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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020553
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20250205BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124013
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】小口 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB44
5L030BB56
5L030BB63
5L049BB44
5L049BB56
5L049BB63
(57)【要約】
【課題】店舗内において有効期限を有する商品の情報を、店舗の従業員が必要な行動を行うことを可能とするように表示させる。
【解決手段】本発明のある態様は、店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報を記憶する記憶部と、在庫情報に基づき、表示用データを生成する生成部と、表示部と、表示用データに基づいて表示部に情報を表示させる表示制御部と、を備えた情報処理システムである。表示制御部は、店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示させ、複数のレベルのいずれかが選択された場合に、第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示させ、あるいは複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報を記憶する記憶部と、
前記在庫情報に基づき、表示用データを生成する生成部と、
表示部と、
前記表示用データに基づいて前記表示部に情報を表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示させ、
前記複数のレベルのいずれかが選択された場合に、前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示させ、あるいは前記複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記第2情報は、前記複数の商品の各々の原価の情報である、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記第2情報は、前記複数の商品の各々の原価に数量を乗じた値である、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記店舗内に存在する各商品の前記店舗内の位置に関する情報を記憶し、
前記表示制御部は、前記複数の商品又は前記一部の商品の各々の前記店舗内の位置を表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、現在の前記店舗の従業者数に関する情報を取得し、前記複数の商品の中から抽出して表示させる商品の数を特定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記複数のレベルの各々に対応付けられた商品の総数、及び/又は、各レベルに対応付けられた各商品の原価に数量を乗じた値の合計値を表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項7】
前記記憶部は、複数の店舗の各々について前記在庫情報を記憶し、
前記表示制御部は、各店舗内に存在する商品を対象として、前記第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を、前記複数の店舗の間で比較可能に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項8】
店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報に基づき、表示用データを生成するステップと、
前記表示用データに基づき、前記店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示するステップと、
前記複数のレベルのいずれかが選択された場合に、前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示し、あるいは前記複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の在庫管理のための情報処理システム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売業において店舗における商品の在庫管理を行うための在庫管理システムが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1に記載された在庫管理システムでは、仕入先別に商品の画像を有する一つの商品表示欄に対して、商品の価格欄、商品の仕入履歴欄、特定店舗の在庫欄、複数の小売店舗の売上数量及び在庫数量を表示する各店舗状況欄を対応させた商品ごとの在庫表示群を対比可能に同一形式で並列させた在庫一覧表を生成し、表示するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-28768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の在庫管理システムでは商品の有効期限が管理されていないが、食品等を扱う小売業では、商品の有効期限(消費期限や賞味期限等)を考慮して効率的に商品の在庫管理を行うことが必要である。例えば、食品等を販売する店舗では、消費期限に近い商品を早く売り切らなければならないため、当該商品に値下げラベルを貼付したり、当該商品をより目立つ場所に売り場を移動させて販売を促進したりすることが必要となる。そのため、商品の有効期限に応じて店舗の従業員が商品に対して必要な行動を行うことを可能とする商品在庫の表示方法が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、店舗内において有効期限を有する商品の情報を、店舗の従業員が必要な行動を行うことを可能とするように表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、
