(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020297
(43)【公開日】2025-02-12
(54)【発明の名称】抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20250204BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20250204BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250204BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20250204BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20250204BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250204BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20250204BHJP
C07K 14/475 20060101ALI20250204BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A61K39/00 H ZNA
A61K39/245
A61K39/395 N
A61K38/17
A61P37/04
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P43/00 111
C07K19/00
C07K14/475
C07K16/28
A61K39/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024192923
(22)【出願日】2024-11-01
(62)【分割の表示】P 2021521246の分割
【原出願日】2019-10-17
(31)【優先権主張番号】62/746,731
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,910
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520426357
【氏名又は名称】アルベルト・アインシュタイン・カレッジ・オブ・メディシン
【氏名又は名称原語表記】ALBERT EINSTEIN COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ベッツィ・ヘロルド
(72)【発明者】
【氏名】クレア・バーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法および組成物を提供する。
【解決手段】ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法とする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に対象のADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【請求項2】
中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【請求項3】
HVEMアゴニストがTNFSF-14タンパク質またはその一部を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
HVEMアゴニストが六価のTNFSF融合タンパク質を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
対象が追加的な免疫賦活性物質を投与されていない、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
対象がTNFSF刺激性物質、TNFSF抑制性物質またはそれらの組合せを投与されていない、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
対象がtoll様受容体(TLR)アゴニスト、CD40アゴニスト、CD27アゴニスト、MDA5アゴニスト、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン含有タンパク質(NOD)、またはそれらの組合せを投与されていない、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
対象が、神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)中に存在するドメイン、II型トランス活性化因子(CIITA)中に存在するドメイン、ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HET-E)中に存在するドメイン、TP-1(NACHT)-ロイシンリッチリピート中に存在するドメイン、nod様受容体(NLR)アゴニスト中に存在するドメイン、RIG様ヘリカーゼ(RLH)アゴニスト、サイトカイン/ケモカイン受容体アゴニスト、プリン受容体アゴニスト、またはそれらの組合せを投与されていない、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ワクチンがDNAワクチンまたは遺伝子ワクチンではない、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ワクチンが、がんワクチン、抗腫瘍ワクチンまたは腫瘍上の標的に対するワクチンを含まない、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ワクチンが感染性物質に対するワクチンである、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ワクチンが、ウイルス、細菌またはそれらの組合せに対するワクチンである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
Fcガンマ受容体IV結合抗体の産生を誘発する、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象にADCC抗体応答を増強するのに有効な量の腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF)タンパク質を投与することを含む、方法。
【請求項18】
中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のTNFSF-14タンパク質を投与することを含む、方法。
【請求項19】
感染性物質のワクチン、および中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを含む組成物。
【請求項20】
HVEMアゴニストがTNFスーパーファミリー(TNFSF)タンパク質を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
HVEMアゴニストが六価のTNFSF融合タンパク質である、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、請求項19~21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、請求項19~22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である、請求項19~23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
以下を含む、ワクチン応答を増強するためのキット:
(i)ある量のHVEMアゴニスト;および
(ii)ある量の感染性物質のワクチン。
【請求項26】
HVEMアゴニストが六価の腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)融合タンパク質である、請求項25記載のキット。
【請求項27】
六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、請求項25または26に記載のキット。
【請求項28】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、請求項25~27のいずれかに記載のキット。
【請求項29】
HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニストモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメントである、請求項25~28のいずれかに記載のキット。
【請求項30】
自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を減少または遮断する方法であって、対象におけるFcγR介在性死滅を減少または遮断するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【請求項31】
自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を遮断する方法であって、対象の自己免疫疾患を軽減するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
可溶性HSV糖タンパク質Dが、HSV-1糖タンパク質D、HSV-2糖タンパク質D、またはそれらの組合せを含む、請求項30または31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援の記載
本発明は、国立衛生研究所により与えられた認可番号AI117321に基づく政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
世界中で37億人以上が単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染しており、約4億人がHSV2型(HSV-2)に感染している(Looker et al., 2015; Roberts et al., 2003)。HSV-1は歯肉口内炎の主な原因であり、角膜感染症による失明および致命的な散発性脳炎の主要な原因であり、米国および他の先進国では初感染性器ヘルペスのより一般的な原因として浮上している(Roberts et al., 2003)。HSV-2は依然として世界的に性器ヘルペスの主要な原因であり、HIV流行の主要な補助因子である(Looker et al., 2017)。どちらの血清型も後根神経節(DRG)への潜伏を確立しており、これは比較的頻繁な無症状および臨床上の再活性化を伴い、ウイルスの排出および感染を生じる(Corey and Schiffer, 2013)。
【0003】
これらの疫学的知見は、初感染、潜伏および再発を予防するワクチンの必要性を強調し、これはHIV流行に対して有益な効果を有し得る。臨床試験が開始されているHSVワクチンは主に、主要なエンベロープ糖タンパク質D(gD)を単独で、または他のウイルスタンパク質と組み合わせて標的とするアジュバントサブユニットワクチンである(Awasthi and Friedman, 2014)。これらのワクチンは、血清陰性の参加者において中和抗体応答を誘発するか、またはHSV血清陽性個体においてこれらの応答を増強するように設計された(Stanberry et al., 2002; Belshe et al., 2012; Awasthi and Friedman, 2014)。そのようなワクチンの一つは、アルミニウム(alum)およびモノホスホリルリピドA(MPL)でアジュバント化された組換えgDワクチン(rgD-2/AS04、GlaxoSmithKline)である。ワクチンは、実験室で順応させたウイルス株を主に用いて行った前臨床試験ではHSV-2疾患に対して保護的であった(しかし、潜伏の確立を予防しなかった)が、臨床試験の結果は期待外れであった。血清不一致(serodiscordant)のパートナーにおいて行われた第三相試験では、rgD-2/AS04は二重(HSV-1およびHSV-2)血清陰性の女性を保護したが、男性は保護せず、HSV-1血清陽性の男性または女性を保護できなかった(Stanberry et al., 2002)。二重血清陰性の女性のみを登録したその後の野外試験では、性器HSV-1に対する部分的な保護が観察されたが、HSV-2疾患に対する保護は観察されず、HSV-1またはHSV-2の感染に対する保護は認められなかった(Belshe et al., 2012)。
【0004】
最近の異なる手法として、gDを欠失させた単一サイクルHSV-2候補ワクチン(ΔgD-2)の生成がある(例えば、米国特許第9,999,665号参照)。このワクチンは、いずれかの血清型の高用量の臨床分離株による皮膚および膣への曝露から雌性マウスを完全に保護し、皮膚への曝露から雄性マウスを完全に保護し、潜伏の確立を予防した(Petro et al., 2015; 2016; Burn et al., 2017)。rgD-2/AS04とは異なり、ΔgD-2は弱中和性で高力価の抗体応答を誘導したが、Fcガンマ受容体(FcγR)を強力に活性化してADCCおよび抗体依存性貪食(ADCP)を誘発した。受動移入試験により、これらの抗体がナイーブマウスを致死的なHSV曝露から保護するのに十分であることが確認された(Petro et al., 2015; 2016; Burn et al., 2017)。さらに、ΔgD-2ワクチンを雌性マウスに接種すると、母マウスから子マウスへのADCC抗体の伝達により、子マウスが出生後の曝露から保護されることが示されている。雌性マウス(およびヒト)において主に中和抗体応答を誘発する亜致死性自然感染は、新生児に有意な保護を与えなかった(Kao et al JID、印刷中)。さらに、このワクチンはHSV血清陽性マウスにおいて免疫原性であり、抗体応答全体およびADCC抗体応答を増強し、HSV-2の臨床分離株によるその後の曝露に対して完全な保護を与える(Burn et al、論文準備中)。
【0005】
自然感染および他のワクチン候補に対する中和応答と比較して、ΔgD-2に対するADCC応答が優位であることは、gDが免疫調節の役割を果たしてい得、ADCCから離れた免疫応答を歪め得ることを示唆しており、これを調査した。
【発明の概要】
【0006】
対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に対象のADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0007】
中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0008】
感染性物質のワクチン、および中和抗体応答よりもADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを含む組成物。
【0009】
以下を含む、ワクチン応答を増強するためのキット:
(i)ある量のHVEMアゴニスト;および
(ii)ある量の感染性物質のワクチン。
【0010】
対象において感染性物質のワクチンに対する中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト。
