(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020588
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20250205BHJP
A01K 89/017 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A01K89/015 C
A01K89/015 F
A01K89/017
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124069
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸平
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108ED08
2B108GA14
2B108GA38
(57)【要約】
【課題】リール本体1の後端の後側への張り出しを抑えることで、使用時のパーミング性を向上できるとともに、魚釣リールの前後バランスの均一化を図り、キャスティング性を向上できる。
【解決手段】スプール軸5に対して後側(第1方向側と反対の第2方向側)に設けられ、クラッチ機構を操作するクラッチ操作部21と、を備え、クラッチ機構が伝達状態のとき第1様態(クラッチON状態P1)となり、クラッチ機構が遮断状態のとき第1様態とは異なる第2様態(クラッチOFF状態)に変移可能な釣糸案内部60と、スプール軸5に対して前側に設けられ、変移機構の様態を検知する検知部80と、を備える魚釣用リールを提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を第1方向側に放出可能なスプールと、
リール本体に回転自在に支持され、前記スプールと一体回転するスプール軸と、
前記スプールへの巻取り動力を伝達する伝達状態、及び前記スプールへの巻取り動力の伝達を遮断する遮断状態に切替え可能なクラッチ機構と、
前記スプール軸に対して前記第1方向側と反対の第2方向側に設けられ、前記クラッチ機構を操作するクラッチ操作部と、を備えた魚釣用リールであって、
前記クラッチ機構が伝達状態のとき第1様態となり、前記クラッチ機構が遮断状態のとき前記第1様態とは異なる第2様態に変移可能な変移機構と、
前記スプール軸に対して前記第1方向側に設けられ、前記変移機構の様態を検知する検知部と、
を備える、魚釣用リール。
【請求項2】
前記変移機構は、
前記第1様態のとき、前記スプールに前記釣糸を案内する巻取り姿勢となり、
前記第2様態のとき、前記スプールから前記釣糸を放出する放出姿勢となる、釣糸案内部を備え、
前記検知部は、前記変移機構の様態の検知として、前記釣糸案内部の姿勢を検知する、
請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記釣糸案内部は、
外周に螺旋溝を有する螺軸と、
前記螺軸の外周に設けられ、前記螺軸の軸方向に沿って開口し、前記螺旋溝の一部を露出させる長孔を有する筒状体と、
前記長孔を介して前記螺旋溝に係合し、前記螺軸が回転することで、前記長孔に沿って摺動する摺動子と、
前記釣糸をガイドするガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、
前記摺動子と共に摺動し、前記スプール軸の軸方向の幅が狭い幅狭ガイド部と、
前記スプール軸の軸方向の幅が広い幅広ガイド部と、を有し、
前記ガイド部は、
前記巻取り姿勢では、前記釣糸を前記幅狭ガイド部に導くように、前記螺軸を中心に前記第2方向側の揺動位置に位置し、
前記放出姿勢では、前記釣糸を前記幅広ガイド部に導くように、前記螺軸を中心に前記第1方向側の揺動位置に位置し、
前記検知部は、前記釣糸案内部の姿勢の検知として、前記ガイド部の揺動位置を検知する、
請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記検知部は、前記ガイド部の揺動位置を検知として、前記ガイド部の揺動位置に応じて、前記螺軸を中心に回転する筒状体の回転位置を検知する、
請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記検知部は、磁気によって前記変移機構の様態を検知する磁気センサである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用リールでは、クラッチ作動板の後側付近に磁気センサ等の検出センサを設けることで、クラッチのON/OFFを検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1のような魚釣用リールでは、クラッチレバーを構成するクラッチ作動板に磁石等の被検出部を設け、クラッチ作動板が対向するリール本体に磁気センサ等の検出センサが組み込まれている。そのため、クラッチレバー自体が大きくなると共に、クラッチレバーと共に検出センサを収容するリール本体の後端部分の形状が大きくなり、使用時のパーミング性が低下するという問題があり、この点で改善の余地があった。また、魚釣用リールの後端部にセンサを設けることで、後端部の重量が重くなり、前後のバランスが悪くなって、キャスティング性が低下するという問題点があり、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、使用時のパーミング性を向上できる魚釣用リールを提供することである。