店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報を記憶する記憶部と、
前記在庫情報に基づき、表示用データを生成する生成部と、
表示部と、
前記表示用データに基づいて前記表示部に情報を表示させる表示制御部と、を備えた情報処理システムである。
前記表示制御部は、
前記店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示させ、
前記複数のレベルのいずれかが選択された場合に、前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示させ、あるいは前記複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、店舗内において有効期限を有する商品の情報を、店舗の従業員が必要な行動を行うことを可能とするように表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の在庫管理システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図2】一実施形態の在庫管理システムにおいて発行されるラベルを例示する図である。
図3】商品在庫データベースのデータ構成例を示す図である。
図4】一実施形態の在庫管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態の在庫管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図6】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
図7】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
図8】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
図9】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
図10】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
図11】店内端末にインストールされる在庫管理アプリケーションの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0010】
本発明のある態様の第1の態様は、店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報を記憶する記憶部と、
前記在庫情報に基づき、表示用データを生成する生成部と、
表示部と、
前記表示用データに基づいて前記表示部に情報を表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示させ、
前記複数のレベルのいずれかが選択された場合に、前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示させ、あるいは前記複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示させる、情報処理システムである。
【0011】
本開示において、商品の「有効期限」とは、利用者が当該商品を使用可能、賞味可能、又は、消費可能であるか否かの指標を示す情報である。有効期限の例としては、使用期限、賞味期限、消費期限、品質保証期限等が挙げられる。
【0012】
本発明のある態様の第1の態様によれば、店舗内の商品の在庫状況の概要を可視化できるとともに、消費期限とは異なる指標で商品を順序付け、あるいは抽出して可視化するため、特定の商品に対して従業員が必要な行動をとることができる。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様は、前記第2情報が前記複数の商品の各々の原価の情報である、前記第1の態様に記載の情報処理システムである。
【0014】
本発明のある態様の第2の態様によれば、表示される複数の商品が商品の原価によって並べ替えられ、あるいは一部の商品が商品の原価を基に抽出されるため、店舗にとって影響が大きい商品を店舗の従業員が直ちに認識できる。
【0015】
本発明のある態様の第3の態様は、前記第2情報が前記複数の商品の各々の原価に数量を乗じた値である、前記第1の態様に記載の情報処理システムである。
【0016】
本発明のある態様の第3の態様によれば、商品の原価に数量を乗じた値(コスト)によって表示される複数の商品が並べ替えられ、あるいは一部の商品がコストを基に抽出されるため、店舗にとって影響が大きい商品を店舗の従業員が直ちに認識できる。
【0017】
本発明のある態様の第4の態様は、前記記憶部が、前記店舗内に存在する各商品の前記店舗内の位置に関する情報を記憶し、前記表示制御部は、前記複数の商品又は前記一部の商品の各々の前記店舗内の位置を表示させる、前記第1から第3の態様のいずれか一つに記載の情報処理システムである。
【0018】
本発明のある態様の第4の態様によれば、表示される各商品の店舗内の位置がわかるため、店舗の従業員が、表示される商品にアクセスしやすくなる。
【0019】
本発明のある態様の第5の態様は、前記表示制御部が、現在の前記店舗の従業者数に関する情報を取得し、前記複数の商品の中から抽出して表示させる商品の数を特定する、前記第1から第4の態様のいずれか一つに記載の情報処理システムである。
【0020】
本発明のある態様の第5の態様によれば、現在の店舗の従業員数で処理可能な数の商品が表示されるため、従業員に過剰な作業負荷が生じないようにすることができる。
【0021】
本発明のある態様の第6の態様は、前記表示制御部が、前記複数のレベルの各々に対応付けられた商品の総数、及び/又は、各レベルに対応付けられた各商品の原価に数量を乗じた値の合計値を表示させる、前記第1から第5の態様のいずれか一つに記載の情報処理システムである。
【0022】
本発明のある態様の第6の態様によれば、従業員が、複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数やコストを概観することができる。
【0023】
