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▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

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  • 特開-化粧料容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020687
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
A45D33/00 650E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124206
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(57)【要約】
【課題】使用時の手間を改善した化粧料容器を提供することである。
【解決手段】化粧料2を収容する化粧料容器1であって、周壁11と底壁12とを有する有底筒状の容器本体10と、周壁11に嵌合固定された環状の中枠20と、中枠20の上端に取り付けられて中枠20の上端開口を密封するシール材30と、中枠20の下端に取り付けられて中枠20の下端開口を覆う伸縮性を有するメッシュ40と、シール材30とメッシュ40との間において中枠20の内側に収容された塗布具50と、容器本体10に装着されて容器本体10の開口を覆うキャップ60と、を有することを特徴とする化粧料容器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する化粧料容器であって、
周壁と底壁とを有する有底筒状の容器本体と、
前記周壁に嵌合固定された環状の中枠と、
前記中枠の上端に取り付けられて前記中枠の上端開口を密封するシール材と、
前記中枠の下端に取り付けられて前記中枠の下端開口を覆う伸縮性を有するメッシュと、
前記シール材と前記メッシュとの間において前記中枠の内側に収容された塗布具と、
前記容器本体に装着されて前記容器本体の開口を覆うキャップと、を有することを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記塗布具がパフであり、前記中枠の内側に圧入されている、請求項1に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を収容する化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばファンデーション、フェイスパウダーやパウダーチークなどのパウダー状の化粧料を収容する容器として、周壁と底壁とを有する有底筒状の容器本体と、容器本体に嵌合固定された環状の中枠と、中枠に取り付けられた伸縮性を有するメッシュと、容器本体に装着されて容器本体の開口を覆うキャップと、を有し、化粧用パフなどの塗布具によりメッシュの上から化粧料を拭い取って使用する構成の化粧料容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、メッシュを用いた化粧料容器において、流通時に容器本体に収容された化粧料がメッシュの外側に漏出ないし飛散することを抑制するために、メッシュの下側をフィルムなどのシール材で被覆するようにしたものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平8-11号公報
【特許文献2】特許第3069141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような化粧料容器として、メッシュの上側をフィルムなどのシール材で被覆するとともにシール材とキャップとの間に化粧用パフなどの塗布具を収容した構成とすることで、化粧料容器をより容易に使用することができるようにしたものも知られている。
【0006】
しかし、このような構成では、使用者は、化粧料容器の使用を開始する際に、キャップを取り外した後、中枠の内側から塗布具を取り出し、次いでフィルムを除去する必要があり、その手間が煩雑である、という問題があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載されたもののように、メッシュの下側をフィルムなどのシール材で被覆した構成では、中枠を容器本体から取り外し、中枠からシール材を除去してから再度中枠を容器本体に取り付ける必要があり、その手間が煩雑である、という問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、使用時の手間を改善した化粧料容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の化粧料容器は、化粧料を収容する化粧料容器であって、周壁と底壁とを有する有底筒状の容器本体と、前記周壁に嵌合固定された環状の中枠と、前記中枠の上端に取り付けられて前記中枠の上端開口を密封するシール材と、前記中枠の下端に取り付けられて前記中枠の下端開口を覆う伸縮性を有するメッシュと、前記シール材と前記メッシュとの間において前記中枠の内側に収容された塗布具と、前記容器本体に装着されて前記容器本体の開口を覆うキャップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の化粧料容器は、上記構成において、前記塗布具がパフであり、前記中枠の内側に圧入されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用時の手間を改善した化粧料容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る化粧料容器の断面図である。