また、本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、魚釣リールの前後バランスの均一化を図り、キャスティング性を向上できる魚釣用リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る魚釣用リールの態様1は、釣糸を第1方向側に放出可能なスプールと、リール本体に回転自在に支持され、スプールと一体回転するスプール軸と、スプールへの巻取り動力を伝達する伝達状態、及びスプールへの巻取り動力の伝達を遮断する遮断状態に切替え可能なクラッチ機構と、スプール軸に対して第1方向側と反対の第2方向側に設けられ、クラッチ機構を操作するクラッチ操作部と、を備えた魚釣用リールであって、クラッチ機構が伝達状態のとき第1様態となり、クラッチ機構が遮断状態のとき第1様態とは異なる第2様態に変移可能な変移機構と、スプール軸に対して第1方向側に設けられ、変移機構の様態を検知する検知部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る魚釣用リールの態様1によれば、検知部が、スプール軸の釣糸放出方向と反対側(第2方向側)に設けられたクラッチ操作部とは異なる方向側(第1方向側)に位置する、例えば、クラッチ操作によって移動する釣糸案内部機構や、リンク機構などの変移機構の位置の変化を検知部で検出することができる。つまり、クラッチ操作部の操作によって、変移する変移機構の様態(第1様態および第2様態)によって、クラッチのON/OFFを位置検出装置で検出することができる。
このように本発明では、リール本体の後端付近(第2方向側の端部付近)に検知部を組み込むスペースが不要となる。そのため、クラッチ操作部の近傍(リール本体の後端)が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
また、このように本発明では、リール本体の後端付近(第2方向側の端部付近)に検知部を組み込まないので、後端付近の荷重が減り、前後バランスの均衡が保たれること(逆に、若干、前側荷重となること)で、キャスティング性を向上できる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、態様1の魚釣用リールにおいて、変移機構は、第1様態のとき、スプールに釣糸を案内する巻取り姿勢となり、第2様態のとき、スプールから釣糸を放出する放出姿勢となる、釣糸案内部を備え、検知部は、変移機構の様態の検知として、釣糸案内部の姿勢を検知することが好ましい。
【0009】
この場合には、変移機構が、クラッチ機構の状態に応じて移動する巻取り姿勢と放出姿勢に切替え可能な釣糸案内部を備えることによって、その釣糸案内部の姿勢を検知部で検出することができる。この場合、釣糸案内部の姿勢が比較的大きいため、クラッチのON/OFFの検知が、より確実に、正確に位置の検知することができる。
また、クラッチ操作部と釣糸案内部は、スプール軸を挟んで、前後方向のほぼ反対側に位置するので、リール本体の後端が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
【0010】
(3)本発明の態様3は、態様2の魚釣用リールにおいて、釣糸案内部は、外周に螺旋溝を有する螺軸と、螺軸の外周に設けられ、螺軸の軸方向に沿って開口し、螺旋溝の一部を露出させる長孔を有する筒状体と、長孔を介して螺旋溝に係合し、螺軸が回転することで、長孔に沿って摺動する摺動子と、釣糸をガイドするガイド部と、を備え、ガイド部は、摺動子と共に摺動し、スプール軸の軸方向の幅が狭い幅狭ガイド部と、スプール軸の軸方向の幅が広い幅広ガイド部と、を有し、ガイド部は、巻取り姿勢では、釣糸を幅狭ガイド部に導くように、螺軸を中心に第2方向側の揺動位置に位置し、放出姿勢では、釣糸を幅広ガイド部に導くように、螺軸を中心に第1方向側の揺動位置に位置し、検知部は、釣糸案内部の姿勢の検知として、ガイド部の揺動位置を検知することが好ましい。
【0011】
この場合には、変移機構が、螺軸、筒状体、摺動子及びガイド部を備え、クラッチ機構の状態に応じて移動する巻取り姿勢と放出姿勢に切替え可能な、幅狭ガイド部と幅広ガイド部を有するガイド部の釣糸案内部を備えることによって、その釣糸案内部の姿勢を検知部で検出することができる。この場合、釣糸案内部のガイド部の姿勢が比較的大きいため、クラッチのON/OFFの検知が、より確実に、正確に位置の検知することができる。