本発明のある態様の第7の態様は、前記記憶部が、複数の店舗の各々について前記在庫情報を記憶し、前記表示制御部は、各店舗内に存在する商品を対象として、前記第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を、前記複数の店舗の間で比較可能に表示させる、前記第1から第6の態様のいずれか一つに記載の情報処理システムである。
【0024】
本発明のある態様の第7の態様によれば、複数の店舗を管理する管理者が、店舗間の良し悪しを評価可能となる。
【0025】
本発明のある態様の第8の態様は、前記表示制御部が、店舗内に存在する商品のうち少なくともいずれかの商品に対応付けられた期間に関する情報、又は店舗内に存在する商品の販売実績に基づく情報のいずれかを取得し、前記複数の商品の中から抽出して商品を表示させる、第1から第7の態様のいずれかに記載された情報処理システムである。
【0026】
本発明のある態様の第8の態様によれば、例えば、特定の商品に対する販促イベントや過去の販売実績、若しくは販売予測に基づいて商品が表示されるため、店舗の従業員が店舗の商品に対して現在の状況に応じた適切な行動をとることができる。
【0027】
本発明のある態様の第9の態様は、前記店舗の従業者が所持する通信端末を含み、
前記クライアント端末は、前記複数のレベルのうち所定のレベルに対応付けられた商品に関する情報を前記通信端末に通知する、第1から第8の態様のいずれかに記載された情報処理システムである。
【0028】
本発明のある態様の第9の態様によれば、所定のレベルに対応付けられた商品に関する情報を店舗内の現場にいる従業員に通知するため、従業員が直ちに商品に対して必要な行動を行うことができる。
【0029】
本発明のある態様の第10の態様は、店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報に基づき、表示用データを生成するステップと、
前記表示用データに基づき、前記店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数のレベルの各々に対応付けられた商品の数を表示するステップと、
前記複数のレベルのいずれかが選択された場合に、前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択されたレベルに対応する複数の商品を順序付けて表示し、あるいは前記複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示するステップと、を含む情報処理方法である。
【0030】
本発明のある態様の第10の態様によれば、店舗内の商品の在庫状況の概要を可視化できるとともに、消費期限とは異なる指標で商品を順序付け、あるいは抽出して可視化するため、特定の商品に対して従業員が必要な行動をとることができる。
【0031】
以下、図面を参照して、情報処理システムの一実施形態である在庫管理システムについて説明する。
先ず、図1を参照して、一実施形態の在庫管理システム1のシステム構成を説明する。
在庫管理システム1は、店舗に存在する商品の在庫情報を概ね実時間で管理するように構成されている。この例では、店舗は、食品や飲料等を扱うスーパーマーケット等の小売業である。
商品の在庫情報とは、店舗内に存在する各商品について、SKU(Stock Keeping Unit)単位での原価、数量、及び消費期限(有効期限の一例)の情報を含む。SKUとは、商品の受発注や在庫管理を行うときの最小の管理単位である。以下の説明で「商品」について言及するときには、個々の商品ではなくSKU単位での商品をいう。例えば6個入りの単品商品を含む1箱の商品がSKUである場合、「商品」は当該1箱の商品を意味する。
【0032】
図1では、在庫管理システム1において単一の店舗に存在する商品の在庫情報が管理される場合を示しているが、その限りではない。在庫管理システム1は、複数の店舗の各々に存在する商品の在庫情報を管理することができる。
図1に示すように、在庫管理システム1は、主として店舗内に配置される店内端末3、プリンタ8、ハンディターミナル6、及びレジスタ端末7と、店舗外に配置され得る在庫管理サーバ2、POSサーバ4、及び店舗サーバ5と、を含む。店舗サーバ5は、外部の取引先サーバ9とネットワークを介して通信可能である。
店内端末3、POSサーバ4、店舗サーバ5、ハンディターミナル6、レジスタ端末7、及び、プリンタ8は、店舗のLANによって通信可能に接続されている。
【0033】
店舗に入ってくる商品として、店舗の取引先(取引会社や卸等)から店舗に仕入れられる仕入れ商品や、総菜や弁当等、店舗内で調理される商品(店内調理商品)がある。仕入れ商品及び店内調理商品はSKU単位であり、それぞれ商品コード、及び消費期限の情報(消費期限情報)が関連付けられている。商品コードは、商品を一意に特定するための識別情報であり、SKUに対して付される情報である。仕入れ商品及び店内調理商品は、店舗に入庫される商品であるため、以下の説明では適宜、「入庫商品」と総称する。
以下の説明では、商品コードと消費期限情報を含むデータを適宜、「商品データ」という。また、以下の説明では、「ユニット数」とは、SKU単位(つまり商品コード単位)での商品の数を意味する。同一の商品コードであっても消費期限が異なる商品があり得るため、同一の商品コードであっても商品のユニット数は、異なる消費期限ごとに計数される。
【0034】
他方、店舗から出ていく商品として、来店者によって購入された商品(販売済商品)や、消費期限が過ぎたために棚下げにより廃棄される商品(廃棄商品)がある。販売済商品及び破棄商品はSKU単位であり、それぞれ商品コード、及び消費期限情報が関連付けられている。販売済商品及び廃棄商品は、店舗から出庫される商品であるため、以下の説明では適宜、「出庫商品」と総称する。
【0035】
商品コード及び消費期限情報は、商品又は商品の包装若しくはラベルに付されるコード情報に含まれる。このコード情報の例として、GS1データマトリックス(二次元コード)やCODE128(一次元コード)が挙げられる。GS1データマトリックスやCODE128を含むラベルを各商品(SKU)に貼付するために、仕入れ商品が入庫される前に物流センターで貼付ロボット等を利用したラベルの一括自動貼り付けを行ってもよい。店内調理商品に対しては、店舗内のプリンタ8によってGS1データマトリックスやCODE128を含むラベルが発行され、当該ラベルが従業員によって店内調理商品に貼り付けられる。
