(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002061
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20241226BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241226BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241226BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241226BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M10/052
H01M4/139
H01M10/058
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101979
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】工藤 尚範
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AJ07
5H029AL07
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ08
5H029CJ22
5H029HJ07
5H050AA07
5H050AA12
5H050AA13
5H050BA17
5H050CB08
5H050DA03
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】より簡易な方法で副反応による非水電解液の分解を抑制しつつ電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制すること。
【解決手段】リチウムイオン二次電池の電極体において幅方向の一端に正極集電部33を備えた正極板3と、幅方向の他端に負極集電部23を備えた負極板2とが、セパレータ4を介して積層された電極体12を備える。負極板2の負極合材層22を幅方向に二分割した場合の負極集電部23側の領域22nの比表面積S
1[m
2/g]と正極集電部33側の領域22pの比表面積S
2[m
2/g]の比表面積比S
2/S
1が、1.033以上、1.091以下とした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一端に正極集電部を備えた正極板と、幅方向の他端に負極集電部を備えた負極板とが、セパレータを介して積層された電極体を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記負極板の負極合材層を幅方向に二分割した場合の前記負極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]と前記正極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]の比表面積比S2/S1が、1.033以上、1.091以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記負極板の前記負極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]が、3.42[m2/g]以上、3.95[m2/g]以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記負極板の前記正極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]が、3.67[m2/g]以上、4.24[m2/g]以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極板。
【請求項5】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用の製造方法であって、
負極活物質と結着材と溶媒とを混合混練して負極合材ペーストを作製する負極合材ペースト作製工程と、
負極集電体の原反となる負極板の倍の幅の金属箔を搬送させつつ、前記金属箔の幅方向中央に対向したダイノズルから前記金属箔に対して前記負極合材ペーストを塗工する塗工工程と、
前記金属箔に塗工された前記負極合材ペーストを乾燥させる乾燥工程と、
前記負極合材ペーストが塗工された前記金属箔をプレス整形するプレス工程と、
前記負極合材ペーストが塗工されプレス整形された前記金属箔を、所定の負極板の幅に切断する切断工程とを備え、
前記塗工工程は、前記金属箔の幅方向中央部の負極合材ペーストの目付量[g/m2]が、幅方向の端部における負極合材ペーストの目付量[g/m2]より多く塗工され、
前記プレス工程は、前記幅方向中央部の負極合材層の負極活物質粒子を押し潰すことによって負極活物質の比表面積[m2/g]を拡大することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記塗工工程及び前記プレス工程は、完成した前記負極板が幅方向に二分割した場合の正極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]と前記負極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]の比表面積比S2/S1が、1.033以上、1.091以下となるように行うことを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記塗工工程における前記負極合材ペーストの粘度P[Pa・s]が2000~10000[Pa・s]、若しくは前記負極合材ペーストの固形分率NV[%]が55~65[%]であり、
吐出量[g/min]が、800~900[g/min]であり、
搬送速度[m/min]が30~70[m/min]であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池の製造方法に係り、より簡易な方法で副反応による非水電解液の分解を抑制しつつ電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制することができるリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池は電池容量が大きくかつ高電圧で大電流を供給することができるため、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの駆動用電源として用いられている。また、家庭や工場における定置用の電池としても活用されている。このようなリチウムイオン二次電池においては、さらに高出力のものが要求されている。
【0003】
そこで、高出力化を図るべく入出力向上のため、高比表面積[m2/g]の負極活物質を用いて非水電解液との反応面積を増加させることで、電池の高出力化がはかられている。また、反応抵抗を低減するため、導電材に繊維状導電材であるカーボンナノチューブなどを用いることで更に高性能化が図られている。
【0004】
ところで、このような高比表面積[m2/g]の負極活物質を用いた非水電解液二次電池については、特許文献1に記載された発明のような負極板における比表面積[m2/g]を調整する知見が開示されていた。特許文献1では、負極活物質層は、正極活物質層と対向する対向領域と、正極活物質層と対向しない非対向領域とを有している。電池容量の低下を抑制するために、対向領域のBET法に基づく比表面積をS1、非対向領域のBET法に基づく比表面積をS2としたときに、S2<S1の関係を満たす。このように比表面積を調整することで、電池容量への寄与の少ない正極活物質層と対向しない非対向領域の比表面積を低下させることで電池容量の劣化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-160048号公報
