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特開2025-20504組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ
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  • 特開-組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020504
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20250205BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20250205BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20250205BHJP
   C08F 297/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G02B5/22
G03F7/004 505
G03F7/004 504
G03F7/004 501
G02B5/20 101
C08F297/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123954
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J026
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE15
2H148BE22
2H148BE26
2H148BF14
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH15
2H148BH17
2H148CA04
2H148CA12
2H225AC35
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC47
2H225AC63
2H225AC72
2H225AC75
2H225AE08P
2H225AE12P
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM39P
2H225AM62P
2H225AM66P
2H225AM68P
2H225AM86P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN11P
2H225AN34P
2H225AN35P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN43P
2H225AN56P
2H225AN57P
2H225AN58P
2H225AN59P
2H225AN66P
2H225AN72P
2H225AN82P
2H225AN88P
2H225AN89P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN96P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225AP01P
2H225BA02P
2H225BA05P
2H225BA10P
2H225BA12P
2H225BA13P
2H225BA16P
2H225BA33P
2H225CA16
2H225CA30
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J026HA12
4J026HA28
4J026HA32
4J026HA38
4J026HA39
4J026HB12
4J026HB28
4J026HB32
4J026HB38
4J026HB39
4J026HB45
4J026HB48
4J026HE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保存後でも塗工性に優れ、混色の抑制された膜を形成可能な組成物の提供。
【解決手段】上記課題は、顔料(A)、樹脂(B)、レベリング剤(C)、及び溶媒(D)を含む組成物であって、前記レベリング剤(C)が、下記一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び前記一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)を含み、
前記溶媒(D)が、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)を含む組成物によって解決できる。
一般式(1)

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、樹脂(B)、レベリング剤(C)、及び溶媒(D)を含む組成物であって、
前記レベリング剤(C)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び前記一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)を含み、
前記溶媒(D)は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)を含む、組成物。
一般式(1)
【化1】
(一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、又は-OSi(Rで表わされる基(Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基)である。
は、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
は、炭素数1~6のアルキル基である。
は、水素原子、又はメチル基である。
は、2価の有機基、又は単結合である。
nは、1~70の整数である。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)は、下記一般式(2)で表される単量体単位(c2-1)、及び下記一般式(3)で表される単量体単位(c2-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
一般式(2)
【化2】
(一般式(2)中、Rは、水素原子、又は炭素数1~18のアルキル基である。
は水素原子、又はメチル基である。
mは、1~4の整数である。
oは、2~200の整数である。)
一般式(3)
【化43】
(一般式(3)中、Rは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基である。
は、水素原子、又はメチル基である。)
【請求項3】
前記溶媒(D1)の含有量は、前記組成物100質量%中、0.01~20質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記溶媒(D1)が、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸エチル、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、1-ブタノール、乳酸メチル、及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
更に、重合性化合物(E)、及び重合開始剤(F)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物から形成されてなる膜。
【請求項7】
請求項6に記載の膜を有する光学フィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載の光学フィルタを有する固体撮像素子。
【請求項9】
請求項7に記載の光学フィルタを有する画像表示装置。
【請求項10】
請求項7に記載の光学フィルタを有する赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置、スマートフォン、赤外線センサ等に使用される光学フィルタの1種であるカラーフィルタは、例えば、以下の工程を経て作製される。カラーフィルタの製造に用いられる組成物を、ガラス等の基板に塗工し、乾燥によって塗膜から溶媒を除去する工程、この塗膜を、所望するパターン形状を有するフォトマスクを介して紫外線を照射・硬化(以下、露光という)する工程、次いで、この塗膜の未露光部を現像液で洗浄・除去(以下、現像という)する工程、その後、膜を十分に硬化させるために加熱処理(以下、ポストベークという)する工程により1色目のパターンを得る。そして、異なる色の組成物を用いて、同様の操作を行うことにより2色目以降のパターンを順次形成してカラーフィルタを作製する。
【0003】
そのため、先に形成したパターン上に、他色の現像残渣の付着を抑制(以下、混色の抑制)することが求められる。特に、ポストベークを低温で行う場合、混色が発生する傾向があり改善が求められている。
また、カラーフィルタは、ピンホールやムラがあると、品質が著しく低下する。そのため、カラーフィルタの製造に用いられる組成物は、優れた塗工性が求められる。そして、その塗工性は、組成物の製造直後と保管してカラーフィルタの製造に使用する時とで同じであることも必要である。
更に、近年、環境面の点から、カラーフィルタの製造に用いられる組成物に使用される成分にフッ素系化合物の使用の抑制が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、上記「混色の抑制」可能な着色感放射線性組成物として、染料、光重合性化合物、光重合開始剤、及び重量平均分子量2500以下、かつ、グリフィン法によるHLB値が9.2~15.5である特定構造を有するノニオン系界面活性剤を含む着色感放射線性組成物が開示されている。また、上記「混色の抑制」可能な組成物として、1000質量ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液での表面張力が26mN/m以上であるシリコーン系界面活性剤Aと、硬化性化合物と、溶剤を含む組成物が開示されている。また、特許文献3には、塗布ムラ及びストリエーションの発生が抑制された膜を製造可能な着色組成物として、着色剤と、樹脂と、硬化性化合物と、界面活性剤と、溶剤とを含み、特定の測定方法による接触角が0度を超え5.5度以下の着色組成物が開示されている。また、特許文献4には、表面粗度が低い着色層を形成することが可能な樹脂組成物として、ポリマーと、重合性化合物と、重合開始剤と、色材と、フルオロカーボン基及び架橋環式脂肪族基を有する化合物を含む樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-199436号公報
【特許文献2】国際公開第2023/022120号
【特許文献3】特開2018-54918号公報
【特許文献4】国際公開第2017/169951号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~4に記載の組成物は、保存後の塗工性、混色の抑制を高いレベルで同時に満たすことはできなかった。
【0007】
本発明は、保存後でも塗工性に優れ、混色の抑制された膜を形成可能な組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顔料(A)、樹脂(B)、レベリング剤(C)、及び溶媒(D)を含む組成物であって、
前記レベリング剤(C)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び前記一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)を含み、
前記溶媒(D)は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)を含む組成物に関する。
一般式(1)
【化1】
【0009】
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、又は-OSi(Rで表わされる基(Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基)である。
は、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
は、炭素数1~6のアルキル基である。
は、水素原子、又はメチル基である。
は、2価の有機基、又は単結合である。
nは、1~70の整数である。
【発明の効果】
【0010】
上記の本発明によれば、保存後でも塗工性に優れ、混色の抑制された膜を形成可能な組成物を提供できる。また、本発明は、それを用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の光学フィルタを有する赤外線センサの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists発行)を意味する。
本明細書において、重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
本明細書において、単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に重合体を形成している状態である。
本明細書において、分子量が特定できる低分子化合物については、計算により算出した値、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物については、テトラヒドロフランを溶媒とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
<組成物>
本発明の一実施形態である組成物は、顔料(A)、樹脂(B)、レベリング剤(C)、及び溶媒(D)を含む組成物であって、
前記レベリング剤(C)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び前記一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)を含み、
前記溶媒(D)は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)を含む。
一般式(1)
【化2】
【0015】
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、又は-OSi(Rで表わされる基(Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基)である。
は、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
は、炭素数1~6のアルキル基である。
は、水素原子、又はメチル基である。
は、2価の有機基、又は単結合である。
nは、1~70の整数である。
【0016】
上記構成の組成物により、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0017】
一般的に、レベリング剤(C)が表面に配向することで、平滑な膜が得られるが、レベリング剤(C)は、保存時に組成物に含まれる他の成分、例えば、顔料(A)や樹脂(B)等に吸着や相溶し、塗工の際に十分な効果が得られないことがある。
しかし、一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)(以下、単にブロック共重合体(C1)ともいう)、並びにハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)(以下、単に溶媒(D1)ともいう)を併用することで、ブロック共重合体(C1)と他に成分との相互作用を制御することができ、保存後でも優れた塗工性が得られると推測する。
また、ブロック共重合体(C1)は、側鎖にシリコーン鎖を有するため、膜表面にシリコーン鎖が配向しやすく、現像残渣等の付着を抑制すると推測する。
【0018】
以下、一実施形態の組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0019】
[顔料(A)]
本発明の組成物は、顔料(A)を含む。
【0020】
顔料(A)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、有彩色顔料、白色顔料、黒色顔料、及び近赤外線吸収顔料等が挙げられる。また、顔料(A)は、無色であってもよい。本発明において、顔料(A)は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、2g未満であることが好ましく、1g未満であることがより好ましく、0.5g以下であることが特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物をカラーフィルタに用いる場合、顔料(A)は、有彩色顔料が好ましい。有彩色顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。本発明の組成物を近赤外線カットフィルタに用いる場合、顔料は、近赤外線吸収顔料が好ましい。近赤外線吸収顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。また、近赤外線透過フィルタに用いる場合、黒色顔料や有彩色顔料を2種以上併用して黒色として用いることが好ましい。更に、近赤外線吸収顔料を併用してもよい。
【0022】
(有彩色顔料)
有彩色顔料は、特に限定されものではなく、公知の有彩色顔料を用いることができる。例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物を挙げることができる。
【0023】
有彩色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等の赤色顔料が挙げられる。
【0024】
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等の橙色顔料が挙げられる。
【0025】
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された黄色顔料が挙げられる。
【0026】
また、黄色顔料として、下記一般式(4)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選ばれる1種以上のアニオンと、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnから選ばれる少なくとも2種の金属イオンと、下記一般式(5)で表される化合物を含む金属アゾ顔料が挙げられる。
【0027】
一般式(4)
【化3】
【0028】
一般式(4)中、Rは、それぞれ独立して-OH、-NH、-NH-CN、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、Rは、それぞれ独立して-OH、又は-NHを表す。
【0029】
一般式(5)
【化4】
【0030】
一般式(5)中、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はアルキル基を表す。
【0031】
前記金属アゾ顔料は、例えば、特開2014-12838号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報、特開2022-61494号公報等に記載された金属アゾ顔料が挙げられる。
【0032】
C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63,64,65,66等の緑色顔料が挙げられる。
【0033】
C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79,80,87,88等の青色顔料が挙げられる。
【0034】
C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等の紫色顔料が挙げられる。
【0035】
有彩色顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。例えば、黒色の場合、後述する黒色顔料を使用する以外に、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の有彩色顔料を用いて(組み合わせて)得ることができる。前記組み合わせは、例えば、以下の態様が挙げられる。
(1)黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(2)赤色顔料、黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(3)赤色顔料、黄色顔料、及び青色顔料を含有する。
