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特開2025-20227ブドウ膜炎および黄斑浮腫の処置のためのIL6R抗体を含む組成物およびそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020227
(43)【公開日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ブドウ膜炎および黄斑浮腫の処置のためのIL6R抗体を含む組成物およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250204BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250204BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K31/573
A61K31/519
A61P27/02
A61P29/00
A61K39/395 N
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024189424
(22)【出願日】2024-10-29
(62)【分割の表示】P 2023021270の分割
【原出願日】2016-11-03
(31)【優先権主張番号】62/408,391
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/250,269
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16306166.6
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アヴァリ・プリーシ・スリダラ サンダラム
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ブガジェ
(72)【発明者】
【氏名】キャレン・ダブリュー・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・コープ ディ ジェンティ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン・エー・エリックソン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニーク・メリー-ミグナード
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・ヴァロナ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エル・ヴィティ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体を使用して、ブドウ膜炎および/または黄斑浮腫の症状を処置および改善する組成物および方法を提供する。
【解決手段】それを必要とする対象における黄斑浮腫の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含む前記組成物による。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における黄斑浮腫の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含む前記組成物。
【請求項2】
IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗体はサリルマブである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
対象は:眼の炎症、障害のある視覚、障害のある色認識、組織肥厚および眼の血管の漏出からなる群から選択される、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状を患っている、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
対象は類嚢胞黄斑浮腫を患っている、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
対象は糖尿病性網膜症を患っている、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
黄斑浮腫はブドウ膜炎に続発する黄斑浮腫である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
対象は300μmを超える中心網膜厚さ(CRT)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状は抗体による処置の後に改善される、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項11】
ブドウ膜炎の症状は:VHレベル、最良矯正視力(BCVA)、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、中心網膜厚さおよび前部眼房の眼の炎症からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
対象は少なくとも3カ月の間コルチコステロイドで事前に処置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
対象はメトトレキセートでも処置されていた、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
対象はコルチコステロイドでも処置されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
対象はメトトレキセートでも処置されている、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項1~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
対象は:
- CRTの20%を超える低減、
- BCVAの10文字を超える改善、
- 網膜血管漏出の低減、および/または
- ブドウ膜炎臨床評価スコアの改善
を経験する、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
対象は、16週後にBCVAの改善を達成する、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
対象は、16週後にCRTの改善を達成する、請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
対象は、16週後に臨床評価スコアの改善を達成する、請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
抗体は皮下処置のために製剤化される、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
抗体は2週ごとに1回の約150から約200mgの用量である、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
抗体は2週ごとに1回の約150mgの用量である、請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
抗体は2週ごとに1回の約200mgの用量である、請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
抗体はトシリズマブである、請求項1または4~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
トシリズマブは約4から約8mg/kgで4週ごとに1回の静脈内処置のために製剤化される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
トシリズマブは約162mgで週1回または2週ごとに1回の皮下処置のために製剤化される、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
それを必要とする対象におけるブドウ膜炎の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含み、該対象はマイアミ9段階スケールで2以上の硝子体曇り価(VH)レベルを有するか、または該対象は300μmを超える中心網膜厚さ(CRT)を有する、前記組成物。
【請求項38】
対象はマイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する、請求項37または38に記載の組成物。
【請求項40】
ブドウ膜炎は中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される、請求項37~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
ブドウ膜炎は非感染性のブドウ膜炎である、請求項37~40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
ブドウ膜炎は全身性または特発性である、請求項37~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
対象は黄斑浮腫を患っている、請求項37~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
対象は300μmを超えるCRTを有する、請求項37~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
対象は眼内炎症の他の徴候を有する、請求項37~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
対象は少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている、請求項37~46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、最良矯正視力(BCVA)、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、CRTおよび前部眼房の眼の炎症からなる群から選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
対象は少なくとも3カ月の間コルチコステロイドで処置されている、請求項37~49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量である、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
対象はメトトレキセートでも処置されていた、請求項37~52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
対象はコルチコステロイドでも処置されている、請求項37~54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量である、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
対象はメトトレキセートでも処置されている、請求項37~57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項50~52または55~57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する、請求項37~60のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
対象は、16週後に10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項50~52または55~57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
対象は、
CRTの20%を超える低減、
BCVAの10文字を超える改善、
網膜血管漏出の低減および/または
ブドウ膜炎臨床評価スコアの改善
を経験する、請求項37~62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
対象は、16週後にBCVAの改善を達成する、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
対象は、16週後にCRTの改善を達成する、請求項63に記載の組成物。
【請求項66】
対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する、請求項63に記載の組成物。
【請求項67】
対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する、請求項63に記載の組成物。
【請求項68】
IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、請求項37~67のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
抗体は2週ごとに1回の約150から約200mgの用量である、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
抗体は2週ごとに1回の約150mgの用量である、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
抗体は2週ごとに1回の約200mgの用量である、請求項69に記載の組成物。
【請求項72】
抗体はサリルマブである、請求項37~71のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
抗体はトシリズマブである、請求項37~67のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
トシリズマブは約4から約8mg/kgで4週ごとに1回の静脈内処置のために製剤化される、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
トシリズマブは約162mgで週1回または2週ごとに1回の皮下処置のために製剤化される、請求項73に記載の組成物。
【請求項76】
それを必要とする対象におけるブドウ膜炎の処置で使用するための組成物であって、抗体の治療有効量を含み、該抗体は配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、前記組成物。
【請求項77】
抗体はサリルマブである、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
ブドウ膜炎は中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される、請求項76または77に記載の組成物。
【請求項79】
ブドウ膜炎は非感染性のブドウ膜炎である、請求項76~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
ブドウ膜炎は全身性または特発性である、請求項76~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有する、請求項76~80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
対象はマイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する、請求項81に記載の組成物。
【請求項84】
対象は黄斑浮腫を患っている、請求項76~83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
対象は300μmを超える中心網膜厚さ(CRT)を有する、請求項76~84のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項86】
対象は眼内炎症の他の徴候を有する、請求項76~85のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項87】
眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群か
ら選択される、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
対象は少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている、請求項76~87のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項89】
対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される、請求項76~87のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項90】
ブドウ膜炎の症状は、上昇したVHレベル、低減したBCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、CRTおよび前部眼房の眼の炎症からなる群から選択される、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
対象は少なくとも3カ月の間コルチコステロイドで処置されている、請求項76~90のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項92】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量であった、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
対象はメトトレキセートでも処置されていた、請求項76~93のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項95】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
対象はコルチコステロイドで処置されている、請求項76~95のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項97】
コルチコステロイドはプレドニゾンである、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
プレドニゾンは15から80mg/日の用量である、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
対象はメトトレキセートでも処置されている、請求項76~98のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項100】