また、クラッチ操作部と釣糸案内部は、スプール軸を挟んで、前後方向のほぼ反対側に位置するので、リール本体の後端が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、態様3の魚釣用リールにおいて、検知部は、ガイド部の揺動位置を検知として、ガイド部の揺動位置に応じて、螺軸を中心に回転する筒状体の回転位置を検知することを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、クラッチ操作部の操作によって回転駆動する例えばレベルワインド装置の駆動軸からなる筒状体の回転位置を検知部で検出することができる。
【0014】
(5)本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの魚釣用リールにおいて、 検知部は、磁気によって変移機構の様態を検知する磁気センサであることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、磁石と磁気センサからなる簡単な構造の検知部によって変移機構の位置検出を行うことができる。複雑な構造でないので、スプール軸の前側(第1方向側)の僅かなスペースを利用して小型な磁石と磁気センサを配置でき、リール本体内のスペースを有効に利用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る魚釣用リールによれば、リール本体の後端の後側への張り出しを抑えることで、使用時のパーミング性を向上することができる。
また、本発明に係る魚釣用リールによれば、魚釣リールの前後バランスの均一化を図り、キャスティング性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による魚釣用リールを示し、釣糸案内部部分を露出させた平面図である。
【
図2】
図1に示す魚釣用リールにおいて、クラッチ機構の動力伝達部分の構成を示す側面図(クラッチON状態)である。
【
図3】
図1に示す魚釣用リールにおいて、クラッチ機構の動力伝達部分の構成を示す側面図(クラッチOFF状態)である。
【
図4】クラッチプレートと釣糸案内部を回動させる回動プレートとの連結部分の構造を示す断面図である。
【
図5】
図1に示す魚釣用リールの縦断面図であり、釣糸案内部が釣糸巻き取り状態(クラッチON状態)にあるときを示す図である。
【
図6】
図1に示す魚釣用リールの縦断面図であり、釣糸案内部が釣糸放出状態(クラッチOFF状態)にあるときを示す図である。
【
図7】釣糸案内部を拡大して示す斜視図(クラッチON状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の魚釣用リール100は、両軸リールに適用されている。
ここで、以下の説明において、「前後」、「左右」を言うときは、
図1に示した方向を基準とし、「上下」を言うときは、
図2、
図3に示した方向を基準とする。「前方」は、本発明の第1方向であり、「後方」は本発明の第2方向である。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0020】
魚釣用リール1は、
図1に示すように、左右側板1A、1B を備えたリール本体1を有している。左右側板1A、1B は、左右のフレーム2a、2bを左右カバー3a、3bで覆って構成される。リール本体1には、左右側板1A、1B間に位置し、図示しない釣竿に装着されるリール脚1Cが一体形成されている。また、左右のフレーム2a、2b間には、スプール軸5が軸受を介して回転可能に支持されており、スプール軸5には、釣糸Sが巻回されるスプール5Aが一体的に固定されている。さらに、左右側板1A、1B間には、スプール5Aに対して上方側に、指を載置可能なサムレスト1Dが設けられている。
【0021】
スプール5Aを回転駆動するハンドル8を右側板1B側に設置している。右フレーム2 bと右カバー3bとの間には空間が形成され、この空間には、ハンドル8の回転駆動力をスプール軸5に伝達する公知の駆動力伝達機構10が配設されている。また、右フレーム2bと右カバー3bとの間には、スプール軸5を動力伝達状態と動力遮断状態に切り換える公知のクラッチ機構20(
図2参照)が配設されている。クラッチ機構20は、スプール5Aの後方側の左右側板1A、1B間に配設されたクラッチ切り換え操作部材(以下、クラッチ操作部と称する)21を押し下げ操作することで、クラッチON状態P1(動力伝達状態であり釣糸巻き取り状態、第1様態)からクラッチOFF状態P2(動力遮断状態であり釣糸放出状態、第2様態)に切り換えるようになっている。なお、クラッチOFF状態P2からクラッチON状態P1への復帰は、後述する自動復帰機構30(