(4)赤色顔料、黄色顔料、及び緑色顔料を含有する。
(5)黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(6)赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(7)黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料を含有する。
【0036】
上記(1)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(2)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(3)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上とを含有する態様が挙げられる。
上記(4)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる1種以上とを含有する態様が挙げられる。
上記(5)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(6)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(7)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる1種以上と紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
【0037】
表1に、各態様の各有彩色顔料の好ましい質量比(質量%)を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
これらの上記(1)~(7)の有彩色顔料の組み合わせは、本発明の組成物を近赤外線透過フィルタに用いる場合に好ましい。
【0040】
(白色顔料)
白色顔料は、特に限定されものではなく、公知の白色顔料を用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、マイカ、タルク、カオリン、クレー、チタン酸ストロンチウム、タングステン酸バリウム、リン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-047520号公報、特開2015-164881号公報に記載の化合物等が挙げられる。
また、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物として、C.I.ピグメントホワイト1,2,3,4,5,6,6:1,7,8,10,11,12,13,14,15,16,17,18,18:1,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,30,32,33等が挙げられる。
【0041】
(黒色顔料)
黒色顔料は、特に限定されものではなく、公知の黒色顔料を用いることができる。例えば、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、ペリレンブラック、特開平1-170601号公報、特開平2-34664号公報、特開2007-302836号公報、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報に記載に化合物等が挙げられる。
また、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物として、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。
【0042】
(近赤外線吸収顔料)
近赤外線吸収顔料は、波長700~2,000nmの範囲に極大吸収を有する化合物であり、有機顔料(近赤外線吸収有機顔料ともいう)、無機顔料(近赤外線吸収無機顔料ともいう)のいずれであってもよい。また、近赤外線吸収有機顔料と近赤外線吸収無機顔料を併用してもよい。
【0043】
近赤外線吸収有機顔料は、特に限定されものではなく、公知の近赤外線吸収有機顔料を用いることができる。例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ化合物、インモニウム化合物、アントラキノン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物、ポルフィリン化合物等が挙げられる。これらの中でも、近赤外線吸収性、耐熱性の観点から、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物が好ましく、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物がより好ましい。
【0044】
シアニン化合物は、国際公開第2006/006573号、国際公開第2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報等;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第2014/208514号、特開2022-022070号公報、特開2022-110262号公報等;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第2018/186490号、特開2022-123689、特開2022-091099号公報等;インジゴ化合物は、特開2013-230412号公報等;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報等;アントラキノン化合物は、特開昭62-903号公報、特開平1-172458号公報等;ピロロピロール化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報、国際公開第2021/039205号;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第2017/135359号、国際公開第2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第2020/054718号、国際公開2020/189459号等;クロコニウム化合物は、国際公開第2019/021767号;ポルフィリン化合物は、特開2006-209059号公報、国際公開第2022/131191号等に記載の化合物が挙げられる。
【0045】
近赤外線吸収無機顔料は、特に限定されものではなく、公知の近赤外線吸収無機顔料を用いることができる。例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、セシウム酸化タングステン、ホウ化ランタン、銅、ニッケル、銀、金等の金属酸化物粒子又は金属粒子が挙げられる。
【0046】
顔料(A)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0047】
顔料(A)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.5~60質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0048】
顔料(A)は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法が挙げられる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0049】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。樹脂を添加することにより、顔料(A)が樹脂で被覆され、安定性、耐光性等が向上する。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ有機溶媒に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料(A)100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0050】
[樹脂(B)]
本発明の組成物は、樹脂(B)を含む。
【0051】
樹脂(B)は、主に顔料(A)を分散させるために用いる樹脂(B)を分散樹脂、主に膜の耐性を付与させるために用いる樹脂(B)をバインダー樹脂ともいう。樹脂(B)は、1種の樹脂で分散樹脂、及びバインダー樹脂の両方の機能を有してもよい。樹脂(B)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。但し、樹脂(B)は、一般式(1)で表される単量体単位(c1)を含まない樹脂である。
【0052】
樹脂(B)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0053】
樹脂(B)の重量平均分子量は、3,000~200,000が好ましく、4,000~150,000がより好ましい。
【0054】
樹脂(B)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0055】
樹脂(B)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、1~60質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0056】
(樹脂(B1))
樹脂(B)は、保存安定性の観点から、分散樹脂として樹脂(B1)を含むことが好ましい。分散樹脂として樹脂(B1)を含むことで、塗工性も向上する。
【0057】
樹脂(B1)は、顔料(A)に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基、及び酸性基のうち1種以上有していることが好ましい。
【0058】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、及び含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0059】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基等が挙げられる。
【0060】
樹脂(B1)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0061】
樹脂(B1)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、及び星型構造等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、グラフト構造、ブロック構造、くし型構造が好ましい。
【0062】
樹脂(B1)は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101,103,107,108,110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパンジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、国際公開第2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2012-255128号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報、特開2017-206689号公報、特開2019-095548号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0063】
樹脂(B1)の含有量は、樹脂(B)100質量%中、1~50質量%が好ましい。
【0064】
樹脂(B1)は、現像性の観点から、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂を含むことが好ましい。
【0065】
主鎖の芳香族カルボン酸エステル部位は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応により得られ、エステル結合が生成すると同時に芳香族カルボキシル基が生成する。芳香族カルボキシル基は、顔料(A)への吸着部位及び現像液への溶解部位として作用する。
【0066】
側鎖のビニル重合体部位は、立体反発部位として作用し、顔料(A)の会合・凝集を抑制する。側鎖のビニル重合体部位は、例えば、下記の2つの方法で得ることができる。
1つ目の方法は、水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、単量体を共重合する方法である。水酸基を2つ以上有する化合物は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物が好ましい。
2つ目の方法は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、単量体を共重合する方法である。
上記2つの方法は、単量体を共重合したビニル重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なる場合があるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じ化合物が合成できる。
【0067】
以下、主鎖、及び側鎖について詳細に説明する。
【0068】
〔主鎖〕
芳香族カルボン酸エステル部位は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物の無水物基は、水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によって得られる。
【0069】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、例えば、下記一般式(6)、一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0070】
【化5】
【0071】
一般式(6)中、nは1又は2を表す。
一般式(7)中、Qは直接結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記一般式(8)で表される基、又は下記一般式(9)で表される基を表す。
【0072】
【化6】
【0073】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、具体的には、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物がより好ましい。
【0074】
水酸基を2個以上有する化合物は、上記の通り、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物が好ましい。
【0075】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0076】
芳香族カルボン酸エステル部位は、水酸基を2個以上有する化合物1モルに対して、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルの反応生成部位であることが好ましい。より好ましくは、水酸基を2個以上有する化合物1モルに対して、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物1.0~1.3モルの反応生成部位である。顔料(A)への吸着部位である芳香族カルボキシル基の割合が増えることで保存安定性が向上する。理論上、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物が1モルを超える場合、末端は酸無水物基となる。
【0077】
また、芳香族カルボン酸エステル部位の末端に存在する酸無水物基は、モノアルコールと反応させてもよい。すなわち、酸無水物基がモノアルコールで開環し、アルコールエステル及びカルボキシル基が生成する。これにより、現像液への溶解性が向上し、現像性が向上する。
【0078】
前記モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコール、1-ノニルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のモノアルコール;
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル基を有するモノアルコール;
乳酸メチル、乳酸エチル、ダイアセトンアルコール等のカルボニル基を有するモノアルコール等が挙げられる。
これらの中でも、現像性の観点から、エーテル基又はカルボニル基を有する化合物であることが好ましく、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコールがより好ましい。モノアルコールは、単独又は2種類以上を使用できる。
【0079】
酸無水物基に対するモノアルコールの使用量は、主鎖の酸無水物基1当量に対して1~30当量が好ましく、1.5~20当量がより好ましい。
【0080】
〔側鎖〕
ビニル重合体部位は、上述したように、水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、単量体を共重合する方法、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、単量体を共重合する方法で合成できる。
【0081】
前記単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、又はメトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル;
スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の酸性基含有単量体が挙げられる。
【0082】
ビニル重合体部位は、低温ポストベーク後の膜耐性の観点から、熱架橋性基及び/又は重合性不飽和基を有することが好ましい。熱架橋性基は、例えば、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、及びブロックイソシアネート基等が挙げられる。
熱架橋性基を導入するには、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、及びブロックイソシアネート基等を有する単量体を使用することで導入できる。
重合性不飽和基を導入するには、例えば、ビニル重合体部位に存在する水酸基に、イソシアネート基を有する単量体のイソシアネート基を反応させることで導入できる。
【0083】
合成方法は、例えば、水酸基を2個以上有する化合物である片末端に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a)の存在下、単量体をラジカル重合し、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体を生成させ、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物であるテトラカルボン酸二無水物(b)と反応させることが好ましい。更に、樹脂の末端が酸無水物基の場合、モノアルコールと反応させれば、モノアルコールに由来する封止部位を導入できる。
【0084】
【化7】
【0085】
(c)中、Xは、テトラカルボン酸二無水物(b)が水酸基と反応した後の反応残基、Zは、2つの水酸基を持つ化合物が酸無水物基と反応した後の反応残基、Rは、モノアルコールの残基である。
【0086】
ビニル重合体部位の重合温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。40℃以上であれば重合が進行し易く、150℃以下であれば分子量の制御が容易になる。
【0087】
ビニル重合体部位の重合の際、単量体の全単量体質量を基準として、0.001~5質量%の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、アゾ系化合物及び有機過酸化物が挙げられる。
【0088】
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。重合開始剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0089】
