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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020571
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124047
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】508157370
【氏名又は名称】バルミューダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】一之瀬 春人
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB03
5H125CA04
5H125CA08
5H125DD01
5H125EE41
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】本発明は、走行中に走行モードの変更の予約を受付ける電動車両を提供する。
【解決手段】本発明に係る電動車両は、最高速度が設定される電動車両であって、電動車両の搭乗者に操作される操作スイッチと、操作スイッチが操作されたときに、最高速度の設定値を変更する変更部と、設定値の変更に関する所定の変更条件が成立しているか否かを判定する判定部と、を有してなり、変更条件が成立していない状態において操作スイッチが操作されると、変更部による設定値の変更は、操作スイッチが操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最高速度が設定される電動車両であって、
前記電動車両の搭乗者に操作される操作スイッチと、
前記操作スイッチが操作されたときに、前記最高速度の設定値を変更する変更部と、
前記設定値の変更に関する所定の変更条件が成立しているか否かを判定する判定部と、
を有してなり、
前記変更条件が成立していない状態において前記操作スイッチが操作されると、前記変更部による前記設定値の変更は、前記操作スイッチが操作されてから前記変更条件が成立するまでの間、保留される、
ことを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記設定値は、
第1設定値と、
前記第1設定値とは異なる第2設定値と、
を含み、
前記設定値が前記第1設定値で、かつ、前記設定値の変更が保留されているとき、前記変更部は、前記変更条件が成立していると前記判定部に判定されると、前記設定値を前記第2設定値に変更する、
請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記変更条件は、
前記電動車両が停止していること、
を含む、
請求項1記載の電動車両。
【請求項4】
前記電動車両の走行速度を制御する速度制御部、
を有してなり、
前記速度制御部は、前記設定値に基づいて、前記走行速度を制御する、
請求項1記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特例特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等、以下「電動車両」という。)は、法で定められた走行条件のもとで歩道の走行を、許可されている。このため、通常、電動車両は、2つの走行モード(車道走行モードと歩道走行モードと)を、備える。走行モードは、電動車両の搭乗者に、選択される。すなわち、電動車両は、搭乗者に選択された走行モードに設定されている走行条件から逸脱しないように、各部を制御する。
【0003】
車道走行モード(第1モード)は、電動車両が車道や自転車道を走行するときに選択される走行モードである。歩道走行モード(第2モード)は、電動車両が歩道を走行するときに選択される走行モードである。電動車両の最高速度は、走行モードごとに異なる。すなわち、電動車両の走行モードが変更されると、電動車両は、変更後の走行モードに対応する最高速度の設定値に基づいて、走行する。
【0004】