【0011】
自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を減少または遮断する方法であって、対象におけるFcγR介在性死滅を減少または遮断するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【0012】
自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を遮断する方法であって、対象の自己免疫疾患を軽減するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVの臨床分離株による感染から差次的に保護する。C57BL/6マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2、または5μgのrgD-2-AS04(GSKにより提供された)、またはalumおよびMPLを伴うrgD-2(rgD-2+alum/MPL)を接種した。
図1Aはパーセント生存率対時間(日数)のグラフであり、10x致死量(LD90)のHSV-1株B
3x1.1(白抜きの記号)を皮膚に曝露させた後のマウスの生存率を示す。ΔgD-2 5x10
6、ΔgD-2 5x10
5またはΔgD-2 5x10
4pfuは、対照と比較して有意である。生存曲線を、Gehan-Breslow-Wilcoxon検定により分析した;多重検定の補正のためにボンフェローニ補正を用いた。
【
図1B】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVの臨床分離株による感染から差次的に保護する。C57BL/6マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2、または5μgのrgD-2-AS04(GSKにより提供された)、またはalumおよびMPLを伴うrgD-2(rgD-2+alum/MPL)を接種した。
図1Bはパーセント生存率対時間(日数)のグラフであり、10x致死量(LD90)のHSV-2株SD90(黒塗りの記号)を皮膚に曝露させた後のマウスの生存率を示す。すべての接種は、VD60単独と比較して有意な延命効果を与える。生存曲線を、Gehan-Breslow-Wilcoxon検定により分析した;多重検定の補正のためにボンフェローニ補正を用いた。
【
図1C】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVの臨床分離株による感染から差次的に保護する。C57BL/6マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2、または5μgのrgD-2-AS04(GSKにより提供された)、またはalumおよびMPLを伴うrgD-2(rgD-2+alum/MPL)を接種した。
図1Cは、HSV-1またはHSV-2 DNAのコピー(1gの組織当たり)対曝露した株(HSV-1 B
31x1またはHSV-2株SD90)のグラフであり、屠殺した時点(対照、rgD-2)または曝露後14日目(ΔgD、rgD-2)のマウスの後根神経節(DRG)において検出されたHSV DNAの量を示す。データを1gの組織当たりのコピー数として表示している。二元配置分散分析により、**p<0.01、****p<0.0001。
【
図1D】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVの臨床分離株による感染から差次的に保護する。C57BL/6マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2、または5μgのrgD-2-AS04(GSKにより提供された)、またはalumおよびMPLを伴うrgD-2(rgD-2+alum/MPL)を接種した。
図1Dは、LD90のHSV-2臨床株4674を皮膚に曝露する1日前に、ΔgD-2、rgD-2またはVD60を接種したマウス由来の750μgの全IgGをナイーブマウスに受動移入した後のパーセント生存率を示すグラフである。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定により、**はVD60と比較してp=0.0010であることを示し、ΔgD-2はrgD-2と比較しても有意(0.0031)であった;多重検定の補正のためにボンフェローニ補正を用いた。n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5のrgD-2およびn=5/群の受動移入を除く)。
【0014】
【
図2A】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。ブースト接種の1週間後に血清試料を採取し、HSV-2特異的なIgGの力価(1:90000希釈)をELISAにより定量した。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。
【
図2B】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。ブースト接種の1週間後に血清試料を採取し、全gD-2結合IgGをELISAにより定量した。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。
【
図2C】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。
図2Cは、HSV-1およびHSV-2に対する中和価のグラフである。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。
【
図2D】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。
図2Dは、HSV-1またはHSV-2を感染させた細胞を標的細胞とし、FcγRIVおよびルシフェラーゼレポーターを発現するエフェクター細胞を伴って、Promega FcRレポーターアッセイを用いて測定したFcγRIV活性化の増加(誘導倍率)を示すグラフである。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。
【
図2E】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。
図2Eは、ELISA(1:1000希釈)によって評価した全HSV-2結合IgGアイソタイプを示す。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。
【
図2F】ΔgD-2およびrgD-2は、HSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する。WT(C57Bl6)マウスに、5x10
6、5x10
5もしくは5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を接種した。
図2Fは、ΔgD-2を接種したマウス由来の750μgの全免疫血清をナイーブWTまたはFcγRIV-/-(FcγRIV KO)マウスに受動移入した後のパーセント生存率を示すグラフである。*p<0.05;**p<0.01;****p<0.0001;n=10/群;2回の独立した実験を行った(n=5/群のrgD-2およびFcγRIV-/-を除く)。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析した生存曲線を除いて、分散分析によって統計解析を行った。ΔgD-2 WTは、VD60(p=0.0010)およびΔgD-2 FcγRIV KO(p=0.0039)とは有意に異なる。
【0015】
【
図3A】HVEM-/-マウスへのΔgD-2またはrgD-2の接種は保護を抑制する。WTまたはHVEM-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2を3週間の間隔でプライムブースト接種した。
図3Aは、10xLD
90 HSV-2 SD90による皮膚曝露後のパーセント生存率を示す。生存曲線をGehan-Breslow-Wilcoxon検定によって分析し、ΔgD-2 WTはΔgD-2 KO、rgD-2およびVD60と有意に異なる(P<0.0001)。ブースト接種の7日後に血清を採取し、抗体応答を評価した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001;n=10~20匹/群。データは2回の独立した実験からのものである。
【
図3B】HVEM-/-マウスへのΔgD-2またはrgD-2の接種は保護を抑制する。WTまたはHVEM-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2を3週間の間隔でプライムブースト接種した。
図3Bは、全HSV-2結合ELISA血清力価を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001;n=10~20匹/群。データは2回の独立した実験からのものである。
【
図3C】HVEM-/-マウスへのΔgD-2またはrgD-2の接種は保護を抑制する。WTまたはHVEM-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2を3週間の間隔でプライムブースト接種した。
図3Cは、HSV-2中和抗体力価を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001;n=10~20匹/群。データは2回の独立した実験からのものである。
【
図3D】HVEM-/-マウスへのΔgD-2またはrgD-2の接種は保護を抑制する。WTまたはHVEM-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2を3週間の間隔でプライムブースト接種した。
図3Dは、FcγRIV活性化の誘導倍率を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001;n=10~20匹/群。データは2回の独立した実験からのものである。
【
図3E】HVEM-/-マウスへのΔgD-2またはrgD-2の接種は保護を抑制する。WTまたはHVEM-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2を3週間の間隔でプライムブースト接種した。
図3Eは、ELISA(1:1000希釈)によってそれぞれ評価したIgGアイソタイプを示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001;n=10~20匹/群。データは2回の独立した実験からのものである。
【0016】
【
図4】
図4A~4B:HVEMは、ADCCの開始および媒介に関与している。
図4Aは、VD60(対照)またはΔgD-2でプライム/ブースト免疫したWTまたはHVEM-/-マウス由来の750μgの全免疫血清を受動移入した後のWTマウスのパーセント生存率を示す。
図4Bは、VD60(対照)またはΔgD-2で免疫したWTマウス由来の750μgの全免疫血清を受動移入した後のHVEM-/-マウスのパーセント生存率を示す。
【0017】
【
図5A】BTLA-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはBTLA-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2、VD-60細胞溶解物(対照)、またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90の株SD90を曝露させた。
図5Aは、全HSV-2特異的IgGを示す。
【
図5B】BTLA-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはBTLA-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2、VD-60細胞溶解物(対照)、またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90の株SD90を曝露させた。
図5Bは、全HSV-2中和抗体力価を示す。
【
図5C】BTLA-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはBTLA-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2、VD-60細胞溶解物(対照)、またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90の株SD90を曝露させた。
図5Cは、FcγRIV活性化の誘導倍率を示す。
【
図5D】BTLA-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはBTLA-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2、VD-60細胞溶解物(対照)、またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90の株SD90を曝露させた。
図5Dは、10xLD
90 SD90による皮膚曝露後のパーセント生存率を示す。
【0018】
【
図6A】LIGHT-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはLIGHT-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2または5 VD-60細胞溶解物(対照)をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90のHSV-2株SD90を曝露させた。
図6Aは、全HSV-2特異的IgGを示す。
【
図6B】LIGHT-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはLIGHT-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2または5 VD-60細胞溶解物(対照)をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90のHSV-2株SD90を曝露させた。
図6Bは、全HSV-2中和抗体力価を示す。
【
図6C】LIGHT-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはLIGHT-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2または5 VD-60細胞溶解物(対照)をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90のHSV-2株SD90を曝露させた。
図6Cは、FcγRIV活性化の誘導倍率を示す。
【
図6D】LIGHT-/-マウスにおける評価。WT(C57Bl/6)マウスまたはLIGHT-/-マウスに、5x10
5pfuのΔgD-2または5 VD-60細胞溶解物(対照)をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90のHSV-2株SD90を曝露させた。
図6Dは、10xLD
