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  • 特開-セメントモルタル組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020572
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】セメントモルタル組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20250205BHJP
   C04B 24/24 20060101ALI20250205BHJP
   C04B 24/04 20060101ALI20250205BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B24/24 B
C04B24/04
E04F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124048
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】501352619
【氏名又は名称】三商株式会社
(72)【発明者】
【氏名】服部 絵美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭一
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MC01
4G112PB16
4G112PB26
(57)【要約】
【課題】白化や白華が生じにくく美観維持に優れたセメントモルタル硬化体を提供する。
【解決手段】本発明のモルタル組成物は粉状の主材と液体の混和液とから構成されている。前記主材の組成は例えば、セメントとしての普通ポルトランドセメント100質量部、骨材としての寒水石200質量部、着色顔料としての酸化チタン20質量部、着色顔料としての酸化鉄0.2質量部、繊維としてのガラス繊維8質量部、粉末消泡剤0.1質量部である。前記混和液の組成は例えば、合成樹脂としてのスチレンアクリル共重合樹脂エマルジョン(不揮発分50質量%)100質量部、造膜助剤としての2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチラート25質量部である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物のコンクリート表面に塗付するセメントモルタル組成物であって、該セメントモルタル組成物は、セメントと骨材とを含有する粉体と、合成樹脂エマルジョンと造膜助剤とを含有する混和液とにより構成され、
前記セメントモルタル組成物は、下塗り層を設けないでコンクリート表面に直接塗付される
ことを特徴とするセメントモルタル組成物。
【請求項2】
前記造膜助剤の含有量が合成樹脂エマルジョンの不揮発分100質量部に対して20~70質量部であることを特徴とする請求項1に記載のセメントモルタル組成物。
【請求項3】
前記セメント100質量部に対する、混和液中の水分と混練時の加水量との合計が60~250質量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメントモルタル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート等の表面に塗付するセメントモルタル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の基礎コンクリート等のコンクリート表面には、コンクリートの中性化抑制やクラック予防の観点からセメントモルタルが塗布されている場合がある。このモルタルは一般に鏝を用いて塗付されることが多いが、近年はローラーを用いて塗付されるものも開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これらのセメントモルタルはセメント、細骨材、合成樹脂エマルジョン等を含有しており、既存の基礎コンクリートの立ち上がりの表面にエポキシ樹脂塗料を塗布して乾燥させてエポキシ樹脂塗料層を形成した後、該エポキシ樹脂塗料層の表面に弾性モルタルを塗布して弾性モルタル層が形成される(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、美観の向上等を目的として、主として、セメント、細骨材、樹脂成分、および顔料成分からなり、前記樹脂成分として、アクリル樹脂エマルジョンを弾性カラーポリマーセメントモルタル組成物全量に対して固形分で20~40重量%となるよう含有し、また、前記顔料成分として粉末状無機顔料および/または液体無機顔料を含有する弾性カラーポリマーセメントモルタル組成物(例えば、特許文献3参照。)がある。
【0005】
しかし、従来のセメントモルタル組成物にあっては、モルタルを構成する合成樹脂等の吸水による白化やセメント由来のカルシウム成分が析出する白華等の抑制が十分でないため、モルタル硬化体の美観保持が十分でないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-328371号公報
【特許文献2】特開2005-344421号公報
