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特開2025-2053金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体
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  • 特開-金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体 図1
  • 特開-金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002053
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241226BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101966
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】恒川 智朗
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BB031
4J002DA078
4J002DA096
4J002DE116
4J002DJ016
4J002EN057
4J002EU028
4J002EU179
4J002FA016
4J002FB076
4J002FD059
4J002FD096
4J002FD097
4J002FD098
4J002GC00
4J002GH00
4J002GH01
(57)【要約】
【課題】 輝度が高い金属光沢色が視点を移動させることによって異なる色の輝度が高い金属光沢色として視認できると共に、温度変化による色変化が相まって、多彩な様相変化を視認できる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形体を提供する。
【解決手段】 可逆熱変色性組成物と、光輝性顔料と、着色顔料と、成形用樹脂とからなり、前記光輝性顔料は扁平状アルミニウムの表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料、または、扁平状二酸化ケイ素の表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料であり、前記光輝性顔料中の鉄元素の質量が、アルミニウム元素またはケイ素元素100質量部に対して5~400質量部である金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物と、光輝性顔料と、着色顔料と、成形用樹脂とからなり、前記光輝性顔料は扁平状アルミニウムの表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料、または、扁平状二酸化ケイ素の表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料であり、前記光輝性顔料中の鉄元素の質量が、アルミニウム元素またはケイ素元素100質量部に対して5~400質量部であることを特徴とする金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項2】
前記着色顔料が青色顔料を含んでなる請求項1記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項3】
前記光輝性顔料のアルミニウムと酸化鉄の間に二酸化ケイ素を含む反射層を設けてなる請求項1又は2記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項4】
前記光輝性顔料中のケイ素元素の質量がアルミニウム元素100質量部に対して5~50質量部である請求項3記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2記載の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物を使用して射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形の何れかにより成形された金属光沢調熱変色性成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は。金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体に関する。更に詳細には、光輝性に富む金属光沢色が視認する角度により変化すると共に、温度変化による色変化を発現させ、両者の織りなす多彩な様相を視認できる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体に関して、本出願人による提案が既に開示されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
前記提案は金属光沢色が視認されている状態で視点を移動させることにより、異なる色の金属光沢に変化すると共に、可逆熱変色性組成物の変色によって、より多彩な様相変化を示すため、示温分野は勿論、装飾、玩具等、多様な分野に適用性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-128933号公報
【特許文献2】特開2004-231689号公報
【特許文献3】特開2004-346258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、この種の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体の視覚効果について更に追求し、輝度が高い金属光沢色が視覚されている状態で視点を移動させることによって、異なる色の輝度が高い金属光沢色を呈すると共に、可逆熱変色性組成物の変色によって、より多彩な色変化を呈することのできる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた金属光沢調熱変色性成形体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物と、光輝性顔料と、着色顔料と、成形用樹脂とからなり、前記光輝性顔料は扁平状アルミニウムの表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料、または、扁平状二酸化ケイ素の表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料であり、前記光輝性顔料中の鉄元素の質量が、アルミニウム元素またはケイ素元素100質量部に対して5~400質量部である金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物を要件とする。
更には、前記着色顔料が青色顔料を含んでなること、前記光輝性顔料のアルミニウムと酸化鉄の間に二酸化ケイ素を含む反射層を設けてなること、前記光輝性顔料中のケイ素元素の質量がアルミニウム元素100質量部に対して5~50質量部であること等を要件とする。
更には、前記委金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物を使用して射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形の何れかにより成形された金属光沢調熱変色性成形体を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、輝度が高い金属光沢色が視点を移動させることによって異なる色の輝度が高い金属光沢色として視認できると共に、温度変化による色変化が相まって、多彩な様相変化を視認できる金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形体を提供でき、玩具要素、装飾要素等、多様な分野に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者は、可逆熱変色性組成物と、特定の光輝性顔料と、着色顔料とを成形用樹脂中に含有させることによって、可逆熱変色性組成物の温度変化による色変化に加えて、輝度が高い金属光沢色の視認角度による色変化を備え、これらの色変化を連動することにより、多彩な様相変化を現出させることができる金属光沢調熱変色性成形用組成物が得られることを見いだした。
【0009】
前記可逆熱変色性組成物は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が1~7℃の比較的小さい特性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
【0010】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報、特開2008-280523号公報等に記載されているヒステリシス幅(ΔH)が8℃~80℃の比較的大きい特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t~tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