メトトレキセートは6から25mg/週の用量である、請求項99に記載の組成物。
【請求項101】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項91~93または96~97のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項102】
対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する、請求項76~101のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項103】
対象は、16週後に10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、請求項91~93または96~97のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項104】
対象は、
CRTの20%を超える低減、
BCVAの10文字を超える改善
を経験し、
網膜血管漏出の低減、および/または
ブドウ膜炎臨床評価スコアの改善
を示す、請求項76~103のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項105】
対象は、16週後にBCVAの改善を達成する、請求項104に記載の組成物。
【請求項106】
対象は、16週後にCRTの改善を達成する、請求項104に記載の組成物。
【請求項107】
対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する、請求項104に記載の組成物。
【請求項108】
対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する、請求項104に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年10月14日に出願の米国特許仮出願第62/408,391号;2016年9月14日に出願の欧州特許出願番号EP16306166.6;および2015年11月3日に出願の米国特許仮出願第62/250,269号への優先権を主張し、それぞれは参照によって本明細書に完全に組み入れられる。
【0002】
本発明は、ブドウ膜炎や黄斑の水腫の治療的な処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、ブドウ膜炎を処置するための、インターロイキン-6受容体(IL-6R)アンタゴニスト、例えば抗IL-6R抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-6は、免疫反応性、急性相応答、炎症、発がんおよび造血の調節を含む、広範囲の生物学的活性を有する主要なサイトカインである(非特許文献1)。IL-6の過剰生産が、慢性関節リウマチ(RA)を含む慢性炎症性疾患において病理学的役割を演じることが見出された。IL-6は、非感染性ブドウ膜炎患者の硝子体において上昇することも一貫して示されている(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;および非特許文献5)。
【0004】
IL-6はIL-6Rαサブユニットと直接的に相互作用し、IL-6/IL-6Rα対は糖タンパク質130(gp130)サブユニットと高親和性複合体を形成する。IL-6Rαは可溶形でも存在し、それはトランスシグナル伝達に関与し、IL-6が関節中の滑膜細胞を含むIL-6Rαを発現しない細胞に影響することを可能にする(非特許文献6)。
【0005】
REGN88とも呼ばれるサリルマブ(SAR153191)は、SanofiおよびRegeneronによって共同開発される。サリルマブは、IL-6受容体複合体(IL-6Rα)のアルファサブユニットを標的にする完全ヒト配列の組換えIgG1カッパモノクローナル抗体である。サリルマブは、IL-6シグナル伝達の強力で特異的な阻害剤である。高い親和性でIL-6Rαに結合することによって、サリルマブはIL-6の結合をブロックし、サイトカイン媒介シグナル伝達カスケードを妨害する。サリルマブは、RAの処置のために、フェーズ3臨床試験において評価されている。さらに、非感染性の、中間部、後部または全ブドウ膜炎を有する患者の処置のために、概念実証研究が現在継続中である。
【0006】
インターロイキン-6は、リウマチ性状態の病因における主要な要素であり、そのシグナル伝達の阻害はサリルマブの作用機構の決定的な部分である。
【0007】
RAに関連した炎症誘発性サイトカインには、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-1(IL-1)およびIL-6が含まれる。インターロイキン-6はリウマチ関節滑膜中の大きな割合の細胞において発現され、IL-6の上昇レベルがRA患者の血清および滑液で見出される。可溶性IL-6Rαの上昇レベルは、RAを含む様々な炎症性疾患においても観察されている(非特許文献7)。可溶性IL-6RαとのIL-6の相互作用は、いくつかの細胞表面に存在するgp130をトランス活性化することができる可溶性複合体の形成をもたらし、潜在的にRAの主要な病原機構である(非特許文献6)。IL-6は炎症性サイトカインカスケード中のTNF-αおよびIL-1の
下流にあり、したがって、広範囲の炎症過程における最終の共通のシグナル伝達経路を表すことができる。慢性関節リウマチは、複数の関節における軟骨および骨の持続的な滑膜炎および進行性の破壊によって特徴付けられる、慢性炎症性疾患である。関連する全身性炎症性症状には、発熱、疲労、貧血、増加する急性相反応体、例えば赤血球沈降速度(ESR)およびC反応性タンパク質(CRP)、ならびにリウマチ因子(RF)などの自己抗体の発達が含まれる(非特許文献1)。
【0008】
ブドウ膜炎は、いかなる年齢でも起こる可能性があるが、生産年齢群の患者に主に影響する一群の眼内炎症性疾患を記載するために使用される用語である(非特許文献8)。非感染性のブドウ膜炎(NIU)は、根底にある炎症性疾患、自己免疫性障害、腫瘍から、または目への外傷の結果として起こることができる。ほとんどの場合、原因は未知のままである(すなわち、特発性のブドウ膜炎)(非特許文献9)。
【0009】
NIUの処置の目標は、炎症を制御し、失明を予防し、疾患およびその処置の長期合併症を最小にすることである。全身性コルチコステロイドは、特にそれが全身性疾患と関連するとき、または両側性の眼の疾患が存在するとき、処置を必要とする後部セグメント炎症の管理のために広く使用される。IL-6は、NIU患者の硝子体において上昇することが一貫して示されているので(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)、IL-6Raを通してのIL-6シグナル伝達のサリルマブによる遮断は、この疾患の処置としての可能性を有するかもしれない。
【0010】
患者へのサリルマブの皮下注射の後に、非感染性のブドウ膜炎の処置を支えるために、実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎(EAU)のマウス器官特異的Tリンパ球媒介モデルにおいてIL-6Rαに対するマウス代用抗体(REGN844)の効能を調査した。研究では、マウスに対してEAU誘導後の5日目から3日おきに10から100mg/kgの用量レベルで腹腔内(IP)に与えられたREGN844は、網膜厚さ、形態異常および炎症性細胞浸潤の低減によって証明され、組織学的および光学的干渉断層撮影(OCT)測定によって確認されたように、非感染性のブドウ膜炎の用量関連の阻害をもたらした。マウス抗マウスIL6R抗体(REGN844)の全身(腹腔内)投与は、実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)のマウスモデルにおいて硝子体網膜の炎症の発達を一貫して改善する(非特許文献10)。
【0011】
黄斑浮腫は、近くの網膜の傷害を受けた血管からの黄斑における体液の異常な漏出および蓄積を含む。黄斑浮腫の一般的な原因は、糖尿病性網膜症である。非特許文献11を参照する。年齢関連の黄斑変性症に付随して、または目に影響する炎症性疾患の結果として、目の手術の後に黄斑浮腫が起こることもある。実際、網膜の血管に損傷を与えるいかなる疾患も、黄斑浮腫を引き起こすことができる。
【0012】
REGN88としても公知であるサリルマブ(SAR153191)は、慢性関節リウマチ(RA)の処置について、ならびに非感染性の中間部、後部および全ブドウ膜炎の処置について評価されている。サリルマブは、インターロイキン-6受容体aサブユニット(IL-6Rα)を標的にする免疫グロブリンG1(IgG1)カッパアイソタイプの組換えヒトモノクローナル抗体である。サリルマブはヒトIL-6Rαに結合し、インターロイキン-6(IL-6)シグナル伝達をブロックし、IL-6の不在下でシグナル伝達を誘導しないことが実証されている。ex vivoアッセイでは、関連する細胞型で、サリルマブは抗体依存性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)を実証せず、ここで、サリルマブ結合は蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析によって検証された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kishimoto T.、The Cytokine Handbook、A.W.Thomson、Lotze、M.T.編(London:Academic Press)。2003年、281~304頁
【非特許文献2】Ongkosuwitoら、Invest Ophthalmol Vis Sci.1998年;39巻(13号):2659~65頁
【非特許文献3】Perezら、Ocul Immunol Inflamm.2004年;12巻(3号):193~201頁
【非特許文献4】Yoshimuraら、PloS One.2009年;4巻(12号):e8158頁
【非特許文献5】Valentincicら、Mol Vis.2011年;17巻:2003~10年。Epub2011年7月20日
【非特許文献6】Rose-Johnら、J Leukoc Biol.2006年;80巻(2号)、227~36頁
【非特許文献7】Lipsky PE.Interleukin-6 and rheumatic diseases.Arthritis Res Ther.2006年;8巻(増補2):S4
【非特許文献8】Nussenblattら、Ophthalmology 1985年;92巻(4号):467~471頁
【非特許文献9】Durraniら、Br J Ophthalmol.2004年;88巻(9号):1159~62頁
【非特許文献10】Cao,J.ら:Investigative Ophthalmology & Visual Science 2013年6月、54巻、5193頁
【非特許文献11】Bresnick 1986年Ophthalmology、93巻(7号):989~97頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の態様は、それを必要とする対象における黄斑浮腫を処置するための方法であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0015】
様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む。本方法の様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0016】
本方法の様々な実施形態では、対象は黄斑浮腫の少なくとも1つの症状を患っている。様々な実施形態では、少なくとも1つの症状は:眼の炎症、障害のある視覚、障害のある色認識、組織肥厚および眼の血管の漏出からなる群から選択される。例えば、対象はぼんやりした視力を有する。本方法の様々な実施形態では、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状を患っている対象は、抗体を投与した後に改善する。
【0017】
本方法の様々な実施形態では、対象は類嚢胞黄斑浮腫を患っている。本方法の様々な実施形態では、対象は糖尿病性網膜症を患っている。
【0018】
様々な実施形態では、黄斑浮腫は、ブドウ膜炎に続発する黄斑浮腫である。例えば、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。
【0019】
本方法の様々な実施形態では、対象は300μmを超える中心網膜厚さ(CRT)を有する。
【0020】
本方法の様々な実施形態では、ブドウ膜炎の少なくとも1つの症状を患っている対象は、抗体を投与した後に改善する。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は:硝子体曇り価(VH)レベル、最良に矯正される視力(BCVA)、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、中心網膜厚さおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0021】
様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状およびブドウ膜炎の少なくとも1つの症状を患っている。本方法の様々な実施形態では、これらの症状の両方を患っている対象は、抗体を投与した後に改善する。
【0022】
本方法の様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって事前に処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0023】
本方法の様々な実施形態では、対象はメトトレキセートも投与されている。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0024】
本方法の様々な実施形態では、対象はコルチコステロイドも投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。本方法の様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与される。
【0025】
本方法の様々な実施形態では、対象はメトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0026】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0027】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。
【0028】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0029】
様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、BCVAの10文字を超える改善を経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。例えば、評価スコアは、対象からのフィードバックを使用して計算され、ならびに/または医師による評価および/もしくは手順を使用して判定される。例えば、改善または低減は、健康対象に、または対照値、または眼の状態を有する前にブドウ膜炎および/もしくは黄斑浮腫を有する対象からのサンプルと相対的である。
【0030】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。
【0031】
様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。
【0032】
様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。
【0033】
様々な実施形態では、対象は、16週後に臨床評価スコアの改善を達成する。
【0034】
本方法の様々な実施形態では、抗体は皮下投与される。様々な実施形態では、抗体は静脈内投与される。
【0035】
本方法の様々な実施形態では、抗体は、約150から約200mgで2週おきに一度投与される。例えば、抗体は皮下投与される。
【0036】
本方法の様々な実施形態では、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。本方法の様々な実施形態では、抗体は、約200mgで2週おきに一度投与される。
【0037】
本方法の様々な実施形態では、抗体はトシリズマブである。例えば、トシリズマブは、約4から約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。様々な実施形態では、トシリズマブは、約162mgで週1回または2週おきに一度皮下投与される。
【0038】
本発明の態様は、対象におけるブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置するための方法で使用するための抗体であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体であって、場合により、対象はマイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有するか、または、対象は300μmを超えるCRTを有する抗体を提供する。
【0039】
さらに、本開示は、それを必要とする対象におけるブドウ膜炎を処置するための方法であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を投与することを含み、対象はマイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有するか、または、対象は300μmを超えるCRTを有する、方法を提供する。対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有することができる。対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有することができる。
【0040】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択することができる。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎であってよい。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、全身性または特発性であってよい。対象は、黄斑浮腫を患っていてもよい。様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有することができる。様々な実施形態では、対象は、眼内炎症の他の徴候を有することができる。ある特定の具体的な実施形態では、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。
【0042】
