(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020335
(43)【公開日】2025-02-12
(54)【発明の名称】薬物に依存しない患者固有の投薬レジメンのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20250204BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024195155
(22)【出願日】2024-11-07
(62)【分割の表示】P 2021553012の分割
【原出願日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】62/815,825
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/391,950
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/028750
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518032982
【氏名又は名称】モールド, ダイアン アール.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】モールド, ダイアン アール.
(57)【要約】
【課題】薬物に依存しない患者固有の投薬レジメンのためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】本明細書に説明されるシステムおよび方法は、コンピュータ化医薬品投薬レジメン推奨システムを使用して患者のための患者固有の医薬品投薬レジメンを決定する。本明細書におけるシステムおよび方法は、コンピュータ化医薬品投薬レジメン推奨システムが、単一の薬物だけではなく薬物のある部類にも適用する1つ以上の患者固有の投薬レジメンを評価および推奨するように構成されるように、薬物に依存しないモデルを提供する。薬物に依存しないモデルは、薬物の部類の中の薬物の全てのために採集された広範囲の臨床的データにアクセスすることによって、薬物固有のモデルより優れた有用性を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる、2019年4月23日に出願された、米国実用出願第16/391,950号と、2019年3月8日に出願された、国際出願第PCT/US2019/028750号および米国仮出願第62/815,825号との35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の優先権の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、限定ではないが、具体的患者のための好適な薬剤治療計画を予測、提案、修正、および評価するために、薬物のある部類に固有の薬剤固有の数学モデルならびに治療に対する観察された患者固有の応答を使用する、コンピュータ化システムおよび方法を含む、患者固有の投薬ならびに治療推奨に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
患者に薬剤ベースの治療レジメンを開始する内科医の決定は、処方されるべき薬剤に関する投薬レジメンの決定を伴う。異なる投薬レジメンが、異なる患者因子を有する、異なる患者のために適切である。実施例として、投薬数量、投薬間隔、治療持続時間、および他の変数が、異なる投薬レジメンを横断して変動し得る。例えば、低好中球数を伴う患者は、遅延投薬量、典型的患者よりも少ない投薬量、または両方を要求し得る。従来的に、内科医は、薬物に関する添付文書(PI)および内科医の独自の個人的臨床体験に基づいて、初期投薬レジメンを処方する。治療の初期周期後に、内科医は、患者を追跡調査し、患者を再評価し、初期投薬レジメンを再考し得る。PIは、時として、投薬量を増加または減少させる、もしくは投薬間隔を増加または減少させるための定量的インジケーションを提供する。患者の内科医の査定、その臨床体験、およびPI情報の両方に基づいて、内科医は、臨機応変に投薬レジメンを調節するであろう。患者のための投薬レジメンを調節することは、大部分が、内科医の体験および臨床判断によって知識を与えられる試行錯誤プロセスである。
【0004】
適切な投薬レジメンは、非常に有益かつ療法的であり得る一方、不適切な投薬レジメンは、効果的ではない、または患者の健康に有害でさえあり得る。さらに、過少投薬および過剰投薬は両方とも、概して、時間、金銭、ならびに/もしくは他のリソースの損失をもたらし、望ましくない転帰のリスクを増大させる。コンピュータ化投薬推奨システムは、投薬レジメンを提供および査定する際に医療従事者を支援し得る。システムおよび方法の以前に開示された実施例が、2013年10月7日に出願され、2018年9月25日に発行された、米国特許第10,083,400号、ならびに2016年4月8日に出願され、2016年10月13日に米国特許出願公開第2016/0300037 A1号として公開された、米国出願第15/094,379号(そのそれぞれは、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0005】
いくつかの公知の母集団薬物動態モデルは、特定の薬物を説明するように展開され、薬物だけではなく、薬物を摂取する具体的患者母集団にも固有である。そのようなモデルは、頻繁に、同様に、特定の投与経路にも固有である。これらのモデルは、モデルが、他の投薬レジメンをシミュレートし、製剤が変更された後の薬物の薬物動態および種々の他の適用を比較するために使用され得るように、薬物と投与経路との両方と、具体的疾患の治療の過程の間に薬物を摂取することが予期される、患者に関して可能な限り具体的であることが意図される。単一の薬物のためのモデルを展開する本アプローチは、その適用を、その薬物、ならびにモデルを作成するためにデータが収集された具体的患者母集団に限定する。モデルの展開および使用法を単一の薬物に限定することは、利用可能な情報ならびにデータの量を狭める。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
故に、薬物のある部類または他の群に適用される、コンピュータ化医薬品投薬レジメン推奨システムを使用して、患者のための患者固有の医薬品投薬レジメンを決定するための、システムおよび方法が、本明細書に説明される。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、薬物のある部類またはセットに関して使用されることが可能である、母集団モデルを提供する。特に、本明細書におけるシステムおよび方法は、複数の薬物の薬物動態的(「PK」)パラメータならびに薬力学的(「PD」)パラメータを示すデータに基づいて、患者固有の投薬レジメンを展開するように構成されることができる。薬物のある群のためのモデルは、モデルが、具体的薬物に依存せず、薬物間の類似性に基づく患者固有のデータを利用するため、例えば、異なる薬物および/または投与経路からの生理学的パラメータのこれまでの測定値に基づいて、患者応答を予測し、将来の投薬を最適化することが可能であろう。また、測定されたデータを、次いで、これまでの結果に対して調査され得る、群の中の他の薬物のモデルベースのシミュレーションと比較することによって、投与された薬物についての情報が、習得され得るように、モデルが、薬剤のあるセットに適用可能であり、具体的薬剤に依存しないことも、望ましくあり得る。薬物のある群に適用可能であるモデルが、多数の薬物を使用して患者を治療する、または投与経路等のある治療因子を変動させることを所望し得る、内科医に合わせて調整的であり得る。
【0007】
投薬レジメン(治療計画とも称される)は、投薬のためのスケジュール、1つ以上の投薬量、ならびに/もしくは1つ以上の投与経路を含んでもよい。投薬レジメンは、1つのみの薬物に限定されず、同一または異なる投与経路を用いる、複数の薬物を含むことができる。薬物(医薬品、薬品、薬剤、生物製剤、化合物、治療、療法、または任意の他の類似する用語とも称される)は、身体の中に導入されたときに生理学的効果を及ぼす物質である。いくつかの実装では、本明細書に説明されるシステムは、特定の薬物に固有ではないが、代わりに、薬物に依存しないモデルにおいて使用される薬物のある部類、または亜集合、もしくは群に適用される。本明細書で使用されるように、用語「薬物」は、単一の薬物または薬物のある部類もしくはセットを指し得る。
【0008】
薬物のある部類は、少なくとも1つの類似の薬物動態的(PK)および/または薬力学的(PD)挙動を呈する、共通の作用機序を共有する、もしくはそれらの組み合わせである、1つを上回る薬物のある群であり得る。実施例として、薬物のあるセットは、同一の疾患を治療する、または同一の適応のために使用されてもよく、その実施例は、全身的炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性結腸炎、クローン病、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、もしくは多発性硬化症を含む。薬物のセットは、類似の化学構造を有し得る。例えば、薬物のセットは、モノクローナル抗体(mAb)、抗炎症性化合物、コルチコステロイド、免疫調節剤、抗生物質、または生物学的療法を含んでもよい。医師、臨床医、または薬物に依存しないモデルを作成するユーザ等のユーザが、具体的基準に基づいて薬物の部類を定義してもよく、その部類の構成要素が、データベース内で、その部類の一部であるものとして電子的に指定されてもよい。そのデータベースは、部類内の任意の薬物のために使用され得る、部類ベースの投薬レジメンを決定する際の使用のために、本明細書に開示されるシステムおよび方法にアクセス可能である。いくつかの実装では、モデルから出力される投薬レジメンは、単一の薬物に固有ではなく、薬物の部類に全般的であり、その部類の中のいかなる薬物にとっても好適である。例えば、投薬レジメンは、薬物に依存しない単位の測定値(例えば、単位が、活性剤の規定量に対応する、1つの単位、2つの単位、3つの単位等)と、投与のための時間または複数の時間を含んでもよい。
【0009】
薬物に依存しないモデルの展開および適用は、単一の薬物固有のモデルと異なる有用性を可能にする。各モデルがある部類内の単一の薬物に対応する、複数のモデルを実装することではなく、薬物に依存しないモデルは、その部類内の全ての薬物に適用可能であり、故に、ある範囲の投与経路を横断して、単一の薬物モデルよりも、広い範囲の患者に適用され得る。例えば、本明細書に説明されるモデルは、炎症性疾患の治療において使用される、全ての生物製剤のために使用されることが可能である、薬物動態的な薬物に依存しないモデルを含んでもよい。そのようなモデルは、同一のモデルを使用して、完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)、キメラmAb、融合タンパク質、およびmAb断片(すなわち、異なる薬物動態学的性質を伴うが、分子量ならびに適応等の他の類似性を伴う、ある範囲の薬物)に関する投薬レジメンを提案するために使用されることができる。モデルは、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、多発性硬化症、および免疫調節異常から生じる、他のそのような疾患を含む、広範囲な患者母集団において使用されることができる。他の広範囲の薬物セット(例えば、アミノグリコシド抗生物質、低白血球数を引き起こす化学療法薬等)の中の作用物質に関する薬物に依存しないベイズモデルの展開および適用も、同様に実行可能である。
【0010】
部類内の薬物は、皮下、静脈内、または経口等の種々の経路を通して投与されてもよい。薬物に依存しないモデルは、投与経路を本システムへの可変入力として受け取り、モデルのためのより優れた柔軟性を可能にすることによって、投与経路を考慮し得る。薬物に依存しないモデルが、単一の薬物のみではなく、薬物のセットに適用されるため、モデルは、患者が薬物のセット内の複数の薬物を用いて治療されるときに、患者固有の情報を留保してもよい。例えば、薬物のセットは、インフリキシマブ、ベドリズマブ、アダリムマブ、および他の抗炎症性生物製剤を含んでもよい。患者が、1つの薬物(例えば、インフリキシマブ)を用いて治療され、次いで、後に別の薬物(例えば、ベドリズマブ)を用いて治療される場合、モデルは、いったん患者が新しい薬物を用いて治療されると、適切な投薬レジメンを決定するときに、患者のインフリキシマブに基づく治療から全ての患者固有のデータ(薬物濃度測定値、クリアランス率、体重測定値等)を留保してもよい。患者固有のデータを留保することは、薬物に依存しないモデルが、薬物を処理する患者の能力を正確に予想し、それによって、患者が薬物療法を変更するときに、より好適な患者固有の投薬レジメンを提供することを可能にする。
【0011】
本発明の一側面は、患者固有の薬剤投薬レジメンを発生させるための方法に関する。下記に詳細に議論されるように、本方法は、分散型アーキテクチャにおけるもの等の、任意のネットワークを経由して通信する単一のコンピュータまたは複数のコンピュータを含む、コンピュータシステムであり得る、システム上に実装されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータシステム内のコンピュータのうちの1つ、いくつか、または全ての中に格納されてもよく、コンピュータシステム内の同一のコンピュータ上もしくは異なるコンピュータ上に記憶される、少なくとも1つの電子データベースと通信してもよい。本システムは、同一、関連する、または関連していないエンティティによって動作される、クラウドベースのコンピューティングシステムを含んでもよい。
【0012】
本方法は、本システムのプロセッサの中に入力を受信するステップを含む。入力は、複数の薬物および関連付けられる投与経路を示す、薬物データであって、複数の薬物の中の薬物は、類似の薬物動態的(PK)挙動、類似の薬力学的(PD)挙動、または両方を呈することが予期される、薬物データを含んでもよい。例えば、薬物は、類似の薬物動態的(PK)挙動、類似の薬力学的(PD)挙動、または両方につながる、類似の化学構造もしくは作用機序を有してもよい。入力は、患者から取得されるサンプル中の複数の薬物の具体的薬物の濃度または応答レベルを示す、(PKモデルのための)濃度もしくは(PDモデルのための)応答データを含んでもよい。入力は、患者のための標的薬物暴露または応答レベルを含んでもよい。標的は、内科医によって、薬物データおよび/または濃度もしくは応答に基づいて決定されてもよい。いくつかの実装では、標的が、患者において療法的応答をもたらすために、本システムによって自動的に決定されてもよい。本システムは、患者において療法的応答をもたらす、1つ以上の標的を決定するために、入力される複数の標的を評価してもよい。
【0013】
本方法は、本システムのメモリの中に記憶されるデータベースから、数学モデルを選択するステップを含む。データベースは、プロセッサによってアクセス可能であってもよく、複数の数学モデルを記憶してもよい。選択された数学モデルは、複数の患者による、複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対する応答を表してもよい。応答の各応答は、複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示す。いくつかの事例では、数学モデルは、特定の薬物に固有ではない。他の事例では、モデルは、最初に、特定の薬物に固有であり、次いで、本明細書に説明される方法を使用して経時的に順応され、類似の薬物のある部類に適用されてもよい。他の事例では、ユーザは、薬物固有のモデルが、他の薬物に関する濃度または応答を予測するために使用され得ること、および薬物固有のモデルが、薬物に依存しない予測のために使用され得ることを見出し得る。
【0014】
本方法は、選択された数学モデルを使用して、かつ入力に基づいて、複数の予測濃度時間プロファイルを推測するステップを含む。予測濃度時間プロファイルはそれぞれ、特定の投与経路を介した複数の薬物の中の任意の薬物に対する患者の応答を示してもよい。複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、本システムによって出力される複数の投薬レジメン中の投薬レジメンに対応してもよい。各投薬レジメンは、少なくとも1つの投薬量および/または患者に少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールを含んでもよい。本方法は、複数の投薬レジメンから、標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために、複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択するステップを含んでもよい。
【0015】
本方法は、患者のために、複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを出力するステップを含んでもよい。本方法の少なくとも1つの利点は、モデルが、例えば、薬物のセットの中の薬物のうちのいずれかを投薬するためのより良好な推奨を提供するために、薬物のセットの中の1つの薬物の投与からの、測定されたデータを使用するように精緻化され得るため、モデルが、薬物固有のモデルと比較してより広範囲の臨床データにアクセスし得ることである。
【0016】
いくつかの実装では、数学モデルは、入力、モデルと関連付けられるエラー、または各モデルと複数の薬物との間の共通性等の1つ以上の基準に基づいて選択される。いくつかの実装では、数学モデルは、薬物データに基づいて選択される。モデルが、薬物データに基づいて選択される場合、選択ステップは、モデルのパラメータまたは共変量と薬物データを比較するステップを伴い得る。本ステップは、モデルと薬物のセットまたは部類との間の類似するパラメータの数を最大化するステップを伴い得る。データベース内の各モデルは、モデルのこれまでのパフォーマンスを示す、エラーまたは信頼区間と関連付けられてもよく、モデルは、エラーまたは信頼区間に基づいて選択されてもよい。モデルは、モデルのために利用可能である、またはそれに適用可能である、データもしくは情報の量に基づいて選択されてもよい。モデルが、より正確な予測を行い、標的を達成する可能性がより高い推奨を提供するために精緻化され得るように、選択されたモデルが、利用可能な最も広範囲の情報またはデータを使用することが、有利であろう。例えば、濃度または応答データならびに/もしくは濃度または応答データのタイプが、分析され、そのタイプのデータをモデルの中に組み込むことが可能である、もしくはデータのうちの少なくとも一部または最大限のものを組み込むことが可能である、モデルを選択してもよい。いくつかの実装では、選択は、最適化機能によって実施される。前述に議論された選択方法の代わりに、またはそれに加えて、ベイズ法が、モデルを選択するために使用されてもよい。いくつかの実装では、複数のモデルが、相互に比較され、患者または入力を最良に表すモデルが、選択されてもよい。
【0017】
いくつかの実装では、薬物データは、複数の薬物に属する具体的薬物を識別する情報を除外する。薬物データは、複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する、1つ以上の利用可能な薬量単位を含んでもよい。そのような場合では、投薬量は、利用可能な薬量単位の倍数であるように構成されてもよい。いくつかの実装では、本方法はさらに、複数の薬物の中の具体的薬物または1つ以上の薬物に関する更新された投与経路を示す、付加的薬物データを受信するステップを含む。本システムは、複数の薬物の中の具体的薬物または1つ以上の薬物に関する更新された投与経路に基づいて、数学モデルを更新してもよい。更新された数学モデルは、次いで、患者のための治療目的に到達するための、少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算するために使用されることができる。少なくとも1つの更新された投薬レジメンは、患者のために出力されてもよい。