【特許文献3】特開2008-037717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、住宅基礎等のコンクリート表面や断熱材表面等の建物外皮に塗付されるモルタル組成物において、該モルタル組成物の硬化体が変色により美観を損ねるおそれがある点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、建築物のコンクリート表面に塗付するセメントモルタル組成物であって、該セメントモルタル組成物は、セメントと骨材とを含有する粉体と、合成樹脂エマルジョンと造膜助剤とを含有する混和液とにより構成され、前記セメントモルタル組成物は、下塗り層を設けないでコンクリート表面に直接塗付されることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のモルタル組成物によれば、建物外皮に塗付された後に白華しにくいため美観に優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の白華抑制効果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明のモルタル組成物は粉状の主材と液体の混和液とから構成されている。
【0012】
本発明において一次白華とは、セメントモルタルが硬化する過程で、水とセメントとの反応により生成される水酸化カルシウムがセメントモルタル中の余剰水に溶解し、セメントモルタルの乾燥に伴って、余剰水とともにセメントモルタル表面に移行して、空気中の炭酸ガスを吸収することで、水に不溶な炭酸カルシウムへと変化する現象をいう。
【0013】
本発明において二次白華とは、硬化したセメントモルタル内に雨や結露による新たな水が浸透して、セメントモルタル中の水酸化カルシウムを溶解し、一次白華と同様に表面に炭酸カルシウムを生ずる現象をいう。
【0014】
前記主材の組成は例えば、セメントとしての普通ポルトランドセメント100質量部、骨材としての寒水石200質量部、着色顔料としての酸化チタン20質量部、着色顔料としての酸化鉄0.2質量部、繊維としてのガラス繊維8質量部、粉末消泡剤0.1質量部である。
【0015】
前記混和液の組成は例えば、合成樹脂としてのスチレンアクリル共重合樹脂エマルジョン(不揮発分50質量%)100質量部、造膜助剤としての2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチラート25質量部である。
【0016】
前記セメントは普通ポルトランドセメントに限定されず、JIS-R5210に規定されている普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント(低アルカリ形)、早強ポルトランドセメント(低アルカリ形)、超早強ポルトランドセメント(低アルカリ形)、中庸熱ポルトランドセメント(低アルカリ形)、低熱ポルトランドセメント(低アルカリ形)、耐硫酸塩ポルトランドセメント(低アルカリ形)、JIS-R5211に規定されている高炉セメント、JIS-R5212に規定されているシリカセメント、JIS-R5213に規定されているフライアッシュセメント、JIS-R5214に規定されているエコセメント等を用いても良い。
【0017】
前記骨材は寒水石に限定されず、珪砂、ガラス粒等を用いても良い。これらのうち、骨材として寒水石又は寒水砂を用いることが好ましい。骨材として寒水石又は寒水砂を用いる場合には、主材と混和液を混合して硬化させたモルタル硬化体の緻密性に優れる。
【0018】
前記骨材の平均粒子径は0.1~0.8mmであることが好ましく、0.2~0.6mmであることがより好ましい。この範囲にあるとき、骨材の充填によって生じる空隙にセメント粒子(粒子径=約10μm)が入り込んで充填され、緻密なモルタル硬化体とすることができる。骨材の平均粒子径が0.1mmを下回ると空隙にセメント粒子が充填されにくくなり、逆に0.8mmを超えると空隙が大きすぎてセメントの硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0019】
前記セメント100質量部に対する骨材の使用量は好ましくは70~450質量部、より好ましくは120~280質量部である。この範囲にあるとき、モルタル硬化体を緻密にできるとともに白華を抑制する効果に優れる。
【0020】
前記着色顔料は、酸化チタンや酸化鉄に限定されない。例えばカーボンブラック、フタロシアニン銅、キナクリドン等を用いても良い。これらのうち、酸化チタンを用いることによりモルタル硬化体に隠ぺい性を付与することができるため、コンクリートの白華等によって生じる色むらを均一にすることができ、美観に優れる。
【0021】
前記セメント100質量部に対する酸化チタンの使用量は、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~20質量部である。酸化チタンの使用量が1質量部未満だとモルタル硬化体の隠ぺい性が十分でなく、逆に30質量部を超えると主材と混和液との混合物を塗付する場合に粘りが強く作業性が低下するおそれがある。セメント自身が不透明であるため合成樹脂塗料に酸化チタンを用いる場合とは異なり、比較的少量の酸化チタンで十分な隠ぺいを得ることができる。
【0022】