ある特定の実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される。ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択することができる。例えば、ブドウ膜炎の症状(例えば、VHレベル)は、ブドウ膜炎および/もしくは黄斑浮腫のない健康な個体、または対照値、またはブドウ膜炎および/もしくは黄斑浮腫を有する前の対象からのサンプルとの比較により判定される。
【0043】
一部の具体的な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。特定の実施形態では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。一部の実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0044】
ある特定の具体的な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。一部の実施形態では、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0045】
一部の実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾンであってよい。一部の具体的な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0046】
一部の具体的な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。様々な実施形態では、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与することができる。
【0047】
ある特定の実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。一部の実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0048】
一部の具体的な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。ある特定の実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。一部の実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。一部の具体的な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0049】
任意の実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2のアミノ酸配列の重鎖可変領域および配列番号3のアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む抗体であってよい。一部の実施形態では、抗体は、約150mgから約200mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約200mgで2週おきに一度投与される。一部の具体的な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0050】
ある特定の実施形態では、抗体はトシリズマブである。ある特定の具体的な実施形態では、トシリズマブは、約4から約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。様々な実施形態では、トシリズマブは、約162mgで週1回または2週おきに一度皮下投与される。
【0051】
本発明の態様は、対象においてブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置する方法で使用するための抗体であって、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の配列の軽鎖可変領域を含む抗体を提供する。
【0052】
さらに、本開示は、それを必要とする対象におけるブドウ膜炎を処置する方法であって、抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、方法も提供する。一部の実施態様では、抗体は、サリルマブである。
【0053】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択することができる。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎であってよい。ブドウ膜炎は、全身性または特発性であってよい。
【0054】
一部の具体的な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有する。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する。
【0055】
ある特定の実施形態では、対象は、黄斑浮腫を患っている。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。一部の実施形態では、対象は、眼内炎症の他の徴候を有する。一部の実施形態では、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。一部の具体的な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。
【0056】
一部の実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択することができる。
【0057】
ある特定の実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンであってよい。一部の実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。一部の具体的な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。特定の実施形態では、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0058】
一部の実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。コルチコステロイドは、プレドニゾンであってよい。一部の具体的な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0059】
一部の具体的な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。ある特定の実施形態では、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0060】
ある特定の実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。一部の実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。一部の具体的な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。ある特定の実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。ある特定の具体的な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。一部の実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。一部の具体的な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0061】
本発明の態様は、それを必要とする対象における黄斑浮腫の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含む組成物を提供する。
【0062】
様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む。例えば、抗体はサリルマブである。
【0063】
様々な実施形態では、対象は、眼の炎症、障害のある視覚、障害のある色認識、組織肥厚および眼の血管の漏出からなる群から選択される、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状を患っている。例えば、黄斑浮腫は、類嚢胞黄斑浮腫である。様々な実施形態では、対象は、糖尿病性網膜症を患っている。様々な実施形態では、黄斑浮腫は、ブドウ膜炎に続発する黄斑浮腫である。例えば、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎(全ブドウ膜炎)からなる群から選択される。
【0064】
様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0065】
様々な実施形態では、対象の黄斑浮腫の少なくとも1つの症状は、抗体を投与した後に改善される。
【0066】
様々な実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が、抗体を投与した後に改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は:VHレベル、BCVA、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、中心網膜厚さおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0067】
様々な実施形態では、対象は、しばらくの間、コルチコステロイドで事前に処置されている。例えば、期間は、コルチコステロイドによる少なくとも1カ月、2カ月または3カ月である。様々な実施形態では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。例えば、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0068】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0069】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドも投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0070】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0071】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。
【0072】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に臨床評価スコアの改善を達成する。
【0073】
様々な実施形態では、抗体は皮下投与される。様々な実施形態では、抗体は、約150mgから約200mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。
【0074】
様々な実施形態では、抗体はトシリズマブである。例えば、トシリズマブは、約4から約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。様々な実施形態では、トシリズマブは、約162mgで週1回または2週おきに一度皮下投与される。
【0075】
本発明の態様は、ブドウ膜炎の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含む組成物を提供する。様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有するか、または対象は300μmを超えるCRTを有する。例えば、対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する。様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケ
ールで4以上のVHレベルを有する。
【0076】
使用の様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎である。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、全身性または特発性である。
【0077】
様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫を患っている。
【0078】
様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。例えば、CRTは、約350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μmであるか、または800μmを超える。
【0079】
使用の様々な実施形態では、対象は、眼内炎症の別の徴候または別の症状を有する。例えば、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。
【0080】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。例えば、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状は、組成物の使用の後に改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0081】
使用の様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0082】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0083】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0084】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0085】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0086】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。
【0087】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0088】
様々な実施形態では、対象は、CRTの低減(例えば、20%を超える低減)、所定文字数のBCVA(例えば、10文字を超えるBCVA)を経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成す
る。
【0089】
様々な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0090】
様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む。
【0091】
様々な実施形態では、抗体は、約150mgから約200mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約200mgで2週おきに一度投与される。
【0092】
様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。様々な実施形態では、抗体はトシリズマブである。例えば、トシリズマブは、約4から約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。
【0093】
本発明の態様は、それを必要とする対象におけるブドウ膜炎の処置で使用するための組成物であって、抗体の治療有効量を含み、抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、組成物を提供する。
【0094】
様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0095】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。
【0096】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎である。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、全身性または特発性である。
【0097】
様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有する。様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する。様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する。様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫を患っている。様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0098】
様々な実施形態では、対象は、眼内炎症の他の徴候を有する。
【0099】
例えば、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。
【0100】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。
【0101】
様々な実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状は、組成物の使用の後に改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0102】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0103】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセ
ートは、6から25mg/週で投与された。
【0104】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0105】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0106】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0107】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。
【0108】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0109】
様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。
