは、回転ホイール108の力支承面のBCセグメントに当接しているピンシャフト112の概略図であり、図8Bは、図8Aに示される回転ホイール108の拡大図及び力分析図Qであり、図8Cは、点Cにおいて回転ホイール108の力支承面に当接しているピンシャフト112の概略図である。
【0072】
図7及び図8Aに示されるように、ドア開放引き力Pは、図7に示される回転ホイール位置において回転ホイール108に加えられ続け、回転ホイール108は、図7に示される位置から回転し、図8Aに示される位置まで上方向に並進することができる。この場合、ピンシャフト112は、点Bの位置から、ピンシャフトが回転ホイール108に当接するBCセグメントまで、回転ホイール108に対して動かされる。
【0073】
図8Bに示されるように、回転ホイール108に対するピンシャフト112の位置が点Bを越えてBCセグメントに達すると、回転ホイール108は、ドア開放引き力Pがなくても、付勢ばねのばね力T及びピンシャフト112の反作用力Fの作用の下で、自動的に反時計回りに停止位置まで回転することとなる。具体的に、回転ホイール108の力分析が、以下に説明される。
【0074】
BCセグメントの曲率及び形状は、BCセグメントにおいてピンシャフト112が回転ホイール108に当接するときに発生する反作用力Fの方向において、反時計回りの回転に対するトルクが回転ホイール108に対して発生させることができるように設定されている。具体的には、反作用力Fの作用線は、回転ホイール108の回転中心の右側に位置する(図8Bに示される点線を参照)。一方、BCセグメントにおける回転ホイール108の回転半径は、点Bから点Cに向かって僅かに増大し、BCセグメントにおける回転ホイール108の曲率は、変化しないままであり、そのため、回転ホイール108がBCセグメントにおいてピンシャフト112に当接する過程において、回転ホイールは、反時計回りに回転し上方向に動き続けることができる。以上の反時計回りのトルクの作用の下で、回転ホイール108は、回転が回転ホイール停止部402に接触する位置まで回転することができ、この位置において停止する。図8Cに示されるように、この場合、ピンシャフト112は、回転ホイール108に対して力支承面の点Cに動き、点Cにおいて回転ホイール108に当接し、回転ホイール108は、回転ホイール座部104の回転ホイール停止部402に当接する。
【0075】
回転ホイール108は、BCセグメントにおいてピンシャフト112に当接するとき、一定の回転速度を有するので、ドアフック101は、一定の速度で上方向に動くように駆動することができ、回転ホイール108が点Bの位置を越えて内部押圧力が取り除かれた後に、ドアが一定の速度でドア開放位置まで外向きに跳ね開けられるようにする。
【0076】
ドアを閉じる過程において、外部押圧力の作用の下で、回転ホイール108は、図8Cに示される位置から図4Aに示される位置まで、時計回りに回転することができ、この動きの過程及び力支承態様は、ドア開放過程とは逆であり、説明を繰り返すことはしない。
【0077】
図9は、本開示のドアロックアセンブリ100がドア開放位置にある、乾燥機900の概略図である。
【0078】
図9に示されるように、乾燥機900は、乾燥機本体902と、ドア904と、空洞906と、ドアロックアセンブリ100とを備え、ドアフック101が、ドア904の内側に備えられ、ドアロックアセンブリ100の他の構成要素が、ドアフック101に対応する乾燥機本体902の位置に備えられている。ドア904を閉じることによって、ドアフック101は、ドアフック穴182を通過して、ドアロックアセンブリ100の内部の回転ホイール108と係合される態様でロックされ、それにより空洞906を閉じることができる。
【0079】
図9に示される乾燥機900は、単に例示的なものであり、本開示のドアロックアセンブリ100は、洗濯機、食器洗い機、及び電子レンジ等の、空洞及び空洞を閉じるためのドアをそれぞれ有する、様々なタイプの電気機器にも装着することができ、更には他の非電気機器にも装着することができる。
【0080】
本開示は、本明細書で述べられた技術的課題を少なくとも部分的に解決することを目的とする。本開示のドアロックアセンブリは、少なくとも以下の有益な技術的効果を達成することができる。
【0081】
第1に、本開示において、付勢ばねの圧縮又はばね復帰が、回転ホイール座部におけるバレル形状の空洞中に制限され、付勢ばねは、回転ホイール座部及び回転ホイールに対して安定した付勢力を発生させることができ、そのため、ハウジングの内部での回転ホイール座部及び回転ホイールの動きが、従来技術におけるものよりも滑らかとなり、かくして、ドア開閉動作の全体的な手応えが、ぎくしゃく感、不安定性又は不均一性のない、より滑らかなものとなる。
【0082】
第2に、本開示における回転ホイールのカム部は、異なる曲率を有する2つの曲面を備え、回転ホイールは、上述した異なる曲率を有する2つの曲面のうちのいずれか一方によって、ドアロックハウジングの内部に固定的に備えられたピンシャフトに当接し、回転ホイールがドア閉鎖位置から回転を開始すると、ドア開放のための内部押圧力は、最大ドア開放力に近い大きさまで速やかに増大することができ、後続する回転ホイールの回転の間、回転ホイールがドア開放のための臨界位置に達するまで、ドア開放力は安定状態にとどまり、ゆっくりと増大する。かかる構成は、洗濯物によってドアに加えられる力が、ドア開放のための臨界位置に達する前に消滅させられ、ドアが僅かに変位させられたとしてもドアが押し開けられないこととなり、誤って乾燥機に入ってしまった子供は、ドアに継続的な内部押圧力を加えることができ、そのことが、カムをドア開放のための臨界位置を越えて回転させることができ、それゆえ、子供がドアを内側から押し開けることができるという利点を有する。
【0083】
本開示は、上記で概説した実施形態の例と併せて説明されているが、現在既知である又は近い将来に予想され得るかに関わらず、様々な代替案、変更例、変形例、改良例、及び/又は実質的な等価物は、少なくとも当業者には明らかであろう。さらに、本開示に記載された技術的効果及び/又は技術的問題は、制限的ではなく例示的なものである。したがって、本開示における開示された記載は、他の技術的問題を解決するために使用されてもよく、他の技術的効果を有し、及び/又は他の技術的問題を解決してもよい。したがって、上述した本開示の実施形態の例は、限定的ではなく例示的であることを意図している。本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、本開示は、全ての既知又は先に開発された代替物、変更例、変形例、改良例及び/又は基本的等価物を含むことを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
【外国語明細書】