図2参照)によってハンドル8を回転操作することで行うことが可能である。
【0022】
さらに、右フレーム2bと右カバー3bとの間には、
図2、
図3に示すように、切換機構70が配設されている。切換機構70は、釣糸巻き取り状態において、後述する後ドラグ装置8b(
図1参照)により付与されるドラグ力に抗して釣糸Sが引き出されたときに、釣糸案内部60(
図1、
図2、
図3参照))を回転駆動し、姿勢状態を変更するものである。切換機構70の詳細は後述する。
【0023】
左右側板1A、1B間には、
図1に示すように、スプール5Aの釣糸繰出し方向側(前側)に、レベルワインド装置50が配設されている。レベルワインド装置50は、釣糸Sが挿通される釣糸案内部60(変移機構)を備える。釣糸案内部60は、ハンドル8を回転操作することで左右に往復移動するよう構成されており、釣糸Sの巻き取り操作に伴って、スプール5Aに対して釣糸Sを均等に巻回させる機能を有する。
【0024】
駆動力伝達機構10は、ハンドル8が固定され右側板1Bに回転可能に支持されたハンドル軸8aに公知のドラグ装置8bによって回転可能に摩擦結合された回転体としての駆動歯車11と、この駆動歯車11に噛合するピニオン12とを備えている。駆動歯車11は、釣糸巻き取り時にハンドル8が回転操作されると、
図2中X1方向(時計回り)に回転する。また、駆動歯車11は、ドラグ装置8bにより付与されたドラグ力に抗して釣糸Sが引き出された際に、スプール5A、スプール軸5、ピニオン12を介して
図2中Y1方向(反時計回り)に回転するようになっている。
【0025】
ハンドル軸8aは、公知のように、右カバー3bとの間に設けられた一方向クラッチK(楔作用を利用した転がり式一方向クラッチ、
図1 参照)により、釣糸巻き取り方向の回転を許容し、釣糸繰り出しに伴う逆回転を防止する逆回転防止機構を構成している。ハンドル軸8aは、右フレーム2bに設けられた軸受け(図示省略)を介して回転可能に支持されている。
【0026】
ピニオン12は、
図1に示すように、スプール軸5と同軸上に設置されており、ピニオン軸(スプール軸5であってもよい)12aに沿って軸方向に移動可能となっている。また、ピニオン12の外周には、円周溝12bが形成されており、この円周溝12bに、口述するクラッチ機構20のヨーク22(
図2参照)が係合して、ピニオン12を軸方向に移動させるように構成されている。すなわち、ピニオン12が軸方向に移動することで、スプール軸5との間で継脱がなされ、動力伝達状態(クラッチON)/動力遮断状態(クラッチOFF)に切り換えられるように構成されている。
【0027】
クラッチ機構20は、
図2及び
図3に示すように、右フレーム2bに対して回動可能に支持されるクラッチプレート25を備えている。クラッチプレート25は、振り分けバネ23によって、
図2に示す動力伝達状態(クラッチON状態)と、
図3に示す動力遮断状態(クラッチOFF状態)に振り分け保持される。クラッチプレート25は、右フレーム2bに上下方向に形成された連結孔2dを介してクラッチ操作部21と連結されており、クラッチプレート25に形成された長孔25aに、右フレーム2bに突出するように設けられたピン2eが挿入されて、その回動駆動が案内されるように構成されている。
【0028】
クラッチプレート25の表面には、一対のカム面26が形成されている。一対のカム面26は、ピニオン12の円周溝12b(
図1参照)に係合したヨーク22と係合可能である。ヨーク22の先端側は、右フレーム2bに突設された一対の支持ピン27によって保持されており、ヨーク22は、支持ピン27に配設されたバネ部材27aによって常時、スプール軸5側に付勢されている。なお、
図2では、ヨーク22がバネ部材によってスプール軸5側に付勢された状態を示しており、このとき、ピニオン12はスプール軸5の端部に形成されている係合部5a(
図1参照)に嵌合してクラッチON状態P1となっている。
【0029】
クラッチプレート25は、クラッチ操作部21が、
図3の白抜き矢印に示すように押下げ操作されると反時計回り方向に回動する。クラッチプレート25は、この回動により、カム面26およびヨーク22を介して、ピニオン12(
図1参照)を右側にバネ部材27aの付勢力に抗して移動し、スプール軸5の端部に形成されている係合部5a(
図1参照)から離脱させ、クラッチOFF状態P2に切り換える。なお、この状態P2は、振り分けバネ23によって保持される。
【0030】
また、クラッチプレート25には、クラッチOFF状態P2(
図3参照)からクラッチON状態P1(
図2参照)にする自動復帰機構30が設けられている。自動復帰機構30は、
図2に示すように、クラッチプレート25に揺動可能に連結されるキック部材31と、ハンドル軸8aに回り止め固定されるラチェット32とを備えている。キック部材31は、クラッチON状態P1からクラッチOFF状態P2に切り換えられると、キック部材31の先端部が、