【0018】
いくつかの実装では、モデルは、薬物動態的モデルである。モデルは、代替として、薬力学的モデルであってもよい。モデルは、薬物動態および薬力学の両方を説明し得る。モデルの薬物動態的または薬力学的成分は、複数の薬物の濃度時間プロファイルを示し得る。モデルの薬物動態的成分は、患者の身体の中への薬物の流入および流出を表す、クリアランスパラメータに基づいてもよい。モデルの薬力学的成分は、複数の薬物に対する患者の個々の応答を示す、薬力学的マーカの合成および分解率に基づいてもよい。モデルが、薬物動態成分と、薬力学的成分とを含む、いくつかの実装では、成分は、相互に関連する。例えば、薬物動態成分のクリアランスは、薬力学的応答の関数である、および/または逆もまた同様であり得る。モデルは、1つ以上の投薬レジメンのための患者応答もしくは濃度時間プロファイルを予測するために、ベイズ推測等のベイズ法を採用してもよい。
【0019】
いくつかの実装では、本方法はさらに、第1の投薬レジメンまたは第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、具体的薬物の投与に対する患者の第2の応答を示す、付加的な患者データを受信するステップを含む。付加的な患者データは、患者から取得される、1つ以上のサンプル中の具体的薬物の1つ以上の濃度レベルを示す、付加的濃度データを含んでもよい。モデルは、次いで、第1の投薬レジメンまたは第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、具体的薬物の投与に対する患者の第2の応答に基づいて更新されることができる。少なくとも1つの更新された投薬レジメンが、更新された数学モデルを使用して、患者のための治療目的に到達するために計算されることができる。少なくとも1つの更新された投薬レジメンが、患者のために出力されることができる。
【0020】
投与経路は、皮下、静脈内、経口、筋肉内、髄腔内、舌下、口腔内、直腸、経膣、眼内、経鼻、吸入、噴霧、皮膚、または経皮のうちの少なくとも1つであってもよい。複数の薬物は、モノクローナル抗体および/または抗体構築物、サイトカイン、酵素補充療法のために使用される薬物、アミノグリコシド系抗生物質、ならびに白血球減を引き起こす化学療法薬のうちの1つであってもよい。いくつかの実装では、複数の薬物の中の各薬物は、類似の化学構造を共有する。複数の薬物の中の各薬物が、類似の作用機序を共有してもよい。いくつかの実装では、複数の薬物が、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、および多発性硬化症を治療するために使用される。具体的薬物は、インフリキシマブまたはアダリムマブであってもよい。薬物データは、具体的薬物に関する投薬強度および/または具体的薬物が、完全にヒト由来である、もしくはキメラである、または断片化されているかどうかを表す、インジケータを含んでもよい。本システムは、入力として、治療するための患者疾患を示す、入力患者データを受信してもよい。
【0021】
いくつかの実装では、受信された入力は、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す、生理学的データを含む。患者の少なくとも1つの生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。数学モデルは、数学モデルのセットから、受信された生理学的データに最良適合するために選択されてもよい。
【0022】
いくつかの実装では、本方法は、表示のために、第1の投薬レジメンに応答した、複数の薬物に対する患者応答を示す、患者固有の濃度時間プロファイルと、濃度データおよび付加的濃度データのうちの少なくとも一部のインジケーションとを発生させるステップを含む。標的薬物暴露または応答レベルのインジケーションが、表示のために発生されてもよい。いくつかの実装では、本システムは、具体的薬物以外の第2の薬物に対する患者の応答を示す、履歴データを受信する。計算モデルは、患者における複数の薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させるために、履歴データを考慮してもよい。本明細書に提供される少なくとも1つの利点は、以前に投与された1つ以上の薬物に類似する薬物を含む、薬物の部類に対する患者応答に関する予測を発生させるために、1つ以上の薬物を投与された1人以上の患者から採集されたデータ等の、典型的であるものより広範囲のデータに適用されることが可能である、モデルに関する。
【0023】
別の側面は、以前に測定された濃度データを有することなく、コンピュータ化薬剤投薬レジメン推奨システムを使用して、患者固有の薬剤投薬レジメンを発生させるための方法に関する。本方法は、本明細書に説明されるシステムのうちのいずれかの上に実装されてもよい。本方法は、本システムのプロセッサの中に入力を受信するステップを伴う。入力は、複数の薬物および投与経路を示す、薬物データであってもよい。複数の薬物の中の薬物は、類似の薬物動態的挙動効果、類似の薬力学的効果、または両方を呈することが予期されてもよい。入力は、初期の比較濃度データ点を表す、初期の薬物濃度入力データを含んでもよい。標的薬物暴露または応答レベルは、入力の中に含まれる。本方法はさらに、複数の患者による、複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対する応答を表す、数学モデルを選択するステップを含む。各応答が、複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示してもよい。数学モデルは、特定の薬物に固有ではないように構成されてもよい。
【0024】
本方法は、選択されたモデルおよび入力を使用して、投与経路を介した複数の薬物の中の任意の薬物に対する患者の応答を示す、複数の予測濃度時間プロファイルを推測するステップを含む。各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメンの中の投薬レジメンに対応してもよい。各投薬レジメンは、少なくとも1つの投薬量および/または患者に少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールを含んでもよい。本方法は、標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために、推測される複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択するステップを含む。第1の投薬レジメンは、患者のために出力されてもよい。本側面の少なくとも1つの利点は、具体的患者からの測定された濃度データを有することなく、初期の比較濃度データ点のみを使用して治療目的を充足させるように構成された、予測濃度時間プロファイルおよび投薬レジメンを提供する、モデルから結果として生じる。
【0025】
いくつかの実装では、初期の比較濃度データ点は、患者から取得されたサンプル中の複数の薬物の具体的薬物の濃度レベルを示す。代替として、初期の比較濃度データ点は、患者からの直接的濃度測定値が要求されないように、患者の生理学的パラメータに基づいて計算される。患者の生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。薬物データは、具体的薬物に関する利用可能な投薬強度および/または具体的薬物が、完全にヒト由来である、ヒト化されている、キメラである、もしくは断片化されているかどうかを表す、インジケータを含んでもよい。
【0026】
別の側面は、前述の側面の方法を実施するように構成されるコントローラを備える、システムに関する。本システムは、電子医療記録(EMR)データベースへのインターフェース接続を備えてもよい。インターフェースは、インターフェース接続を介して患者のための患者情報の1つ以上のインジケータを読み出すように構成される、ソフトウェアもしくはファームウェアによって動作可能であってもよい。患者への投与のための適切な薬が、読み出された患者情報を使用して決定されてもよい。本側面は、内科医が、患者氏名を入力し得、患者に関するEMRが、初期の推測を実施するために、自動的に本システムの中に薬物データおよび/または生理学的データをフィードするであろう点で、少なくとも1つの利点を提供する。本側面は、特に、新しい薬物が、薬物に依存しないモデルが、単に、投薬推奨を発生させるために投薬強度等の新しい薬物の特殊性に関して調節することによって、使用されることを可能にする、他の薬物との構造的類似性および類似の識別された共変量を有し得るため、比較的に新しい薬物に関する投薬レジメンを推奨するときに、有用であり得る。例えば、新しい薬物は、FDA審査からの臨床的データのみを有してもよい。本臨床治験データは、薬物に依存しないモデルシステムに供給され、類似の薬物の部類または群の中の他の薬物に正規化されることができる。新しい薬物の多くの知識、特に、臨機応変に投薬するために使用される知識がなければ、内科医は、本明細書に提案されるシステムおよび方法を使用し、類似の薬物の履歴データに基づいて新しい薬物に関する適切な投薬量を見出し得る。
【0027】
別の側面は、具体的薬物の第1の投薬量を含む、調合薬に関する。第1の投薬量は、本明細書に説明される方法によって決定されてもよい。例えば、調合薬の中の薬物の第1の投薬量は、具体的薬物を含む複数の薬物に関する推測された濃度時間プロファイルを有した後に、薬物の入力された標的暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を充足させる、システムによって決定される。具体的薬物および複数の薬物の各薬物は、類似の薬物動態的、薬力学的、ならびに/もしくは構造的特性を有し得る。調合薬は、本システムによって、更新された数学モデルを使用して決定される、修正された第1の投薬量を含んでもよく、更新された数学モデルは、複数の薬物の中の1つ以上の薬物の投薬量に対する患者による応答を示す、濃度もしくは応答データを考慮する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータ化薬剤投薬レジメン推奨システムを使用して、患者固有の薬剤投薬レジメンを発生させるための方法であって、前記方法は、
(a)前記システムのプロセッサの中に入力を受信することであって、前記入力は、
(i)複数の薬物および関連付けられる投与経路を示す薬物データであって、前記複数の薬物の中の前記薬物は、類似の薬物動態的(PK)挙動、類似の薬力学的(PD)挙動、または両方を呈することが予期される、薬物データと、
(ii)前記患者から取得されるサンプル中の前記複数の薬物の具体的薬物の濃度または応答レベルを示す濃度または応答データと、
(iii)前記患者のための標的薬物暴露または応答レベルと
を含む、ことと、
(b)前記メモリの中に記憶されるデータベースから数学モデルを選択することであって、前記データベースは、前記プロセッサによってアクセス可能であり、複数の数学モデルを記憶し、選択された数学モデルは、複数の患者による前記複数の薬物の中の複数の薬物に対する応答を表し、前記応答の各応答は、前記複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示し、前記数学モデルは、特定の薬物に固有ではない、ことと、
(c)前記選択された数学モデルを使用して、かつ前記濃度データおよび前記投与経路に基づいて、前記投与経路を介した前記複数の薬物の中の任意の薬物に対する前記患者の応答を示す複数の予測濃度時間プロファイルを推測することであって、前記複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメンの中の投薬レジメンに対応し、前記複数の投薬レジメンの各投薬レジメンは、(i)少なくとも1つの投薬量と、(ii)前記患者に前記少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む、ことと、
(d)前記複数の投薬レジメンから、前記標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために推測される前記複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択することと、
(e)前記患者のために、前記複数の薬物に関する前記第1の投薬レジメンを出力することと
を含む、方法。
(項目2)
前記薬物データは、前記複数の薬物に属する前記具体的薬物を識別する情報を除外する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記方法はさらに、
前記具体的薬物に関する更新された投与経路を示す付加的薬物データを受信することと、
前記具体的薬物に関する前記更新された投与経路に基づいて、前記数学モデルを更新することと、
前記更新された数学モデルに基づいて、前記患者のための前記治療目的に到達するための少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算することと、
前記患者のために、前記少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力することと
を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記薬物データはさらに、前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する1つ以上の利用可能な薬量単位を含み、前記投薬量は、前記利用可能な薬量単位の倍数である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記モデルは、薬物動態的モデルである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記モデルは、薬力学的モデルである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記方法はさらに、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答を示す付加的な患者データを受信することであって、前記付加的な患者データは、前記患者から取得される1つ以上のサンプル中の前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の1つ以上の濃度レベルを示す付加的濃度データを含む、ことと、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答に基づいて、前記数学モデルを更新することと、
前記更新された数学モデルに基づいて、前記患者のための前記治療目的に到達するための少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算することと、
前記患者のために、前記少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力することと
を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記投与経路は、皮下、静脈内、経口、筋肉内、髄腔内、舌下、口腔内、直腸、経膣、眼内、経鼻、吸入、噴霧、皮膚、および経皮のうちの少なくとも1つである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記複数の薬物は、モノクローナル抗体および抗体構築物、サイトカイン、酵素補充療法のために使用される薬物、アミノグリコシド系抗生物質、ならびに白血球減を引き起こす化学療法薬のうちの1つである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記複数の薬物の中の各薬物は、類似の化学構造を共有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記複数の薬物の中の各薬物は、類似の作用機序を共有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記複数の薬物は、炎症性疾患を治療するために使用される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記複数の薬物は、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、および多発性硬化症のうちの少なくとも1つを治療するために使用される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記具体的薬物は、インフリキシマブである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記具体的薬物は、アダリムマブである、項目1-13のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記受信された入力は、前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す生理学的データを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記方法はさらに、数学モデルのセットから、前記受信された生理学的データに最良適合するような前記数学モデルを選択することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記モデルは、ベイズモデルである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
表示のために、(i)前記第1の投薬レジメンに応答した前記複数の薬物に対する前記患者応答を示す患者固有の予測濃度時間プロファイルと、(ii)前記濃度データおよび前記付加的濃度データのうちの少なくとも一部のインジケーションとを発生させることをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目21)
表示のために、前記標的薬物暴露または応答レベルのインジケーションを発生させることをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記モデルは、前記複数の薬物の濃度または応答時間プロファイルを示す薬物動態的または薬力学的成分を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記モデルは、前記複数の薬物に対する前記患者の個々の応答を示す薬力学的マーカの合成および分解率に基づく薬力学的成分を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記具体的薬物以外の第2の薬物に対する前記患者の応答を示す履歴データを受信することをさらに含み、計算モデルは、前記患者における前記複数の薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させるために、前記履歴データを考慮する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記薬物データは、前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する1つ以上の利用可能な投薬強度、および前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物が、完全にヒト由来であるかどうかを表す1つ以上のインジケータのうちの少なくとも1つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記受信された入力は、治療するための患者疾患を示す患者データを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目27)