【0011】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0012】
以下に可逆熱変色性組成物に含まれる(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0013】
前記(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
前記電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群及びその誘導体、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物及びその誘導体としては、例えばフェノール性水酸基を有する化合物及びその金属塩、カルボン酸及びその金属塩、好ましくは、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、並びにアゾ-ル系化合物及びその誘導体、1、2、3-トリアゾール及びその誘導体が挙げられ、これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更にビス型、トリス型フェノール等およびフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等が挙げられる。
前記活性プロトンを有する化合物の金属塩が含む金属としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛およびモリブデン等が挙げられる。
【0014】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0015】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記(ハ)成分を用いて後述するマイクロカプセル化、二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散し易いので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0016】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0017】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0018】
更に、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0019】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0020】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0021】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0022】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0023】
また、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1~3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
【化2】
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0024】
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0025】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0026】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0027】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0028】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0029】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数3乃至18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0030】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0031】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【化10】
(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数6乃至11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル基、炭素数3乃至18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0032】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【化11】
(式中、Rは炭素数3乃至8のシクロアルキル基又は炭素数4乃至9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0033】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【化12】
(式中、Rは炭素数3乃至17のアルキル基、炭素数3乃至8のシクロアルキル基、炭素数5乃至8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0034】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(図3参照)。
【0035】
前記可逆熱変色性組成物の各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分1~800、好ましくは5~200、より好ましくは10~100の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0036】
更に、各種光安定剤を必要により添加することができる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で含有される。又、前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0037】
前記可逆熱変色性組成物は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散したり、或いは、マイクロカプセルに内包することによって可逆熱変色性顔料として用いることができる。
なお、マイクロカプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1~1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1~1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成できる。
【0038】
前記光輝性顔料は、扁平状アルミニウムの表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料、または、扁平状二酸化ケイ素の表面を酸化鉄で被覆した光輝性顔料であり、光輝性顔料中の鉄元素の質量が、アルミニウム元素またはケイ素元素100質量部に対して5~400質量部、好ましくは10~350質量部、より好ましくは15~300質量部である。
鉄元素の質量が400質量部を超えると、扁平形状が損なわれて色や輝度の変化性に乏しくなり、5質量部未満では、強度が低下して成形時に、顔料が割れ易くなる。
なお、酸化鉄被覆アルミニウム中のアルミニウム元素と鉄元素との含有量の比率、或いは、酸化鉄被覆二酸化ケイ素中のケイ素元素と鉄元素との含有量の比率は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(島津製作所社製、EDX-720)を用いて、炭素をバランス元素として設定し、ファンダメンタル・パラメータ法(FP法)による定量分析にて、アルミニウム元素および鉄元素の含有量、ケイ素元素と鉄元素の含有量を定量する。
【0039】
前記光輝性顔料の平均粒子径は1~70μm、好ましくは5~40μm、より好ましくは10~20μmである。
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により50個の顔料表面を観察して最大径を粒子径とし、その平均値を平均粒子径とする。なお、粒子の最大径は、画像解析ソフトを用いて求めてもよい。
前記光輝性顔料の平均厚みは、1~3500nm、好ましくは1~2000nm、より好ましくは2~1000nmである。
なお、平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)により20個の顔料断面を観察して厚みを測定し、その平均値を平均厚みとする。
前記光輝性顔料のアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、20~5000、好ましくは25~3000、より好ましくは30~2000である。
