(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002058
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】複合梁、建築物、及び補強金具
(51)【国際特許分類】
E04C 3/292 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
E04C3/292
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101974
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】中林 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】白波瀬 真司
(72)【発明者】
【氏名】土方 和己
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】福元 大輝
(72)【発明者】
【氏名】江南 桃
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB02
2E163FC02
2E163FF03
(57)【要約】
【課題】天井にカーテンボックス等の設備を好適に配置できる複合梁、建築物、及び補強金具を提供する。
【解決手段】複合梁10は、建築物の軸組みの一部を構成する複合梁10であって、第1端面21と、長手方向X1において第1端面21とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材20と、第3端面34と、長手方向X2において第3端面34とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材30と、を備える。第2梁部材30は、第1梁部材20の下面20Yよりも下において第1梁部材20に沿うように配置されるとともに、第1梁部材20に結合される。第1梁部材20の長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも内側に位置し、かつ、第4端面は、第2端面よりも内側に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の軸組みの一部を構成する複合梁であって、
第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、
第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、
前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、
前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、かつ、前記第4端面は、前記第2端面よりも内側に位置する、
複合梁。
【請求項2】
前記第1梁部材は、木材によって構成され、
前記第2梁部材は、鋼材によって構成される、
請求項1に記載の複合梁。
【請求項3】
前記第2梁部材を前記第1梁部材に結合する複数の第1金具をさらに備え、
前記第1金具は、前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面と、に接続される、
請求項1に記載の複合梁。
【請求項4】
前記第1金具は、
前記第1梁部材と前記第2梁部材との間に配置される第1プレートと、
前記第1梁部材に形成される第1挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第1突出部と、
前記第2梁部材に形成される第2挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第2突出部と、を有する、
請求項3に記載の複合梁。
【請求項5】
前記第1梁部材の前記長手方向において、前記複合梁の端部付近に配置される前記第1金具同士の間隔は、前記複合梁の中央部付近に配置される前記第1金具同士の間隔よりも狭い、
請求項3に記載の複合梁。
【請求項6】
第2金具をさらに備え、
前記第2金具は、
前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合される第1結合部と、
前記第2梁部材の前記第3端面に結合される第2結合部と、を有する、
請求項1に記載の複合梁。
【請求項7】
前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面との間に隙間が設けられる、
請求項1に記載の複合梁。
【請求項8】
建築物であって、
桁、梁、または柱である構造材と、
前記構造材に接続される複合梁と、
前記複合梁の端部付近に配置される設備と、を備え、
前記複合梁は、
前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、
前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、
前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、
前記設備は、前記構造材と前記第3端面との間に配置される、
建築物。
【請求項9】
建築物であって、
桁、梁、または柱である構造材と、
前記構造材に接続される複合梁と、を備え、
前記複合梁は、
前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、
前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、
前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、
前記構造材と前記第3端面との間には、設備が配置可能である配置空間が設けられる、
建築物。
【請求項10】
複合梁に設けられる補強金具であって、
前記複合梁は、
第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、
第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、