コンピュータ化薬剤投薬レジメン推奨システムを使用して、患者固有の薬剤投薬レジメンを発生させるための方法であって、前記方法は、
(a)前記システムのプロセッサの中に入力を受信することであって、前記入力は、
(i)複数の薬物および投与経路を示す薬物データであって、前記複数の薬物の中の前記薬物は、類似の薬物動態的(PK)効果、類似の薬力学的(PD)効果、または両方を呈することが予期される、薬物データと、
(ii)初期の比較濃度または応答データ点を表す初期の薬物濃度または応答入力データと、
(iii)前記患者のための標的薬物暴露または応答レベルと
を含む、ことと、
(b)複数の患者による前記複数の薬物の中の複数の薬物に対する応答を表す数学モデルを選択することであって、前記応答の各応答は、前記複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示し、前記数学モデルは、特定の薬物に固有ではない、ことと、
(c)前記選択された数学モデルを使用して、かつ前記患者データおよび前記投与経路に基づいて、前記投与経路を介した前記複数の薬物の中の任意の薬物に対する前記患者の応答を示す複数の予測濃度時間プロファイルを推測することであって、前記複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメンの中の投薬レジメンに対応し、前記複数の投薬レジメンの各投薬レジメンは、(i)少なくとも1つの投薬量と、(ii)前記患者に前記少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む、ことと、
(d)前記複数の投薬レジメンから、前記標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために推測される前記複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択することと、
(e)前記患者のために、前記複数の薬物に関する前記第1の投薬レジメンを出力することと
を含む、方法。
(項目28)
前記初期の比較濃度データ点は、前記患者から取得されたサンプル中の前記複数の薬物の具体的薬物の濃度レベルを示す、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記薬物データは、前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する1つ以上の利用可能な投薬強度、および前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物が、完全にヒト由来であるかどうかを表す1つ以上のインジケータのうちの少なくとも1つを含む、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記初期の比較濃度データ点は、前記患者の生理学的パラメータに基づいて計算される、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記患者の生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
システムであって、項目1-31のうちのいずれかに記載の方法を実施するように構成されるコントローラを備える、システム。
(項目33)
電子医療記録データベースへのインターフェース接続を備え、インターフェース接続は、前記インターフェース接続を介して患者のための患者情報の1つ以上のインジケータを読み出し、前記患者に投与するための適切な薬を決定するためにその情報を使用するように構成されるソフトウェアまたはファームウェアによって動作可能である、前記項目に記載のシステムのいずれかによるシステム、または前記方法項目のいずれかに記載の方法。
(項目34)
患者固有の薬剤投薬レジメンを発生させるためのシステムであって、前記システムは、
メモリと、
少なくとも1つのプロセッサであって、前記少なくとも1つのプロセッサは、
(a)前記システムのプロセッサの中に入力を受信することであって、前記入力は、
(i)複数の薬物および関連付けられる投与経路を示す薬物データであって、前記複数の薬物の中の前記薬物は、類似の薬物動態的(PK)挙動、類似の薬力学的(PD)挙動、または両方を呈することが予期される、薬物データと、
(ii)前記患者から取得されるサンプル中の前記複数の薬物の具体的薬物の濃度または応答レベルを示す濃度または応答データと、
(iii)前記患者のための標的薬物暴露または応答レベルと
を含む、ことと、
(b)前記メモリの中に記憶されるデータベースから数学モデルを選択することであって、前記データベースは、前記1つ以上のプロセッサによってアクセス可能であり、複数の数学モデルを記憶し、選択される数学モデルは、複数の患者による前記複数の薬物の中の複数の薬物に対する応答を表し、前記応答の各応答は、前記複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示し、前記数学モデルは、特定の薬物に固有ではない、ことと、
(c)前記選択された数学モデルを使用して、かつ前記濃度データおよび前記投与経路に基づいて、前記投与経路を介した前記複数の薬物の中の任意の薬物に対する前記患者の応答を示す複数の予測濃度時間プロファイルを推測することであって、複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメンの中の投薬レジメンに対応し、前記複数の投薬レジメンの各投薬レジメンは、(i)少なくとも1つの投薬量と、(ii)前記患者に前記少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む、ことと、
(d)前記複数の投薬レジメンから、前記標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために推測される前記複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択することと、
(e)前記患者のために、前記複数の薬物に関する前記第1の投薬レジメンを出力することと
を行うように構成される、少なくとも1つのプロセッサと
を備える、システム。
(項目35)
前記薬物データは、前記複数の薬物に属する前記具体的薬物を識別する情報を除外する、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記具体的薬物に関する更新された投与経路を示す付加的薬物データを受信することと、
前記具体的薬物のための前記更新された投与経路に基づいて、前記数学モデルを更新することと、
前記更新された数学モデルに基づいて、前記患者のための前記治療目的に到達するための少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算することと、
前記患者のために、前記少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力することと
を行うように構成される、項目34および35のいずれかに記載のシステム。
(項目37)
前記薬物データはさらに、前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する1つ以上の利用可能な薬量単位を含み、前記投薬量は、前記利用可能な薬量単位の倍数である、項目34-36のいずれかに記載のシステム。
(項目38)
前記モデルは、薬物動態的モデルである、項目34-37のいずれかに記載のシステム。
(項目39)
前記モデルは、薬力学的モデルである、項目34-38のいずれかに記載のシステム。
(項目40)
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答を示す付加的な患者データを受信することであって、前記付加的な患者データは、前記患者から取得される1つ以上のサンプル中の前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の1つ以上の濃度レベルを示す付加的濃度データを含む、ことと、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答に基づいて、前記数学モデルを更新することと、
前記更新された数学モデルに基づいて、前記患者のための前記治療目的に到達するための少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算することと、
前記患者のために、前記少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力することと
を行うように構成される、項目34-39のいずれかに記載のシステム。
(項目41)
前記投与経路は、皮下、静脈内、経口、筋肉内、髄腔内、舌下、口腔内、直腸、経膣、眼内、経鼻、吸入、噴霧、皮膚、および経皮のうちの少なくとも1つである、項目34-40のいずれかに記載のシステム。
(項目42)
前記複数の薬物は、モノクローナル抗体および抗体構築物、サイトカイン、酵素補充療法のために使用される薬物、アミノグリコシド系抗生物質、ならびに白血球減を引き起こす化学療法薬のうちの1つである、項目34-41のいずれかに記載のシステム。
(項目43)
前記複数の薬物の中の各薬物は、類似の化学構造を共有する、項目34-42のいずれかに記載のシステム。
(項目44)
前記複数の薬物の中の各薬物は、類似の作用機序を共有する、項目34-43のいずれかに記載のシステム。
(項目45)
前記複数の薬物は、炎症性疾患を治療するために使用される、項目34-44のいずれかに記載のシステム。
(項目46)
前記複数の薬物は、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、および多発性硬化症のうちの少なくとも1つを治療するために使用される、項目45に記載のシステム。
(項目47)
前記具体的薬物は、インフリキシマブである、項目34-46のいずれかに記載のシステム。
(項目48)
前記具体的薬物は、アダリムマブである、項目34-46のいずれかに記載のシステム。
(項目49)
前記受信された入力は、前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す生理学的データを含む、項目34-48のいずれかに記載のシステム。
(項目50)
前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含む、項目49に記載のシステム。
(項目51)
前記方法はさらに、数学モデルのセットから、前記受信された生理学的データに最良適合するような前記数学モデルを選択することを含む、項目50に記載のシステム。
(項目52)
前記モデルは、ベイズモデルである、項目34-51のいずれかに記載のシステム。
(項目53)
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、表示のために、(i)前記第1の投薬レジメンに応答した前記複数の薬物に対する前記患者応答を示す患者固有の予測濃度時間プロファイルと、(ii)前記濃度データおよび前記付加的濃度データのうちの少なくとも一部のインジケーションとを発生させるように構成される、項目34-52のいずれかに記載のシステム。
(項目54)
少なくとも1つのプロセッサはさらに、表示のために、前記標的薬物暴露または応答レベルのインジケーションを発生させるように構成される、項目34-53のいずれかに記載のシステム。
(項目55)
前記モデルは、前記複数の薬物の濃度時間プロファイルを示す薬物動態的または薬力学的成分を含む、項目34-54のいずれかに記載のシステム。
(項目56)
前記モデルは、前記複数の薬物に対する前記患者の個々の応答を示す薬力学的マーカの合成および分解率に基づく薬力学的成分を含む、項目34-55のいずれかに記載のシステム。
(項目57)
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記具体的薬物以外の第2の薬物に対する前記患者の応答を示す履歴データを受信するように構成され、前記計算モデルは、前記患者における前記複数の薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させるために、前記履歴データを考慮する、項目34-56のいずれかに記載のシステム。
(項目58)
前記薬物データは、前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物に対応する1つ以上の利用可能な投薬強度、および前記複数の薬物の中の1つ以上の薬物が、完全にヒト由来であるかどうかを表す1つ以上のインジケータのうちの少なくとも1つを含む、項目34-57のいずれかに記載のシステム。
(項目59)
前記受信された入力は、治療するための患者疾患を示す患者データを含む、項目34-58のいずれかに記載のシステム。
(項目60)
前記少なくとも1つのプロセッサによって動作されるクラウドベースのコンピューティングシステムをさらに備える、項目34-59のいずれかに記載のシステム。
(項目61)
前記クラウドベースのコンピューティングシステムは、ネットワークと、少なくとも1つのサーバとを備え、前記ネットワークは、前記少なくとも1つのプロセッサと、前記メモリと、前記少なくとも1つのサーバと、少なくとも1つのユーザデバイスとの群から選択される少なくとも2つを連結するように構成される、項目60に記載のシステム。
(項目62)
電子医療記録データベースへのインターフェース接続をさらに備え、インターフェース接続は、前記インターフェース接続を介して患者のための患者情報の1つ以上のインジケータを読み出すように構成されるソフトウェアまたはファームウェアによって動作可能である、項目34-61のいずれかに記載のシステム。
(項目63)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータ化薬剤投薬レジメン推奨システムによって決定される患者固有の投薬レジメンにおける対象患者への投与のための調合薬であって、前記調合薬は、
単位あたり量を有する第1の投薬量における活性成分
を含み、
前記第1の投薬量は、モデル分析によって決定され、前記モデル分析は、
(a)前記システムのプロセッサの中に入力を受信するステップであって、前記入力は、
(i)複数の薬物および関付けられる投与経路を示す薬物データであって、前記複数の薬物の中の前記薬物は、類似の薬物動態的(PK)挙動、類似の薬力学的(PD)挙動、または両方を呈することが予期される、薬物データと、
(ii)前記患者から取得されるサンプル中の前記複数の薬物の具体的薬物の初期の投薬量に対応する第1の応答を示す濃度または応答データと、
(iii)前記患者のための標的薬物暴露または応答レベルと
を含む、ステップと、
(b)前記メモリの中に記憶されるデータベースから数学モデルを選択するステップであって、前記データベースは、前記プロセッサによってアクセス可能であり、複数の数学モデルを記憶し、選択された数学モデルは、複数の患者による前記複数の薬物の中の複数の薬物に対する応答を表し、前記応答の各応答は、前記複数の薬物の中の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示し、前記数学モデルは、特定の薬物に固有ではない、ステップと、
(c)前記選択された数学モデルを使用して、かつ前記濃度データおよび前記投与経路に基づいて、前記投与経路を介した前記複数の薬物の中の任意の薬物に対する前記患者の応答を示す複数の予測濃度時間プロファイルを推測するステップであって、前記複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメンの中の投薬レジメンに対応し、前記複数の投薬レジメンの各投薬レジメンは、(i)少なくとも1つの投薬量と、(ii)前記患者に前記少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む、ステップと、
(d)前記複数の投薬レジメンから、前記標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために推測される前記複数の薬物に関する第1の投薬レジメンを選択するステップであって、前記第1の投薬レジメンは、前記第1の投薬量を含む、ステップと
を含む、調合薬。
(項目64)
推測するステップに先立って、選択されたモデルは、前記濃度または応答データに基づいて更新される、項目63に記載の調合薬。
(項目65)
前記調合薬は、第2の投薬量中に前記活性成分を含み、前記モデル分析はさらに、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答を示す付加的な患者データを受信するステップであって、前記付加的な患者データは、前記患者から取得される、1つ以上のサンプル中の前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の1つ以上の濃度レベルを示す付加的濃度データを含む、ステップと、
前記第1の投薬レジメンまたは前記第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、前記複数の薬物のうちの具体的薬物または別の薬物の投与に対する前記患者の第2の応答に基づいて、前記数学モデルを更新するステップと、
前記更新された数学モデルに基づいて、前記患者のための前記治療目的に到達するための更新された投薬レジメンを計算するステップであって、前記更新された投薬レジメンは、前記第2の投薬量を含む、ステップと
を含む、項目63および64のいずれかに記載の調合薬。
(項目66)
更新は、ベイズ更新を含む、項目63-65のいずれかに記載の調合薬。
(項目67)
前記初期投薬量は、前記第1の投薬レジメンの投与に先立った初期の投薬レジメンにおいて前記患者に投与される前記具体的薬物の単位あたり量である、項目63-66のいずれかに記載の調合薬。
(項目68)
前記濃度または応答データは、前記初期投薬量の投与において取得される、項目63-67のいずれかに記載の調合薬。
(項目69)
前記受信された入力は、前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す生理学的データを含む、項目63-68のいずれかに記載の調合薬。
(項目70)
前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含む、項目69に記載の調合薬。
(項目71)
前記モデル分析はさらに、数学モデルのセットから、前記受信された生理学的データに最良適合するような前記数学モデルを選択するステップを含む、項目69および70のいずれかに記載の調合薬。
(項目72)
前記モデルは、ベイズモデルである、項目63-71のいずれかに記載の調合薬。
(項目73)
前記具体的薬物は、インフリキシマブである、項目63-72のいずれかに記載の調合薬。
(項目74)
前記モデル分析は、ベイズ分析を含む、項目63-73のいずれかに記載の調合薬。
(項目75)
前記モデル分析は、クラウドベースのコンピューティングシステムによって実施される、項目63-74のいずれかに記載の調合薬。
【図面の簡単な説明】
【0028】
前述および他の目的ならびに利点は、付随の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態の考察の結果、明白となり、同様の参照記号は、本明細書の全体を通して、同様の部分を指す。