【0040】
前記着色顔料は、成形用樹脂組成物、樹脂成形体を着色する顔料であって光輝性顔料の色に応じて適宜選択される。
例えば、黄色乃至赤色の光輝性顔料を用いる場合は、着色顔料の色として、光輝性顔料が呈する色の補色、補色に近似する色の着色顔料を用いると色変化が大きくなる。
着色顔料としては青色顔料が好適であり、フタロシアニン系顔料やキナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料等の有機顔料、酸化ビスマスバナジウム等の複合酸化物や群青、コバルトブルー等の無機顔料が挙げられる。そのうち、着色性と透明性の観点からフタロシアニン系顔料が好ましい。
着色顔料は、青色顔料以外の顔料を含んでいてもよく、アゾ系顔料やイソインドリノン系顔料等の有機顔料、複合酸化物や酸化チタン、弁柄、丹等の無機顔料が挙げられる。
前記着色顔料の平均粒子径は、0.01~2μm、好ましくは0.01~1.5μm、より好ましくは0.02~1μmであり、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により50個の顔料を観察して最大径を粒子径とし、その平均値を平均粒子径とする。なお、粒子の最大径は、画像解析ソフトを用いて求めてもよい。
【0041】
前記光輝性顔料は扁平状の粒子であり、樹脂成形体中は複数の扁平状粒子の扁平な面が一方向を向き易い(以下、配向と称する)。そして、扁平状粒子の扁平な面側は視認される粒子の面積が広く、その面(正面)から樹脂成形体を視認した場合、扁平状粒子の色および着色顔料の色の双方が視認され、これらが混色となった色が視認される。これと同時に扁平状粒子の金属光沢も視認される。
一方、扁平状粒子の正面に対して斜め方向から樹脂成形体を視認した場合、扁平状粒子の面積が小さくなるため、扁平状粒子の色や金属光沢が減少し、着色顔料の色がより強く視認される。よって、樹脂成形体は、視認する角度によって、輝度や色が大きく変化する。
また、樹脂成形体の透明性によっても輝度や色が大きく変化し、透明性が低い部分は光輝性顔料の色が視認され易く、透明性が高い部分は着色顔料の色が視認され易くなる。
前述の輝度や色が大きく変化する状態で可逆熱変色性組成物による色変化も相まって、より多彩な光輝性や色変化を視認することができる。
【0042】
前記成形用樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が適宜、目的に応じて適用される。
熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、フッ素樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-アクリル酸エステル-スチレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂-塩化ビニルグラフト共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、石油系炭化水素樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリブテン、クマロン-インデン共重合物、フェノキシプラスチック等の熱可塑性樹脂。
エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシアクリレート、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸)、ポリウレタン、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0043】
更に、本発明の成形用樹脂組成物には、必要に応じて各種光安定剤を添加することができる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、0.3~24重量%、好ましくは0.8~16重量%の割合で含有される。
前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は、酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
尚、前記光安定剤は可逆熱変色性組成物と共にマイクロカプセルに内包してもよいし、マイクロカプセルに内包すると共に、成形用樹脂中にも添加することができる。
【0044】
前記成形体が適用される分野としては、被服、玩具、造花、文房具、日用品、台所用品、化粧用具、運動用具、屋内装飾品等が挙げられる。
【0045】
本発明の金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物は通常ペレットの形態に加工されており、各種成形機によりフイルム、シート、板、棒、パイプ、フィラメント、その他各種形状の造形物の成形に用いられる。成形用樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合は、カレンダロール加工又はインフレーション加工によってフィルムを成形することができる。又、押出成形機により板状体、棒状体、パイプ、フィラメント等を成形することができる。
又、射出成形により種々の形態の造形物を成形することができ、例えば、乗物玩具、人形等の玩具形象の造形物、生活関連用品、運動具、各種屋内装置品等が挙げられ、更に、前記造形物の部品を成形することもできる。
メルトスピニング等により得たフィラメントは、織物や編物に用いられるだけでなく、植毛に用いることもできる。
熱硬化性樹脂を適用する系では、所定形状寸法の金型に充填することにより、種々の成形体を成形することができる。
前記のようにして得られる金属光沢調熱変色性成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の変色性を示す。
【実施例0046】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の部は質量部である。
【0047】
実施例1
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
赤色の扁平状酸化鉄被覆アルミニウム粒子(平均粒子径16μm、平均厚み300nm、アスペクト比53、粒子が含む鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して160質量部)30部、青色顔料(フタロシアニンブルー AE-08)4部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点119℃の高密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成型し、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-アニリノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′-(2-メチル-プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、15℃以下で黒色、32℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって紫色乃至赤色の金属光沢色と青色が視覚される。また、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって紫色乃至赤色の金属光沢色が視覚される。また、15~32℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
【0048】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、ブロー成形機によりシリンダー温度175℃の条件で厚さ約2mm、外径5cmの金属光沢調熱変色性球体を成形した。
前記球体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであった。
【0049】
実施例2
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
橙色の扁平状酸化鉄被覆アルミニウム粒子(平均粒子径19μm、平均厚み170nm、アスペクト比が112、粒子が含む鉄元素の量はアルミニウム元素の量100質量部に対して24質量部)30部、青色顔料4部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点119℃の高密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成型し、常法により金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-アニリノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオラン3部、4,4′-(2-メチル-プロピリデン)ビスフェノール6部、ステアリン酸ネオペンチル50部なる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、15℃以下で黒色、32℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、32℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって緑色乃至橙色の金属光沢色と青色が視覚される。また、15℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって緑色乃至橙色の金属光沢色が視覚される。また、15~32℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