【0110】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0111】
本発明の態様は、それを必要とする対象における黄斑浮腫を処置するための医薬の製造のための組成物の使用であって、組成物は、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含む、使用を提供する。
【0112】
様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む。例えば、抗体はサリルマブである。
【0113】
様々な実施形態では、対象は:眼の炎症、障害のある視覚、障害のある色認識、組織肥厚および眼の血管の漏出からなる群から選択される、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状を患っている。様々な実施形態では、対象の黄斑浮腫の少なくとも1つの症状は、抗体を投与した後に改善される。
【0114】
様々な実施形態では、対象は、類嚢胞黄斑浮腫を患っている。様々な実施形態では、対象は、糖尿病性網膜症を患っている。様々な実施形態では、黄斑浮腫は、ブドウ膜炎に続発する黄斑浮腫である。例えば、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。
【0115】
様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0116】
様々な実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が、抗体を投与した後に改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は:VHレベル、BCVA、眼の
炎症の徴候、網膜血管漏出、中心網膜厚さおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0117】
様々な実施形態では、対象において、黄斑浮腫の少なくとも1つの症状およびブドウ膜炎の少なくとも1つの症状は、抗体を投与した後に改善される。
【0118】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって事前に処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0119】
様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0120】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0121】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドも投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与される。
【0122】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0123】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0124】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。
【0125】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0126】
様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。
【0127】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。
【0128】
様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。
【0129】
様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。
【0130】
様々な実施形態では、対象は、16週後に臨床評価スコアの改善を達成する。
【0131】
様々な実施形態では、抗体は皮下投与される。
【0132】
様々な実施形態では、抗体は、約150mgから約200mgで2週おきに一度投与される。例えば、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約200mgで2週おきに一度投与される。
【0133】
様々な実施形態では、抗体はトシリズマブである。例えば、トシリズマブは、約4から
約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。様々な実施形態では、トシリズマブは、約162mgで週1回または2週おきに一度皮下投与される。
【0134】
本発明の態様は、対象においてブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置するための医薬の製造のための抗体の使用であって、抗体はIL-6受容体に特異的に結合し、場合により、対象はマイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有するか、または対象は300μmを超えるCRTを有する、使用を提供する。
【0135】
本発明の態様は、それを必要とする対象におけるブドウ膜炎を処置するための医薬の製造のための組成物の使用であって、組成物はIL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含み、対象はマイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有するか、または対象は300μmを超えるCRTを有する、使用を提供する。
【0136】
様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する。
【0137】
様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する。
【0138】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎である。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、全身性または特発性である。
【0139】
様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫、例えば類嚢胞黄斑浮腫を患っている。
【0140】
様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0141】
様々な実施形態では、対象は、眼内炎症の他の徴候を有する。例えば、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。
【0142】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。
【0143】
様々な実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される。例えば、ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0144】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0145】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0146】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0147】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0148】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0149】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。
【0150】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。様々な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0151】
様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む。
【0152】
様々な実施形態では、抗体は、約150mgから約200mgで2週おきに一度投与される。例えば、抗体は、約150mgで2週おきに一度投与される。様々な実施形態では、抗体は、約200mgで2週おきに一度投与される。
【0153】
様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0154】
様々な実施形態では、抗体はトシリズマブである。例えば、トシリズマブは、約4から約8mg/kgで4週おきに一度静脈内投与される。様々な実施形態では、トシリズマブは、約162mgで週1回または2週おきに一度皮下投与される。
【0155】
本発明の態様は、対象においてブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置するための医薬の製造のための抗体の使用であって、抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、使用を提供する。
【0156】
本発明の態様は、それを必要とする対象におけるブドウ膜炎を処置するための医薬の製造のための組成物の使用であって、組成物は抗体の治療有効量を含み、抗体は配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、使用を提供する。様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0157】
様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、非感染性のブドウ膜炎である。様々な実施形態では、ブドウ膜炎は、全身性または特発性である。
【0158】
様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有する。
【0159】
様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する。様々な実施形態では、対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する。
【0160】
様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫を患っている。
【0161】
様々な実施形態では、対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0162】
様々な実施形態では、対象は、眼内炎症の他の徴候を有する。例えば、眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される。
【0163】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている。
【0164】
様々な実施形態では、対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される。様々な実施形態では、ブドウ膜炎の症状は、VHレベル、BCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される。
【0165】
様々な実施形態では、対象は、少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドによって処置されている。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0166】
様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0167】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与された。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与された。
【0168】
様々な実施形態では、対象は、コルチコステロイドを投与される。例えば、コルチコステロイドはプレドニゾンである。様々な実施形態では、プレドニゾンは、15から80mg/日で投与された。
【0169】
様々な実施形態では、対象は、メトトレキセートも投与される。例えば、メトトレキセートは、6から25mg/週で投与される。
【0170】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を、または10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0171】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する。
【0172】
様々な実施形態では、対象は、16週後に、10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する。
【0173】
様々な実施形態では、対象は、CRTの20%を超える低減、10文字を超えるBCVAを経験し、網膜血管漏出の低減および/またはブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を示す。
【0174】
様々な実施形態では、対象は、16週後にBCVAの改善を達成する。
【0175】
様々な実施形態では、対象は、16週後にCRTの改善を達成する。
【0176】
様々な実施形態では、対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する。
【0177】
様々な実施形態では、対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する。
【0178】
本発明の実施形態の例を、下に掲載する:
実施形態1。それを必要とする対象におけるブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置するための方法であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を投与することを含む方法。
実施形態2。対象はマイアミ9段階スケールで2以上の硝子体曇り価レベル(VHレベル)を有する、実施形態1の方法。
実施形態3。対象は300μmを超える中心網膜厚さ(CRT)を有する、実施形態1または2の方法。
実施形態4。対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8のVHレベルを有する、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態5。対象は、マイアミ9段階スケールで4以上のVHレベルを有する、前記実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態6。ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態7。ブドウ膜炎は非感染性のブドウ膜炎である、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態8。ブドウ膜炎は全身性または特発性である、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態9。対象は黄斑浮腫を患っている、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態10。対象は300μmを超えるCRTを有する、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態11。対象は眼内炎症の他の徴候を有する、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態12。眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される、実施形態11の方法。
実施形態13。対象は少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態14。対象においてブドウ膜炎および/または黄斑浮腫の少なくとも1つの症状が改善される、実施形態13の方法。
実施形態15。ブドウ膜炎の症状は、上昇したVHレベル、低減した最良の矯正視力(BCVA)、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される、実施形態14の方法。
実施形態16。対象は少なくとも3カ月の間コルチコステロイドで処置されている、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態17。コルチコステロイドはプレドニゾンである、実施形態16の方法。
実施形態18。プレドニゾンは15から80mg/日で投与された、実施形態17の方法。
実施形態19。対象はメトトレキセートも投与された、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態20。メトトレキセートは6から25mg/週で投与された、実施形態19の方法。
実施形態21。対象はコルチコステロイドを投与される、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態22。コルチコステロイドはプレドニゾンである、実施形態21の方法。
実施形態23。プレドニゾンは15から80mg/日で投与された、実施形態22の方法。
実施形態24。対象はメトトレキセートも投与される、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態25。メトトレキセートは6から25mg/週で投与される、実施形態24の方法。
実施形態26。対象は16週後に:
- マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減、または
- 10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減
を達成する、実施形態16~18または21~23のいずれか1つの方法。
実施形態27。対象は、16週後にマイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減を達成する、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態28。対象は、16週後に10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、実施形態16~18または21~23のいずれか1つの方法。
実施形態29。対象は:
- CRTの20%を超える低減、
- BCVAの10文字を超える改善、
- 網膜血管漏出の低減、および/または