【特許文献2】特開2020-087856号公報
【特許文献3】特開2022-038871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、対向領域内においても次のような問題により電池容量の劣化が生じる。すなわち、電池性能の向上のため負極活物質の比表面積を大きくすると、非水電解液との反応面積が拡大して電池性能は向上する。ところが、このような比表面積が大きく内部抵抗が小さな負極活物質において大電流が流れると、負極活物質の表面で非水電解液の分解が生じて電池寿命が短くなるという問題があった。もちろん一律に負極板の負極活物質の比表面積が小さくなれば電池性能は低下する。
【0007】
ここで、非水電解液の負極活物質の表面における分解は、電流密度が高く、非水電解液の流量が大きな部分で集中して生じる。このような問題に対して、例えば、特許文献2に記載された発明のように負極板の場所によって、比表面積が異なる負極合材層を2回塗工するような方法が考えられた。また、特許文献3に記載された発明のように塗工時に負極合材ペーストに磁場を配向することで、負極板の場所によって、比表面積が異なるようにする方法があった。
【0008】
しかしながらこれらの方法は、工程が煩雑であるだけでなく、その制御も難しいという問題があった。また、これらとは別のアプローチとして、非水電解液の分解を抑制する添加剤と添加することが考えられるが、このような添加剤はかえって抵抗を上昇させるという問題がある。
【0009】
本発明のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池の製造方法が解決しようとする課題は、より簡易な方法で副反応による非水電解液の分解を抑制しつつ電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のリチウムイオン二次電池では、幅方向の一端に正極集電部を備えた正極板と、幅方向の他端に負極集電部を備えた負極板とが、セパレータを介して積層された電極体を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極板の負極合材層を幅方向に二分割した場合の前記負極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]と前記正極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]との比表面積比S2/S1が、1.033以上、1.091以下であることを特徴とする。
【0011】
また、前記負極板の前記負極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]が、3.42[m2/g]以上、3.95[m2/g]以下であることが望ましい。
また、前記負極板の前記正極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]が、3.67[m2/g]以上、4.24[m2/g]以下であることが望ましい。
【0012】
上記記載のリチウムイオン二次電池用の製造方法であって、負極活物質と結着材と溶媒とを混合混練して負極合材ペーストを作製する負極合材ペースト作製工程と、負極集電体の原反となる負極板の倍の幅の金属箔を搬送させつつ、前記金属箔の幅方向中央に対向したダイノズルから前記金属箔に対して前記負極合材ペーストを塗工する塗工工程と、前記金属箔に塗工された前記負極合材ペーストを乾燥させる乾燥工程と、前記負極合材ペーストが塗工された前記金属箔をプレス整形するプレス工程と、前記負極合材ペーストが塗工されプレス整形された前記金属箔を、所定の負極板の幅に切断する切断工程とを備え、前記塗工工程は、前記金属箔の幅方向中央部の負極合材ペーストの目付量[g/m2]が、幅方向の端部における負極合材ペーストの目付量[g/m2]より多く塗工され、前記プレス工程は、前記幅方向中央部の負極合材層の負極活物質粒子22bを押し潰すことによって負極活物質の比表面積[m2/g]を拡大することを特徴とする。
【0013】
前記塗工工程及び前記プレス工程は、完成した前記負極板が幅方向に二分割した場合の正極集電部側の領域の比表面積S1[m2/g]と前記負極集電部側の領域の比表面積S2[m2/g]の比表面積比S2/S1が、1.033以上、1.091以下となるように行うことを特徴とする。
【0014】
前記塗工工程における前記負極合材ペーストの粘度P[Pa・s]が2000~10000[Pa・s]、若しくは前記負極合材ペーストの固形分率NV[%]が55~65[%]であり、
吐出量[g/s]が、500~1000[g/min]であり、
搬送速度[m/s]が30~70[m/min]であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池の製造方法が解決しようとする課題は、副反応による電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制することにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態のリチウムイオン二次電池の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の捲回される電極の構成を示す模式図である。
【
図3】本実施形態の電極体の正極板と負極板とセパレータの構成を示す模式図である。
【
図4】本実施形態の電極体の正極板と負極板の作用を示す模式図である。
【
図5】本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の負極板の製造工程を示すフローチャートである。
【
図8】塗工工程(S12)における負極合材ペーストの流れを示す模式図である。
【
図10】プレス工程(S14)を示す模式図である。
【
図11】プレス工程(S14)における負極合材層のプレス状態を示す模式図である。
【
図14】負極合材ペーストの吐出量[g/s]と搬送速度[m/min]の条件を変えたとときの負極板の負極合材層の負極集電部側の端部からの電極幅[mm]と電極厚み[μm]を示すグラフである。
【
図15】本実施形態の実験例の結果を示す表である。
【
図16】実験例における容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極板、リチウムイオン二次電池用の製造方法を、リチウムイオン二次電池1の負極板2の実施形態の一例により説明する。
【0018】
(本実施形態の概略)
図3は、本実施形態の電極体12の負極板2と正極板3とセパレータ4の構成を示す模式図である。
図4は、本実施形態の電極体12の負極板2と正極板3の作用を示す模式図である。
図4では正極板3と負極板2との間を離間させて非水電解液13の流入流出と、リチウムイオンLi
+の移動を概念的に示している。本実施形態のリチウムイオン二次電池1の負極板2では、従来技術のような問題に対して、比表面積[m
2/g]に着目することで課題を解決する。
【0019】
<比表面積S>
ここで、比表面積S[m2/g]は、単位質量当たりの面積で表される。比表面積分析は、吸着法、湿潤熱法、反応法などがあるが、吸着法は粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法である。吸着法は、BET法や、Langmuir法があるが、比表面積分析で最も良く利用されるのが、不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法である。
【0020】