90 SD90による皮膚曝露後のパーセント生存率を示す。
【0019】
【
図7】
図7A~7B:HVEM-/-マウス由来の細胞はエフェクター機能が欠損している。全骨髄細胞(
図7A)またはGM-CSFで7日間刺激した骨髄由来細胞(
図7B)をエクスビボでのADCCアッセイに用いた。データを「血清なし」の対照と比較した死細胞の変化率として示す。各点は、1つのマウス血清または抗体試料を示す。マン・ホイットニー検定により、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0020】
【
図8A】gD(可溶性タンパク質またはウイルスエンベロープ上)および抗HVEM抗体は、FcγRIV活性化を阻害する。
図8Aでは、HSV-2感染細胞を標的とした;ΔgD-2またはVD-60(対照)で免疫したマウス由来の免疫血清を、組換えgDタンパク質、組換えgBタンパク質または市販の抗HVEM Abの非存在下または存在下において添加し、次いでエフェクター細胞(PROMEGA、NFATルシフェラーゼレポーターに連結されたmFcγRIV発現)とともにインキュベートした。可溶性gDまたは抗HVEMは、FcR活性化を低下させる。対応のあるT検定により、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図8B】gD(可溶性タンパク質またはウイルスエンベロープ上)および抗HVEM抗体は、FcγRIV活性化を阻害する。
図8Bでは、標的細胞をWT HSV-2 SD90またはΔgD-2(従って、標的は感染細胞上にgDを発現していない)で感染させ、エフェクター細胞とともにインキュベートした。標的細胞中にgDが存在しない場合、FcRの活性化が増強される;組換えgDタンパク質の添加はFcRの活性化を元に戻す。分散分析により、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図8C】gD(可溶性タンパク質またはウイルスエンベロープ上)および抗HVEM抗体は、FcγRIV活性化を阻害する。
図8Cでは、Raji細胞(CD20を発現する)およびリツキシマブ(抗CD20)を用いて、抗HVEM抗体(10または20μg)の非存在下または存在下においてアッセイを行った。
【0021】
【
図9】gDタンパク質および抗HVEM抗体は、ヒト免疫血清に応答してhFcγRIIIaの活性化を阻害する。HSV血清陽性個体由来の免疫血清を、単独(ヒトHSV+血清)または5μgもしくは10μgのgDもしくは抗HVEM抗体と組み合わせて、ΔgD-2感染標的細胞およびhFcγRIIIaを発現するエフェクター細胞と組み合わせた。血清は低レベル(5~6倍)のFcR活性化Ab(ヒトキット)を有し、組換えgDタンパク質を添加した場合、死滅が減少する。
【0022】
【
図10】
図10A~10B:HVEMは、他の病原体に対してADCC Abを生成するのに必要である。野生型またはHVEM-/-ノックアウトマウスにVSV-エボラウイルスコンストラクト(Chandran lab)を免疫し、全AbおよびADCC活性化Abについて免疫血清をアッセイした。
図10Aはエボラタンパク質に対する全抗体を示すグラフであり、
図10BはFcγRIV活性化のグラフである。この場合も同様に、HVEM KOマウスにおいてFcR活性化Abが減少している。(*VSV-エボラワクチンはK. Chandranから頂戴した。)
【0023】
【
図11】
図11A~11B:受動移入は、BTLAではなくLIGHTの役割を示唆する。WT(C57Bl6)、BTLA-/-またはLIGHT-/-マウスに10xLD
90 SD90を曝露させる1日前に、ΔgD-2またはVD60を免疫したWTマウスから単離した750μgの血清を腹腔内投与した。
図11AはWTマウスおよびBTLA-/-マウスの結果を示し、
図11BはWTマウスおよびLIGHT-/-マウスの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に対象のADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0025】
対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に対象のADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを投与することを含む、方法。
【0026】
対象において感染性物質のワクチンに対する中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に中和抗体応答よりもADCC抗体応答を増強するのに有効な量のHVEMアゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0027】
中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0028】
中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを投与することを含む、方法。
【0029】
本明細書で使用される場合、対象において抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を「優先的に増強する」または「増強する」とは、ADCC応答を(HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニスト投与前の)対象の安静時のレベルよりも促進または増加または増幅することを意味する。ADCC抗体応答が増強される量または値は、同じ対象において中和抗体応答が(HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニスト投与前の)対象の安静時のレベルよりも増強されていたとしても、同じ対象において中和抗体応答が増強される量または値よりも大きい。例えば、用語「優先的に増強する」は、対象におけるADCC抗体応答の増加を指す。
【0030】
ある実施態様において、ADCC応答の生成を促進するために、HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニストはワクチンと実質的に同時に対象に投与される。例えば、HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニストは投与前にワクチンと組み合わされ、ワクチンと同時に投与される。あるいは、HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニストは、ワクチンの投与とHVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニストの投与との間の期間が、HVEMアゴニストが対象のADCC活性を増強する能力またはADCC抗体応答を増強する能力に影響を与えないように、対象へのワクチンの投与前または後に対象に投与される。
【0031】
ある実施態様において、対象のADCC応答を増強するために、アゴニスト(HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニスト)が感染性物質に感染した対象に単独またはFcガンマ受容体(FcγR)活性化抗体と組み合わせて投与され得る。FcγR活性化抗体は免疫血清中に存在し得、または単離された抗体であり得る。例えば、単離された抗体はモノクローナル抗体(HVEMおよび/またはTNFSF-14アゴニストの存在下でFcγRを介して作用するリツキシマブなど)であり得る。
【0032】
腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)タンパク質は、LIGHT(リンホトキシンと相同であり、誘導発現を示し、Tリンパ球上に発現する受容体であるヘルペスウイルスエントリーメディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合する)としても知られており、TNFスーパーファミリーの分泌タンパク質であり、HVEMのリガンドである。TNFSF-14およびLIGHTという用語は互換的に使用され得る。
【0033】
ある実施態様において、HVEMアゴニストはTNFSF-14タンパク質またはその一部を含む。例えば、TNFSF-14タンパク質は、全長タンパク質またはHVEMに結合するTNFSF-14タンパク質の一部であり得る。
【0034】
ある実施態様において、対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法は、ワクチンを受けている対象にADCC抗体応答を増強するのに有効な量のTNFSR-14タンパク質またはその一部を投与することを含む。
【0035】
本方法のある実施態様において、HVEMアゴニストは、六価のTNFSF融合タンパク質である。六価のTNFSF融合タンパク質は当分野で公知である。(例えば、Gieffers et al., Proceedings of the AACR Special Conference on Tumor Immunology and Immunotherapy; 2016年10月20-23日; Cancer Immunol Res 2017;5(3 Suppl):Abstract nr. A83を参照、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、apogenix.com/en/immuno-oncology/hera-technology-platformを参照、これは参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0036】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのLIGHT(TNFSF-14)サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む六価のTNFSF融合タンパク質である。
【0037】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、HVEMを結合および活性化するアゴニスト抗体を含む。
【0038】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、HVEMを結合および活性化するアゴニストモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0039】
ある実施態様において、対象は、追加的な免疫賦活性物質を投与されていない。
【0040】
ある実施態様において、対象は、追加的な腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)スーパーファミリー刺激性物質またはTNFSF抑制性物質を投与されていない。
【0041】
ある実施態様において、対象は、toll様受容体(TLR)アゴニスト(例えば、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト、またはTLR9アゴニスト)、CD40アゴニスト、CD27アゴニスト、MDA5アゴニスト、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン含有タンパク質アゴニスト(例えば、NOD1、NOD2アゴニスト)、またはそれらの組合せを投与されていない。
【0042】
ある実施態様において、対象は、TLRアゴニスト、神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)中に存在するドメイン、II型トランス活性化因子(CIITA)中に存在するドメイン、ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HET-E)中に存在するドメイン、TP-1(NACHT)-ロイシンリッチリピート中に存在するドメイン、nod様受容体(NLR)アゴニスト中に存在するドメイン、レチノイン酸誘導遺伝子I RIG様ヘリカーゼ(RLH)アゴニスト、サイトカイン/ケモカイン受容体アゴニスト、プリン受容体アゴニスト、またはそれらの組合せを投与されていない。
【0043】
ある実施態様において、ワクチンはDNAワクチンまたは遺伝子ワクチンではない。
【0044】
ある実施態様において、ワクチンは、がんワクチン、抗腫瘍ワクチンまたは腫瘍上の標的に対するワクチンではない。
【0045】
ある実施態様において、ワクチンは、感染性物質(感染性病原体)に対するワクチンである。
【0046】
ある実施態様において、感染性物質は、ウイルス、細菌、真菌もしくは寄生生物、またはそれらの組合せである。
【0047】
ある実施態様において、本方法は、Fcガンマ受容体IV(FcγRIV)結合抗体の産生を誘発および/または増加(増強)させる。
【0048】
感染性物質のワクチン、および中和抗体応答よりもADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを含む組成物が提供される。
【0049】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、六価のTNFSFスーパーファミリー融合タンパク質である。
【0050】
ある実施態様において、六価のTNFSFスーパーファミリー融合タンパク質は、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14(LIGHT)サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む。
【0051】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、HVEMを結合するアゴニスト抗体である。
【0052】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、HVEMを結合するアゴニストモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0053】
ある実施態様において、感染性物質は、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、コレラ菌、髄膜炎菌、インフルエンザウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリアエ、ルブラウイルス、サイトメガロウイルス、破傷風菌、A型肝炎ウイルス、b型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、百日咳菌、結核菌、肺炎球菌、チフス菌、ポリオウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型、狂犬病ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、フラビウイルス科、熱帯熱マラリア原虫、デングウイルス、アルファウイルス、HSV-1、HSV-2、エボラウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、炭疽菌、ペスト菌、コクシエラ・バーネッティ、天然痘ウイルス、またはこれらの組合せのうち少なくとも1つである。しかし、感染性物質のワクチンの標的となり得る感染性物質はこれらに限定されない。
【0054】