前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置され、
前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、
前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合するとともに、前記第3端面に結合する、
補強金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合梁、建築物、及び補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の強度向上のため、木製梁と木製柱とを含む構造躯体自体を強化する技術が知られている。例えば、特許文献1に開示される構造躯体は、複数の木製柱と、複数の木製柱間に架け渡された木製梁と、木製梁の下面に沿って配置されるとともに、端部が木製梁と接合される鋼補強材と、を備える。鋼補強材の端部は、木製柱の側面に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物の天井に設備を設置する場合がある。設備の一例は、カーテンボックスである。例えば、壁際にカーテンボックスを設置する場合に、カーテンボックスが梁の下面に取り付けられると、カーテンボックスが天井面から下に出っ張るため、カーテンボックスによって水平方向における天井面の連続性が失われてしまう。このように、梁が設けられる天井裏の空間には、設備を好適に設置し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する複合梁は、建築物の軸組みの一部を構成する複合梁であって、第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、かつ、前記第4端面は、前記第2端面よりも内側に位置する。
【0006】
この構成によれば、第1梁部材の第1端面が、建築物を構成する構造材に接続される場合に、構造体と第3端面との間に空間が設けられる。また、第1梁部材の第2端面が、建築物を構成する構造材に接続される場合に、構造体と第4端面との間に空間が設けられる。構造体と第3端面との間の空間、または構造体と第4端面との間の空間に設備を配置できるため、天井に設備を好適に配置できる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の複合梁において、前記第1梁部材は、木材によって構成され、前記第2梁部材は、鋼材によって構成される。この構成によれば、第2梁部材が木材である場合と比べて、複合梁の強度を向上できる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の複合梁において、前記第2梁部材を前記第1梁部材に結合する複数の第1金具をさらに備え、前記第1金具は、前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面と、に接続される。この構成によれば、複数の第1金具によって、第1梁部材の下面と、第2梁部材の上面と、を接続できるため、第1梁部材と第2梁部材とのずれを好適に抑制できる。
【0009】
(4)上記(3)に記載の複合梁において、前記第1金具は、前記第1梁部材と前記第2梁部材との間に配置される第1プレートと、前記第1梁部材に形成される第1挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第1突出部と、前記第2梁部材に形成される第2挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第2突出部と、を有する。この構成によれば、第1突出部が第1梁部材の第1挿通孔に挿通され、かつ、第2突出部が第2梁部材の第2挿通孔に挿通されることによって、第1梁部材と第2梁部材とのずれを、より好適に抑制できる。
【0010】
(5)上記(3)または(4)に記載の複合梁において、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記複合梁の端部付近に配置される第1金具同士の間隔は、前記複合梁の中央部付近に配置される第1金具同士の間隔よりも狭い。この構成によれば、複合梁の中央部付近の第1金具の数を減らせるため、複合梁の組立作業を効率化できる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の複合梁において、第2金具をさらに備え、前記第2金具は、前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合される第1結合部と、前記第2梁部材の前記第3端面に結合される第2結合部と、を有する。この構成によれば、第2金具によって、第1梁部材の下面のうちの第1梁部材端部下面と第2梁部材の第3端面とを接続できるため、第1梁部材と第2梁部材とのずれを好適に抑制できる。
【0012】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の複合梁において、前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面との間に隙間が設けられる。この構成によれば、第1梁部材の下面と、第2梁部材の上面との間の隙間を空気が通り抜けできるため、第1梁部材と第2梁部材との腐食等を抑制できる。
【0013】
(8)上記課題を解決する建築物は、建築物であって、桁、梁、または柱である構造材と、前記構造材に接続される複合梁と、前記複合梁の端部付近に配置される設備と、を備え、前記複合梁は、前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記設備は、前記構造材と前記第3端面との間に配置される。この構成によれば、構造材と第3端面との間の空間に設備が配置されている。これによって、天井から設備の一部が下方に出っ張ることを抑制でき、または、下方への出っ張りの寸法を小さくできる。
【0014】
(9)上記課題を解決する建築物は、建築物であって、桁、梁、または柱である構造材と、前記構造材に接続される複合梁と、を備え、前記複合梁は、前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記構造材と前記第3端面との間には、設備が配置可能である配置空間が設けられる。この構成によれば、配置空間に設備を配置できるため、天井に設備を好適に配置できる。
