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特開2025-20682シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス
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  • 特開-シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス 図1
  • 特開-シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス 図2
  • 特開-シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス 図3
  • 特開-シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020682
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】シリコーン溶液、該溶液の製造方法、該溶液を用いた耐水・撥水性基材および製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/00 20060101AFI20250205BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20250205BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20250205BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250205BHJP
【FI】
B05D7/00 B
B05D7/24 302Y
B05D7/24 303E
C09D183/04
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124201
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】512300012
【氏名又は名称】福原真空技術株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522374663
【氏名又は名称】八角 克夫
(72)【発明者】
【氏名】福原淳司
(72)【発明者】
【氏名】八角克夫
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA55
4D075AA76
4D075AC57
4D075AE05
4D075AE19
4D075BB13Y
4D075BB16X
4D075BB33Z
4D075BB37Z
4D075BB41Z
4D075BB56X
4D075BB60Z
4D075CA36
4D075CA38
4D075CA44
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA25
4D075DA27
4D075DB18
4D075DB21
4D075DC38
4D075DC41
4D075EB43
4D075EB51
4D075EC08
4D075EC51
4J038DL031
4J038JC38
4J038NA04
4J038NA07
4J038PA06
4J038PA17
4J038PA19
4J038PC10
(57)【要約】
【課題】本発明は、水を使用せず、マイクロ波を使用するシリコーン溶液塗布方法であって、吸水性のあるパルプ基材に対して塗布によって反りを生じさせない塗工方法に関する。
【解決手段】パルプ製基材に、メチル基およびビニル基を含むケイ素化合物およびチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたシリコーンコーティング物品の製造方法であって、
(1)パルプ製基材に該表面処理剤を塗布する工程、次いで
(2)該表面処理剤の反応を進行させる工程
において基材をコーティングする製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ製基材に、メチル基およびビニル基を含むケイ素化合物およびチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたシリコーンコーティング物品の製造方法であって、
(1)パルプ製基材に該表面処理剤を塗布する工程、次いで
(2)該表面処理剤の反応を進行させる工程
において基材をコーティングする製造方法。
【請求項2】
該塗布する工程は、刷毛塗、スプレーコーティング、真空蒸着法、加熱蒸発、および超音波で作成したミストの噴霧塗布方法から選択される方法であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該表面処理剤の反応を進行させる工程において、赤外線照射、熱風照射または、マイクロ波照射による方法を用いることを特徴とする請求項1乃至2に記載の製造方法。
【請求項4】
該塗布工程において、移動式搬送方式で該基材の塗布を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項5】
該パルプ製基材が紙類、木材および生分解性材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項6】
該塗布工程において、移動式搬送方式で該基材の塗布を行う場合に表裏同時に塗布する方法、片面毎に塗布する方法から選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項7】
該表面処理剤が、メチル基およびビニル基を含むシラン化合物、かつアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
基材へのシリコーン層を形成する表面処理剤が、メチル基を含むシラン化合物およびアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物。
【請求項9】
基材へのシリコーン層を形成する表面処理剤の調製に水および有機溶媒を用いないで攪拌混合されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項10】
該アルコキシチタン化合物の20℃での粘度が0.1~200mPa・sかつ沸点が80~300℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を使用せず、マイクロ波を使用するシリコーン溶液塗布方法であって、吸水性のあるパルプ基材に対して塗布によって反りを生じさせない。さらに水蒸気等に対する極めて高い耐水性、防湿性をもち、かつ低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨品、その他等の種々の物品をコーティングするために、種々のコーティング材料が開発され、提案されている。その一つとして、アルミニウム箔又は蒸着層を積層した金属蒸着、ダイアモンドライクカーボンの蒸着などがある。
【0003】
