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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020573
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】ホース
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
F16L11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124050
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000134534
【氏名又は名称】株式会社トヨックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 直人
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA01
3H111BA10
3H111BA25
3H111BA29
3H111CA03
3H111CA47
3H111CB02
3H111CB14
3H111CC07
3H111DB02
3H111EA17
3H111EA19
(57)【要約】
【課題】補強用の金属の加工工程を簡素化して所望の結合強度を実現したホースを提供すること。
【解決手段】ホース10は、帯状の可撓性シート材12が外周面に略螺旋状に巻回されたホース10であって、ホース10の延在方向D1において互いに隣接する可撓性シート材12の一方側の左側縁部12Lと他方側の右側縁部12Rとの間を連結する帯状の第1補強芯21及び第2補強芯22と、を含み、延在方向D1に沿った断面に視て、左側縁部12Lが略S字状に折り曲げられるとともに右側縁部12Rが左側縁部12Lと対向するように略逆S字状に折り曲げられ、第1補強芯21は、延在方向D1に沿った断面が延在方向D1を長手方向とする略長方形状であるとともに左側縁部12Lと右側縁部12Rとの間に囲まれるように挟持され、第2補強芯22は、延在方向D1に沿った断面が略C字状であるとともに左側縁部12Lと右側縁部12Rとを囲むように挟持する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する帯状のシート材が外周面に略螺旋状に巻回されたホースであって、
前記ホースの延在方向において互いに隣接する前記シート材の一方側の側縁部と他方側の側縁部との間を連結する帯状の第1連結部材及び帯状の第2連結部材と、を含み、
前記延在方向に沿った断面に視て、前記一方側の側縁部が略S字状に折り曲げられるとともに前記他方側の側縁部が前記一方側の側縁部と対向するように略逆S字状に折り曲げられ、
前記第1連結部材は、前記延在方向に沿った断面が前記延在方向を長手方向とする略長方形状であるとともに前記一方側の側縁部と前記他方側の側縁部との間に囲まれるように挟持され、
前記第2連結部材は、前記延在方向に沿った断面が略C字状であるとともに前記一方側の側縁部と前記他方側の側縁部とを囲むように挟持する、
ことを特徴とするホース。
【請求項2】
前記第1連結部材及び前記第2連結部材の少なくとも一方は、前記シート材と当接する面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記シート部材は、前記一方側の側縁部と前記他方側の先端部が当接されていることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項4】
前記第1連結部材は、前記長手方向の両端面が前記一方側の側縁部及び前記他方側の側縁部に夫々食い込む形で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項5】
非自吸式の主ポンプと、前記主ポンプの上流側に設けられ、先端部に主ポンプ側吸込口を有する主ポンプ側ラインと、自吸式の少なくとも1つの補助ポンプと、前記補助ポンプの上流側に設けられ、先端部に補助ポンプ側吸込口を有する補助ポンプ側ラインと、移送物と水とを分別する分別装置に接続された吐出ラインと、を含み、前記補助ポンプ側ラインは、前記主ポンプ側ラインに接続されて前記主ポンプ側ライン内を真空吸引し、前記主ポンプの下流側が前記吐出ラインに接続されているポンプシステムにおいて、