本実施形態では、BET法(Berunauer Emmett and Teller’s method・ガス吸着法)により粉体の比表面積を求める方法を用いている。具体的には、負極板2の負極集電部23側、正極集電部33側のそれぞれを30×30[mm]のサイズで4枚打ち抜き、細かく裁断し、比表面積[m2/g]を測定した。測定値は負極合材層22と負極集電体21の銅箔重量の合算での比表面積[m2/g]となっている。このため、負極集電体21の重量を除き、負極合材層22のみの比表面積[m2/g]に換算した。BET比表面積測定装置は、島津製作所製のTristar3000を使用し、窒素ガスを吸着ガスとした。サンプルセルにはバルクソリッドセルを使用し、負極サンプルをこのセルの中に丸めてセットした。
【0021】
<非水電解液の分解>
図4に示すように、負極板2では、充電時には、負極集電部23から負極集電端子17(
図1参照)へ電流が流れる。このとき、負極集電部23に近い負極活物質粒子22bの表面の電流密度[A/mm
2]が高くなる。このとき非水電解液13の流出入も多くなり、負極集電部23に近い負極活物質粒子22bの表面での電圧[V]も高くなり反応により熱が発生する。この熱により負極活物質粒子22bの表面温度[°C]も上昇し非水電解液13の分解が促進される。ここで、非水電解液13の分解量は、高熱となった負極活物質粒子22bの反応面積[mm
2]に比例する。
【0022】
<本実施形態の原理>
そこで、本発明者らは、このような負極集電部23に近い領域である負極集電部側負極合材層の領域22nの負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を低下させる。他方、負極集電部23から遠い領域の正極集電部33側の負極合材層22の領域22pの負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を増大させる。このことで、負極板2の全体で非水電解液13の分解を抑制しつつ、全体としては大きな負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を確保する。
【0023】
<従来技術の問題点>
一方、背景技術に示した発明のようにこのような問題に対しては、負極板の場所によって、比表面積が異なる負極合材層を2回塗工するような方法が提案された。また、塗工時に負極合材ペーストに磁場を配向することで、負極板の場所によって、比表面積が異なるようにする方法が提案された。しかしながらこれらの方法は、付加的な設備が必要になるばかりか、非常に工程が煩雑であるだけでなく、かつその制御も難しいという問題があった。
【0024】
<本実施形態の構成の概略>
これに対して本実施形態のリチウムイオン二次電池1の負極板2では、以下のような方法で従来技術の問題を解決する。まず、負極板2の製造工程における塗工工程(
図6:S2)において、同じ比表面積[m
2/g]の負極活物質粒子22bを用いるが、領域により目付量[g/m
2]を変更する。これとともに、プレス工程(
図6:S4)で負極合材層22の一部の領域のみで負極活物質粒子22bを圧潰して新たな表面を生成することで目的の比表面積[m
2/g]とする。このような工程により負極集電部23側の負極合材層22の領域22nの負極活物質粒子22bの反応面積[mm
2]を減少させる。一方、正極集電部33側の負極合材層22の領域22pの負極活物質粒子22bの反応面積[mm
2]を増大させる。
【0025】
本実施形態のような方法であれば、特段付加的な設備を設ける必要がない。従来の既存設備で各工程の調整範囲で容易に実施することができる。また、数値管理で実施に当たり熟練は必要ない。
【0026】
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池1及びその製造方法に関して詳細に説明する。
(本実施形態の構成)
<リチウムイオン二次電池1の構成>
図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の外観構成の概略を示す斜視図である。まず、本発明の一例である本実施形態のリチウムイオン二次電池1についてその構成を説明する。
【0027】
図1に示すようにリチウムイオン二次電池1は、セル電池として構成される。リチウムイオン二次電池1は、上側に開口部を有する板状の直方体形状の電池ケース11を備える。電池ケース11の内部には電極体12が収容される。電池ケース11内には注液孔から非水電解液13が充填されている。電池ケース11はアルミニウム合金等の金属で構成され、蓋体により密閉された電槽が構成される。またリチウムイオン二次電池1は、電力の充放電に用いられる正極外部端子14、負極外部端子15を備えている。正極外部端子14は、蓋体を介して、電池ケース11内部の正極集電端子16と電気的に接続されている。また、負極外部端子15は、蓋体を介して、電池ケース11内部の負極集電端子17と電気的に接続されている。正極集電端子16は、電極体12の正極集電部33(
図2参照)に電気的に接続されている。また、負極集電端子17は、電極体12の負極集電部23(
図2参照)に電気的に接続されている。なお、正極外部端子14、負極外部端子15等の形状は、
図1に示されるものに限定されない。
【0028】
<電極体12>
図2は、捲回される電極体12の構成を示す模式図である。電極体12は、多数の負極板2と正極板3とそれらの間に配置されたセパレータ4とが積層される。積層された負極板2と正極板3とセパレータ4は捲回されて扁平に形成される。負極板2は、基材となる銅箔からなる負極集電体21上に負極合材層22が形成される。捲回される方向(捲回方向L)に直交する幅方向W(捲回軸方向)の一端側に負極集電部23が設けられている。負極集電部23は、負極合材層22が形成されておらず負極集電体21が露出した構成である。本実施形態では、負極合材層22を捲回方向Lに沿った中央線22cで、幅方向Wの領域を2分割する。この負極合材層22を2分割したときの負極集電部23側の負極合材層22の領域を領域22nと、正極集電部33側の負極合材層22の領域を領域22pという。
【0029】
正極板3は、基材となるアルミニウム箔からなる正極集電体31上に正極合材層32が形成される。
図2に示すように、正極集電体31が捲回される方向(捲回方向L)に直交する幅方向W(捲回軸方向)の他端側(負極集電部23と反対側)に正極集電部33が設けられている。正極集電部33には、正極合材層32が形成されておらず正極集電体31の金属が露出したものとなっている。
【0030】
<電極体12の積層構造>
図3は、リチウムイオン二次電池1の電極体12の積層の構成を示す模式的な部分断面図である。
図2に示したとおり、リチウムイオン二次電池1の電極体12の基本構成は、負極板2と正極板3とセパレータ4を備える。
【0031】
負極板2は、負極基材となる負極集電体21の両面に負極合材層22を備える。負極集電体21の一端部は、金属が露出する負極集電部23となっている。
正極板3は、正極基材となる正極集電体31の両面に正極合材層32を備える。正極集電体31の他端部は、金属が露出する正極集電部33となっている。
【0032】
負極板2と、正極板3は、セパレータ4を介して重ねて積層体が構成される。
図2示すようにこの積層体が捲回軸を中心に長手方向に捲回され、扁平に整形されてなる捲回型の電極体12を構成する。
【0033】
<非水電解液13>
本実施形態のリチウムイオン二次電池1の非水電解液13は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した組成物である。リチウム塩としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSO3CF3等を用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、又はリン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等が挙げられる。非水電解液13として、これらを1ないし複数種類混合して用いることができる。なお、非水電解液13の組成はこれに限られるものではない。