【0015】
(10)上記課題を解決する補強金具は、複合梁に設けられる補強金具であって、前記複合梁は、第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置され、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合するとともに、前記第3端面に結合する。この構成によれば、補強金具によって第2梁部材の第3端面が第1梁部材端部下面に接続されるため、第3端面を構造材に接続する必要がない。第1梁部材の第1端面が建築物の構造材に接続される場合に、構造材と第3端面との間に生じる空間に設備を配置できるため、天井に設備を好適に配置できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の複合梁、建築物、及び補強金具は、天井にカーテンボックス等の設備を好適に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
図1から
図6を参照して、実施形態に係る建築物1、複合梁10、及び補強金具60について説明する。
【0019】
<建築物>
図1は、建築物1の一例を示す模式図である。建築物1として、戸建ての住宅、集合住宅、及び公共施設が挙げられる。本実施形態における建築物1は、戸建ての住宅である。建築物1は、第1空間S1と、第1空間S1と連通する第2空間S2と、を有する。第1空間S1は、例えば、建築物1の室内空間である。第1空間S1の一例は、リビング、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋等の部屋である。第2空間S2は、例えば、建築物1の室外空間である。第2空間S2の一例は、ピロティである。第2空間S2は、第1空間S1とは異なる室内空間であってもよい。建築物1は、第1空間S1に配置される第1天井2と、第2空間S2に配置される第2天井3と、を有する。
【0020】
建築物1は、構造材4と、複合梁10と、設備5と、を備える。構造材4は、建築物1の軸組みの一部を構成する。構造材4と複合梁10とは、建築物1の構造躯体の一部を構成する。本実施形態では、構造材4は、桁4Aである。桁4Aは、建築物1の壁6を構成する軸組みの一部である。壁6は、第1空間S1と第2空間S2との間に位置する。構造材4は、第1空間S1において、桁4Aの反対側に位置する追加桁4Bを有してもよい。桁4Aから追加桁4Bまでの距離D1は、例えば、6.5m以上かつ7.5m以下である。距離D1は、5.5m以上かつ6.5m以下でもよい。距離D1は、4.5m以上かつ5.5m以下でもよい。距離D1は、3.5m以上かつ4.5m以下でもよい。
【0021】
設備5は、第1空間S1に露出するように、第1天井2に取り付けられる。設備5は、例えば、カーテンケースである。カーテンケースには、カーテンレールが収容される。カーテンレールは、カーテン自動開閉用のレールであってもよい。設備5は、天井に取り付けられる器材であればよい。設備5は、間接照明でもよい。
【0022】
設備5は、複合梁10の端部11付近に配置される。設備5は、桁4Aの周辺に配置される。建築物1は、追加桁4Bの周辺に配置される追加設備5Aを有してもよい。追加設備5Aは、設備5が配置される端部11とは反対側の端部11付近に配置される。設備5と追加設備5Aとは、それぞれ異なる器材であってもよい。追加設備5Aは、配置されなくてもよい。
【0023】
<複合梁>
図1に示されるように、複合梁10は、建築物1の軸組みの一部を構成する。複合梁10は、第1天井2に配置される。複合梁10は桁4Aと追加桁4Bとの間にわたって配置される。複合梁10は、構造材4に接続される。複合梁10は、桁4Aと追加桁4Bとに接続される。建築物1は、
図1の紙面手前から紙面奥に向かう方向に並ぶように複数の複合梁10を有してもよい。
【0024】
図2に示されるように、長手方向X1において、複合梁10は、端部11と、中央部12と、を有する。複合梁10の端部11は、第1端部11Aと、第1端部11Aとは反対側の第2端部11Bと、を含む。複合梁10の長さLは、桁4Aから追加桁4Bまでの距離D1に合せて設定される。長さLは、例えば、6.5m以上かつ7.5m以下である。長さLは、5.5m以上かつ6.5m以下でもよい。長さLは、4.5m以上かつ5.5m以下でもよい。長さLは、3.5m以上かつ4.5m以下でもよい。
【0025】
複合梁10は、2本の梁部材が組み合わせられて構成される。梁部材は、長手方向X1に沿って延びる。2本の梁部材の一方の材料は、2本の梁部材の他方の材料と異なる。複合梁10は、第1梁部材20と、第2梁部材30と、を備える。
【0026】
<第1梁部材>
第1梁部材20は、木材によって構成される。木材は、例えば、無垢材であってもよく、集成材であってもよい。第1梁部材20は、例えば、同一等級構成集成材によって構成されてもよい。第1梁部材20が同一等級構成集成材によって構成される場合、第1梁部材20は、ひき板の積層方向が上下方向に沿うように配置される。
【0027】
第1梁部材20は、第1端面21と、長手方向X1において第1端面21とは反対側の第2端面22と、を有する。第1端面21は、構造材4の側面4Zに接続される。本実施形態では、構造材4の側面4Zは、桁4Aの側面である。第2端面22は、追加桁4Bの側面に接続される。第1梁部材20の第1長さL1が、第1梁部材20の長手方向X1における第1端面21から第2端面22までの長さとして定義される。第1梁部材20の第1長さL1は、複合梁10の長さLと同じである。
【0028】
図3に示されるように、第1梁部材20は、第1支持金具7及び第2支持金具8によって構造材4に接続される。第1支持金具7は、第1支持金具本体7Aと、第1支持金具本体7Aと一体に形成される2つのスリット挿入部7Bとを有する。第1支持金具本体7Aは、構造材4の側面4Zと、第1梁部材20の第1端面21と、に接する板状部を有する。スリット挿入部7Bは、第1支持金具本体7Aに直交するように延びる板状部を有する。スリット挿入部7Bは、第1端面21に形成されるスリット21Aに挿入される。