【0029】
【
図1】
図1は、ある例証的実装による、薬物のあるセットに関する患者固有の投薬レジメンを決定するための方法を説明する、フローチャートである。
【0030】
【
図2】
図2は、ある例証的実装による、本明細書に説明される方法を実施するための、システムのブロック図である。
【0031】
【
図3】
図3Aおよび3Bは、ある例証的実装による、薬物に依存しないモデルに基づいて標的レベルを充足させるための、所与の投薬レジメンに関する、複数の薬物に対する予測される患者応答を示す、シミュレートされるシミュレートされた濃度/時間プロファイルを描写する、例示的グラフである。
【0032】
【
図4】
図4は、ある例証的実装による、薬物のあるセットに関する薬物に依存しないモデルを展開するためのプロセスを説明する。
【0033】
【
図5】
図5は、ある例証的実装による、順応型投薬システムを修正するためのプロセスを示す、フローチャートである。
【0034】
【
図6】
図6は、ある例証的実装による、順応型投薬システムのためのコンピュータネットワークのシステム図を示す。
【0035】
【
図7A】
図7Aおよび7Bは、ある例証的実装による、いくつかの推奨投薬レジメンを提供する、臨床ポータル上のユーザインターフェースの例示的ディスプレイである。
【
図7B】
図7Aおよび7Bは、ある例証的実装による、いくつかの推奨投薬レジメンを提供する、臨床ポータル上のユーザインターフェースの例示的ディスプレイである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(詳細な説明)
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、薬物のある部類または他の群に適用される、コンピュータ化医薬品投薬レジメン推奨システムを使用して、患者のための患者固有の医薬品投薬レジメンを決定する。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、薬物のある部類またはセットのために使用されることが可能である、母集団モデルを提供する。特に、本明細書におけるシステムおよび方法は、複数の薬物の薬物動態的(「PK」)パラメータならびに薬力学的(「PD」)パラメータを示すデータに基づいて患者固有の投薬レジメンを展開するように構成されることができる。そのような薬物の実施例が、表1に含まれる。以下の定義が、表1において使用され、「iv」は、静脈内であり、「sc」は、皮下であり、「RA」は、リウマチ性関節炎であり、「AS」は、強直性脊椎炎であり、「UC」は、潰瘍性結腸炎であり、「CD」は、クローン病であり、「IBD」は、潰瘍性結腸炎および/またはクローン病を含み得る、炎症性腸疾患であり、「PSO」は、乾癬であり、「PSA」は、乾癬性関節炎であり、「MS」は、多発性硬化症である。いくつかの実装では、本明細書に説明されるシステムは、特定の薬物に固有ではないが、代わりに、薬物のある部類または他の亜集合もしくは群(例えば、類似のPK/PDを有することが予期される薬物、特定の病状を治療する候補であることが公知である薬物、または他の類似点)に適用され得る。薬物に依存しないモデルの展開および適用は、単一のモデルのためにより優れた有用性を可能にする。各モデルがある部類内の単一の薬物に対応する、複数のモデルを実装することではなく、薬物に依存しないモデルは、その部類内の全ての薬物に適用可能であり、故に、ある範囲の投与経路を横断して、単一の薬物モデルよりも、広い範囲の患者に適用され得る。
【表1-1】
【表1-2】
【0037】
例えば、本明細書に説明されるモデルは、炎症性疾患の治療において使用される全ての生物製剤に関して使用されることが可能である、薬物動態的な薬物に依存しないモデルを含んでもよい。そのようなモデルは、同一のモデルを使用して、表1に列挙されるもの等、完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)、キメラmAb、ヒト化mAb、融合タンパク質、およびmAb断片(すなわち、異なる薬物動態的性質を伴うが、類似の分子量ならびに適応)等の他の類似性を伴う、ある範囲の薬物)に関する投薬レジメンを提案および/または試験するために使用されることができる。モデルは、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、多発性硬化症、および免疫調節異常から生じる、他のそのような疾患を含む、広範囲の患者母集団において使用されてもよい。他の広い薬物セット(例えば、アミノグリコシド抗生物質、低白血球数を引き起こす化学療法薬等)の中の作用物質に関する薬物に依存しないベイズモデルの展開および適用も、同様に実行可能である。部類内の薬物は、皮下、静脈内、経口、筋肉内、髄腔内、舌下、口腔内、直腸、経膣、眼内、経鼻、吸入、噴霧、皮膚、または経皮等の種々の経路を通して投与されてもよい。薬物に依存しないモデルは、投与経路を本システムへの可変入力として受け取り、モデルのためのより優れた柔軟性を可能にすることによって、投与経路を考慮し得る。ベイズモデル等の計算モデルが、投薬レジメン推奨を決定するために使用されてもよい。例えば、モデルの各反復は、推奨投薬レジメンの計算または決定を含んでもよい。付加的データ(患者から取得される生理学的パラメータデータまたは薬物濃度データ等)が、利用可能にされるとき、モデルの別の反復が、付加的データに基づいて更新された推奨投薬レジメンを決定するように実施されてもよい。本プロセスは、患者を説明する任意の新しいデータを反映するように、任意の回数繰り返されてもよい。
【0038】
本明細書で使用されるように、「投薬レジメン」は、薬物または薬物の部類の少なくとも1つの投薬量と、患者に薬物の少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む。投薬量は、薬物に関する利用可能な薬量の単位の倍数であってもよい。例えば、利用可能な薬量の単位は、1つの錠剤、または錠剤の半分等の容易に分割されるときに結果として生じる錠剤の好適な破片であり得る。いくつかの実装では、投薬量は、薬物に関する利用可能な薬量の単位の整数の倍数であってもよい。例えば、利用可能な薬量の単位は、分割され得ない、10mgの注射またはカプセルであり得る。いくつかの投与経路(例えば、IVおよび皮下)に関して、投薬強度のいかなる部分も、投与されることができる。推奨スケジュールは、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイルが、推奨時間における標的薬物暴露または応答レベル(例えば、標的薬物濃度トラフレベル)にある、もしくはそれを上回るように、薬物の次の投薬量を患者に投与するための推奨時間を含む。
【0039】
薬物に依存しないモデルが、単一の薬物のみではなく、薬物のセットに適用されるため、モデルは、患者が薬物のセット内の複数の薬物を用いて治療されるときに、患者固有の情報を留保してもよい。例えば、薬物のセットは、インフリキシマブ、ベドリズマブ、アダリムマブ、および他の抗炎症性生物製剤を含んでもよい。患者が、1つの薬物(例えば、インフリキシマブ)を用いて治療され、次いで、後に別の薬物(例えば、ベドリズマブ)を用いて治療される場合、モデルは、いったん患者が新しい薬物を用いて治療されると、適切な投薬レジメンを決定するときに、患者のインフリキシマブに基づく治療から全ての患者固有のデータ(薬物濃度測定値、クリアランス率、体重測定値等)を留保してもよい。患者固有のデータを留保することは、薬物に依存しないモデルが、薬物を処理する患者の能力を正確に予想し、それによって、患者が薬物療法を変更するときに、より好適な患者固有の投薬レジメンを提供することを可能にする。薬物に依存しないモデルは、複数の投与経路を伴う広範囲のデータと広範囲の疾患とに適合し得るため、モデルは、(例えば、ベイズ学習を介して)薬物および個々の患者について学習するべきである。そのような薬物に依存しない薬物動態的モデルは、例えば、従来的な母集団薬物動態的モデル化の新規の適用を表す。そのような薬物に依存しない薬物動態的(PK)モデルを展開するための能力は、1)具体的部類の中の全ての薬品に関する共通の汎用的構造PKモデルと、2)PKパラメータに関する患者因子の類似の効果と、3)類似の適応とを含む、いくつかの要因のうちの1つ以上のものに基づくことができる。したがって、他の広範囲の薬物部類(例えば、アミノグリコシド系抗生物質)の中での薬品のための薬物に依存しないベイズモデルの展開および適用も、同様に、実行可能であり、ある部類の中の薬物毎の複数のモデルの実装ではなく、単一の薬物に依存しないモデルのより優れた有用性を可能にするであろう。薬物に依存しないモデル化目的のための特定の「部類」の展開は、薬剤に関する分類またはカテゴリ化の新規の手段である。
【0040】
同様に、薬物に依存しないモデルは、薬力学的効果(薬物の測定された応答)に関する共通性を呈する薬物部類のために構築されることができる。例えば、多くの化学療法薬は、好中球減少または低白血球数を引き起こす。これは、概して、化学療法が投与された後、7~9日に生じる、最低白血球数を伴う、遅延応答である。持続時間に対する各薬物の影響および白血球数の最下点は、異なり得るが、薬物暴露と白血球数の減少との間の根本的関係は、構造的に類似しており、実践的な薬物に依存しない薬力学的モデルが、白血球減少を引き起こす化学療法薬の部類に関して展開されることを可能にする。
【0041】
いくつかの実装では、薬物に依存しないモデルは、薬物動態および薬力学を説明する。モデルは、モデル内で別個であり得る、または相互に関連し得る、PK成分と、PD成分とを含む。例えば、PK成分およびPD成分は、PDに対するPKの効果、ならびにPKに対するPDの効果が、モデル内に含まれるように、相互に関連してもよい。PK成分は、PKクリアランスパラメータを含むことができ、PD成分は、PD応答パラメータを含む。PK成分とPD成分との間の相互関係は、PD応答の関数であるPKクリアランスパラメータによって反映される、または逆もまた同様であってもよい。1つ以上の微分方程式が、患者応答および患者における薬物のクリアランスを説明するために使用されることができる。モデルのPD成分が、第1の微分方程式から成ってもよく、モデルのPK成分が、第2の微分方程式から成る。第1の微分方程式は、患者によるPD応答を表し得、第2の微分方程式は、患者によるPKクリアランスを表し得る。第1または第2の微分方程式は、PD応答ならびに/もしくはPKクリアランスを含んでもよい。
【0042】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、患者に投与するための具体的薬物を識別することなく、薬物のある部類に関する推奨投薬レジメンを出力し得る。本明細書で使用されるように、「投薬レジメン」は、薬物の投薬量と、患者に投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含んでもよい。推奨スケジュールは、推奨時間において、標的、例えば、薬物濃度トラフレベルにある、以上の、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイルを達成するために、患者に次の薬物の投薬量を投与するための推奨時間を含む。
【0043】
薬物の部類は、少なくとも1つの類似のPKまたはPD効果を呈する、もしくは共通の作用機序またはある他の類似性を共有する、1より大きい薬物の群を示す。例えば、類似のPK効果は、具体的範囲内のクリアランスであってもよい。類似の効果は、具体的範囲内の測定濃度、例えば、生物学的利用能、吸収、白血球数、血中濃度レベル、または本明細書において議論されるバイオマーカ/測定値のいずれかであってもよい。具体的範囲は、10倍の差以内であってもよく、すなわち、0.1~1の値が、類似であると見なされ得る。具体的範囲は、ユーザによって、システムインターフェース上で規定されてもよい。薬物は、全身的炎症性疾患、または、より具体的には、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性結腸炎、クローン病、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、もしくは多発性硬化症等、治療する疾患によって部類に群化されてもよい。薬物部類はまた、薬物構造に基づいてもよい。例えば、部類は、モノクローナル抗体(mAb)、キメラmAb、完全ヒトmAb、ヒト化mAb、融合タンパク質、および/またはmAb断片を含んでもよい。薬剤の部類は、抗炎症性化合物、化学療法剤、コルチコステロイド、免疫調節剤、抗生物質、または生物学的療法、もしくは任意の他の好適な群を含み得る。薬物部類はさらに、患者母集団、すなわち、小児科、老年医学によって決定され得る。薬物部類はまた、ユーザによって、他の基準に基づいて決定されてもよく、その部類(または群)の構成要素が、データベース内で、その部類(または群)の一部であるものとして電子的に指定されもよい。そのデータベースは、部類(または他の群)ベースの投薬レジメンを決定する際の使用のために、本明細書に開示されるシステムおよび方法にアクセス可能である。薬物部類または群は、異なる投与経路もしくは異なる製造業者を伴う同一の薬物等、同一の薬物の変形例を含み得る。本特徴は、特に、内科医が、価格、入手性、適応、および/または経路が変動する、ジェネリック薬物と商標名のついた薬物とを比較する必要がある場合、有用であり得る。本明細書に説明される実施例の多くは、医薬品インフリキシマブに関連する。しかしながら、本明細書に説明される実装は、免疫抑制剤、抗炎症性、抗生物質、抗菌剤、化学療法、抗凝固剤、凝固促進剤、抗鬱剤、抗精神病薬、精神刺激薬、抗糖尿病薬、抗痙攣薬、鎮痛剤、または任意の他の好適な治療に適用されてもよい。
【0044】
本明細書に説明される実装の多くは、潰瘍性結腸炎またはクローン病等のIBDの治療に関する。IBDのための標準治療レジメンは存在しないが、以下の薬物の群、すなわち、抗炎症性化合物、コルチコステロイド、免疫調節剤、抗生物質、または生物学的療法が、IBD患者を治療するために使用されることができる。1つの近年開発された治療は、腫瘍壊死因子(TNF)と呼ばれる炎症性タンパク質を標的化し、それに結合し、それを不活性にする、生物学的療法(例えば、インフリキシマブ等のモノクローナル抗体(mAb))を含む。いくつかの事例では、インフリキシマブ等の抗TNF薬の組み合わせが、チオプリン等の1つ以上の免疫調節薬と組み合わせられることができる。そのような併用療法は、消失率を効果的に低下させ(それによって、患者の血液内の薬物濃度レベルを増大させ)、抗薬物抗体の形成を低減させ得る。IBDを患う患者を治療することの最大の課題は、患者が治療への十分な暴露を受容することを確実にすることである。身体は、薬物に関して「クリアランス」のいくつかの経路を提示する。例えば、患者の代謝が、タンパク質分解(タンパク質の分解)によって、細胞取り込みによって、およびIBDと関連付けられる付加的非定型クリアランス機序によって、mAbを分解し得る。例えば、疾患の性質に起因して、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)等の病状を患う患者は、多くの場合、尿路または消化管の中への薬物の過剰な損失に悩まされる。また、重度のIBDでは、mAbが、時として、潰瘍を生じ、剥離した粘膜を通して便内で失われ、クリアランスの付加的経路を生成する。全体として、IBD患者は、他の炎症性疾患よりも40%~50%高いインフリキシマブ消失率を有すると推定され、IBDを特に治療困難にする。本明細書に説明されるシステムおよび方法はまた、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、尋常性乾癬、低レベルの凝固第VIII因子、血友病、統合失調症、双極性障害、抑鬱、双極性障害、感染性疾患、癌、発作、移植、または任意の他の好適な苦痛を治療するための投薬レジメンを展開してもよい。
【0045】
システムの中への入力が、具体的薬物を服用する具体的患者のためのモデルを更新および精緻化するために使用されてもよい。本明細書に説明されるシステムの中への入力は、濃度データと、生理学的データと、標的応答とを含んでもよい。モデルへの入力は、概して、濃度データと、生理学的データと、標的応答とを含む。上記に議論されるように、濃度データは、血液、血漿、尿、毛髪、唾液、または任意の他の好適な患者サンプル等の患者から取得される1つ以上のサンプル中の薬物の1つ以上の濃度レベルを示す。濃度データは、患者サンプル中の薬物自体、または患者の身体内の薬物の量を示す患者サンプル中の別の検体の濃度レベルの測定値を反映し得る。薬物は、炎症性腸疾患(潰瘍性結腸炎およびクローン病を含む、IBD)、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、尋常性乾癬、または任意の他の好適な苦痛のような疾患もしくは障害等の特定の健康条件を患う患者を治療するための治療計画の一部であってもよい。そのような健康条件を治療するために使用される薬物は、インフリキシマブまたはアダリムマブ等のモノクローナル抗体(mAb)を含んでもよい。本明細書に説明される実施例の多くは、インフリキシマブを使用してIBDを治療することを参照するが、本開示のシステムおよび方法が、測定可能な方法で経時的にその有効性を喪失する任意の薬物または治療に適用可能であり、IBD等の任意の炎症性疾患を含む、任意の数の疾患を治療するために使用され得ることを理解されたい。
【0046】
システムへの入力はまた、治療されるべき疾患、薬物の部類、投与経路、利用可能な投薬強度、好ましい投薬量(例えば、100mgバイアル、50mg錠剤等)、および具体的薬物が完全にヒト由来であるか、またはそうではない(例えば、キメラ)かどうか等の他の薬物情報を含んでもよい。薬物情報は、患者のための利用可能な治療オプション、選択されるモデル、およびモデルパラメータを決定するために使用されてもよい。例えば、IBDに関して治療される患者は、多くの場合、IBDを患っていない患者よりも高いクリアランス率を有し、IBDを伴う治療のための薬物投薬レジメンは、それに応じて調節されなければならない。好ましい投薬量は、レジメンが患者のために推奨される前に、投薬レジメンを改変し得る。例えば、薬物が、100mgバイアル内のみで利用可能である場合、推奨される投薬量は、最も近い100mg増分に丸められ得る。いくつかの実装では、薬物情報は、患者を治療するために現在使用されている薬物を識別する情報を除外する。例えば、薬物データは、薬物部類に一般的であり得る。生理学的データは、概して、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す。これは、医療記録情報、炎症のマーカ、アルブミン測定値またはC反応性タンパク(CRP)の測定値等の薬物消失のインジケータ、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープ/ファンデルハイデスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0047】
標的応答は、薬物療法への患者の耐容性および応答の内科医の査定に基づいて、内科医によって選択されてもよい。実施例では、標的応答は、患者から取得されるサンプル中の薬物の標的薬物濃度レベル(濃度の最大値、最小値、または暴露窓等)を含み、患者が次の投薬量を受容するべきとき、およびその次の投薬量を決定するために使用されてもよい。標的薬物濃度レベルは、標的薬物濃度トラフレベル、標的薬物濃度の最大値、濃度時間曲線(AUC)下の標的薬物面積、標的薬物濃度の最大値およびトラフの両方、血圧または凝固時間等の標的薬力学的エンドポイント、もしくは薬物暴露の任意の好適なメトリックを含んでもよい。標的は、内科医によって、薬物データおよび/または濃度もしくは応答に基づいて決定されてもよい。いくつかの実装では、標的は、患者における療法的応答をもたらすために、本システムによって自動的に決定されてもよい。本システムは、患者における療法的応答をもたらす1つ以上の標的を決定するために、入力された複数の標的を評価してもよい。上記に説明される入力(例えば、濃度データ、生理学的データ、薬物情報、および標的応答)は、患者のための投薬レジメン推奨を個人に合わせるために、本開示のシステムならびに方法によって使用される。
