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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020490
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
B60Q1/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123935
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 直人
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA18
3K339AA41
3K339BA02
3K339BA22
3K339BA24
3K339DA01
3K339EA03
3K339FA04
3K339GB16
3K339KA09
3K339KA39
3K339MA05
3K339MC17
3K339MC67
(57)【要約】
【課題】劣化を低減し視認性を維持できる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両の開閉される乗降口の外側の路面を照明する発光部と、乗降口が開いた場合外側の明るさを検出し、外側の明るさが所定値以下である場合、発光部を点灯する制御部と、を備える。制御部は、外側の明るさに応じて、発光部の明るさを変更してもよい。また、発光部は、発光部の明るさの最大値を有し、制御部は、外側の明るさが所定値以上である場合最大値の明るさで発光部を点灯する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開閉される乗降口の外側の路面を照明する発光部と、
前記乗降口が開いた場合、前記外側の明るさである外側の明るさを検出し、前記外側の明るさが所定値以下である場合、前記発光部を点灯する制御部と、を備える車両用照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外側の明るさに応じて、前記発光部の明るさである発光部の明るさを変更する、請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記発光部の明るさの最大値を有し、
前記制御部は、前記外側の明るさが所定値以上である場合前記最大値の明るさで前記発光部を点灯する、請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、点灯から所定時間が経過した後に前記発光部を消灯し、
前記所定時間は、前記発光部の明るさが明るいほど短く、暗いほど長くなるように設定される、請求項1記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の乗降口の外側の路面を照明する車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアが開放された状態を搭乗者や他者に認識させるために路面を照明する照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-75896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した照明装置は、単に点灯し、路面を照明するのみならず、例えば、車両のロゴのようなデザイン性や視認性を備えた意匠を投影することも行われている。これに伴い、照明装置の輝度は上昇し、意匠を形成するフィルム等の部材が光源の熱の影響で劣化する虞がある。
【0005】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、劣化を低減し視認性を維持できる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用照明装置は、上述した課題を解決するために、車両の開閉される乗降口の外側の路面を照明する発光部と、前記乗降口が開いた場合前記外側の明るさを検出し、前記外側の明るさが所定値以下である場合、前記発光部を点灯する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用照明装置においては、劣化を低減し視認性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における車両用照明装置が搭載された車両のドアが開いた状態の説明図。
図2】発光部の断面図。
図3】車両用照明装置の機能ブロック図。
図4】制御部により実行される照明制御処理を説明するフローチャート。
図5】環境照度と照明装置の照度及び点灯時間との関係を概念的に示す説明図。
図6】環境照度及び発光部の照度の時間変化を示すグラフ。
図7】環境照度及び発光部の照度の時間変化を示し、発光部が消灯する際の様子を説明するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の車両用照明装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の車両用照明装置は、車体に対して開閉するドアで乗降口を開閉する自動車や、農業機械、建設機械等の車両に搭載され得る。本実施形態においては、車両用照明装置が搭載される車両が自動車であり、乗降口がドアで開閉される例を用いて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態における車両用照明装置10が搭載された車両1のドア3が開いた状態の説明図である。