図6に示されるように、第1梁部材20の第1端面21には、2つのスリット21Aが形成される。第1軸部材7Cが構造材4と第1支持金具本体7Aとを貫通することによって、第1支持金具本体7Aが構造材4に固定される。第1軸部材7Cは、1組以上のボルト及びナットを含んでもよい。
【0029】
第1追加軸部材7Dが、第1梁部材20と2つのスリット挿入部7Bとを貫通することによって、第1支持金具7が第1梁部材20に固定される。第1追加軸部材7Dは、ドリフトピンを含んでもよい。
【0030】
第2支持金具8は、第2支持金具本体8Aと、第2支持金具本体8Aと一体に形成される第2支持金具支持部8Bと、を有する。第2支持金具本体8Aは、構造材4の側面4Zと、第1梁部材20の下面20Yと、に接するL字形状に構成される。第2支持金具支持部8Bは、第2支持金具本体8Aにおいて、第1梁部材20の下面20Yに接する部分と、構造材4の側面4Zに接する部分と、に接続される。第2軸部材8Cが構造材4と、第2支持金具本体8Aのうちの構造材4の側面4Zに接する部分と、を貫通することによって、第2支持金具本体8Aが構造材4に固定される。第2軸部材8Cは、1組のボルト及びナットを含んでもよい。
【0031】
第2支持金具本体8Aのうちの第1梁部材20の下面20Yに接する部分は、ねじ等によって第1梁部材20の下面20Yに固定される。長手方向X1において、第2支持金具本体8Aのうちの第1梁部材20の下面20Yに接する部分の寸法は、120mm以下である。長手方向X1において、第2支持金具本体8Aのうちの第1梁部材20の下面20Yに接する部分の寸法は、100mm以下である。
【0032】
図4に示されるように、第1梁部材20の上下方向における第1高さH1は、100mm以上である。第1梁部材20の上下方向における第1高さH1は、120mm以上であってもよい。第1梁部材20の上下方向における第1高さH1は、330mm以下である。第1梁部材20の上下方向における第1高さH1は、210mm以下であってもよい。第1梁部材20の第1幅W1は、100mm以上である。第1梁部材20の第1幅W1の寸法は、第1梁部材20の第1高さH1の寸法以下であってもよい。
【0033】
<第2梁部材>
図4に示されるように、第2梁部材30は、鋼材によって構成される。鋼材は、例えば、H型鋼である。鋼材は、例えば、I型鋼であってもよい。第2梁部材30は、第1フランジ31と、第2フランジ32と、ウェブ33と、を有する。第1フランジ31は、第2梁部材30の上面30Xを形成する。第2フランジ32は、第2梁部材30の下面30Yを形成する。ウェブ33は、第1フランジ31と第2フランジ32とを接続する。
【0034】
図2に示されるように、第2梁部材30は、第3端面34と、長手方向X2において第3端面34とは反対側の第4端面35と、を有する。第3端面34は、構造材4の側面4Zに面する。第3端面34は、追加桁4Bの側面に面する。長手方向X2は長手方向X1と一致する。第2梁部材30の第2長さL2が、長手方向X2における第3端面34から第4端面35までの長さとして定義される。第1長さL1に対する第2長さL2の比は、0.7以上である。
【0035】
第2梁部材30は、第1梁部材20の下面20Yよりも下において第1梁部材20に沿うように配置されるとともに、第1梁部材20に結合される。第1梁部材20の長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも内側に位置し、かつ、第4端面35は、第2端面22よりも内側に位置する。「内側に位置する」は、比較対象よりも、長手方向X1において第1梁部材20の中間線に近いところに位置することを示す。長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも250mm以上内側に位置する。長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも350mm以上内側に位置してもよい。長手方向X1において、第4端面35は、第2端面22よりも250mm以上内側に位置する。長手方向X1において、第4端面35は、第2端面22よりも350mm以上内側に位置してもよい。
【0036】
図3及び
図4に示されるように、第2梁部材30の端部には、長手方向X2に垂直なエンドプレート36が溶接等によって取り付けられる。第2梁部材30の一方の端部に取り付けられるエンドプレート36は、第3端面34を形成する。第2梁部材30の他方の端部に取り付けられるエンドプレート36は、第4端面35を形成する。
【0037】
図4に示されるように、第2梁部材30の第2高さH2は、100mm以上である。第2梁部材30の第2高さH2は第1梁部材20の第1高さH1よりも低くてもよい。第2梁部材30の第2高さH2は、250mm以下である。第2梁部材30の第2高さH2は、200mm以下であってもよい。第2梁部材30の第2幅W2は、100mm以上である。第2梁部材30の第2幅W2は、第1梁部材20の第1幅W1よりも短くてもよい。
【0038】
図2に示されるように、第2梁部材30には、ウェブ33を貫通する複数の配管用孔37が形成されてもよい。配管用孔37には、例えば、換気配管、排水配管等が配置される。配管用孔37によって、換気配管、排水配管等を、建築物1の天井裏に好適に配置できる。
【0039】
<配置空間>
図1及び
図2に示されるように、構造材4と第3端面34との間には、設備5が配置可能である配置空間SAが設けられる。設備5は、構造材4と第3端面34との間に配置される。配置空間SAは、構造材4と第4端面35との間にも設けられてもよい。
【0040】
配置空間SAは、下に開口するように第1天井2に設けられる。第1天井2の第1天井面2Aは、複合梁10のうちの第2梁部材30の下面30Yよりも下に位置する。配置空間SAに設備5が配置されることによって、設備5を、第1天井2の第1天井面2Aよりも上に配置できる。設備5が配置空間SA内に配置されることによって、第1天井2の第1天井面2Aの高さを第2天井3の第2天井面3Aの高さと等しくした場合に、第1天井面2Aと第2天井面3Aとを1つのフラットな面に見せることができる。
【0041】
図3に示されるように、複合梁10には、段差部13が形成される。段差部13は、複合梁10のうちの第1梁部材20の上面20Xから第2梁部材30の下面30Yまでの間において、切り欠くように設けられる部分である。本実施形態の段差部13は、第1梁部材端部下面23と第3端面34とによって形成される部分である。第1梁部材端部下面23は、下面20Yのうちの、第1梁部材20の長手方向X1において第1端面21と第3端面34との間に位置する面である。