【0048】
受信された入力に基づいて、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、患者における薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させる計算モデル(2016年4月8日に出願され、「Systems and Methods for Patient-Specific Dosing」と題された、米国特許出願公開第2016-0300037号として公開された、米国特許出願第15/094,379号(第‘379号出願)(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される、モデルパラメータのうちのいずれか等)に関する1つ以上のパラメータ値を設定する。いくつかの実装では、計算モデルは、ベイズモデルである。例えば、計算モデルは、履歴および/または現在の患者データを考慮し、患者固有の標的化投薬レジメンを展開してもよい。第‘379号出願に議論されるように、計算モデルは、薬物の濃度時間プロファイルを示す、薬物動態成分と、薬物への患者の個々の応答を示す、薬力学的マーカの合成および分解率に基づく薬力学的成分とを含んでもよい。計算モデルは、受信された生理学的データに最良適合する計算モデルのセットから選択されてもよい。例えば、患者が、45歳の男性である場合、本システムは、30~50歳の年齢の男性に固有の計算モデルを選択してもよい。本計算モデルは、患者固有の測定値(本明細書に説明される付加的濃度データおよび付加的生理学的パラメータデータ等)を考慮することによって、具体的患者に個別化されることができる。
【0049】
患者固有の薬物投薬レジメンが、観察された患者応答を考慮するように更新される、数学モデル(例えば、薬物動態および/または薬力学的モデル)の関数として提供されてもよい。これは、第‘379号出願(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に詳細に説明される。特に、初期投薬レジメンへの具体的患者の観察された応答が、投薬レジメンを調節するために使用される。患者の観察された応答(例えば、患者の血液中の観察された薬物濃度)は、数学モデル単独によって考慮され得ない対象間変動性(BSV)を考慮するために、数学モデルおよび患者固有の特性と併せて使用される。具体的患者の観察された応答は、モデルおよび関連推測を精緻化し、モデルが具体的患者のために提案された投薬レジメンへの期待応答をより正確に推測するために使用され得るように、それらを効果的に個人に合わせるために使用されることができる。このように、観察された患者固有の応答データは、事実上、患者固有の投薬レジメンが、患者固有の基準で予測、提案、および/または評価され得るように、典型的患者応答を説明する一般的モデルを、患者固有の応答を正確に推測することが可能な患者固有のモデルに順応させるために、「フィードバック」として使用される。モデルを個人に合わせるために観察された応答データを使用することは、モデルが、患者集団に関する典型的応答のみ、またはモデル内で共変量として考慮される、ある特性を有する典型的患者に関する「共変量に典型的な」応答を説明した、以前の数学モデルでは考慮されない、BSVを考慮するように修正されることを可能にする。
【0050】
本システムおよび方法は、ベイズ分析に依拠してもよい。例えば、ベイズ分析は、患者の血液中の薬物の濃度を特定のレベル近傍に維持すること等、望ましい結果を達成するために必要とされる、適切な投薬量を決定するために使用されてもよい。ベイズ分析は、ベイズ推測と、ベイズ更新とを伴い得る。これらのベイズ技法は、共変量患者因子としてモデル内で考慮される患者固有の特性の関数であるだけではなく、モデル自体内で考慮されておらず、モデルによって反映される典型的患者から具体的患者を区別する、対象間変動性(BSV)を反映する、観察された患者固有の応答の関数でもある、モデルを展開するために使用されてもよい。このように、本開示は、従来的数学モデルによって解明されていない、および/または考慮されていない個々の患者の間の変動性(例えば、投薬レジメンならびに患者因子のみに基づいて予測されなかったであろう、患者応答)を考慮する。さらに、本開示は、体重、年齢、人種、臨床検査結果等の典型的モデルによって考慮される患者因子が、カテゴリ(カットオフ)値としてではなく、持続的関数として扱われることを可能にする。これを行うことによって、モデルは、患者固有の推測および分析が、具体的患者に関して個人に合わせられる投薬レジメンを予測、提案、ならびに/もしくは評価するために実施され得るように、具体的患者に順応される。
【0051】
着目すべきこととして、本開示は、患者に以前に投与された投薬レジメンを遡及的に査定するためだけではなく、提案された投薬レジメンを、提案された投薬レジメンを患者に投与する前に、先を見越して査定するため、または所望の転帰を達成するであろう患者のための投薬レジメン(投与される投薬量、投薬間隔、および投与経路)を識別するためにも使用され得る。ベイズ推測プロセスは、モデル内の患者因子共変量および数学モデルとして考慮される、患者の具体的特性の関数として、患者のための種々の投薬レジメンを試験するために使用されてもよい。本推測は、患者固有の特性を伴う典型的患者に関して予測される応答に基づいて、投薬レジメンを評価するステップを伴う。概して、ベイズ推測は、具体的患者が種々の投薬レジメンを用いて呈するであろう可能性のある応答を推測するために数学モデルパラメータを使用するステップを伴う。着目すべきこととして、推測するステップは、提案された投薬レジメンの実際の投与の前に、提案された投薬レジメンに対する可能性が高い患者応答の決定を可能にする。故に、推測するステップは、各投薬レジメンが、モデル/複合モデル内の患者固有因子および/またはデータによって予測されるように、患者に影響を及ぼす可能性があるであろう方法を決定するために、複数の異なる提案された投薬レジメン(例えば、種々の投薬量、投薬間隔、ならびに/もしくは投与経路)を試験するために使用されることができる。推測は、治療目的または標的暴露もしくは濃度レベルを達成するために申し分のないほど良好である、または最良の投薬レジメンのセットを生成するために比較されてもよい。例えば、標的は、療法閾値を上回るトラフ血中濃度レベルの維持を伴ってもよい。
【0052】
いくつかの実装では、推奨投薬レジメンは、特定の投薬レジメンが患者にとって療法的に効果的であろう尤度を示す、信頼区間を提供される。特に、個々のデータから見積もられる応答または濃度の信頼区間は、モデルの複雑性および個々のデータ(PKデータならびに/もしくはPDデータ)の量に基づいて査定されてもよい。特に、信頼区間は、モデルからの個々の予測の可能性として考えられる誤差を反映し得る。最初に、個々の測定値が、患者から得られていないとき、モデルの予測は、PKモデルおよびPDモデルの解明されていない変動性にほぼ等しい、それらと関連付けられる誤差を有する。しかしながら、個々の測定値が、得られ、これらのモデル内に導入されるにつれて、誤差(または、同等に、信頼区間)は、最終的に、測定誤差に対応し得る、検定誤差に接近する前に減少する。また、信頼区間は、医療従事者に、モデル予測内に残存する誤差量に関する感覚を与えるために、臨床ポータルに提供されてもよい。
【0053】
ベイズ更新プロセスは、投薬レジメンに対する患者の応答に基づいて、モデルを更新するために使用されてもよい。概して、ベイズ更新は、ベイズ推論を伴い、これは、ベイズ規則が、付加的証拠が取得されるにつれて、仮説のための確率推定値を更新するために使用される、ある方法である。ベイズ更新は、特に、経時的に(順次に)収集されたデータの動的分析において重要である。ここで適用されるような方法は、暴露および/または応答の時間経過を説明するだけではなく、暴露ならびに応答の解明されていない(ランダム)変動性を説明する用語も含む、モデルを使用する。ベイズ更新の結果は、観察されたデータを条件とするパラメータのセットである。本プロセスは、以前の分散(例えば、基礎となるモデル)からパラメータをサンプリングするステップと、基礎となるモデルに基づいて予期される応答を計算するステップとを伴う。基礎となるモデル毎に、モデルの期待値と観察されるデータとの間の差異が、比較される。本差異は、「目的関数」と称される。パラメータは、次いで、目的関数に基づいて調節され、新しいパラメータが、新しいモデルの期待値と観察されるデータとの間の差異を比較することによって、観察されるデータに対して試験される。本プロセスは、目的関数が、最小化され、目的関数を最小化するパラメータが、現在のデータを最良に説明することを示唆するまで、反復的に行われる。いくつかの実装では、ランダム関数が、ある変動を差し挟み、目的関数の薬物に依存しない最小値が取得されていることを確実にするために使用されてもよい。
【0054】
いくつかの事例では、本開示のシステムおよび方法は、患者が、薬剤の部類(または他の群)内からの、もしくはそれを超えた以前の治療方法に対して応答した様子に基づいて、投薬レジメン推奨を決定する。実施例として、患者が、1つの薬物(例えば、以前に投与された薬物)を伴う治療に応答しないとき、内科医は、時として、患者を異なる薬物(例えば、現在投与されている薬物)に切り替え、薬物は、(例えば、共通作用機序を共有する同一の部類から)相互に関連し得る。治療に対する応答の欠如は、時として、高消失率を伴う患者において起こり得る、治療の「失敗」と称される。これらの患者では、薬物は、多くの場合、薬物の完全な有益効果が身体によって実現される前に、身体から排出される。一般的に言えば、1つの薬物(以前に投与された)に関して高消失率を伴うIBD患者はまた、類似薬物に関するクリアランスの機序も、概して同様に類似するため、別の類似薬物(まだ投与されていない)に関しても高消失率を有することが予期され得る。このように、以前に投与された薬物の(測定された薬物濃度レベルによって反映されるような)消失率は、投与されるべき薬物の消失率を通知し得る。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、本相関を活用し、別の薬物(例えば、患者を治療するために現在使用されている薬物)のための推奨投薬レジメンを決定する際に、1つの薬物(例えば、以前に投与された薬物)を伴う履歴患者データを使用してもよい。例えば、医師が、患者のためにアダリムマブを処方し得る。患者は、アダリムマブに関するクリアランスの平均よりも高い率を有し得る。患者がアダリムマブに基づく療法に失敗した場合、医師は、次いで、インフリキシマブを用いた療法を試行してもよい。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、次いで、患者が、アダリムマブならびにインフリキシマブが両方とも類似クリアランス機序を伴うmAbであるという事実により、同様に平均よりも高い率においてインフリキシマブを一掃する可能性が高いため、インフリキシマブに関する投薬レジメンを計算するときに、アダリムマブの平均よりも高いクリアランスを考慮する。
【0055】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、反復アプローチを使用して、推奨投薬レジメンを決定ならびに提供する。実施例では、初期投薬レジメン(患者の利用可能な情報および内科医の体験に基づいて決定される)が、患者に投与される。患者の生理学的および/または濃度データ等の初期投薬レジメンに対する患者の応答もしくは反応を示すデータが、初期投薬レジメンに関するフィードバックとして本システムに提供される。次いで、推奨として内科医に提供される、更新された投薬レジメンを計算する、計算モデルへの入力として、そのデータの全て、一部が、使用される、または何も使用されない。内科医は、推奨されるように厳密に投薬レジメンを投与することを選定してもよい、または内科医は、推奨投薬レジメンを投与する前に、それをわずかに改変することを選定してもよい。例えば、推奨投薬レジメンは、具体的投薬間隔(例えば、4週間)および具体的投薬量(例えば、バイアル1.9個分)を含んでもよい。内科医は、(例えば、患者が、4週間および1日たって別の投薬量に戻ることのみができる場合)患者のスケジュールに合わせて調整するようにレジメンを改変すること、特定の数のバイアルに(例えば、2個のバイアルに)切り上げること、または両方を選択してもよい。本反復アプローチは、下記に詳細に説明される。
【0056】
上記に説明される計算モデルおよび設定されたパラメータを使用して、本明細書に説明されるシステムならびに方法は、患者のための第1の医薬品投薬レジメンを決定する。第1の医薬品投薬レジメンは、薬物の少なくとも1つの投薬量と、患者に薬物の少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む。推奨スケジュールは、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイルまたは薬力学的マーカプロファイルが、推奨時間において標的薬物暴露レベルにある、もしくはそれを上回るように、薬物の次の投薬量を患者に投与するための推奨時間を含む。いくつかの実装では、投薬レジメンは、(例えば、ユーザインターフェースを通して)表示されてもよい。いくつかの実装では、内科医が、(例えば、ユーザインターフェースを通して)第1の投薬レジメンを受信または閲覧してもよい。内科医は、投薬レジメンが患者に投与される前に、それを改変することを決定してもよい。いったん内科医が治療の過程を決定すると、投薬量が、患者に投与されてもよく、付加的データ(患者が投薬量に応答している様子を示す)が、受信される。
【0057】
いくつかの実装では、少なくとも部分的に、患者への第1の医薬品投薬レジメンに基づく、投薬レジメンの投与の開始後に、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、患者から取得される付加的濃度データならびに付加的生理学的データを受信する。医療従事者が、システムによって推奨されるように厳密に投薬レジメンを患者に投与することを選定してもよい。しかしながら、医療従事者はまた、薬物の投与に先立って、第1の医薬品投薬レジメンを改変することを選定してもよい。例えば、医療従事者は、投薬量を切り上げる、または切り下げることを選定してもよい、患者および医師のスケジュールにより良好に適合するように投薬時間を改変することを選定してもよい、第1の医薬品投薬レジメンへの任意の好適な改変を行ってもよい、もしくはそれらの任意の好適な組み合わせを行ってもよい。例えば、第1の医薬品投薬レジメンは、4月20日に100mgの投薬量を定めてもよいが、内科医は、4月22日に90mgの投与を指示することを決定してもよい。投与された投薬量の詳細が、次いで、本システムに入力されることができる。本システムは、次いで、患者が投与された投薬量に応答している様子を示す、付加的データ(例えば、濃度および生理学的パラメータデータ)を受信してもよい。
【0058】
多くの場合、患者が、治療の初期にあるとき、あまり多くの患者データは、存在しない。特に、患者が薬剤の異なる投薬量に応答または反応した様子を示す履歴データは、典型的には、利用不可能である。本場合には、依拠するべき患者データが、殆ど存在しないとき、本開示のシステムおよび方法は、モデルの反復において考慮される濃度データ点の数を、直近のデータ点であり得る単一のデータ点のみに限定してもよい。直近のデータ点は、そのデータ点が、患者の現在のステータスを最も正確に反映し、本開示のシステムおよび方法が推奨投薬レジメンの決定においてそのデータ点を重く加重することを可能にするため、モデルに入力される唯一の濃度データであってもよい。このように、モデルへの入力は、第1の医薬品投薬レジメンの治療の投与される周期が、第1の医薬品投薬レジメンの時間の全長のある割合を上回るかどうか(例えば、患者が治療の初期にあるかどうか)に基づいて決定される。
【0059】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、情報をユーザに表示してもよい。本システムは、内科医または他のユーザが相互作用し得る、ユーザインターフェースを通して情報を表示してもよい。例えば、ユーザインターフェースは、投薬レジメン(例えば、
図7Aおよび7Bに示され、下記に説明されるような)を表示してもよい、または濃度ならびに/もしくは生理学的パラメータデータを表示してもよい。いくつかの実装では、ユーザが、ユーザインターフェース上で閲覧するべきデータを切り替える、または別様に選定することができる。いくつかの実装では、計算モデルによって発生されるような、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイルが、表示される。濃度データおよび付加的濃度データ、生理学的データおよび付加的生理学的データ、標的薬物暴露レベル、ならびに薬物の予測濃度時間プロファイルが標的薬物暴露レベルと交差する点としての推奨時間のうちの少なくとも一部のインジケーションもまた、表示されてもよい。例えば、内科医が、グラフィカルユーザインターフェースを使用し、患者に関する標的応答を入力し、患者データ(例えば、生理学的および濃度データ)を入力し、異なる投薬レジメンに応答した患者に関する予測濃度時間プロファイルを閲覧してもよい。
【0060】
いくつかの実装では、上記に説明される入力等の入力が、電子医療記録から読み出される。例えば、医師は、次いで、本患者に関する健康情報を含む複数の患者情報を保持する、(ローカルで投薬システム内に、または遠隔で記憶される)電子データベースシステムと通信し得る、投薬システムの中に患者の氏名を入力してもよい。電子データベースシステムの健康情報は、例えば、患者が摂取している、現在の薬物を含んでもよい。投薬システムは、次いで、電子データベースシステムから、患者の健康および/または薬物情報についての情報を受信してもよい。いくつかの実施例では、(薬物部類、投与経路、最小投薬量、または任意の他の好適な情報等の)薬物情報が、いったん薬物名称が識別されると、別個のデータベースもしくはサーバから読み出される。そのようなシステムは、例えば、臨床医が情報を手動で入力するために必要な時間を短縮すること、およびこれらのデータベースから情報を自動的に引き出すことによって入力エラーの機会を低減させることにおいて有利であり得る。そのようなEMRアプリケーションは、状況および必要性に応じて、所与のシステム内でアクティブ化または非アクティブ化され得る。
【0061】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、薬物のある部類(または他の群)に関する患者薬物クリアランスを予測するために使用され得る。そのようなモデルは、薬剤の群内の薬剤間の差異を考慮するために標準化されてもよい。いくつかの実装では、モデルは、薬物の部類に対応する、公開されたモデルのセットからパラメータ値を収集することによって生成される。パラメータ値は、ルックアップテーブル内に収集されてもよい。パラメータ値は、薬物に依存しないモデル内で比較またはプールされ得るように、「標準化値」に変換されてもよい。これは、本システムが、公開されたもののような共変量効果を伴う公開モデルのための患者母集団に関して、および全ての測定ならびに想定される共変量効果を伴う拡張公開モデルのための患者母集団に関してPK特性をシミュレートすることを可能にする。標準化されたパラメータは、体重と、アルブミンと、ADA陰性と、免疫抑制剤の存在と、CRPと、グルコースと、ヒト由来またはキメラと、非IBD疾患と、性別と、非線形クリアランスと、CLとを含んでもよい。ルックアップテーブルは、薬物に依存しないモデルからの予備的推定を可能にするために、パラメータを正規化するために使用されてもよい。ルックアップテーブルは、ユーザによって、ユーザインターフェースを通して操作されてもよく、