図3に示すように、ラチェット32の回転軌道内に移動する。このため、クラッチOFF状態P2において、ハンドル8を巻き取り操作すると、キック部材31は、ラチェット32に当接して(キックされて)上方に移動する。この移動によって、クラッチプレート25が時計回り方に自動的に回転し、クラッチOFF状態P2からクラッチON状態P1に復帰される。クラッチON状態P1は、振り分けバネ23のバネ力で保持される。なお、クラッチの復帰は、クラッチ操作部21を押し上げ操作しても行うことが可能である。
【0031】
スプール5Aの前方側の左右側板1A、1B間には、レベルワインド装置50が配置されている。以下、レベルワインド装置50の構成について、
図4~
図8を併せて参照して説明する。
【0032】
レベルワインド装置50は、スプール5Aに巻回された釣糸Sが挿通される釣糸案内部60を備えている。この釣糸案内部60は、軸受52(
図4参照)を介して左右側板1A、1B間に回動可能に支持され、駆動力伝達機構10を介して回転可能に駆動される駆動軸としての螺軸51によって、左右往復駆動されるよう構成されている。螺軸51の右フレーム2b側には、駆動歯車11(
図1参照)と隣接して入力ギア53が設けられている。入力ギア53は、ハンドル軸8aと一体的に回転する連結ギア8c(
図2参照)と噛合している。螺軸51は、連結ギア8cおよび入力ギア53を介してハンドル8の回転駆動と同期して回転駆動されるようになっている。
【0033】
螺軸51は、
図1、
図4に示すように、左右側板1A、1B 間に回動可能に保持される筒状体55内に収容されている。筒状体55の外面には、軸方向に延出する長孔55a(
図5、
図7、
図8参照)が形成されている。長孔55aは、螺軸51の表面に形成された螺旋溝51aを軸方向に沿って部分的に露出させている。
【0034】
釣糸案内部60は、
図5、
図7等に示すように、ガイド部60A(変移機構)と保持部60Bとを一体的に備えており、保持部60Bが筒状体55を囲繞するように設けられている(
図5参照)。
保持部60Bは、
図5に示すように、その内部に摺動子61を保持している。摺動子61は、長孔55aを介して螺旋溝51aと係合している。摺動子61は、袋ナット62によって、保持部60Bに対して固定される。また、釣糸案内部60は、螺軸51の回転によって、螺旋溝51aと摺動子61との係合関係により、軸方向に沿って移動しつつ、筒状体55の回りを回転しないように、回り止めされている。本実施形態では、筒状体55の外周に軸方向に沿って延出する回り止め部55bが形成されており、この回り止め部55bに対して、保持部60Bの係合部64を係合させることで、回り止め装着されている。具体的には、回り止め部55bは、筒状体55の外周に、軸方向に延出する突起(
図5、
図8参照、180°間隔で一対設けられている) として構成されており、係合部64は、そのような突起に係合する凹部(
図5参照)として構成されている。
【0035】
また、釣糸案内部60は、螺軸51が回転駆動されると、摺動子61を介して左右側板1A、1B間で左右往復駆動されるとともに、クラッチ機構20のクラッチON/OFFに連動して釣糸巻き取り状態と釣糸放出状態との間で切り換えられるように構成されている。この場合、釣糸案内部60の回動駆動については、筒状体55を回動駆動することで成されるように構成されている。
【0036】
次に、クラッチ機構20から筒状体55への動力伝達経路を具体的に説明する。
クラッチプレート25には、
図2に示すように、リール本体1の前方側に向けて突出する突片25bが形成されている。突片25bの先端には、右フレーム2b側(左側)に向けて突出する係合突起25cが一体形成されている。一方、右フレーム2bには、螺軸51が支持される部分に回動プレート7が保持されている。回動プレート7は、右フレーム2bの内面側において、筒状体55(
図4参照)と回り止め固定されている。回動プレート7には、径方向外方に突出する図示しない凸部が形成されており、この凸部に、筒状体55の端部(内周)に形成された図示しない凹部が嵌合することで、両者は、右フレーム2bの内面側で固定された状態(一体回動可能な状態)となっている。なお、回動プレート7と筒状体55とは、一体成形してもよい。
【0037】
回動プレート7は、
図4に示すように、螺軸51を回転可能に支持する軸受52の外輪と右フレーム2bとの間で回動可能に支持され、右フレーム2bの外面側に沿って後方へ延在し、クラッチプレート25の突片25bと左右方向に重なっている。回動プレート7には、
図2に示すように、側面視略L字形の上係合孔7A、下係合孔7Bが形成されている。このうち、上係合孔7Aは、クラッチ機構20からの動力伝達に用いられ、また、下係合孔7Bは、切換ユニット70Aからの動力伝達に用いられ、切換機構70の一部を構成している。
【0038】
上係合孔7Aは、