【0036】
図2に、店内調理商品に対して発行されて貼付されるラベルを例示する。
図2では、商品Pに対して貼付されるラベルPLには、コード情報C1が印字されている。このコード情報C1はGS1データマトリックスであり、商品Pの商品コード及び消費期限情報が含まれる。
【0037】
再度図1を参照すると、プリンタ8は、店内調理商品に貼付するラベルを発行し、店舗サーバ5と通信可能である。プリンタ8は、店内調理商品の商品コード及び消費期限情報を含む商品データを店舗サーバ5に送信する。
レジスタ端末7は、店舗内の商品を来店者が購入するときに商品の精算を行う情報処理端末であり、POSサーバ4と通信可能である。レジスタ端末7は、販売済商品の商品コード及び消費期限情報からなる商品データを含む売上げデータをPOSサーバ4に送信する。なお、レジスタ端末7は、従業員が操作を行う通常の端末であってもよいし、来店者が自身で操作を行う、いわゆるセルフレジ用の端末であってもよい。
【0038】
ハンディターミナル6は、売り場で作業する従業員が所持する通信端末であり、店舗サーバ5と通信可能である。ハンディターミナル6は、廃棄商品の商品コード及び消費期限情報を含む商品データを店舗サーバ5に送信する。従業員は、消費期限が過ぎた商品の棚下げを行う際に、ハンディターミナル6を使用して当該商品(廃棄商品)に貼付されているラベルに印字されたコード情報をスキャンする操作を行う。それにより、ハンディターミナル6は、廃棄商品のコード情報に含まれる商品データ(商品コード及び消費期限情報)を店舗サーバ5に送信する。
【0039】
図1に示すように、在庫管理サーバ2、POSサーバ4、及び、店舗サーバ5は、必ずしも店舗内に配置される必要はない。
POSサーバ4は、レジスタ端末7から受信する売上げデータを店舗の売上げデータベースに集計するとともに、売上げデータに含まれる販売済商品の商品データとユニット数の情報とを在庫管理サーバ2に提供する。
【0040】
店舗サーバ5は、取引先サーバ9から仕入れ商品に対するASN(Advanced Shipping Notice)情報を受信する。ASN情報は、取引先から店舗に対する商品の納入に先立って取引先サーバ9から店舗サーバ5に送信される。ASN情報には、発注番号、商品コード、商品の入庫数量(SKUのユニット数)、及び、消費期限情報が含まれる。つまり、ASN情報には、仕入れ商品の商品データと、仕入れ商品のユニット数の情報とが含まれる。なお、取引先サーバ9から受信する情報はASN情報に限られず、取引先から店舗に対する仕入れ商品の内容を示すものであれば如何なる情報であってもよい。
店舗サーバ5は、プリンタ8から店内調理商品の商品データ(商品コード及び消費期限情報)と発行したラベル枚数の情報をプリンタ8が店内調理商品用のラベルを発行する際に受信する。ここで、発行したラベル枚数は、商品のユニット数と同一視できる。
店舗サーバ5は、ハンディターミナル6により廃棄商品に対するスキャン操作が行われる度に、ハンディターミナル6から廃棄商品の1ユニットごとの商品データ(商品コード及び消費期限情報)を受信する。
店舗サーバ5は、仕入れ商品及び店内調理商品の商品データとユニット数の情報とを在庫管理サーバ2に提供する。
【0041】
店舗サーバ5は、店舗内の商品の商品コードと原価が関連付けられた原価データベースを記憶する。
図3に原価データベースのデータ構成例を示す。図3に示す例では、原価データベースの各レコードは、「商品コード」、「商品名称」、及び「原価」の各フィールドの値が関連付けられている。
ここで「原価」とは、仕入れ商品の場合には店舗の商品の仕入れ価格を意味し、店内調理商品の場合には商品を完成させるために要した材料費や調理費等を加味した原価を意味する。
【0042】
在庫管理サーバ2は、POSサーバ4から販売済商品の商品データとユニット数の情報を取得し、店舗サーバ5から仕入れ商品、店内調理商品、及び廃棄商品の商品データとユニット数の情報を取得する。つまり、在庫管理サーバ2は、入庫商品と出庫商品の各々の商品データとユニット数の情報を逐次取得しており、入庫商品のデータから出庫商品のデータを差し引きすることで店舗に存在する商品の在庫情報を管理している。
【0043】
一実施形態では、在庫管理サーバ2は、商品在庫データベース(在庫情報の一例)によって店舗に存在する商品の在庫情報を管理する。図3に商品在庫データベースのデータ構成例を示す。
図3に示す例では、商品在庫データベースの各レコードは、「商品コード」、「消費期限」、「商品名称」、「原価」、及び「ユニット数」の各フィールドの値が関連付けられている。各レコードが1つのSKU(つまり、1つの商品コード)に対応している。同一の商品コードの商品であっても消費期限が異なる場合には異なるレコードで記録される。
例えば「消費期限」フィールドの値が「202308131000」である場合、消費期限が2023年8月13日10時であることを意味する。在庫管理サーバ2は、「原価」及び「商品名称」の各フィールドの値を、店舗サーバ5の原価データベースを参照して決定する。
【0044】
再度図1を参照すると、店内端末3は、例えば店内オフィスにおいて従業員によって操作される情報処理端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、あるいはスマートフォン等である。
店内端末3には、店舗内の商品の在庫情報を閲覧するための在庫管理アプリケーション(以下、適宜「在庫管理アプリ」と略称する。)がインストールされている。店舗の従業員は、店内端末3を操作することで店舗内の商品の在庫情報を概ね実時間で閲覧できる。
店内端末3の在庫管理アプリは、在庫管理サーバ2との間でクライアントサーバモデルを構成する。店内端末3の在庫管理アプリは在庫管理サーバ2に対して在庫情報の表示要求を行い、在庫管理サーバ2は表示要求に応じて表示用データを店内端末3の在庫管理アプリに提供する。
【0045】
次に、図4を参照して、本実施形態の在庫管理システム1内の各装置の構成について説明する。図4は、本実施形態の在庫管理システム1の内部構成を含むブロック図である。
ネットワークNWは、在庫管理サーバ2、店内端末3、POSサーバ4、及び店舗サーバ5が接続されるネットワークであり、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
【0046】