前記繊維はガラス繊維に限定されず、例えばアクリル樹脂繊維、ビニロン樹脂繊維等の合成樹脂繊維、鉄、SUS等の金属繊維等を用いても良い。
【0023】
前記粉末消泡剤の他に、粉末防藻剤、ステアリン酸金属塩等の粉末撥水剤、凝結遅延剤、膨張剤等を用いても良い。
【0024】
前記混和液は合成樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、バーサチック酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2以上を混合して用いても良い。また2以上の単量体を共重合して用いても良い。これらのうち、スチレンアクリル共重合樹脂エマルジョンを用いることが最も好ましい。スチレンアクリル共重合樹脂エマルジョンを用いることにより、モルタル硬化体の吸水を抑制することができるため白華の発生を抑制することができる。
【0025】
前記合成樹脂はエマルジョンの形態で用いることが好ましい。合成樹脂としてエマルジョンを用いることにより、合成樹脂エマルジョンに含まれる水がセメントと水和硬化するため緻密なモルタル硬化体を得ることができる。
【0026】
前記合成樹脂エマルジョンの平均粒子径は好ましくは120~400nm、より好ましくは180~350nmである。この範囲にあるとき、合成樹脂エマルジョンの粒子がセメント粒子同士の隙間に侵入し、モルタル硬化体の吸水による白化を抑制することができるとともに、混練後硬化前のモルタル組成物の流動性が向上する。
【0027】
前記混和液のB型粘度計で測定した場合の粘度は20rpmで10~40Pa・sであることが好ましく、15~30Pa・sであることがより好ましい。この範囲にあるとき、主材と混和液との混練時に生じる塊を低減することができる。この塊は主材の粉末が凝集して生じていることが多い。混和液が適度な粘度を有することにより、混練時の剪断力によって主材粉末の塊がほぐれやすくなる。
【0028】
前記合成樹脂のガラス転移点は好ましくは10~35℃、より好ましくは15~30℃である。この範囲にあるとき、モルタル硬化体の吸水防止効果に優れるとともに白華の生成を抑制することができる。
【0029】
前記合成樹脂のガラス転移点が10~35℃である場合には、造膜助剤を用いることが好ましい。
【0030】
前記造膜助剤の使用量は、合成樹脂エマルジョンの不揮発分100質量部に対して20~70質量部であることが好ましく、合成樹脂のガラス転移点の数値の1.5~2.5倍の質量を配合することがさらに好ましい。この範囲にあるとき、モルタル硬化体に適度な柔軟性を付与することができるとともに、モルタル硬化体の吸水を抑制することができるため、二次白華の生成を抑制することができるとともに耐水白化を生じにくくすることができる。このように配合されたガラス転移点が10~35℃である合成樹脂エマルジョンの造膜温度は0℃未満、特にマイナス5℃未満である。造膜助剤は通常、合成樹脂エマルジョンの造膜性を向上させるために用いられ、冬季を想定して造膜温度が水の凍結温度である0℃~5℃となるように配合されることが多いが、本発明においては過剰の造膜助剤を配合することにより、モルタル硬化体の吸水を抑制することができるため、二次白華の生成を抑制することができるとともに耐水白化を生じにくくすることができる。
【0031】
前記造膜助剤は2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチラート(沸点255℃)に限定されず、他の造膜助剤を用いることができる。例えば、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(沸点281℃)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(沸点230℃)等が挙げられる。これらのうち、沸点が250℃以上であるものを用いることがより好ましい。沸点が250℃以上の造膜助剤を用いることにより硬化前のモルタル組成物中の水分が急激に揮発することを抑制し、湿気養生のような状態を作り出すことで緻密なモルタル硬化体を形成することができる。
【0032】
前記主材と混和液との混合比率は主材100質量部に対して混和液が50~200質量部であることが好ましい。
【0033】
前記主材100質量部に対する混和液中の合成樹脂不揮発分は好ましくは20~100質量部、より好ましくは30~50質量部である。この範囲にあるとき、モルタル硬化体から生じる白華の抑制効果に優れる。主剤100質量部に対する合成樹脂不揮発分が20質量部未満の場合にはモルタル硬化体の白華が顕著になり、逆に100質量部を超える場合には相対的なセメント量が減少するため、緻密なモルタル硬化体が形成されにくい。
【0034】
前記セメント100質量部に対する、混和液中の水分と混練時の加水量との合計は、好ましくは60~250質量部であり、より好ましくは100~150質量部である。セメントの水和反応に必要な水の量は理論値で約25質量%であり過剰な水が存在すると空隙が生じてひび割れなどの原因になるとされているが、本発明のモルタル組成物においては過剰な水分を混錬することにより急激な乾燥を生じにくい湿気養生のような状態を作り出していると考えている。250質量部を超える場合には水分が多すぎて空隙が生じ、ひび割れが生じやすくなるとともにモルタル硬化体の一次白華が顕著になる。