走行モードを備える電動車両に関する制御技術は、これまでにも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、道路交通法は、走行中の最高速度の設定値の変更を、禁止する。すなわち、走行中の走行モードの変更は、禁止されている。そのため、搭乗者が走行中に走行モードを変更したいとき、先ず、搭乗者は、電動車両を停車(停止)させる必要がある。その上で、搭乗者は、走行モードの変更のための操作をする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2023-42590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スムーズな走行モードの変更が可能となる電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電動車両は、最高速度が設定される電動車両であって、電動車両の搭乗者に操作される操作スイッチと、操作スイッチが操作されたときに、最高速度の設定値を変更する変更部と、設定値の変更に関する所定の変更条件が成立しているか否かを判定する判定部と、を有してなり、変更条件が成立していない状態において操作スイッチが操作されると、変更部による設定値の変更は、操作スイッチが操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、スムーズな走行モードの変更が可能となる電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電動車両の実施の形態を示す外観図である。
図2】上記電動車両の機能ブロック図である。
図3】上記電動車両のハンドルの一部の拡大図である。
図4】上記電動車両の停止中に上記電動車両の操作スイッチが操作されたときの電動車両の速度と電動車両の最高速度の設定値との関係を示すグラフである。
図5】上記電動車両の走行中に上記電動車両の操作スイッチが操作されたときの電動車両の速度と電動車両の最高速度の設定値との関係を示すグラフである。
図6】上記電動車両の停止中に上記電動車両の操作スイッチが操作されたときの電動車両の動作を示すフローチャートである。
図7】上記電動車両の走行中に上記電動車両の操作スイッチが操作されたときの電動車両の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電動車両(以下「本車両」という。)の実施の形態は、以下に、図面と共に説明される。
【0012】
以下の説明において、本車両は、最高速度が設定される特例特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)である。本車両は、2つの走行モード(車道走行モードと歩道走行モードと)を、備える。
【0013】
●走行モード
車道走行モード(第1モード)は、本車両が車道や自転車道を走行するときに選択される走行モードである。歩道走行モード(第2モード)は、本車両が歩道を走行するときに選択される走行モードである。本車両は、搭乗者に選択された走行モードにより、走行する。
【0014】
走行モードは、搭乗者の選択により、一方の走行モードから他方の走行モードに変更される。具体的には、走行モードは、走行モードの変更のための操作ごとに、第1モードと第2モードとの一方から他方に、変更される。ただし、走行モードの変更のタイミングは、後述される最高速度の設定値の変更に関する所定の変更条件(以下「変更条件」)が成立しているときに限られる。
【0015】
●最高速度の設定値
本車両の最高速度は、走行モードごとに異なる。すなわち、本車両の走行モードが変更されると、本車両は、変更後の走行モードに対応する最高速度の設定値に基づいて、走行する。最高速度の設定値(以下「設定値」という。)は、第1設定値と、第1設定値とは異なる第2設定値と、を含む。第1モードにおける設定値(第1設定値)は、20Km/hである。第2モードにおける設定値(第2設定値)は、6Km/hである。
【0016】
●変更条件
変更条件は、設定値が変更されるのに必要な条件である。本発明における変更条件は、本車両が停止していること、を含む。本実施の形態における変更条件は、本車両1が停止していること、である。
【0017】
●本車両の構成
図1は、本車両の実施の形態を示す外観図である。
図2は、本車両の機能ブロック図である。
【0018】
本車両1は、記憶部Mと、操作スイッチ10と、最高速度表示灯11と、ディスプレイ12と、センサ13と、駆動用モータ14と、判定部15と、変更部16と、速度制御部17と、報知部18と、制御部19と、を有してなる。
【0019】
記憶部Mは、本車両1の動作に必要な情報を、記憶する。本車両1の動作に必要な情報は、第1設定値V1と第2設定値V2、搭乗者に選択された走行モードを示す情報、設定値V(第1設定値V1または第2設定値V2)、変更条件を、含む。
【0020】
搭乗者に選択された走行モードは、選択中の走行モードと、保留中(予約中)の走行モードと、である。
【0021】
選択中の走行モードは、本車両1に現在設定されている走行モードである。
【0022】
保留中の走行モードは、後述される変更部16による変更が保留されている走行モード(保留が解除された後の走行モード)である。
【0023】