図4に示すように、店内端末3は、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34(表示部の一例)、及び、通信部37を備える。
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、店内端末3全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ32に記録されている在庫管理アプリのプログラムやウェブブラウザをロードして実行し、在庫管理アプリの実行結果を表示部34に表示する。
ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ32は、在庫管理アプリのプログラムのほか、在庫管理アプリを実行することで作成されたデータ、ファイル等を記憶する。
【0047】
在庫管理アプリを実行することで、制御部31は、在庫管理サーバ2から提供される表示用データに基づいて表示部34に在庫情報を表示させる表示制御部として機能する。在庫管理アプリにより表示される在庫情報については後述する。
一実施形態では、在庫管理アプリは、ハンディターミナル6との間でメッセージを送受信する機能を備える。
【0048】
操作入力部33は、例えば、店内端末3の表示パネルに設けられたタッチパネル型入力デバイスであってもよいし、ポインティングデバイスであってもよい。操作入力部33は、利用者の操作入力を受け付けて、操作入力を在庫管理アプリに通知する。
表示部34は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルを含み、在庫管理アプリの実行結果を表示する。
通信部37は、ネットワークNWを介して在庫管理サーバ2と通信を行い、また、店舗のLANを介してハンディターミナル6と通信を行うための通信インタフェースである。
【0049】
図4に示すように、在庫管理サーバ2は、制御部21、ストレージ22、及び、通信部23を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、在庫管理サーバ2全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ22に記録されているサーバプログラムをロードして実行する。
ストレージ22(記憶部の一例)は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置であり、サーバプログラムのほか、商品在庫データベース(商品在庫DB;図3参照)を記憶する。商品在庫データベースは、サーバプログラムを実行するときに、適宜、制御部21から参照される。
通信部23は、店内端末3の在庫管理アプリ、POSサーバ4及び店舗サーバ5との間で通信を行うための通信インタフェースである。店内端末3の在庫管理アプリと在庫管理サーバ2との通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPSである。
【0050】
サーバプログラムを実行することで、制御部21は、POSサーバ4から販売済商品の商品データとユニット数の情報を取得し、店舗サーバ5から仕入れ商品、店内調理商品、及び廃棄商品の商品データとユニット数の情報を取得し、逐次商品在庫データベースを更新する。また、制御部21は、商品在庫データベースに基づき、在庫管理アプリに提供する表示用データを生成する生成部として機能する。
【0051】
図4に示すように、ハンディターミナル6は、制御部61、操作入力部63、表示部64、撮像部65、コードリーダ66、及び、通信部67を備える。
制御部61は、マイクロプロセッサを主体として構成され、ハンディターミナル6全体を制御する。例えば、制御部61に含まれるマイクロプロセッサは、所定のプログラムを実行し、その実行結果を表示部64に表示する。当該プログラムによって実行される処理としては、以下が挙げられる。
(i)店舗内に陳列されている商品に貼付されるラベルのコード情報に対するスキャン操作に応じて、当該商品の商品データ(商品コード及び消費期限情報)を表示部64に表示させる処理
(ii)上記スキャン操作に応じて表示される商品データに対応する商品を廃棄商品として登録し、廃棄商品の商品データを店舗サーバ5に送信する処理
【0052】
一実施形態では、上記プログラムによって実行される処理として、店内端末3の在庫管理アプリから送信されるメッセージを表示部64に表示させる処理が含まれる。
【0053】
表示部64は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルを含み、上記プログラムによる実行結果を表示する。
撮像部65は、例えば、光学レンズと、光学レンズからの入射光を電気信号に変換する撮像素子(イメージセンサ)と、を有し、デジタル画像を逐次生成し、表示部64に出力する。
コードリーダ66は、撮像部65によって生成される画像信号に含まれるコード情報を解析して、コード情報から商品データ(つまり、商品コードと賞味期限情報)を抽出(取得)する。
通信部67は、店内端末3及び店舗サーバ5との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0054】
次に、図5を参照して、一実施形態の在庫管理システム1の動作について説明する。図5は、在庫管理システム1の概略的な動作を示すシーケンスチャートである。
【0055】
図5を参照すると、店舗サーバ5は、適宜、商品データを在庫管理サーバ2に送信する(ステップS2)。
例えば、店舗サーバ5は、取引先サーバ9からASN情報を受信すると、当該ASN情報から仕入れ商品の商品データとユニット数の情報を抽出し、在庫管理サーバ2に送信する。
店舗サーバ5は、プリンタ8が店内調理商品用のラベルを発行する際にプリンタ8から店内調理商品の商品データとユニット数の情報を受信する。次いで、店舗サーバ5は、店内調理商品の商品データとユニット数の情報を在庫管理サーバ2に送信する。
さらに店舗サーバ5は、ハンディターミナル6により廃棄商品に対するスキャン操作が行われる度に、ハンディターミナル6から廃棄商品の1ユニットごとの商品データを受信する。次いで、店舗サーバ5は、廃棄商品の商品データとユニット数の情報を在庫管理サーバ2に送信する。
【0056】
在庫管理サーバ2は、店舗サーバ5から受信する商品データとユニット数の情報に基づいて商品在庫データベースを更新する(ステップS4)。受信した商品データとユニット数の情報が仕入れ商品及び店内調理商品のデータである場合には、当該データを新たに追加するようにして商品在庫データベースが更新される。他方、受信した商品データとユニット数の情報が廃棄商品のデータである場合には、当該データが削除されるようにして商品在庫データベースが更新される。