金属蒸着は優れたバリア性被覆技術であるが、金属箔又は金属蒸着層のため透明性が劣ること、更に、焼却適性に劣り、使用後の廃棄物処理が容易でないなど環境対応に劣ること等の問題点があった。
また、真空コーティングを用いたコーティングは立体形状に均一にコーティングできないという欠点がある。
【0004】
そこで、バリア性材料において、高いバリア性を有し、透明性、環境対応の性能をも向上させるものとして、プラスチックの表面に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリア性材料が開発され、提案されてきた(特許文献1、2)。
【0005】
その際、プラスチック基材の上に酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜を被覆したバリア性シートが好ましいと考えられた。このような構成の透明バリア性材料等においてもなお、基材と無機酸化物の薄膜との密着性の低下や、屈曲によりクラックが生じやすく、バリア性が低下するなどの問題があった。また、バリア性の面でも基材としての単体のプラスチックと比較してバリア性は格段に向上するものの、上記のアルミニウム箔のそれには程遠く、要求されるバリア性の高まりに十分に応えられるより一層高いバリア性が求められるようになってきている。
【0006】
そこで、バリア性に関する要求に応えるために、「基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上のアルコキシド及び/又はその加水分解物又は(b)塩化すずの少なくともいずれか1つを含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム」(特許文献3)が提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献3は、無機酸化物の蒸着層の上にバリア性被膜を積層することを開示するものであり、バリア性層の多層化によりバリア性が向上するものの、バリア性塗膜の緻密性において必ずしも十分なものとはいえず、高温多湿下においてバリア性が低下してしまい、耐水性、防湿性も必ずしも満足できるものとはいえないものであった。
【0008】
そこで、優れたバリア性を得るためには、バリア性層の多層化において、バリア性塗膜を緻密な膜構造に作製することが不可欠であると考え、ゾル-ゲル法を用いてバリア性塗膜を形成するした試みがなされている。緻密な塗膜を形成するためには、バリア性塗膜を形成する際に、マイクロ波照射を施す提案がされている。(特許文献4)
【0009】
近年、カーボンニュートラル等の観点から基材として使われてきたプラスチックスの使用からバイオマス原料の基材への使用が要求されつつあるため、前述の技術を踏襲しつつも、基材を紙等に代える使用方法の提案がなされている。例えば、ケイ素化合物を使った紙類へのコーティングにおいて、ケイ素原子の4個の置換基の内、1個は加水分解が不可能でなものを用いることで、紙などの繊維素材にコートして適度な強度と良好な光透過性、撥水性、柔軟性、さらには耐摩耗性等を付与したとする報告がある。(特許文献5)
【0010】
さらに基材の表面に、ケイ素化合物又はチタン化合物を含む表面処理剤により形成されたシリコーン層を含むコーティング物品の製造方法が開示されている。(1)表面処理剤を基材表面に塗布工程、(2)水を用いて基材表面で化学反応させる工程および(3)乾燥工程において移動しながら行うコーティング物品の製造方法により、水蒸気等に対する極めて高い耐水性、防湿性を付与できるという報告がある。(特許文献6)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭53-12953号公報
【特許文献2】特開昭62-179935号公報
【特許文献3】特許第2790054号公報
【特許文献4】特開2010-000447号公報
【特許文献5】WО2020/149413号公報
【特許文献6】特開2023-046175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
パルプ製などの吸湿性の高い基材に関して、撥水性を向上させるためにシリコーンコーティングが行われているが、従来の方法はシリコーン溶液の反応を進行させるために水を使用するのが一般である。しかしながら、撥水性を向上させることが可能ではあるが、パルプ製などの吸湿性の高い基材は水の影響で反りが発生する。
本発明のコーティング剤は、こうした反応中に起こる水分の影響による不具合を改善したものであって、水を全く用いず、電力を調整したマイクロ波等を使ってシリコーンコーティングをすることで、パルプ製などの吸湿性の高い基材に関して、反りが無く、撥水性、耐水性を付与することができる。
また、一度反りの生じたパルプ製基材に対しては、以後の使用に対して不具合が生ずるが、本発明のシリコーンコーティングを塗布すると、反りが改善し、元の平坦な形状に戻る傾向を示す。
【課題を解決するための手段】
【0013】
パルプ製基材に、メチル基およびビニル基を含むケイ素化合物およびチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたシリコーンコーティング物品の製造方法であって、
(1)パルプ製基材に該表面処理剤を塗布する工程、次いで
(2)該表面処理剤の反応を進行させる工程
において基材をコーティングする製造方法に関する。
【0014】
該塗布する工程は、刷毛塗、スプレーコーティング、真空蒸着法、加熱蒸発、および超音波で作成したミストの噴霧塗布方法から選択される方法であることを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0015】
該表面処理剤の反応を進行させる工程において、赤外線照射、熱風照射または、マイクロ波照射による方法を用いることを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0016】
該塗布工程において、移動式搬送方式で該基材の塗布を行うことを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0017】
該パルプ製基材が紙類、木材および生分解性材料であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0018】
該塗布工程において、移動式搬送方式で該基材の塗布を行う場合に表裏同時に塗布する方法、片面毎に塗布する方法から選択されることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0019】
該表面処理剤が、メチル基およびビニル基を含むシラン化合物、かつアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物に関する。
【0020】
基材へのシリコーン層を形成する表面処理剤が、メチル基を含むシラン化合物およびアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物に関する。
【0021】