前記主ポンプ側ラインと前記補助ポンプ側ラインと前記吐出ラインの少なくとも1つに使用される請求項1~4のいずれか1項に記載のホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量かつ柔軟性の高い流体を流すホースに関する。特に主として、鮮魚、小魚などの移送物を、水(あるいは海水)を搬送媒体に用いた移送する移送ポンプシステムで使用されるホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移送物、養殖魚、魚類の陸揚げ、あるいは集魚槽、集魚網等からの漁船、母船への揚魚作業においては、移送物移送ポンプ、所謂フィッシュポンプが広く、一般的に用いられてきた。現在、この移送ポンプシステムとして、一般的に使用されている揚魚装置は、大別して、1.いわゆる魚ポンプと呼ばれるブレードレスポンプや噴流式ポンプにより、水と共に移送する方式と、2.密閉タンクを真空ポンプで減圧し、一旦密閉タンク内に吸い上げ、次いで加圧ポンプにより吐出側逆止弁及び吐出管を介して吐出させる吸入圧送方式が知られている。
【0003】
上記1の方式は、ブレードレスポンプや噴流ポンプの中を移送物が水と一緒に通過しなければならないために、移送物が傷つくおそれがある。一方、上記2の方式では、真空で吸い上げるために、ポンプ中を移送物が通過することが必然でないために、鮮魚などが傷つく可能性は少ないが、機構が複雑になり、効率的な運転操作ができないことが多い。また、逆止弁などに、魚や木片などの異物が挟まることがしばしば起こる。
【0004】
更に、漁網の中に集めた鮮魚などは、漁網の中で密度が低い部分と高い部分がある場合に、吸い揚げ作業を連即して行われると、高密度の部分になると、鮮魚などが、吸揚管の細い部分で詰まり出し、吸揚作業の効率が下がり、ある場合には、吸込ができなくなったりする。このような場合、吸揚作業の低下ひいては鮮魚が詰まり傷つけられることがある。また、激しい場合には、作業停止して、挟まった鮮魚やその他の介在物を除去して、運転の再開しなければならない。また、一旦詰まった鮮魚、挟在物を取り除くには、作業が中断され、効率が著しく下がる。また、上記2の方式では、減圧した密閉タンク内に一旦吸入し、そして、空気を圧入して、吐出させるという面倒で複雑な機構を必要としている。
【0005】
かかる構成を有するフィッシュポンプ用のホースは、従来から種々の構成が知られている。例えば、下記特許文献1は、鋼板の補強芯を用い、内面板と、その両端側から内側に180゜折り曲げられた保持板と、この保持板の先端にさらに内面板に向けて鋭角に折り返した折曲板を有している。この折曲板に係合突起を形成しシート材を弾性的に挟持する。また、下記特許文献2では、鋼板の補強芯を用い、内面板と、その両端側から内側に180゜折り曲げられた保持板と、この保持板の先端にさらに内面板に向けて略直角に折り曲げた押圧片を有し、内面板と保持板と押圧片で囲まれる空間にシート材のU字状折り返し部を配し、さらに線条体を内包させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-5858号公報
【特許文献2】特開平11-37358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基本的な課題は、軽量、柔軟な作業者や設置部位において扱いやすい、動かしやすいホースを提供することである。流れる流体としては気体または液体、それらに固体が混ざったものが想定される。特に、使用が好ましい例としては、鮮魚、小魚など傷つき易い移送物を、水または海水を搬送媒体に用いて、効率的に移送する移送ポンプシステムに適したホースを実現することである。また、上記特許文献1及び特許文献2に開示される従来のフィッシュポンプ用のホースでは、ホース補強芯は帯状の鋼板の両端部を夫々二重に折り返している。折り返し角度が大きいだけでなく、折り返し方向も内側に向けて行っており、製造工程も複雑になる。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、補強用の金属の加工工程を簡素化して所望の結合強度を実現したホースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明のホースは、可撓性を有する帯状のシート材が外周面に略螺旋状に巻回されたホースであって、前記ホースの延在方向において互いに隣接する前記シート材の一方側の側縁部と他方側の側縁部との間を連結する帯状の第1連結部材及び帯状の第2連結部材と、を含み、前記延在方向に沿った断面に視て、前記一方側の側縁部が略S字状に折り曲げられるとともに前記他方側の側縁部が前記一方側の側縁部と対向するように略逆S字状に折り曲げられ、前記第1連結部材は、前記延在方向に沿った断面が前記延在方向を長手方向とする略長方形状であるとともに前記一方側の側縁部と前記他方側の側縁部との間に囲まれるように挟持され、前記第2連結部材は、前記延在方向に沿った断面が略C字状であるとともに前記一方側の側縁部と前記他方側の側縁部とを囲むように挟持する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