【0057】
POSサーバ4は、レジスタ端末7から売上げデータを受信すると、売上げデータから販売済商品の商品データとユニット数の情報とを抽出して在庫管理サーバ2に送信する(ステップS6)。次いで、在庫管理サーバ2は、受信した商品データとユニット数に対応するデータが削除されるようにして商品在庫データベースが更新する(ステップS8)。
【0058】
店内端末3に対する所定の操作に応じて在庫管理アプリから表示要求が在庫管理サーバ2に送信されると(ステップS10)、在庫管理サーバ2は、その時点での商品在庫データベースを基に表示用データを生成し(ステップS12)、店内端末3に送信する(ステップS14)。店内端末3の在庫管理アプリは、受信した表示用データを基に店舗内の商品の在庫情報の画像を表示する(ステップS16)。
【0059】
次に、在庫管理アプリによる店舗内の商品の在庫情報の表示態様(つまり、図5のステップS16で表示される画像の表示態様)について、図6図11を参照して説明する。
一実施形態では、図6に示すように、概要領域100と詳細領域200とを含む画面G1が表示される。概要領域100は、店舗の商品在庫の概要を表示する領域である。詳細領域200は、店舗の商品在庫の詳細を表示する領域である。
概要領域100には、期限ステータス一覧101が含まれる。期限ステータス一覧101には、店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の消費期限までの期間(残り時間;第1情報の一例)に応じて、5つの期限ステータス(「Expired」、「Critical」、「High」、「Medium」、「Normal」)のいずれか設定(分類)されている商品コードの数が表示される。期限ステータスは、「Expired」、「Critical」、「High」、「Medium」、「Normal」の順に、残り時間の切迫度合いを示しており、在庫管理サーバ2が表示用データを生成する際に各商品に対して決定される。なお、「Expired」は、残り時間がマイナスの場合、つまり、消費期限を過ぎている状態を示している。
同じ商品コードであっても消費期限に応じて異なる期限ステータスに分類されることがある。
【0060】
期限ステータスは、商品の消費期限までの残り時間の絶対値で決定するものではなく、商品のカテゴリを考慮して決定される。例えば商品が食品の場合、食品の経時劣化度合いによって製造日から消費期限までの期間が食品ごとに異なる。そこで、一実施形態では、商品を以下のカテゴリA~Cに予め分類しておき、カテゴリごとに各期限ステータスに割り当てる基準を決めておく。
・経時劣化度合いが小さい商品カテゴリA(冷蔵コーヒーや漬物等)
・経時劣化度合いが中程度の商品カテゴリB(牛乳等)
・経時劣化度合いが大きい商品カテゴリC(精肉等)
例えば、カテゴリAの商品は残り時間が5日以内の場合に「Critical」として判定され、カテゴリBの商品は残り時間が2日以内の場合に「Critical」として判定され、カテゴリCの商品は残り時間が1日以内の場合に「Critical」として判定される、といった具合である。
【0061】
商品在庫データベースにおいて、商品の製造日時のデータを取得可能である場合には、製造日時と消費期限の期間に対する残り時間の比率に応じて期限ステータスを決定してもよい。例えば、店舗サーバ5は、店内調理商品に対して、商品コード、消費期限情報に加えて、製造日時の情報をプリンタ8から取得し、商品在庫データベースにおいて店内調理商品の製造日時の情報を記録する。
一例として、製造日時と消費期限の期間が3日である場合、以下のようにする。
・「Critical」:残り時間が0~3日×10%
・「High」:3日×10~3日×20%
・「Medium」:3日×20%~3日×50%
・「Normal」:3日×50%以上
【0062】
画面G1において、期限ステータス一覧101の複数の期限ステータスのいずれかが選択された場合、詳細領域200には、選択された期限ステータスに対応する複数の商品に関する詳細データを含む詳細データ一覧201が表示される。期限ステータスの選択操作は、例えば、概要領域100において、いずれかの期限ステータスに対応する領域を選択する操作である。詳細データ一覧201に含まれる商品の順序は問わないが、例えば残り時間が少ない順である。
期限ステータス一覧101内の複数の商品は、例えばスクロール機能を利用することで、すべて閲覧することができる。
【0063】
一実施形態では、詳細データ一覧201は、商品ごとに「商品名称」、「消費期限」、「残り時間」、「期限ステータス」、「原価」、「ユニット数」、「コスト」の複数の項目の各々の値を含む。詳細データ一覧201では、1つの行が1つの商品コード(つまりSKU)に対応している。コストは、原価にユニット数を乗じた値であり、仮に消費期限が過ぎて商品が廃棄商品になった場合に店舗が失う金額を意味する。
この例では、期限ステータス一覧101において「Critical」の期限ステータス(つまり、期限切れが近い状態を示す期限ステータス)が選択された場合を示しており、詳細データ一覧201の「期限ステータス」の項目の値がすべて「Critical」になっている。
図6に表示する詳細データ一覧201の項目は一例に過ぎず、適宜新たな項目を追加したり、一部の項目を削除したりして画面構成を行うことが可能である。
【0064】
在庫管理アプリは、詳細データ一覧201の複数の項目のいずれかを選択する操作が行われると、選択された項目の値(第2情報の一例)に基づいて、詳細データ一覧201にある複数の商品を順序付けて表示し、あるいは詳細データ一覧201にある複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示する。
例えば、図6の画面G1において、詳細データ一覧201の「原価」の項目を選択する操作が行われると、図7の画面G2が表示される。画面G2の詳細データ一覧201Aでは、原価が高い順に複数の商品が並べ替えられて表示される。あるいは、画面G2に代えて、原価が予め決められた値よりも大きい商品が抽出した詳細データ一覧を含む画面が表示されてもよい。
【0065】