基材へのシリコーン層を形成する表面処理剤の調製に水および有機溶媒を用いないで攪拌混合されていることを特徴とする前記の表面処理剤に関する。
【0022】
該アルコキシチタン化合物の20℃での粘度が0.1~200mPa・sかつ沸点が80~300℃であることを特徴とする前記の化合物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明において、シリコーンコーティングされたパルプ製基材は、反りがなく、撥水性および耐水性も有している。また、すでに反りが生じているパルプ製基材にシリコーンコーティングすることで、反りが改善する効果も有する。
【0024】
また、本発明による製造プロセスは量産化に適しているだけでなく、低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術であり、臭いや変色の心配もない。
【0025】
また、本発明による製造プロセスは量産化に適しているだけでなく、低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術であり、臭いや変色の心配もない。
【0026】
さらに、本発明のコーティングは基材表面や内部に微細空洞やクラックがある場合であっても、浸透性の良さから隙間に入り込み、空隙を埋めることで耐水性を発現し、かつ補修効果もあることが分かっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明で用いる一般的な製造プロセス概要
図2】製造装置の一例の概略図
図3】超音波ミスト噴霧の孔径 (a) 5μm×780個の細孔/φ3.5mm (b) 10μm×150個の細孔/φ3.5mm
図4】超音波ミスト発生器を上下に多数配置した概略図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に実施例1の製造プロセスの概要を示す。フッ素樹脂メッシュでできた金網状コンベアの上に基材が搭載され矢印の方向に移動していく。初めに表面処理剤のスプレーを上下から噴霧する。次に余分な表面処理剤を空気で吹き飛ばし、次に水蒸気を噴霧する。高温空気で乾燥させる。フッ素樹脂メッシュをコンベアに使うことで表面処理剤が着かず高温空気で乾燥後着膜がなくきれいな状態で連続して使用できる。
【0029】
図2に空気液体除去を伴う製造プロセスの概要を示す。フッ素樹脂あるいはポリオレフィン(ポリエチレンあるいはポリプロピレン) 被覆金網でできたコンベアの上に基材が搭載され矢印の方向に移動していく。初めに表面処理剤のスプレーを上下から噴霧する。次に余分な表面処理剤を空気で吹き飛ばし、次に水蒸気を噴霧する。高温空気で乾燥させる。フッ素樹脂メッシュをコンベアに使うことで表面処理剤が付着せず、高温空気で乾燥後着膜がなくきれいな状態で連続して使用できる。
【0030】
図3に製造装置の一例の概略図を示す。 製造装置の一例としては基材搭載位置、表面処理室、薬液除去室、反応室、乾燥室、基材取外位置から構成され、各々の部屋は相互拡散防止室でつながっている。フッ素樹脂メッシュ性のコンベアは図3に示すように搬送ローラーで回転駆動させられ連続的に動いている。基材搭載位置において成膜される基材がコンベア上に設置される。図示していないがコンベアには基材が動かないように多少の凹凸が施してある。
【0031】
設置された基材は相互拡散防止室を通り表面処理室に入り基材に均一に表面処理剤が上下からスプレー噴霧される。ここではシャワーフ゜レートと表記しているが、スプレーの場合はマルチノズルになる。ミストの場合はミストノズルと供給方法、材料により形態は自由に付け替えることが可能である。コンベアに微振動を与える事でメッシュによる影になるところを作らない工夫がれている。相互拡散防止室は基材の厚さに合わせて最小限コンダクタンスになるように設計され下部から排気をしている。
【0032】
表面処理室はアルミニウムの金属で出来ており内面はフッ素樹脂コートされている。また表面処理剤が吸着しないように処理室の壁面はヒーターで加熱されている。下部には流れ落ちた表面処理剤を集めて収集する設備が具備されている。その後基材は薬液除去室に入り余分たまった薬剤を吹き飛ばして適量のみのコーティング状態にする。薬液除去室にも表面処理室同様下部には流れ落ちた表面処理剤を集めて収集する設備が具備されている。薬液は出来るだけ回収して再利用行うことでコスト低減ト環境への汚染防止になる。
【0033】
次に反応室では水蒸気を上下から噴霧して反応させる。水蒸気温度は室温から100℃で任意に管理される。使用する薬剤によってはさらに高い温度にすることも可能である。反応室の壁面温度は100℃~110℃に保たれ水が吸着しないようにしてある。下部には水の収集設備が具備されている。ここで十分に反応したのち乾燥室で余計な水分を除去して、その後基材の取り出し位置でロボットにて基材が取り出される。基材の大きさ、形状によってはロボットでなくそのまま先においてある箱(図示していない)に落ちて回収する場合もある。
【0034】
コンベアはそのままローラーで下に向かい更に角度を変えて戻ってくる。このように回転式コンベアにすることで異なる大きさ、形状の基材を同時に混ぜて成膜処理する事が可能である。当然であるが各々の部屋は必要な時間だけ基材が滞在できるように個々に長さを設計してある。薬液除去室と反応室に間の相互拡散防止室は水蒸気と表面処理剤が混ざらないように、長くしてしかも排気も複数個所から行っている(図示していない)。多層にする場合は表面処理室から乾燥室を1セットとして層数の数だけセットを連続して設置する。
【0035】
図3は1層の場合を例にして説明した。また表面処理剤によっては反応室が水蒸気でない場合もある。適切な反応雰囲気を作る事になる。又脱有機溶媒反応は起きる場合は排気の後ろに処理室をもける事で対処する。工程によっては長時間の反応時間を必要とする場合がある。この場合は図3乾燥室を分離して別のコンベアに乗せて長時間の乾燥室滞在を可能にすることができる。図3に示す装置形態はあくまで連続処理の一例であり、必ずしも1個のコンベアに拘るものではない。
【0036】
本発明の製造方法により製造されたコーティング材料は、メチル基とビニル基を含む有機ケイ素化合物あるいは有機チタン化合物を原料としており、ゾル-ゲル法でもゾル-ゲル法に拠らない方法でもコーティング層を形成することができる。さらに、優れた撥水性、耐水性能と防湿性能を発揮するものである。
【0037】
[ケイ素化合物]
ケイ素化合物としては、主に金属アルコキシシラン化合物が用いられる。
本発明に用いる有機ケイ素化合物の例としては、ケイ素原子にメチル基が1個以上結合した構造を有する有機ケイ素化合物である。このような有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
SiXn(CH3)4-n ・・・(1)
【0038】
式(1)中、Xは独立して有機基を表し、(CH3)はメチル基を表し、nは1、2又は3である。好ましくはnが1または2であることがより好ましい。すなわち、1分子中に1乃至2個のメチル基を有することが好ましい。