補強用の金属の加工工程を簡素化して所望の結合強度を実現したホースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るホースが用いられる移送ポンプシステムの原理と系統を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るホースが用いられる移送ポンプシステムの構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るホースが用いられる移送ポンプシステムにおける補助ポンプ近傍の断面構成を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るホースの外観を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るホースの部分断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るホースにおける帯状補強芯の断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るホースの製造に用いられるローラ装置を概念的に示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るホースの製造工程を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態に係るホースにおける帯状補強芯の各変形例を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態に係るホースにおける帯状補強芯の各変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るホース10が用いられる移送ポンプシステム100の原理と系統を示す模式図である。図1に示すように、移送ポンプシステム100は、例えば漁船Sに搭載されるものであり、吸揚ライン(主ポンプ側ライン)L1が引き出された吸揚ポートP1、吸込ライン(補助ポンプ側ライン)L2が引き出された吸込ポートP2、吐出ラインL3が引き出された吐出ポートP3、空気抜きラインL4が引き出された空気抜きポートP4、の4つの引き出しポートを有している。
【0012】
また、移送ポンプシステム100には、注水ラインL5が接続されている。移送ポンプシステム100の外壁部には、ドレンコック102が設けられている。本実施形態のホース10は、移送ポンプシステム100において、吸揚ラインL1、吸込ラインL2、吐出ラインL3、のうち少なくとも1つに使用される。
【0013】
図2に示すように、移送ポンプシステム100の内部には、非自吸式の主ポンプ110と、自吸式の(真空吸引能力を有する)補助ポンプ120が設けられている。主ポンプ110の上流側には、吸揚ラインL1が接続されている。吸揚ラインL1の経路上には、圧力センサ112が設けられている。主ポンプ110の下流側には、吐出ラインL3が接続されている。吐出ラインL3の経路上には、逆流防止弁130が設けられている。吐出ラインL3は、移送ポンプシステム100の外部において、魚と水とを分別するための分別装置140に接続されている(図1参照)。
【0014】
図2に示すように、補助ポンプ120の上流側には、注水ラインL5及び排気ラインL6が枝分かれして伸びるように接続されている。排気ラインL6は、吐出ラインL3の経路上まで伸びて接続されている。排気ラインL6は、途中で枝分かれして伸びており、その先端に逆流防止弁150が設けられている。逆流防止弁150には、吸込ラインL2の一端部が接続されている。吸込ラインL2の経路上には、開閉バルブ160が設けられている。また、吸込ラインL2は、開閉バルブ160の手前側で枝分かれしており、吸揚ラインL1に接続されている。
【0015】
図1に示すように、吸揚ラインL1の先端には、鮮魚などの移送物と水(海水)とを一緒に吸い込む吸揚口L1aが設けられている。吸込ラインL2の先端には、水のみを吸い込む多孔板の吸込面を有する吸込口L2aが設けられている。吸揚口L1aは、例えば海水W中の集魚網104の中に投入され、集魚網104で捕獲された鮮魚と海水Wを一緒に吸い揚げる。一方、吸込口L2aは、集魚網104の中ではなく、魚がいない海水W中に投入される。
【0016】
移送ポンプシステム100では、主ポンプ110内を真空吸引できるように、主ポンプ110の上流側に設けられた吸揚ラインL1に、上述したように補助ポンプ120の上流側に設けられた吸込ラインL2が接続されている。そして、鮮魚と海水Wを一緒に吸い揚げる吸揚操作の開始時には、主ポンプ110内が、吸込ラインL2を通じて補助ポンプ120により減圧される。これにより、吸揚操作が容易に開始され、効率的に吸揚操作を行うことができる。主ポンプ110の下流側は、移送物を含む海水が吐出される吐出ラインL3に接続されており、鮮魚と海水が一緒にされて吐出ラインL3を通じて分別装置140まで移送される。