【0034】
これらの非水電解液13は、温度上昇に伴い熱分解をすることが知られている。このため、例えば負極活物質粒子22bの表面が反応熱で高温になったような場合に熱分解を生じる副反応を起こす。このような副反応は非水電解液13を消耗させるため、電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を招くことになる。
【0035】
<電極体12の構成要素>
次に、電極体12を構成する構成要素である負極板2、正極板3、セパレータ4について説明する。
【0036】
なお、本実施形態では、「平均径」は、特に断りがない限り体積基準の粒度分布における累積50%に相当するメジアン径(D50:50%体積平均粒径)を意味する。平均粒径がおおよそ1[μm]以上の範囲については、レーザ回折・光散乱法により求めることができる。また、平均粒径がおおよそ1[μm]以下の範囲については、動的光散乱(Dynamic Light Scattering:DLS)法により求めることができる。DLS法に基づく平均粒径は、JISZ8828:2013に準じて測定することができる。
【0037】
<負極板2>
負極基材である負極集電体21の両面に負極合材層22が形成されて負極板2が構成されている。負極合材層22は、源泉工程(
図5:S1)の塗工工程(
図6:S12)において、負極合材ペースト作製工程(
図6:S11)において作製された負極合材ペースト22aが塗工される。その後乾燥工程(S13)、プレス工程(S14)、切断工程(S15)を経て負極板2が完成する。これらの工程については、後述する。
【0038】
<負極集電体21>
負極集電体21は、本実施形態ではCu箔から構成されている。負極集電体21は、負極合材層22の骨材としてのベースとなるとともに、負極合材層22から電気を集電する集電部材の機能を有している。負極集電体21の一端部は、負極合材層22が形成されずに金属面が露出した負極集電部23となっている。つまり負極活物質粒子22bは、負極集電体21、負極集電部23、負極集電端子17を介して負極外部端子15と電気的に接続されている。
【0039】
<負極合材層22>
本実施形態の負極合材層22は、
図2において捲回方向Lに沿って、幅方向Wの中央の線を説明のため中央線22cという。そして、この中央線22cを基準に負極集電部23側の負極合材層22の領域を領域22nという。また、この中央線22cを基準に正極集電部33側の負極合材層22の領域を領域22pという。
【0040】
<負極活物質粒子22b>
本実施形態では負極活物質は、層状の構造を有する黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料であり、リチウムイオンLi+を吸蔵・放出可能な材料である。
【0041】
負極板2の電池容量は、この負極活物質の量と相関関係がある。一方、電流の入出力の大きさは、負極活物質粒子22bの表面において非水電解液13により運搬されるリチウムイオンLi+と反応する表面積[m2]と密接な関係がある。
【0042】
<比表面積S>
比表面積S[m2/g]が大きければ大きいほど、同じ質量の負極活物質であっても、高出力が可能であるといえる。本実施形態の負極活物質は、グラファイトからなる粒状の負極活物質粒子22bを原材料とする。粒径は概ね一定のものを使用しており、比表面積S[m2/g]は概ね一定である。しかし、この負極活物質粒子22bをプレス機7などで圧潰すると新たな反応面が創出される。つまり、比表面積[m2/g]が増加する。
【0043】
<目付量[g/m2]>
目付量[g/m2]は、単位当たりの面積[m2]の重量[g]をいい、本実施形態では、負極集電体21の銅箔上に、どのくらいの量の負極活物質粒子22bを塗工するかの基準となる。当然、より多くの負極活物質粒子22bを負極集電体21に塗工すれば、つまり目付量[g/m2]を増加させれば負極合材層22における負極活物質粒子22bの表面積[m2]は大きくなる。
【0044】
<表面積[m2]>
負極合材層22において、リチウムイオンLi+と反応する表面積[m2]を拡大するには、2つの方法がある。一つは、負極集電体21に塗工する負極活物質粒子22bの重量[g]を大きくする、つまり目付量[g/m2]を大きくすることである。
【0045】
もう一つは、負極活物質粒子22bの比表面積S[m
2/g]を大きくすることである。通常、塗工工程(
図6:S12)では、負極活物質粒子22bは一定の大きさの粒状の状態で、負極合材ペースト22aの状態で負極集電体21に塗工される。その後乾燥工程(
図6:S13)で乾燥されて溶媒が蒸発して密度が上がる。さらにプレス工程(
図6:S14)で、所定の厚さになるようにプレスする。このとき乾燥工程(S13)後の厚みが厚ければ厚いほど、負極合材層22は押し潰され、負極活物質粒子22bの一部は圧潰して、新たな表面が生成される。そうすると、比表面積S[m
2/g]が大きくなる。つまり、同一の重量[g]でも、表面積[m
2]は増加する。
【0046】
本実施形態の負極板2では、このように負極合材層22の領域において目付量[g/m2]の調整と、プレスにより圧潰で、目標とする負極合材層22での比表面積S[m2/g]を調整することに成功した。
【0047】
<正極板3>
正極板3は、正極集電体31と、ここに塗工された正極合材層32とから構成される。
<正極集電体31>
正極基材である正極集電体31の両面に正極合材層32が形成されて正極板3が構成されている。正極集電体31は、実施形態ではAl箔から構成されている。正極集電体31は、正極合材層32の骨材としてのベースとなるとともに、正極合材層32から電気を集電する集電部材の機能を有している。
【0048】
まず、正極集電体31を構成する正極基材は、Al箔を例示したが、例えば、導電性の良好な金属からなる導電性材料により構成される。導電性の良好な材料としては、例えば、AL箔の他、Al合金を含む材料を用いることができる。正極集電体31の構成はこれに限られるものではない。
【0049】
<正極合材層32>
正極合材層32は、正極合材ペースト32aを正極集電体31に塗工、乾燥して形成される。正極合材層32は、正極活物質粒子のほか、導電助材、バインダ、及び分散剤等の添加剤を含む。
【0050】
<正極活物質>
正極活物質粒子は、層状の結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物を含有する。リチウム遷移金属酸化物は、Li以外に、1乃至複数の所定の遷移金属元素を含む。リチウム遷移金属酸化物に含有される遷移金属元素は、Ni、Co、Mnの少なくとも一つであることが好ましい。リチウム遷移金属酸化物の好適な一例として、Ni、CoおよびMnの全てを含むリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。
【0051】
正極活物質粒子は、遷移金属元素(すなわち、Ni、CoおよびMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種又は複数種の元素を含有し得る。正極活物質粒子は、付加的な元素として、周期表の1族(ナトリウム等のアルカリ金属)、2族(マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、6族(クロム、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)、13族(半金属元素であるホウ素、もしくはアルミニウムのような金属)および17族(フッ素のようなハロゲン)に属するいずれかの元素を含むことができる。
【0052】
<セパレータ4>