項目の選択は、「原価」に限られず、「コスト」、「残り時間」等で行ってもよい。詳細データ一覧に含まれる複数の商品を原価又はコストによって並べ替えて表示したり、当該複数の商品から原価又はコストが所定値より大きい商品を抽出して表示したりすることで、店舗にとって経済的に影響が大きい商品の情報が可視化される。そのため、店舗にとって商品廃棄時の損失が大きい商品を、消費期限が到来する前に従業員が優先的に必要な行動をとることができる。必要な行動とは、例えば、商品に対する値下げラベルの貼付や、店舗においてより目立つ場所への商品の移動等である。値下げに際しては、在庫数量(ユニット数)及び販売予測からAIが自動的に設定してもよい。
また、詳細データ一覧に含まれる複数の商品を残り時間が少ない順に並べ替えて表示したり、当該複数の商品から残り時間が所定値以下である商品を抽出して表示したりすることで、廃棄商品の数を低減させるために従業員が必要な行動をとることができる。つまり、消費期限までの残り時間がより少ない商品の情報が可視化されるため、従業員が必要な行動を直ちにとることができる。
なお、原価又はコストが所定値より大きい商品を抽出して表示する場合、表示される商品の順序は必ずしも原価又はコストが大きい順でなくてもよい。
商品を抽出して表示する場合、選択された期限ステータスに対応する商品のうち、原価又はコストの観点で上位の所定割合(80%等)を占める商品を抽出して表示してもよい。
【0066】
図7の画面G2では、好ましい例として、詳細データ一覧201Aに商品の「棚位置」の値が表示される。この場合、店舗サーバ5は、店舗内に存在する各商品に対して店舗内の棚位置に関する情報を関連付けた棚位置データベースを有する。在庫管理サーバ2は、表示用データを作成する際に、店舗サーバ5の棚位置データベースを参照して、詳細データ一覧201Aに含まれる各商品の棚位置を特定する。詳細データ一覧201Aに含まれる各商品の棚位置を表示することで、店舗の従業員は、表示される各商品の店舗内の位置がわかるため、詳細データ一覧201Aに含まれる各商品にアクセスしやすくなる。
【0067】
一実施形態では、在庫管理アプリは、図8の画面G3に示すように、概要領域100において補足データ102を表示する。補足データ102は、各期限ステータスに対応付けられた商品の総ユニット数、及び/又は、各商品の総コスト(各商品のコストの合計値)を含む。それによって、従業員は、複数の期限ステータスの各々に対応付けられた商品のユニット数やコストを概観することができ、店舗の現在の商品在庫の状況を認識しやすくなる。
【0068】
一実施形態では、在庫管理アプリは、図9の画面G4に示すように、概要領域100において補足データ内訳103を表示する。画面G4では、店舗に存在する商品について、上述したように経時劣化度合いに応じたカテゴリA~Cに分類されていることが想定される。
補足データ内訳103は、図8の補足データ102についてカテゴリごとの内訳を示すデータが含む。例えば、期限ステータスが「Expired」に分類されるカテゴリAの商品のSKUは「3」であり、コストは「4万円」であり、ユニット数が「120」であることを示している。補足データ102に加えて補足データ内訳103を表示させることで、従業員が店舗の現在の商品在庫の状況をさらに認識しやすくなる。
【0069】
図9の画面G4において、詳細データ一覧201Bの「コスト」の項目を選択する操作が行われると、図10の画面G5が表示される。画面G5の詳細データ一覧201Cでは、コストが高い順に複数の商品が並べ替えられて表示される。あるいは、画面G5に代えて、コストが予め決められた値よりも大きい商品を抽出した詳細データ一覧を含む画面が表示されてもよい。画面G5を見た従業員は、店舗にとって経済的に影響が大きい商品(例えば高級食材)に対して、消費期限が到来する前に必要な行動をとることができる。
【0070】
一実施形態では、在庫管理サーバ2は、複数の店舗の各々について商品在庫データベース(図3)を有する。その場合、在庫管理サーバ2は、在庫管理アプリによる所定の表示要求に応じて、複数の店舗の商品在庫の状況を比較して表示するための表示用データを生成する。当該表示用データを基に在庫管理アプリによって表示される画面の例を図11に示す。
図11に示す画面G6では、複数の店舗SA,SB,SC,…について、期限ステータス一覧が比較可能に表示される。つまり、在庫管理アプリは、消費期限までの残り時間に応じて設定されている複数の期限ステータスの各々に対応付けられた商品の数を、複数の店舗SA,SB,SC,…の間で比較可能に表示する。これによって、複数の店舗間で商品在庫の状況が可視化されるため、例えばエリアマネージャ等の複数の店舗を管理する管理者が、店舗間の良し悪しを評価可能となり、例えば、評価が高い店舗の運営方法を評価の低い店舗に対して展開する契機となる。
【0071】
画面G6では、期限切れの期限ステータスである「Expired」に対して「棚下げ済」と「未棚下げ」に対する商品のユニット数が表示される。その場合、在庫管理サーバ2は、商品在庫データベースにおいて、期限切れの商品について棚下げ済みであるか、又は未棚下げであるかを管理する。具体的には、在庫管理サーバ2は、廃棄商品の商品データをハンディターミナル6から受信した場合に該当する商品を「棚下げ済」の商品とし、消費期限は過ぎたけれども廃棄商品の商品データを受信していない商品を「未棚下げ」の商品とするように、商品在庫データベースを管理する。そして、在庫管理サーバ2は、在庫管理アプリによる所定の表示要求に応じて表示用データを生成する際に、期限切れの商品に対して「棚下げ済」と「未棚下げ」の商品を区別してカウントする。
画面G6に示すように「棚下げ済」と「未棚下げ」の商品を区別して表示することで、管理者が従業員に対して期限切れの商品の棚下げ作業を促すことが可能となる。また、複数の店舗間で、棚下げが十分にできていない店舗を特定できる。
【0072】
「棚下げ済」と「未棚下げ」の区別は、図6図10に示した店舗ごとの画面においても表示することが好ましい。それによって、店舗の管理者は、在庫管理アプリを介して棚下げ作業が完了したか否かについて確認することができ、棚下げ作業が完了していない場合に従業員に対して棚下げ作業を適時に指示することができる。
【0073】