【0017】
ここで、図3に示すように、補助ポンプ120は、ハウジング122の内部にゴムインペラ124が設けられた構成となっている。補助ポンプ120は、それ自身が真空吸引能力を有しており、ゴムインペラ124が回転することにより摩擦熱が生じることを防止するために、冷却機構が必要とされる。これに対し、移送ポンプシステム100では、注水ラインL5が雑用水から注水するようになっており、吸揚操作の初期段階においてのみ、注水ラインL5を通じて補助ポンプ120に冷却水が注水される。これにより、ゴムインペラ124とハウジング122の間に水の封膜が形成され、補助ポンプ120において、より高い真空度を得ることができる。なお、注水ラインL5を通じた冷却水の注水量は、微量で足りる。仮に他に注水ポンプがない場合には、別途注水ポンプを設けることにより、摩擦熱が生じる問題を解決することができる。
【0018】
本実施形態で例示するような移送ポンプシステム100では、一般的に、補助ポンプ120に接続された開閉バルブ160は、移送ポンプシステム100による吸揚操作の開始時に、真空引きを行うために閉状態としておくことにより、真空引きの時間を短縮することができる。ただし、比較的傷が付き易い小魚を吸い揚げる場合には、傷が付くことを回避するためにゆっくりと吸い揚げる必要があるため、吸揚操作の開始時に開閉バルブ160を開状態のままにしてもよい。
【0019】
吸揚操作で吸い揚げる鮮魚と海水(水)の比率については、一般的には、鮮魚より海水を若干多くする方が、操作上、好都合である。しかしながら、集魚網104の中から鮮魚を吸い揚げる際に魚の状況がつかめない状態となった場合には、図1及び図2に示すような構成とされた本実施形態の移送ポンプシステム100を用いて海水のみを直接吸い込む吸込ラインL2を設けることにより、比較的に簡単な構成で、吸揚操作で吸い揚げる鮮魚と海水(水)の比率を最適な比率に保持することができる。
【0020】
次に、本実施形態に係るホース10の構成について説明する。図4及び図5に示すように、ホース10は、筒軸方向を延在方向D1として延在しており、帯状に形成された可撓性シート材(シート材)12が螺旋状に巻回され、その延在方向D1において互いに隣接する可撓性シート材12の側縁部14L,14R(図3参照)が金属製の帯状体である帯状補強芯(第1連結部材、第2連結部材)20で連結されることにより構成されている。可撓性シート材12は、例えば、アルミニウムやステンレス、ガラスウール、アルミガラスクロス(ガラスクロスにアルミラミネートした構造)により構成される。
【0021】
図6は、帯状補強芯20の構成を示す拡大断面図であり、ホース10の延在方向D1に沿った断面であって図5において円形状の破線で囲った部分の拡大断面図である。図6に示すように、互いに隣接する可撓性シート材12のうち、左側の側縁部(以下、「左側縁部12L」という。)は、図6に示す断面に視て略逆S字状に折り曲げられて形成されており、右側の側縁部(以下、「右側縁部12R」という。)は、図6に示す断面に視て略S字状に折り曲げられて形成されている。さらに、左側縁部12Lの先端部(以下、「左先端部12L1」という。)と右側縁部12Rの先端部(以下、「右側端部12R1」という。)が互いに相手側を向くように配置され、かつ、端面同士が当接する形で突き合わされている。なお、左先端部12L1と右側端部12R1は、オーバーラップされていてもよいし、両者の間に隙間が設けられていてもよい。
【0022】
図6に示すように、帯状補強芯20は、第1補強芯(第1連結部材)21と第2補強芯(第2連結部材)22とを含んでいる。第1補強芯21は、略逆S字状とされた左側縁部12Lと略S字状とされた右側縁部12Rとが互いに向かい合っていることで形成される空間14内に配置されている。第1補強芯21は、平板状、詳しくは図6に示すホース10の延在方向D1に沿った断面が延在方向D1を長手方向とする略長方形状となっており、例えば、厚さ0.3mm程度の鋼板又はステンレス板により形成されている。第1補強芯21のホース10の延在方向における両端部21aは、それぞれ可撓性シート材12に食い込むように形成されている。これにより、可撓性シート材12と第1補強芯21との間の連結強度が向上されている。
【0023】