ビニル重合体部位は、塊状重合又は溶液重合で合成することが好ましい。溶液重合の重合溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。重合溶媒は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0090】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成には、反応触媒を使用できる。反応触媒は、3級アミン系化合物が好ましい。3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、又は1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等が挙げられる。
【0091】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒を使用できる。
【0092】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成温度は、50~180℃が好ましく、80~140℃がより好ましい。
【0093】
酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂の酸価は、20~250mgKOH/gが好ましく、30~200mgKOH/gがより好ましい。
【0094】
酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂の重量平均分子量は、2,000~40,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましい。
【0095】
酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0096】
酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂は、保存安定性の観点から、樹脂(B1)100質量%中、1~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。
【0097】
(樹脂(B2))
樹脂(B)は、低温ポストベークでの混色の抑制の観点から、バインダー樹脂として熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有する樹脂(B2)(以下、単に樹脂(B2)ともいう)を含むことが好ましい。熱架橋性基は、加熱により架橋反応を起こし架橋する基である。例えば、環状エーテル基、メチロール基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、アセトアセトキシ基、アルコキシシリル基、3級アルキル基等が挙げられる。
樹脂(B2)は、例えば、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を形成する単量体、及び任意に共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。
【0098】
〔熱架橋性基含有単量体単位(b1)〕
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、低温ポストベークでの混色の抑制の観点から、下記一般式(10)~(14)で表される単量体から形成されることが好ましい。
【0099】
一般式(10)
【化8】
【0100】
一般式(10)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0101】
一般式(10)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0102】
一般式(10)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0103】
一般式(10)中、Lは、単結合、又は酸素原子を表す。
【0104】
一般式(10)中、L及びLは、それぞれ独立して単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0105】
一般式(10)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、特開平10-316643号公報、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0106】
以下、一般式(10)で表される単量体の具体例である式(10-1)~(10-10)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0107】
【化9】
【0108】
一般式(10)で表される単量体は、低温ポストベークでの混色の抑制の観点から、上記式(10-1)、式(10-2)、式(10-3)、式(10-4)、式(10-9)、及び式(10-10)の化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0109】
一般式(10)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0110】
一般式(11)
【化10】
【0111】
一般式(11)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0112】
一般式(11)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、R及びRは、水素原子であることが好ましく、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基であることが好ましい。
【0113】
一般式(11)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0114】
一般式(11)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0115】
以下、一般式(11)で表される単量体の具体例である式(11-1)~(11-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0116】
【化11】
【0117】
一般式(11)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0118】
一般式(12)
【化12】
【0119】
一般式(12)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0120】
一般式(12)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0121】
一般式(12)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0122】
一般式(12)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、Witzeman,J.S.、Dell Rector,F.J.著のCotaings Technology,Vol.62等に記載の方法が挙げられる。
【0123】
以下、一般式(12)で表される単量体の具体例である式(12-1)~(12-4)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0124】
【化13】
【0125】
一般式(12)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0126】
一般式(13)
【化14】
【0127】
一般式(13)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0128】
一般式(13)中、R~R10は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。ただし、R~R10のうち少なくとも1つは炭素数1~6のアルコキシ基である。
炭素数1~6のアルキル基は、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
炭素数1~6のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
一般式(13)中、R~R10のうち少なくとも2つは炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。
【0129】
一般式(13)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0130】
以下、一般式(13)で表される単量体の具体例である式(13-1)~(13-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0131】
【化15】
【0132】
一般式(13)で表される単量体の市販品は、例えば、信越シリコーン社のKBM-502,503,5103,5803、KBE-502,503等が挙げられる。
【0133】
一般式(13)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0134】
一般式(14)
【化16】
【0135】
一般式(14)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0136】
一般式(14)中、R11~R13は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
【0137】
一般式(14)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、-NH-を有する基、又はこれらの組合せが挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0138】
以下、一般式(14)で表される単量体の具体例である式(14-1)~(14-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0139】
【化17】
【0140】
一般式(14)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0141】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、低温ポストベークでの混色の抑制の観点から、一般式(10)で表される単量体、及び一般式(11)で表される単量体のうち1種以上から形成される単量体単位がより好ましい。
【0142】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、一般式(10)~(14)で表される単量体を単独又は2種類以上を併用して形成することができる。
【0143】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、一般式(10)~(14)で表される単量体で形成される単量体単位と、一般式(10)~(14)で表される単量体以外の単量体で形成される単量体単位を併用することができる。
【0144】
一般式(10)~(14)で表される単量体以外の単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2-[O-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)の含有量は、低温ポストベークでの混色の抑制の観点から、樹脂(B2)の全単量体単位中、1~80モル%が好ましく、5~70モル%がより好ましい。
【0146】
樹脂(B2)は、熱架橋性基含有単量体単位(b1)以外に、例えば、酸性基含有単量体単位(b2)、水酸基含有単量体単位(b3)、多環脂環式炭化水素基含有単量体単位(b4)、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)、その他単量体単位(b6)を含有できる。
【0147】
〔酸性基含有単量体単位(b2)〕
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
酸性基含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0148】
酸性基含有単量体単位(b2)の含有量は、樹脂(B2)の全構成単位中、1~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。
【0149】
また、樹脂(B2)に酸性基含有単量体単位(b2)を導入する方法は、熱架橋性基含有単量体と酸性基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれる水酸基に、酸無水物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。前記酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0150】
〔水酸基含有単量体単位(b3)〕
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
水酸基含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0151】
水酸基含有単量体単位(b3)の含有量は、樹脂(B2)の全単量体単位中、1~60モル%が好ましく、5~50モル%がより好ましい。
【0152】
また、樹脂(B2)に水酸基含有単量体単位(b3)を導入する方法は、熱架橋性基含有単量体と水酸基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれるエポキシ基に、カルボキシル基を有する化合物(変性化合物)を付加させる方法や、樹脂(前駆体)に含まれるカルボキシル基に、エポキシ基を有する化合物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。
【0153】
〔多環脂環式炭化水素基含有単量体単位(b4)〕
多環脂環式炭化水素基含有単量体単位は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
多環脂環式炭化水素基含有単量体単位は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0154】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(b5)〕
樹脂(B2)に、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)を含有させる方法は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法が挙げられる。
【0155】
<方法(i)>
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体のエポキシ基に、酸性基がカルボキシル基である酸性基含有単量体を付加する。
【0156】
前記前駆体のエポキシ基に、カルボキシル基を有する単量体を付加させた部位に、更に、酸無水物を反応させることもできる。
【0157】
酸無水物は、例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0158】
<方法(ii)>
方法(ii)は、例えば、まず、酸性基がカルボキシル基である酸性基含有単量体単位(b2)を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体のカルボキシル基にエポキシ基含有単量体(変性化合物)を付加する。
【0159】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0160】
<方法(iii)>
方法(iii)は、例えば、まず、水酸基含有単量体(b3)を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体(変性化合物)のイソシアネート基を反応させる。
【0161】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0162】
〔その他単量体単位単位(b6)〕
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;
スチレン、α-メチルスチレン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4'-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。
その他単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0163】
樹脂(B2)の重量平均分子量は、3,000~50,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましい。
【0164】
樹脂(B2)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.2~3.0が好ましく、1.3~2.8がより好ましい。
【0165】
樹脂(B2)の酸価は、20~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましい。
【0166】
樹脂(B2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0167】
樹脂(B2)の含有量は、樹脂(B)100質量%中、1~80質量%が好ましい。
【0168】
[レベリング剤(C)]
本発明の組成物は、レベリング剤(C)を含む。
【0169】
レベリング剤(C)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、アセチレンジオール系レベリング剤等が挙げられる。
【0170】
シリコーン系レベリング剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコーニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越シリコーン社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341、エボニック社製のTegoGlide432,440,450、TegoWet250,260,265,270,280等が挙げられる。
【0171】
フッ素系レベリング剤の市販品としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0172】
アクリル系レベリング剤の市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-350,352,354,355,358,380,381,392,394、共栄社化学製のポリフロー57,77,95等が挙げられる。
【0173】
アセチレンジオール系レベリング剤の市販品は、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール420,440,465,485,SE,DF110D,DE85、オルフィンE1004,1010等が挙げられる。
【0174】
レベリング剤(C)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0175】
レベリング剤(C)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.01~2.0質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましい。
【0176】
(ブロック共重合体(C1))
本発明の組成物は、レベリング剤(C)として、一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成されるAブロック、及び一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外の単量体単位(c2)(以下、単にその他単量体単位(c2)ともいう)から形成されるBブロックを有するブロック共重合体(C1)を含む。
【0177】
一般式(1)
【化18】
【0178】
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、又は-OSi(Rで表わされる基(Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基)である。
は、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
は、炭素数1~6のアルキル基である。