セパレータ4は、負極板2及び正極板3の間に非水電解液13を保持するための多孔性樹脂であるポリプロピレン製等の絶縁性の高い不織布である。また、セパレータ4としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、および多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。非水電解液13に電極体12を浸漬するとセパレータ4の端部から中央部に向けて非水電解液13が浸透する。このため、負極集電部23や正極集電部33に近くの電流密度[Ah/mm2]が高い領域で、非水電解液13の流通が大きくなる。
【0053】
<リチウムイオン二次電池1の製造方法>
図5は、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法の一例を示すフローチャートである。セル電池であるリチウムイオン二次電池1は、まず、源泉工程(S1)で、発電要素である負極板2、正極板3、セパレータ4をそれぞれ作成する。源泉工程(S1)で負極板2、正極板3、セパレータ4をそれぞれ作成したら、次に積層工程(S2)でセパレータ4を介して負極板2、正極板3を重ね合わせて一体化する。このように作成した積層体は、捲回工程(S3)において、
図2に示すように捲回方向Lに捲回する。捲回工程(S3)で捲回された積層体は、概ね板状となっている。このような捲回体は、捲回体プレス工程(S4)において対向するプレス機のプレス面により、厚み方向Tからプレスされる。捲回体プレス工程(S4)では、
図1に示す電池ケース11に電極体12を隙間なく収容するため、規定の厚さ[mm]になるまでプレスされる。
【0054】
捲回体プレス工程(S4)において、電極体12の厚みが整えられたら、組立工程(S5)を行う。組立工程(S5)では、
図1に示すように電極体12に負極集電端子17、正極集電端子16が装着され、さらに蓋体を介して、負極外部端子15、正極外部端子14が装着される。そして、電極体12を電池ケース11に収容する。そして、蓋体が電池ケース11に溶接されることで開口部を封止する。この段階では、蓋体の注液口は開放しているのでセル乾燥工程(S6)でセルを加熱してセル内を乾燥する。セル乾燥工程(S6)でセル内が乾燥したら、注液・封止工程(S7)で、非水電解液13を注液して、注液口を封止して密閉する。以上でリチウムイオン二次電池1の組立が完了する。
【0055】
その後、活性化工程(S8)における初充電でSEI被膜を形成する。また、エージング工程において高温で長時間保存して微小短絡を解消する。
このような活性化工程(S8)が完了したら、検査工程(S9)で、電池容量、内部抵抗、自己放電、OCVなどを検査して、合格したものが製品として出荷される。
【0056】
<負極板作成工程>
図6は、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の源泉工程(S1)における負極板作成工程を示すフローチャートである。源泉工程(S1)は、発電要素である負極板2、正極板3、セパレータ4をそれぞれ作成する工程である。ここでは、正極板3、セパレータ4については説明を省略し、本実施形態の特徴的な負極板作製工程についてのみを
図6に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0057】
<負極合材ペースト作製工程(S11)>
負極合材ペースト22aは、負極活物質粒子22bと、バインダとが、溶媒により粘度P[Pa・s]が調整されて混練され、ペーストとして作製される。本実施形態では、粘度P[Pa・s]は、2000~10000[Pa・s]に調整される。粘度P[Pa・s]を2000[Pa・s]以上とするのは、負極集電体21に塗工された負極合材ペースト22aが、負極集電体21において拡がり過ぎ、平坦にならないようにするためである。一方、粘度P[Pa・s]を10000[Pa・s]以下とするのは、負極集電体21に塗工された負極合材ペースト22aが、負極集電体21の端部まで拡がるようにするためである。
【0058】
なお、負極合材ペースト22aは、粘度P[Pa・s]による調整に代えて、若しくは、粘度P[Pa・s]による調整と併せて、負極合材ペースト22aの固形分率NV[%]により調整することもできる。ここで、固形分率NV[%]とは、負極合材ペースト22aにおける固形分の比率[wt%]である。固形分率NV[%]は、次のような式で求めることができる。
【0059】
固形分率NV[%]=(負極活物質+バインダ)/(負極活物質+バインダ+溶媒)
本実施形態では、固形分率NV[%]が55~65[%]になるように調整している。固形分率NV[%]を55[%]を以上としたのは、負極集電体21に塗工された負極合材ペースト22aが、負極集電体21において拡がり過ぎ、平坦にならないようにするためである。また、固形分率NV[%]を65[%]以下としたのは、負極集電体21に塗工された負極合材ペースト22aが、負極集電体21の端部まで拡がるようにするためである。
【0060】
以上のように、負極合材ペースト作製工程(S1)では、負極合材ペーストの粘度P[Pa・s]若しくは固形分率NV[%]を調整する。この調整により、塗工工程(S12)において、負極集電体21の領域により負極合材ペースト22aの目付量[g/m2]の勾配、及び塗工厚さ[μm]の勾配を形成することができる。
【0061】
<塗工工程(S12)>
図7は、塗工工程(S12)を示す模式図である。
図8は、塗工工程(S12)における負極合材ペーストの流れを示す模式図である。
【0062】
塗工工程(S12)では、負極合材ペースト作製工程(S1)で作製した負極合材ペースト22aを金属箔21aに塗工する工程である。
図7に示すように塗工工程(S12)は、負極集電体21の原反となる負極板2の負極集電体21の倍の幅の長尺の金属箔21aを搬送させる。そして、塗工機5により、この搬送されている金属箔21aの幅方向W中央に対向したダイノズル51から金属箔21aに対して負極合材ペースト22aを塗工する工程である。
【0063】
図8に示すように、ダイノズル51は、内部に負極合材ペースト22aを加圧して貯留するダイ52と、ここから負極合材ペースト22aを対向する金属箔21aに吐出するノズル53を備える。ノズル53は、金属箔21aの幅方向Wに延びる溝状の開口部である。加圧された負極合材ペースト22aは、ノズル53から吐出されるが、特に中央部から多く吐出される。そして、吐出された負極合材ペースト22aは、金属箔21aの幅方向W中央から塗工されていく。この後、塗工された負極合材ペースト22aは、金属箔21aの幅方向W中央から、金属箔21aの両端部に流動して拡がっていく。
【0064】
ここで、
図14は、負極合材ペースト22aの吐出量[g/s]と搬送速度[m/s]の条件を変えたとときの負極板2の負極合材層22の負極集電部23側の端部からの電極幅[mm]と電極厚み[μm]を示すグラフである。グラフの横軸は、電極幅[mm]を示し、0[mm]は、負極合材層22の負極集電部23側の端部(金属箔21a端部)を表す。また、概ね87[mm]が、負極合材層22の正極集電部33側の端部(金属箔21a中央部)を表す。縦軸は、負極板2の電極厚み[mm]を示す。
【0065】
ここで、実線で示すグラフは、「吐出流量大×搬送速度速」、すなわちノズル53からの吐出量[g/s]が大きく、搬送速度[m/s]が速い場合を示す。そうすると、負極合材層22の負極集電部23側の端部の厚みがおよそ68[mm]であるのに対して、負極合材層22の正極集電部33側の端部の厚みが及び70[mm]と、厚くなっていることが分かる。
【0066】
また、破線で示すグラフは、「吐出流量小×搬送速度低」、すなわちノズル53からの吐出量[g/min]が小さく、搬送速度[m/min]が低い場合を示す。この場合、「吐出流量大×搬送速度速」と、負極合材ペースト22aの目付量[g/m2]は一定の量となっている。そうすると、負極合材層22の負極集電部23側の端部の厚みがおよそ68[mm]であるのに対して、負極合材層22の正極集電部33側の端部の厚みが及び68[mm]をやや超える程度の厚みとなり、その差は小さいことが分かる。