操作スイッチ10は、走行モードが変更される際に操作されるスイッチである。換言すれば、操作スイッチ10は、設定値Vが変更される際に操作されるスイッチである。すなわち、走行モードの変更は、操作スイッチ10が本車両1の搭乗者に操作されることで実現される。
【0024】
最高速度表示灯11は、本車両1の選択中の走行モードを、報知する。最高速度表示灯11は、選択中の走行モードが第1モードのとき、点灯する。最高速度表示灯11は、選択中の走行モードが第2モードのとき、点滅する。最高速度表示灯11は、本車両1の電源(不図示)がオフ状態のとき、消灯する。最高速度表示灯11の灯光の色は、緑色である。
【0025】
なお、本発明における最高速度表示灯の灯光の色は、報知部により、搭乗者の所望の色に変更されてもよい。
【0026】
ディスプレイ12は、搭乗者に閲覧される各種情報を、表示する。各種情報は、例えば、搭乗者に選択された走行モード、本車両1の現在の速度(走行速度)、などである。ディスプレイ12に表示される各種情報の表示形式は、例えば、文字、図形、などである。
【0027】
センサ13は、変更条件の成否の判定に用いられる情報を、測定(検出)する。センサ13により測定される情報は、本車両1の車輪の回転数である。
【0028】
なお、本発明におけるセンサにより測定される情報は、変更条件の成否の判定に用いられる情報であればよく、例えば、本車両の走行速度、本車両の電源(不図示)のオン・オフ状態、本車両の駆動用モータの回転数、本車両の駆動用モータの回転に応じて発生するパルス信号、本車両のハンドルにかかる圧力、などでもよい。
【0029】
駆動用モータ14は、本車両1の動力源である。駆動用モータ14の回転により本車両1の車輪を回転させることで、本車両1は、移動が可能となる。本車両1の車輪の回転数は、センサ13により、測定される。
【0030】
判定部15は、センサ13により測定された情報(本実施の形態では、本車両1の車輪の回転数)に基づいて、本車両1の所定の状態を、定期的に、判定する。所定の状態は、例えば、変更条件が成立しているか否か、本車両1が加速操作されたか否か、本車両1が減速操作されたか否か、本車両1の速度が最高速度であるか否か、などである。加速操作と減速操作との詳細は、後述される。
判定部15は、前述の所定の状態以外に、操作スイッチ10が操作されたか否か、走行モードが保留されているか否か、設定値Vの変更が保留されているか否か、のそれぞれを、定期的に、判定する。
【0031】
変更部16は、操作スイッチ10が操作されたときに、判定部15の判定結果に基づいて、走行モードを、変更、または、変更の保留をする。換言すれば、変更部16は、操作スイッチ10が操作されたときに、判定部15の判定結果に基づいて、設定値Vを、変更、または、変更の保留をする。
【0032】
速度制御部17は、本車両1の走行速度を、制御する。走行速度の制御は、走行モードに基づく。換言すれば、速度制御部17は、設定値Vに基づいて、走行速度を、制御する。具体的には、速度制御部17は、記憶部Mに記憶されている設定値Vを超えないように、走行速度を制御する。
【0033】
報知部18は、本車両1の選択中の走行モードを示す情報を、最高速度表示灯11に、報知させる。報知部18は、最高速度表示灯11を、点灯・点滅、または、消灯させる。報知部18は、搭乗者に選択された走行モード(選択中の走行モードと保留中の走行モードとの少なくともいずれか一方)を示す情報を、ディスプレイ12に、表示する。報知部18は、例えば、走行速度と最高速度の設定値Vとを、ディスプレイ12に、表示する。
【0034】
なお、本発明における報知部は、最高速度表示灯の灯光の色を、変更してもよい。本発明における報知部は、走行モードが変更されるタイミング(次に停止したとき、など)を、ディスプレイに、表示してもよい。
【0035】
制御部19は、操作スイッチ10が操作されたことを、検知する。
【0036】
図3は、本車両のハンドルの一部の拡大図である。
【0037】
ハンドルHは、搭乗者の右手に把持される右ハンドル部分H1と、搭乗者の左手に把持される左ハンドル部分H2と、ディスプレイ12が配置される中央部分H3と、から構成される。
【0038】
図中、右ハンドル部分H1の一部は、省略されている。
図中、左ハンドル部分H2の一部は、省略されている。
【0039】
右ハンドル部分H1は、操作スイッチ10と、アクセル(不図示)と、ブレーキ(不図示)と、を備える。
【0040】
左ハンドル部分H2は、ブレーキ(不図示)を、備える。
【0041】
中央部分H3は、ディスプレイ12を、備える。
【0042】
なお、本発明における中央部分は、ディスプレイ以外に、例えば、方向指示器(不図示)の操作をするための操作ボタンを、備えてもよい。
【0043】
アクセル(不図示)は、本車両1を、加速させる。本車両1のアクセル(不図示)の形状は、例えば、レバー式やサムスロットル式などである。本車両1の搭乗者は、アクセル(不図示)を加速操作することにより、本車両1を、加速させる。