ある実施態様において、ワクチンは、麻疹、風疹、コレラ、髄膜炎菌性疾患、インフルエンザ、ジフテリア、流行性耳下腺炎、破傷風、A型肝炎、百日咳、結核、B型肝炎、肺炎球菌性疾患、腸チフス、E型肝炎、灰白髄炎、ダニ媒介性脳炎、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型、狂犬病、水痘および帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス胃腸炎、黄熱病、日本脳炎、マラリア、デング熱、炭疽病、ペスト、Q熱、天然痘、HSV-1、VSV、エボラ出血熱、東部馬脳炎、西部馬脳炎、ベネズエラ馬脳炎、またはHSV-2のうち少なくとも1つのためのものである。しかし、ワクチンまたはワクチンの標的となる疾患はこれらに限定されない。
【0055】
ある実施態様において、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントはキメラであるか、またはヒト化されている。
【0056】
ある実施態様において、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体、scFv、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、またはそれらの組合せを含む。scFvは厳密には抗体のフラグメントではなく融合タンパク質であるが、本明細書では特に除外しない限り、抗体のフラグメントにはscFvが含まれることを注記しておく。
【0057】
ある実施態様において、対象はがんを有していない。ある実施態様において、対象は血液がんを有していない。ある実施態様において、対象は固形腫瘍を有していない。ある実施態様において、対象はがんと診断されていない。
【0058】
ある実施態様において、本組成物は医薬組成物または生物学的組成物であり、医薬担体である担体を含む。本明細書に記載される抗体またはその結合フラグメントおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物もまた、提供される。
【0059】
以下を含む、ワクチン応答を増強するためのキット:
(i)ある量のHVEMアゴニスト;および
(ii)ある量の感染性物質のワクチン。
【0060】
ある実施態様において、感染性物質は、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、コレラ菌、髄膜炎菌、インフルエンザウイルス、コリネバクテリウム・ジフテリアエ、ルブラウイルス、サイトメガロウイルス、破傷風菌、A型肝炎ウイルス、b型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、百日咳菌、結核菌、肺炎球菌、チフス菌、ポリオウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型、狂犬病ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、フラビウイルス科、熱帯熱マラリア原虫、デングウイルス、アルファウイルス、HSV-1、HSV-2、エボラウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、炭疽菌、ペスト菌、コクシエラ・バーネッティ、天然痘ウイルス、またはこれらの組合せのうち少なくとも1つである。しかし、感染性物質のワクチンの標的となり得る感染性物質はこれらに限定されない。
【0061】
ある実施態様において、ワクチンは、麻疹、風疹、コレラ、髄膜炎菌性疾患、インフルエンザ、ジフテリア、流行性耳下腺炎、破傷風、A型肝炎、百日咳、結核、B型肝炎、肺炎球菌性疾患、腸チフス、E型肝炎、灰白髄炎、ダニ媒介性脳炎、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型、狂犬病、水痘および帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス胃腸炎、黄熱病、日本脳炎、マラリア、デング熱、炭疽病、ペスト、Q熱、天然痘、HSV-1、VSV、エボラ出血熱、東部馬脳炎、西部馬脳炎、ベネズエラ馬脳炎、またはHSV-2のうち少なくとも1つのためのものである。しかし、ワクチンまたはワクチンの標的となる疾患はこれらに限定されない。
【0062】
ある実施態様において、ワクチンは、そのゲノム中においてHSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子が欠失している単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)を含み、ここでゲノム中におけるHSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子の欠失は、HSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子の部分的な欠失またはHSV-2糖タンパク質Dをコードする(gD)遺伝子全体の欠失を含み、組換えHSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完細胞(complementing cell)中で組換えHSV-2を増殖させることによって、HSV-1糖タンパク質Dにより表現型的に補完されている。
【0063】
ある実施態様において、そのゲノム中においてHSV-2 gDをコードする遺伝子が欠失しているHSV-2は、組換えHSV-2である。
【0064】
そのゲノム中においてHSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子が欠失しているHSV-2は、単一サイクルウイルスである。そのゲノム中においてHSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子が欠失しているHSV-2におけるgDをコードする遺伝子の部分的な欠失は、gDが発現/産生された場合に、そのタンパク質がHVEMを結合および活性化できず、HSV-2の宿主細胞への侵入を促進できないような欠失である。
【0065】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、六価のTNFSF融合タンパク質である。
【0066】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14(LIGHT)サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む六価のTNFSF融合タンパク質である。
【0067】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、HVEMを結合するアゴニスト抗体である。
【0068】
ある実施態様において、HVEMアゴニストは、抗HVEMアゴニストモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0069】
対象において感染性物質のワクチンに対する中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト。
【0070】
対象においてワクチンに応答して感染性物質のワクチンに対する中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強するためのある量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト。
【0071】
対象において抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する薬剤の製造のためのある量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストの使用。
【0072】
対象においてワクチンに応答して抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する薬剤の製造のためのある量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストの使用。
【0073】
ある実施態様において、自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅(またはADCC)を減少または遮断する方法は、対象におけるFcγR介在性死滅を減少または遮断するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む。
【0074】
ある実施態様において、自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅(またはADCC)を減少または遮断する方法は、対象の自己免疫疾患を軽減するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む。
【0075】
ある実施態様において、自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅(またはADCC)を遮断する方法は、対象の自己免疫疾患を軽減するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む。
【0076】
ある実施態様において、自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅は、自己抗原を発現する細胞のFcγR介在性死滅(ADCC)を指す。
【0077】
本明細書において、対象におけるFcγR介在性死滅またはADCCの減少は、自己抗原を発現する細胞のFcγR介在性死滅またはADCCの量または値を(アンタゴニスト投与前の)対象の安静時のレベルよりも任意の程度で減少させることを意味し、対象におけるFcγR介在性死滅またはADCCの遮断は、対象において自己抗原を発現する細胞のFcγR介在性死滅またはADCCを実質的に妨げることを意味する。
【0078】
ある実施態様において、HSV糖タンパク質Dは、HSV-1糖タンパク質D、HSV-2糖タンパク質D、またはそれらの組合せである。糖タンパク質Dは単独で使用され得、担体と連結され得、または融合タンパク質の一部として使用され得る。糖タンパク質Dは全長タンパク質またはHVEM受容体に結合する糖タンパク質Dタンパク質の一部であり得る。例えば、HSV糖タンパク質は、可溶性の全長HSV-1糖タンパク質D、HSV-2糖タンパク質Dまたはそれらの組合せである。HSV糖タンパク質DまたはHVEM受容体に結合する一部は、組換えタンパク質であり得る。
【0079】
ある実施態様において、HVEMに結合する抗体(抗HVEM抗体)は、HVEMに結合し、HVEMを活性化せず、かつリガンドのHVEMへの結合を妨げるか、または遮断する抗体である。
【0080】
ある実施態様において、自己免疫疾患は、例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、乾癬、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、血管炎、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されず、ADCCの減少によって利益を受けるあらゆる自己免疫疾患が、可溶性HSV糖タンパク質D、HVEMアンタゴニストまたはHVEMに結合する抗体で処置され得る。
【0081】
本明細書において、用語「抗体」は、インタクト抗体(すなわち、完全なFcおよびFv領域を有する抗体)を指す。「フラグメント」は、抗体全体よりも短いが、抗原結合部分を含み、抗原への特異的な結合についてそのフラグメントのインタクト抗体と競合する抗体の任意の部分または連結された抗体の部分(限定されない例として、Fab、F(ab)2、単鎖Fv(scFv)など)を指す。この場合、抗原はHVEM、好ましくはヒトHVEMである。
【0082】
このようなフラグメントは、例えばインタクト抗体を切断することによって、または組換えの手段によって調製され得る(一般に、Fundamental Immunology, Ch. 7, Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989)を参照、これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。抗原結合フラグメントは、組換えDNA技術によって、またはインタクト抗体の酵素的もしくは化学的切断によって、または分子生物学的技術によって産生され得る。いくつかの実施態様において、フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、相補性決定領域(CDR)フラグメント、単鎖抗体(scFv)、ペプチドリンカーを介して連結された可変ドメイン軽鎖(VL)および可変ドメイン重鎖(VH)である。ある実施態様において、scFvは、ヒト可変ドメインFR1、FR2、FR3またはFR4と同一の配列を有する可変ドメインフレームワーク配列を含む。ある実施態様において、scFvは、5~30アミノ酸残基の長さのリンカーペプチドを含む。ある実施態様において、scFvは、グリシン、セリンおよびスレオニン残基のうちの1つ以上を含むリンカーペプチドを含む。
【0083】
ある実施態様において、scFvのリンカーは10~25アミノ酸長である。ある実施態様において、ペプチドリンカーは、グリシン、セリンおよび/またはスレオニン残基を含む。例えば、Bird et al., Science, 242: 423-426 (1988)およびHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883 (1988)(これらはそれぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)、またはヒトHVEMに特異的な抗原結合をポリペプチドに与えるのに十分な抗体の少なくとも一部を含むポリペプチド(二重特異性抗体を含む)を参照。N末端からC末端にかけて、成熟した軽鎖および重鎖可変ドメインはともに、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4領域を含む。アミノ酸の各ドメインへの割り当ては、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))、Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)、またはChothia et al., Nature 342:878-883 (1989)(これらはそれぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)の定義に従っている。本明細書において、用語「ポリペプチド」は、天然または人工のタンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質配列のポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは単量体または重合体であり得る。本明細書において、Fdフラグメントは、VHおよびCH1ドメインからなる抗体フラグメントを意味する;Fvフラグメントは、抗体の単一アームのV1およびVHドメインからなる;および、dAbフラグメント(Ward et al., Nature 341:544-546 (1989)、これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)は、VHドメインからなる。いくつかの実施態様において、フラグメントは少なくとも5、6、8または10アミノ酸長である。他の実施態様において、フラグメントは、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50、または少なくとも70、80、90、100、150もしくは200アミノ酸長である。