在庫管理アプリが、現在の店舗の従業者数に関する情報を取得し、詳細データ一覧に含まれる複数の商品の中から抽出して表示させる商品の数(つまり、詳細データ一覧の行数)を特定するようにしてもよい。その場合、店舗サーバ5は日時ごとの店舗の従業員数の情報を管理する。在庫管理サーバ2は、表示用データを生成する際に、その時点での従業員数の情報を店舗サーバ5から取得し、従業員数に応じて詳細データ一覧に含まれる商品の数を決定する。例えば、従業員数が通常より少ない場合には、詳細データ一覧に含まれる商品の数を小さくする。すなわち、現在の店舗の従業員数で処理可能な数の商品が表示されるため、従業員に過剰な作業負荷が生じないようにすることができる。
【0074】
在庫管理アプリが、店舗内に存在する商品のうち少なくともいずれかの商品に対応付けられた期間に関する情報、又は店舗内に存在する商品の販売実績に基づく情報のいずれかを取得し、詳細データ一覧に含まれる複数の商品の中から抽出して商品を表示するように構成してもよい。
「商品に対応付けられた期間に関する情報」として、例えば、特定の商品に対する期間限定の販促イベント(キャンペーン)の情報や、クリスマスケーキ等、商品が関連付けられている特定の日に関する情報等が挙げられる。「商品の販売実績に基づく情報」として、例えば、商品の過去の同一時期の販売実績に関する情報や、商品の過去の販売実績を基に機械学習により得られる販売予測(例えば天気予報や曜日に応じた販売予測)を示す情報等が挙げられる。
商品に対応付けられた期間に関する情報、又は商品の販売実績に基づく情報に基づいて、詳細データ一覧に表示させる商品を限定することで、店舗の従業員が店舗内の特定の商品に対して現在の状況に応じた適切な行動をとることができる。
【0075】
店内端末3は、複数の期限ステータスのうち所定の期限ステータス(例えば、「Expired」や「Critical」)に対応付けられた商品に関する情報をハンディターミナル6に通知してもよい。例えば、店内端末3の在庫管理アプリは、図6の画面G1を表示するとともに、期限ステータスが「Expired」又は「Critical」である商品に関する情報をハンディターミナル6にプッシュ通知する。それによって、所定の期限ステータスに対応付けられた商品に関する情報が店舗内の現場にいる従業員に適時に通知されるため、従業員が直ちに商品に対して必要な行動(例えば、棚下げをしたり、商品に値下げラベルを貼付したりする行動)を行うことができる。
【0076】
以上説明したように、在庫管理システム1では、店内端末3の在庫管理アプリは、店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の消費期限までの残り時間に応じて設定されている複数の期限ステータスの各々に対応付けられた商品の数を表示する。そのため、店舗内の商品の在庫状況の概要を可視化することができる。
従来は、店舗の従業員が売り場で商品を目視確認して消費期限が過ぎていれば棚下げ作業を行っていた。総菜、弁当等、比較的消費期限が短いものは毎日確認しているためミスは起き難いが、消費期限が長いものについてはミスが生じやすい。それに対して在庫管理システム1では、期限ステータスごとに商品の数を可視化するため、効率的な確認が行なえる。
【0077】
さらに、在庫管理システム1では、在庫管理アプリは、複数の期限ステータスのいずれかが選択された場合に、消費期限までの残り時間の情報とは異なる情報(例えば、原価やコストなどの情報)に基づいて、選択された期限ステータスに対応する複数の商品を順序付けて表示させ、あるいは複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示する。つまり、消費期限とは異なる指標で商品を順序付け、あるいは抽出して可視化するため、特定の商品に対して従業員が必要な行動をとることができる。
【0078】
一実施形態では、以下の(a)~(c)の各ステップを含む情報処理方法が開示される。
(a)店舗内に存在する各商品の原価、数量、及び有効期限の情報を含む在庫情報に基づき、表示用データを生成するステップ
(b)表示用データに基づき、店舗内に存在する商品を対象として、現在時刻から商品の有効期限までの期間に関する第1情報に応じて設定されている複数の期限ステータスの各々に対応付けられた商品の数を表示するステップ
(c)複数の期限ステータスのいずれかが選択された場合に、第1情報とは異なる第2情報に基づいて、選択された期限ステータスに対応する複数の商品を順序付けて表示し、あるいは複数の商品の中から一部の商品を抽出して表示するステップ
【0079】
上述した実施形態では、店舗内の商品在庫を把握する(つまり、商品在庫データベースを生成する)ために、取引先サーバ9、レジスタ端末7、プリンタ8、及びハンディターミナル6からデータを受信する場合について説明したが、商品在庫を把握する方法はそれに限られない。店内に多数のカメラを配置し、多数のカメラによって得られた画像をAIで解析することで、店内の商品在庫を実時間で把握するようにしてもよい。
【0080】
以上、本発明の情報処理システム、及び、情報処理方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した各実施形態及び各変形例に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
上述した実施形態において、在庫管理サーバ2による機能の少なくとも一部を店内端末3のソフトウェアにより実現してもよいし、店内端末3による機能の少なくとも一部を在庫管理サーバ2のソフトウェアにより実現してもよい。また、店内端末3の機能、及び、在庫管理サーバ2の機能の各々を、必要に応じて、店内端末3及び在庫管理サーバ2の間で分散させて実現してもよい。在庫管理サーバ2で実行される機能を複数の装置で分散させて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…在庫管理システム
2…在庫管理サーバ
21…制御部
22…ストレージ
23…通信部
3…店内端末
31…制御部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…通信部
4…POSサーバ
5…店舗サーバ
6…ハンディターミナル
61…制御部
63…操作入力部
64…表示部
65…撮像部
66…コードリーダ
67…通信部
7…レジスタ端末
8…プリンタ
9…取引先サーバ
100…概要領域
101…期限ステータス一覧、102…補足データ、103…補足データ内訳
200…詳細領域
201,201A,201B,201C…詳細データ一覧
P…商品
PL…ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11