有機基Xは、本発明において特段限定されず、具体的にはアルコキシ基、アシロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、水素原子及びハロゲン等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基及びハロゲンが好ましい。アルコキシ基である場合には、n=1~4のアルコキシ基が好ましい。このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。また、1分子中の複数のXは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
【0039】
本発明に用いる式(1)で示される有機ケイ素化合物の例としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、トリメチルぺントキシシラン、ジメチルジペントキシシラン、メチルトリペントキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、メチルジフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、メチルジフェニル(エチニル)シラン、フルオロ(メチル)ジフェニルシラン、[トリス(ジメチルメトキシシシリル)メチル]ジフェニルシラン、エトキシ(メチル)ジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメチルスタニルメチルジフェニルシラン、クロロ-N,N-ジメチルジフェニルシランアミン、アジド(メチル)ジフェニルシラン、N,N,N',N'-テトラメチルジフェニルシランジアミン、ジメチルジフェニルシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジアニリノジメチルジフェニルシラン、(1-フルオロビニル)メチルジフェニルシラン、メチルトリフェニルシランなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
この中でも特にアルコキシシランが好ましく、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシランがより好ましい。
【0040】
さらに本発明に用いる有機ケイ素化合物の例としては、ケイ素原子にビニル基が1個以上結合した構造を有する有機ケイ素化合物である。このような有機ケイ素化合物は、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
(CH2=CH)n-Si-(OR)4-m ・・・(2)
【0041】
式(2)中、CH2=CHはビニル基を表し、ORはアルコキシ基を表す。nは1又は2である。mも1又は2である。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。また、1分子中の複数の(OR)は、同一のアルコキシ基であっても異なるアルコキシ基であってもよい。
【0042】
本発明に用いる式(2)で示される有機ケイ素化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジビニルジブトキシシラン、ビニルトリぺントキシシラン、ジビニルジペントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ジビニルジフェノキシシラン、ビニル-ジメトキシ-エトキシシラン、ジビニル-メトキシ-ジエトキシシランなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
この中でも特にビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランがより好ましい。
【0043】
[シロキサン化合物]
本発明にはシロキサン化合物も用いることができる。その例としては、具体的には1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサン、ジエトキシポリジメチルシロキサン、3,3‐ジエトキシ‐1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルペンタントリシロキサンなどである。
【0044】
また、本発明に用いる他のシロキサン化合物の例としては、オルガノポリシロキサンなどがあげられる。例えば、(式3)に示す化合物があげられる。
(R3O)aR43-aSiO-(SiR5R6O)m-Si(R7O)bR83-b (式3)
【0045】
ここで、R3及びR7はそれぞれ独立して炭素数が1~3のアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれ独立して炭素数が1~6のアルキル基、ハロアルキル基、アリル基から選ばれる官能基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数が1~4のアルキル基、または置換基を有しても良いフェニル基であり、a,bはそれぞれ独立して1~3の整数、好ましくは2または3であり、mは10~1500の整数を表す。当該(式3)成分の調製方法として例えば、重合度あるいは平均分子量が公知の、HO-(SiR5R6O)m-Hで示される両末端ヒドロキシ変性オルガノポリシロキサン(シリコーンオイル)に対し、R3O及びR7Oに対応する加水分解性基を2~4個と、R4及びR8に対応するアルキル基を0~3個有し、当該加水分解性基とアルキル基の合計が4となるアルキルアルコキシシラン化合物を、加水分解縮合反応させることにより得ることができる。ここで前記アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を2個、アルキル基を2個有する化合物である場合には、得られる(式3)成分のaの値は1となり、アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を4個有する化合物である場合には、同(式3)成分のaの値は3となる。
【0046】
当該(式3)成分においてより望ましくは、分子鎖両末端のR3及びR7それぞれが独立してメチル基、エチル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R5及びR6はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、フェニル基から選ばれるいずれかの炭化水素基であり、a及びbがそれぞれ独立して2、3いずれかの整数であり、mが25~1250の範囲にある構造の化合物である。またその粘度は100~100,000mPa・sの範囲にあるものであり、より好適には250~50,000mPa・s、さらに好適には500~30,000mPa・sの範囲にあることが望ましい。当該粘度が100mPa・s未満であると、コーティング層の撥水性が低下する。一方で100,000mPa・sを超過すると、コーティング層形成時の作業性が低下し、また滑水性も低下する虞がある。なおここでいう粘度とは、JIS Z 8803(EHD型粘度計、25℃1分間、東機産業社製品)に準拠した測定方法により測定した値を表す。
【0047】