- ブドウ膜炎臨床評価スコアの改善
を経験する、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態30。対象は、16週後にBCVAの改善を達成する、実施形態29の方法。
実施形態31。対象は、16週後にCRTの改善を達成する、実施形態29の方法。
実施形態32。対象は、16週後に網膜血管漏出の改善を達成する、実施形態29の方法。
実施形態33。対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する、実施形態29の方法。
実施形態34。IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態35。抗体は2週ごとに約200mgで投与される、実施形態34の方法。
実施形態36。抗体はサリルマブである、前記実施形態のいずれかの方法。
実施形態37。抗体はトシリズマブである、実施形態1~33のいずれかの方法。
実施形態38。トシリズマブは4から8mg/kgで投与される、実施形態37の方法。
実施形態39。それを必要とする対象でブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置する方法であって、抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、抗体は、配列番号2の配列の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域配列を含む、方法。
実施形態40。抗体はサリルマブである、実施形態39の方法。
実施形態41。ブドウ膜炎は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎からなる群から選択される、実施形態39または40の方法。
実施形態42。ブドウ膜炎は非感染性のブドウ膜炎である、実施形態39~41のいずれかの方法。
実施形態43。ブドウ膜炎は全身性または特発性である、実施形態39~42のいずれかの方法。
実施形態44。対象は、マイアミ9段階スケールで2以上のVHレベルを有する、実施形態39~43のいずれかの方法。
実施形態45。対象は、マイアミ9段階スケールで3以上、4、5、6、7または8の硝子体曇り価(VH)レベルを有する、実施形態44の方法。
実施形態46。対象はマイアミ9段階スケールで4以上の硝子体曇り価(VH)レベルを有する、実施形態44の方法。
実施形態47。対象は黄斑浮腫を患っている、実施形態39~46のいずれかの方法。
実施形態48。対象は300μmを超えるCRTを有する、実施形態39~47のいずれかの方法。
実施形態49。対象は眼内炎症の他の徴候を有する、実施形態39~48のいずれかの方法。
実施形態50。眼内炎症の他の徴候は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出からなる群から選択される、実施形態49の方法。
実施形態51。対象は少なくとも3カ月の間ブドウ膜炎を患っている、実施形態39~50のいずれかの方法。
実施形態52。対象のブドウ膜炎の少なくとも1つの症状が改善される、実施形態39~51のいずれかの方法。
実施形態53。ブドウ膜炎の症状は、上昇したVHレベル、低減したBCVA、黄斑浮腫、眼の炎症の徴候、CRTおよび前眼房の眼の炎症からなる群から選択される、実施形態52の方法。
実施形態54。対象は少なくとも3カ月の間コルチコステロイドで処置されている、実施形態39~53のいずれかの方法。
実施形態55。コルチコステロイドはプレドニゾンである、実施形態54の方法。
実施形態56。プレドニゾンは15から80mg/日で投与される、実施形態55の方法。
実施形態57。対象はメトトレキセートも投与された、実施形態39~56のいずれかの方法。
実施形態58。メトトレキセートは6から25mg/週で投与される、実施形態58の方法。
実施形態59。対象はコルチコステロイドを投与される、実施形態39~58のいずれかの方法。
実施形態60。コルチコステロイドはプレドニゾンである、実施形態59の方法。
実施形態61。プレドニゾンは15から80mg/日で投与される、実施形態60の方法。
実施形態62。対象はメトトレキセートも投与される、実施形態39~61のいずれかの方法。
実施形態63。メトトレキセートは6から25mg/週で投与される、実施形態62の方法。
実施形態64。対象は16週後に、
- マイアミ9ポイントスケールで少なくとも2段階のVHレベルの低減;または
- 10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減
を達成する、実施形態54~56または59~60のいずれか1つの方法。
実施形態65。対象は、16週後にマイアミ9ポイントスケールで少なくとも2のVHレベルの低減を達成する、実施形態39~64のいずれかの方法。
実施形態66。対象は、16週後に10mg/日未満へのコルチコステロイド用量の低減を達成する、実施形態54~56または59~60のいずれか1つの方法。
実施形態67。対象は:
- CRTの20%を超える低減、
- BCVAの10文字を超える改善、
- 網膜血管漏出の低減、および/または
- ブドウ膜炎臨床評価スコアの改善
を経験する、実施形態39~66のいずれかの方法。
実施形態68。対象は、16週後にBCVAの改善を達成する、実施形態67の方法。
実施形態69。対象は、16週後にCRTの改善を達成する、実施形態67の方法。
実施形態70。対象は、16週後に網膜血管漏出の低減を達成する、実施形態67の方法。
実施形態71。対象は、16週後にブドウ膜炎臨床評価スコアの改善を達成する、実施形態66の方法。
【発明を実施するための形態】
【0179】
本開示は、ブドウ膜炎および/または黄斑浮腫の処置、ならびにこれらの障害の片方または両方の少なくとも1つの症状の改善のための医薬組成物ならびにこれらの組成物を使用する方法を提供する。これらの組成物は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、および場合により、メトトレキセートまたはコルチコステロイドのような少なくとも1つのさらなる治療剤を含む。
【0180】
抗hIL-6R抗体
本開示は、hIL-6Rに特異的に結合するヒト抗体、またはその抗原結合性断片を患者に投与することを含む方法を含む。本明細書で用いるように、用語「hIL-6R」は、ヒトインターロイキン-6(IL-6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。ある特定の実施形態では、患者に投与される抗体は、hIL-6Rの細胞外ドメインに特異的に結合する。
【0181】
hIL-6Rの細胞外ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列に示す。配列番号1の配列は、MVAVGCALLAALLAAPGAALAPRRCPAQEVARGVLTSLPGDSVTLTCPGVEPEDNATVHWVLRKPAAGSHPSRWAGMGRRLLLRSVQLHDSGNYSCYRAGRPAGTVHLLVDVPPEEPQLSCFRKSPLSNVVCEWGPRSTPSLTTKAVLLVRKFQNSPAEDFQEPCQYSQESQKFSCQLAVPEGDSSFYIVSMCVASSVGSKFSKTQTFQGCGILQPDPPANITVTAVARNPRWLSVTWQDPHSWNSSFYRLRFELRYRAERSKTFTTWMVKDLQHHCVIHDAWSGLRHVVQLRAQEEFGQGEWSEWSPEAMGTPWTESRSPPAENEVSTPMQALTTNKDDDNILFRDSANATSLPVQDである。
【0182】
特記されない限り、本明細書で用いる用語「抗体」は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖を含む抗体分子(すなわち、「完全抗体分子」)ならびにその抗原結合性断片を包含すると理解するべきである。本明細書で用いるように、抗体の「抗原結合性部分」、抗体の「抗原結合性断片」などの用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に入手できる、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合性断片は、例えば、抗体可変および(場合により)定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含むタンパク分解または組換え遺伝子操作技術のような任意の適する標準の技術を使用して、完全抗体分子から誘導することができる。そのようなDNAは公知であり、および/または、例えば市販の供与源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から直ちに入手できるか、または合成することができる。例えば、1つまたはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを適する構成に配置するか、またはコドンを導入するか、システイン残基を形成するか、アミノ酸を改変、付加もしくは削除する等のために、DNAを化学的に、または分子生物学技術を使用して配列決定すること、および操作することができる。
【0183】
抗原結合性断片の非限定的な例には、以下のものが含まれる:(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR))を模倣するアミノ酸残基からなる最小限の認識単位。本明細書で用いるように、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよびミニボディのような他の工学操作分子も、「抗原結合性断片」という表現に包含される。
【0184】
抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの可変ドメインを一般的に含む。可変ドメインは任意のサイズまたはアミノ酸組成であってもよく、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接しているかまたはインフレームである少なくとも1つのCDRを一般的に含む。Vドメインに会合したVドメインを有する抗原結合性断片では、VおよびVドメインは、任意の適する配置でお互いと相対的に置くことができる。例えば、可変領域はダイマーであってよく、V-V、V-VまたはV-Vダイマーを含有することができる。あるいは、抗体の抗原結合性断片は、モノマーのVHまたはVLドメイ
ンを含有することができる。
【0185】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含有することができる。本発明の抗体の抗原結合性断片の中に見出すことができる可変および定常ドメインの非限定的で例示的な構成は、以下を含む:(i)V-CH1;(ii)V-CH2;(iii)V-CH3;(iv)V-CH1-CH2;(v)V-CH1-CH2-CH3;(vi)V-CH2-CH3;(vii)V-C;(viii)V-CH1;(ix)V-CH2;(×)V-CH3;(xi)V-CH1-CH2;(xii)V-CH1-CH2-CH3;(xiii)V-CH2-CH3;および(xiv)V-C。上に掲載される例示的な構成のいずれかを含む可変および定常ドメインのいずれの構成でも、可変および定常ドメインはお互いに直接的に連結することができるか、または完全もしくは部分的なヒンジもしくはリンカー領域によって連結することもできる。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接した可変および/または定常ドメインの間でフレキシブルまたはセミフレキシブルな連結をもたらす、少なくとも2(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上の)アミノ酸からなることができる。さらに、本発明の抗体の抗原結合性断片は、お互いとおよび/または1つまたはそれ以上のモノマーVもしくはVドメインと(例えば、ジスルフィド結合(複数可)により)非共有結合した上記の可変および定常ドメイン構成のいずれかのホモダイマーまたはヘテロダイマー(または、他の多量体)を含むことができる。
【0186】
用語「特異的に結合する」は、抗体またはその抗原結合性断片が、生理条件下で比較的安定した複合体を抗原と形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6Mまたはそれ以下の解離定数によって特徴付けることができる。他の実施形態では、解離定数は少なくとも約1×10-7M、1×10-8Mまたは1×10-9Mである。2つの分子が特異的に結合するかどうか判定する方法は当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが含まれる。
【0187】
完全抗体分子と同様に、抗原結合性断片は、単一特異的または多重特異的(例えば、二重特異的)であってよい。抗体の多重特異的抗原結合性断片は、少なくとも2つの異なる可変ドメインを一般的に含み、ここで、各可変ドメインは別個の抗原に、または同じ抗原の上の異なるエピトープに特異的に結合することが可能である。本明細書に開示される例示的な二重特異的抗体フォーマットを含む任意の多重特異的抗体フォーマットは、当技術分野で利用可能なルーチンの技術を使用して本発明の抗体の抗原結合性断片の脈絡で使用するために調整することができる。
【0188】
具体的な実施形態では、本発明の方法で使用するための抗体または抗体断片は多重特異的抗体であってよく、それは、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってよいか、または1つより多い標的ポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合性ドメインを含有することができる。本発明の脈絡で使用することができる例示的な二重特異的抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3ドメインおよび第2のIg
H3ドメインの使用を含み、ここで、第1および第2のIg CH3ドメインはお互いと少なくとも1つのアミノ酸が異なり、少なくとも1つのアミノ酸の差は、アミノ酸の差を欠く二重特異的抗体と比較して二重特異的抗体のプロテインAへの結合を低減する。一実施形態では、第1のIg CH3ドメインはプロテインAに結合し、第2のIg CH3ドメインは、H95R改変(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けではH435R)のようなプロテインA結合を低減または消滅させる突然変異を含有する。第2のCH3は、Y96F改変(IMGTによる;EUではY436F)をさらに含むことができる。第2のCH3の中に見出すことができるさらなる改変には、以下のものが含まれる:IgG1抗体の場合、D16E、L18M、N44S、K52N、V57MおよびV
82I(IMGTによる;EUによるとD356E、L358M、N384S、K392N、V397MおよびV422I);IgG2抗体の場合、N44S、K52NおよびV82I(IMGT;EUによるとN384S、K392NおよびV422I);IgG4抗体の場合、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79QおよびV82I(IMGTによる;EUによるとQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419QおよびV422I)。上記の二重特異的抗体フォーマット上の変異は、本発明の範囲内にあると考える。
【0189】
他の具体的な実施形態では、抗体はサリルマブ(SAR153191)である。サリルマブの重鎖可変領域は、配列番号2の配列を含む。
【0190】
サリルマブの軽鎖可変領域は、配列番号3の配列を含む。
【0191】
本明細書で用いるように、「中和」または「ブロッキング」抗体は、hIL-6Rへのその結合がhIL-6の生物学的活性の阻害をもたらす抗体を指すものである。hIL-6の生物学的活性のこの阻害は、当技術分野に公知である、hIL-6誘導細胞活性化およびhIL-6RへのhIL-6の結合のような、hIL-6の生物学的活性の1つまたはそれ以上の指標を測定することによって、調査することができる(下の実施例を参照)。
【0192】
本明細書に開示される完全ヒト抗IL-6R抗体は、対応する生殖系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域において1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含むことができる。そのような突然変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公開抗体配列データベースから利用可能な生殖系列配列と比較することによって、容易に確認することができる。本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびその抗原結合性断片を含み、ここで、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域の中の1つまたはそれ以上のアミノ酸は、対応する生殖系列残基(複数可)に、または対応する生殖系列残基(複数可)の保存的アミノ酸置換(天然または非天然の)に復帰突然変異させられる(本明細書ではそのような配列変化は「生殖系列復帰突然変異」と呼ばれる)。当業者は、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から出発して、1つまたはそれ以上の個々の生殖系列復帰突然変異またはその組合せを含む多数の抗体および抗原結合性断片を容易に生成することができる。ある特定の実施形態では、VHおよび/またはVLドメインの中のフレームワークおよび/またはCDR残基の全ては、生殖系列配列に復帰突然変異させられる。他の実施形態では、ある特定の残基だけが生殖系列配列に復帰突然変異させられる、例えば、FR1の最初の8アミノ酸の中もしくはFR4の最後の8アミノ酸の中で突然変異残基が見出されるだけであるか、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3の中で突然変異残基が見出されるだけである。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域の中に2つまたはそれ以上の生殖系列復帰突然変異の任意の組合せを含有することができる、すなわち、ここで、ある特定の個々の残基は生殖系列配列に復帰突然変異させられ、生殖系列配列と異なるある特定の他の残基は維持される。得られたならば、1つまたはそれ以上の生殖系列復帰突然変異を含有する抗体および抗原結合性断片は、改善された結合特異性、増加した結合親和性、改善または強化されたアンタゴニストまたはアゴニスト生物学的特性(場合により)、低減された免疫原性等のような1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な方法で得られる抗体および抗原結合性断片は、本発明の中に包含される。
【0193】