【0050】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、ブロー成形機によりシリンダー温度175℃の条件で厚さ約2mm、外径5cmの金属光沢調熱変色性球体を成形した。
前記球体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであった。
【0051】
実施例3
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物の作成
黄色の扁平状酸化鉄被覆アルミニウム粒子(平均粒子径16μm、平均厚み150nm、アスペクト比が107、粒子が含む鉄元素の量はアルミニウム元素の量100質量部に対して19質量部)40部、青色顔料3部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて常法により金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン3部、4,4′-(2-メチル-プロピリデン)ビスフェノール6部、カプリン酸ステアリル25部、セチルアルコール25部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、25℃以下で黒色、35℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、35℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって緑色乃至黄色の金属光沢色と青色が視覚される。また、25℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって緑色乃至黄色の金属光沢色が視覚される。また、25~35℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
【0052】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機によりミニチュアカー形態の金属光沢調熱変色性成形体を作成した。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであり、とりわけ樹脂の厚みが薄い(透明性が高い)箇所は着色顔料の青色が強調されて視認された。
【0053】
実施例4
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物Dの作成
濃赤色の扁平状酸化鉄被覆アルミニウム粒子(平均粒子径16μm、平均厚み320nm、アスペクト比が50、粒子が含む鉄元素の量はアルミニウム元素の量100質量部に対して357質量部)30部、青色顔料2部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点105℃のリニア低密度ポリエチレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて、常法により2~3mmの金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン3部、4,4′-(2-メチル-プロピリデン)ビスフェノール6部、カプリン酸ステアリル25部、セチルアルコール25部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、25℃以下で黒色、35℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、35℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって濃紫色乃至濃赤色の金属光沢色と青色が視覚される。また、25℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって濃紫色乃至濃赤色の金属光沢色が視覚される。また、25~35℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
【0054】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、押出成形機によりシリンダー温度180℃の条件でシート成形を行ない、厚さ約1mmの金属光沢調熱変色性シートを得た。
前記シートは、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであった。
【0055】
実施例5
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物Eの作成
薄黄色の扁平状酸化鉄被覆アルミニウム粒子(平均粒子径16μmであり、平均厚み140nm、アスペクト比が114、粒子が含む鉄元素の量はアルミニウム元素の量100質量部に対して10質量部)40部、青色顔料3部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、エポキシ樹脂700部、及びアミン系硬化剤250部を均一に混合して金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を作成した。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン3部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6部、パルミチン酸n-ノニル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、18℃以下で黒色、30℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、30℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって緑色乃至黄色の金属光沢色と青色が視覚される。また、18℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって緑色乃至黄色の金属光沢色が視覚される。また、18~30℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
【0056】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットをハート型の注型用型に注ぎ、70℃で1時間硬化させて、ハート型の金属光沢調熱変色性成形体を得た。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであり、とりわけ樹脂の厚みが薄い(透明性が高い)箇所は着色顔料の青色が強調されて視認された。
【0057】
実施例6
金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物Fの作成
赤色の扁平状酸化鉄被覆二酸化ケイ素粒子20部、青色顔料3部、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料20部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を使用して、シリンダー温度165℃、ゲート温度160℃の条件で成形し、常法により金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン3部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6部、パルミチン酸n-ノニル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した、18℃以下で黒色、30℃以上で無色に色変化する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である。
前記成形用樹脂組成物は、30℃以上に加温すると、可逆熱変色性組成物が消色し、視認する角度によって紫色乃至赤色の金属光沢色と青色が視覚される。また、18℃以下では、可逆熱変色性組成物が黒色に発色し、視認する角度によって紫色乃至赤色の金属光沢色が視覚される。また、18~30℃の範囲においては、可逆熱変色性組成物が消色した状態と発色した状態を択一的に視認することができる。
【0058】
金属光沢調熱変色性成形体の作成
前記ペレットを使用し、射出成形機によりミニチュアカー形態の金属光沢調熱変色性成形体を作成した。
前記成形体は、金属光沢調熱変色性成形用樹脂組成物と同様の色変化を呈するものであり、とりわけ樹脂の厚みが薄い(透明性が高い)箇所は着色顔料の青色が強調されて視認された。
【符号の説明】
【0059】
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
図1
図2
図3