(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020517
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】回転軸付きスカイビングカッタ
(51)【国際特許分類】
B23F 21/10 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
B23F21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123972
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】清水 巌真
【テーマコード(参考)】
3C025
【Fターム(参考)】
3C025EE00
(57)【要約】
【課題】従来のスカイビングカッタは、カッタとホルダーを別個に製作し、それらを組み立てて使用することからホルダー全体の剛性が小さくなり、切削材の加工精度が確保し難いという問題があった。
【解決手段】本発明の回転軸付きスカイビングカッタ100を、回転中心Oを中心として円環状に複数の加工歯1~3を有する切れ刃部10と、この切れ刃部10と連続して形成されている回転軸20と、この回転軸20に連続して形成されて回転軸20の外径D20よりも大きい直径を備えたフランジ部40と、このフランジ部40に連続して形成されて回転中心Oに直角な断面視において多角形状に形成されている把持部30と、から形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心を中心として円環状に複数の加工歯を有する切れ刃部と、前記切れ刃部と連続して形成されている回転軸と、前記回転軸に連続して形成されて前記回転軸の外径(D20)よりも大きい直径(D40)を備えたフランジ部と、前記フランジ部に連続して形成されて前記回転中心に直角な断面視において多角形状に形成されている把持部と、を有していることを特徴とする回転軸付きスカイビングカッタ。
【請求項2】
前記回転軸の外径(D20)は前記回転中心の方向に沿って一定であり、かつ前記把持部の外径(D30)は前記フランジ部に近づくにつれて大きくなることを特徴とする請求項1に記載の回転軸付きスカイビングカッタ。
【請求項3】
前記把持部には、前記回転中心の方向に沿って凹溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転軸付きスカイビングカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工により歯車を加工する回転軸付きのスカイビングカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スカイビングカッタを用いた加工、いわゆるスカイビング加工においては工具と工作機との汎用性を高めるために工具軸(スカイビングカッタの回転軸)は、特許文献1および2に開示されているように工作機側のホルダーを介してスカイビングカッタが脱着されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-148883号公報
【特許文献2】特開2019-42833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このホルダーは様々な被切削物形状に対応するため本来必要とされる軸径よりも細く設定される。その結果、ホルダー全体の剛性が小さくなり、切削加工中に振動が発生し、切削加工面のビビリやムシレが起こり、切削加工面の精度が確保し難いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明では切削加工面のビビリ振動やムシレも抑制し、同時に工作機への脱着においても簡素化されて段取り時間の大幅な短縮につながる回転軸付きスカイビングカッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転軸付きスカイビングカッタは、回転中心(中心軸)を中心として、その周囲に円環状に複数の加工歯を有している切れ刃部と、この切れ刃部と連続して形成している回転軸と、この回転軸に連続して形成されて回転軸の外径D20よりも大きい直径D40を備えているフランジ部と、このフランジ部に連続して形成されて回転中心に直角な断面視において多角形状に形成されている把持部と、を有している。
【0007】
また、回転軸の外径D20は回転中心の方向に沿って一定として、把持部の外径D30はフランジ部へ近づくにつれて大きくしても良い。さらに、この把持部に回転中心の方向に沿って凹溝をさらに形成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の回転軸付きスカイビングカッタは、従来のスカイビングカッタに対して、回転軸が一体化したことで工具自体の剛性が向上し、切削加工面へのビビリ振動や被削材のムシレも抑制できる。また、本発明の回転軸付きスカイビングカッタは加工機(工作機)への脱着においても簡素化されて、段取り時間の大幅な短縮につながった。同時に、工作機へ誤って組み込む組付けミスも改善できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の回転軸付きスカイビングカッタ100の模式図である。
【
図2】
図1に示す回転軸付きスカイビングカッタ100のA-A線断面図である。
【
図3】
図1に示す回転軸付きスカイビングカッタ100のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の回転軸付きスカイビングカッタの一実施形態について図面を用いて説明する。本発明の一実施形態である回転軸付きスカイビングカッタ100の模式図を
図1に示す。
図1に示す回転軸付きスカイビングカッタ100のA-A切断線の断面図を
図2、回転軸付きスカイビングカッタ100のB-B切断線の断面図を
図3にそれぞれ示す。
【0011】
本発明の回転軸付きスカイビングカッタ100は、
図1に示す様に回転中心Oを中心として円環状に複数の加工歯1~3を有する切れ刃部10、この切れ刃部10と連続して形成されている回転軸20、この回転軸20に連続して形成されて回転軸20の外径D20よりも大きい直径D40のフランジ部40、このフランジ部40に連続して形成されて回転中心Oに直角な断面視において多角形状に形成されている把持部30から形成されている。
【0012】
直径D40のフランジ部40の両側には、
図1に示す様に切れ刃部10側に回転軸20、切れ刃部10とは反対側に把持部30がそれぞれ一体的に形成されている。フランジ部40は、
図2に示す様に完全な円形であり、その直径D40は回転軸20の直径D20および把持部30の直径D30よりも大きい。回転軸付きスカイビングカッタ100を図示しない工作機に取り付ける際には、工作機側のホルダーとの脱着を容易にするために凹み溝や止まり穴などを設けることができる。
【0013】
回転軸20は、切れ刃部10と連続的につながり形成されている軸体であり、その外径D20が回転中心Oの方向に沿って一定である。把持部30は、回転軸付きスカイビングカッタ100を図示しない工作機に取り付ける際には、工作機側のホルダー内部に直接接触する部分であり、その断面形状は
図3に示す様に三角形(おむすび形)である。なお、断面形状は四角形や五角形などの多角形状であれば、どのような形状でも構わない。
【0014】
また、把持部30の外径D30は、
図1に示す様にフランジ部40側に近づくにつれて大きくなる。この把持部30には、工作機側のホルダー内部の形状、例えば回り止めの役割を果たすような凸部が設けられている場合には、回転中心Oの方向に沿って凹溝31を設けることができる。
【0015】
本発明の回転軸付きスカイビングカッタは、回転中心を中心として円環状に複数の加工歯を有する切れ刃部、切れ刃部と連続して形成されている回転軸、回転軸に連続して形成されて回転軸の外径よりも大きい直径D40を備えたフランジ部、フランジ部に連続して形成されて回転中心に直角な断面視において多角形状に形成されている把持部から構成する。
【0016】
以上の構成より、回転軸付きスカイビングカッタは、回転軸が一体化したことで工具自体の剛性が向上し、切削加工面へのビビリ振動や被削材のムシレも抑制できる。また、加工機(工作機)への脱着においても簡素化されて、段取り時間の大幅な短縮につながる。
【符号の説明】
【0017】
1~3 加工歯
10 切れ刃部
20 回転軸
30 把持部
31 凹溝
40 フランジ部
100 回転軸付きスカイビングカッタ
D20 回転軸の直径
D30 把持部の外径
D40 フランジ部の直径
O 回転中心