用語「エピトープ」は、パラトープとして知られる、抗体分子の可変領域中の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、1つより多いエピトープを
有することができる。エピトープは立体配置的、または線状であってもよい。立体配置的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの、空間的に並置されたアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖の隣接したアミノ酸残基によって生成されるものである。ある特定の状況では、エピトープは、抗原の上にサッカライド部分、ホスホリル基またはスルホニル基を含むことができる。
【0194】
抗hIL-6R抗体は、サリルマブ(SAR153191)であってよい。一実施形態では、サリルマブは、配列番号2の重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域を含む抗体と規定される。
【0195】
配列番号2のアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSSである。
【0196】
配列番号3のアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIKである。
【0197】
他の実施形態では、サリルマブは、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と規定される。
【0198】
配列番号4のアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKである。
【0199】
配列番号5のアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECである。抗hIL6R抗体は、トシリズマブであってもよい。トシリズマブは「ヒト化PM-1抗体」または「hMP1」としても知られ、マウス抗体PM-1の相補性決定領域(CDR)を(Hirataら、J.Immunology(1989年)143巻、2900~2906頁)ヒト抗体に接ぐことによって得られた(国際特許出願公開第92/19759号)。国際公開第96/11020号は、ヒト化PM1抗体が慢性関節リウマチの動物モデルにおいて有効であることを示す。トシリズマブは、商品名Actemra(登録商標)の下で市販される。
【0200】
投薬量範囲
本明細書で用いるように、「約Xから約Ymgで投与される」は、言及される物質が、その範囲の端点を含む明記された範囲の中の任意の値で投与されることを意味する。例えば、「患者に投与される抗hIL-6R抗体の用量は10mgから500mgである」は、抗hIL-6R抗体10mg、抗hIL-6R抗体500mgおよびその間の全ての用量の投与を含む。
【0201】
コルチコステロイド
コルチコステロイドには、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバル酸チキソコルトール、プレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロンが含まれる。本開示の組成物および方法により、コルチコステロイドは以下の通りに投与することができる。コルチコステロイドは、1日に15から80mgで経口投与することができる。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドは、15から20、20から50、および35から80mg/日で投与することができる。他の実施形態では、コルチコステロイドは、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80mg/日で投与される。ある特定の実施形態により、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0202】
他の実施形態により、コルチコステロイドは、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ハロメタゾン、二プロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、二プロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾール-17-プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-アセポネート、ヒドロコルチゾン-17-ブテプレート、シクレソニドおよびプレドニカルベートから選択することもできる。
【0203】
メトトレキセート
メトトレキセートは、6から25mg/週で経口または筋肉内投与することができる。別の実施形態では、メトトレキセートは、アジア太平洋地域出身であるかまたはアジア太平洋地域出身者の子孫である患者のために、6から25mg/週で経口または筋肉内投与される。アジア太平洋地域には、台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、タイおよびインドが含まれる。ある特定の実施形態では、メトトレキセートは、6から12、10から15、15から20および20から25mg/週で投与される。他の実施形態では、メトトレキセートは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25mg/週で投与される。
【0204】
ブドウ膜炎
本明細書で用いるように、ブドウ膜炎は、任意の眼内炎症性疾患または障害を指す。「Taber’s Cyclopedic Medical Dictionary」、1997年(第18版)、編者Clayton L.Thomas,M.D.、M.PH.、F.A.Davis Company、Philadelphia、PA発行、を参照。異なるタイプのブドウ膜炎を、下に記載する。ブドウ膜炎には、ブドウ膜路構造(例えば、虹彩、毛様体および脈絡膜)および目の非ブドウ膜部(例えば、網膜および角膜)の両方が関与することができる。ブドウ膜炎は、虹彩炎(すなわち、虹彩の炎症)、毛様体炎(すなわち、毛様体の炎症)、全ブドウ膜炎(すなわち、目のブドウ膜血管層全体の炎症)、後部ブドウ膜炎および前部ブドウ膜炎を含むことができる。末梢ブドウ膜炎とも呼ばれる中間部ブドウ膜炎は、毛様体および毛様体扁平部の領域の虹彩およびレンズの直後
の領域に集中し、「毛様体炎」および「扁平部炎」とも呼ばれる。それぞれは本明細書に完全に組み入れられる、米国特許第9,139,646号;米国特許第8,895,521号;および米国特許出願公開番号20090082288A1も参照。ブドウ膜炎は急性であってよいか(すなわち、徴候および症状は突然起こり、短時間、例えば数日または数週間持続する)、または慢性であってもよい(すなわち、開始は段階的であり、急性ブドウ膜炎より長く、例えば数週間、数カ月または数年持続する)。
【0205】
「後部ブドウ膜炎」は脈絡網膜炎ともしばしば呼ばれ、それは、脈絡膜および網膜の炎症が関与するブドウ膜炎の型である。Suttorp-Schultenら、1996年Ocul Immunol Inflamm.4巻(4号):207~217頁も参照。本明細書で用いるように、「前部ブドウ膜炎」は虹彩毛様体炎を指し、それは、虹彩および毛様体の炎症ならびに/または虹彩炎によって特徴付けられる障害である。前部ブドウ膜炎は、疼痛、発赤、羞明および視力低下のような症状を一般的にもたらす。前部ブドウ膜炎の徴候には、瞳孔縮瞳および角膜に隣接する結膜の充血、いわゆる角膜輪部周囲紅潮が含まれる。Gordonら、1998年、J Clin Immunol.18巻(4号):264~271頁も参照。「散在性」ブドウ膜炎は、前部、中間および後部構造を含む目の全ての部分を含む炎症によって特徴付けられるブドウ膜炎のタイプを指す。Huangら、「Ocular Inflammatory Disease and Uveitis Manual:Diagnosis and Treatment」を参照する。
【0206】
様々な実施形態では、目の液体空間において、眼の炎症の炎症生成物(例えば、細胞、フィブリン、過剰なタンパク質)を見出すことができる。例えば、炎症生成物は、前眼房、後眼房および硝子体空間に見出すことができる。
【0207】
ブドウ膜炎は、目への外科的または外傷性の損傷の後に;自己免疫性障害(例えば、慢性関節リウマチ、ベーチェット病、サルコイドーシス等)の構成要素として、孤立した免疫媒介眼障害(扁平部炎または虹彩毛様体炎のような)として、既知の病因に関連しない疾患として、およびブドウ膜組織に抗体抗原複合体を堆積させる、ある特定の全身性疾患の後に起こることができる。ブドウ膜炎は、ベーチェット病、サルコイドーシス、フォークト-小柳-原田症候群等と関連する眼の炎症を含む。様々な実施形態では、非感染性のブドウ膜炎が、感染因子の不在下で起こる。
【0208】
黄斑浮腫
本明細書で用いるように、「黄斑浮腫」は、網膜の黄斑部の中での液の蓄積を指す。液は黄斑および/または網膜への血液供給に影響し、視力にマイナスの影響を及ぼす。黄斑浮腫の症状には、視力悪化、小視症、変視症、低下した色覚、ならびに中心または中央部の暗点が含まれる。米国特許第6,046,223号を参照する。中心部の網膜または黄斑に影響する障害である類嚢胞黄斑浮腫を含む、異なるタイプの黄斑浮腫が存在する。類嚢胞黄斑浮腫は、網膜の膨潤または水腫を引き起こす、黄斑に出現する液の複数ののう胞様(胞状)領域の存在によってしばしば診断される。様々な実施形態では、対象は、黄斑浮腫を引き起こすことがある糖尿病性網膜症を患っている。
【0209】
治療的な投与および製剤
本明細書に記載される方法は、抗hIL-6R抗体の治療的有効量を対象に投与することを含む。本明細書で用いるように、「治療的有効量」というフレーズは、ブドウ膜炎および/または黄斑浮腫の治療をもたらす治療薬の用量を意味する。本明細書で用いるように、「治療する」は、ブドウ膜炎および/もしくは黄斑浮腫に関連した1つまたはそれ以上の症状の検出可能な改善を引き起こすこと、または、その状態もしくは症状(複数可)をもたらす根底にある病理機構(複数可)と相関する生物学的作用(例えば、特定のバイ
オマーカーのレベルの低下)を引き起こすことを指す。例えば、以下の症状または状態がブドウ膜炎および黄斑浮腫と関連する:上昇した硝子体曇り価(VH)レベル、低下した最良矯正視力(BCVA)、黄斑内の液の量の増加、眼の炎症の徴候、網膜血管漏出、増加した中心網膜厚さ(CRT)および前眼房の眼の炎症。より具体的には、黄斑浮腫に関連する症状には、視野中心の近くのぼんやりしたまたは波状の視覚、眼の炎症、障害のある視覚、障害のある色認識、組織肥厚および眼血管の漏出が含まれる。ある特定の実施形態では、黄斑浮腫の症状は、黄斑中の過剰な液を低減することによって改善される。
【0210】
硝子体曇り価(VH)
硝子体曇り価は、マイアミ9段階スケール(グレード0から8)によって評価される(Davis JLら、Am J Ophthalmol.2010年;150巻(5号):637~41頁を参照)。硝子体曇り価は、硝子体細胞およびタンパク質浸出による底詳細の不明瞭化である。それは、前眼房炎症より著しく視覚に影響を与え、したがって、中間、後部または全ブドウ膜炎に関わる臨床治験のための転帰尺度として一般的に使用される。
【0211】
BCVA(ETDRS文字スコア)
視力(VA)は、早期処置糖尿病性網膜症研究(ETDRS)標準化プロトコールを使用して調査される、BCVAスコアを使用して評価することができる。最良矯正視力は、各診察時に測定することができる。
【0212】
中心網膜厚さ(CRT)
中心網膜厚さ(CRT)は、スペクトルドメイン光学干渉断層撮影(SD-OCT)によって測定することができる。スペクトルドメイン光学干渉断層撮影は、標準技術を使用して実行することができる。
【0213】
臨床評価スコア
患者はベースライン時の以下の基準の1つ(指標変数)に基づいて「活性」と同定することができ、処置の後にそのパラメータに関して評価して、患者が処置後に「不活性」状態に到達したかどうか判定することができる:VH、CRTおよびBCVA。二次変数:臨床評価スコア(CAS)[活性のパラメータに関係なく]改善した:I、不変:N、悪化:W。
【0214】
改善した:I(改善した)のスコアは、臨床的に意味がある改善であると考えられるものに割り当てられる。N(不変)のスコアは、変化がないときまたは変化が臨床的に重要でないと考えられるときに割り当てられる。W(悪化)のスコアは、変化が試験参加者を失明の短期リスクにあると判定し、試験中止が必要なときに割り当てられる。
【0215】
【表1】
【0216】
あるタイプのブドウ膜炎でいくつかの変数が利用可能であるとき、最悪のベースライン状態(臨床上の判断)の変数を指標として選択することができる。
【0217】
【表2】
【0218】
所与の患者のための指標変数以外の炎症の全ての徴候は、その患者のための二次変数と考えることができる。指標変数として選択されない炎症の基本的徴候は、二次変数と考えることができる。グレーディングは、中止規則で主に使用される;その二次変数が炎症の基本的な徴候である(しかし、その患者のために指標変数として選択されないもの)としても、二次変数の改善は改善とみなされない。
【0219】
ある特定の実施形態では、VHレベルは、マイアミ9ポイントスケールで2ポイント低減される。他の実施形態により、VHレベルは、マイアミ9ポイントスケールで、1、2、3、4、5、6、7、8または9ポイント低減される。他の実施形態により、VHレベルは、マイアミ9ポイントスケールで、1~2、1~3、1~4、2~4または3~5ポイント低減される。
【0220】
ある特定の実施形態では、BCVAは、EDTRSチャートで10文字改善される。他の実施形態により、BCVAは、EDTRSチャートで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20文字改善される。他の実施形態により、BCVAは、EDTRSチャートで、5~15、7~13または8~12文字改善される。
【0221】
他の実施形態では、治療的有効量は、対象に投与されるコルチコステロイドの用量を低減する。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドのその用量は、100未満、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5または1mg/日に低減される。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0222】
本発明の方法により、患者に投与される抗hIL-6R抗体の治療的有効量は、患者の年齢およびサイズ(例えば、体重または体表面積)、ならびに投与経路および当業者に周知の他の因子によって異なる。ある特定の実施形態では、患者に投与される抗hIL-6R抗体の用量は、約10mgから約500mgである。例えば、本発明は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mgまたはそれ以上の抗hIL-6R抗体が週ごとに患者に投与される方法を含む。
【0223】
様々な実施形態では、hIL-6R抗体は、100から200mgで週1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、100mgで週1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、150mgで週1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、200mgで週1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、100から150mgで週1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、100から200mgで2週ごとに1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、150から200mgで2週ごとに1回投与される。他の実施形態では、hIL-6R抗体は、約100または約150mgで週1回投与される。他の実施形態では、hIL-6R抗体は、約100、150または200mgで2週ごとに1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、100mgで2週ごとに1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、150mgで2週ごとに1回投与される。一実施形態では、hIL-6R抗体は、200mgで2週ごとに1回投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体は皮下投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体はサリルマブである。
【0224】
一実施形態では、hIL-6R抗体は、約100から約150mgで週1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、約100から約200mgで2週ごとに1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、約150から約200mgで2週ごとに1回投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体は皮下投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体はサリルマブである。
【0225】
一実施形態では、hIL-6R抗体は、約162mgで週1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、約162mgで2週ごとに1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、162mgで週1回投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、162mgで2週ごとに1回投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体は皮下投与される。これらの実施形態の一部により、hIL-6R抗体はトシリズマブである。
【0226】
患者に投与される抗hIL-6R抗体の量は、患者体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム数(すなわち、mg/kg)で表すことができる。例えば、本発明の方法は、抗hIL-6R抗体を、患者体重1kgにつき約0.01から約100mg、約0.1から約50mg、または約1から約10mgの日用量で患者に投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗hIL6R抗体はトシリズマブであり、約4mg/kgから約8mg/kgで投与される。他の実施形態では、抗hIL6R抗体はトシリズマブであり、4mg/kgから8mg/kgで投与される。これらの実施形態の一部では、トシリズマブは静脈内投与される。