図2図1に示す中枠ユニットの断面図である。
図3図1に示す化粧料容器の製造手順を説明するための説明図である。
図4図1に示す化粧料容器の使用方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る化粧料容器1について詳細に例示説明する。
【0014】
なお、本明細書、特許請求の範囲においては、上下方向は、化粧料容器1を図1に示す正立姿勢とした場合における上下方向を意味するものとする。
【0015】
図1に示す本実施形態に係る化粧料容器1は、例えばフェイスパウダーやパウダーチークなどのパウダー状の化粧料2を収容する用途に用いられるものである。化粧料容器1は、容器本体10、中枠20、シール材30、メッシュ40、塗布具50及びキャップ60を有している。
【0016】
容器本体10は周壁11と底壁12とを有する有底筒状であり、その内部は化粧料2を収容する収容部13となっている。本実施形態では、周壁11は円筒状となっており、下端側よりも外径が小さく形成された上端側の外周面には雄ねじ14が一体に設けられている。
【0017】
容器本体10は、例えばABS樹脂などの合成樹脂製であってよいが、これに限られない。
【0018】
中枠20は、周壁11の内周面に対応した環状の形状を有し、周壁11に嵌合固定されている。本実施形態では、中枠20は、周壁11と同軸の円筒状となっており、その上端に一体に設けられたフランジ部21が周壁11の上端に当接することで、その下端が収容部13よりも上方に位置するように周壁11の内側に位置決めされている。また、中枠20の上端側の外周面には、複数の凸部22が周方向に間隔を空けて一体に設けられるとともに複数の凸部22の上側に環状の突起23が連ねて設けられており、中枠20は、これらの凸部22及び突起23において周壁11の内周面に嵌合して周壁11に固定されている。なお、中枠20は、容器本体10の周壁11以外の部分に嵌合固定される構成であってもよく、環状の突起23を周壁11の内周面に設けた突起にアンダーカット係合させる構成であってもよい。
【0019】
中枠20も、例えばABS樹脂などの合成樹脂製であってよいが、これに限られない。また、容器本体10と中枠20は別の材質であってもよい。
【0020】
シール材30は、中枠20の上端に取り付けられて中枠20の上端開口を密封している。本実施形態では、シール材30は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などの合成樹脂材料で形成された透明なフィルムである。シール材30は、中枠20の上端に、当該上端の全周に亘って融着、接着等の手段によって剥離可能に固定されている。中枠20の上端開口がシール材30で密封されることで、容器本体10の収容部13に収容された化粧料2が中枠20を通して容器本体10の外部に漏出ないし飛散することを抑制することができる。
【0021】
シール材30は、その外周縁に、開封の際に使用される摘まみ部31を一体に備えた構成とすることもできる。開封前においては、摘まみ部31は、シール材30から折り返されて当該シール材30の上に重ねて配置されている。
【0022】
メッシュ40は、伸縮性を有するネット状のものであり、中枠20の下端に取り付けられて中枠20の下端開口を覆っている。メッシュ40は、中枠20の下端に、当該下端の全周に亘って融着、接着等の手段によって剥離不能に固定されている。メッシュ40は中枠20の下端に取り付けられることで収容部13に収容された化粧料2に対向している。メッシュ40は細かい網目を有しており、容器本体10の収容部13に収容されている化粧料2を当該網目において通過させることができる。
【0023】
塗布具50は、シール材30とメッシュ40との間において中枠20の内側に収容されている。本実施形態では、塗布具50はパフである。パフは、例えばスポンジで形成されたもの、綿やスポンジを布で包んだものなどであってよい。なお。塗布具50は、化粧料2を拭い取って被塗布部に塗布することができるものであれば、種々の構成のものであってよい。また、塗布具50は、シール材30の側を向く面に、使用者が把持するための把持部(不図示)を設けた構成としてもよい。
【0024】
本実施形態では、パフとして構成された塗布具50は、中枠20の内側に圧入されている。より具体的には、塗布具50は、所定の厚みを有するとともに、図2に二点鎖線で示すように、自然状態においては中枠20の内周面よりも一回り大きい外径を有する円盤状となっており、外径を狭めるように中枠20の内側に圧入されて、弾性変形した状態で中枠20の内側に収容されている。
【0025】
このような構成により、流通時などにおいて、メッシュ40を通過した化粧料2が塗布具50を超えて塗布具50とシール材30との間に侵入することを防止することができる。また、塗布具50のシール材30の側を向く面に把持部を設けた場合には、メッシュ40を通過した化粧料2により把持部が汚されることを防止することができる。