【0044】
ブレーキ(不図示)は、走行する本車両1を、減速、または、停止させる。本車両1のブレーキ(不図示)の形状は、例えば、レバー状である。本車両1の搭乗者は、レバー状のブレーキ(不図示)を減速操作することにより、本車両1を、減速、または、停止させる。
【0045】
加速操作は、搭乗者が本車両1を加速させる操作である。加速操作は、例えば、搭乗者が本車両1のレバー式のアクセル(不図示)を加速方向へ動かす操作である。
【0046】
減速操作は、搭乗者が本車両1を減速させる操作である。減速操作は、例えば、搭乗者が本車両1のブレーキ(不図示)を引く操作である。減速操作は、例えば、搭乗者が本車両1のアクセル(不図示)を離す操作である。減速操作は、例えば、搭乗者が本車両1のアクセル(不図示)を現在の走行速度よりも低速側に戻す操作である。
なお、減速操作は、これら複数の操作(ブレーキを引く、アクセルを離す、アクセルを戻す)のいずれか2つ以上が併用されてもよい。
【0047】
同図は、右ハンドル部分H1に操作スイッチ10が配置されていることを、示す。
【0048】
操作スイッチ10は、搭乗者が走行モードを選択したいとき、操作される。搭乗者による走行モードの選択の操作は、手動(例えば、押下)である。すなわち、例えば、搭乗者が走行モードを選択したいとき、搭乗者は、右手の親指で、操作スイッチ10を、押下する。
【0049】
同図は、中央部分H3にディスプレイ12が配置されていることを、示す。
【0050】
ディスプレイ12は、搭乗者に選択された走行モード(選択中の走行モードと保留中の走行モードと)を示す情報を、表示する。すなわち、搭乗者に選択された走行モードを示す情報は、報知部18により、ディスプレイ12に、表示される。
【0051】
なお、本発明におけるディスプレイは、選択中の走行モードを示す情報と保留中の走行モードを示す情報との一方のみを、表示してもよい。すなわち、例えば、ディスプレイは、選択中の走行モードを示す情報のみ、または、保留中の走行モードを示す情報のみを、表示する。
【0052】
また、本発明におけるディスプレイは、選択中の走行モードを示す情報と保留中の走行モードを示す情報との両方を、表示してもよい。
【0053】
さらに、本発明におけるディスプレイは、選択中の走行モードを示す情報と保留中の走行モードを示す情報との一方を、点灯して表示させて、他方を、点滅して表示させてもよい。すなわち、例えば、ディスプレイは、選択中の走行モードを示す情報を点灯して表示させて、保留中の走行モードを示す情報を点滅して表示させる。
【0054】
●設定値と最高速度との関係(1)
図4は、本車両の停止中に本車両の操作スイッチが操作されたときの本車両の速度と本車両の最高速度の設定値との関係を示すグラフである。
図中、縦軸は、時速(Km/h)を、示す。横軸は、時刻を、示す。
同図は、第1設定値V1が20Km/hであることを、示す。
同図は、第2設定値V2が6Km/hであることを、示す。
【0055】
同図は、操作スイッチ10が操作されたタイミングが本車両1の停止中の場合の例を、示す。本車両1の起動時の走行モードは、第1モードである。すなわち、本車両1の起動時の設定値Vは、第1設定値V1である。
【0056】
同図は、本車両1の搭乗者が、時刻T4から時刻T5までの間に、操作スイッチ10を操作したことを、示す。すなわち、操作スイッチ10は、本車両1の停止中に、操作される。
【0057】
T0は、本車両1の電源(不図示)がオフ状態からオン状態になった起動時の時刻である。
【0058】
T1は、本車両1の加速が開始された時刻である。
【0059】
T2は、本車両1の速度が最高速度20Km/hに到達した時刻である。すなわち、時刻T2における本車両1の速度は、第1設定値V1である。
【0060】
時刻T2から時刻T3までの間、本車両1の速度は、最高速度20Km/hを超えないように制御される。
【0061】
T3は、本車両1の減速が開始された時刻である。
【0062】
T4は、本車両1が停止した時刻である。時刻T4における本車両1の速度は、0Km/hである。
【0063】
は、本車両1の操作スイッチ10が操作された時刻である。時刻Tにおける本車両1の速度は、0(Km/h)である。すなわち、本車両1は、時刻Tにおいて、停止している。本車両1が停止しているとき、判定部15は、変更条件が成立していると、判定する。変更条件が成立している状態において操作スイッチ10が操作されると、走行モードは、変更される。変更部16は、判定部15の判定結果に基づいて、走行モードを変更する。換言すれば、変更部16は、判定部15の判定結果に基づいて、設定値Vを変更する。つまり、走行モードは、第1モードから第2モードに、変更される。換言すれば、設定値Vは、第1設定値V1から第2設定値V2に、変更される。