図3では、第1端部11A側における複合梁10の側面が例示されるが、第2端部11B側にも段差部13が設けられる。配置空間SAは、段差部13に位置する。
【0042】
<第1金具>
図2に示されるように、複合梁10は、複数の第1金具40をさらに備える。本実施形態では、複合梁10は、9つの第1金具40を備える。複数の第1金具40は、第2梁部材30を第1梁部材20に結合する。第1金具40は、第1梁部材20の下面20Yと、第2梁部材30の上面30Xと、に接続される。
【0043】
複数の第1金具40は、例えば、長手方向X1に配列される。端部11と中央部12とのそれぞれに複数の第1金具40が配置される場合、中央部12付近に配置される第1金具40は、端部11付近に配置される第1金具40よりも疎に配置される。「第1金具40が疎に配置される」は、長手方向X1において、中央部12の所定間隔内に配置される第1金具40の数が、端部11の所定間隔内に配置される第1金具40の数よりも少ないことを示す。
【0044】
第1梁部材20の長手方向X1において、複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40同士の間隔G1は、複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40同士の間隔G2よりも狭い。第1金具40同士の間隔G1,G2は、例えば、長手方向X1において隣り合う第1金具40の軸心間の長さである。
図2の例では、第1金具40Aが、複合梁10の端部11のうちの第1端部11A付近に配置される第1金具40である。第1金具40Bが、複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40である。第1金具40Cが、複合梁10の端部11のうちの第2端部11B付近に配置される第1金具40である。間隔G1,G2は、複合梁10の長さL、複数の第1金具40の数等に応じて設定される。複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40同士の間隔G1は、例えば、500mmである。複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40同士の間隔G2は、例えば、1000mmである。
【0045】
図4及び
図5に示されるように、第1金具40は、第1プレート41と、第1突出部42と、第2突出部43と、を有する。第1プレート41は、第1梁部材20と第2梁部材30との間に配置される。第1突出部42は、第1梁部材20に形成される第1挿通孔24を挿通するように、第1プレート41から突出する。第2突出部43は、第2梁部材30に形成される第2挿通孔38を挿通するように、第1プレート41から突出する。第2挿通孔38は、第2梁部材30の第1フランジ31に形成される。
【0046】
長手方向X1に見て、第1プレート41の第3幅W3は、第1梁部材20の第1幅W1よりも小さい。長手方向X1に見て、第1プレート41の第3幅W3は、第2梁部材30の第2幅W2よりも大きい。第1プレート41の第3幅W3が、第1梁部材20の第1幅W1よりも小さく、かつ、第2梁部材30の第2幅W2よりも大きいため、第1梁部材20の表面を流れる水が、第1プレート41で溜り難い。このため、第1梁部材20の表面を流れる水が、第1梁部材20の下面20Yに触れずに第1プレート41から下に流れやすい。したがって、複合梁10では、木材で構成される第1梁部材20に水が浸み込み難い。
【0047】
第1突出部42は、第1プレート41から上方に向かって突出する。第1突出部42の第3高さH3は、60mm以上、かつ、第1梁部材20の第1高さH1以下である。
【0048】
図3及び
図4に示されるように、第1梁部材20と第1突出部42とには、第1梁部材20及び第1突出部42を水平方向に貫通する第1貫通孔25が形成される。第1貫通孔25は、第1梁部材20の側面20Zを貫通する。本実施形態では、上下方向に並ぶ2つの第1貫通孔25が形成される。第1貫通孔25には、ドリフトピン44が配置される。ドリフトピン44は、第1梁部材20と第1金具40とを結合する。第1金具40は、例えば、第1プレート41を貫通するビス等によって第1梁部材20に結合されてもよい。
【0049】
図4及び
図5に示されるように、第2突出部43は、第1プレート41から下方に向かって突出する。第2突出部43は、複数の突出部を含んでもよい。本実施形態では、第2突出部43は、4つの突出部を含む。第2突出部43が挿通する第2挿通孔38が、第1フランジ31に形成される。第2突出部43は、第1フランジ31を貫通するように第2挿通孔38に配置される。
【0050】
例えば、第2突出部43はボルトである。第2突出部43のうちの第1フランジ31から突出する部分には、ナット45が取り付けられる。ナット45は、第2梁部材30と第1金具40とを結合する。第2突出部43は、ポールであってもよい。
【0051】
図3に示されるように、本実施形態では、第1梁部材20の下面20Yと、第2梁部材30の上面30Xとの間に隙間が設けられる。第1金具40は、第1梁部材20の下面20Yと第2梁部材30の上面30Xとが接触しないように第1梁部材20と第2梁部材30とを結合する。本実施形態では、上下方向において、第1梁部材20の下面20Yから第2梁部材30の上面30Xまでの寸法は、第1プレート41の厚みと一致する。
【0052】
<第2金具>
図2に示されるように、複合梁10は、第2金具50をさらに備える。第2金具50は、第2梁部材30を第1梁部材20に接続する。第2金具50は、配置空間SAに配置される。本実施形態では、複合梁10は、第1端部11Aに配置される第2金具50と、第2端部11Bに配置される第2金具50と、を備える。以下では第1端部11Aに配置される第2金具50について説明するが、第2端部11Bに配置される第2金具50についても、第1端部11Aに配置される第2金具50と同様に構成される。
【0053】
図6に示されるように、第2金具50は、第1結合部51と、第2結合部52と、を有する。第1結合部51は、第1梁部材20の第1梁部材端部下面23に結合される。第2結合部52は、第2梁部材30の第3端面34に結合される。