図6のモデルデータベース606D内に記憶されてもよい。ルックアップテーブルは、各薬物が、種々のシナリオにおいて容易にシミュレートされ得るように、テーブルのサブセットがプログラム内のシミュレーション関数に送信され得るように構造化されてもよい。薬物の群内の薬物毎の正規化されたパラメータからシミュレートされた濃度が、シミュレートされた濃度データをプールされたデータに適合させるように、薬物のその群のためのプールされたデータに関して比較および分析されてもよい。薬物の群のための薬物に依存しないモデルは、その群内の薬物全てに適用される、またはそれを表すパラメータのセットを提供する。
【0062】
図1は、ある例証的実装による、複数の薬物(薬物のセットとも称される)に関する投薬レジメンを提供するためのシステムまたは方法によって実装される、プロセス100を示す。ステップ102において、本システムへの入力が、受信される。入力は、薬物のセットおよび投与経路、濃度または応答データ、ならびに標的薬物暴露もしくは応答レベルを示す、薬物データを含む。いくつかの実装では、薬物のセット内の薬物は、類似のPK挙動、類似のPD挙動、または両方を呈することが予期される。いくつかの実装では、薬物データは、薬剤毎に、意図される患者母集団または疾患等の適応を含む。いくつかの実装では、薬物データは、作用機序等の薬物の構造または機能についての情報を含む。薬物の構造についての情報は、例えば、薬物のセット内の1つ以上の薬物が、抗体である場合、各抗体が、キメラである、断片化されている、ヒト由来である、もしくは完全にヒト由来であるかどうかを含んでもよい。薬物データが、具体的薬物を識別することなく供給され、内科医が、具体的薬物への結果を識別または制約することなく、シミュレートされた結果、例えば、予測濃度時間プロファイル、クリアランス、ならびに/もしくは投薬レジメンを得ることを可能にし得ることが、可能性として考えられる。濃度または応答データは、患者から取得されたサンプル中の薬物のセットの具体的薬物の濃度もしくは応答レベルを示し得る。濃度または応答データはさらに、患者から取得されたサンプル中の、具体的な投与経路を使用して投与された具体的薬物の濃度もしくは応答レベルを示し得る。体重、アルブミン、ADA陰性、免疫抑制剤の存在、CRPレベル、グルコースレベル、合併症、疾患ステータス、および性別等の患者固有の共変量または測定値もまた、本システムへの入力として含まれてもよい。
【0063】
ステップ104において、数学モデルが、メモリ内に記憶されるデータベース(例えば、
図6のモデルデータベース606D)から選択される。データベースは、プロセッサによるものであり、複数の数学モデルを記憶する。数学モデルは、複数の患者による、薬物のセット内の複数の薬物に対する応答を表し、応答の各応答は、薬物のセット内の少なくとも1つの薬物に対する患者応答を示し、数学モデルは、特定の薬物に固有ではない。数学モデルは、本システムへの入力のうちの1つ以上のものに基づいて選択されてもよい。
【0064】
いくつかの実装では、数学モデルは、薬物データに基づいて選択される。モデルが、薬物データに基づいて選択される場合、選択ステップは、モデルのパラメータまたは共変量と薬物データを比較するステップを伴ってもよい。本ステップは、モデルと薬物のセットまたは部類との間の類似パラメータの数を最大化するステップを伴ってもよい。データベース内の各モデルは、モデルのこれまでのパフォーマンスを示す、誤差または信頼区間と関連付けられてもよく、モデルは、誤差もしくは信頼区間に基づいて選択されてもよい。モデルは、モデルのために利用可能である、またはそれに適用可能なデータもしくは情報の量に基づいて選択されてもよい。選択されたモデルが、モデルがより正確な予測を行い、標的を達成する可能性がより高い推奨を提供するように精緻化され得るように、利用可能な最も広範囲な情報またはデータを使用することが、有利であろう。例えば、濃度または応答データならびに/もしくは濃度または応答データのタイプが、分析され、そのタイプのデータをモデルの中に組み込むことが可能である、もしくはそのデータの少なくとも一部または最大限を組み込むことが可能である、モデルを選択してもよい。いくつかの実装では、選択は、最適化関数によって実施されてもよい。前述に議論された選択方法の代わりに、またはそれに加えて、ベイズ法が、モデルを選択するために使用されてもよい。いくつかの実装では、複数のモデルが、相互に比較され、患者または入力を最良に表すモデルが、選択されてもよい。ある実装では、モデルは、ベイズ推測等のベイズ分析を実施することが可能であり得る、ベイズモデルである。
【0065】
ある実装では、パラメータが、患者における薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させる、計算モデルのために設定されてもよい。パラメータは、ステップ102の受信された入力に基づいて設定される。いくつかの実装では、計算モデルは、ベイズモデルである。いくつかの実装では、計算モデルは、薬物の濃度時間プロファイルを示す、薬物動態成分と、薬物に対する患者の個々の応答を示す、薬力学的マーカの合成および分解率に基づく、薬力学的成分とを含む。いくつかの実装では、プロセス300は、付加的な随意のステップを含み、計算モデルは、受信された生理学的データに最良適合する計算モデルのセットから選択される。いくつかの実装では、計算モデルは、患者における薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させるために、過去の薬物に対する患者の応答を示す、履歴データを考慮する。いくつかの実装では、過去の薬物は、現在の薬物と同一の薬物の部類に属してもよい。いくつかの実装では、過去の薬物は、現在の薬物と異なる薬物の部類に属してもよい。
【0066】
ステップ106において、複数の予測濃度時間プロファイルが、推測される。予測濃度時間プロファイルは、選択された数学モデルを使用して、かつ濃度データおよび投与経路に基づいて推測される。複数の予測濃度時間プロファイルの各予測濃度時間プロファイルは、複数の投薬レジメン内の投薬レジメンに対応する。複数の投薬レジメンの各投薬レジメンは、少なくとも1つの投薬量と、患者に少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含んでもよい。いくつかの実装では、推奨スケジュールは、モデルを使用して、少なくとも1つの投薬量または濃度もしくは応答データに基づいて、標的濃度または暴露もしくは応答レベルを維持するために決定される。ステップ106は、ベイズ推測を伴ってもよい。
【0067】
ステップ108において、薬物のセットに関する第1の投薬レジメンが、選択される。第1の投薬レジメンは、標的薬物暴露または応答レベルに基づいて、治療目的を達成するために推測される。第1の投薬レジメンは、本システムから出力されてもよい。いくつかの実装では、第1の投薬レジメンは、ユーザデバイス上での表示のために出力される。いくつかの実装では、複数の第1の投薬レジメンが、出力される。いくつかの実装では、内科医が、複数の第1の投薬レジメンから第1の投薬レジメンを選定してもよい。第1の投薬レジメンの選択は、所定の基準によって、または複数の投薬レジメン内の各投薬レジメンと関連付けられるスコアによって決定されてもよい。例えば、ユーザが、治療目的を最良に充足させる、または標的濃度もしくは濃度時間プロファイルに最良適合する、投薬レジメンを選択してもよい。スコアは、特定の投薬レジメンに関する予測濃度時間プロファイルが標的に適合する接近度を表す、本システムによって計算される、割合であってもよい。スコアは、最新技術において公知である、p値であってもよい。スコアは、残余誤差を示してもよい。例えば、スコアは、特定の投薬レジメンを使用するシミュレーションと関連付けられる、平均残余誤差であってもよい、または信頼区間として提示されてもよい。これらのスコアは、対応する投薬レジメンに伴って出力されてもよい。
【0068】
ある実施例では、ユーザインターフェースを経由して選択/推奨された第1の投薬レジメンを閲覧することに応じて、医療従事者が、推奨されるように第1の投薬レジメンを投与することを選択してもよい、または医療従事者は、患者もしくは医療従事者のスケジュールに合わせて調整するように推奨スケジュール内の1つ以上の日付もしくは時間を変更することによって、および/または(例えば、バイアルの最も近い整数に、例えば、切り上げることによって)薬量の量を変更すること等によって、推奨投薬レジメンをわずかに改変することを選択してもよい。投薬レジメン(例えば、推奨投薬レジメンまたは推奨投薬レジメンの修正されたバージョンのいずれか)が、例えば、経口薬剤、静脈内、筋肉内、髄腔内、もしくは皮下注射、直腸または経膣挿入、注入、局所、経鼻、舌下、もしくは口腔内適用、吸入または噴霧、眼内経路または耳内経路、もしくは任意の他の好適な投与経路を通して、医療従事者によって投与される。投薬量は、薬物に関する利用可能な薬量の単位の倍数であってもよい。例えば、利用可能な薬量の単位は、1つの錠剤、または錠剤の半分等の容易に分割されるときに結果として生じる錠剤の好適な破片であり得る。いくつかの実装では、投薬量は、薬物に関する利用可能な薬量の単位の整数の倍数であってもよい。例えば、利用可能な薬量の単位は、分割され得ない、10mgの注射またはカプセルであり得る。いくつかの投与経路(例えば、IVおよび皮下)に関して、投薬強度の任意の一部が、投与されることができる。
【0069】
医療従事者(または本システムの別のユーザ)は、実際に投与された投薬レジメンを示すデータを本システムに提供してもよい。ある実施例では、投与された投薬レジメンが、推奨投薬レジメンと同一である場合、ユーザは、単純に、推奨投薬レジメンが投与されるように選択されたことを示す、ユーザインターフェース上のボタンを選択してもよい。代替として、投与された投薬レジメンが、推奨投薬レジメンと異なる場合、ユーザは、投与された投薬レジメンを示すデータを本システムに提供する。(モデルによって提供される推奨投薬レジメンと同一である、またはその修正されたバージョンであり得る)患者への投薬レジメンの投与の開始後に、本システムは、投薬レジメンへの患者の観察された応答を示す、付加的データを受信する。特に、本システムは、付加的濃度データ、付加的生理学的データ、または両方を受信してもよい。本システムは、濃度データと連結される、付加的濃度データを受信する。例えば、付加的濃度データは、投与された投薬レジメンへの患者の応答を表し得、単一のデータ点または複数のデータ点であってもよい。加えて、または代替として、本システムは、濃度データと連結される、付加的生理学的パラメータデータを受信する。例えば、付加的生理学的パラメータデータは、投与された投薬レジメンへの患者の応答を表し得、単一のデータ点、またはベクトルもしくはマトリクスの形態にある複数のデータ点であってもよい。本システムは、付加的生理学的パラメータデータを受信することなく、付加的濃度データを受信してもよい。代替として、本システムは、付加的濃度データを受信することなく、付加的生理学的パラメータデータを受信してもよい。別の実施例では、本システムは、付加的濃度データと、付加的生理学的データとの両方を受信してもよい。
【0070】
本方法は、付加的ステップを含んでもよい。いくつかの実装では、付加的ステップは、具体的薬物に関する更新された投与経路を示す、付加的薬物データを受信するステップと、具体的薬物に関する更新された投与経路に基づいて、数学モデルを更新するステップと、更新された数学モデルに基づいて、患者のための治療目的に到達するための、少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算するステップと、患者のために、少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力するステップとを含む。そのような実装では、これらの付加的ステップは、内科医が、患者に最良の処置を提供する、すなわち、治療目的を最良に充足させる、1つ以上の投薬レジメンを識別するために、投与経路を変動させながら、薬物のセット全体を分析することを可能にする。いくつかの実装では、付加的ステップは、第1の投薬レジメンまたは第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、具体的薬物の投与に対する患者の応答を示す、付加的な患者データを受信するステップであって、付加的な患者データは、患者から取得される、1つ以上のサンプル中の具体的薬物の1つ以上の濃度レベルを示す、付加的濃度データを含む、ステップと、第1の投薬レジメンまたは第1の投薬レジメンの修正されたバージョンに従って、具体的薬物の投与に対する患者の第2の応答に基づいて、数学モデルを更新するステップと、更新された数学モデルに基づいて、患者のための治療目的に到達するための、少なくとも1つの更新された投薬レジメンを計算するステップと、患者のために、少なくとも1つの更新された投薬レジメンを出力するステップとを含む。更新するステップは、ベイズ更新を伴ってもよい。
【0071】
いくつかの実装では、本システムはまた、利用可能な投薬強度、好ましい投薬強度、利用可能な薬量単位、製造スケジュール、バイアル強度、または価格等のある薬物制約を入力として受信する。これらの制約は、上記に説明されるステップ内に組み込まれてもよい。例えば、第1の投薬レジメンは、利用可能な薬量単位の倍数である、投薬量を含むように発生されてもよい。投薬レジメンにおける投薬スケジュールは、製造スケジュールの倍数であるように構成されてもよい。本システムは、入力される薬物コストに基づいて、患者に対する最低コストにおいて治療目的を最良に充足させる投薬量を決定するように構成されてもよい。投与経路は、皮下、静脈内、経口、筋肉内、髄腔内、舌下、口腔内、直腸、経膣、眼内、経鼻、吸入、噴霧、皮膚、または経皮のうちの少なくとも1つであってもよい。複数の薬物は、モノクローナル抗体および/または抗体構築物、サイトカイン、酵素補充療法のために使用される薬物、アミノグリコシド系抗生物質、ならびに白血球減を引き起こす化学療法薬のうちの1つであってもよい。
【0072】
いくつかの実装では、複数の薬物の中の各薬物は、類似の化学構造を共有する。複数の薬物の中の各薬物は、類似の作用機序を共有してもよい。いくつかの実装では、複数の薬物は、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、および多発性硬化症を治療するために使用される。ある実装では、具体的薬物は、表1に列挙される薬物のうちの1つである。薬物データは、例えば、数学モデル内に含まれる、または複数の薬物内の薬物間の類似性もしくは差異を説明し得る、パラメータを満たすために、具体的薬物に関する投薬強度、および/または具体的薬物が完全にヒト由来である、もしくはキメラである、または断片化されているかどうかを表す、インジケータを含んでもよい。本システムは、例えば、患者疾患に適用可能である薬物を分類する、またはモデルもしくは種々のステップにおいて使用される、患者疾患に関連する情報を読み出すために、治療するための患者疾患を示す患者データを、入力として受信してもよい。
【0073】
いくつかの実装では、受信される入力は、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す、生理学的データを含む。患者の少なくとも1つの生理学的パラメータは、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗薬物抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、疾患活動性スコア(DAS)、シャープスコア、および人口統計学的情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。数学モデルが、数学モデルのセットから、受信された生理学的データに最良適合するために選択されてもよい。
【0074】
いくつかの実装では、本方法は、表示のために、第1の投薬レジメンに応答した、複数の薬物に対する患者応答を示す、患者固有の濃度時間プロファイルと、濃度データおよび付加的濃度データのうちの少なくとも一部のインジケーションとを発生させるステップとを含む。標的薬物暴露または応答レベルのインジケーションが、表示のために、発生されてもよい。いくつかの実装では、本システムは、具体的薬物以外の第2の薬物に対する患者の応答を示す、履歴データを受信する。計算モデルは、患者における複数の薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させるために、履歴データを考慮してもよい。したがって、モデルは、複数の薬物に対する患者応答に関する予測を発生させるために、具体的薬物以外の薬物の投与から採集されるデータ等、より広範囲のデータを使用することが可能であり得る。薬物に依存しないモデルは、投薬レジメンに対する患者応答を予測し、最適化される投薬レジメンを推奨するために、観察された患者応答データまたは過去の薬物データ、例えば、臨床治験データを用いて薬物特異性の欠如を補完し得る。
【0075】
いくつかの実装では、本システムは、入力として、初期の比較濃度データ点を表す、初期の薬物濃度入力データを受信する。ある場合には、ユーザまたは内科医は、測定された濃度もしくは応答データへのアクセスを有していなくてもよく、代わりに、本システムは、生理学的データに基づいて、第1の点を推定または計算しなければならない。ある場合には、初期の比較濃度データ点は、患者から取得されたサンプル中の複数の薬物の具体的薬物の濃度レベルを示す。ある場合には、初期の比較濃度データ点は、患者の生理学的パラメータに基づいて計算される。第1の投薬レジメンは、選択された数学モデルおよび具体的患者の生理学的パラメータから取得される入力データに基づく、予測濃度時間プロファイルの推測に基づいて計算されてもよい。
【0076】
図2は、本明細書に説明されるプロセスのうちのいずれかを実施するためのコンピューティングデバイスのブロック図である。これらのシステムのコンポーネントはそれぞれ、1つ以上のコンピューティングデバイス200上に実装されてもよい。ある側面では、これらのシステムの複数のコンポーネントが、1つのコンピューティングデバイス200内に含まれてもよい。ある実装では、コンポーネントおよび記憶デバイスが、いくつかのコンピューティングデバイス200を横断して実装されてもよい。
【0077】
コンピューティングデバイス200は、少なくとも1つの通信インターフェースユニットと、入力/出力コントローラ210と、システムメモリと、1つ以上のデータ記憶デバイスとを含む。システムメモリは、少なくとも1つのランダムアクセスメモリ(RAM202)と、少なくとも1つの読取専用メモリ(ROM204)とを含む。これらの要素の全てが、中央処理ユニット(CPU206)と通信し、コンピューティングデバイス200の動作を促進する。コンピューティングデバイス200は、多くの異なる方法において構成されてもよい。例えば、コンピューティングデバイス200は、従来の独立型コンピュータであってもよい、または、代替として、コンピューティングデバイス200の機能は、複数のコンピュータシステムおよびアーキテクチャを横断して分散されてもよい。
図2では、コンピューティングデバイス200は、ネットワークまたはローカルネットワークを介して、他のサーバもしくはシステムに連結される。
【0078】