は、水素原子、又はメチル基である。
は、2価の有機基、又は単結合である。
nは、1~70の整数である。
【0179】
〔一般式(1)で表される単量体単位(c1)〕
一般式(1)で表される単量体を説明する。
【0180】
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、又は-OSi(Rで表わされる基(Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基)である。
炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rは、塗工性、混色の抑制の観点から、メチル基、トリメチルシロキシ基が好ましい。
【0181】
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rは、メチル基が好ましい。
【0182】
一般式(1)中、Rは、炭素数1~6のアルキル基である。
炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rは、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
【0183】
一般式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基である。
【0184】
一般式(1)中、Lは、2価の有機基、又は単結合である。これらの中でも、Lは、2価の有機基が好ましく、炭素数1~50のアルキレン基、又は炭素数1~50のアルキレンオキシ基がより好ましい。
炭素数1~50のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基が好ましい。
炭素数1~50のアルキレンオキシ基は、例えば、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、オキシトリメチレン基、ブチレンオキシ基、オキシテトラメチレン基、ペンチレンオキシ基、へプチレンオキシ基等が挙げられる。
【0185】
前記炭素数1~50のアルキレン基、又は前記炭素数1~50のアルキレンオキシ基の-CH-の一部がカルボニル基、フェニレン基、アミド結合、ウレタン結合に置換されてもよく、更に炭素原子に水酸基等が置換されてもよい。
【0186】
一般式(1)中、nは、1~70の整数である。塗工性、混色の抑制の観点から、nは、1~50の整数が好ましく、1~30の整数がより好ましい。
【0187】
一般式(1)で表される単量体は、例えば、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、α-(3-メタクリロイルオキシ)プロピルポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品としては、JNC社製のサイラプレーンFM-0711,FM-0721,FM-0725,FM-0701T、信越化学工業製のX-22-174ASX、X-22-174BX、X-22-2426、X-22-2404等が挙げられる。
【0188】
一般式(1)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0189】
Aブロックは、一般式(1)で表される単量体単位(c1)から形成される部位である。
Aブロックは、本発明の効果を損なわない範囲において、一般式(1)で表される単量体単位(c1)以外のその他単量体単位(c2)を含んでもよい。
【0190】
一般式(1)で表される単量体単位(c1)の含有量は、塗工性、混色の抑制の観点から、Aブロック100質量%中、90~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましい。
【0191】
Aブロックの含有量は、塗工性、混色の抑制の観点から、ブロック共重合体(C1)100質量%中、20~95質量%が好ましく、30~85質量%がより好ましい。
【0192】
〔その他単量体単位(c2)〕
その他単量体単位(c2)は、塗工性、混色の抑制の観点から、下記一般式(2)で表される単量体単位(c2-1)、及び下記一般式(3)で表される単量体単位(c2-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、組成物に含まれる他の成分との相溶性が制御でき、保存後でも塗工性、混色の抑制が維持できる。
【0193】
一般式(2)
【化19】
【0194】
一般式(2)中、Rは、水素原子、又は炭素数1~18のアルキル基である。
は水素原子、又はメチル基である。
mは、1~4の整数である。
oは、2~200の整数である。
【0195】
一般式(3)
【化20】
【0196】
一般式(3)中、Rは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基である。
は、水素原子、又はメチル基である。
【0197】
《一般式(2)で表される単量体単位(c2-1)》
一般式(2)で表される単量体を説明する。
【0198】
一般式(2)中、Rは、水素原子、又は炭素数1~18のアルキル基である。
炭素数1~18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。これらの中でも、Rは、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0199】
一般式(2)中、Rは、水素原子、又はメチル基である。
【0200】
一般式(2)中、mは、1~4の整数である。塗工性、混色の抑制の観点から、mは、3、又は4が好ましい。
【0201】
一般式(2)中、oは、2~200の整数である。塗工性、混色の抑制の観点から、oは、3~50の整数が好ましい。
【0202】
一般式(2)で表される単量体は、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・1,2-ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリ1,2-ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・1,2-ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリ1,2-ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(テトラメチレングリコール・1,2-ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコール・ポリ1,2-ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ1,2-ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(1,2-ブチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ1,2-ブチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(1,2-ブチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ1,2-ブチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、上記「ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのランダム共重合物を意味し、「ポリエチレングリコール・ポリエチレングリコール」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合物を意味する。市販品としては、新中村化学工業社製のNKエステルM-20G,M-40G,M-90G,M-130G,M-230G,AM-90G,AM-130G,AM-230G、日油社製のブレンマーPE-90,PE-200,PE-350,PP-500,PP-800,PP-1000,50PEP-300,55PET-800,10PPB-500B,AE-200,AE-400,AP-400等が挙げられる。
【0203】
一般式(2)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0204】
《一般式(3)で表される単量体単位(c2-1)》
一般式(3)で表される単量体を説明する。
【0205】
一般式(3)中、Rは、炭素数3~20の脂環式炭化水素基である。
炭素数3~20の脂環式炭化水素基は、置換基を有してもよい。置換基としては、アルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及びこれらの組合せ等が挙げられる。
炭素数3~20の脂環式炭化水素基は、例えば、単環、又は多環脂環式炭化水素基が挙げられる。
単環脂環式炭化水素基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
多環脂環式炭化水素基は、イソボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタジエン基、ジシクロペンタジエン基等が挙げられる。
これらの中でも、多環脂環式炭化水素基が好ましく、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0206】
一般式(3)中、Rは、水素原子、又はメチル基である。
【0207】
一般式(3)で表される単量体は、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4―シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0208】
一般式(3)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0209】
一般式(2)で表される単量体単位(c2-1)、及び一般式(3)で表される単量体単位(c2-2)の単量体単位の合計含有量は、塗工性、混色の抑制の観点から、Bブロック100質量%中、90~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましい。
【0210】
Bブロックは、その他単量体単位(c2)から形成される部位である。
Bブロックは、本発明の効果を損なわない範囲において、一般式(2)で表される単量体単位(c2-1)、及び一般式(3)で表される単量体単位(c2-2)以外のビニル単量体単位を含んでもよい。
【0211】
Bブロックの含有量は、塗工性、混色の抑制の観点から、ブロック共重合体(C1)100質量%中、5~80質量%が好ましく、15~70質量%がより好ましい。
【0212】
前記ビニル単量体は、特に制限がなく、公知の単量体を用いることができる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクロイルモルフォリン、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0213】
ブロック共重合体(C1)の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合等のリビング重合法が挙げられる。
リビングラジカル重合は、例えば、特開平9-62002号公報、特開2002-31713号公報や、P.Lutz,P.Masson et al,Polym.Bull.12,79 (1984),B.C.Anderson,G.D.Andrews et al,Macromolecules,14,1601(1981),K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.17,977(1985),18,1037(1986),右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36,366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46,189(1989),M.Kuroki,T.Aida,J.Am.Chem.Soc,109,4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985),D.Y.Sogoh,W.R.Hertler et al,Macromolecules,20,1473(1987)等に記載された方法が挙げられる。これらの中でも、可逆的付加開裂連鎖移動重合(以下、RAFT)、原子移動ラジカル重合(以下、ATRP)、ヨウ素化合物を用いたリビングラジカル重合、有機テルル化合物を用いたリビングラジカル重合(以下、TERP)が好ましい。
具体的には、例えば、国際公開第2021/131726号、国際公開第2022/050062号、国際公開第2022/244586号等に記載の方法で合成できる。
【0214】
ブロック共重合体(C1)のAブロック、及びBブロックの数、配置は特に制限されない。例えば、ブロック共重合体(C1)は、ABブロック共重合体、ABAブロック共重合体、BABブロック共重合体等の配置が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、Aブロック、Bブロック以外のブロックを含んでもよい。
【0215】
ブロック共重合体(C1)の重量平均分子量は、5,000~40,000が好ましい。
【0216】
ブロック共重合体(C1)の数平均分子量は、2,000~20,000が好ましい。
【0217】
ブロック共重合体(C1)の平均分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~3.0が好ましい。
【0218】
ブロック共重合体(C1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0219】
ブロック共重合体(C1)の含有量は、レベリング剤(C)100質量%中、10~100質量%が好ましく、30~100質量%がより好ましい。
【0220】
(ブロック共重合体(C1)以外のレベリング剤(C2))
本発明の組成物は、ブロック共重合体(C1)以外のレベリング剤(C2)(以下、単にその他レベリング剤(C2)ともいう)を含むことができる。その他レベリング剤(C2)は、上述したレベリング剤が挙げられる。
【0221】
[溶媒(D)]
本発明の組成物は、溶媒(D)を含む。
【0222】
溶媒(D)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、乳酸メチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル、水等が挙げられる。
【0223】
溶媒(D)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0224】
溶媒(D)の含有量は、組成物の不揮発分が5~60質量%となる量が好ましい。
【0225】
(ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1))
本発明の組成物は、溶媒(D)として、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である溶媒(D1)(以下、単に溶媒(D1)ともいう)を含む。
【0226】
ここで、ハンセン溶解度パラメータとは、Hildebrandによって導入された溶解度パラメータを、分散項(以下、δdともいう)、極性項(以下、δpともいう)、水素結合項(以下、δhともいう)の3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項は分散力による効果、極性項は双極子間力による効果、水素結合項は水素結合力による効果を示す。
【0227】
ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著「Hansen Solibility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピューターソフトウェア「Hansen Solibility Parameters in Practice(HSPiP)」を用いることにより、化学構造からハンセン溶解度パラメータを計算することができる。本発明の溶媒(D1)は、Hansen Solibility Parameters;A Users Handbook,Second Editionの値を使用し、記載がないものに関しては、「Hansen Solibility Parameters in Practice(HSPiP)」による計算値を用いる。
【0228】
溶媒(D1)は、例えば、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(δh=10.0)、ジエチレングリコールヘキシルエーテル(δh=10.0)、乳酸ブチル(δh=10.2)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(δh=10.5)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(δh=10.6)、ダイアセトンアルコール(δh=10.8)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(δh=11.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.2)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(δh=12.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(δh=12.3)、3-メチル-1-ブタノール(δh=13.3)、乳酸エチル(δh=12.5)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(δh=12.6)、シクロヘキサノール(δh=13.5)、3-メトキシ-1-ブタノール(δh=13.6)、ベンジルアルコール(δh=13.7)、2-メチル-1-ブタノール(δh=14.3)、エチレングリコールモノエチルエーテル(δh=14.3)、2-ブタノール(δh=14.5)、乳酸メチル(δh=14.6)、フルフリルアルコール(δh=15.1)、1-ブタノール(δh=15.8)、エチレングリコールモノメチルエーテル(δh=16.4)、エタノール(δh=19.4)、水(δh=42.3)等が挙げられる。
【0229】
溶媒(D1)の水素結合項は、保存後の塗工性、混色の抑制の観点から、10~45MPa1/2が好ましい。
【0230】
溶媒(D1)は、保存後の塗工性、混色の抑制の観点から、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸エチル、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、1-ブタノール、乳酸メチル、及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
より好ましくは、水を含み、更に、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸エチル、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、及び1-ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0231】
溶媒(D1)の含有量は、保存後の塗工性、混色の抑制の観点から、組成物100質量%中、0.01~20質量%が好ましく、0.05~15質量%がより好ましい。
【0232】
水の含有量は、保存後の塗工性の観点から、組成物100質量%中、0.01~2質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
【0233】
(溶媒(D1)以外の溶媒(D2))
本発明の組成物は、溶媒(D)として、溶媒(D1)以外の溶媒(D2)(以下、単に溶媒(D2)ともいう)を含有できる。
【0234】
溶媒(D2)は、特に制限がなく、上述した溶媒を使用できる。
【0235】
溶媒(D2)は、プロピレングリコールジアセテート、3-メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、シクロペンタノン、3-メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、及び酢酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0236】