図2に示すように、上第1長孔7a1と、上第1長孔7a1に連続する上第2 長孔7a2と、を有する。上第1長孔7a1は螺軸51の径方向に延出する直線状の長孔形状に形成されている。上第2 長孔7a2は、螺軸51と同心の円弧状の長孔形状に形成されている。
【0039】
上係合孔7Aには、クラッチプレート25の係合突起25cが遊挿されている。これにより、回動プレート7は、
図2および
図3に示すように、クラッチプレート25の回動に伴って螺軸51の軸芯を中心に回動されるようになっている。したがって、回動プレート7は、振り分けバネ23によって、釣糸巻き取り状態と釣糸放出状態との間で振り分け保持されるクラッチプレート25とともに、2つの位置で切り換えられるようになっている。
【0040】
一方、下係合孔7Bは、下第1長孔7b1と、下第1長孔7b1に連続する下第2 長孔7b2と、を有する。下第1長孔7b1は螺軸51の径方向に対して所定の角度を有して延出する直線状の長孔形状に形成されており、また、下第2長孔7b2は、螺軸51と同心の円弧状の長孔形状に形成されている。
【0041】
下係合孔7Bには、突起部721が遊挿されている。突起部721は、切換機構70のフリクション装置72に設けられている。この突起部721の遊挿により、回動プレート7は、フリクション装置72の回動に伴って回動されるように構成されている。つまり、回動プレート7は、前記したクラッチプレート25の作動による回動に加え、切換機構70 の作動によっても回動するように構成されている。
【0042】
回動プレート7の前側部と右フレーム2bとの間には、復帰バネ7cが取り付けられている。復帰バネ7cは、回動プレート7を反時計回り方向に付勢しており、回動プレート7を釣糸巻き取り状態に保持する。復帰バネ7cは、切換機構70の一部を構成している。
【0043】
復帰バネ7cにより、
図2に示す釣糸巻き取り状態(クラッチON状態P1)において、クラッチプレート25の係合突起25cは、上係合孔7Aの上第1長孔7a1の後端部(上第2長孔7a2の上端部)に保持されるようになっている。また、切換機構70の突起部721は、下係合孔7Bの下第1長孔7b1の後端部(下第2長孔7b2の後端部)に保持されるようになっている。
【0044】
一方、
図3に示す釣糸放出状態(クラッチOFF状態P2)において、クラッチプレート25の係合突起25cは、上第1長孔7a1の前端部に保持されるようになっている。また、切換機構70の突起部721は、下第2長孔7b2の前端部に保持されるようになっている。
【0045】
釣糸案内部60は、回動プレート7を介して筒状体55が回動駆動されることで、スプール5Aの前方において前後方向に回動される。ここで、釣糸案内部60のガイド部60Aの構成について、
図5~
図9を参照して具体的に説明する。
【0046】
ガイド部60Aは、スプール5Aからの釣糸Sを挿通させる部分であり、SUS、チタン等の釣糸抵抗が少ない材料によるフレーム体60Fとして構成され、保持部60Bとともに一体形成されている。具体的には、左右方向に幅狭(細溝状)とされた幅狭ガイド部67と、その幅狭ガイド部67の上方側で、略対称となるように左右方向に拡がる幅広ガイド部68とを備えている。幅広ガイド部68は、
図8に示すように、正面視(挿通される釣糸Sに沿って前方から見た正面視)で、左右方向に拡がる略楕円形状となるように形成されている。幅広ガイド部68の両サイド壁は、幅広ガイド部68の略中央の下部に形成される幅狭ガイド部67に向けて傾斜して釣糸Sを案内する傾斜案内面68aとなっている。
【0047】
幅広ガイド部68を有するフレーム体60Fは、釣糸巻き取り状態(クラッチON状態P1)で側面視した際(
図5参照)、前後方向に対して傾斜した状態(後方側に向けて次第に立ち上がる形状) となっている。幅広ガイド部68を規定する上壁68bは、釣糸放出状態(クラッチOFF状態P2)において、前後方向に沿った状態となっており(
図6参照)、可能な限り広い開口を確保できるように構成されている。したがって、上壁68bの後端縁は、釣糸放出状態から釣糸巻き取り状態に回動した際に、幅広ガイド部68内に挿通されている釣糸Sに対して、上側から当接できる位置関係となっており、釣糸Sを規制する規制部69としての機能を有する。
【0048】
幅狭ガイド部67は、上下方向に延出しており、そこに入り込んだ釣糸Sの左右方向のブレを防止して、スプール5A(
図1参照)に対して、安定して釣糸を平行巻きする機能(糸巻状態を向上する機能)を有する。
【0049】
次に、切換機構70について説明する。切換機構70は、ドラグ装置8b(
図1参照)により付与されたドラグ力に抗して釣糸Sが引き出されたときに、釣糸案内部60(
図1参照)の姿勢状態を変更すべく回転駆動するものである。切換機構70は、
図2、