コンピューティングデバイス200は、データベースおよびプロセッサが、別個のユニットまたは場所に収納される、分散アーキテクチャ内で構成されてもよい。いくつかのユニットは、一次処理機能を実施し、最低でも、一般的コントローラまたはプロセッサと、システムメモリとを含有する。分散アーキテクチャ実装では、これらのユニットはそれぞれ、通信インターフェースユニット208を介して、他のサーバ、クライアントまたはユーザコンピュータ、および他の関連デバイスとの一次通信リンクとしての役割を果たす、通信ハブもしくはポート(図示せず)に取り付けられてもよい。通信ハブまたはポートは、主に、通信ルータとしての役割を果たす、最小限の処理能力を、それ自体で有してもよい。限定ではないが、Ethernet(登録商標)、SAP、SASTM、ATP、BLUETOOTH(登録商標)TM、GSM(登録商標)、およびTCP/IPを含む、種々の通信プロトコルが、本システムの一部であってもよい。
【0079】
CPU206は、1つ以上の従来のマイクロプロセッサ等のプロセッサと、CPU206から作業負荷を負荷軽減するための数学コプロセッサ等の1つ以上の補助コプロセッサとを含む。CPU206は、通信インターフェースユニット208および入力/出力コントローラ210と通信し、それを通して、CPU206は、他のサーバ、ユーザ端末、またはデバイス等の他のデバイスと通信する。通信インターフェースユニット208および入出力コントローラ210は、例えば、他のプロセッサ、サーバ、またはクライアント端末との同時通信のための複数の通信チャネルを含んでもよい。
【0080】
CPU206はまた、データ記憶デバイスとも通信する。データ記憶デバイスは、磁気、光学、または半導体メモリの適切な組み合わせを含んでもよく、例えば、RAM202、ROM204、フラッシュドライブ、コンパクトディスク等の光ディスク、もしくはハードディスクまたはドライブを含んでもよい。CPU206およびデータ記憶デバイスはそれぞれ、例えば、単一のコンピュータまたは他のコンピューティングデバイス内に完全に位置する、もしくはUSBポート、シリアルポートケーブル、同軸ケーブル、Ethernet(登録商標)ケーブル、電話線、高周波送受信機、または他の類似の無線もしくは有線媒体、または前述の組み合わせ等の通信媒体によって相互に接続されてもよい。例えば、CPU206は、通信インターフェースユニット208を介してデータ記憶デバイスに接続されてもよい。CPU206は、1つ以上の特定の処理機能を実施するように構成されてもよい。
【0081】
データ記憶デバイスは、例えば、(i)コンピューティングデバイス200のためのオペレーティングシステム212、(ii)本明細書に説明されるシステムおよび方法に従って、特に、CPU206に関して詳細に説明されるプロセスに従って、CPU206に指示するように順応される、1つ以上のアプリケーション214(例えば、コンピュータプログラムコードもしくはコンピュータプログラム製品)、または(iii)プログラムによって要求される情報を記憶するために利用され得る、情報を記憶するように順応されるデータベース216を記憶してもよい。
【0082】
オペレーティングシステム212およびアプリケーション214は、例えば、圧縮、非コンパイル、ならびに暗号化形式で記憶されてもよく、コンピュータプログラムコードを含んでもよい。プログラムの命令は、ROM204から、またはRAM202等からデータ記憶デバイス以外のコンピュータ可読媒体からプロセッサのメインメモリに読み込まれてもよい。プログラム内の命令のシーケンスの実行は、CPU206に本明細書に説明されるプロセスステップを実施させるが、有線回路網が、本発明のプロセスの実装のためのソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。したがって、説明されるシステムおよび方法は、ハードウェアとソフトウェアとのいかなる具体的組み合わせにも限定されない。
【0083】
好適なコンピュータプログラムコードが、本明細書に説明される1つ以上の機能を実施するために提供されてもよい。プログラムはまた、オペレーティングシステム212、データベース管理システム、およびプロセッサが入力/出力コントローラ210を介してコンピュータ周辺デバイス(例えば、ビデオディスプレイ、キーボード、コンピュータマウス等)とインターフェースをとることを可能にする「デバイスドライバ」等のプログラム要素を含んでもよい。
【0084】
本明細書で使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のために命令をコンピューティングデバイス200のプロセッサ(または本明細書に説明されるデバイスの任意の他のプロセッサ)に提供する、もしくは提供することに関与する、任意の非一過性の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体および揮発性媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、光学、磁気、または光磁気ディスク、もしくはフラッシュメモリ等の集積回路メモリを含む。揮発性媒体は、典型的には、メインメモリを成す、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。一般的な形態のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを伴う任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROMまたはEEPROM(電子的消去可能プログラマブル読取専用メモリ)、FLASH-EEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、もしくはコンピュータが読み取り得る任意の他の非一過性の媒体を含む。
【0085】
種々の形態のコンピュータ可読媒体が、実行のためにCPU206(または本明細書に説明されるデバイスの任意の他のプロセッサ)への1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送することに関与してもよい。例えば、命令は、最初に、遠隔コンピュータ(図示せず)の磁気ディスク上に保有されてもよい。遠隔コンピュータは、その動的メモリに命令をロードし、Ethernet(登録商標)接続、ケーブル回線、またはモデムを使用する電話線さえも経由して、命令を送信することができる。コンピューティングデバイスのローカルにある通信デバイス200(例えば、サーバ)が、個別の通信回線上でデータを受信し、プロセッサのためのシステムバス上にデータを置くことができる。システムバスは、プロセッサが命令を読み出して実行する、メインメモリにデータを搬送する。メインメモリによって受信される命令は、随意に、プロセッサによる実行の前または後のいずれかで、メモリ内に記憶されてもよい。加えて、命令は、種々のタイプの情報を搬送する無線通信またはデータストリームの例示的形態である、電気、電磁、もしくは光学信号として、通信ポートを介して受信されてもよい。
【0086】
図3Aおよび3Bは、薬物のある部類内の薬物毎の投薬レジメンに応答する、具体的患者に関する予測濃度時間プロファイルのグラフである。各グラフでは、具体的患者に関する濃度時間プロファイルが、各プロファイルが、薬物の部類内の薬物に対応するように、薬物に依存しないモデルを使用して、薬物の部類に関してシミュレートされる。ここでシミュレートされる薬物の部類は、前述に説明されるようないくつかの共通性を共有している、種々のmAbを含む。本例証的実施例では、投薬レジメンは、添付文書において薬物毎に推奨される、標準的投薬量および間隔である。特に、
図3Aは、薬物の部類に関する予測濃度時間プロファイルを示す。適用される標準的投薬レジメンのうちの1つが、上記のチャートにおいて、単回投薬において静脈内に投与される、10mgのエタネルセプト(「ETAN」)を含むレジメンとして示される。濃度が、非常に低い(療法量以下の)値まで低下されることを可能にされると、例えば、患者が、投薬レジメンに準拠しない場合、プロファイルは、薬物間の差異に起因して、有意に異なる状態になる。これらの差異は、標準化されたパラメータによって薬物に依存しないモデル内に反映され、薬物に関連する薬物動態および/または薬力学のある側面を含み得る。
【0087】
図3Bは、薬物の部類に関する予測濃度時間プロファイルを示す。適用される標準的投薬レジメンのうちの1つが、上記のチャートにおいて、隔週で皮下に投与される、150mgのサリウマブ(「SARI」)を含む、レジメンとして示される。
図3Bに描写されるプロファイルは、比較的に類似しており、少なくとも、類似の傾向に従い、濃度を経時的により高い値に維持する。例えば、本シミュレーションは、投薬レジメンに準拠している患者を表し得る。故に、薬物間の差異および一般的変動性は、患者を合理的な薬物濃度において管理することによって、最小化されることができる。投薬レジメンが追従されないとき、または投薬レジメンが不十分であるときのみ、薬物の部類内の薬物間で、変動性が、生じる。
【0088】
図4は、本明細書に説明されるように、薬物に依存しないモデルを展開する例示的方法400を説明する、フローチャートを描写する。ステップ402は、ある疾患または患者母集団を治療するための市販薬物のリストを生成するステップを伴う。これらの疾患または患者母集団は、市販薬物によって標的化される、前述もしくは任意の疾患または患者母集団において説明されるもののうちのいずれかであってもよい。例えば、市販薬物のリストは、医療用雑誌または食品医薬品局(FDA)等の文献もしくは規制機関から調達されてもよい。表1は、そのような薬物の例示的リストであり得る。ステップ404は、薬物情報を規定するステップを伴う。薬物情報は、
図1のステップ102に関して同様に議論されるように、投与経路、構造、適応、制約、PK/PDパラメータ、または本明細書に説明される他のデータを含んでもよい。本情報は、薬物のリストと同一の源から調達されてもよい、またはユーザによって打ち込まれてもよい。ステップ406は、市販薬物に関する臨床的な薬理学的要約を取得するステップを伴う。薬理学情報は、薬物に依存しないモデルにおいて、市販薬物間の類似性または差異を考慮するために使用される。ステップ408は、母集団PKモデルパラメータを抽出するステップを伴う。ステップ410は、薬物毎に濃度時間プロファイルをシミュレートするステップを伴う。ステップ412は、シミュレートされたデータをプールし、データを1つのモデル、すなわち、薬物に依存しないモデルに適合させるステップを伴う。ステップ414は、1つのモデルからのシミュレーションを元のシミュレーションと比較するステップを伴う。ステップ416は、ステップ404からの薬物情報を使用して、1つのモデルをさらに精緻化するステップを伴う。ステップ418は、元のシミュレーションを精緻化された1つのモデルと比較するステップを伴う。ステップ420は、例えば、
図1のステップ102に関連して説明される濃度または応答データに基づいて、使用される投薬量に基づいて1つのモデルをさらに精緻化するステップを伴う。ステップ422において、最終的な薬物に依存しないモデルが、提供される。
【0089】
いくつかの実装では、ステップ408に関連して、モデルが、薬物の部類に対応する公開モデルのセットに関するパラメータ値を収集することによって、生成される。ステップ408が、代替として、または加えて、母集団PDモデルパラメータを抽出するステップを伴い得ることを理解されたい。PDモデルが所望される実装では、応答データおよび応答標的が、濃度データならびに濃度標的の代わりに使用されてもよい。パラメータ値は、ルックアップテーブルまたは
図6において下記に説明されるデータベース内で収集されてもよい。ルックアップテーブルは、必要に応じて、ユーザによって、または本システムによって自動的に操作されてもよい。ルックアップテーブルは、
図2および6に説明されるシステム等、システムインフラストラクチャ内の任意の場所に位置してもよい。パラメータ値は、薬物に依存しないモデル内で比較またはプールされ得るように、「標準化値」に変換されてもよい。これは、ステップ410において、本システムが、公開されるような共変量効果を伴う公開モデルのための患者母集団に関して、および測定ならびに想定される共変量効果の全てを伴う拡張公開モデルのための患者母集団に関してPKおよび/またはPD特性をシミュレートすることを可能にする。ルックアップテーブルは、パラメータを正規化し、薬物に依存しないモデルからの予備的推定を可能にするために使用されてもよい。正規化プロセスは、ステップ412または416の間に生じてもよい。ルックアップテーブルは、各薬物が、例えば、ステップ410の間に種々のシナリオにおいて容易にシミュレートされ得るように、テーブルのセブセットが、プログラム内のシミュレーション関数に送信され得るように、構造化されてもよい。
【0090】
ステップ414に説明されるように、薬物の群内の薬物毎に正規化されたパラメータからのシミュレートされた濃度が、シミュレートされた濃度データをプールされたデータに適合させるように、薬物のその群に関するプールされたデータに関して比較および分析されてもよい。薬物の群に関する薬物に依存しないモデルは、その群内の全ての薬物に適用される、またはそれを表すパラメータのセットを提供し、本特徴は、有意な技術的寄与を表す。薬物に依存しないモデルの別の技術的効果が、投与された投薬量から収集されたデータが、モデルをさらに精緻化するために使用され得る、ステップ420において実現される。モデルは、具体的薬物に依存しないため、使用される投薬量からのデータは、薬物の部類内の任意の薬物からのものであることができ、薬物の部類内の薬物が、薬物に依存しないモデルパラメータ内に反映される類似性を共有するため、モデルは、そのデータを受け取り、例えば、ベイズ更新を通して、さらに精緻化された状態となるであろう。
【0091】
図5は、例証的実装による、異なる治療のための推奨投薬レジメンを通知するように、以前の治療への患者の応答からのデータを使用するためのプロセス500を示す。プロセス500は、
図6のコンピュータ化システム600または任意の他の好適なコンピュータ化システムを使用して、実施されることができる。ステップ502において、本システムへの入力が、受信される。入力は、患者から取得される1つ以上のサンプル中の以前の薬物の1つ以上の以前の濃度レベルを示す、以前の濃度データと、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータの1つ以上の測定値を示す、生理学的データと、現在の薬物の標的薬物暴露もしくは応答レベルとを含む。患者が、以前の薬物に基づく療法に失敗している場合がある。以前の薬物への患者の応答を示す、医療情報(例えば、濃度データ)が、患者が現在の薬物に反応するであろう方法を決定することに役立つことに有用であり得る。いくつかの実装では、以前および現在の薬物は、同一の部類に属し得る、または類似効果を及ぼし得る。例えば、以前および現在の薬物は、異なるモノクローナル抗体であってもよい。患者のデータが、患者が以前の薬物に関して高い消失率を有する(例えば、患者の身体が、平均または期待されるよりも高い率において患者の体系から以前の薬物を排除する)ことを示す場合、患者は、現在の薬物に関して同様に高い消失率を有する可能性が高い。以前の薬物からの情報を留保することによって、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、現在の薬物に関して個別化された投薬レジメンを迅速に決定し、それによって、薬物を切り替える場合に患者が治療されていない時間量を短縮し得る。
【0092】
ステップ504において、パラメータが、患者における現在の薬物の濃度時間プロファイルの予測を発生させる計算モデルに関して設定される。計算モデルは、ベイズモデル、PK/PDモデル、
図1および4に関連して上記に、および
図6に関連して下記に説明されるモデル(例えば、モデルデータベース606D内に記憶されたもの)のうちのいずれか、または任意の好適なモデルであってもよい。パラメータは、ステップ502の受信された入力に基づいて設定される。いくつかの実装では、計算モデルは、ベイズモデルである。いくつかの実装では、計算モデルは、薬物の濃度時間プロファイルを示す、薬物動態成分と、薬物への患者の個々の応答を示す、薬力学的マーカの合成および分解率に基づく薬力学的成分とを含む。いくつかの実装では、プロセス1500は、計算モデルが、受信された生理学的データに最良適合する計算モデルのセットから選択される、付加的な随意のステップを含む。
【0093】
ステップ506において、患者のための第1の医薬品投薬レジメンが、計算モデルおよび設定されたパラメータを使用して、決定される。第1の医薬品投薬レジメンは、(i)薬物の少なくとも1つの投薬量と、(ii)患者に薬物の少なくとも1つの投薬量を投与するための推奨スケジュールとを含む。推奨スケジュールは、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイルが、推奨時間において標的薬物濃度トラフレベルにある、以上のように、薬物の次の投薬量を患者に投与するための推奨時間を含む。ステップ508において、現在の薬物に対応する付加的濃度データおよび/または付加的生理学的データが、患者から取得される。付加的濃度データおよび付加的生理学的データは、患者への第1の医薬品投薬レジメンの投与から結果として生じ得る。いくつかの実装では、プロセス500は、種々のシステム入力および出力の表示を提供する、付加的ステップを含む。いくつかの実装では、プロセス500は、計算モデルによって発生されるような、第1の医薬品投薬レジメンに応答した、患者における薬物の予測濃度時間プロファイル、および(例えば、
図6のユーザインターフェース622を通した)表示のための濃度データならびに付加的濃度データの少なくとも一部のインジケーションを提供する。いくつかの実装では、標的薬物濃度トラフレベルのインジケーションが、(例えば、
図6のユーザインターフェース622を通した)表示のために提供される。
【0094】
ステップ510において、濃度データが、ステップ502の濃度データおよびステップ508の付加的濃度データの両方を含むように更新される。いくつかの実装では、ステップ510において、ステップ502からの元の濃度データが、除外され、付加的濃度データが、濃度データになる。ステップ512において、計算モデルに関するパラメータが、更新された入力に基づいて更新され、ステップ514において、モデルの反復が、更新されたパラメータに基づいて、患者のための第2の医薬品投薬レジメンを決定するように実施される。
【0095】
図6は、本明細書に開示されるシステムおよび方法を実装するためのコンピュータ化システム600のブロック図を示す。特に、システム600は、薬物固有の数学モデルおよび治療への観察された患者固有の応答を使用し、具体的患者のための好適な薬物治療計画を予測、提案、修正、ならびに評価する。システム600は、全てネットワーク602を経由して接続される、サーバ604と、臨床ポータル614と、薬局ポータル624と、電子データベース606とを含む。サーバ604は、プロセッサ605を含み、臨床ポータル614は、プロセッサ610と、ユーザインターフェース612とを含み、薬局ポータル624は、プロセッサ620と、ユーザインターフェース622とを含む。本明細書で使用されるように、用語「プロセッサ」または「コンピューティングデバイス」は、本明細書に説明されるコンピュータ化技法のうちの1つ以上のものを行うようにハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアを伴って構成される、1つ以上のコンピュータ、マイクロプロセッサ、論理デバイス、サーバ、もしくは他のデバイスを指す。プロセッサおよび処理デバイスはまた、入力、出力、ならびに現在処理されているデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含んでもよい。本明細書に説明されるプロセッサおよびサーバのうちのいずれかを実装するために使用され得る、例証的コンピューティングデバイス200は、