【0054】
第1結合部51は、第1梁部材端部下面23に接する第1板状部材53を有する。第1板状部材53は、第1結合部材53Aによって第1梁部材20に結合される。第1結合部材53Aは、例えば、ラグスクリューボルトである。第2結合部52は、第3端面34に接する第2板状部材54を有する。第2板状部材54は、第2結合部材54Aによって第1梁部材20に結合される。第2結合部材54Aは、例えば、ボルトとナットである。
【0055】
第1結合部51と第2結合部52とは、一体に形成される。第1板状部材53と第2板状部材54とは、溶接、プレス加工等によって一体に形成される。第2金具50は、第2板状部材54の端部が第1板状部材53の端部と接続されることによってL字形状を有する。
【0056】
第2金具50は、支持部55を有する。支持部55は、第1結合部51と第2結合部52とに接続される。支持部55は、第1板状部材53と第2板状部材54とに対して垂直に配置される第3板状部材56を有する。
【0057】
支持部55は、第1結合部51及び第2結合部52と、一体に形成される。第3板状部材56は、第1板状部材53のうちの第1梁部材端部下面23と接する面とは反対側の面に溶接等によって接続される。第3板状部材56は、第2板状部材54のうちの第3端面34と接する面とは反対側の面に溶接等によって接続される。
【0058】
第2金具50は、補強金具60とも呼ばれる。第2金具50は、実施形態にかかる複合梁10に設けられる。また、第2金具50は、他の構造の複合梁に設けられてもよい。
【0059】
本実施形態の第1の作用を説明する。
建築物の天井に設備を設置する場合がある。設備の一例は、カーテンボックスである。例えば、壁際にカーテンボックスを設置する場合に、カーテンボックスが梁の下面に取り付けられると、カーテンボックスが天井面から下に出っ張るようになるため、カーテンボックスによって水平方向における天井面の連続性が失われてしまう。本実施形態の複合梁10において、第2梁部材30の第3端面34は、第1梁部材20の長手方向X1において、第1梁部材20の第1端面21よりも内側に位置する。これによって、第1梁部材20の第1端面21を構造材4に接触させるように第1梁部材20を構造材4に結合した場合に、第2梁部材30と構造材4との間に空間を設けることができる。これによって、第2梁部材30と構造材4との間において空間に設備5を配置できる。
【0060】
本実施形態の第2の作用を説明する。
天井において、カーテンボックスを設置する場合、カーテンボックスを天井面よりも高い位置に配置するために、木製梁の端部に、切欠きによって段差を設ける方法も考えられる。しかし、木製梁において切欠きによって段差を設ける場合、荷重によって段差の隅を起点として亀裂が発生する虞がある。木製梁では長さが長くなるほど、荷重が大きくなることによって段差の隅を起点とした亀裂が発生し易くなるため、切欠きによって段差が設けられる木製梁は、長さに制約を受ける。このような長さの制約によって、切欠きによって段差が設けられる木製梁が使用される建築物では、木製梁が使用される空間を大きくすることに制限があった。実施形態の複合梁10では、第1梁部材20の第1梁部材端部下面23と第2梁部材30の第3端面34とによって段差部13が形成される。この構造によって、複合梁10では、段差の隅を起点とする亀裂の発生が抑制されるため、複合梁10の長さLを確保し易い。複合梁10を使用した建築物1では、複合梁10を長くできるため、第1空間S1を大きく構成できる。
【0061】
本実施形態の第3の作用を説明する。
複数の第1金具40は、複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40同士の間隔G2が複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40同士の間隔G1よりも広くなるように配置される。全ての第1金具40同士が間隔G1を開けて配置される場合よりも、中央部12付近に配置される第1金具40を少なくできるため、第1金具40の数を減らすことができる。複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40が間隔G1で配置されている場合、中央部12付近に配置される第1金具40を少なくしても、全ての第1金具40同士が間隔G1を開けて配置される場合と比べて、複合梁10の剛性には影響が少ないことが、曲げ試験によって分かっている。第1金具40の数が減ることによって、複合梁10の製造コストが抑制される。また、第1金具40の数が少ないため、複合梁10を組み立てる際の作業工程を減らすことができる。
【0062】
本実施形態の第4の作用を説明する。
第1突出部42が第1梁部材20の第1挿通孔24に挿通することによって第1金具40が第1梁部材20に接続されるが、第1挿通孔24の公差によっては、第1挿通孔24内を第1突出部42が水平方向に微動する虞がある。第1挿通孔24内を第1突出部42が水平方向に微動する場合、第1金具40が第1梁部材20に対して水平方向に動くため、第2梁部材30が第1梁部材20に対してずれる虞がある。本実施形態では、第2金具50の第1結合部51が第1梁部材20の第1梁部材端部下面23に第1結合部材53Aによって結合されるため、第2金具50は、第1梁部材20に対して動き難い。第2金具50の第2結合部52が、水平方向において第2梁部材30の第1梁部材20に結合することによって、第2梁部材30の第1梁部材20に対する水平方向の動きが抑制される。
【0063】
本実施形態の効果を説明する。
(1)複合梁10は、第1梁部材20と、第2梁部材30と、を備える。第2梁部材30は、第1梁部材20の下面20Yよりも下において第1梁部材20に沿うように配置されるとともに、第1梁部材20に結合される。第1梁部材20の長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも内側に位置し、かつ、第4端面35は、第2端面22よりも内側に位置する。
【0064】