【0084】
本明細書における用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団の抗体メンバーを指す(すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量に存在し得る可能性のある変異(例えば天然に存在する変異)を除いて同一である)。したがって、修飾語「モノクローナル」は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。特定の実施態様において、そのようなモノクローナル抗体は通常、ヒトHVEMに結合するポリペプチド配列を含む抗体を含む。種々の決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を通常含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する抗体である。モノクローナル抗体製剤はその特異性に加えて、通常、他の免疫グロブリンによって汚染されていないという点で有利である。したがって、同定されたモノクローナル抗体は、その配列が同定された場合、非ハイブリドーマ技術(例えば、適切な組換えの手段)によって産生され得る。
【0085】
本明細書に記載の発明のある実施態様において、抗体は単離されている。本明細書において、用語「単離された抗体」は、その起源または由来の供給源によって以下のうち1つ、2つ、3つまたは4つを有する抗体を指す:(1)天然の状態で付随している天然の関連した成分と関連していない、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含んでいない、(3)異なる種由来の細胞によって発現されている、および(4)人の手を介さずに天然に存在しない。
【0086】
ある実施態様において、抗体はヒト化されている。「ヒト化」型の非ヒト(例えばマウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。ある実施態様において、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(HVR)(またはCDR)の残基が、所望の特異性、親和性および/または能力を有する非ヒト種(マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類など)(ドナー抗体)のHVR(またはCDR)の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。好ましい実施態様において、マウスmAbのフレームワーク(FR)残基は、対応するヒト免疫グロブリン可変ドメインフレームワーク(FR)残基に置換されている。これらは、抗体の性能をさらに改良するために、ある実施態様においてさらに改変され得る。さらに、特定の実施態様において、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見出されない残基を含み得る。ある実施態様において、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含まない。一般に、ヒト化抗体は実質的にすべての少なくとも1つ(典型的には2つ)の可変ドメインを含み、そのすべて(または、ある実施態様において実質的にすべて)の超可変ループが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応しており、すべて(または、ある実施態様において実質的にすべて)のFRがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は、任意で(典型的にはヒト免疫グロブリンの)免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。例えば、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992); Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994); ならびに米国特許第6,982,321号および第7,087,409号を参照、これらの各参考文献および各特許の内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。ヒト化抗体がレシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含むある実施態様において、抗体のFc領域はWO99/58572(この内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように改変されている。
【0087】
モノクローナル抗体をヒト化する技術は周知であり、例えば米国特許第4,816,567号;第5,807,715号;第5,866,692号;第6,331,415号;第5,530,101号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,585,089号;および第6,180,370号に記載されており、これらの各内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多くの「ヒト化」抗体分子が記載されており、これにはヒト定常ドメインに融合したげっ歯類または改変されたげっ歯類V領域およびその関連する相補性決定領域(CDR)を有する抗体が含まれる。例えば、Winter et al. Nature 349: 293-299 (1991)、Lobuglio et al. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86: 4220-4224 (1989)、Shaw et al. J. Immunol. 138: 4534-4538 (1987)、およびBrown et al. Cancer Res. 47: 3577-3583 (1987)を参照、これらの各内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。他の参考文献には、適切なヒト抗体定常ドメインと融合させる前に、ヒト支持フレームワーク領域(FR)に移植されたげっ歯類超可変領域またはCDRが記載されている。例えば、Riechmann et al. Nature 332: 323-327 (1988)、Verhoeyen et al. Science 239: 1534-1536 (1988)、およびJones et al. Nature 321: 522-525 (1986)を参照、これらの各内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。別の参考文献には、組換えによるベニヤ(veneer)のげっ歯類フレームワーク領域によって支持されたげっ歯類CDRが記載されている-欧州特許出願公開第0519596号(その全体が参照によって組み込まれる)。これらの「ヒト化」分子は、ヒトのレシピエントにおけるこれらの部分の治療応用の期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子への望ましくない免疫応答を最小限にするように設計されている。抗体の定常領域は、免疫学的に不活性になる(例えば、補体溶解を誘発しない)ように設計され得る。例えば、PCT出願公開第WO99/58572号;英国特許出願公開第9809951.8号を参照。利用され得る抗体をヒト化する他の方法は、Daugherty et al., Nucl. Acids Res. 19: 2471-2476 (1991)、ならびに米国特許第6,180,377号;第6,054,297号;第5,997,867号;第5,866,692号;第6,210,671号;および第6,350,861号;ならびにPCT出願公開第WO01/27160号に開示されている(これらはそれぞれ参照によってその全体が組み込まれる)。
【0088】
ある実施態様において、本明細書における抗体またはフラグメントは組換え的に作製され得る(例えば、宿主細胞に導入された組換え発現ベクターを用いて発現させた抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入した動物(例えばマウス)から単離された抗体)。
【0089】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗HVEM抗体はヒトHVEMに特異的に結合でき(または特異的に結合し)、アゴニスト応答を誘発できる。本明細書において、用語「特異的に結合できる」または「特異的に結合する」は、抗体またはフラグメントが<1μM、好ましくは<1nM、最も好ましくは<10pMの解離定数で(特定の)抗原に結合する性質を指す。ある実施態様において、HVEMに対する抗体(またはフラグメント)のKdは10.0nMよりも優れている。ある実施態様において、HVEMに対する抗体(またはフラグメント)のKdは1.0nMよりも優れている。ある実施態様において、HVEMに対する抗体(またはフラグメント)のKdは0.5nMよりも優れている。ある実施態様において、HVEMドメインに対する抗体(またはフラグメント)のKdは0.1nMまたはそれよりも強い。
【0090】
本明細書における用語「Kd」は、抗体-抗原相互作用の解離定数を指すことが意図される。HVEMに対する抗体のKdまたは結合親和性を決定する一つの方法は、抗体の単機能Fabフラグメントの結合親和性を測定することである。(親和定数は解離定数の逆数である)。単機能Fabフラグメントを得るために、抗体(例えばIgG)はパパインにより切断され得るか、または組換えにより発現され得る。抗ヒトHVEM抗体のフラグメントの親和性は、例えば表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore Inc., Piscataway N.J.)によって決定され得る。供給者の説明書に従って、CM5チップはN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化され得る。抗原は10mM酢酸ナトリウムpH4.0中に希釈され得、0.005mg/mLの濃度で活性化されたチップ上に注入され得る。個々のチップチャネルに可変のフロー時間を用いて2つの範囲の抗原密度が達成され得る:詳細な動態研究のための100~200応答単位(RU)、およびスクリーニングアッセイのための500~600RU。精製されたFab試料の段階希釈物(0.1~10xの推定Kd)が100マイクロリットル/分で1分間注入され、最大2時間の解離時間が許容される。Fabタンパク質の濃度は、(アミノ酸分析によって決定される)既知の濃度のFabを標準として用いてELISAおよび/またはSDS-PAGE電気泳動によって決定される。動力学的な結合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIA評価プログラムを用いてデータを1:1ラングミュア結合モデルにフィットさせることによって同時に取得される(Karlsson, R. Roos, H. Fagerstam, L. Petersson, B. (1994). Methods Enzymology 6. 99-110、この内容はその全体が本明細書に組み込まれる)。平衡解離定数(Kd)の値はkoff/konとして計算される。このプロトコルは、任意の抗原に対する抗体またはフラグメントの結合親和性を決定するために使用するのに適している。当分野で公知の他のプロトコルも使用され得る(例えば、ELISA)。
【0091】
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」エピトープは、当分野でよく理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定する方法は当分野で周知である。分子実体は、別の細胞または物質よりも高い頻度で、より迅速に、より高い持続性で、かつ/またはより高い親和性で特定の細胞または物質と反応または結合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと考えられている。抗体は、他の物質に結合するよりも高い親和性、結合活性、容易性および/または持続性で標的に結合する場合、標的に「特異的に結合」または「優先的に結合」する。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または優先的に結合してもしなくてもよいことが理解される。このように、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含み得るが)必ずしも必要としない。
【0092】
抗体に関して本明細書で使用される用語「競合する」は、第1の抗体とその同種エピトープとの結合の結果が、第2の抗体の非存在下における第1の抗体の結合と比較して第2の抗体の存在下において検出可能に低下するように、第1の抗体またはその抗原結合部分が第2の抗体またはその抗原結合部分の結合と十分に類似した様式でエピトープに結合することを意味する。第2の抗体のそのエピトープへの結合が第1の抗体の存在下において検出可能に低下するという代替もあり得るが、そうである必要はない。すなわち、第2の抗体が第1の抗体のその各エピトープへの結合を阻害することなく、第1の抗体が第2の抗体のそのエピトープへの結合を阻害し得る。しかし、各抗体が他の抗体と同種エピトープまたはリガンドとの結合を(同程度であろうと、より大きなまたは小さな程度であろうと)検出可能に阻害する場合、抗体は各エピトープの結合について互いに「交差競合する」と考えられる。競合する抗体および交差競合する抗体はともに本発明に包含される。そのような競合または交差競合が生じる機構(例えば、立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープもしくはその一部への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書で提供される教示に基づいてそのような競合および/または交差競合する抗体が包含され、本明細書で開示される方法に有用であり得ることを認識する。
【0093】