本発明の組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である溶媒は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、組成物中、50質量ppm以下であり、30質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましい。
【0237】
[重合性化合物(E)]
本発明の組成物は、更に、重合性化合物(E)を含む。
【0238】
重合性化合物(E)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合のビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
【0239】
重合性化合物(E)は、例えば、ラクトン変性された重合性化合物、酸性基を有する重合性化合物、水酸基を有する重合性化合物、ウレタン結合を有する重合性化合物、アミン構造を有する重合性化合物、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物、その他重合性化合物が挙げられる。
【0240】
重合性化合物(E)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0241】
重合性化合物(E)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。
【0242】
(ラクトン変性された重合性化合物)
ラクトン変性された重合性化合物は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンもしくはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0243】
ラクトン変性された重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60等が挙げられる。
【0244】
(酸性基を有する重合性化合物)
酸性基を有する重合性化合物は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。
【0245】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0246】
上記ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0247】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0248】
酸性基を有する重合性化合物の市販品は、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-510,M-520,M-521、共栄社化学社製のライトアクリレートHOA-MS(N),HOA-HH(N),HOA-MPE(N),P-1A(N)、ダイセル・オルネクス社製のβ-CEA等が挙げられる。
【0249】
(水酸基を有する重合性化合物)
水酸基を有する重合性化合物は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0250】
水酸基を有する重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、日油製のブレンマーGLM,GLM-R,GMR-M,GMR-R,GAM,GAM-R,G-FA80、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0251】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
ウレタン結合を有する重合性化合物は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0252】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0253】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0254】
ウレタン結合を有する重合性化合物は、現像性の観点から、更に、酸性基を有することもできる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0255】
ウレタン結合を有する重合性化合物に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0256】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0257】
ウレタン結合を有する重合性化合物の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H、U-6LPA、UA-33H、U-10HA、U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290、KRM8452等が挙げられる。
【0258】
(アミン構造を有する重合性化合物)
アミン構造を有する重合性化合物が有するアミン構造は、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれの構造でもよいが、2級又は3級アミンが好ましい。ただし、アミン構造を有する重合性化合物が有するアミン構造は、カルボニル基が窒素原子と直接結合しているアミド構造、イミド構造、及びウレタン構造は含まれない。
【0259】
アミン構造を有する重合性化合物は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0260】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0261】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0262】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0263】
アミン化合物(Y)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0264】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0265】
アミン構造を有する重合性化合物は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0266】
アミン構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL80,7100、アルケマ社製のCN371NS,372,374,383,386等が挙げられる。
【0267】
アミン構造を有する重合性化合物は、更にウレタン結合を有することもできる。これにより、重合による化学架橋構造とともにウレタン結合同士やウレタン結合と基材の官能基間での分子間水素結合による物理的架橋構造を形成する。このウレタン結合部の分子間水素結合のもつ分子凝集エネルギーは、エーテル結合など他の有機構造がもつ凝集エネルギーに比べて大きい。そのため、膜は、ウレタン結合間の相互作用により柔軟で強固となり、耐性が向上すると推測する。
【0268】
ウレタン結合を導入する方法は、例えば、上述した(メタ)アクリレート化合物(X)と上述した水酸基を有するアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物(前駆体)と、ポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応により製造することができる。
【0269】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有するポリイソシアネート化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体等が挙げられる。
【0270】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0271】
前記前駆体とポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応の方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、特表2018-517797号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0272】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物)
デンドリマー構造を有する重合性化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0273】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miramer SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9)、CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6)、CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8)、Etercure6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12)、Etercure6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、EtercureDR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0274】
(その他重合性化合物)
その他重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0275】
その他重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460,M-930、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0276】
また、水酸基及び酸性基を有する重合性化合物、水酸基及びウレタン結合を有する重合性化合物等も挙げられる。
【0277】
重合性化合物(E)は、アミン構造を有する重合性化合物、水酸基を有する重合性化合物、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0278】
アミン構造を有する重合性化合物、水酸基を有する重合性化合物、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物の合計含有量は、重合性化合物(E)100質量%中、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
【0279】
[重合開始剤(F)]
本発明の組成物は、更に、重合開始剤(F)を含む。
【0280】
重合開始剤(F)は、特に制限がなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、光又は熱の作用によってラジカルを発生させて、ラジカル重合反応を開始又は促進させる化合物が挙げられる。
光によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に光重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。
熱によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0281】
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0282】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシムエステル系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04,05、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-730,831E,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316,サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306,EOX-01等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開第2021/175855号、特表2022-5115524号公報、国際公開2023/085056号、国際公開2023/085072号等に記載の化合物も挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。オキシムエステル系化合物は、オキシムエステル基を2つ以上有する化合物がより好ましい。
【0283】
以下、オキシムエステル系化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0284】
【化21】
【0285】
【化22】
【0286】
【化23】
【0287】
熱重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
2,2'-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2'-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ系化合物;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0288】
重合開始剤(F)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0289】
重合開始剤(F)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0290】
[熱架橋性化合物(G)]
本発明の組成物は、熱架橋性化合物(G)を含むことが好ましい。これにより、加熱で熱架橋性化合物(G)が架橋し、膜の耐性が向上する。なお、本明細書では、熱架橋性化合物(G)は、樹脂(B)、重合性化合物(E)には含まれない。
【0291】
熱架橋性化合物(G)は、熱架橋性基を有する化合物であれば、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、エポキシ基を有する化合物、ブロックイソシアネート基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、アルコキシアルキル基を有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基を有する化合物、及びブロックイソシアネート基を有する化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0292】
熱架橋性化合物(G)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0293】
熱架橋性化合物(G)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.5~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
【0294】
(エポキシ基を有する化合物(G1))
熱架橋性化合物(G)は、エポキシ基を有する化合物(G1)を含むことが好ましい。これにより、加熱でエポキシ基が架橋し、耐性がより向上する。
【0295】
エポキシ基とは、3員環の環状エーテル構造を有する基で、脂環式エポキシ基も含まれる。エポキシ基を有する化合物は、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル化合物;
1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化合物;
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン等の分子内に2個以上の3,4-エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
【0296】
エポキシ基を有する化合物(G1)の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0297】
エポキシ基を有する化合物(G1)は、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
【0298】
エポキシ基を有する化合物(G1)のエポキシ当量は、50~400g/eqが好ましく、100~200g/eqがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0299】
エポキシ基を有する化合物(G1)は、下記一般式(15)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【0300】
一般式(15)
【化24】
【0301】
一般式(15)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0302】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状、分岐状、もしくは環状、又はそれらが結合した基であってもよい。炭素数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(15)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0303】
一般式(15)で表される化合物は、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品は、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0304】
エポキシ基を有する化合物(G1)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0305】
エポキシ基を有する化合物(G1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0306】
エポキシ基を有する化合物(G1)の含有量は、熱架橋性化合物(G)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0307】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2))
熱架橋性化合物(G)は、ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)を含むことが好ましい。
【0308】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)は、イソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基を、ブロック剤で保護した化合物である。前記ブロックイソシアネート基のブロック剤の脱離温度は、60~160℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~100℃が特に好ましい。
【0309】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)は、イソシアネート基を有する化合物とブロック剤を公知の方法で反応させて合成する。例えば、特開昭52-116420号公報、特開昭60-149572号公報、特開平7-31953号公報、特開平10-306136号公報、特開2012-012567号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0310】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物がより好ましく、低温ポストベーク後の膜耐性の観点から、活性メチレン化合物が特に好ましい。活性メチレン化合物の脱離温度、又はエステル交換反応の温度は、80~110℃と低く、低温でも十分に反応し耐性が向上する。
活性メチレン化合物は、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチルが好ましい。