第2補強芯22は、ホース10の外側方向に開放された略C字状であるとともに、略逆S字状の左側縁部12Lと略S字状の右側縁部12Rとを外側から包囲かつ挟持する形で可撓性シート材12に対して結合されている。これにより、第1補強芯21についても可撓性シート材12を介して第2補強芯22により外側から包囲された形となっている。第2補強芯22のホース10の延在方向における両端部22aは、第1補強芯21と同様に、それぞれ可撓性シート材12に食い込むように形成されている。第2補強芯22は、第1補強芯21と同様に、厚さ0.3mm程度の鋼板又はステンレス板により形成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係るホース10の製造方法について説明する。ホース10の製造工程では、図7に示すような専用のローラ装置50が用いられる。図7に示すように、ローラ装置50は、径方向に対向配置された複数の第1成形ローラ51と、同心円状に隣接して配置された複数の第2成形ローラ52とを備えている。各第1成形ローラ51は、第2補強芯22を搬送しつつ後述する第2補強芯22の成形を段階的に行うためのローラである。ホース10の製造過程では、第2補強芯22は矢印D2で示す方向に搬送され、第1補強芯21は矢印D3で示す方向に搬送され、可撓性シート材12は矢印D4で示す方向に搬送される。各第2成形ローラ52は、後述する図8に示す各加工工程を行うためのローラであり、搬送された第2補強芯22、第1補強芯21、可撓性シート材12が合流する位置に配置されている。ローラ装置50により製造されたホース10は、矢印D5で示す方向に搬送される。
【0025】
ホース10の製造過程では、ローラ装置50により図8に示す各加工工程が行われる。まず、図8(a)に示すように、加工前の平板状の第2補強芯22を準備する。次に、図8(b)に示すように、ローラ装置50の第1成形ローラ51を用いて、第2補強芯22の両側部22bを約45°立ち上げる。次に、図8(c)に示すように、他の第1成形ローラ51を用いて、両側部22bを略直角となるまでさらに立ち上げる。以上により、第2補強芯22の一次加工が終了する。
【0026】
次に、図8(d)に示すように、両側部22bが略直角に立ち上げられた状態の第2補強芯22の凹部の内面に沿わせるように、隣接する可撓性シート材12の左側縁部12L及び右側縁部12Rをそれぞれセットする。このとき、一方の可撓性シート材12の左側縁部12Lは略L字状に成形し、他方の可撓性シート材12の右側縁部12Rは逆略L字状に成形する。さらに、これらの成形された可撓性シート材12の左側縁部12L及び右側縁部12Rの上に、平板状の第1補強芯21をセットする。
【0027】
次に、図8(e)に示すように、第2補強芯22の両側部22bにおける上部(凹部の開口側の部分)を内側に45°折り曲げる。これにより、第2補強芯22の折り曲げられた部分の内側に重なっている可撓性シート材12の部分が、同様に内側に45°折り曲げられる。次に、図8(f)に示すように、図8(e)に示す工程で折り曲げた第2補強芯22の両側部22bにおける上部を、図6に示すように第2補強芯22が略C字状となるまで折り曲げて成形する。以上により、第2補強芯22の二次加工が終了し、ホース10の製造過程における帯状補強芯20の加工が終了する。
【0028】
以上の加工工程において、第2補強芯22の曲げ箇所は左右に1箇所ずつである(つまり、両側部22b)。これらの曲げ箇所の曲げ角度は180°であるが、両側部22bの間に可撓性シート材12の左側縁部12L及び右側縁部を介して第1補強芯21を挟んでいるため、加工工程において両側部22bを急激な角度で曲げる必要がない。従って、従来に比べて帯状補強芯20の加工工程を簡素化することができる。このようにして加工された帯状補強芯20を含むホース10は、その内面が平滑とされる。
【0029】
なお、第2補強芯22のうち可撓性シート材12と当接する面には、凹凸が形成されていてもよい。これにより、第2補強芯22と可撓性シート材12とが互いに滑り難くなり、両者の間の結合強度を高めることができる。このような凹凸を形成する方法としては、例えばブラスト処理を挙げることができる。また、可撓性シート材12は、平板状ではなく、蛇腹状の波状に形成したものを用いてもよい。また、本実施形態における空間14は、完全に閉鎖されている必要はなく、一部に隙間が形成されていてもよい。
【0030】
次に、本実施形態の各変形例について説明する。本実施形態における第1補強芯21は、平板状のものに限定されるものではなく、他の断面横長状の形状であってもよい。例えば、図9(a)に示す第1変形例に係るホース10Aのように、第1補強芯21Aの断面が波型に形成された構成としてもよい。また、図9(b)に示す第2変形例に係るホース10Bのように、第1補強芯21Bの断面を、平板状の上方に突起21B1が形成された構成としてもよい。この場合、突起21B1は、下方に向けて形成されてもよい。
【0031】
