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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002012
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】医療用ガウン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A41D13/12 190
A41D13/12 109
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101897
(22)【出願日】2023-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】399031425
【氏名又は名称】イワツキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】崎濱 秀一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 倫子
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AB06
3B211AC22
3B211CE02
(57)【要約】
【課題】雄型面ファスナを不織布シートに係止可能とすることにより、医療用ガウンを着用者自身が迅速かつ確実に着用する。
【解決手段】着用者の胴部及び腕部を覆い、着用のための開閉部2を背中側の上下方向に有する不織布シートから成る医療用ガウンである。開閉部2同士を閉止する係止手段を備え、この係止手段は、背面部4a、4b間に設けた開閉部2の一方側の背面部4a側に取り付けた雄型面ファスナ8であり、雄型面ファスナ8の係止面を他方側である不織布シートから成る背面部4bに係止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胴部及び腕部を覆い、着用のための左右に開口する開閉部を備えた不織布シートから成る医療用ガウンであって、
前記開閉部は閉止するための係止手段を備え、
該係止手段は前記開閉部の一方側に取り付けた雄型面ファスナであり、該雄型面ファスナの係止面を前記開閉部の他方側である前記不織布シートに係止することにより前記開閉部を閉止することを特徴とする医療用ガウン。
【請求項2】
前記雄型面ファスナはバンド状としたことを特徴とする請求項1に記載の医療用ガウン。
【請求項3】
前記雄型面ファスナの係止面は、前記開閉部の開き方向に対して強い係止特性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ガウン。
【請求項4】
前記開閉部は着用者の背面側に設けたことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の医療用ガウン。
【請求項5】
前記係止手段は前記開閉部の上下2個所において係止することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の医療用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医師や看護師等の医療従事者が好適に使用できる医療用ガウンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外科手術等の際には、医師や看護師等の医療従事者は、滅菌された手術衣である医療用ガウンを着用し、患者を感染源から守り、また患者の体液等が医療従事者に付着することを防止している。
【0003】
特に、緊急手術のような一刻を争う場合においては、医療従事者は医療用ガウンを迅速かつ確実に着用しなければならない。
【0004】
例えば、特許文献1に示す医療用ガウンでは、首、背中などに付設された複数組の紐同士を結ぶことで開閉部である綴じ合わせ部を閉止し、着用者の身体に固定して使用する。この場合に、着用者自身が背面で紐を縛って閉止することが困難な場合があって、介助者が着用者に着用手順を補助する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-40072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に示す医療用ガウンは、装着する際に紐同士を結ぶ必要があり手間を要する。特に、首回り等の目の届かない個所で紐同士を結ぶ際は、より手間を要し、着用に時間が掛かるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、不織布シートに対して雄型面ファスナを適用して係止することにより、着用者が簡便に着用可能な医療用ガウンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る医療用ガウンは、着用者の胴部及び腕部を覆い、着用のための左右に開口する開閉部を備えた不織布シートから成る医療用ガウンであって、前記開閉部は閉止するための係止手段を備え、該係止手段は前記開閉部の一方側に取り付けた雄型面ファスナであり、該雄型面ファスナの係止面を前記開閉部の他方側である前記不織布シートに係止することにより前記開閉部を閉止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る医療用ガウンは、雄型面ファスナを背面部である不織布シートに係止可能とすることにより、着用者自身が迅速かつ確実に着用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例の医療用ガウンの正面図である。
図2】開閉部を開いた状態の背面図である。
図3】開閉部を閉じた状態の背面図である。
図4】着用時の雄型面ファスナの斜視図である。
図5】非着用時の雄型面ファスナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は医療用ガウンの正面図、図2は開閉部を開いた状態の背面図である。この医療用ガウン1は、例えば外科手術等の際に、医師や看護師等の胴部、腕部を覆って使用する不織布シートから成り、例えば使い捨てとされている。
【0012】
この種の医療用ガウン1は、背中側の上下に沿った開閉部2を閉止する形式が多く、着用者の前肩部、胸部、腹部を覆う前面部3と、着用者の後肩部、背中部、臀部を覆う左右の背面部4a、4bと、着用者の左右の腕部をそれぞれ肩部から手首まで覆う一対の袖部5a、5bとを備えている。
【0013】
開閉部2は背中側となる背面部4a、4bの縁部4a’、4b’間とされており、医療用ガウン1の胴部の背面側で縁部4a’、4b’が左右に開くようにされている。
【0014】