この構成によれば、第1梁部材20の第1端面21が、建築物1を構成する構造材4に接続される場合に、構造材4と第3端面34との間に空間が設けられる。または、第1梁部材20の第2端面22が、建築物1を構成する構造材4に接続される場合に、構造材4と第4端面35との間に空間が設けられる。構造材4と第3端面34との間の空間、または構造材4と第4端面35との間の空間に設備5を配置できるため、第1天井2に設備5を好適に配置できる。
【0065】
(2)第1梁部材20は、木材によって構成され、第2梁部材30は、鋼材によって構成される。この構成によれば、第2梁部材30が木材である場合と比べて、複合梁10の強度を向上できる。
【0066】
(3)複合梁10は、複数の第1金具40をさらに備える。第1金具40は、第1梁部材20の下面20Yと、第2梁部材30の上面30Xと、に接続される。この構成によれば、複数の第1金具40によって、第1梁部材20の下面20Yと、第2梁部材30の上面30Xと、を接続できるため、第1梁部材20と第2梁部材30とのずれを好適に抑制できる。
【0067】
(4)第1金具40は、第1プレート41と、第1梁部材20の第1挿通孔24を挿通する第1突出部42と、第2梁部材30の第2挿通孔38を挿通する第2突出部43と、を有する。この構成によれば、第1突出部42が第1梁部材20の第1挿通孔24に挿通され、かつ、第2突出部43が第2梁部材30の第2挿通孔38に挿通されることによって、第1梁部材20と第2梁部材30とのずれを、より好適に抑制できる。
【0068】
(5)第1梁部材20の長手方向X1において、複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40同士の間隔G1は、複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40同士の間隔G2よりも狭い。この構成によれば、複合梁10の中央部12付近の第1金具40の数を減らせるため、複合梁10の組立作業を効率化できる。
【0069】
(6)複合梁10は、第2金具50をさらに備える。第2金具50は、第1梁部材端部下面23に結合される第1結合部51と、第2梁部材30の第3端面34に結合される第2結合部52と、を有する。この構成によれば、第2金具50によって、第1梁部材20の下面20Yのうちの第1梁部材端部下面23と第2梁部材30の第3端面34とを接続できるため、第1梁部材20と第2梁部材30とのずれを好適に抑制できる。
【0070】
(7)第1梁部材20の下面20Yと、第2梁部材30の上面30Xとの間に隙間が設けられる。この構成によれば、第1梁部材20の下面20Yと第2梁部材30の上面30Xとの間の隙間を空気が通り抜けるため、第1梁部材20と第2梁部材30との間に水気が溜り難い。したがって、第1梁部材20及び第2梁部材30の腐食等を抑制できる。
【0071】
(8)建築物1は、構造材4と、複合梁10と、設備5と、を備える。複合梁10は、第1梁部材20と、第2梁部材30と、を備える。第2梁部材30は、第1梁部材20の下面20Yよりも下において第1梁部材20に沿うように配置されるとともに、第1梁部材20に結合される。設備5は、構造材4と第3端面34との間に配置される。この構成によれば、構造材4と第3端面34との間の空間に設備5が配置されている。これによって、天井から設備5の一部が下方に出っ張ることを抑制でき、または、下方への出っ張りの寸法を小さくできる。
【0072】
(9)建築物1は、構造材4と、複合梁10と、を備える。複合梁10は、第1梁部材20と、第2梁部材30と、を備える。第2梁部材30は、第1梁部材20の下面20Yよりも下において第1梁部材20に沿うように配置されるとともに、第1梁部材20に結合される。構造材4と第3端面34との間には、設備5が配置可能である配置空間SAが設けられる。この構成によれば、配置空間SAに設備5を配置できるため、第1天井2に設備5を好適に配置できる。
【0073】
(10)補強金具60は、第1梁部材20の下面20Yのうちの第1梁部材端部下面23に結合するとともに、第3端面34に結合する。この構成によれば、補強金具60によって第2梁部材30の第3端面34が第1梁部材端部下面23に接続されるため、第3端面34を構造材4に接続する必要がない。第1梁部材20の第1端面21が建築物1の構造材4に接続される場合に、構造材4と第3端面34との間に生じる空間に設備5を配置できるため、第1天井2に設備5を好適に配置できる。
【0074】
<変形例>
上記実施形態は、建築物、複合梁、及び補強金具が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物、複合梁、及び補強金具は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0075】
・
図7に示されるように、配管用孔37が第1梁部材20に設けられてもよい。本変形例の複合梁10は、第1梁部材20を保護する保護部材70を備えていてもよい。保護部材70は、配管用孔37に配置される配管が、第1梁部材20に直接接しないように、配管用孔37の内部と配管用孔37の周辺を覆う。
【0076】
・
図1、
図8、及び
図9に示されるように、構造材4は、桁4A、梁71、または柱72であってもよい。
図8は、構造材4が梁71である場合を例示する。
図9は、構造材4が柱72である場合を例示する。
【0077】
・建築物1は、構造材4と、複合梁10と、を備えていれば、設備5を備えなくてもよい。本変形例では、建築物1が建築された後に、必要に応じて配置空間SAに設備5を後付けできる。
【0078】
・第2梁部材30は、第1梁部材20と同じ材料によって構成されてもよい。本変形例では、第2梁部材30が、木材によって構成されてもよい。
【0079】
・長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21よりも内側に位置し、かつ、第4端面35は、第2端面22と同じ位置、または、第2端面22よりも外側に位置してもよい。または、長手方向X1において、第3端面34は、第1端面21と同じ位置、または、第1端面21よりも外側に位置し、かつ、第4端面35は、第2端面22よりも内側に位置してもよい。本変形例では、段差部13が、複合梁10のうちの第1端部11A及び第2端部11Bのいずれか一方に設けられる。
【0080】
・全ての第1金具40同士が同じ間隔を開けて配置されてもよい。第1梁部材20の長手方向X1において、複合梁10の端部11付近に配置される第1金具40同士の間隔G1が、複合梁10の中央部12付近に配置される第1金具40同士の間隔G2と同じであってもよい。