図2は、発光部20の断面図である。
図3は、車両用照明装置10の機能ブロック図である。
【0011】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図1における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0012】
車両用照明装置10(照明装置10)は、車体2と、車体2に対して略上下方向に沿う軸を支点に開閉するドア3と、を有する車両1に搭載される。
【0013】
照明装置10は、発光部20と、制御部30と、開閉センサ35と、照度センサ36と、を主に有する。
【0014】
発光部20は、いわゆるカーテシライトであり、車体2の例えば運転席側のドア3の下方内部に配置される。発光部20は、ドア3が開放された際に、乗降口4の外側の路面を照明することにより乗降する搭乗者の足元を明るく照らしたり、後方から自車両に接近する他車両の運転者等(以下搭乗者及び運転者等を「視認者」という。)にドア3の開放を知らせたりする。
【0015】
発光部20は、図2に示すように、鏡筒21と、光源23と、第一から第四のレンズ24~27(以下単に「レンズ24~27」という場合がある。)と、フィルムユニット29と、を有する。
【0016】
鏡筒21は、ドア3への配置時における下方に位置する一端に開口端21aを有し、上方に位置する他端に底部21bを有する筒状部材である。鏡筒21は、例えば支持部材21cを介してドア3に形成される収容空間に固定される。鏡筒21は、底部21bから開口端21aに向けて、光源23、第一レンズ24、フィルムユニット29、第二レンズ25、第三レンズ26及び第四レンズ27を順次支持するよう、内周面に支持構造21dを有する。
【0017】
光源23は、基板と、基板に搭載された白色、赤色、青色等に点灯するLED(Light Emitting Diode)と、を有する。光源23は、印加される電圧値により輝度(照度)が制御される。
【0018】
レンズ24~27は、集光レンズ、投影レンズ等の、例えばPMMA、ポリエステル系等の透明樹脂からなる所要の光学部材である。
【0019】
フィルムユニット29は、意匠フィルムと、この意匠フィルムを保持するホルダーと、を有する。意匠フィルムは、発光部20が投影する意匠5に応じて光源23の光の透過により意匠5を形成する。
【0020】
制御部30は、例えば車両1を統括的に制御する車両ECU(Electronic Control Unit)や、発光部20を制御するための専用の制御基板からなる。制御部30は、点灯制御部31と、照度制御部32と、を有する。
【0021】
点灯制御部31及び照度制御部32は、開閉センサ35及び照度センサ36の検出結果に基づいて光源23の点灯、消灯及び照度を制御する(詳細は後述)。
【0022】
開閉センサ35は、ドア3の開閉状態を検出する。開閉センサ35は、検出結果を制御部30に供給する。
【0023】
照度センサ36は、例えばドア3等に配置され、車両1の外側の明るさである、ドア3の下方の路面の照度を環境照度として検出する。照度センサ36は、検出結果を制御部30に供給する。
【0024】
ここで、光源23は発光に伴い発熱するが、輝度が高いとそれに比例して発熱量も多くなる。すると、発光部20のレンズ24~27やフィルタに悪影響を及ぼす虞がある。例えば、レンズ24~27に用いられる一般的な光学部材の耐熱温度は、120度程度である。また、意匠フィルムの耐熱温度は、100度程度である。特に、意匠フィルムは、光を全て透過させるレンズ24~27と異なり、意匠5を生成するために光を遮光する機能も有するため、レンズ24~27に比べて発熱しやすく劣化しやすい。このため、特に意匠フィルムは、耐熱温度よりも高温になると、変色する可能性があり所望の意匠5が形成できない虞がある。
【0025】
そこで本実施形態における照明装置10は、発光部20の点灯、消灯や照度を、環境照度に応じて制御することで発熱による課題を解決するようにした。以下フローチャートを用いて具体的に説明する。
【0026】
図4は、制御部30により実行される照明制御処理を説明するフローチャートである。
【0027】
ステップS1において、点灯制御部31は、開閉センサ35の検出結果に基づいて、ドア3が開いたか否かを判定する。点灯制御部31は、ドア3が開いておらず閉じた状態であると判定した場合(ステップS1のNO)、ドア3が開くまで待機する。一方、点灯制御部31は、ドア3が開いたと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、照度制御部32は、照度センサ36より環境照度を取得する。照度制御部32は、外側の明るさとして照度を取得するが、明るさを評価可能であれば照度以外の数値を取得してもよい。
【0028】
ステップS3において、照度制御部32は、環境照度が最大照度(所定値)よりも大きいか否かを判定する。最大照度は、例えば発光部20が実現可能な照度の最大値である限界照度(発光部20の明るさの最大値)と同等の値である。この最大照度は、適宜設定されればよく、発光部20の限界照度に限らない。照度制御部32は、環境照度が最大照度よりも大きいと判定した場合(ステップS3のYES)、点灯しても発光部20の照度が足りずに視認者に点灯を認識させることができないとして、点灯することなく処理を終了する。
【0029】