本発明に用いられるシロキサン化合物は、25℃での蒸気圧が800Pa以下である混合物であることが好ましい。さらに、好ましくは、25℃での蒸気圧が600Pa以下、特に好ましくは、25℃での蒸気圧が300Pa以下である。本発明における塗布や噴霧のし易さなどの観点から前記範囲が好まれる。
【0048】
本発明に用いられるシロキサン化合物は、沸点が40~300℃である物が好ましく、沸点が50~250℃であるものがより好ましく、沸点が60~220℃であるものが特に好ましい。加熱反応のしやすさなど、塗布や噴霧などの観点からも好ましい。
【0049】
[環状シロキサン化合物]
本発明では、環状のシロキサン化合物も使用することができる。環状シロキサンは、ケイ素原子上に2つのメチル基を持つケイ素原子(Si)が酸素(O)原子と結合したジメチルシロキサン単位 (CH3)2Si-О-を有する環状構造をもったシロキサンで、シリコーン製品の製造原料として使われています。中でも環状シロキサンとして一般的なものがD4、D5及びD6である。
D4として一般的に知られているオクタメチルシクロテトラシロキサンは、ジメチルシロキサン単位 (CH3)2Si-О-を4つ有する環状構造をもったシロキサンである。
D5として一般的に知られているデカメチルシクロペンタシロキサンは、ジメチルシロキサン単位(CH3)2Si-О-を5つ有する環状構造をもったシロキサンである。
D6として一般的に知られているドデカメチルシクロヘキサシロキサンは、ジメチルシロキサン単位(CH3)2Si-О-を6つ有する環状構造をもったシロキサンである。
これらのシロキサン化合物は単独で使用することも混合して使用することもできるが、最も一般的な使用法としては、アルコキシシランと共に複合化して用いることが好適である。
食品容器などに用いる場合は、D5を用いるのが好ましい。
【0050】
[触媒]
本発明で使用する触媒は酸、 アミン、有機金属などを用いることができ、有機金属の場合は有機錫化合物またはチタン系キレート化合物であるが、安全上の問題からチタン系触媒が好ましい。
具体的にはジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)、ジオクタノキシチタンジオクタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシドなどを用いることができ、これらを組み合わせて使用してもよい。
特に、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシドの使用は好ましい。
【0051】
また、場合によってはシランカップリング剤を使用することも可能である。具体的にはN-β(アミノ エチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル メチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などがあげられる。
これら触媒やカップリング剤は混合して使用しても良いし、単独でも複数組み合わせて使用しても良い。
【0052】
[コーティング方法]
基材へのコーティングには、刷毛塗り、スプレー、ディッピング、ロールコート、スピンコート、印刷などの塗装手段を用いることができる。1回塗りで目的とする乾燥膜厚の塗膜を形成することができ、さらに2~5回程度塗り重ねることもできる。また、重ね塗りの場合、1回毎に加熱・乾燥処理を行ってもよい。
特に本発明のポイントは水を反応系に添加しないことである。従来の方法は、シリコーン溶液を塗布した後に水を噴霧するなどして反応を促進させていたが、本発明では、余分な水を添加しなくても反応を促進させることができることである。
【0053】
そのために、マイクロ波照射による反応促進効果があるが、その際の留意点として、マイクロ波電力の出力を抑えて照射することが肝要である。マイクロ波の出力を上げると反応の促進は進みやすいが、反面、発熱も起こりやすく、被塗布基材、とりわけパルプ基材のような熱により反りやすい物質は、反りが顕著になってしまう。そのため、マイクロ波の出力を下げて、発熱をできるだけ抑えるような低出力での照射が必要となる。
具体的には、500W以下で1分以下の照射、好ましくは300W以下で1分以下の照射、より好ましくは150W以下で1分以下の照射である。
【0054】
基材へのコーティングに至る順序としては、はじめに基材にシリコーン化合物によるコーティング処理を行うと塗膜は形成される。
【0055】
[基材の反り]
基材へのコーティング後、反りが大きい場合、すなわち寸法安定性が悪くなると製品の使用状態で不具合が生ずるため好ましくない。
反りの値としては、基材100mmに対して、1.0mm(1.0%)以下が望ましい。
【0056】
そのため、コーティング前の基材の調湿、反応処理剤、反応促進剤の塗布、乾燥工程は特に温度や塗布量、湿度管理などの必要がある。
一般に基材が紙やパルプなど水に影響を受けやすい場合は、コーティング前の基材の湿度が60~10パーセントに保つと良い。特に、水分はシリコーンコーティングの反応促進効果があるため、水分調節の管理は重要となってくる。しかし、本発明の場合は空気中の水分程度でも十分反応を促進させることができるため、コーティング前の調湿の必要性を大きく省くことができる。
【0057】
[前処理]
基材としては表面にシリコーンコーティングしにくいものもあるため、シリコーンコーティングの際に前処理をする場合がある。
基材は、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスや水素ガス等を用いた大気圧低温プラズマ処理、真空室に入れて水素雰囲気、Ar雰囲気におけるプラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品、高温水蒸気などの物理的又は化学的な処理や、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の前処理を施して、密着性を改善させることもできる。また、アルコールに拠る表面洗浄にて親水性を創出することも可能である。
【0058】
[運搬形態]
本発明での基材へのシリコーンコーティングの際、高速・量産化も目的としていることから、表裏両面を同時に噴霧する方式を取る際に基材用コンベア式のキャリアとして図1に示すような網目状のキャリアを採用することが望ましい。
網目の大きさは基材の運搬とコーティングにムラが無ければ特に制限はない。ただし、キャリア上では網目の部分に非コーティング部分が出ないよう、キャリアに微振動を与えることでムラを防ぐ。
振動のさせ方としてはメカニカル振動や超音波振動などがあげられる。
【0059】
網目の形状としては特に制限はなく、丸型、矩形や六角形などの多角形が使用される。コーティングのムラの出ない方法としては六角形などの多角形が望ましい。さらに基材が落ちないように基材に合わせた凹凸を有することが好ましい。
網目の材質としては、乾燥時の高温度に耐えうるものが望ましく、かつ有機化学薬品を成分とすることからも耐薬品性の有るものが望ましい。
【0060】
材質が無機化合物の場合は、金属、セラミックス、炭素繊維などがあげられる。