【0227】
本発明の方法は、抗hIL-6R抗体の複数用量を指定された時間経過にわたって患者に投与することを含む。例えば、抗hIL-6R抗体は、1日につき約1から5回、1週につき約1から5回、1カ月につき約1から5回または1年につき約1から5回投与することができる。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、第1の時点で抗hIL-6R抗体の第1の用量を患者に投与し、続いて第2の時点で抗hIL-6R抗体の少なくとも第2の用量を患者に投与することを含む。ある特定の実施形態では、第1および第2の用量は、抗hIL-6R抗体の同じ量を含有することができる。例えば、第1および第2の用量の各々は、約10mgから約500mg、約20mgから約300mg、約100mgから約200mg、または約100mgから約150mgの抗体を含有することができる。第1および第2の用量の間の時間は、約2、3時間から数週間であってよい。例えば、第2の時点(すなわち、第2の用量が投与される時間)は、第1の時点(すなわち、第1の用量が投与される時間)の約1時間から約7週後であってよい。本発明のある特定の例示的な実施形態により、第2の時点は、第1の時点の約1時間、約4時間、約6時間、
約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週、約4週、約6週、約8週、約10週、約12週、約14週またはそれ以上後であってよい。ある特定の実施形態では、第2の時点は、約1週または約2週である。第3および以降の用量は、患者の処置の全過程を通して同様に投与することができる。
【0228】
本明細書で用いるように、「約」は、ある値の少なくとも5%前後を指す。例えば、約100mgは、95~105mgの範囲を指す。
【0229】
本発明は、抗IL-6R抗体またはその抗原結合性断片、および1つまたはそれ以上のさらなる治療剤を場合により含む治療組成物を使用する方法を提供する。本発明の治療組成物は、適する担体、賦形剤、および改善された移行、送達、寛容性などを提供するために製剤に組み込まれる他の薬剤と一緒に投与される。全ての薬学者に公知である処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack
Publishing Company、Easton、PAに、多数の適当な製剤を見出すことができる。これらの製剤には、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有ベシクル(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水型乳剤、乳剤カルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体のゲルならびにカルボワックスを含有する半固体の混合物が含まれる。Powellら「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998年)J Pharm Sci Technol 52巻:238~311頁も参照。
【0230】
用量は、投与される対象の年齢および体重、標的の疾患、状態、投与経路などによって異なることができる。本発明の医薬組成物を投与するために、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、受容体媒介エンドサイトーシスのように様々な送達系が公知であり、使用することができる(例えば、Wuら(1987年)J.Biol.Chem.262巻:4429~4432頁を参照)。導入の方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口の経路が限定されずに含まれる。組成物は、任意の便利な経路によって、例えば注入またはボーラス注射によって、上皮または皮膚粘膜内膜(例えば、口の粘膜、直腸および腸管粘膜等)を通した吸収によって投与することができ、また、他の生物学的活性薬剤と一緒に投与することができる。投与は全身性または局所であってよい。hIL-6R抗体は、皮下投与することができる。
【0231】
医薬組成物は、ベシクル、特にリポソームの形で送達することもできる(Langer(1990年)Science 249巻:1527~1533頁を参照)。ある特定の状況では、医薬組成物は、制御放出系で、例えば、ポンプまたはポリマー材料を使って送達することができる。別の実施形態では、制御放出系は、組成物の標的に近接して置くことができ、したがって、全身用量の数分の一だけを必要とする。
【0232】
注射可能な調製物には、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、局所の注射、点滴等のための剤形を含めることができる。これらの注射可能な調製物は、公知の方法によって調製することができる。例えば、注射可能な調製物は、例えば、注射のために従来使用される無菌の水性媒体または油性媒体に上記の抗体またはその塩を溶解、懸濁または乳化することによって調製することができる。注射のための水性媒体として、例えば、生理的食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張性溶液等があり、それは、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]等のような適当な可溶化剤と
組み合わせて使用することができる。油性媒体として、例えば、ゴマ油、ダイズ油等が用いられ、それは、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等のような可溶化剤と組み合わせて使用することができる。このように調製される注射は、適当なアンプルに充填することができる。
【0233】
好都合にも、上記の経口または非経口用の医薬組成物は、有効成分の用量に合わせるのに適している単位用量の剤形に調製される。単位用量のそのような剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐薬等が含まれる。含有されるhIL-6R抗体の量は、皮下剤形につき一般的に約100から約200mgである。
【0234】
本明細書に開示される方法により、抗hIL-6R抗体(または、抗体を含む医薬製剤)は、任意の許容されるデバイスまたは機構を使用して患者に投与することができる。例えば、投与はシリンジおよび針を使用して、または再使用可能なペンおよび/もしくは自動注入送達デバイスで達成することができる。本発明の方法は、抗hIL-6R抗体(または、抗体を含む医薬製剤)を投与するための、多数の再使用可能なペンおよび/または自動注入送達デバイスの使用を含む。そのようなデバイスの例には、少し例を挙げると、限定されずに、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)およびOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本発明の医薬組成物の皮下送達に応用される使い捨て式ペンおよび/または自動注入送達デバイスには、少し例を挙げると、限定されずに、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自動注入装置(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、ならびにHUMIRA(商標)ペン(AbbVie Inc.、North Chicago、IL)が含まれる。
【0235】
抗hIL-6R抗体(または、抗体を含む医薬製剤)を患者に送達するためのマイクロ注入器の使用も、本明細書で企図される。本明細書で用いるように、用語「マイクロ注入器」は、長時間(例えば、約10、15、20、25、30分またはそれ以上)にわたって大量(例えば、最大約2.5mLまたはそれ以上)の治療薬製剤を徐々に投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、米国特許第6,629,949号;米国特許第6,659,982号;およびMeehanら、J.Controlled Release 46巻:107~116頁(1996年)を参照する。マイクロ注入器は、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mLまたはそれ以上)の範囲内で含有される大用量の治療的タンパク質および/または粘性溶液の送達のために、特に有益である。
【0236】
患者集団
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、特異患者集団に
投与される。これらの集団は、マイアミ9段階スケールで2以上の硝子体曇り価(VH)レベルを有する対象を含む。他の実施形態では、この集団中の対象は、3、4、5、6、7または8を超えるVHレベルを有する。他の実施形態により、この集団中の対象は、マイアミ9段階スケールで4を超えるVHレベルを有する。
【0237】
他の実施形態では、この集団中の対象は、黄斑浮腫を有する。ある特定の実施形態では、黄斑浮腫を有する対象は、300μmを超えるCRTを有する。
【0238】
他の実施形態では、この集団中の対象は、網膜血管の血管周囲鞘形成および網膜血管の漏出のような眼内炎症の他の徴候を有する。
【0239】
ある特定の実施形態により、本発明の方法は、前記の特徴のいずれかを示す患者を選択すること、および本明細書の他の場所で記載される抗IL-6R抗体を患者に投与することを含む。
【0240】
併用療法
本発明は、ブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に抗hIL-6R抗体を投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態では、抗hIL-6R抗体は、「単独療法」または単一の治療剤として投与される。代わりの実施形態では、抗hIL-6抗体は、少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて投与される。本発明の方法の実施において抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与することができるさらなる治療剤の例には、コルチコステロイドならびにヒト対象においてブドウ膜炎および/または黄斑浮腫を処置、予防または改善することが知られている任意の他の化合物が限定されずに含まれる。本発明の方法との関連で抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与することができるさらなる治療剤の具体的な非限定例には、メトトレキセートおよびプレドニゾンが限定されずに含まれる。本方法では、さらなる治療剤(複数可)は、抗hIL-6R抗体と同時に、または逐次的に投与することができる。例えば、同時投与のために、抗hIL-6R抗体および少なくとも1つのさらなる治療剤の両方を含有する医薬製剤を作製することができる。本発明の方法の実施において抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与されるさらなる治療剤の量は、当技術分野で公知であり直ちに利用できるルーチンの方法を使用して、容易に決定することができる。
【0241】
本発明の本開示は、以下のいずれかを含む医薬組成物を提供する:
【0242】
2週ごとに投与される100から200mgのサリルマブ(SAR153191)、および毎日投与される15から80mgのプレドニゾンを含む組成物。
【0243】
2週ごとに投与される約200mgのサリルマブ(SAR153191)、および毎日投与される15から80mgのプレドニゾンを含む組成物。
【0244】
2週ごとに投与される100から150mgのサリルマブ(SAR153191)、毎日投与される15から80mgのプレドニゾン、および毎週投与される6から25mgのメトトレキセートを含む組成物。
【0245】
2週ごとに投与される100から200mgのサリルマブ(SAR153191)、毎日投与される15から80mgのプレドニゾン、および毎週投与される6から25mgのメトトレキセートを含む組成物。
【0246】
本発明の本開示は、以下のいずれかを含む、ブドウ膜炎に関連した症状を改善する方法を提供する:
【0247】
それを必要とする対象に、2週ごとに100から200mgのサリルマブ(SAR153191)、および1日あたり15から80mgのプレドニゾンを投与することを含む方法。
【0248】
それを必要とする対象に、2週ごとに約200mgのサリルマブ(SAR153191)、および1日あたり15から80mgのプレドニゾンを投与することを含む方法。
【実施例0249】
〔実施例1〕
抗IL6R抗体は、ヒトにおけるブドウ膜炎および/または黄斑浮腫の処置において有効である。
非感染性、中間、後部または全ブドウ膜炎を有する患者において2週ごとに(q2w)皮下投与されるサリルマブの効能および安全性を評価するために、試験を実行した。
【0250】
これは、無作為化された二重マスキングプラセボ対照並行群試験であった。無作為化は2:1(サリルマブ:プラセボ)であって、患者は、硝子体曇り価(VH)レベル(VH=4対VH<4)、黄斑浮腫(Yes、No)およびブドウ膜炎病因(全身性および特発性)のスクリーニングによって層化した。
【0251】
主な目的は、以下を評価することであった:非感染性のブドウ膜炎(NIU)患者における16週時のサリルマブ200mg q2wの効能;最良矯正視力(BCVA)の変化;NIU患者における皮下サリルマブの安全性;黄斑浮腫の変化;眼の炎症の他の徴候の変化;網膜血管漏出への効果;16週時の同時免疫抑制療法の低減へのサリルマブの効果;前部眼房における眼の炎症の変化;NIU患者におけるサリルマブの薬物動態(PK);および免疫原性抗薬物抗体(ADA)。高感受性C反応性タンパク質(hs-CRP)および血清アミロイドA(SAA)のような炎症の血清バイオマーカーへの効果;適時の根底にある全身性疾患への効果;52週時の眼の疾患へのサリルマブの効果;52週時の同時免疫抑制療法の低減へのサリルマブの効果;および、症状悪化時のブドウ膜炎の特徴も評価した。
【0252】
試験は、2つの期間を含んでいた:
・主要な処置期間(パートA):組入れ時、患者はプレドニゾンまたは同等のステロイドによる処置(単独療法として、またはメトトレキセートと併用)を既に受けていなければならなかった;継続した療法にサリルマブまたはプラセボが加えられた。2つの試験処置注射(4回目の診察)の後、少なくとも2つの連続した評価で改善が確認されたならば、所定の規則に従ってバックグラウンド療法の漸減が開始された。16週の間、隔週に臨床(効能および安全性)評価を実行した。
・延長処置期間(パートB):患者がパートAを完了し、応答体として確定されたならば、彼/彼女は1年(50週時に最後の注射)の完了まで同じ二重マスキング処置を継続した。4週ごとに臨床(効能および安全性)評価を実行した。
【0253】
さらに、2つのさらなるオプションがあった:
・非盲検処置期間(パートC):パートAのいかなるときにも、16週時に症状が悪化した患者、または不応答体として確定された患者は、試験担当医の裁量により、およびこの手順が許容された参加国では、パートCで非盲検サリルマブによる処置を続ける資格を満たした。患者は、追加の最大34週の間処置された(最大18回の追加の注射)。効能および安全性の評価を実行した。
・調査研究のためにDNAおよびRNAを積み上げるための任意選択のゲノム研究サブスタディが、患者に提案された。
概ね57人の患者(サリルマブで予想された59%応答およびプラセボで予想された20%応答の比較のために80%の検定力を仮定)の無作為化を計画した。
【0254】
活性の疾患または最近活性の(過去3カ月に活性)疾患を有する、非感染性の中間、後部または全ブドウ膜炎の患者。患者は、単一の免疫抑制療法として、またはメトトレキセートと併用してコルチコステロイドを受けることになっていた。他のいかなる免疫抑制療法も許されなかった。患者は、経口プレドニゾン(≧15mgおよび<80mg/日[または同等の経口コルチコステロイド])を、単一の免疫抑制療法として、またはメトトレキセート(MTX)(≦25mg/週)と併用して、経口的に、または同等の静脈内、筋肉内もしくは皮下に受けていなければならなかった。
【0255】
一次エンドポイントは、16週時の(1)被験目において判定されたVH(マイアミ9ポイントスケール)の少なくとも2段階の低減、または(2)16週時の<10mg/日のプレドニゾンもしくは同等の経口コルチコステロイドの用量の患者の割合であった。16週時の他の効能エンドポイントには、中心網膜厚さ(CRT)、最良矯正視力、コルチコステロイド投薬量、網膜血管漏出(FA)(試験的)および臨床評価スコア(試験的)におけるベースラインの変化が含まれた。
【0256】
被験患者
合計58人の患者が無作為化された:サリルマブ群に38人の患者およびプラセボ群に20人の患者。58人の全患者はIMP(治験医薬品)に曝露させられ、mITT(改変された包括解析)集団に含まれた。明瞭性のために、mITT集団は、少なくとも1つのIMP注射を受けた全ての無作為化患者を含む。サリルマブ群の合計28人(73.7%)の患者およびプラセボ群の13人(65.0%)の患者が、主要処置期間を完了した(パートA);16週時の評価不可能な一次効能エンドポイント(VH評価)のために、プラセボ群の1名の患者は完了集団に含まれなかった。
【0257】
処置群の間で、ベースラインの人口統計および患者特性を均衡させた(表1)。注目すべきことに、黄斑浮腫(CRT=300μmと規定される)の患者数は、プラセボ群と比較してサリルマブ群においてより低かった(それぞれ、21[55.3%]対13[65.0%])。
【0258】
【表3】
【0259】
ベースラインのコルチコステロイド中央用量は、20mg/日であった。58人の患者のうち、1人(1.7%)はベースライン時に15mg/日未満のコルチコステロイド用量を有し、45人(77.6%)は、ベースライン時に15または20mg/日のコルチコステロイド用量を有し、12人(20.7%)は、ベースライン時に20または40mg/日のコルチコステロイド用量を有し、0人の患者は、ベースライン時に40mg/日を超えるコルチコステロイド用量を有した。さらに、大半の55人(94.8%)の患者はベースライン時に活性疾患を有し、29人(50%)の患者ではこれは全ブドウ膜炎であった。
【0260】
最初の診断からの中央時間は17.92カ月(1.49年)であって、それは、サリルマブ群(17.58カ月)と比較したとき、プラセボ群(24.02カ月)においてより高かった。
【0261】
ベースライン時、VH<4と判定された患者数は、プラセボ群(17人の患者[85.0%])と比較したとき、サリルマブ群(49人の患者[86.0%])においてより高かった。ベースライン時の判定されたCRT中央値は、プラセボ群(308.0μm)と
比較してサリルマブ群(298.0μm)においてより低かった。さらに、黄斑浮腫(CRT≧300μmと規定される)の患者の百分率は、プラセボ群と比較してサリルマブ群においてより低かった(すなわち、それぞれ、サリルマブ群の18人の患者[48.6%]対プラセボ群の14人の患者[70.0%])。表2を参照する。