【0081】
・複数の第1金具40の数は、任意に変更されてもよい。複合梁10の中央部12に配置される複数の第1金具40の数が、複合梁10の第1端部11Aまたは第2端部11Bに配置される複数の第1金具40の数と異なっていてもよい。一例として、第1金具40の数は2個であって、第1端部11Aに1個の第1金具40が、第2端部11Bに1個の第1金具40が配置され、かつ、中央部12には第1金具40が配置されなくてもよい。他の例として、第1金具40の数は3個であって、第1端部11Aに1個の第1金具40が、中央部12に1個の第1金具40が、第2端部11Bに1個の第1金具40が配置されてもよい。他の例として、第1金具40の数は5個であって、第1端部11Aに2個の第1金具40が、中央部12に1個の第1金具40が、第2端部11Bに2個の第1金具40が配置されてもよい。複数の第1金具40の数は、10個以上であってもよい。
【0082】
・複数の第1金具40の数は、複合梁10の長さLに応じて設定されてもよい。一例では、複合梁10の長さLが6.5m以上かつ7.5m以下である場合、複数の第1金具40の数は、9個であってもよい。他の例では、複合梁10の長さLが5.5m以上かつ6.5m以下である場合、複数の第1金具40の数は、8個であってもよい。
【0083】
・第1梁部材20の下面20Yと第2梁部材30の上面30Xとが接触してもよい。本変形例では、第1梁部材20の下面20Yと第2梁部材30の上面30Xとの間に隙間が設けられない。本変形例では、第1梁部材20の下面20Yと第2梁部材30の上面30Xとが接触するように、第1梁部材20の下面20Yまたは第2梁部材30の上面30Xに、第1金具40の第1プレート41が嵌る溝が設けられてもよい。
【0084】
・第1金具40と第2金具50とのいずれか一方が省略されてもよい。本変形例では、第1金具40と第2金具50とのいずれか他方のみによって、第2梁部材30が第1梁部材20に結合されてもよい。
【0085】
本明細書には以下の技術が開示される。
[付記1]
複合梁は、建築物の軸組みの一部を構成する複合梁であって、第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、かつ、前記第4端面は、前記第2端面よりも内側に位置する。
【0086】
[付記2]
付記1に記載の複合梁において、前記第1梁部材は、木材によって構成され、前記第2梁部材は、鋼材によって構成される。
【0087】
[付記3]
付記1に記載の複合梁において、前記第2梁部材を前記第1梁部材に結合する複数の第1金具をさらに備え、前記第1金具は、前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面と、に接続される。
【0088】
[付記4]
付記3に記載の複合梁において、前記第1金具は、前記第1梁部材と前記第2梁部材との間に配置される第1プレートと、前記第1梁部材に形成される第1挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第1突出部と、前記第2梁部材に形成される第2挿通孔を挿通するように、前記第1プレートから突出する第2突出部と、を有する。
【0089】
[付記5]
付記3に記載の複合梁において、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記複合梁の端部付近に配置される第1金具同士の間隔は、前記複合梁の中央部付近に配置される第1金具同士の間隔よりも狭い。
【0090】
[付記6]
付記1に記載の複合梁において、第2金具をさらに備え、前記第2金具は、前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合される第1結合部と、前記第2梁部材の前記第3端面に結合される第2結合部と、を有する。
【0091】
[付記7]
付記1に記載の複合梁において、前記第1梁部材の下面と、前記第2梁部材の上面との間に隙間が設けられる。
【0092】
[付記8]
建築物は、建築物であって、梁、桁、または柱である構造材と、前記構造材に接続される複合梁と、前記複合梁の端部付近に配置される設備と、を備え、前記複合梁は、前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記設備は、前記構造材と前記第3端面との間に配置される。
【0093】
[付記9]
建築物は、建築物であって、梁、桁、または柱である構造材と、前記構造材に接続される複合梁と、を備え、前記複合梁は、前記構造材の側面に接続される第1端面を有する第1梁部材と、前記構造材の前記側面に面する第3端面を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置されるとともに、前記第1梁部材に結合され、前記構造材と前記第3端面との間には、設備が配置可能である配置空間が設けられる。
【0094】
[付記10]
補強金具は、複合梁に設けられる補強金具であって、前記複合梁は、第1端面と、長手方向において前記第1端面とは反対側の第2端面と、を有する第1梁部材と、第3端面と、長手方向において前記第3端面とは反対側の第4端面と、を有する第2梁部材と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1梁部材の下面よりも下において前記第1梁部材に沿うように配置され、前記第1梁部材の前記長手方向において、前記第3端面は、前記第1端面よりも内側に位置し、前記第1梁部材の下面のうちの、前記第1梁部材の前記長手方向において前記第1端面と前記第3端面との間に位置する第1梁部材端部下面に結合するとともに、前記第3端面に結合する。
【符号の説明】
【0095】
1…建築物、4…構造材、4A…桁、5…設備、10…複合梁、11…端部、12…中央部、20…第1梁部材、21…第1端面、22…第2端面、23…第1梁部材端部下面、24…第1挿通孔、30…第2梁部材、34…第3端面、35…第4端面、38…第2挿通孔、40,40A,40B,40C…第1金具、41…第1プレート、42…第1突出部、43…第2突出部、50…第2金具、51…第1結合部、52…第2結合部、60…補強金具、71…梁、72…柱。