【0064】
T5は、本車両1の加速が開始された時刻である。
【0065】
T6は、本車両1の速度が最高速度6Km/hに到達した時刻である。すなわち、時刻T2における本車両1の速度は、第2設定値V2である。
【0066】
時刻T6から時刻T7までの間、本車両1の速度は、最高速度6Km/hを超えないように制御される。
【0067】
T7は、本車両1の減速が開始された時刻である。
【0068】
T8は、本車両1が停止した時刻である。
【0069】
●設定値と最高速度との関係(2)
図5は、本車両の走行中に本車両の操作スイッチが操作されたときの本車両の速度と本車両の最高速度の設定値との関係を示すグラフである。
図中、縦軸・横軸は、図4と、共通する。
図中、最高速度(第1設定値V1・第2設定値V2)は、図4と、共通する。
【0070】
同図は、操作スイッチ10が操作されたタイミングが本車両1の走行中の場合の例を、示す。本車両1の起動時の走行モードは、第1モードである。すなわち、本車両1の起動時の設定値Vは、第1設定値V1である。
【0071】
同図は、本車両1の搭乗者が、時刻T2から時刻T3までの間に、操作スイッチ10を操作したことを、示す。すなわち、操作スイッチ10は、本車両1の走行中に、操作される。
【0072】
は、本車両1の操作スイッチ10が操作された時刻である。時刻Tにおける本車両1の速度は、20(Km/h)である。すなわち、本車両1は、時刻Tにおいて、走行中である。本車両1が走行しているとき(走行中)、判定部15は、変更条件が成立していないと、判定する。変更条件が成立していない状態において操作スイッチ10が操作されると、変更部16による走行モードの変更は、操作スイッチ10が操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される。換言すれば、変更条件が成立していない状態において操作スイッチ10が操作されると、変更部16による設定値Vの変更は、操作スイッチ10が操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される。つまり、本車両1が停止する時刻T4までの間、変更部16による走行モードの変更は、保留される。時刻T4において、判定部15は、変更条件が成立していると、判定する。変更部16は、判定部15の判定結果に基づいて、走行モードを変更する。つまり、走行モードは、第1モードから第2モードに、変更される。換言すれば、設定値Vは、第1設定値V1から第2設定値V2に、変更される。
【0073】
●本車両の動作
図6は、本車両の停止中に本車両の操作スイッチが操作されたときの本車両の動作を示すフローチャートである。
同図は、説明の便宜上、本車両1の動作のうち、設定値Vの変更に関連する加速操作と減速操作とを中心に、示す。
【0074】
以下の説明において、操作スイッチ10は、図4に示されるように、本車両1の走行中には操作されず、本車両1の停止中に操作される。
【0075】
先ず、本車両1の電源(不図示)は、搭乗者の操作により、起動する(電源オンになる)(S1)。
【0076】
次いで、判定部15は、加速操作されたか否かを、判定する(S2)。
【0077】
S2の判定結果が「YES」のとき、判定部15は、本車両1の速度が最高速度であるか否かを、判定する(S3)。
【0078】
S3の判定結果が「YES」のとき、判定部15の処理は、処理S2に戻る。
【0079】
S3の判定結果が「NO」のとき、本車両1は、加速する(S4)。その後、判定部15の処理は、処理S2に戻る。
【0080】
一方、S2の判定結果が「NO」のとき、判定部15は、減速操作がされたか否かを、判定する(S5)。
【0081】
S5の判定結果が「NO」のとき、判定部15の処理は、処理S2に戻る。
【0082】
一方、S5の判定結果が「YES」のとき、本車両1は、減速する(S6)。
【0083】
次いで、判定部15は、本車両1が停止している(変更条件が成立している)か否かを、判定する(S7)。
【0084】
S7の判定結果が「NO」のとき、判定部15の処理は、処理S2に戻る。
【0085】
一方、S7の判定結果が「YES」のとき、判定部15は、操作スイッチ10が操作されたか否かを、判定する(S8)。
【0086】
S8の判定結果が「NO」のとき、判定部15の処理は、処理S7に戻る。
【0087】
一方、S8の判定結果が「YES」のとき、すなわち、本車両1が停止した後に、操作スイッチ10が操作されたとき、変更部16は、設定値Vを、変更する(S9)。換言すれば、変更部16は、走行モードを、変更する。その後、判定部15の処理は、処理S2に戻る。
【0088】