抗体(免疫グロブリン)は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて種々のクラスに割り当てられ得る。抗体またはフラグメントは、例えばそれぞれIgG、IgD、IgE、IgAもしくはIgM抗体またはそのフラグメントのいずれかであり得る。ある実施態様において、抗体は免疫グロブリンGである。ある実施態様において、抗体フラグメントは免疫グロブリンGのフラグメントである。ある実施態様において、抗体はIgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3またはIgG4である。ある実施態様において、抗体は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG2a、ヒトIgG2b、ヒトIgG3またはヒトIgG4からの配列を含む。これらの抗体のいずれかのサブタイプの組合せもまた、使用され得る。使用される抗体の種類の選択における考慮の1つは、抗体の望ましい血清半減期である。例えば、IgGは一般に23日の血清半減期を有し、IgAは6日、IgMは5日、IgDは3日、IgEは2日である(Abbas AK, Lichtman AH, Pober JS. Cellular and Molecular Immunology, 4th edition, W.B. Saunders Co., Philadelphia, 2000、これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0094】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と呼ばれ得る。軽鎖の可変ドメインは「VL」と呼ばれ得る。これらのドメインは一般に抗体の最も可変な部分であり、抗原結合部位を含む。用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分が、抗体間で配列が広範に異なっており、それぞれの特定の抗体の特定の抗原に対する結合および特異性に使用されているという事実を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等に分布しているわけではない。軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方において、可変性は超可変領域(HVR)(またはCDR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、これらは大部分がβシート配置をとり、βシート構造を連結する(βシート構造の一部を形成する場合もある)ループを形成する3つのCDRによって連結されている。各鎖のCDRはFR領域によって近接して保持されており、他の鎖のCDRとともに抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能(抗体依存性細胞傷害における抗体の関与など)を示す。
【0095】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なる種類(カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる)のうち1つに割り当てられ得る。
【0096】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書において定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0097】
本明細書における用語「超可変領域」または「HVR」は、配列が超可変性であり、かつ/または構造的に規定されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体はVHに3つ(H1、H2、H3)およびVLに3つ(L1、L2、L3)の6つのHVRを含む。天然の抗体において、6つのHVRのうちH3およびL3が最も大きな多様性を示し、特にH3は抗体に精密な特異性を与えるのに特有の役割を果たしていると考えられている。例えば、Xu et al., Immunity 13:37-45 (2000); Johnson and Wu, in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, N.J., 2003)を参照。実際に、天然に存在する重鎖のみからなるラクダ類抗体は、軽鎖が存在しない場合でも機能的で安定である。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993); Sheriff et al., Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照。多数のHVRの描写が使用されており、本明細書に包含される。Kabatの相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)、これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。重鎖および軽鎖にはそれぞれCDR1、2および3が存在する。Chothiaは、代わりに構造ループの位置に言及している(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRはKabatのHVRとChothiaの構造ループとの間の妥協点を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触(contact)」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づいている。HVRは、以下の「拡張(extended)HVR」を含み得る:VLの24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)および89~97または89~96(L3)、ならびにVHの26~35(H1)、50~65または49~65(H2)および93~102、94~102または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの各定義について上述のKabat et al.に従って番号付けされている。
【0098】
本明細書における用語「Fc領域」は免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用され、天然配列のFc領域およびバリアントFc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基またはPro230からそのカルボキシ末端まで広がっているように定義される。Fc領域のC末端リジンは、例えば抗体の産生または精製において除去され得、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換えにより設計することによって除去され得る。したがって、本明細書で使用されるインタクト抗体は、他のC末端リジンを有するか、または有しない抗体であり得る。
【0099】
本明細書に開示された抗体、scFvまたは抗体のフラグメントを含む組成物または医薬組成物は、使用前の保存および輸送中の期間にわたって変性、酸化または凝集の効果によるタンパク質の活性または構造的完全性の低下を妨げるために安定剤を含み得る。組成物または医薬組成物は、塩、界面活性剤、pHおよび等張化剤(糖など)のうち1つ以上の任意の組合せを含み得、これらは凝集の問題を克服するのに寄与し得る。組成物または医薬組成物が注射剤として使用される場合、pH値はおよそ中性のpH範囲であり、対象への注射において有害な製剤中の気泡を回避するために界面活性剤のレベルを最小限にすることは有利である。ある実施態様において、組成物または医薬組成物は液状であり、高濃度の生理活性抗体を溶液中で安定に支持し、吸入投与または非経口投与に適している。ある実施態様において、組成物または医薬組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内および/または皮下注射に適している。ある実施態様において、組成物または医薬組成物は液状であり、気泡形成およびアナフィラキシー様の副作用のリスクが最小化されている。ある実施態様において、組成物または医薬組成物は等張性である。ある実施態様において、組成物または医薬組成物は6.8~7.4のpHを有する。
【0100】
ある実施態様において、本明細書に開示されている抗体のscFvまたはフラグメントは凍結乾燥および/またはフリーズドライされており、使用のために再構成される。
【0101】
薬学的に許容され得る担体の例には、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水溶液、滅菌水(USPの注射用水を含む)、エマルジョン(油/水エマルジョンなど)、および各種の湿潤剤が含まれる。エアロゾルまたは非経口投与のための希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水または(0.9%)生理食塩水(例えばUSPの0.9%塩化ナトリウム溶液)が含まれる。このような担体を含む組成物は、当業者に公知の方法によって製剤化される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990; およびRemington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing, 2000を参照、これらの各内容はその全体が本明細書に組み込まれる)。限定されない例として、担体は、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、ポリソルベート80(例えば、2-[2-[3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)オキソラン-2-イル]-2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル(E)-オクタデカ-9-エノエート)、脱水エデト酸二ナトリウム、スクロース、りん酸一ナトリウム一水和物、または二塩基性リン酸ナトリウム二水和物のうち1つ以上を含み得る。
【0102】
本明細書に記載の抗体、抗体フラグメント、組成物または医薬組成物は凍結乾燥され得、または任意の適切な形態(限定されないが、注射用溶液、吸入用溶液、ゲル形態および錠剤を含む)で提供され得る。
【0103】
本明細書における用語「Fcドメイン」は免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用され、天然配列のFc領域およびバリアントFc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFcドメインの境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖のFcドメインは通常、Cys226位のアミノ酸残基またはPro230からそのカルボキシ末端まで広がっているように定義される。FcドメインのC末端リジンは、例えばそれをコードする核酸を組換えにより設計することによって除去され得る。ある実施態様において、抗体はFcドメインを含む。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインと同一の配列または99%以上の配列類似性を有する。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒトIgG2 Fcドメインと同一の配列または99%以上の配列類似性を有する。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒトIgG3 Fcドメインと同一の配列または99%以上の配列類似性を有する。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒトIgG4 Fcドメインと同一の配列または99%以上の配列類似性を有する。ある実施態様において、Fcドメインは変異していない。ある実施態様において、Fcドメインは、中性pHではなく酸性pHにおいてFcRnに対するIgGの親和性を増加させるために、CH2-CH3ドメイン界面において変異している(Dall'Acqua et al, 2006; Yeung et al, 2009)。ある実施態様において、FcドメインはヒトIgG1 Fcドメインと同一の配列を有する。
【0104】
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの範囲の長さのアミノ末端融合および/またはカルボキシ末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグと融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端またはC末端への、血液循環中の抗体の半減期を増加させる酵素またはポリペプチドの融合が含まれる。
【0105】
置換バリアントは抗体分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基を除去し、その位置に異なる残基を挿入している。置換変異について最も興味深い部位には超可変領域が含まれるが、フレームワークの変化も想定される。保存的置換が、「保存的置換」という表題で表1に示されている。このような置換が生物活性に変化をもたらす場合、表1において「例示的置換」と記載されているか、またはアミノ酸の分類に関して以下でさらに説明されているより実質的な変化が導入され得、生成物がスクリーニングされ得る。
【表1】
【0106】
抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造(例えばβシートまたはらせん構造)、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクを維持する効果が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖の特性に基づいてグループに分けられる:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)極性無電荷:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負に帯電):Asp、Glu;
(4)塩基性(正に帯電):Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
【0107】
非保存的置換は、これらの分類のうち1つのメンバーを別の分類のメンバーに交換することによってなされる。
【0108】
(例えば実施され得る)置換の種類の1つは、化学反応し得る抗体の1つ以上のシステインを別の残基(限定されないが、アラニンまたはセリンなど)に変化させることである。例えば、非標準(non-canonical)システインの置換があり得る。置換は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域または抗体の定常領域においてなされ得る。いくつかの実施態様において、システインは標準(canonical)である。分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋結合を妨げるために、抗体の適切な立体構造の維持に関与していない任意のシステイン残基が(一般にはセリンに)置換され得る。逆に、特に抗体が抗体フラグメント(Fvフラグメントなど)である場合、抗体の安定性を改善するためにシステイン結合が抗体に追加され得る。
【0109】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は組換えにより作製される。ある実施態様において、融合タンパク質は真核生物発現系において作製される。
【0110】
ある実施態様において、真核生物発現系において作製された融合タンパク質は、Asn297に対応するFc部分の残基においてグリコシル化を含む。