図3に示すように、切換ユニット70Aと、下係合孔7Bと、復帰バネ7cと、を備えて構成されている。切換機構70は、レベルワインド装置50の螺軸51とハンドル軸8aとの間のスペースを利用して設けられている。切換ユニット70Aは、ワンウェイ装置71と、フリクション装置72と、を備えている。ワンウェイ装置71と、フリクション装置72とは、右側板1B内に連結する状態で配置されている。本実施形態では、これらがハンドル軸8aに同心円上に配置されている。
【0050】
本実施形態のリール本体1の内部空間には、
図5、
図6、
図7に示すように、スプール軸5に対して前側に設けられ、ガイド部60Aの様態を検知する検知部80を備える。具体的に検知部80は、ガイド部60Aに一体に設けられる保持部60Bの筒状体55の後側を向く外面に装着される磁石82を磁気によって検知する磁気センサ81を有する。つまり、磁気センサ81は、ガイド部60Aとともに変移する筒状体55の様態(揺動位置、姿勢)を検知する。磁気センサ81は、ガイド部60Aの揺動位置を検知として、ガイド部60Aの揺動位置に応じて、螺軸51を中心に回転する筒状体55の回転位置を検知することができる。
【0051】
磁気センサ81は、
図5に示すように、クラッチON状態P1において筒状体55の磁石82と対向する位置で、スプール軸5より前側のリール本体1内のスペースS1に配置されている。磁石82は、
図6に示すように、クラッチOFF状態P2のときに筒状体55の時計回りの回転(
図2中X2方向)とともに変移する。このとき、磁石82が磁気センサ81との対向位置から離れるため、磁気センサ81で磁石82の磁気が非検知となる。このように、磁気センサ81がON/OFFすることで、クラッチON状態P1とクラッチOFF状態P2を検出することができる。
【0052】
次に、このように構成される魚釣用リール100の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0053】
本実施形態による魚釣用リール100は、
図2及び
図3に示すように、釣糸Sを前側(第1方向側)に放出可能なスプール5Aと、リール本体1に回転自在に支持され、スプール5Aと一体回転するスプール軸5と、スプール5Aへの巻取り動力を伝達する伝達状態、及びスプール5Aへの巻取り動力の伝達を遮断する遮断状態に切替え可能なクラッチ機構20と、スプール軸5に対して後側(第1方向側と反対の第2方向側)に設けられ、クラッチ機構20を操作するクラッチ操作部21と、を備える。魚釣用リール100は、クラッチ機構20が伝達状態のとき第1様態(クラッチON状態P1)となり、クラッチ機構20が遮断状態のとき第1様態とは異なる第2様態(クラッチOFF状態P2)に変移可能な変移機構(釣糸案内部60)と、スプール軸5に対して前側に設けられ、変移機構の様態を検知する検知部80と、を備える。
【0054】
本実施形態の魚釣用リール100では、検知部80が、スプール軸5の釣糸放出方向と反対側(第2方向側)に設けられたクラッチ操作部21とは異なる方向側(第1方向側)に位置する、例えば、クラッチ操作によって移動する釣糸案内部60やリンク機構などの変移機構の位置の変化を検知部80で検出することができる。つまり、クラッチ操作部21の操作によって、変移する変移機構の様態(第1様態および第2様態)によって、クラッチのON/OFFを検知部80で検出することができる。
このように本実施形態では、リール本体1の後端付近(第2方向側の端部付近)に検知部80を組み込むスペースが不要となる。そのため、クラッチ操作部21の近傍(リール本体1の後端)が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
また、このように本実施形態では、リール本体1の後端付近(第2方向側の端部付近)に検知部80を組み込むことが不要となる。そのため、クラッチ操作部21の近傍(リール本体1の後端)が後側(第2方向側)に荷重がかかることがなく、魚釣用リール100の前後バランスを崩すことがないので、キャスティング性を向上できる。
【0055】
また、本実施形態では、変移機構は、第1様態のとき、スプール5Aに釣糸Sを案内する巻取り姿勢となり、第2様態のとき、スプール5Aから釣糸を放出する放出姿勢となる、釣糸案内部60を備える。検知部80は、変移機構の様態の検知として、釣糸案内部60の姿勢を検知する。
【0056】
そのため、変移機構が、クラッチ機構20の状態に応じて移動する巻取り姿勢と放出姿勢に切替え可能な釣糸案内部60を備えることによって、その釣糸案内部60の姿勢を検知部80で検出することができる。この場合、釣糸案内部60の姿勢が比較的大きいため、クラッチのON/OFFの検知が、より確実に、正確に位置の検知することができる。
また、クラッチ操作部21と釣糸案内部60は、スプール軸5を挟んで、前後方向のほぼ反対側に位置するので、リール本体1の後端が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
【0057】