【0035】
前記混和液には体質顔料を混合しても良い。体質顔料としては例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0036】
前記混和液には、通常の混和液に使用される添加剤を混合しても良い。例えば、防腐剤、防藻防黴剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、pH調整剤、繊維等が挙げられる。
【0037】
以上のように構成されたモルタル組成物の主材及び混和液は、以下のように使用される。
モルタル組成物の主材10kgと粘度23Pa・sの混和液10kgとをモルタルミキサーを用いて2分間混錬し、さらに1kgの水を加えて1分間混錬した。その後、施工器具としての多孔質ローラー(砂骨ローラー)を用いて塗付量1.5kg/mでコンクリートとしての住宅基礎の表面に塗付し、該基礎に凹凸状の意匠を付与した。屋外環境で16時間経過後にコンクリート色のモルタル硬化体となった。
【0038】
前記混練はモルタルミキサーに限定されず、例えば練り鉢等で手練りしても良いし、塗料分散用の強い剪断がかかるミキサーを用いても良い。また、モルタルミキサーは移動式のタイヤが設けられているものでも、両手で持って混錬するハンドミキサーでもよく、特に限定されない。本発明のモルタル組成物によればモルタルミキサーや手練り等の弱い力で混錬しても塊が生じにくい。
【0039】
前記混練時間は特に限定されず均一に混練される時間であれば良い。本発明のモルタル組成物によれば塊が生じにくいので数分程度で均一に混錬することができる。
【0040】
前記混練時の加水量は混和液中の水分量との合計が、主材中のセメント100質量部に対して250質量部以下になる範囲であれば任意に設定することができる。意匠性の観点からは主材と混和材との合計100質量部に対して0~10質量部であることが好ましく、2~7質量部であることがより好ましい。
【0041】
前記施工器具は多孔質ローラーに限定されず、通常の塗装器具または左官器具を用いることができる。例えば、ウールローラー、刷毛、鏝、ヘラ等が挙げられる。
【0042】
前記塗付量は好ましくは0.5~3kg/m、より好ましくは1~2kg/mである。この範囲にあるとき、コンクリートに生じている巣穴やひび割れを埋めるのに十分な塗付量となるとともに、コンクリートに十分な防水性を付与することができる。
【0043】
前記コンクリートは住宅基礎に限定されない。例えば、外壁、内壁、床、天井、屋上等の建築物、橋脚、擁壁等の土木構造物等でも良い。
【0044】
前記意匠は施工器具によって任意に設定することができる。凹凸状、平滑状でも良い。
【0045】
前記硬化時間は使用するセメントの種類や凝結促進剤、凝結遅延剤等の添加剤等によって調整することができる。
【0046】
前記モルタル硬化体の色はコンクリート色に限定されない。使用する着色顔料の組み合わせによって任意に設定することができる。
【0047】
前記モルタル硬化体は上塗り材を塗布せずにそのままで仕上げ層とすることができる。
【0048】
前記モルタル硬化体の表面には上塗り材としての合成樹脂塗料を塗装しても良い。合成樹脂塗料は着色されていても良いし、無色透明でも良い。市販されている通常の塗料を用いることができる。
【0049】
このようにして施工されたセメントモルタル硬化体は白化や白華が生じにくく、上塗り塗装を省略しても美観に優れた状態を長期にわたって保持することができる。
【0050】
以下、実施例及び比較例により本発明の効果を説明する。
表1に示す組成のセメントモルタル組成物について主材と混和液とをモルタルミキサーにより3分間混合し、さらに表1に示す水を加えて1分間混合した。続いて、幅300mm×長さ300mm×厚さ50mmのコンクリート平板の表面に多孔質ローラーを用いて塗付量1.5kg/mで塗付して23℃50RH%の恒温恒湿槽内で16時間及び28日間放置して試験体とした。
【0051】
一次白華性試験は、塗付後28日間放置した試験体を外観観察することにより行った。評価は、試験体表面に白い結晶が現れていないものを◎、白い結晶が現れている面積が試験体表面の1%未満であるものを〇、白い結晶が現れている面積が試験体表面の1%超5%未満であるものを△、白い結晶が現れている面積が試験体表面の5%超であるものを×とした。
【0052】
二次白華性試験は、塗付後16時間放置した試験体を下半分だけ水中に2週間浸漬した後に外観を観察することにより行った。図1に示すように、このように浸漬すると未反応のカルシウムが水面付近で帯状に析出しやすくなる。評価は、白い結晶が現れていないものを◎、白い結晶がわずかに帯状に現れているものを〇、白い結晶が帯状にはっきりと現れているものを△、白い結晶が浸水部分全面に現れているものを×とした。
【0053】
耐水白化性試験は、塗付後16時間放置した試験体を水中に2週間浸漬した後に50℃で24時間乾燥させ、水中浸漬した試験体と水中浸漬を行わなかった試験体との色調変化を観察することにより行った。評価は、両者の色調変化がほとんどないものを◎、両者隔離すると分からないが横に並べると色の違いが分かるものを〇、両者を隔離した状態で白化していると分かるものを△、両者を比較しなくとも白化していると判別できるものを×とした。
【0054】
【表1】
図1