【0262】
【表4】
【0263】
【表5】
【0264】
ベースライン時のVH<4およびVH<3の試験担当医による眼の評価は、以下の表3に記載する。合計14人(24.1%)の患者がVH=4を有した;9人の患者([23.7%])がサリルマブ群において同定され、5人の患者([25.0%])がプラセボ群において同定された)。ベースライン時にBCVA=70文字の患者の数は、プラセボ群と比較してサリルマブ群においてより低かった(すなわち、それぞれ、サリルマブ群の23人の患者[60.5%]対プラセボ群の16人の患者[80.0%])。患者の大半(55人の患者;94.8%)は、ベースライン時に異常なフルオレセイン血管造影(FA)を呈した。表3を参照する。
【0265】
【表6】
【0266】
【表7】
【0267】
【表8】
【0268】
【表9】
【0269】
【表10】
【0270】
注目すべきことに、VHに関する試験担当医の評価と判定された評価の間で不一致が観察された。患者集団の52.6%以上において、VHの判定された評価は試験担当医の評価より軽かった。さらに、両評価の間に2段階またはそれ以上の差を有する一定割合の患者がいた。したがって、試験担当医によるVH値を使用した一次エンドポイントのためのさらなる感度分析が含まれた。患者の55.2%においてCRTに関して試験担当医の評価と判定された評価の間に差は観察されず、12人(20.7%)の患者においてCRTの判定された評価は試験担当医の評価より軽かった。
【0271】
投薬量および持続時間
両群において注射への曝露は同等であって、パートAの16週の間のIMP注射曝露は平均14.1週であった。全体的コンプライアンスも、両群で同等であった;58人の全患者は、理論的用量の少なくとも80%を受けた。
【0272】
効能
一次効能エンドポイント
一次エンドポイント(16週時にVHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合)分析は、判定されたVH値に基づく。一次エンドポイント分析の結果を、表4に示す。
【0273】
VHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合は、プラセボ(30.0%)と比較したときサリルマブ群(46.1%)においてより高かったが、その差は統計的に有意でなかった(p=0.2354)。
【0274】
ブドウ膜炎に関連した眼の炎症の低減におけるサリルマブの効能を調査するために、一次効能エンドポイントを選択した。それは、VH値の低減が必須だった、重要なVHスコアを有する患者を含むことが予想された。最後に、重度のVHを有する患者はこの研究で許容されなかった同時免疫抑制医薬品で処置されるので、動員された集団はより低いVH値を示した。
【0275】
さらなるエンドポイント(BCVAなど)は、機能パラメータへのサリルマブの効能の評価を目指した。
【0276】
コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)検定を0.10の両側アルファレベルで使用して、完全なデータセットの各々について、2つの処置群間の応答体の割合の比較を実行した。
【0277】
【表11】
【0278】
【表12】
【0279】
欠落応答体状態を不応答体とみなした、VHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日の感度分析の結果は、一次分析と類似していた(表6を参照)。
【0280】
欠落応答体を不応答体とみなした、16週時にVHの2段階以上の低減またはプレドニゾンもしくは同等の経口コルチコステロイドの用量<10mg/日を有する患者の割合のための構成成分も計算した。
【0281】
【表13】
【0282】
他の主要な効能エンドポイント
試験担当医の評価により、VHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合は、プラセボ(35.0%)と比較してサリルマブ群(64.0%)において名目上有意により高かった(p=0.0372)。表7を参照する。試験担当医による読み取り値に基づき、16週時にVHの2段階以上の低減またはプレドニゾンもしくは同等の経口コルチコステロイドの用量<10mg/日を有する患者の割合のための構成成分も計算した。表8を参照する。
【0283】
【表14】
【0284】
【表15】
【0285】
主要な二次効能エンドポイント
判定されたVHにおけるベースラインからの変化
ベースラインからの判定されたVHの変化の統計的有意差が、サリルマブとプラセボ処置群の間で観察された。ベースラインから第16週への判定されたVHのLS平均変化は
、プラセボ群(-0.13)と比較してサリルマブ群(-0.87)においてより高く、対プラセボLS平均差は-0.74であった(90%CI:-1.223~-0.262);p=0.0127。表9を参照する。
【0286】
【表16】
【0287】
硝子体曇り価予備的結論
ベースライン時に、この集団中の7人の患者だけがVH>=4を呈した。一般に、重度疾患患者の医療標準はこの研究で禁止されたいくつかの同時免疫抑制療法を含むので、重度の患者をこの研究で動員することはより困難であった。さらに、試験担当医と判定者の間での、処置前評価からのVHの評価の不一致が注目された。16週時、試験担当医の評価
によるVHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合は、プラセボ(35.0%)と比較してサリルマブ群(64.0%)において統計的に有意により高かった(OR:3.7(90%CI:1.3~10.4、p=0.0372)。さらに、判定された評価によるVHの変化は、プラセボ群と比較したとき統計的に有意により大きかった)(-0.74の対プラセボLS平均差(90%CI:-1.223~-0.262、p=0.0127)。
【0288】
プレドニゾンまたは経口のコルチコステロイド用量
12週時に、サリルマブの5回の注射の後に、プラセボ群と比較したときに経口コルチコステロイド用量の注目すべき差が観察された。
【0289】
ベースラインから16週にかけてのプレドニゾンまたは経口コルチコステロイド用量におけるLS平均の変化は、プラセボ群(-7.85mg/日)と比較してサリルマブ群(-11.20mg/日)においてより高かったが、統計的有意差はなかった。
【0290】
判定された中心網膜厚さ
ベースラインから第16週への判定されたCRTのLS平均変化は、プラセボ群(-8.9μm)と比較したときサリルマブ群(-35.4μm)においてより大きく減少し、対プラセボLS平均差は-26.5であった(90%CI:-50.41~-2.68)(p=0.0683)。研究の8人の患者が、改善を示す可能性のより高い非常に高いベースラインCRT値を呈したので(表10)、mITT集団のSAPで計画されたMMRMモデルは、判定されたCRT(スチューデント化された残差プロットによって確認された)の変化をあてはめるのに適当でなかった。高いベースラインCRTを有する患者を除外したmITT集団における判定されたCRTのベースラインからの変化を評価する分析も実行し、それを表10に詳述した。高いベースラインCRTを有する患者を除外すると、ベースラインから第16週への判定されたCRTのLS平均変化はサリルマブ群(-5.27μm)で減少し、プラセボ群(1.79μm)で増加し、対プラセボLS平均差は-7.06であった(90%CI:-22.022~7.904)(p=0.4328)。ベースラインから第16週への判定されたCRTのLS平均変化は、プラセボ群の不変と比較したときサリルマブ群(-6.4%)において減少し、対プラセボLS平均差は-6.4%であった(90%CI:-12.374~-0.350)(p=0.0825)。(表10)。
【0291】
【表17】
【0292】
最良矯正視力
BCVAは、ブドウ膜炎の処置において最も臨床上重要である機能パラメータのままである。他の重要な変数(VH、CRT、FA所見)は、新しい処置の効能のデモンストレーションのための決定的な炎症マーカーのままである。10週時に、サリルマブの4回の注射の後、BCVAの統計的に有意な改善が観察された(表11)。
【0293】
ベースラインから第16週にかけてのBCVAの変化における統計的有意差が、観察された。ベースラインから第16週へのBCVAのLS平均変化は、プラセボ群(3.87
)と比較してサリルマブ群(8.51)において有意により高く、対プラセボLS平均差は4.65であった(90%CI:1.091~8.201);p=0.0333。サリルマブ群における平均の改善は、プラセボ群の3.60文字と比較して8.93文字(ETDRSチャートの上でほぼ2本のライン)であった。
【0294】
【表18】
【0295】
BCVAおよびCRT予備的結論
16週時に、サリルマブ群の患者は、プラセボと比較してBCVAにおいて統計的に有意な改善を示した(5.8の対プラセボLS平均差(90%CI:1.99~9.67、p=0.0153))。判定されたCRT(すなわち、黄斑浮腫)における平均低減は、プラセボ群と比較したとき、サリルマブ群において数値的により高かった(対プラセボLS平均差5.8(90%CI:1.99~9.67);p=0.0153)。
【0296】
前部眼房細胞スコア
前部眼房における炎症活性は、眼房水における細胞およびタンパク質の数量化を通してお墨付きを与えられた(チンダル現象またはSUN分類)。前部眼房細胞スコア=0または少なくとも2段階低減を有する患者の百分率はサリルマブ群およびプラセボ群で類似しており、それぞれ86.2%および86.7%であった。16週時に欠落データを有する患者を不応答体と考えた感度分析の結果は、元の分析と類似していた。
【0297】
16週時に≦5mg/日のプレドニゾン用量(または、同等のコルチコステロイド)を有する患者の百分率
16週時に≦5mg/日のプレドニゾン用量(または、同等のコルチコステロイド)を有する患者の割合はサリルマブおよびプラセボ群で類似し、それぞれ41.4%および40.0%であった。16週時に欠落データを有する患者を不応答体と考えた感度分析の結果は、元の分析と類似していた。主要な処置期間のタイムウィンドウされた診察によるベースライン時のプレドニゾンまたは経口コルチコステロイド用量からの平均変化も、分析した。
【0298】
16週時のマイアミ7ポイントスケールに基づく硝子体曇り価において2段階低減を有する患者の百分率
マイアミ7ポイントスケールに基づくVHにおいて2段階低減を有する患者の割合は、プラセボ(7.7%)と比較したときサリルマブ群(21.4%)においてより高かったが、差は統計的に有意でなかった(p=0.3164)。16週時に欠落データを有する患者を不応答体と考えた感度分析の結果は、元の分析と類似していた。
【0299】
試験的効能エンドポイント
延長処置期間の終わり(52週)に、応答体(判定された硝子体曇り価の2段階以上の低減またはプレドニゾン用量<10mg/日[または、同等の経口コルチコステロイド])、不応答体および応答を判定できなかった患者の百分率は、両処置群で類似していた(表12)。プラセボ群のゼロと比較してサリルマブ群の患者の7.9%で、2段階以上の低減が観察された。
【0300】
悪化した患者または16週時に不応答体と確定された患者は、非盲検期間、パートCにおいてサリルマブによる処置を継続する資格を満たした。非盲検相に入った21人の患者のうち、8人(38.1%)は+36週時にコルチコステロイド用量<10mg/日を有し、応答体であると考えられた。
【0301】
【表19】
【0302】
52週時(パートCの+36週時)の硝子体曇り価におけるベースラインからの変化
16週時に観察されたベースラインからの判定されたVHの変化の差は、延長処置期間に入った患者では52週時まで維持された。52週時の判定されたVH(マイアミ9段階スケールによる)の変化は、サリルマブ群では-1.1およびプラセボ群では-0.4であった。
【0303】
非盲検期間の患者は、延長期間にサリルマブを受けた患者より小さいVH低減を示した。判定されたVH(マイアミ9段階スケールによる)におけるベースラインからの変化は+36週時に観察されず、最も大きな変化(-0.4)は28週時以降に観察された。
【0304】
52週時(パートCの+36週時)にプレドニゾン用量≦5mg/日または<10mg/日(または、同等の経口コルチコステロイド)を有する患者の百分率
処置延長期間の大多数の患者は、プレドニゾン用量≦5mg/日を有し、これは、それぞれ85.7%および87.5%のサリルマブおよびプラセボ群で類似していた。非盲検期間では、プレドニゾン用量<10mg/日を有する患者の百分率は61.5%であって
、≦5mg/日では53.8%であった。
【0305】
52週時(パートCの+36週時)に前部眼房スコア=0またはスコアの2段階以上の低減を有する患者の百分率
52週時に、応答体(前部眼房スコア=0またはスコアの少なくとも2段階の低減)であった患者の百分率は、プラセボ群よりサリルマブ群で小さかった。非盲検期間にサリルマブを受けた21人の患者のうち、12人(57.1%)は応答体であった。タイムウィンドウされた診察による前部眼房細胞スコアの記述統計を、主要および延長期間ならびに非盲検期間の間分析した。
【0306】
52週時(パートCの+36週時)の最良矯正視力におけるベースラインからの変化
ベースラインから16週にかけてのBCVAの変化の差は、延長処置期間に入った患者では52週時まで維持された。データは、52週時のBCVAの変化がプラセボ群と比較してサリルマブ群においてより高かったことを示す。
【0307】
非盲検期間の患者は、BCVAの改善を示し、ベースラインBCVAからの変化は+36週時に4.5ETDRS文字であり、最も大きな変化(5.9ETDRS文字)は+28週時に観察された。
【0308】
中心網膜厚さのベースラインからの変化(52週時(パートCの+36週時)の集中化スペクトルドメイン光学干渉断層撮影からのデバイス、ソフトウェアによって自動生成される)
16週時にサリルマブ群の患者で観察された、判定されたCRTにおける改善は、52週時まで維持された。52週時におけるベースライン時の判定されたCRTからの平均変化は、-3.4μmと比較してサリルマブ群では-71.1μmであった。しかし、延長期間に試験を継続した患者は、主要な処置期間の終わりに応答体であるとみなされたことに注意すべきである。
【0309】
判定されたCRTにおける改善は、非盲検期間の患者でも観察された。データは、+36週時におけるベースライン時の判定されたCRTからの平均変化が-37.5μmであったことを示す。
【0310】
効能データ分析
16週時、判定された評価によるVHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合は、プラセボ群(30.0%)と比較してサリルマブ群(46.1%)においてより高かったが、差は統計的に有意でなかった(p=0.2354)。
【0311】
16週時、試験担当医の評価によるVHの2段階低減またはコルチコステロイド用量<10mg/日を有する患者の割合は、プラセボ群(35.0%;名目p=0.0372)と比較してサリルマブ群(64.0%)においてより高かった。観察された症例を使用し、欠落応答体状態を不応答体と考えた他の感度分析は、一次分析と類似した結果を生成した。
【0312】
二次効能エンドポイントの結果は、判定されたVH、BCVA、判定されたCRTおよび16週時におけるベースラインCRTからの変化において統計的有意差を示した。
・ベースラインから第16週への判定されたVHのLS平均変化は、プラセボ群(-0.1)と比較してサリルマブ群(-0.9)においてより高く、対プラセボLS平均差は-0.7であった(90%CI:-1.223~-0.262);p=0.0127。
・ベースラインから第16週へのBCVAのLS平均変化は、プラセボ群(3.5)と
比較してサリルマブ群(9.3)において有意により高く、対プラセボLS平均差は5.8であった(90%CI:1.99~9.67);p=0.0153。
・ベースラインから第16週への判定されたCRTのLS平均変化は、プラセボ群(-8.9μm)と比較したときサリルマブ群(-35.4μm)においてより大きく減少し、対プラセボLS平均差は-26.5であった(90%CI:-50.41~-2.68);p=0.0683。
・ベースラインから第16週への判定されたCRTのLS平均変化は、プラセボ群(0.0%)の不変と比較したときサリルマブ群(-6.4%)において減少し、対プラセボLS平均差は-6.4%であった(90%CI:-12.374~-0.350);p=0.0825。
【0313】
高いベースラインCRTを有する患者を除外すると、サリルマブ群では16週時に判定されたCRTが減少し、プラセボ群では判定されたCRTが増加した。これらのデータは、プラセボに対するサリルマブのLS平均差-7.06をもたらした(90%CI:-2.022~7.904;p=0.4328)。前部眼房細胞スコアおよび16週時のプレドニゾン用量≦5mg/日(または、同等コルチコステロイド)を有する患者の割合の二次エンドポイント分析は、サリルマブとプラセボ処置群の間で統計的有意差を有することが観察されなかった。
【0314】
試験的エンドポイント分析は、16週時に観察された、判定されたVHのベースラインからの変化、ベースラインからのBCVAの変化、およびベースラインからのCRTの変化における差が、52週時に維持されたことを示した。二次薬力学的分析は、hs-CRPおよびSAAの両方のレベルが、プラセボ群と比較してサリルマブ群において第4週から減少すること、および抑制が第52週まで維持されたことを示した。
【0315】
52週時の患者の一次および二次分析
下の表13~16は、患者素因、この研究で分析された患者の根底にある病因、およびベースライン疾患の特徴を示す。
【0316】
【表20】
【0317】
【表21】
【0318】
【表22】
【0319】
【表23】
【0320】
データは、プラセボ処置患者と比較してサリルマブで16週間処置された患者において、VH、BCVAおよびCRTの全てが改善されたことを示す。52週時に、サリルマブ群は、特にベースライン時に証明可能な黄斑浮腫を有する患者におけるCRTの改善に関して、プラセボ群を超える利点を継続的に示した。本明細書に記載されるデータは、重度のブドウ膜炎患者においてBCVAを増加させること、および黄斑浮腫を解消することにおいて、サリルマブが有効だったことを示す。
【配列表】
2025020227000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3カ月の間、コルチコステロイドが事前に投与されている、それを必要とする対象における黄斑浮腫の処置で使用するための組成物であって、IL-6受容体に特異的に結合する抗体の有効量を含み、該抗体は、配列番号2の重鎖可変領域(VH)配列から3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域および配列番号3の軽鎖可変領域(VL)配列から3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含み、該抗体は、2週ごとに1回、約150mgから約200mgの用量で投与するために製剤化されている、前記組成物。
【外国語明細書】