特に金属の場合は鋼、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、クロム、タングステン、金、銀、白金さらには合金類も使用することができる。
【0061】
材質が高分子の場合はポリエチレン、ポリプロピレンやフッ素樹脂である。耐熱性の観点からはフッ素樹脂が望ましく、コストの観点からはポリプロピレンが望ましい。
具体的にはポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートや含フッ素化合物(フッ素系樹脂)であるポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、PCTFE, CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)があげられる。
これらの樹脂で網目の形状の材料を製造する場合、前記金属製の材料に被覆した方法で使用しても良い。
【0062】
基材搬送中あるいはストッカーにおいて基材にマイクロ波を照射する場合は、異常放電や発火の惧れがあるため、該当エリアにおけるキャリアを構成する網目形状の材質は金属やグラファイトを避け高分子材料を用いるのが望ましい。
【0063】
[基材の回収方法]
シリコーンコーティングを終えた後、基材がフィルムやシート状の場合は、Roll to Rollのドラム式巻き取りを使用することができる。
【0064】
[基材のその他回収方法]
また、基材が非可撓性基材は鬼巻き簀(キャタピラ)を用いた巻き取り方法を使用することができる。
【0065】
[噴霧形態]
本発明での基材へのシリコーンコーティングの際、高速・量産化も目的としていることから、表裏両面を同時に噴霧する方式を取る際に基材用コンベア式のキャリアとして網目状のキャリアを採用することが望ましい。
網目の大きさは基材の運搬とコーティングにムラが無ければ特に制限はない。ただし、キャリア上では網目の部分に非コーティング部分が出ないよう、キャリアに微振動を与えることでムラを防ぐ。
振動のさせ方としてはメカニカル振動や超音波振動などがあげられる。
【0066】
振動のさせ方は、メカニカルにコンベアあるいは基材に軽微な衝撃を間欠的に与えても良く、原料ガス、キャリアガス、補助ガスの一部を間欠的に基材裏面に当てることでも良い。基材に直接ガスを吹き付ける場合には、基材と原料供給ノズル、シャワープレート、処理チャンバー天井との距離が基材短辺よりも長いと、基材が風圧でひっくり返ったり、極端に移動しないよう、処理室内に基板を押さえるためのガイド、ガード、ストッパーを設けることが望ましい。
ガイド、ガード、ストッパーと基材の間は、強い風圧が生じ無い限り接触しないよう隙間があることが望ましい。
【0067】
網目の形状としては特に制限はなく、丸型、矩形や六角形などの多角形が使用される。コーティングのムラの出ない方法としては六角形などの多角形が望ましい。
網目の材質としては、乾燥時の高温度に耐えうるものが望ましく、かつ有機化学薬品を成分とすることからも耐薬品性の有るものが望ましい。
具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンやフッ素樹脂である。耐熱性の観点からはフッ素樹脂が望ましく、コストの観点からはポリプロピレンが望ましい。
【0068】
[シャワープレート]
スプレー供給およびミスト噴霧で材料供給する際に、基材(シート状あるいは立体形状のワーク)が大面積であったり、量産化のために多数同時コーティングする場合には、ノズルからの距離によってコンベアの中央部と端部で原料供給に起因する膜厚の均一性が課題となる。
【0069】
この課題に対して
(1)パイプに多数の細孔を開けたエアシャワー型ノズルを金網状コンベアの走行方向に対して角度をつけて配置する。
(2)基材に対して平行に配置された多数の細孔を有するシャワープレートを配置する。
(3)コンベア中央と端部のガス分布を均一化するバッフル、スリット、シャッターなどの補正部材を設ける。
(4)コーティング室(チャンバー)内のノズルと基材の間にファン(撹拌羽)を設けてコンベア中央と端部のガス分布を均一化する。
といったガス分布均一化手段が有効となる。
【0070】
両面コーティングの場合は基材の両面に(1)~(4)のガス分布均一化手段を設けるが、チャンバー内のガス滞留時間および網状コンベア上の基材間の配置状態によって材料ガスが基材裏面に回り込む場合は(1)~(4)のガス分布均一化手段は片側のみに設けても良い。
また、(1)多数の細孔を開けたエアシャワー型ノズルのパイプは、コンベア端部に効率的に原料ガスが供給すれば良いので、直管に限らず、曲管にしても良い。
(1)と同様の理由で(2)シャワープレートは平面型に限らず、曲面にしても良い。
【0071】
[ヒンジおよび接合部への重点コーティング]
基材が平面および平坦物でなく、立体形状でヒンジ、接合部など、折り曲げや摺動などの負荷がかかる箇所がある場合には、平坦部と比較して膜厚を厚くする必要がある。
この場合は、コンベアの中央部と端部におけるコーティング面内分布の均一性とは別に、ヒンジや接合部に対しては重点的にコーティングすることになる。
(1)前述のエアシャワー型ノズルやシャワープレートとは別に、コーティング材料供給のノズルを重点箇所に向けて配置する。
(2)エアシャワー型ノズルやシャワープレートの単位面積当たりの開孔率を調整する。
(3)バッフル、スリット、シャッターなどの補正部材の形状を調整する。
といった補正が有効となる。
【0072】
[ピラーによる片面供給の裏面コーティング]
金網上コンベアの金網と基材が接触している箇所はマスキングされるためコーティングが不充分となる。
先にキャリアに微振動を与える方式を開示したが、基材と接触する金網上コンベアを面接触でなく点接触とすることでコーティングムラは改善される。
点接触をピラー(細い支柱)とすることで、原料蒸気(ミスト)がピラーの隙間から基材裏面に回り込むので、コーティング室(チャンバー)内での原料ミスト濃度分布が一様で滞留時間が長ければ原料ノズルはコンベアの片側のみに配置しても良い。
ピラー(細い支柱)の長さは基材の面積、金網状コンベアの隙間、ミスト粒径、キャリアガス、処理室内の圧力で適宜求められる。
ピラー(細い支柱)の長さは長い方が好ましいが、コンベアの制約から基材短辺の1/2~1/10で実施するのが良い。
ミスト粒径は小さい方が滞留時間が長くなるので裏面コーティングには望ましい。
【0073】
[プロセス間隔壁]
コンベアなど移動式搬送による連続する各プロセスの処理空間は隔壁で区切られるが、基材(厚みのあるワーク、シート、フィルム状)が通過する隙間があるので隔壁は完全な気密隔壁である必要はない。そのため、Oリングやメタルガスケットなどを不要とするが、各プロセス間のガスが混じり合わないよう隙間は基材の厚みに近い程良い。
【0074】
[気密性のある隔壁]
連続するプロセスのうち、処理時間が他のプロセスと比較して長いプロセスがある場合は、コンベアなどの移動式搬送装置を区切り、可動式隔壁にして処理室(チャンバー)の気密性を保つことが望ましい。この場合も隣の他のプロセスと差圧が少なければ、Oリングシールやガスケットシールは必要としない。