また、本実施形態では、釣糸案内部60は、外周に螺旋溝51aを有する螺軸51と、螺軸51の外周に設けられ、螺軸51の軸方向に沿って開口し、螺旋溝51aの一部を露出させる長孔55aを有する筒状体55と、長孔55aを介して螺旋溝51aに係合し、螺軸51が回転することで、長孔55aに沿って摺動する摺動子61と、釣糸Sをガイドするガイド部60Aと、を備える。ガイド部60Aは、摺動子61と共に摺動し、スプール軸5の軸方向の幅が狭い幅狭ガイド部67と、スプール軸5の軸方向の幅が広い幅広ガイド部68と、を有する。ガイド部60Aは、巻取り姿勢では、釣糸Sを幅狭ガイド部67に導くように、螺軸51を中心に後側の揺動位置に位置し、放出姿勢では、釣糸Sを幅広ガイド部68に導くように、螺軸51を中心に前側の揺動位置に位置する。検知部80は、釣糸案内部60の姿勢を検知として、ガイド部60Aの揺動位置を検知する。
【0058】
これにより、変移機構が、螺軸51、筒状体55、摺動子61及びガイド部60Aを備え、クラッチ機構20の状態に応じて移動する巻取り姿勢と放出姿勢に切替え可能な、幅狭ガイド部67と幅広ガイド部68を有するガイド部60Aの釣糸案内部60を備えることによって、その釣糸案内部60の姿勢を検知部80で検出することができる。この場合、釣糸案内部60のガイド部60Aの姿勢が比較的大きいため、クラッチのON/OFFの検知が、より確実に、正確に位置の検知することができる。
また、クラッチ操作部21と釣糸案内部60は、スプール軸5を挟んで、前後方向のほぼ反対側に位置するので、リール本体1の後端が後側(第2方向側)に張り出すことがなく、パーミング性を向上できる。
【0059】
また、本実施形態では、検知部80がガイド部60Aの揺動位置を検知として、ガイド部60Aの揺動位置に応じて、螺軸51を中心に回転する筒状体55の回転位置を検知する。そのため、クラッチ操作部21の操作によって回転駆動する例えばレベルワインド装置の駆動軸からなる筒状体55の回転位置を検知部80で検出することができる。
【0060】
また、本実施形態では、検知部80は、磁気によって変移機構の様態を検知する磁気センサ81であるため、磁石82と磁気センサ81からなる簡単な構造の検知部80によって変移機構の位置検出を行うことができる。複雑な構造でないので、スプール軸5の前側(第1方向側)の僅かなスペースS1を利用して小型な磁石82と磁気センサ81を配置でき、リール本体1内のスペースを有効に利用できる。
【0061】
上述のように構成された本実施形態による魚釣用リール100では、リール本体1の後端の後側への張り出しを抑えることで、使用時のパーミング性を向上することができる。
また、本実施形態では、魚釣リール100の前後バランスの均一化を図り、キャスティング性を向上できる。
【0062】
以上、本発明による魚釣用リールの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、実施形態には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0063】
例えば、本実施形態では、検知部80の変移機構の様態の検知として、釣糸案内部60の姿勢を検知する構成を一例としているが、このような構成に限定されることはない。例えば、検知部80で検知する変移機構は、釣糸案内部60だけでなく、クラッチ機構20から釣糸案内部60を駆動するリンク機構の構成部材であってもよい。
【0064】
また、検知部80の位置も、スプール軸5に対して第1方向側(本実施形態では前側)に配置されていればよく、本実施形態のようにスプール5Aと筒状体55との間のスペースS1であることに限定されることはない。例えば筒状体55の前側のスペースに配置することも可能である。
【0065】
また、本実施形態の検知部80として、磁気によって変移機構の様態を検知する磁気センサ81を例示しているが、このような磁気センサ81に限定されることはない。磁気センサ81に代えて例えば、金属センサや変移機構の回転を検出するセンサ等を採用することも可能である。
【0066】
その他、リール本体1、スプール5A、クラッチ機構20、釣糸案内部60等の形状や大きさ等の構成については、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 魚釣用リール
1 リール本体
5 スプール軸
5A スプール
8a ハンドル軸
20 クラッチ機構
21 クラッチ操作部
50 レベルワインド装置
51 螺軸
51a 螺旋溝
55 筒状体
55a 長孔
60 釣糸案内部(変移機構)
60A ガイド部(変移機構)
60B 保持部
61 摺動子
67 幅狭ガイド部
68 幅広ガイド部
70 切換機構
71 ワンウェイ装置
72 フリクション装置
80 検知部
81 磁気センサ
82 磁石
P1 クラッチON状態(第1様態)
P2 クラッチOFF状態(第2様態)
S 釣糸