【0111】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物または医薬組成物は、抗体またはその抗原結合フラグメントに関して実質的に純粋である。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物または医薬組成物は、組成物または医薬組成物の試料の少なくとも60%~75%が1種類の抗体またはその抗原結合フラグメントを示す場合、抗体またはフラグメントに関して「実質的に純粋」である。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む実質的に純粋な組成物または医薬組成物は、抗体または抗原結合フラグメントの部分において、1種類の抗体または抗原結合フラグメントを60%、70%、80%または90%含み得、より通常には約95%であり、好ましくは99%を超える。純度または均一性は、当分野で周知の多くの手段(ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLCなど)によって試験され得る。
【0112】
ある実施態様において、ヒトHVEMは、配列番号1(GenBank:AAQ89238.1)のタンパク質配列を有する。
【0113】
例えば選択肢Aおよび/または選択肢Bとともに本明細書において使用される「および/または」は、(i)選択肢A、(ii)選択肢B、および(iii)選択肢Aプラス選択肢Bの別々の実施態様を包含する。
【0114】
本明細書に記載の様々な要素のあらゆる組合せが、本明細書において他の指示がない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明の範囲内にある。
【0115】
本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。本明細書において、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を示していない限り、複数形(「少なくとも1つ」を含む)を含むことが意図される。「少なくとも1つ」は、「a」または「an」を限定するものとして解釈されるべきではない。「または」は「および/または」を意味する。本明細書において、用語「および/または」は、関連して記載されている項目の1つ以上のあらゆる組合せを含む。本明細書において使用される場合、用語「含む」および/または「含んでいる」または「包含する」および/または「包含している」は、記載された特徴、領域、整数、工程、操作、要素および/または成分の存在を特定するが、1以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解される。
【0116】
特に定義されていない限り、本明細書におけるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されている用語などの用語は、関連する分野および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味には解釈されないことがさらに理解される。
【0117】
本願のあらゆる箇所において様々な出版物が参照されている。これらの参考文献の完全な引用が本明細書の最後に見出され得る。本明細書において参照されたすべての出版物、特許、特許出願公開および書籍の開示は、参照によってその全体が本願に組み込まれ、本発明に関連する分野をより完全に説明する。
【0118】
本発明は、以下の実験の詳細からよりよく理解され得る。
【実施例0119】
実験の詳細
HVEMシグナル伝達は、これまで抗体応答の機能性とは関連付けられていなかった。ゲノムにおいてHSV-2糖タンパク質Dをコードする遺伝子全体を欠失させた組換えHSV-2(本明細書では「ΔgD-2」と呼ばれる)は主にADCC応答を誘発するが、自然感染およびgD発現ワクチンは中和応答を誘発するという予想外の観察を考慮して、HVEMシグナル伝達はADCCの生成を促進し得、かつ/またはgDはこの応答を遮断し得るという仮説を立てた。この仮説を試験するために、野生型マウスおよびHVEM、BTLAまたはLIGHTノックアウトマウスにおいて、ΔgD-2、(gDを発現する)dl529および組換えgDタンパク質ワクチンの免疫原性および有効性を比較した。結果として、Fcガンマ受容体IV(FcγRIV)ADCCを媒介する抗体は、HSV-1およびHSV-2の臨床分離株に対する免疫防御の強い相関を与え、HVEM-LIGHTシグナル伝達がこの防御免疫応答に関与していることが示された。さらに、HVEMの非存在下またはgDの存在下において、免疫細胞がADCCを引き起こす能力は障害される。
【0120】
ΔgDおよびrgD-2はHSVの臨床分離株による感染から差次的に保護する
候補ワクチンは、免疫原性および有効性が異なっていることが示された。ΔgD-2およびrgD-2ワクチンによる保護を比較するために、C57BL/6マウスに5x10
6、5x10
5または5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2/AS04(GlaxoSmithKline)もしくはrgD-2/Alum-MPLを3週間間隔でプライムブースト接種した。ブースト接種の3週間後に、マウスの皮膚に10x致死量(LD90)のHSV-1(株B
3x1.1)(
図1A)またはHSV-2(SD90)(
図1B)を曝露させた。ΔgD-2は、5x10
6または5x10
5のワクチン投与量において100%のマウスを保護し、5x10
4pfu/マウスでの免疫後に80%(HSV-1)および70%(HSV-2)のマウスを保護した。rgD-2タンパク質ワクチンは、これらの高用量の臨床分離株HSV-1(40%)またはHSV-2(20%)に対して制限された保護を与えた。後根神経節(DRG)中のHSV DNAを潜伏のマーカーとして定量し、その結果は生存率のデータと同等であった(
図1C)。ウイルスDNAは2つの最も高用量のΔgD-2を接種したマウス10匹のうち1匹においてのみ検出され、最も低い用量のワクチンにおいても潜伏に対する保護が観察された(3/10(HSV-1)および4/10(HSV-2)のマウスにおいてDNAが検出された)。HSVを曝露させる1日前に、免疫したマウスからナイーブマウスに750μgの全IgGを移入することによって受動移入保護を評価した。ΔgD-2を免疫したマウスからの血清IgGのみが、HSV-2 4674による皮膚曝露からナイーブマウスを完全に受動的に保護でき(
図1D)、alumおよびMPLを伴うrgD-2は保護を与えなかった。
【0121】
ΔgD-2(ΔgD)およびrgD-2はHSVに対して機能的に異なる抗体応答を誘導する
有効性の差異が抗体応答の量および/または機能性に関連しているか否かを決定するために、マウスに5x10
4pfuのΔgD-2または5μgのrgD-2を免疫し、ブースト接種の1週間後に血清試料を採取し、全HSV-2特異的IgG力価(1:90000希釈;
図2A)または全gD-2結合IgG(
図2B)をELISAにより定量した。有効性において血清型の差異はほとんどなく、ワクチンはHSV-2ウイルスおよびタンパク質に基づいているため、HSV-2に対する応答に注目した。ΔgD-2は最も高い全HSV-2 ELISA抗体価を誘導し、rgD-2/AS04は最も頑強なgD-2特異的応答を誘導した;ΔgD-2の免疫に応答したgD特異的抗体は検出されなかった。Ab応答の機能性も異なっていた。組換えgD-2/AS04は最も高い中和価を誘導したが(
図2C)、FcγRIVの活性化をほとんどまたは全く誘導しなかった(
図2D)。逆に、ΔgD-2は最も強力なFcγRIV応答を誘導したが、中和活性をほとんど誘導しなかった。機能の差異は、HSV-2特異的IgG1およびIgG2応答の相対的な割合に反映されていた。マウスにおいて、IgG2はFcγRIVの活性化に最も強く関連するアイソタイプであり、IgG1は中和抗体に最も強く関連するアイソタイプである(Nimmerjahn et al., 2005; Huber et al., 2006)。ΔgD-2は主にIgG2応答を誘導し、rgD-2/AS04は主にIgG1応答を生成し、dl529はIgG1およびIgG2をおよそ同等の割合で誘発した(
図2E)。
【0122】
FcγRIV活性化抗体と保護との間の関連をさらに評価するために、FcγRIV-/-において受動移入研究を行った。ΔgD-2免疫マウスから単離した750μgの血清を腹腔内投与し、ナイーブWTマウスまたはFcγRIV-/-(FcRIV KO)マウスに移入した。ΔgD-2免疫マウスから単離した血清はナイーブWTマウスを完全に保護したが、FcγRIV-/-マウスを保護しなかった。対照(VD60)を接種した動物からの血清はナイーブWTマウスを保護できなかった(
図2F)。
【0123】
HVEM-/-マウスへのΔgDまたはdl5-29の接種は保護を抑制/低下させる
中和抗体からFcγRIV活性化抗体への移行が、HVEMとその1つ以上のリガンドとの相互作用のgDによる遮断の欠如を反映している可能性を調査するため、HVEM-/-マウスにrgD-2/Alum-MPLまたはΔgD-2を接種した後、10xLD
90の株SD90を曝露した。WTマウスと比較してHVEM-/-マウスにおいてΔgD-2に応答した保護が著しく低下した(p<0.0001)が、rgD-2/Alum-MPLで観察された低いレベルの保護には影響はなかった(
図3A)。全HSV結合IgG(
図3B)または中和応答(
図3C)において有意な低下はなかったが、FcγRIV活性化(
図3D)において有意な低下が見られ、ΔgD-2に対するIgG2応答の割合は低下していた(
図3E)。
【0124】
HVEMはADCCエフェクター細胞応答の開始および媒介に関与している
HVEM-/-(またはLIGHT-/-)マウスにおいてΔgD-2により誘発されたIgG2、FcγRIV活性化抗体の減少が、ナイーブWTマウスに対する受動移入保護の能力の低下をもたらすか否かを試験するために、ΔgD-2またはVD60(対照)で免疫したWTマウスまたはHVEM-/-マウスから単離した750μgの血清を、10xLD
90の株SD90を曝露させる1日前にWTマウスまたはHVEM-/-マウスに腹腔内投与した。これまでの研究と一致するように、WTマウスからのΔgD-2免疫血清はナイーブWTマウスを完全に保護し、FcγRIV活性化Abの低下と一致するように、HVEM-/-マウスからの免疫血清は保護できなかった(
図4A)。しかし、予想外に、接種させたWTマウスからのΔgD-2免疫血清をHVEM-/-マウスに移入した場合、保護は観察されなかった(
図4B)。これはHVEMシグナル伝達がADCC応答の生成および媒介の両方に必要であることを示唆している。
【0125】
BTLAのリガンドは関与していない
FcγRIV活性化抗体の生成に対するBTLAの効果を調査するために、WT(C57Bl/6)マウスまたはBTLA-/-マウスに5x10
5pfuのΔgD-2、VD-60細胞溶解物(対照)またはalumおよびMPLを伴う5μgのrgD-2をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血によって血清を取得し、マウスに10xLD
90の株SD90を曝露させた。全HSV結合IgG(
図5A)、中和応答(
図5B)またはFcγRIV活性化(
図5C)に有意な差はなかった。また、WTマウスと比較してBTLA-/-マウスにおいてΔgD-2に応答した保護の有意な低下はなく(
図5D)、BTLAがFcγRIV活性化抗体の生成において重要な役割を果たしていないことが示唆された。
【0126】
LIGHTリガンドの役割
FcγRIV活性化抗体の生成に対するLIGHTの効果を調査するために、WT(C57Bl/6)マウスまたはLIGHT-/-マウスに5x10
5pfuのΔgD-2または5 VD-60細胞溶解物(対照)をプライムブースト接種した(3週間間隔)。ブースト接種の1週間後に、後眼窩出血により血清を取得し、マウスに10xLD
90のHSV-2株SD90を曝露させた。全HSV結合IgG(
図6A)または中和応答(
図6B)に有意な差はなかったが、LIGHT-/-マウスにおいてFcγRIV活性化が有意に低下していた(
図6C)。LIGHT-/-マウスの部分的な保護がHSV-2による感染後に観察された(
図6D)。これらの結果はHVEMとLIGHTとの間の相互作用がFcγRIV活性化抗体の生成に関与していることを示唆しているが、他のリガンドも寄与してい得る。
【0127】
HVEM-/-マウス由来の細胞はエフェクター機能を欠損している
ADCCの媒介におけるHVEMの役割をさらに評価するために、WTまたはHVEM-/-の全骨髄または種々の細胞亜集団をエフェクター細胞として用い、HSV-2感染HaCAT細胞を標的細胞として用いてエクスビボでのアッセイを行った。感染細胞を同定するために標的細胞にGFPを発現するHSV-2株を感染させ、エフェクター細胞とともにインキュベートした後に死滅したHSV-2感染標的細胞の割合の変化によって細胞の死滅を測定した。簡潔に述べると、HaCAT細胞にHSV-2 333-ZAG(GFP)を4時間感染させた。次いで、感染させた標的細胞を、ΔgDを接種したマウスからの免疫血清(1:5希釈)とともにインキュベートし、WTまたはHVEM-/-マウスからの全骨髄または骨髄由来DCをエフェクター細胞として用いた。エフェクター細胞による死滅を、死滅したGFP+感染標的細胞をフローサイトメトリーにより定量することによって測定した。WTマウスから単離した細胞と比較して、HVEM-/-の骨髄からエフェクター細胞を単離した場合、ADCCが有意に低下した(
図7A、7B参照)。
【0128】
gDおよび抗HVEM抗体はFcγRIV活性化を阻害する
ΔgD-2またはVD-60(対照)で免疫したマウスからの血清を、単独または組換えgD、組換えHSV糖タンパク質B(gB)もしくは抗HVEM抗体と組み合わせて、ΔgD-2感染Vero標的細胞およびNFATルシフェラーゼレポーター(PROMEGA)と連結したmFcRIVを発現するエフェクター細胞に添加した。
図8Aに示されるように、可溶性gDまたは抗HVEM抗体は、FcγRIV活性化を低下させる。ΔgD-2で免疫したマウスからの血清を、WT HSV-2またはΔgD-2(すなわち、感染細胞上にgDが発現しない)のいずれかを感染させた標的細胞と組み合わせた場合、標的におけるgDの非存在下ではFcγRIVの活性化が増強されるが、組換えgDタンパク質の添加はFcγRIVの活性化を元に戻す(
図8B)。
【0129】
免疫血清を使用する代わりに、(CD20を発現する)Raji細胞およびリツキシマブ(抗CD20)を用いて、抗HVEM抗体(10または20μg)の非存在下または存在下においてアッセイを実施した。
図8Cに示されるように、抗HVEM抗体はFcγRIV活性化を阻害し、これはHVEMが最適なエフェクター死滅機能に必要であることを示している。
【0130】
gDおよび抗HVEMは、ヒト血清によるFcγRIIIa活性化を阻害する
5人のHSV血清陽性個体からのヒト血清を、HSV-2(SD90)感染標的細胞およびNFATルシフェラーゼレポーター(PROMEGA)に連結したヒトFcγRIIIaを発現するエフェクター細胞と単独またはgDタンパク質(5μgまたは10μg)もしくは抗HVEM抗体(10μg)と組み合わせてインキュベートした。