【0067】
また、一点鎖線で示すグラフは、「吐出流量中×搬送速度中」、すなわちノズル53からの吐出量[g/min]が中間であり、搬送速度[m/min]が中間の場合を示す。そうすると、負極合材層22の負極集電部23側の端部の厚みがおよそ68[mm]である。これに対して、負極合材層22の正極集電部33側の端部の厚みが及び69[mm]である。このため、「吐出流量大×搬送速度速」と「吐出流量小×搬送速度低」との中間の厚さとなっていることが分かる。
【0068】
以上のような実験から、本実施形態では、吐出量[g/min]を制御するとともに、搬送速度[m/min]を吐出量[g/min]に合わせて調整する。具体的には、金属箔21a上に適量の負極合材ペースト22aが吐出されるように搬送速度[m/min]が調整される。但し、計算上の目付量[g/m
2]が同じでも、
図14に示すように「吐出流量大×搬送速度速」の方が、「吐出流量小×搬送速度低」の場合より、電極厚み[μm]の勾配が大きくなる。すなわち目付量[g/m
2]の勾配が大きくなることから、目標とする電極厚み[μm]に合わせて、吐出量[g/min]を制御するとともに、搬送速度[m/min]を制御する。
【0069】
具体的には、本実施形態では、吐出量を800~900[g/min]、これに併せて搬送速度を30~70[m/min]としている。
<乾燥工程(S13)>
図9は、乾燥工程(S13)を示す模式図である。加熱乾燥機6は、図示しないローラコンベアによりヒータ間を通過させ、熱風により加熱乾燥させる。乾燥工程(S13)により負極合材ペースト22aの溶媒は揮発し、固体である負極合材層22なる。この状態で負極合材層22は安定する。
【0070】
<プレス工程(S14)>
図10は、プレス機7によるプレス工程(S14)を示す模式図である。乾燥工程(S13)が終了すると、負極合材層22は、既に一定の硬さとなっているが、金属箔21aの中央部の厚みが大きい。そこで、プレス工程(S14)により、プレス機7で負極板2全体が所定の厚さの平面になるように整形する。プレス機7は、一定のギャップG[mm]を有して対向する一対のプレスローラ71a、71bの間に、負極板2を通過させる。このため、負極板2は一定の厚さとなり、その表面は平面に整形される。
【0071】
図11は、プレス工程(S14)における負極合材層22のプレス状態を示す模式図である。塗工工程(S12)、乾燥工程(S13)後の負極合材層22の厚みは、ギャップG[mm]よりも厚くなるように設定されている。プレス工程(S14)では、このような厚みの負極合材層22を押しつぶす。このとき塗工工程(S12)、乾燥工程(S13)後の負極合材層22の厚みは、この実施形態の一例では幅方向Wの中央部が例えばおよそ70[μm]で、端部がおよそ68[μm]である。これを例えば60[μm]までプレス整形する。このとき、金属箔21aの幅方向Wの端部では、圧縮率が小さいため、負極活物質粒子22bと結着材との間隔が圧縮されてプレス圧を吸収し、圧潰する負極活物質粒子22bの割合が少ない。一方、中央部では、圧縮率が大きいため、負極活物質粒子22bと結着材との間隔が圧縮されるだけでなく、プレス圧を吸収できず圧潰する負極活物質粒子22bの割合が大きくなる。その結果、金属箔21aの幅方向Wの中央部では、負極活物質粒子22bの圧潰を起因とする新たな反応面が創出され、比表面積[m
2/g]が増大する。
【0072】
<切断工程(S15)>
図12は、切断工程(S15)を示す模式図である。プレス工程(S14)で、厚さが均一の平坦な面に整形されたら、切断工程(S15)で、カッター8により、指定の幅、長さに切断される。幅方向Wが負極板2の2倍である金属箔21aは、電極体12の幅に合わせて、捲回方向L(長手方向)に沿って中央部の切断線Cで2分割される。このとき、幅方向Wの一端部に負極集電部23が形成されている。また、図示を省略したが、所定の長さに切断される。これで負極板2の完成である。
【0073】
<完成した負極板2>
図13は、完成した負極板2を示す模式図である。切断工程(S15)で2等分され負極板2が完成する。負極板2の負極合材層22を幅方向Wに中央線22cで二分割した場合の負極集電部23側の領域22nの比表面積S
1[m
2/g]と正極集電部33側の領域22pの比表面積S
2[m
2/g]の比表面積比S
2/S
1が、1.033以上、1.091以下となっている。
【0074】
また、領域22nの比表面積S1[m2/g]が、3.42[m2/g]以上、3.95[m2/g]以下となっている。また、領域22pの比表面積S2[m2/g]が、3.67[m2/g]以上、4.24[m2/g]以下となっている。
【0075】
また、「容量劣化傾き」は、0.0164-0.0211となっている。また、反応抵抗は、38.45-44.76[mΩ]となっている。
(実験例)
<実験の目的>
ここで、負極集電部23側の負極合材層22の領域を領域22nという。正極集電部33側の負極合材層22の領域を領域22pという。
【0076】
領域22nの比表面積S1[m2/g]、領域22pの比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を変化させたときの容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]の変化を確認する。
【0077】
特に、従来の容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]の関係と、本実施形態の容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]の関係とを比較することで、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の特異な効果を確認する。
【0078】
<実験の条件と測定結果>
図15は、本実施形態の実験例を示す表である。
ここで「容量劣化傾き」とは、75[°C]で30日間保存した時点でのリチウムイオン二次電池1の容量推移[Ah]を以下の式より「容量劣化傾き」として算出した。
【0079】
容量劣化傾き=(1/(保存後容量/初期容量)-1)/√保存日数
電池の容量測定は、満充電でOCVが4.1[V]から、CC-CV(Constant Current-Constant Voltage)方式の放電により完全放電の3.0[V]になるまで行った。CC-CV方式は始めに定電流CCで充放電を行い、電池電圧が規定の値(カットオフ電圧)に到達したら定電圧で充放電を行う方法である。
【0080】
「反応抵抗」は、-30[°C]でSOC60[%]における交流インピーダンス測定にて、ナイキストプロットの直流部分の抵抗[mΩ]を除く、円弧部分で反応抵抗[mΩ]を算出した。
【0081】
領域22nの比表面積S1[m2/g]の基準値を3.42-3.95、領域22pの比表面積S2[m2/g]の基準値を3.67-4.24、及び比表面積比S2/S1の基準値を1.033-1.091とした。また、「容量劣化傾き」の基準値を0.0164-0.0211と、反応抵抗[mΩ]の基準値を38.45-44.76とした。
【0082】
<実験の結果>
・比較例1
領域22nの比表面積S1を基準外の3.35[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準外の3.37[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準外の1.006とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0186、反応抵抗は基準外の48.14[mΩ]であった。
【0083】