【0075】
[減圧および真空処理]
乾燥、脱気、脱水(エステル反応)などのプロセスは、温度や圧力が反応時間に影響するため、減圧などの真空プロセスが有効となる場合があるが、隣接する他のプロセスと差圧が生じないよう連続搬送を間欠搬送に替えて気密性の高い処理室(チャンバー)で見做しバッチ処理することもできる。特に、加熱処理の場合は、気密性が高いと隣接する他のプロセスへの影響が少ない利点がある。
【0076】
[コンベアの走行速度]
各プロセスにおける処理時間が異なる場合は
(1)コンベアなどの移動式搬送装置は一体で、処理室(チャンバー)の長さで処理時間を調整
(2)コンベアなどの移動式搬送装置を各プロセスで区切り、コンベアの走行速度を調整
(3)コンベアなどの移動式搬送装置を各プロセスで区切り、コンベアは定速でなく間欠走行し、各プロセスは個別に一定時間処理される見做しバッチ処理
から選択される。
【0077】
[メンテナンス用気密性隔壁]
定期的にメンテナンスが必要なプロセスがある場合の可動式隔壁は、Oリング、ガスケット等の気密性シールで封止する構造が望ましい。
【0078】
[排気機構を有する二重隔壁]
各プロセス間のガス状、ミスト状のコーティング原料が混じり合わないよう、隔壁は真空ポンプなどの排気機構を有する二重隔壁が望ましく、原料ガスによってはミストトラップ、スクラバー、吸着塔などの廃ガスで処理される。
また、真空ポンプによる減圧により、各プロセス室(チャンバー)間に差圧が生じないよう、二重隔壁内に設けた吸引口と真空ポンプの間に圧力計と連動するコンダクタンスバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブを設けることが望ましい。
【0079】
[隔壁におけるエアカーテン]
各プロセス間の原料が混ざらないと同時に、原料ミストの滞在時間を延ばすために、窒素、アルゴンなど不活性の補助ガスを隔壁の排気口に向けて乱流を生じさせないようにすることが望ましい。少ない補助ガス流量で隔壁の開口部に層流を作るために微細な吹き出し孔を並べたエアカーテンが望ましい。
【0080】
[ミスト粒径制御]
基材の表面粗さが大きい、あるいはパルプなど繊維状素材に対して、原料を霧吹きのようなスプレーで塗布すると素材の微細な孔径よりも霧粒径の方が大きいため、コーティングが不充分となってしまうため、超音波などによるミスト発生器で粒径が繊維の隙間よりも小さいミストにして原料供給する必要がある。また、ミスト粒径が小さいと、処理室(チャンバー)内におけるミスト滞留時間が長くなるので、未反応原料が少なくなり、コーティング効率が高くなる利点もある。
逆に、粒径が大きいと基材表面で液滴となり、反応に不都合を生じるため、ミスト粒径は小さく、かつ、揃っていることが望ましい。
大気圧では、粒径が大きいと空間に滞留せず、重力による自由落下しやすい性質を利用して、超音波ミスト生成器と基材との間にS字管、U字管、あるいはスパイラル管のミストトラップを設けると粒径の大きいミストを除去できる。
【0081】
[超音波ミスト粒径制御]
ドーナツ型超音波振動子の細孔径を変えることにより、ミスト粒径を変えることができるが、径が小さいと高分子など粘性のある流体はミスト噴霧が困難となり、目詰まりの原因ともなる。
図3に超音波振動子の細孔径を示す。(a)は、市販の水蒸気用加湿器(5VDC 110kHz)は5μm×780個の細孔/φ3.5mm
(b)はシリコーン薬液噴霧用の10μm×150個の細孔/φ3.5mmである。
シリコーン薬液を噴霧した際に、(a)では噴霧直後は勢いよくミスト発生したが、時間経過と共に目詰まりし、(b)では」長時間安定してミスト噴霧した。
【0082】
[超音波ミストの上下噴霧]
ドーナツ型多孔式超音波振動子の場合、薬液を吸い上げても、上から液滴を垂らしてもミスト噴霧でき、ミスト照射の方向を問わない。図4は超音波振動子を縦横に多数並べたシャワーパネルの模式図で、パネルを上下に配置し、内部に基材を通過させることで両面成膜を可能とし、薬液ミストの密度を高めて、生産性を上げている。図は上下2方向を示しているが、基材の進行方向に対し、上下左右のように成膜室全体を覆うことで未反応の薬液回収の効果もあり、薬液消費量を抑えると共に装置構成も簡素化し、排気の負荷が減る。エアスプレー式噴霧ではコンプレッサーでキャリアガスを反応室に送り込むため反応室の内圧が上がってしまうが、超音波ミスト噴霧では閉じた系となる。
【実施例0083】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、各実施例及び各比較例は以下に示す方法で測定および評価を行った。
【0084】
(1)初期水滴接触角の測定(撥水性試験)
協和界面科学(株)製のCA-DT型接触角計を用い、大気中(約25℃)で2μLの水滴をサンプルシリコーンの撥水性膜に滴下して、水滴の静的接触角を測定した。
接触角が90°以下の場合は親水性、90°以上は撥水性と判断した。
【0085】
(2)耐水性試験
コーティング処理した後に基材表面に着色した水を垂らし、基材の底面に白地のコピー用紙を敷く。消失した水は絶えず補充し続け、24時間後も該コピー用紙に染みが出ていなければ、耐水性が有ると判断した。
【0086】
(3)耐アルコール性試験
コーティング処理した後に基材表面に着色したアルコールを垂らし、基材の底面に白地のコピー用紙を敷く。消失したアルコールは絶えず補充し続け、24時間後も該コピー用紙に染みが出ていなければ、耐アルコール性が有ると判断した。
【0087】
(4)基材の反り
コーティング後における基材の歪み影響を測定するため、反りがどの程度出たかをJIS0621-1984に準拠した。
100mmの試験片に対して、反り高さが1.0mm以下であれば合格とした。
【0088】
(5)表面粉体有無の確認
塗布工程後に基材の表面に定着しない物質(例えば粉体)が発生していないかどうかを確認するため、黒色のビニルテープを貼り付けた後、該テープを剥がし、粘着面に白色物質がついていないかどうか目視で確認をした。白色物質が確認できていれば×、全く付着がなければ○とした。
【0089】
(実施例1-1)1度塗り工程
500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS、Aldrich製)を50ml、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)を50mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液を作製した。
作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
塗工後の厚紙は24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0090】
(実施例1-2)1度塗り工程
500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を50ml、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)を50mlおよびテトラプロポキシチタン5ml、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)を5mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液を作製した。