一方、照度制御部32は、環境照度が最大照度以下であると判定した場合(ステップS3のNO)、ステップS4において、点灯制御部31は、発光部20(光源23)を発光させる。このとき、制御部30は、一定の照度で点灯してもよいが、光源23の発熱を抑制する観点から、環境照度に応じて発光部20の照度を変更するのが好ましい。ここで、図5は、環境照度と発光部20の照度及び点灯時間との関係を概念的に示す説明図である。
【0030】
例えば、制御部30は、環境照度が低く、暗ければ暗いほど、照明装置10の照度を低くして暗くする。また、制御部30は、環境照度が最大照度以下の範囲においては、明るければ明るいほど、照明装置10の照度を高くして明るくする。一方、制御部30は、環境照度が最大照度よりも大きい場合には、点灯しても認識される可能性が低いため、ドア3が開いても点灯させない。
【0031】
ステップS5において、照度制御部32は、点灯後においても継続的に照度センサ36より環境照度を取得し、環境照度に変化があるか否かを判定する。照度制御部32は、照度が変化したと判定した場合(ステップS5のYES)、ステップS6において、照度判定のステップS3と同様に、環境照度が最大照度よりも大きいか否かを判定する。照度制御部32は、環境照度が最大照度以下であると判定した場合(ステップS6のNO)、ステップS7において、点灯制御部31は、例えば図5に示す環境照度と発光部20の照度と関係性に従って、環境照度に応じた照度で発光部20を発光させる。
【0032】
一方、照度制御部32は、環境照度が最大照度よりも大きいと判定した場合(ステップS6のYES)、ステップS8において、発光部20の照度を限界照度にする。すなわち、照度制御部32は、環境照度がいくら高くても、それに応じて照度を高くすることなく限界照度で維持する。なお、照度制御部32は、環境照度が最大照度よりも大きいと判定した場合には、発光部20を消灯してもよい。
【0033】
ステップS7及びS8の後、ステップS9において、点灯制御部31は、発光部20が点灯を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、発光部20の照度によらずに一定値をであってもよいが、図5に示すように、発光部20の照度が高いほど短く、低いほど長くなるように設定されるのが、発光部20の発熱の抑制の観点から好ましい。ここで、図6は、環境照度及び発光部20の照度の時間変化を示すグラフである。点灯制御部31は、発光部20の点灯から消灯までの時間を、例えば発光部20の照度と時間との積算値(図6のハッチング領域の面積)が所定値に到達するまでの時間とすることができる。点灯制御部31は、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS9のYES)、例えば、積算値が所定値に到達したと判定した場合、ステップS10において、発光部20を消灯し、処理を終了する。
【0034】
ここで、図7は、環境照度及び発光部20の照度の時間変化を示し、発光部20が消灯する際の様子を説明するグラフである。点灯制御部31は、点灯時間が所定時間を経過した場合に瞬間的に消灯してもよいが、図7に示すように、所定時間t1が到来した後に徐々に照度を低下させることにより視覚的に演出してもよい。また、点灯制御部31は、所定時間の到来が見込まれる時間よりも前の時間t1から照度の低下を開始して、所定時間t2の到来と共に完全に消灯するようにしてもよい。
【0035】
点灯制御部31は、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS9のNO)、照度変化判定のステップS5に戻り所定時間が経過するまで以降の処理を繰り返す。なお、照度変化判定のステップS5から所定時間経過判定のステップS9の繰り返しの処理において、車両1が日陰及び日向の出入りを繰り返す等して、環境照度が頻繁に変化する場合も起こり得る。この場合、照度制御部32は、発光部20の頻繁な照度変化を防止するため、過去の所定時間(例えば数秒間)の平均照度を取得して、この平均照度が所定値以上変化した場合に発光部20の照度を変更するようにしてもよい。
【0036】
このような照明装置10は、環境照度が視認者が点灯を視認できるとみなせる照度以下である場合にのみ、発光部20を点灯する。このため、照明装置10は、不要な発光を抑制できることから光源23の発熱も抑制でき、意匠フィルタやレンズ24~27の熱劣化を抑制できる。ゆえに、照明装置10は、熱による劣化を低減し意匠5の視認性を維持できる。
【0037】
また、照明装置10は、環境照度に応じて発光部20の明るさを変更するため、不要な高照度の発光を抑制できると同時に環境照度が高い場合には照度を上昇させて視認性を有することができる。
【0038】
さらに、照明装置10は、環境照度が高い場合であっても、発光部20を限界照度で点灯するようにした。また、照明装置10は、点灯から消灯までの時間を発光部20の照度に応じて設定した。このため、照明装置10は、熱劣化を招くような高照度での点灯や、高照度での長時間の点灯を低減でき、熱劣化を抑制できる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
2 車体
3 ドア
4 乗降口
10 車両用照明装置(照明装置)
20 発光部
21 鏡筒
21a 開口端
21b 底部
21c 支持部材
21d 支持構造
23 光源
24 第一レンズ
25 第二レンズ
26 第三レンズ
27 第四レンズ
29 フィルムユニット
30 制御部
31 点灯制御部
32 照度制御部
35 開閉センサ
36 照度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7