・比較例2
領域22nの比表面積S1を基準内の3.46[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準外の3.48[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準外の1.006とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0190、反応抵抗は基準外の46.82[mΩ]であった。
【0084】
・比較例3
領域22nの比表面積S1を基準外の4.31[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準外の4.36[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準外の1.012とした。このとき容量劣化傾きは基準外の0.0231、反応抵抗は基準外の34.23[mΩ]であった。
【0085】
・実施例1
領域22nの比表面積S1を基準内の3.44[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準内の3.67[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準内の1.067とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0192、反応抵抗は基準内の44.76[mΩ]であった。
【0086】
・実施例2
領域22nの比表面積S1を基準内の3.42[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準内の3.73[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準内の1.091とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0164、反応抵抗は基準内の44.11[mΩ]であった。
【0087】
・実施例3
領域22nの比表面積S1を基準内の3.91[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準内の4.04[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準内の1.033とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0209、反応抵抗は基準内の39.67[mΩ]であった。
【0088】
・実施例4
領域22nの比表面積S1を基準内の3.95[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2を基準内の4.24[m2/g]、及び比表面積比S2/S1を基準内の1.073とした。このとき容量劣化傾きは基準内の0.0211、反応抵抗は基準内の38.45[mΩ]であった。
【0089】
<実験のまとめ>
以上の実験の結果、実施例1~4は、領域22nの比表面積S1[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1がすべて基準内の値とした。その結果、すべて容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]が基準内の値となった。すなわち、基準値をすべて満たす本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、副反応による非水電解液の分解を抑制しつつ電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制することができることを確認することができた。
【0090】
一方、比較例1は、領域22nの比表面積S1[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1がすべて基準を満たさない。このため、反応抵抗[mΩ]が基準値を満たさないものとなった。
【0091】
比較例2は、負極集電部23側の比表面積S1[m2/g]が基準を満たすも、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1が基準を満たさない。このため、反応抵抗[mΩ]が基準値を満たさないものとなった。
【0092】
比較例3は、領域22nの比表面積S1[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1がすべて基準を満たさない。このため、容量劣化傾き、反応抵抗[mΩ]のいずれも基準値を満たさないものとなった。比較例3から導かれることは、大出力を目的として、負極集電部23側の比表面積S1[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]を大きくすると、かえって電池容量の劣化が速いということである。
【0093】
よって、望ましい容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]を得るためには、領域22nの比表面積S1[m2/g]、正極集電部33側の比表面積S2[m2/g]、及び比表面積比S2/S1がすべて基準を満たすことが分かった。
【0094】
図16は、実験例における容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]を示すグラフである。横軸は容量劣化傾きを示し、右に行くほど電池容量の劣化が速いことを示す。縦軸は、反応抵抗[mΩ]を示し、高いほどリチウムイオン二次電池1の内部抵抗が大きいことを示す。ここで、白丸で示す比較例1~3は、本実施形態とは異なり負極板2における負極合材層22の比表面積[m
2/g]が全体に大きく、かつ領域によって差が小さい従来技術の構成のものである。
図16に示すグラフ上では、比較例1~3は、略直線状にプロットされている。なお、グラフには示していないが、従来技術の負極板2では、いずれもこの直線状にプロットされる。
【0095】
一方、本実施形態のリチウムイオン二次電池1である実施例1~4は、この直線の左下に位置する。すなわち、同じ容量劣化傾きであれば、反応抵抗[mΩ]がより小さい。また、同じ反応抵抗[mΩ]であれば、より容量の劣化が抑制されていることが分かる。言い換えると従来技術の比較例1~3のグラフの直線の左下に実施例1~4が位置するということは、従来技術における容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]のトレードオフの関係から抜け出して、容量劣化傾きと反応抵抗[mΩ]の双方を同時に良好な値とすることができたことを意味する。
【0096】
すなわち、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、より簡易な方法で副反応による非水電解液13の分解を抑制しつつ電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を同時に抑制することができる。
【0097】
(本実施形態の作用)
本実施形態のリチウムイオン二次電池1では、領域22nの負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を低下させ、領域22pの負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を増大する。
【0098】
このことで、非水電解液13の熱分解が激しい負極集電部23に近い領域22nの負極活物質粒子22bの表面での非水電解液13の分解を抑制する。
これと同時に、非水電解液13の熱分解が穏やかな負極集電部23から遠い領域22pの負極活物質粒子22bの反応面積[mm2]を増大することで、負極板2全体における負極活物質粒子22bにおける充放電の反応を増大させる。