また、図9(c)に示す第3変形例に係るホース10Cのように、第1補強芯21Cの両端部21C1が180°折り返された構成としてもよい。この場合、両端部21C1の折り曲げ方向は、図9(c)に示すような下側だけでなく、上側であってもよい。また、図9(d)に示す第4変形例に係るホース10Dのように、第1補強芯21Dの断面を、平板状の下方に三角状の突起21D1が形成された構成としてもよい。
【0032】
また、図10(a)に示す第5変形例に係る第1補強芯21Eのように、第1補強芯21Eの四隅21E1にC面取り加工を施した構成としてもよい。また、図10(b)に示す第6変形例に係る第1補強芯21Fのように、第1補強芯21Fの四隅21F1にR加工を施した構成としてもよい。これらの第5変形例及び第6変形例に係る構成によれば、第1補強芯21E、21Fの四隅21E1、21F1により可撓性シート材12が傷付くことが抑制され、可撓性シート材12の破損を防止することができる。なお、平板状ではない形状とされた第1補強芯においても、その四隅を同様の構成とすることができる。第1補強芯21及び第2補強芯22の材質や厚みの選択は適宜行うことができ、同じ材質や厚みを選択してもよいし、異なる材質や厚みを選択してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るホース10は、可撓性を有する帯状の可撓性シート材12が外周面に略螺旋状に巻回されたホース10であって、ホース10の延在方向D1において互いに隣接する可撓性シート材12の一方側の左側縁部12Lと他方側の右側縁部12Rとの間を連結する帯状の帯状補強芯20(第1補強芯21及び第2補強芯22)と、を含み、延在方向D1に沿った断面に視て、左側縁部12Lが略S字状に折り曲げられるとともに右側縁部12Rが左側縁部12Lと対向するように略逆S字状に折り曲げられ、第1補強芯21は、延在方向D1に沿った断面が延在方向D1を長手方向とする略長方形状であるとともに左側縁部12Lと右側縁部12Rとの間に囲まれるように挟持され、第2補強芯22は、延在方向D1に沿った断面が略C字状であるとともに左側縁部12Lと右側縁部12Rとを囲むように挟持する。
【0034】
上記のような構成とされた本実施形態のホース10によれば、補強用の金属製の帯状補強芯20が、第1補強芯21と第2補強芯22とにより構成されている。また、螺旋状に巻回される可撓性シート材12の隣接する左側縁部12L及び右側縁部12Rは、略S字状の折り曲げ部と略逆S字状の折り曲げ部との組み合わせにより構成され、第1補強芯21及び第2補強芯22により連結される。第1補強芯21は、断面が横長状であり、複雑な加工工程を必要とすることがない。この第1補強芯21は、略S字状の折り曲げ部と略逆S字状の折り曲げ部とにより形成される閉鎖された空間14内に挟持され、さらにこれらを包囲するように略C字状の第2補強芯22が結合される。この第2補強芯22も折り曲げ箇所としては左右それぞれ1箇所で済むため、製造工程を簡素化することができる。
【0035】
このように第1補強芯21及び第2補強芯22を含む帯状補強芯20が用いられることにより、隣接する可撓性シート材12の結合緩みを抑制することができる。その結果、本実施形態のホース10では、補強用の金属の加工工程を簡素化して所望の結合強度を実現することができる。
【0036】
また、本実施形態のホース10を上述した移送ポンプシステム100に用いることにより、ホース10の内面が平滑であることから移送物の流れが乱れることが少なく、鮮魚や小魚のような傷が付き易い移送物を、水(あるいは海水)と一緒に、魚等の移送物がホース10の内壁に当接しても魚等の移送物に対して過大なストレスがかからない状態で移送物を効率的に移送することができる。
【0037】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
10、10A~10D ホース
12 可撓性シート材 12L 左側縁部
12R 右側縁部 12L1 左先端部
12R1 右先端部 14 空間
14L 側縁部 14R 側縁部
20 帯状補強芯
21、21A~21F 第1補強芯
21B1、21D1 突起
21C1 両端部
21E1、21F1 四隅
22a 両端部 22b 両側部
50 ローラ装置 51 第1成形ローラ
52 第2成形ローラ 100 移送ポンプシステム
102 ドレンコック 104 集魚網
110 主ポンプ 120 補助ポンプ
122 ハウジング 124 ゴムインペラ
130 逆流防止弁 140 分別装置
150 逆流防止弁 160 開閉バルブ
D1 延在方向 L1 吸揚ライン
L1a 吸揚口 L2 吸込ライン
L2a 吸込口 L3 吐出ライン
L4 空気抜きライン L5 注水ライン
L6 排気ライン P1 吸揚ポート
P2 吸込ポート P3 吐出ポート
P4 空気抜きポート S 漁船
W 海水
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