図9に示されているように、ヒト血清は低レベル(5~6倍)のFcγRIIIa活性化抗体(m FcγRIVのヒト相当の受容体活性化を測定するためにヒトキットを用いて検出した)を有し、組換えgDタンパク質または抗HVEM抗体を添加した場合、細胞の死滅は減少する。
【0131】
HVEMは、他の病原体に対するADCC Abの生成に必要である
この研究では、野生型マウスまたはHVEM-/-ノックアウトマウスに10
4pfuのVSV-エボラウイルスコンストラクト(Chandran lab)またはPBS(対照)を3週間間隔でプライムブースト免疫し、全抗体およびADCC活性化Abについて免疫血清をアッセイした。エボラタンパク質に対する全血清抗体を測定し、その結果を
図10Aに示す。血清を、VSV-エボラに感染させた標的細胞およびNFATルシフェラーゼレポーター(PROMEGA)に連結したmFcγRIVを発現するエフェクター細胞とともにインキュベートした。
図10Bに示されるように、HVEM KOマウスにおいてFcγRIV活性化Abは低下していた。
【0132】
受動移入はBTLAではなくLIGHTの役割を示す
VD60で免疫した対照マウスからの血清またはΔgD-2で免疫したマウスからの血清を、曝露の1日前にWT、BTLA-/-またはLIGHT-/-マウスに腹腔内投与した。
図11Aおよび
図11Bに示されるように、ΔgD-2で免疫したマウスからの血清の受動移入はBTLA-/-マウスの死亡を防ぐことができたが、LIGHT-/-マウスではより効果が低かった。
【0133】
考察
gDを標的とする中和抗体を誘発するように設計された他のHSVワクチンの試みとは対照的に、ΔgD-2は頑強な非gD、FcγRIV活性化ADCC応答を誘導する(Petro et al., 2015; 2016; Burn et al., 2017)。この機能的な差異は、HSV-1またはHSV-2の臨床分離株を曝露したマウスにおいてより大きな保護をもたらす。アジュバント化されたrgD-2サブユニット製剤は最も高いgD特異的および中和抗体応答を誘発することが示されているが、マウスにこれらの臨床分離株を曝露させた場合、これらの製剤は原疾患に対してわずかな保護しか与えず、潜伏を妨げることはできなかった。これらの結果はrgD-2による受動的防御の欠如およびFcγRIVノックアウトマウスにおける受動的防御の低下と関連し、ADCC応答が免疫防御のより優れた相関を与えることを示している。保護の媒介におけるADCCの中心的な役割は臨床研究によって支持されている。例えば、皮膚に限局した疾患を有するHSVに感染した新生児は、播種性疾患を呈した乳児と比較してより高いADCC抗体価を母親から獲得した(Kohl et al., 1989; Kohl, 1991)。
【0134】
rgD-2(主にIgG1、中和)およびΔgD-2(主にIgG2、FcγRIV活性化)に対する差次的な応答は、gDが免疫回避戦略としてより保護的なADCC応答の生成を遮断し得ることを示唆している。病原体に対する抗体応答の種類を決定しているものは完全には解明されていないが、gDはいくつかのHVEMリガンドと競合するため、HVEMが「調節」の役割を果たし得るという仮説を立てた。今回の研究結果はこの仮説を支持している。WTマウスと比較して、HVEMノックアウトマウスではFcγR活性化、ADCC、およびΔgD-2に対するIgG2抗体応答の割合が低下していた。類似の結果がLIGHT-/-マウスにおいて観察されたが、BTLA-/-マウスでは観察されず、これはHVEM-LIGHTシグナル伝達がADCC応答の生成を促進していることを示唆している。注目すべきことに、HVEM-/-マウスではΔgD-2に対する全HSV結合抗体応答またはrgD-2タンパク質ワクチンに対する中和応答は低下しておらず、これはHVEMシグナル伝達がADCC応答の生成に特異的に寄与しており、一般的な抗体応答の誘発には必要でないことを示唆している。他のgD発現ワクチンおよび自然感染は可変量のADCC応答を伴って中和抗体を優先的に生成し、これはウイルスによって産生されたgDがHVEM-LIGHTシグナル伝達を遮断する能力を反映していると考えられる。自然感染に対する可変のADCC抗体応答は、HVEMの発現およびシグナル伝達の個体差を反映してい得る。
【0135】
注目すべきことに、HVEMシグナル伝達は、FcR活性化抗体応答の開始だけでなく、ADCCの媒介にも必要であった。この結論は受動移入研究によって支持されている。ΔgD-2免疫マウスから採取した血清の腹腔内投与は、その後のウイルス曝露に対してWTマウスを完全に保護したが、HVEM-/-マウスは保護しなかった。抗体依存性細胞死滅の媒介におけるHVEMの役割は、HVEM-/-マウス由来のエフェクター細胞がWTマウス由来の細胞と比較してHSV感染標的細胞を実質的により少なく死滅させたというインビトロでの研究によって確認された。
【0136】
gD-2タンパク質がエフェクター機能を妨げる能力は、gD-2の存在下におけるFcγRIV活性化の用量依存的な遮断によって示された。逆に、標的細胞にWTウイルスではなくΔgD-2を感染させ、標的細胞が細胞膜上にgDを発現しなかった場合、FcγRIV活性化は上昇し、これは結果として免疫回避戦略を示している。糖タンパク質DはHVEMシグナル伝達と競合してADCC抗体応答の生成を遮断するが、抗体が存在している場合においても、エフェクター細胞死滅を妨げる。したがって、この結果は、ADCCが有害な影響を与える状況(例えば自己免疫疾患)においてADCC応答を最小化および/または遮断するために糖タンパク質DをHVEMアンタゴニストとして使用することを示唆する。
【0137】
HVEMのシグナル伝達を妨げ、ADCC応答の生成および/またはエフェクター細胞が死滅を誘導する能力を遮断することは、中和抗体を回避する病原体に特に関連し得る。例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のUL144タンパク質は、BTLAを標的とするHVEMのオルソログである(Cheung et al., 2005)。CMVの病因におけるこのタンパク質の機能は不明であるが、免疫回避に関与しているという仮説が立てられている(Poole et al., 2006)。
【0138】
本研究の結果は、抗体依存性細胞介在性死滅応答の生成および作用におけるHVEMシグナル伝達についての従前認識されていなかった調節的役割を明らかにし、新たなHSV免疫回避戦略を同定している。gDはHVEM結合についてLIGHTと競合することによって、FcγRIV活性化抗体の生成を妨げ、抗体が産生されている場合においても抗体が標的細胞死滅を媒介する能力を妨げる。ウイルスは細胞間を直接伝播することによってこれらの抗体を回避し得るため、これは自然感染に対する中和抗体応答の優先的な誘導に寄与し得る。
【0139】
本明細書において開示されている方法のいくつかの実施態様を以下に示す。
【0140】
実施態様1:対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象に対象のADCC抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0141】
実施態様2:中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニスト、腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)アゴニストまたはそれらの組合せを投与することを含む、方法。
【0142】
実施態様3:HVEMアゴニストが腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF-14)タンパク質またはその一部を含む、実施態様1または2に記載の方法。
【0143】
実施態様4:HVEMアゴニストが六価のTNFSF融合タンパク質を含む、実施態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0144】
実施態様5:六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、実施態様4記載の方法。
【0145】
実施態様6:HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、実施態様1~5のいずれかに記載の方法。
【0146】
実施態様7:HVEMアゴニストがHVEMに結合するモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である、実施態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0147】
実施態様8:対象が追加的な免疫賦活性物質を投与されていない、実施態様1~7のいずれかに記載の方法。
【0148】
実施態様9:対象がTNFSF刺激性物質、TNFSF抑制性物質またはそれらの組合せを投与されていない、実施態様1~8のいずれかに記載の方法。
【0149】
実施態様10:対象がtoll様受容体(TLR)アゴニスト、CD40アゴニスト、CD27アゴニスト、MDA5アゴニスト、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン含有タンパク質(NOD)、またはそれらの組合せを投与されていない、実施態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0150】
実施態様11:対象が、神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)中に存在するドメイン、II型トランス活性化因子(CIITA)中に存在するドメイン、ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HET-E)中に存在するドメイン、TP-1(NACHT)-ロイシンリッチリピート中に存在するドメイン、nod様受容体(NLR)アゴニスト中に存在するドメイン、RIG様ヘリカーゼ(RLH)アゴニスト、サイトカイン/ケモカイン受容体アゴニスト、プリン受容体アゴニスト、またはそれらの組合せを投与されていない、実施態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0151】
実施態様12:ワクチンがDNAワクチンまたは遺伝子ワクチンではない、実施態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0152】
実施態様13:ワクチンが、がんワクチン、抗腫瘍ワクチンまたは腫瘍上の標的に対するワクチンを含まない、実施態様1~12のいずれかに記載の方法。
【0153】
実施態様14:ワクチンが感染性物質に対するワクチンである、実施態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施態様15:ワクチンが、ウイルス、細菌またはそれらの組合せに対するワクチンである、実施態様1~14のいずれかに記載の方法。
【0155】
実施態様16:Fcガンマ受容体IV結合抗体の産生を誘発する、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
【0156】
実施態様17:対象において感染性物質のワクチンに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を優先的に増強する方法であって、ワクチンを受けている対象にADCC抗体応答を増強するのに有効な量の腫瘍壊死因子スーパーファミリー14(TNFSF)タンパク質を投与することを含む、方法。
【0157】
実施態様18:中和抗体応答を誘発する感染性物質のワクチンの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を増強する方法であって、感染性物質のワクチンを受けている対象に対象のADCC活性を増強するのに有効な量のTNFSF-14タンパク質を投与することを含む、方法。
【0158】
実施態様19:感染性物質のワクチン、および中和抗体応答よりも抗体依存性細胞傷害(ADCC)抗体応答を増強するのに有効な量のヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)アゴニストを含む組成物。
【0159】
実施態様20:HVEMアゴニストがTNFスーパーファミリー(TNFSF)タンパク質を含む、実施態様19記載の組成物。
【0160】
実施態様21:HVEMアゴニストが六価のTNFSF融合タンパク質である、実施態様19または20に記載の組成物。
【0161】
実施態様22:六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、実施態様19~21のいずれかに記載の組成物。
【0162】
実施態様23:HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、実施態様19~22のいずれかに記載の組成物。
【0163】
実施態様24:HVEMアゴニストがHVEMに結合するモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)である、実施態様19~23のいずれかに記載の組成物。
【0164】
実施態様25:以下を含む、ワクチン応答を増強するためのキット:
(i)ある量のHVEMアゴニスト;および
(ii)ある量の感染性物質のワクチン。
【0165】
実施態様26:HVEMアゴニストが六価の腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)融合タンパク質である、実施態様25記載のキット。
【0166】
実施態様27:六価のTNFSF融合タンパク質が、機能的な三価の受容体結合ドメインにフォールドされた3つのTNFSF-14サブ配列を含み、サイレンシングされたIgG1 Fcドメインを二量体化スキャフォールドとしてそのC末端に融合している一本鎖ポリペプチドを含む、実施態様25または26に記載のキット。
【0167】
実施態様28:HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニスト抗体である、実施態様25~27のいずれかに記載のキット。
【0168】
実施態様29:HVEMアゴニストがHVEMに結合するアゴニストモノクローナル抗体の単鎖可変フラグメントである、実施態様25~28のいずれかに記載のキット。
【0169】
実施態様30:自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を減少または遮断する方法であって、対象におけるFcγR介在性死滅を減少または遮断するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【0170】
実施態様31:自己免疫疾患を有する対象において自己抗原のFcガンマ受容体(FcγR)介在性死滅を遮断する方法であって、対象の自己免疫疾患を軽減するのに有効な量のHVEMアンタゴニスト、可溶性単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質D、HVEMに結合する抗体、またはそれらの組合せを対象に投与することを含む、方法。
【0171】
実施態様32:可溶性HSV糖タンパク質Dが、HSV-1糖タンパク質D、HSV-2糖タンパク質D、またはそれらの組合せを含む、実施態様30または31に記載の方法。
【0172】
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