【0311】
イソシアネート基を有する化合物は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有する化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有する化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有する化合物が挙げられる。また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体、及びこれら化合物とポリオールの反応物等が挙げられる。
【0312】
イソシアネート基を有する化合物は、脂肪族構造を有する化合物、又は脂環式構造を有する化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体が好ましい。
【0313】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)は、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下の構造式中、Xは、ブロックイソシアネート基を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0314】
【化25】
【0315】
上記化合物のX(ブロックイソシアネート基)は、例えば、以下の(X-1)~(X-6)で示す構造が挙げられる。以下の構造中、*は結合部を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0316】
【化26】
【0317】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)の市販品で脂肪族構造を有する化合物は、例えば、旭化成社製のデュラネートSBN-70D,SBB-70P,SBF-70E,TPA-B80E,17B-60P,MF-B60B,E402-B80B,MF-K60B,WM44-L70G、三井化学社製のタケネートB-882、Baxenden Chemical社製のBI7960,BI7961,BI7982,BI7991,BI7992等;
脂環式構造を有する化合物は、例えば、三井化学社製のタケネートB-846N、東ソー社製のコロネートBI-301,2507,2554、Baxenden Chemical社製のBI7950,BI7951,BI7990等;
芳香族構造を有する化合物は、例えば、三井化学社製のタケネートB-830,B-815N等が挙げられる。
【0318】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)のブロックイソシアネート基の数は、1~20個が好ましく、2~15個がより好ましい。
【0319】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)の重量平均分子量は、300~5,000が好ましく、500~3,000がより好ましい。
【0320】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0321】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0322】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2)の含有量は、熱架橋性化合物(G)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0323】
[シランカップリング剤(H)]
本発明の組成物は、シランカップリング剤(H)を含むことが好ましい。これにより、シランカップリング剤(H)が、基材表面の官能基や組成物に含まれる他の成分の官能基と反応し、膜耐性が向上する。
【0324】
シランカップリング剤(H)は、加水分解性基及びそれ以外の官能基を有する化合物である。前記加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかの反応によってシロキサン結合を生じる基である。前記加水分解性基は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、反応性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記それ以外の官能基は、例えば、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基、オキセタニル基、スチリル基、ウレイド基等が挙げられる。
なお、本明細書では、シランカップリング剤(H)は、樹脂(B)、重合性化合物(E)には含まれない。
【0325】
シランカップリング剤(H)は、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0326】
シランカップリング剤(H)の市販品は、例えば、信越シリコーン社製のKBM-302、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-4803、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-6803、KBM-1003、KBE-1003、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5803、X-12-1048、X-12-1050、KBE-9007N、KBM-9659、KBM-802、KBM-803、KBM-1043、KBE-585A、X-12-1048、X-12-50等が挙げられる。
【0327】
また、シランカップリング剤(H)は、ポリマータイプであってもよい。ポリマータイプは、ポリシロキサンタイプ、有機ポリマータイプが挙げられる。
【0328】
ポリシロキサンタイプは、主鎖にポリシロキサン骨格を有するポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合する化合物である。ポリシロキサンタイプの市販品は、信越シリコーン社製のKR-513、KR-516、KR-517、X-41-1805、X-41-1810等が挙げられる。
【0329】
有機ポリマータイプは、主鎖が有機構造である有機ポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合したシランカップリング剤(H)である。有機ポリマータイプの市販品は、信越シリコーン社製のX-12-9815、X-12-9845、X-12-1154、X-12-972F、X-12-1159L等が挙げられる。
【0330】
シランカップリング剤(H)は、下記一般式(16)で表される化合物を含むことが好ましい。一般式(16)で表される化合物は、ウレタン結合を有するため、ウレタン結合間や感光性組成物に含まれる他の成分の官能基と水素結合を形成し、強固な膜を形成する。また、ウレタン結合は柔軟性を有するため、強固でありながらも柔軟性を有する膜となると推測する。
【0331】
一般式(16)
【化27】
【0332】
一般式(16)中、3つのRは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~8のアルキレン基を表し、Qは、下記一般式(Q-1)~(Q-4)のいずれかで表される基であり、nは、1~10の整数を表す。
【0333】
【化28】
【0334】
一般式(Q-1)中、Rは、炭素数1~8のアルキレン基を表す。一般式(Q-1)~(Q-4)中、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表す。*は、酸素原子との結合手である。
【0335】
一般式(16)中、3つのRは、メチル基が好ましい。
【0336】
一般式(16)中、Qは、一般式(Q-1)~(Q-3)が好ましい。
【0337】
シランカップリング剤(H)の分子量(式量)、又は重量平均分子量は、100~3,000が好ましく、150~1,500がより好ましい。
【0338】
シランカップリング剤(H)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0339】
シランカップリング剤(H)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0340】
シランカップリング剤(H)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましい。
【0341】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の組成物は、チオール系連鎖移動剤(I)を含むことが好ましい。これにより、露光工程で、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し光硬化が進み、向上すると推測する。
【0342】
チオール系連鎖移動剤(I)は、例えば、チオフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-ベンゾイミダゾール、ブタンチオール、オクタンチオール、1-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル等の単官能チオール化合物;
2-メルカプトエタノール、1-チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプト安息香酸、3-メルカプト安息香酸、4-メルカプトニコチン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプトブタン酸、チオグリコール酸オクチル、メルカプトこはく酸、11-メルカプトウンデカン酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等の水酸基又は酸性基を有する単官能チオール化合物;
ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシア、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール化合物が挙げられる。
【0343】
チオール系連鎖移動剤(I)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0344】
チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.5~10質量%が好ましい。
【0345】
[染料(J)]
本発明の組成物は、染料(J)を含有できる。
【0346】
染料(J)は、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体、レーキ化合物、造塩化合物、多量体等も挙げられる。
【0347】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。また、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、又は一級アミン化合物等の含窒素化合物との塩である造塩化合物が好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性に優れた感光性組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0348】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸又はその金属塩と塩を形成する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0349】
染料(J)の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0350】
これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0351】
染料(J)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0352】
染料(J)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.5~60質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0353】
[顔料誘導体(K)]
本発明の組成物は、顔料誘導体(K)を含有できる。顔料誘導体(K)を使用すると顔料(A)を安定的に分散できる。
【0354】
顔料誘導体(K)は、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、顔料の一部が、酸性基、塩基性基、中性基等で置換された構造を有する化合物が挙げられる。具体的には、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
顔料は、例えば、ジケトピロロピロール化合物、フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チアジンインジゴ化合物、トリアジン化合物、ベンズイミダゾロン化合物、ベンゾイソインドール化合物、イソインドリン化合物、イソインドリノン化合物、キノフタロン化合物、ナフトール化合物、スクアリリウム化合物、スレン化合物、ナフタロシアニン化合物等が挙げられる。
【0355】
顔料誘導体(K)は、上述した顔料(A)の微細化時に添加するか、後述する顔料(A)の分散処理時に添加することが好ましい。顔料誘導体(K)の平均一次粒子径は、5~200nmが好ましい。
【0356】
顔料誘導体(K)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0357】
顔料誘導体(K)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、2~40質量部がより好ましい。
【0358】
[紫外線吸収剤(L)]
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤(L)を含有できる。
【0359】
紫外線吸収剤(L)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、アクリルニトリル化合物、ベンゾチアゾール化合物、サリシレート化合物等が挙げられる。
【0360】
ベンゾフェノン化合物は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸三水和物、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、4-ベンジロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のユビナールA,3049,3050、UVA-935LH、ADEKA社製のアデカスタブ1413等が挙げられる。
これらの中でも、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0361】
ベンゾトリアゾール化合物は、例えば、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸及び3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物、2-[5-クロロ-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビンPS,99-2,326,384-2,900,928,970,1130、UVA-903KT、ADEKA社製のアデカスタブLA-31RG,LA-31G等が挙げられる。
【0362】
トリアジン化合物は、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン400,405,406,477,479、ADEKA社製のアデカスタブLA-46,LA-F70等が挙げられる。
【0363】
共役ジエン化合物は、例えば、大東化学社製のUV503等が挙げられる。
【0364】
メチルジベンゾイル化合物は、例えば、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン等が挙げられる。
【0365】
クマリン化合物は、例えば、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリン等が挙げられる。
【0366】
紫外線吸収剤(L)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0367】
紫外線吸収剤(L)の含有量は、組成物の不揮発分100質量%中、0.1~5質量%が好ましい。
【0368】
[その他成分(M)]
本発明の組成物は、上記以外の成分(以下、その他成分(M)ともいう)を含有できる。その他成分(M)は、例えば、重合禁止剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、増感剤、酸発生剤、塩発生剤、硬化促進剤、硬化触媒、半導体ナノ結晶、半導体材料、有機エレクトロルミネッセンス材料、絶縁性材料等が挙げられる。その他成分(M)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜設定することができる。
【0369】
[特定金属元素の含有量]
本発明の組成物は、組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCr(以下、特定金属元素ともいう)の合計含有量が、500質量ppm以下であることが好ましい。
【0370】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の組成物であると、経時保存後でも分散安定性に優れる。特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0371】
[組成物の製造方法]
本発明の組成物は、上述の各成分を混合して調整できる。調整に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶媒(D)や重合性化合物(E)に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。
例えば、顔料(A)、樹脂(B)、及び溶媒(D)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、レベリング剤(C)、重合性化合物(E)、重合開始剤(F)等を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0372】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0373】
組成物中の顔料(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。
【0374】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0375】
組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0376】
<膜>
本発明の膜は、上述した組成物を用いて形成されたものである。膜はパターンを形成した膜が好ましいが、平坦膜として用いることもできる。
【0377】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。本発明の膜は、環境の観点から、150℃以下で形成された膜が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、加熱を150℃以下で行うことにより、画像表示装置の発光光源として有機EL素子を用いた場合や、イメージセンサの光電変換膜が有機素材の場合、プラスチックフィルム等の熱に弱い基材を用いた場合等に、これらの性能も維持することができる。なお、加熱温度は、50℃以上が好ましい。
【0378】
〔塗工工程〕
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコーン等の材質で構成された基板が挙げられる。前記ガラスは、無色透明であってもよく、用途によってはブルーガラスのような着色ガラスを用いてもよい。前記樹脂は、ポリエステルテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。基材の厚さは、0.01~10mmが好ましい。
これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0379】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0380】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0381】
〔乾燥工程〕
基材に塗工した膜の乾燥は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、真空乾燥装置を使用した減圧乾燥法、ホットプレート、IRオーブン、コンベクション
オーブン等を使用した加熱乾燥法、及びこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
【0382】
乾燥温度・時間は、適宜調節できる。乾燥温度は50~130℃程度が好ましく、乾燥時間は10秒~5分程度が好ましい。
【0383】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられ、フォトリソグラフィー法が好ましい。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥や全面を露光する。
【0384】
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
【0385】
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の組成物を塗工して形成した層を、乾燥した後、マスクを介してパターン状に露光(露光工程)し、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、パターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0386】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタ利用することもできる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
また、複数の活性エネルギー線の併用や複数回に分けて露光することもできる。
【0387】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ水溶液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物を含む水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上併用することができる。
アルカリ水溶液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
アルカリ水溶液は、アルカリ性化合物と水以外に、界面活性剤や有機溶剤を含有することもできる。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0388】
〔ポストベーク工程〕
現像後、加熱処理(ポストベーク)を行う。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。時間は、2分間~2時間程度が好ましい。
【0389】
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、上記膜を有する。光学フィルタは、例えば、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、遮光フィルタ、反射防止フィルタ、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ、マイクロレンズ等に用いられる。本発明の光学フィルタの製造は、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0390】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上記光学フィルタを有する。
固体撮像素子は、本発明の光学フィルタを備え、固体撮像素子として機能すれば特に制限されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0391】
基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコーン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコーン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の光学フィルタ(カラーフィルタ)を有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であって光学フィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(携帯電話、スマートフォン等)、車載カメラ、監視カメラ等様々な用途に使用できる。
【0392】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上記光学フィルタを有する。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0393】
<赤外線センサ>
本発明の赤外線センサは、上記光学フィルタを有する。
赤外線センサに用いる形態は、本発明の光学フィルタを備え、赤外線センサとして機能すれば特に制限されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0394】
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコーン等からなる転送電極を有する。これらフォトダイオード及び転送電極上に、フォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有する。この遮光膜上に、デバイス保護膜を有し、更にこのデバイス保護膜上に、本発明の光学フィルタを有する。さらに、デバイス保護膜上であって光学フィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【0395】
図1は、本発明の光学フィルタを備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。図1に示す赤外線センサは100、固体撮像素子110を備える。
【0396】
固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112とを組み合せて構成されている。
【0397】
赤外線カットフィルタ111は、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1,300nmの光)を遮蔽する。
【0398】
カラーフィルタ112は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0399】
赤外線透過フィルタ113と固体撮像素子110との間には、赤外線透過フィルタ113を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜114が配置されている。
【0400】
赤外線透過フィルタ113は、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタである。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1,300nmの光を透過させることが好ましい。
【0401】
カラーフィルタ112、及び赤外線透過フィルタ113の入射光h側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化膜116が形成されている。
【0402】
図1に示す形態では、樹脂膜114が配置されているが、樹脂膜114に代えて赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。
【0403】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【実施例0404】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明で不揮発分もしくは不揮発分濃度は、110℃で3時間オーブン静置後の質量残分をいう。
【0405】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0406】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶媒に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0407】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0408】
(樹脂のアミン価)
樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0409】
(水の含有量測定)
カールフィッシャー滴定装置(三菱化学社製 容量滴定式水分測定装置KF-06型)を用いて、組成物に含まれる水の含有量を測定した。
【0410】
<顔料(A)の製造>
(近赤外線吸収顔料(A-13))
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させながら反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体をトルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させた。次いで、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流させながら反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール、及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、下記化学式(17)で表される近赤外線吸収顔料(A-13)を得た。得られた近赤外線吸収顔料(A-13)50部、塩化ナトリウム500部、ジエチレングリコール60部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過、及びイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、微細化した近赤外線吸収顔料(A-13)を得た。
【0411】
化学式(17)
【化29】
【0412】
(近赤外線吸収顔料(A-14))
反応容器中で、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流させながら反応させた。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、イオン交換水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、イオン交換水4,000部からなる混合溶媒で洗浄、乾燥して、化合物aを得た。
次いで、反応容器中、濃硫酸1,500部に140部の化合物aを氷浴下にて加え、1時間攪拌を行い反応させた。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物bを得た。
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物bを少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌し反応させた。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液をイオン交換水2,000部に注入し、生成した析出物を濾過およびイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、乾燥して、下記化学式(18)で表される化合物の混合物(質量比率は、n1:n2:n3:n4=7:19:59:15)である近赤外線吸収顔料(A-14)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-13)と同様の方法で、微細化した。
【0413】
化学式(18)
【化30】
【0414】
(近赤外線吸収顔料(A-15))
国際公開第2019/058882号の記載に従い、下記化学式(19)で表される近赤外線吸収顔料(A-15)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-13)と同様の方法で、微細化した。なお、化学式(19)中、Phはフェニル基を表す。
【0415】
化学式(19)
【化31】
【0416】
(近赤外線吸収顔料(A-16))
反応容器にアニリン10.7部、ブロモベンゼン120部、及びジアザビシクロオクタン25.7部を加え、攪拌した。その後、四塩化チタンの1mol/lトルエン溶液95.2部を滴下した。滴下後、インジゴ10.0部を加え、10時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、濾過し、緑色粉末を得た。これをジクロロメタンと水で分液を行い、有機層を濃縮することで、化合物cを14.6部得た。
反応容器中で、化合物cを13.5部、ビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)を9.0部、テトラヒドロフラン120部を混合攪拌し、昇温後40℃で5時間攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール500部へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール500部で洗浄後、イオン交換水500部で複数回洗浄し、乾燥して、下記化学式(20)で表される化合物の混合物(質量比率は2量体:3量体:4量体=81:17:2)である近赤外線吸収顔料(A-16)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-13)と同様の方法で、微細化した。
【0417】
化学式(20)
【化32】
【0418】
<樹脂(B)の製造>
(樹脂(B1-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAcともいう)650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、tert-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定によりモノマーが95%以上反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、反応を行った。IRにてイソシアネート基に基づく2,270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。冷却後、不揮発分が30質量%となるようにPGMAcを添加して、樹脂(B1-1)溶液を得た。酸価68mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。
【0419】
(樹脂(B1-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、iso-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定によりモノマーが95%以上反応したことを確認した。次いで、反応容器にピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。冷却後、不揮発分が30質量%となるようPGMAcを添加して、樹脂(B1-2)溶液を得た。酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500であった。
【0420】
(樹脂(B1-3)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応容器に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、反応容器内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc50部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。冷却後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B1-3)溶液を調製した。アミン価169.8mgKOH/gであった。
【0421】
(樹脂(B1-4)溶液)
国際公開第2022/172607号の実施例A3に従って、樹脂(B1-4)を合成し、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加した。アミン価67mgKOH/g、重量平均分子量5,600であった。
【0422】
(樹脂(B2-1)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた反応容器に、100部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、カレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3-ジエチルエステル)25.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート31.2部、ジシクロペンタニルメタクリレート37.5部、メタクリル酸20.7部、及びメチルメタクリレート27.0部の混合物と、12.0部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートから反応容器中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B2-1)溶液を調整した。酸価74mgKOH/g、重量平均分子量8,000であった。
【0423】
(樹脂(B2-2)溶液)
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた反応容器にリンゴ酸ジエチル190.2部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.17部、ジラウリン酸ジブチル錫0.33部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート141.1部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させ、化合物aを得た。
次に、攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた反応容器に、150部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。化合物a148.8部、カレンズMOI-BP(昭和電工社製の2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)24.7部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート25.5部、2-エチルヘキシルアクリレート8.6部と、17.4部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を混合し、滴下ロートから反応容器に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた後、0.2部の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7を投入し、更に78℃で30分間撹拌した。
次に、無水コハク酸9.9部、ナフテン酸リチウム(触媒)0.5部を投入し、78℃で1時間撹拌した。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B2-2)溶液を調整した。酸価44mgKOH/g、重量平均分子量12,500であった。
【0424】
(樹脂(B2-3)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた反応容器に、100部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート20.7部、メタクリル酸26.7部、ジシクロペンタニルメタクリレート52.6部の混合物と、5.0部の2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを30部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートから反応容器中に滴下した。滴下終了後、90℃で6時間攪拌し反応させた。