【0026】
なお、塗布具50は、自然状態において、シール材30とメッシュ40との間隔よりも大きい厚みを有し、シール材30とメッシュ40との間において上下方向に弾性変形した状態で中枠20の内側に収容された構成としてもよい。
【0027】
このような構成により、メッシュ40を通過した化粧料2が塗布具50とシール材30との間に侵入することをより効果的に防止することができる。
【0028】
図1に示すように、キャップ60は、容器本体10に装着されて容器本体10の開口を覆っている。本実施形態では、キャップ60は、周壁61と頂壁62とを有する有頂筒状であり、周壁61の内周面に設けられた雌ねじ63を容器本体10の雄ねじ14にねじ結合させることで容器本体10に着脱自在に装着されている。なお、キャップ60は、上記したねじ結合に限らず、容器本体10に装着されて容器本体10の開口を開閉できるものであれば、例えばヒンジ式などであってもよい。
【0029】
上記構成の化粧料容器1は、以下の製造手順で製造することができる。
【0030】
まず、図2に示すように、中枠20、シール材30、メッシュ40及び塗布具50を備えた中枠ユニット70を製造する。すなわち、容器本体10に中枠20を取り付ける前に、予め、中枠20の下端にメッシュ40を取り付け、次いで、メッシュ40が取り付けられた中枠20の内側に塗布具50を挿入ないし圧入し、次いで中枠20の上端にシール材30を取り付けることで、中枠20の内側にシール材30とメッシュ40との間に挟まれた状態で塗布具50が収納された中枠ユニット70を製造する。
【0031】
次に、図3に示すように、容器本体10の収容部13に所定量の化粧料2を充填した後、化粧料2が充填された容器本体10の開口の上に予め製造した中枠ユニット70を配置する。このとき、中枠ユニット70は、その一部が周壁11の内側に配置されるが、凸部22が周壁11の上端に係止されることで中枠20が未だ周壁11の内側に嵌合されていない状態とされている。
【0032】
そして、容器本体10の開口の上に中枠ユニット70を配置した状態で、容器本体10にキャップ60を装着する。容器本体10にキャップ60を装着すると、キャップ60により押されて中枠ユニット70が容器本体10の周壁11の内側に押し込まれ、中枠20が周壁11に嵌合固定されて図1に示す化粧料容器1が完成する。すなわち、容器本体10の開口の上に中枠ユニット70を配置した状態で、キャップ60を容器本体10に装着することで、キャップ60と同時に中枠ユニット70を容器本体10に取り付けることができる。このとき、周方向に隣接する凸部22の間から、収容部13の空気を外部に排出することができるので、収容部13に充填された化粧料2の外部への飛散が抑制される。なお、中枠ユニット70を、中枠20が周壁11に嵌合固定されるように容器本体10に完全に装着してから、キャップ60を容器本体10に装着するようにしてもよい。
【0033】
このように、本実施形態に係る化粧料容器1では、中枠20、シール材30、メッシュ40及び塗布具50を予め中枠ユニット70として製造することができるので、化粧料2が充填された容器本体10の開口に中枠ユニット70を配置した後、キャップ60を装着するだけの簡単な工程で、化粧料容器1を容易に製造することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る化粧料容器1では、使用を開始する際には、キャップ60を容器本体10から取り外した後、図4に示すように、中枠20の上端に取り付けられているシール材30を剥がして中枠20を開放すればよい。このように、本実施形態に係る化粧料容器1では、従来のもののように、キャップ60を取り外した後、さらに塗布具50や中枠20を容器本体10から取り除いた後にシール材30を剥がす必要がなく、キャップ60を取り外した後、シール材30を剥がすだけの簡単な作業で、使用を開始することができる。
【0035】
なお、中枠20からシール材30を剥がした後は、塗布具50を中枠20の内側から取り出して手で把持し、塗布具50をメッシュ40に押し付けて当該メッシュ40を化粧料2に接するまで伸ばし、メッシュ40の上から化粧料2を拭い取って使用すればよい。塗布具50による化粧料2への押し付けが解除されると、メッシュ40は自身の復元力により縮んで元の形状に復帰する。
【0036】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0037】
例えば、本実施形態では、容器本体10は、ある程度の深さを有するジャー容器の形態となっているが、これに限らず、より深さの浅いコンパクト容器の形態とするなど、その形状ないし形態は種々変更可能である。
【0038】
また、化粧料容器1は、別の容器本体の収容部に、化粧料2を収容した内容器(レフィル容器)として収容される構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 化粧料容器
2 化粧料
10 容器本体
11 周壁
12 底壁
13 収容部
14 雄ねじ
20 中枠
21 フランジ部
22 凸部
23 突起
30 シール材
31 摘まみ部
40 メッシュ
50 塗布具
60 キャップ
61 周壁
62 頂壁
63 雌ねじ
70 中枠ユニット
図1
図2
図3
図4