【0099】
このように非水電解液13の熱分解による消耗を抑制して電池容量の劣化を抑制する。他方で、非水電解液13の熱分解を起こしにくい負極活物質粒子22bにより反応抵抗[mΩ]を小さくする。
【0100】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、上記のような構成を備えるため、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態のリチウムイオン二次電池1用の負極板、リチウムイオン二次電池1、リチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、副反応による電池容量の減少及び内部抵抗の上昇を抑制することができるという効果がある。
【0101】
(2)負極板2の負極合材層22を幅方向Wに二分割した場合の領域22nの比表面積S1[m2/g]と領域22pの比表面積S2[m2/g]の比表面積比S2/S1が、1.033以上、1.091以下とした。このため、領域22nの負極活物質粒子22b表面での非水電解液13の熱分解を抑制することができるという効果がある。また、非水電解液13の熱分解の少ないという効果がある。
【0102】
(3)負極板2の領域22nの比表面積S1[m2/g]を3.42[m2/g]以上とした。このため、非水電解液13の熱分解を抑制しつつ、十分な反応面積を確保することができるという効果がある。
【0103】
(4)負極板2の領域22nの比表面積S1[m2/g]を3.95[m2/g]以下とした。このため、非水電解液13の熱分解を十分に抑制することができるという効果がある。
【0104】
(5)負極板2の領域22pの比表面積S2[m2/g]を3.67[m2/g]以上とした。このため、非水電解液13の熱分解が生じにくい領域で十分に入出力を行うことができるという効果がある。
【0105】
(6)負極板2の領域22pの比表面積S2[m2/g]を4.24[m2/g]以下とした。このため、必要十分な比表面積[m2/g]とすることができるという効果がある。
【0106】
(7)本実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法は、負極活物質と結着材と溶媒とを混合混練して負極合材ペーストを作製する負極合材ペースト作製工程(S11)を備える。負極合材ペースト作製工程(S11)における負極合材ペースト22aの粘度は、2000[Pa・s]以上である。このため、塗工工程(S12)後に、目付量[g/m2]の勾配を形成することができるという効果がある。
【0107】
(8)負極合材ペースト作製工程(S11)における負極合材ペースト22aの粘度は、10000[Pa・s]以下である。このため、負極合材ペースト22aが、負極集電体21において、十分に拡がって目付量[g/m2]の適当な勾配を形成することができるという効果がある。
【0108】
(9)負極合材ペースト作製工程(S11)における、負極合材ペースト22aの固形分率NV[%]が55[%]以上である。このため、塗工工程(S12)後に、目付量[g/m2]の勾配を形成することができるという効果がある。
【0109】
(10)負極合材ペースト作製工程(S11)における、負極合材ペースト22aの固形分率NV[%]が65[%]以下である。このため、負極合材ペースト22aが、負極集電体21において、十分に拡がって目付量[g/m2]の適当な勾配を形成することができるという効果がある。
【0110】
(11)負極集電体21の原反となる負極板2の倍の幅の金属箔21aを搬送させつつ、この金属箔21aの幅方向W中央に対向したダイノズル51から金属箔21aに対して負極合材ペースト22aを塗工する塗工工程(S12)を備える。塗工工程(S12)は、金属箔21aの幅方向W中央部の負極合材ペースト22aの目付量[g/m2]が、幅方向Wの端部における負極合材ペースト22aの目付量[g/m2]より多く塗工される。このため、2分割したときに、領域22nの目付量[g/m2]より、領域22pの目付量[g/m2]が大きくなるという効果がある。
【0111】
(12)負極合材ペースト22aが塗工され、乾燥された金属箔21aをプレス整形するプレス工程(S14)を備える。プレス工程(S14)は、幅方向W中央部の負極合材ペースト22aの負極活物質粒子22bを押し潰すことによって領域22pの負極活物質の比表面積[m2/g]を拡大することができるという効果がある。
【0112】
(13)塗工工程(S12)における吐出量が、800~900[g/min]の範囲である。また、搬送速度[m/s]が30~70[m/min]である。このため、吐出量[g/s]と搬送速度[m/s]とのバランスがとれるという効果がある。
【0113】
(別例)
○本発明のリチウムイオン二次電池は、負極板2の負極合材層22を幅方向Wに二分割した場合の領域22nの比表面積S
1[m
2/g]と正極集電部33側の比表面積S
2[m
2/g]の比表面積比S
2/S
1により特定した。ここで、本発明は、領域22nの比表面積S
1[m
2/g]と領域22pの比表面積S
2[m
2/g]とに、比表面積[m
2/g]の勾配が形成されればよい。この勾配は、本実施形態の
図14に例示したように正極集電部33側から負極集電部23側にかけて定率で変化するものに限らない。例えば、負極集電部23側の比表面積S[m
2/g]に急激な勾配を有するようなものであってもよい。或いは2段階若しくは多段階で比表面積S[m
2/g]が変化するようなものであってもよい。本発明の負極集電部23近傍での非水電解液13の熱分解を抑制することができる限り、その構成は限定されない。
【0114】
○また、実施形態のリチウムイオン二次電池1用の負極板2の製造方法は一例であり、本発明はここに記載された製造方法に限定されるものではない。
○また、扁平な捲回型の電極体12のリチウムイオン二次電池1を例示したが、円筒形の電極体や、平面的な電極を多数積層した電極体であってもよい。
【0115】
○本実施形態では、車両の駆動用のリチウムイオン二次電池1を例示したが、車載用に限定されず、定置用の電池や、他の用途の電池にも適用できる。
○本実施形態で例示したリチウムイオン二次電池1は、本発明の説明のための例示であり、これを構成する材質、形状などを限定するものではなく、当業者において適宜変更することができる。
【0116】
○また、本実施形態で挙げた数値及びその範囲、閾値などは好ましい例として挙げたものであり、これらに限定されず、リチウムイオン二次電池1の構成に応じ、当業者により適宜最適化されることは言うまでもない。
【0117】
○その他、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で当業者によりその構成を付加し、削除し、若しくは変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0118】
S、S1、S2[m2/g]…比表面積
P[Pa・s]…粘度
G[mm]…ギャップ
L…捲回方向(長手方向)
W…幅方向(捲回軸方向)
C…切断線
1…リチウムイオン二次電池
11…電池ケース
12…電極体
13…非水電解液
14…正極外部端子
15…負極外部端子
16…正極集電端子
17…負極集電端子
2…負極板
21…負極集電体
21a…金属箔
22…負極合材層
22c…中央線
22n…(負極集電部23側の負極合材層22の)領域
22p…(正極集電部33側も負極合材層22の)領域
22a…負極合材ペースト
22b…負極活物質粒子
23…負極集電部
3…正極板
31…正極集電体
32…正極合材層
33…正極集電部
4…セパレータ
5…塗工機
51…ダイノズル
52…ダイ
53…ノズル
6…加熱乾燥機
7…プレス機
71a…プレスローラ
71b…プレスローラ
8…カッター