図7は、本車両の走行中に本車両の操作スイッチが操作されたときの本車両の動作を示すフローチャートである。
同図は、説明の便宜上、操作スイッチ10の操作タイミングを、示していない。
【0089】
以下の説明において、操作スイッチ10の操作は、図5に示されるように、本車両1の停止中には操作されず、本車両1の走行中に操作される。
【0090】
図7の処理P1-P7それぞれは、図6の処理S1-S7それぞれと、共通する。
P7の判定結果が「YES」のとき、判定部15は、設定値Vの変更が保留されているか否かを、判定する(P8)。
【0091】
P8の判定結果が「NO」のとき、すなわち、P1より後でP7より前の期間に操作スイッチ10が操作されていないとき、判定部15の処理は、処理P2に戻る。
【0092】
一方、P8の判定結果が「YES」のとき、すなわち、P1より後でP7より前の期間に操作スイッチ10が操作されていたとき、変更部16は、設定値Vを、変更する(P9)。換言すれば、変更部16は、走行モードを、変更する。その後、判定部15の処理は、処理P2に戻る。
【0093】
このように、本車両1の走行中に操作スイッチ10が操作されたとき、操作スイッチ10が操作されてから変更条件(本車両1が停止している)が成立するまでの間、走行モードの変更は、保留される。走行モードの変更の保留は、いわば、走行モードの変更の予約として機能する。
【0094】
●まとめ
以上の説明のとおり、本車両1は、操作スイッチ10と、判定部15と、変更部16と、を有してなる。操作スイッチ10は、設定値Vが変更される際に操作されるスイッチである。操作スイッチ10が操作された後、判定部15は、変更条件(本車両1が停止している)が成立しているか否かを、判定する。変更条件が成立していない(本車両1が停止していない)とき、変更部16は、設定値Vの変更を、保留する。すなわち、設定値Vの変更は、操作スイッチ10が操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される。換言すれば、走行モードの変更は、操作スイッチ10が操作されてから変更条件が成立するまでの間、保留される。つまり、本車両1は、走行中に走行モードの変更の予約機能を、備える。
【0095】
このように、本車両は、変更条件が成立していないときに操作スイッチが操作されると、変更条件が成立するまで走行モードの変更を、保留する。その後、変更条件が成立すると、走行モードは、操作スイッチの操作なしに、変更される。すなわち、本車両は、スムーズな走行モードの変更ができる。
【0096】
●本車両の特徴
これまでに説明された本車両の特徴は、以下にまとめて記載される。
【0097】
本車両(例えば、本車両1)は、
最高速度が設定される電動車両であって、
前記電動車両の搭乗者に操作される操作スイッチ(例えば、操作スイッチ10)と、
前記操作スイッチが操作されたときに、前記最高速度の設定値(例えば、設定値V)を変更する変更部(例えば、変更部16)と、
前記設定値の変更に関する所定の変更条件(例えば、本車両1の停止中)が成立しているか否かを判定する判定部(例えば、判定部15)と、
を有してなり、
前記変更条件が成立していない状態において前記操作スイッチが操作されると、前記変更部による前記設定値の変更は、前記操作スイッチが操作されてから前記変更条件が成立するまでの間(例えば、図5の時刻Tから時刻T4までの間)、保留される、
ことを特徴とする。
【0098】
本車両において、
前記設定値は、
第1設定値(例えば、第1設定値V1)と、
前記第1設定値とは異なる第2設定値(例えば、第2設定値V2)と、
を含み、
前記設定値が前記第1設定値で、かつ、前記設定値の変更が保留されているとき、前記変更部は、前記変更条件が成立していると前記判定部に判定されると、前記設定値を前記第2設定値に変更する、
ものでもよい。
【0099】
本車両において、
前記変更条件は、
前記電動車両が停止していること、
を含む、
ものでもよい。
【0100】
本車両は、
前記電動車両の走行速度を制御する速度制御部(例えば、速度制御部17)、
を有してなり、
前記速度制御部は、前記設定値に基づいて、前記走行速度を制御する、
ものでもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 電動車両
10 操作スイッチ
11 最高速度表示灯
12 ディスプレイ
13 センサ
14 駆動用モータ
15 判定部
16 変更部
17 速度制御部
18 報知部
19 制御部
H ハンドル
H1 右ハンドル部分
H2 左ハンドル部分
H3 中央部分
M 記憶部
V 設定値
V1 第1設定値
V2 第2設定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7