その後、40℃まで冷却し、4-メトキシフェノール0.12部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート17.6部、トリフェニルホスフィン4.7部を投入し、110℃まで昇温させ、10時間撹拌し反応させた.
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B2-3)溶液を調整した。酸価103mgKOH/g、重量平均分子量14,300であった。
【0425】
(樹脂(B2-4)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた反応容器に、200部のPGMAcを加えた後、窒素置換しながら撹拌し、105℃まで昇温した。次に、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン106.9部、メタクリル酸40.8部、及びメチルメタクリレート125部の混合物と、27.3部の2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを加えたものを、滴下ロートから反応容器中に滴下した。滴下終了後、105℃で撹拌しながら2時間反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを加え、樹脂(B2-4)溶液を調整した。酸価99mgKOH/g、重量平均分子量7,100であった。
【0426】
(樹脂(B2-5)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた反応容器に、100部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、tert-ブチルメタクリレート35部、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート5部、N-ベンジルマレイミド10部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メタクリル酸17.1部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)2部の混合物と、0.6部のn-ドデシルメルカプタンを20部のPGMAcに混合したものをそれぞれ滴下ロートから反応容器中に滴下した。滴下終了後、30分間90℃を保持した後、115℃まで昇温し、90分間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B2-5)溶液を調整した。酸価98mgKOH/g、重量平均分子量19,500であった。
【0427】
(樹脂(B3-1)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器に、PGMAc100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート56.86部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.09部、及びスチレン31.25部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.0部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。 滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し反応させた。次に、反応容器内を空気置換し、AA28.82部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間撹拌し反応させた。
更に、テトラヒドロ無水フタル酸48.68部、トリエチルアミン0.5部を投入し、120℃で4時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B3-1)溶液を調製した。酸価77mgKOH/g、重量平均分子量10,000であった。
【0428】
<レベリング剤(C)の製造>
(ブロック共重合体(C1-1)溶液)
窒素置換した反応容器に、3-メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン15.0部、メチルエチルケトン79.0部を仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら50℃まで昇温した。次いで、2,2'-ビピリジル4.2部、塩化第一銅1.5部を仕込み、50℃で30分撹拌した。その後、2-ブロモイソ酪酸エチル2.7部を加え、窒素気流下、50℃で3時間反応させて、3-メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランの重合体であるAブロック部分を合成した。
次いで、3-メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランの重合体であるAブロックを含む反応系にポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレングリコールの平均繰り返し数4~6)35.0部加え、50℃で18時間反応させ、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレングリコールの平均繰り返し数4~6)の重合体であるBブロック部分を合成した。その後、活性アルミナ30部を加え撹拌した。ろ過後、減圧蒸留してブロック共重合体(C1-1)を得た。
その後、不揮発分が1質量%になるようにPGMAcを添加し、ブロック共重合体(C1-1)溶液を得た。重量平均分子量10,300、数平均分子量9,200であった。
【0429】
(ブロック共重合体(C1-2)~(C1-12)溶液)
表2の記載の構成・構造となるように単量体の種、量を変え、ブロック共重合体(C1-1)と同様に、ブロック共重合体(C1-2)~(C1-12)を合成し、PGMAcを添加し不揮発分を1質量%とした。
【0430】
【表2】
【0431】
表2に記載の成分は、以下の通りである。
【0432】
化学式(21)
【化33】
【0433】
化学式(22)
【化34】
【0434】
化学式(23)
【化35】
【0435】
<シランカップリング剤(H)の製造>
(シランカップリング剤(H))
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、ヒドロキシエチルアクリレートを116部仕込み、80℃に加熱した。その中に3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205部を滴下投入し、80℃にて4時間撹拌し反応させた。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、主成分が下記化学式(24)で表されるシランカップリング剤(H)を得た。なお、副成分として、化学式(24)の縮合物である2~10量体が含まれる。
【0436】
化学式(24)
【化36】
【0437】
<染料(J)の製造>
(染料(J-1))
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を備えた反応容器に、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n-ブチルメタクリレート28.0部、2-エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6.5部、及びメチルエチルケトン25.1部を均一に混合した後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブル反応容器に取り付け、2時間かけて滴下しながら反応させた。滴下終了2時間反応を継続した。その後、不揮発分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量が、6,830であることを確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで昇温し、2時間反応させた後、冷却して樹脂1を得た。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッドレッド52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂1溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌しながら反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで冷却した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッドレッド52と樹脂1との造塩化合物である染料(J-1)を得た。このとき染料(J-1)中のC.I.アシッドレッド52に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0438】
(染料(J-2))
特開平05-345861号公報の実施例30に従い、下記化学式(25)で表される化合物を得た。化学式(25)中、Etはエチル基を表す。
【0439】
化学式(25)
【化37】
【0440】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。不揮発分は21.1質量%であった。
顔料(A-1) :15.0部
顔料誘導体(K-1) : 1.0部
樹脂(B1-1)溶液 : 8.5部
樹脂(B1-2)溶液 : 8.5部
溶媒(D2-1) :67.0部
【0441】
(分散体2~16)
表3-1、及び表3-2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~16を作製した。
【0442】
【表3-1】
【0443】
【表3-2】
【0444】
表3-1、及び表3-2中に記載したそれぞれの成分は、以下の通りである。
【0445】
[顔料(A)]
A-1:C.I.ピグメントブルー15:3
A-2:C.I.ピグメントブルー15:6
A-3:C.I.ピグメントバイオレット23
A-4:C.I.ピグメントグリーン58
A-5:C.I.ピグメントグリーン36
A-6:C.I.ピグメントグリーン62
A-7:C.I.ピグメントレッド177
A-8:C.I.ピグメントイエロー138
A-9:C.I.ピグメントイエロー139
A-10:C.I.ピグメントイエロー150
A-11:C.I.ピグメントレッド264
A-12:C.I.ピグメントレッド254
【0446】
顔料(A-1)~(A-12)は、いずれもソルトミリング処理による微細化を行い、上述した特定金属量となるように十分にイオン交換水で洗浄後、十分に乾燥した上で使用した。
【0447】
[顔料誘導体(K)]
【化38】
【0448】
[溶媒(D)]
(溶媒(D2))
D2-1:PGMAc
【0449】
<組成物の製造>
[実施例1]
十分に乾燥した空気で置換した容器に、以下の原料を投入し、乾燥した空気気流下にて撹拌した。その後、水の含有量が組成物中、0.1質量%となるように水である溶媒(D1-10)の量を調整し、組成物の合計量が100部となるように溶媒(D2-1)を加え撹拌した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過して組成物1を得た。不揮発分は、15.0質量%であった。なお、表4では、分散体は各原料に分解し、各原料に含まれる溶媒は溶媒(D)として記入した。
分散体2 :1.00部
分散体5 :21.00部
分散体9 :3.00部
樹脂(B2-1)溶液 :9.77部
樹脂(B3-1)溶液 :7.33部
ブロック共重合体(C1-1)溶液 :1.00部
ブロック共重合体(C1-8)溶液 :1.00部
溶媒(D1-1) :3.00部
溶媒(D1-9) :0.30部
溶媒(D2-1) :28.00部
溶媒(D2-2) :8.00部
溶媒(D2-3) :8.00部
溶媒(D2-4) :0.30部
重合性化合物(E-1) :0.50部
重合性化合物(E-2) :2.00部
重合開始剤(F-1) :0.10部
重合開始剤(F-2) :0.05部
エポキシ基を有する化合物(G1-1) :0.40部
シランカップリング剤(H) :0.35部
チオール連鎖移動剤(I) :0.30部
紫外線吸収剤(L) :0.30部
【0450】
[実施例2~54、及び比較例1、2]
(感光性組成物2~56)
表4-1~表4-5に記載した原料、量になるように、実施例1と同様にして組成物2~56を作製した。
【0451】
【表4-1】
【0452】
【表4-2】
【0453】
【表4-3】
【0454】
【表4-4】
【0455】
【表4-5】
【0456】
【表4-6】
表4-1~表4-6に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0457】
[レベリング剤(C)]
(その他レベリング剤(C2))
C2-1:下記構造の化合物(水酸基価80mgKOH/g)の1%PGMAc溶液
【0458】
【化39】
【0459】
C2-2:BYK-330(ビックケミー社製)の1%PGMAc溶液(ブロック共重合体(C1)に含まれない)
【0460】
[溶媒(D)]
(溶媒(D1))
D1-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.6)
D1-2:プロピレングリコールモノエチルエーテル(δh=10.5)
D1-3:エチレングリコールモノブチルエーテル(δh=12.3)
D1-4:乳酸エチル(δh=12.5)
D1-5:シクロヘキサノール(δh=13.5)
D1-6:3-メトキシ-1-ブタノール(δh=13.6)
D1-7:エチレングリコールモノエチルエーテル(δh=14.3)
D1-8:乳酸メチル(δh=14.6)
D1-9:1-ブタノール(δh=15.8)
D1-10:水(δh=42.3)
【0461】
(その他溶媒(D2))
D2-1:PGMAc
D2-2:シクロヘキサノン
D2-3:3-エトキシプロピオン酸エチル
D2-4:酢酸ブチル
【0462】
[重合性化合物(E)]
E-1:CN9906(アルケマ社製、アミン構造を有する多官能アクリレート)
E-2:アロニックスM-306(東亞合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)
E-3:Miramer SP-1106(Miwon Specialty Chemical社製、平均アクリロイル基数18のデンドリマー構造を有する化合物)
E-4:ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート
【0463】
[重合開始剤(F)]
F-1:上述した(F-1)の化合物
F-2:上述した(F-2)の化合物
F-3:上述した(F-3)の化合物
F-4:下記構造の化合物
【0464】
【化40】
【0465】
[熱架橋性化合物(G)]
(エポキシ基を有する化合物(G1))
E1-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(15)で表される化合物、エポキシ基数が平均15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
【0466】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(G2))
E2-1:デュラネートMF-K60B(旭化成社製、活性メチレン化合物でブロックされた化合物)
【0467】
[チオール系連鎖移動(I)]
メルカプトこはく酸とペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)の質量比5:5の混合物
【0468】
[紫外線吸収剤(L)]
4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンの質量比5:5の混合物
【0469】
<混色評価用組成物の製造>
分散体4を24.0部、分散体8を12.0部、樹脂(B2-1)溶液を10.5部、重合性化合物(E-1)を2.5部、重合開始剤(F-1)を0.15部、チオール連鎖移動剤(I)を0.3部、シランカップリング剤(H)を0.3部、エポキシ基を有する化合物(G1)を0.4部、紫外線吸収剤(L)を0.3部、BYK-333(ビックケミー社製のシリコーン系レベリング剤)の1%PGMAc溶液2.0部、及びPGMAcを47.55部加えて、混合・攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して混色評価用組成物を得た。なお、BYK-333は、ブロック共重合体(C1)に含まれない。
【0470】
<組成物の評価>
得られた組成物1~56について、製造直後に以下の評価を行った。これを保存前の評価とする。評価結果を表5に示す。
【0471】
[保存前の塗工性評価(1)]
得られた組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、回転数1000rpm、回転時間10秒で塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。
ナトリウムランプを照射して、塗膜の状態を目視で観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:波状の塗工ムラが、観察されなかった。
4:波状の塗布ムラが、基板端面部のみで僅かに観察された。
3:波状の塗布ムラが、僅かに観察された。
2:波状の塗布ムラが、基板端面部のみではっきりと観察された。
1:波状の塗布ムラが、はっきりと観察された。
【0472】
[保存前の塗工性評価(2)]
得られた組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、回転数200rpm、回転時間10秒で塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。
光学顕微鏡を用いてハジキの発生を観察した。なお、ハジキは、ガラス基板上に組成物を塗工し乾燥した後に、塗膜表面に円形状の凹みや穴が生じる現象である。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:ハジキの個数が、3個未満であった。
4:ハジキの個数が、3個以上5未満であった。
3:ハジキの個数が、5個以上15未満であった。
2:ハジキの個数が、15個以上30未満であった。
1:ハジキの個数が、30個以上であった。
【0473】
[保存前の混色評価(1):230℃ポストベーク]
得られた組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm、100mJ/cmで露光した。この基板を23℃の非イオン系レベリング剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、クリーンオーブンで230℃30分間ポストベークし、1色のパターンを形成した。走査型電子顕微鏡を用いて、倍率2万倍で、1色目のパターン上に現像残渣がないことを確認した。
次いで、1色目のパターン形成と同様の方法で、混色評価用組成物を用いて、1色目のパターン間(パターンがない部分)に2色目のパターンを形成した。
走査型電子顕微鏡を用いて、倍率2万倍で、1色目のパターン上の現像残渣の量を測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:1.0μm四方に残渣が、観察されなかった。
4:1.0μm四方に残渣が、1~3個観察された。
3:1.0μm四方に残渣が、4~7個観察された。
2:1.0μm四方に残渣が、7~10個観察された。
1:1.0μm四方に残渣が、10個以上観察された。
【0474】
[保存前の混色評価(2):130℃ポストベーク]
ポストベーク温度を130℃に変え、保存前の混色評価(1)と同様に評価した。
【0475】
[保存後の塗工性評価、及び混色評価]
得られた組成物を別途、密閉した容器に入れ40℃で12時間放置し、次いで-10℃で12時間放置する温度昇降サイクルを10サイクル繰り返した。次いで、保存後の組成物の塗工性評価、混色評価を保存前と同様の方法で行った。これを保存後の評価とする。評価結果を表5に示す。
【0476】
【表5】
図1