図2を参照して上記に詳細に説明される。本明細書で使用されるように、「ユーザインターフェース」は、限定ではないが、1つ以上の入力デバイス(例えば、キーパッド、タッチスクリーン、トラックボール、音声認識システム等)ならびに/もしくは1つ以上の出力デバイス(例えば、視覚ディスプレイ、スピーカ、触覚ディスプレイ、印刷デバイス等)の任意の好適な組み合わせを含む。本明細書で使用されるように、「ポータル」は、限定ではないが、本明細書に説明されるコンピュータ化技法のうちの1つ以上のものを行うようにハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアを伴って構成される、1つ以上のデバイスの任意の好適な組み合わせを含む。ポータルを実装し得るユーザデバイスの実施例は、限定ではないが、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、およびモバイルデバイス(スマートフォン、ブラックベリー、PDA、タブレットコンピュータ等)を含む。例えば、ポータルは、ユーザデバイス上にインストールされる、ウェブブラウザまたはモバイルアプリケーションを経由して実装されてもよい。1つのみのサーバ、1つの臨床ポータル614、および1つの薬局ポータル624が、図面を複雑にすることを回避するように
図6に示されており、システム600は、複数のサーバならびに複数の臨床ポータルおよび薬局ポータルをサポートすることができる。
【0096】
図6では、患者616が、臨床ポータル614へのアクセスを有する、医療従事者618によって検査される。患者は、既知の進行を有する疾患を被り得、医療従事者618に相談する。医療従事者618は、患者616から測定を行い、臨床ポータル614を経由して、これらの測定を記録する。例えば、医療従事者618は、患者616の血液のサンプルを採取してもよく、血液サンプル中のバイオマーカの濃度を測定してもよい。一般に、医療従事者618は、患者の血液、尿、唾液、または患者からサンプリングされる任意の他の液体からの濃度測定値等の検査結果を含む、患者616の任意の好適な測定を行ってもよい。測定は、患者616によって呈される任意の症状を含む、医療従事者618によって行われる患者616の観察に対応し得る。例えば、医療従事者618は、患者の検査を実施し、生理学的パラメータを採集または測定する、もしくは患者における薬物濃度を決定してもよい。これは、薬物治療計画への患者の応答を予測するために使用されるであろう数学モデル内で患者因子共変量として反映される、患者特性(生理学的パラメータおよび濃度)を識別することを伴う。
【0097】
例えば、モデルが、体重および性別共変量の関数として典型的患者応答を説明するように構築される場合、患者の体重ならびに性別特性が識別されるであろう。応答を予測することが示され、したがって、数学モデル内で患者因子共変量として反映される、任意の他の特性が、識別され得る。実施例として、そのような患者因子共変量は、炎症のマーカ、アルブミン測定値、薬物クリアランスのインジケータ、C反応性タンパク(CRP)の測定値、抗体の測定値、ヘマトクリットレベル、薬物活性のバイオマーカ、体重、身体サイズ、性別、人種、病期、疾患ステータス、以前の療法、以前の臨床検査結果情報、併用して投与された薬物、合併症、メイヨースコア、部分メイヨースコア、ハーベイ・ブラッドショー指数、血圧読取値、乾癬面積、重症度指数(PASI)スコア、および人口統計学的情報を含んでもよい。患者の測定データに基づいて、医療従事者618は、患者の疾患ステータスの査定を行ってもよく、患者616に投与し、患者616を治療するために好適な薬物または薬物の部類を識別してもよい。臨床ポータル614は、次いで、ネットワーク602を経由して、モデルデータベース606から1つ以上の適切な計算モデルを選択するために受信されたデータを使用するサーバ604に、患者の測定値、(医療従事者618によって決定されるような)患者の疾患ステータス、および随意に、薬物の識別子を伝送してもよい。
【0098】
適切な計算モデルは、薬物または薬物の部類の投与への患者の応答を予測することが可能であると決定されるものである。1つ以上の選択された計算モデルは、患者に投与するための薬物の計画された薬量の推奨セットを決定するために使用され、推奨は、医療従事者618による閲覧のために、ネットワーク602を経由して臨床ポータル614に返送される。代替として、医療従事者618は、患者の疾患ステータスを査定すること、または薬物を識別することが可能ではない場合があり、これらのステップのいずれかもしくは両方が、サーバ604によって実施されてもよい。本場合には、サーバ604は、患者の測定データを受信し、患者の測定データを、患者データベース606A内の他の患者のデータと相関させる。サーバ604は、次いで、患者616に類似する症状またはデータを呈した他の患者を識別し、他の患者に関する疾患状態、使用される薬物、および転帰を決定してもよい。他の患者からのデータに基づいて、サーバ604は、最も一般的な疾患状態および/または最も有利な転帰をもたらした使用される薬物を識別し、医療従事者618が考慮するために、これらの結果を臨床ポータル614に提供してもよい。
【0099】
図6に示されるように、データベース606は、患者データベース606Aと、疾患データベース606Bと、治療計画データベース606Cと、モデルデータベース606Dとを含む、4つのデータベースのセットを含む。これらのデータベースは、患者およびそれらのデータ、疾患、薬物、薬量のスケジュール、ならびに計算モデルに関する個別のデータを記憶する。特に、患者データベース606Aは、生理学的パラメータデータと、濃度データとを含む、医療従事者618によって得られる測定値、または医療従事者618によって観察される症状を記憶する。疾患データベース606Bは、種々の疾患、および多くの場合、疾患に感染した患者によって呈される、可能性として考えられる症状に関するデータを記憶する。治療計画データベース606Cは、患者のセットのための薬物および薬量のスケジュールを含む、可能性として考えられる治療計画に関するデータを記憶する。患者のセットは、例えば、体重、身長、年齢、性別、および人種等の異なる特性を伴う母集団を含んでもよい。
【0100】
モデルデータベース606Dは、身体への薬物動態(PK)、薬力学的(PD)、またはPKおよびPDの両方の変化を説明するために使用され得る、計算モデルのセットに関するデータを記憶する。任意の好適な数学モデルが、例えば、コンパイルされたライブラリモジュールの形態等において、モデルデータベース606Dの中に記憶されてもよい。特に、好適な数学モデルは、投薬レジメンと、具体的薬物に関する観察された患者暴露および/または観察された患者応答(集合的に「応答」)との間の関係を説明する、数学関数(もしくは関数のセット)である。故に、数学モデルは、患者の母集団に関する応答プロファイルを説明する。概して、数学モデルの展開は、観察された臨床データに最良「適合する」、またはそれを説明する、曲線を画定する、数学関数もしくは方程式を展開することを伴う。典型的なモデルはまた、応答に関する具体的患者特性の期待影響を説明し、ならびに患者特性のみによって考慮され得ない、解明されていない変動性の量を定量化する。そのようなモデルでは、患者特性は、数学モデル内の患者因子共変量として反映される。したがって、数学モデルは、典型的には、基礎的臨床データ、および患者母集団で見られる関連付けられる変動性を説明する、数学関数である。これらの数学関数は、「平均的」または典型的患者からの個々の患者の変動を説明する項を含み、モデルが所与の投薬量に関する種々の転帰を説明もしくは予測することを可能にし、モデルを数学関数だけではなく統計関数にもするが、モデルおよび関数は、本明細書では、一般的かつ非限定的様式で「数学」モデルおよび関数と称される。
【0101】
特に、モデルの出力は、患者616の生理学的パラメータに関する最適標的レベルを達成する、投薬レジメンまたはスケジュールに対応する。モデルは、患者616のために具体的に設計される推奨として最適標的レベルを提供し、最適標的レベルが、患者616において効果的かつ療法的応答を生産することが予期されることを検証している。示される実施例では、濃度データは、患者の血液中の薬物の濃度に対応する。いくつかの実装では、薬物は、公知ではない場合があり、例えば、薬物は、薬物の部類の中の任意の薬物であってもよい。生理学的パラメータデータは、患者からの任意の数の測定値に対応してもよい。例えば、薬物が、インフリキシマブであるとき、薬物濃度、およびC反応性タンパク、内視鏡的疾患重症度、ならびに便中カルプロテクチン等の(モデルによって予測され得る)他の測定可能な単位を測定する(およびモデルを使用して薬物濃度を予測する)ことが、望ましくあり得る。各測定可能物(例えば、薬物濃度、C反応性タンパク、内視鏡的疾患重症度、および便中カルプロテクチン)は、PKまたはPDモデル等の1つ以上のモデルを伴ってもよい。PKモデルとPDモデルとの間の相互作用は、(下記に詳細に解説されるように、PKモデルからのより高いクリアランスによってモデル化される)より重度の疾患を患う患者が、より速く薬物を一掃する、インフリキシマブのような薬物にとって特に重要であり得る。薬物インフリキシマブの1つの目標は、C反応性タンパクレベルを正規化し、便中カルプロテクチンレベルを低下させ、内視鏡的寛解を達成することであってもよい。
【0102】
一実施例では、医療従事者618は、患者616が特定の薬物および投薬レジメンへの療法的応答を呈するであろう尤度を査定してもよい。特に、本尤度は、同一の薬物のいくつかの投薬レジメンが患者に投与されているが、患者からの測定可能な応答が検出されない場合に、低くあり得る。本場合には、医療従事者618は、患者が、投薬量に対するさらなる調節に応答するであろう可能性が低いことを決定してもよく、他の薬物が、考慮されてもよい。また、信頼区間が、予測モデル結果および薬物の存在への身体の予測応答に関して査定されてもよい。データが、患者616から収集されるにつれて、信頼区間は、より狭くなり、より信頼できる結果および推奨を示す。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、個別化標的レベル(例えば、標的トラフレベル)を識別してもよく、個別化された標的レベルに基づいて個別化投薬推奨を提供してもよい。
【0103】
多くの場合、医療従事者618は、医療センターのメンバーまたは従業員であってもよい。同一の患者616が、種々の役割における、同一の医療センターの複数のメンバーと面会してもよい。本場合には、臨床ポータル614は、複数のユーザデバイス上で動作するように構成されてもよい。医療センターは、特定の患者のためのその独自の記録を有してもよい。いくつかの実装では、本開示は、本明細書に説明される計算モデルと医療センターの記録との間のインターフェースを提供する。例えば、医師または看護師等の任意の医療従事者618が、臨床ポータル614によって提供されるシステムにログインするように、認証情報(ユーザ名およびパスワード等)を打ち込む、もしくはユーザインターフェース612を経由して従業員バッジを走査するように要求されてもよい。いったんログインすると、各医療従事者618は、医療従事者がアクセスすることを可能にされる患者記録の対応するセットを有し得る。いくつかの実装では、患者616は、患者616との相互作用のための患者固有のページまたは面積を有し得る、臨床ポータル614と相互作用する。例えば、臨床ポータル614は、患者の治療スケジュールを監視し、予約およびリマインダを患者616に送信するように構成されてもよい。また、1つ以上のデバイス(スマートモバイルデバイスもしくはセンサ等)が、患者の継続中生理学的データを監視し、生理学的データを臨床ポータル614に、またはネットワーク602を経由してサーバ604に直接報告するために使用されてもよい。生理学的データは、次いで、期待と比較され、期待からの逸脱が、フラグを立てられる。このような断続的に患者のデータを監視することは、薬物への患者の応答の期待からの逸脱の可能性として考えられる早期検出を可能にし、投薬推奨の修正の必要性を示し得る。
【0104】
本明細書に説明されるように、計算モデルの中に提供される患者616からの測定値は、医療従事者618から、直接的に患者616を監視するデバイスから、または両方の組み合わせから決定されてもよい。計算モデルが、疾患および薬物の時間進行、ならびに身体へのそれらの効果を予測するため、これらの測定値は、(モデルによって提供される)治療計画が、患者の具体的データを考慮するために精緻化および補正されるように、モデルパラメータを更新するために使用されてもよい。いくつかの実装では、計算モデルを起動するために必要とされる患者の測定データから患者の個人情報を分離することが、望ましい。特に、患者の個人情報は、保護された健康情報(PHI)であってもよく、個人のPHIへのアクセスは、認定ユーザに限定されるべきである。患者のPHIを保護するための1つの方法は、患者がサーバ604を用いて登録されるときに、各患者を匿名化コードに割り当てることである。コードは、臨床ポータル614を経由して医療従事者618によって手動で打ち込まれてもよい、または自動であるがセキュアなプロセスを使用して打ち込まれてもよい。サーバ604は、匿名化コードに従って各患者を識別することのみが可能であり得、患者のPHIへのアクセスを有していない場合がある。特に、臨床ポータル614およびサーバ604は、患者616を識別すること、または患者のPHIを露見させることなく、患者616に関するデータを交換してもよい。いくつかの実装では、臨床ポータル614は、ネットワーク602を経由して薬局ポータル624と通信するように構成される。特に、投薬レジメンが、患者616に投与されるように選択された後、医療従事者618は、選択された投薬レジメンを薬局ポータル624に伝送するために、選択された投薬レジメンのインジケーションを臨床ポータル614に提供してもよい。投薬レジメンを受信することに応じて、薬局ポータル624は、注文を履行するように薬剤師628と相互作用するユーザインターフェース622を経由して、投薬レジメンおよび医療従事者618の識別子を表示してもよい。
【0105】
図6に示されるように、サーバ604は、臨床ポータル614から遠隔にある、デバイス(またはデバイスのセット)である。臨床ポータル614を収納するデバイスの計算能力に応じて、臨床ポータル614は、単純に、医療従事者618とサーバ604との間で主にデータを転送する、インターフェースであってもよい。代替として、臨床ポータル614は、限定ではないが、患者症状および測定データを受信すること、データベース606のうちのいずれかにアクセスすること、1つ以上の計算モデルを起動すること、ならびに患者の具体的症状および測定データに基づいて薬量スケジュールに関する推奨を提供することを含む、サーバ604によって実施されるように説明されるステップのうちのいずれかもしくは全てをローカルで実施するように構成されてもよい。また、
図6は、サーバ604、臨床ポータル614、または薬局ポータル624と別個であるエンティティであるものとして、患者データベース606A、疾患データベース606B、治療計画データベース606C、およびモデルデータベース606Dを描写するが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、データベース606のうちのいずれかもしくは全てが、本明細書に説明されるデバイスもしくはポータルのうちのいずれかの上でローカルに記憶され得ることを理解するであろう。
【0106】
図7Aは、4つの異なる投薬レジメンに関する予測濃度時間プロファイルを表示する、例示的表示画面(例えば、
図6のユーザインターフェース612)を描写する。特に、各投薬レジメンは、(各予測濃度時間プロファイル内の第2のピークの高さによって示されるように)投薬間隔が減少するにつれて投薬量が減少する、対応する投薬間隔(5週間、4週間、3週間、および2週間)を有する。本場合には、ユーザは、時間と対比してIFX濃度をプロットすること、および計算モデルが起動することを可能にし、推奨投薬レジメンを識別し、臨界トラフ値を上回るIFX濃度を維持することを選択している。
【0107】
図7Bでは、ユーザは、(例えば、
図6のユーザインターフェース612上で)表形式で
図7Aに示されるプロットからの結果を表示することを選択している。特に、
図7Bの例示的表示画面は、最後の投薬日(2015年1月2日)、種々の投薬間隔、(予測濃度時間プロファイルが臨床トラフ値まで降下する、または臨床トラフ値にある、投薬日の後の最初の日付に対応する)トラフ日、(mg単位の)示唆投薬量、(mg/kg単位の)正規化された示唆投薬量、投薬毎に使用されるバイアルの数、および(ng/ml単位の)標的濃度を列挙する。
図7Bに示されるように、提案された投薬スケジュールのセットが、示され、投薬スケジュールは、2~8週間に及ぶ、異なる投薬間隔を有する。より長い投薬間隔(6~8週間)を伴う投薬スケジュールのうちのいくつかは、推奨されないが、(2~5週間の投薬間隔を伴う)4つの投薬スケジュールが、投薬間隔が増大するにつれて増大する、投薬量とともに提案される。特に、
図7Bの表示画面と相互作用するときに、医療従事者618は、具体的目標に基づいて投薬レジメンを選択してもよい。例えば、患者616に低頻度で投薬量を投与することが望ましい場合、より長い投薬間隔(例えば、5週間)が、選択されてもよい。代替として、部分的なバイアルが、使用されるときでさえも、患者が、多くの場合、完全なバイアルの値段を請求されるため、バイアルの可能な限り多くの量を使用することが、望ましい場合がある。本場合には、バイアル4.9個分が、投薬毎に使用され、薬物の廃棄が殆どない状態(例えば、薬量あたりバイアル0.1個分のみ)につながるため、4週間の投薬レジメンが、選択されてもよい。代替として、患者616により頻繁に投薬量を投与すること、または患者616に一度に2個のみのバイアルの代金を請求することが、望ましい場合、より短い投薬間隔(例えば、2週間)が選択されてもよい。
【0108】
種々の例証的実装が説明されているが、前述の説明が、例証的にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解されたい。いくつかの実施例が、本開示において提供されているが、開示されるシステム、構成要素、および製造方法が、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの他の具体的形態で具現化され得ることを理解されたい。
【0109】
開示される実施例は、本明細書に説明される1つ以上の他の特徴との組み合わせもしくは副次的組み合わせにおいて、実装されることができる。種々の装置、システム、および方法が、本開示に基づいて実装され、依然として、本発明の範囲内に該当し得る。また、上記に説明または図示される種々の特徴は、他のシステムにおいて組み合わせられる、もしくは統合されてもよい、またはある特徴は、省略される、もしくは実装されなくてもよい。
【0110】
本開示の種々の実装が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実装が、実施例としてのみ提供されることが、当業者に明白となるであろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本開示から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される本開示の実装に対する種々の代替物が、本開示を実践する際に採用され得ることを理解されたい。
【0111】
本明細書において引用される全ての参考文献は、参照することによってそれらの全体として組み込まれ、本願の一部にされる。
【外国語明細書】