前面部3と背面部4a、4bとは、図1図2に示すように、連続する1枚の不織布シートを両脇部で折り返し、背面部4a、4b間が開閉部2とされている。そして、肩部6において点線で示すように縫製又は接着材により接続されている。
【0015】
着用前には背面部4a、4b同士は、図2に示すように、開閉部2において分離されているが、着用時には開閉部2は綴じ合わされ、図3に示すように、背面部4a、4bの縁部4a’、4b’同士が、縁部4a’を上側にして重なり合うようにされている。
【0016】
また両肩部6の間の中央部には、着用者の頭部を挿通する孔部が設けられ、前面部3に設けた前面孔部7aは首部の動きを容易とするために、喉元を露出させる半円状とされ、背面部4a、4b側の背面孔部7bは比較的に浅い円弧状とされている。
【0017】
更に、袖部5a、5bは点線で示すように縫製等により先細の筒状とされ、肩部6の両側の前面部3と背面部4a、4bに縫製等により取り付けられている。袖部5a、5bの背面側の先端は若干短くされ、長くされた前面側の先端には、着用者の例えば親指を挿通する指孔5cが設けられている。
【0018】
開閉部2の上部及び中央部の背面部4aの縁部4a’の裏側には、図4に示すように、開閉部2を係止するための係止手段として、バンド状の雄型面ファスナ8の細幅の基部8aが、係止面8bを背面部4b側に向けて点線で示す縫製等により付設されている。そして、雄型面ファスナ8の片面の係止面8bには、面ファスナの雄型となる鉤形やマッシュルーム形の多数のフック部が例えば高密度ポリエチレン樹脂等により形成されている。係止面8bのフック部は、背面部4bを構成する不織布シートの繊維に絡み合うことにより、係止可能とされている。
【0019】
本発明に係る医療用ガウン1に使用する不織布シートとしては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン,セルロース系繊維等及びこれらの複合繊維が使用可能である。
【0020】
また、雄型面ファスナ8を不織布シートに係止させるには、不織布シートにおける繊維の長さ、太さ、間隔に、係止すべき雄型面ファスナ8のフック部の大きさ、形状が、適合しなければならないことは勿論である。これらの関係が不適切であると、係止特性が低下することになる。
【0021】
また、雄型面ファスナ8の係止特性を、例えばフック部の向きを揃えるなどして、長手方向に対して特に強く係止可能にすると、背面部4a、4bが両側に引っ張られても、開閉部2が簡単に開口してしまうことがなくなる。
【0022】
なお、着用前の雄型面ファスナ8においては、図5に示すように係止面8bを内側にして丸めて、先端の自由端8cの係止面8bを基部8aの周囲の背面部4aに係止しておくことにより、非着用時における雄型面ファスナ8が不織布シートにやたらと係止しないように、所定位置に配置しておくことができる。
【0023】
医療用ガウン1の使用に際して、着用者は前面部3を前側にして、袖部5a、5bに両腕部を通す。袖部5a、5bの先端まで手を通してから、親指を指孔5cに挿通する。これにより、袖部5a、5bは手首まで十分に引っ張られて、腕部を十分に覆うことになり、袖口も捲れ上がることはない。
【0024】
その後、背面部4a、4b側に腕を廻して、開閉部2を閉じて、背面部4a側の上部に丸めてある雄型面ファスナ8の係止面8bを開いて、背面部4b側の不織布シートに押し付けることで、係止面8bは容易に不織布シートに係止される。更に、背面部4aの中央部に取り付けた雄型面ファスナ8についても、同様にして背面部4bに係止することで、開閉部2が閉止状態に係止され、医療用ガウン1の着用が完了する。また必要に応じて、手に医療用手袋を装着すればよい。
【0025】
この医療用ガウン1の着用に際しては、雄型面ファスナ8の係止面8bは背面部4bの縁部4b’以外の任意の個所にも係止可能なので、医療用ガウン1の胴回りを大きめに製作しておけば、着用者の体型に制約されることなく、フリーサイズとして使用できる。
【0026】
医療行為が終了し、この医療用ガウン1の着用を外す場合には、雄型面ファスナ8を係止面8bと直交する方向に剥がすことにより、係止面8bの不織布シートに対する係止を簡便に解除することができる。
【0027】
このように、本発明に係る医療用ガウン1は、係止手段として雄型面ファスナ8を背面部4a、4bの一方側に設ければよく、他方の雌型は不織布シートをそのまま利用しているので、安価に製造できる利点がある。
【0028】
なお、上述の医療用ガウン1においては、開閉部2は背中側に設けたが、脇部を開閉部2としてもよい。また、袖部5a、5bの袖先はゴム袖とすることもでき、或いは袖部5a、5bは半袖とすることもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 医療用ガウン
2 開閉部
3 前面部
4a、4b 背面部
4a’、4b’ 縁部
5a、5b 袖部
8 雄型面ファスナ
8a 基部
8b 係止面
8c 自由端
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の背面側に左右に開口する開閉部を備え、前記着用者の胴部及び腕部を覆う不織布シートから成る医療用ガウンであって、
前記開閉部は背面側の一対の背面部の縁部間に設けられ、
一方の前記背面部の前記縁部近傍の内面に、バンド状の雄型面ファスナの一端の基部を係止面が内側になるように取り付け、
前記係止面を他方の前記背面部の外面に係止することにより前記開閉部を閉止して着用し、
前記基部は前記雄型面ファスナの先端に比べて細幅とし、
着用前の前記雄型面ファスナは、前記係止面を内側にして丸めて、前記係止面の先端である自由端を、前記基部に当接すると共に、前記基部の周囲の前記一方の前記背面部に係止して仮止めすることが可能であることを特徴とする医療用ガウン。
【請求項2】
前記雄型面ファスナは前記開閉部の上下2個所において係止することを特徴とする請求項1に記載の医療用ガウン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る医療用ガウンは、着用者の背面側に左右に開口する開閉部を備え、前記着用者の胴部及び腕部を覆う不織布シートから成る医療用ガウンであって、前記開閉部は背面側の一対の背面部の縁部間に設けられ、一方の前記背面部の前記縁部近傍の内面に、バンド状の雄型面ファスナの一端の基部を係止面が内側になるように取り付け、前記係止面を他方の前記背面部の外面に係止することにより前記開閉部を閉止して着用し、前記基部は前記雄型面ファスナの先端に比べて細幅とし、着用前の前記雄型面ファスナは、前記係止面を内側にして丸めて、前記係止面の先端である自由端を、前記基部に当接すると共に、前記基部の周囲の前記一方の前記背面部に係止して仮止めすることが可能であることを特徴とする。