作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
塗工後の厚紙は24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0091】
(実施例1-3)1度塗り工程
500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を50ml、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)を25ml、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)を25mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液を作製した。
作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
塗工後の厚紙は24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0092】
(実施例1-4)1度塗り工程
500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を25ml、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)を50ml、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)を5mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液を作製した。
作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
塗工後の厚紙は24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0093】
(実施例2-1)2度塗り工程
500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を50ml、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)を50mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液1を作製した。
次いで、別な500mlのビーカーにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を50ml、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)を5mlおよびテトラプロポキシチタン5mlを温度20℃で5分間撹拌混合して反応液2を作製した。
作製した反応液1を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
該照射5分後に厚紙に対して、さらに反応液2をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0094】
(実施例2-2)2度塗り工程
実施例2-1で作製した反応液2を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
該照射5分後に厚紙に対して、さらに実施例2-1で作製した反応液1をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、150Wで1分間マイクロ波照射した。
24時間、室温にて放置した後、撥水性、耐水性、反りおよび表面粉体有無の確認を測定した。
【0095】
(比較例1)水による反応促進
パルプ製基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間調湿した。
次いで実施例1-1で作製した反応液をペーパーエントランス上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、室温で水をスプレーコーティングして反応をさせた。
その後、自然乾燥させ、得られたシリコーンコーティングについて、実施例と同様の評価を行った。
【0096】
(比較例2)水による反応促進
パルプ製基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間調湿した。
次いで実施例1-3で作製した反応液をペーパーエントランス上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、室温で水をスプレーコーティングして反応をさせた。
【0097】
(比較例3)水による反応促進
パルプ製基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間調湿した。
次いで実施例2-1で作製した反応液をペーパーエントランス上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、室温で水をスプレーコーティングして反応をさせた。
【0098】
(比較例4)マイクロ波による反応促進
実施例1-1で作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、750Wで1分間マイクロ波照射した。
【0099】
(比較例5)マイクロ波による反応促進
実施例2-1で作製した反応液を、厚さ0.7mm、縦横が10cmの予め室温にて湿度25%のデシケータにより、調湿したパルプ基材(ペーパーエントランス)上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、塗工後のペーパーエントランスを家庭用電子レンジ(Panasonic製、NE-NS301)にて入れて、750Wで1分間マイクロ波照射した。
【0100】
表1に実験結果を示す。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、基材の形状が複雑なものであっても良好な撥水性をもつシリコーンコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来る。また、基材の乾燥後の反りや歪もほとんどなく、製品へのダメージも少ない。また、着色や臭いもない。
【符号の説明】
【0102】
1 金網状コンベア
2 基材
3 ミスト発生器
4 ノズル
5 可動隔壁
6 真空排気ポンプ
7 圧力計
8 コンダクタンスバルブ
9 赤外線ヒーター
10 温度調整スリット
11 赤外線温度モニター
12 ヒーター窓パージシャワープレート
13 微振動発生器
14 基材回収整列ソーター
15 ステッピングモーター
16 監視モニター
17 送り出しドラム
18 巻取ドラム
19 生分解性素材可撓フィルム
20 巻き簀状非可撓性基材
図1
図2
図3
図4