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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020718
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】レーザ印字装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20250205BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124256
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小野田 純也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕理
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA02
4E168CB04
4E168DA02
4E168DA24
4E168DA28
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】レーザ印字装置の使い勝手を損なうことなく、印字条件を適切に設定させる。
【解決手段】レーザ印字装置Lは、設定面R2上に印字パターンPpを設定する入力インターフェースIuと、複数の異なる材質の種類を表示部301に表示し、ユーザ操作に基づきいずれか1つを選択する第1選択部105と、第1選択部105により選択された材質の種類に基づいて、該種類のワークWに対応する複数の異なるレーザ印字工法の種類を表示部301に表示し、ユーザ操作に基づきいずれか1つを選択する第2選択部106と、入力インターフェースIuにより設定された印字パターンPp、第1選択部105により選択された材質の種類、及び、第2選択部により選択されたレーザ印字工法の種類に基づいて、該レーザ印字工法によって該材質の種類のワークWに対して該印字パターンPpを印字するための印字条件を設定する印字条件設定部104と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光に基づいてレーザ光を生成し、該レーザ光を出力するレーザ光出力部と、
前記レーザ光出力部から出力されたレーザ光を印字対象物へ照射し、該印字対象物の表面上の印字領域内で2次元走査するレーザ光走査部と、を備え、
前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を制御することにより、前記印字領域内に所定の印字パターンを印字するレーザ印字装置であって、
前記印字領域に対応する設定面を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記設定面上に、前記印字パターンを設定する印字パターン設定部と、
前記印字対象物を構成する複数の異なる材質の種類を前記表示部に表示し、ユーザ操作に基づいていずれか1つの種類を選択する第1選択部と、
前記第1選択部により選択された材質の種類に基づいて、該種類の印字対象物に対応する複数の異なるレーザ印字工法の種類を前記表示部に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つのレーザ印字工法を選択する第2選択部と、
前記印字パターン設定部により設定された印字パターン、前記第1選択部により選択された材質の種類、及び、前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法の種類に基づいて、該レーザ印字工法によって該材質の種類の印字対象物に対して該印字パターンを印字するための印字条件を設定する印字条件設定部と、を備える
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたレーザ印字装置において、
前記第1選択部によって選択される材質の種類ごとに、前記第2選択部によって選択されるレーザ印字工法として、黒削り工法、白削り工法、光沢有り工法、深彫り工法及び浅彫り工法のうちの複数を対応付けて記憶する工法記憶部を備え、
前記第2選択部は、前記工法記憶部の記憶内容に基づいて、前記第1選択部により選択された材質の種類に対応する複数のレーザ印字工法を前記表示部に表示する
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたレーザ印字装置において、
前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法における印字品質を、複数の異なる品質レベルとして前記表示部に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つの品質レベルを選択する第3選択部を備え、
前記印字条件設定部は、前記印字パターン設定部により設定された印字パターン、前記第1選択部によって選択された材質の種類、及び、前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法の種類に加え、前記第3選択部によって選択された品質レベルに基づいて印字条件を設定する
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたレーザ印字装置において、
前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、前記第1選択部によって選択された種類の印字対象物に対し、前記印字パターン設定部により設定された印字パターンの印字に要する印字時間を算出する印字時間算出部を備え、
前記第2選択部は、前記複数の異なるレーザ印字工法を前記表示部に表示するとともに、前記印字時間算出部によって算出された印字時間を、前記表示部に表示されたレーザ印字工法の各々に対応付けて表示する
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたレーザ印字装置において、
前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、各レーザ印字工法を示すプレビュー画像及びイラストの少なくとも一方を記憶する画像記憶部を備え、
前記第2選択部は、前記複数の異なるレーザ印字工法を前記表示部に表示するとともに、前記画像記憶部の記憶内容に基づいて、前記プレビュー画像及びイラストのうちの少なくとも一方を、前記表示部に表示されたレーザ印字工法の各々に対応付けて表示する
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【請求項6】
請求項1に記載されたレーザ印字装置において、
前記印字条件設定部は、
前記印字条件を構成する複数の異なるパラメータのうち、2つのパラメータを可変パラメータとし、かつ残りのパラメータを固定パラメータとするとともに、前記可変パラメータを変化させることで複数の異なる印字条件を生成し、
前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、該レーザ印字工法に対応した可変パラメータを選択する
ことを特徴とするレーザ印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ印字装置の一例として、印字条件設定装置を備えたレーザマーキング装置が開示されている。具体的に、この特許文献1に開示されている印字条件設定装置は、レーザ光の走査速度、レーザ出力等、レーザ光の印字条件を構成する印字パラメータのうちの2つを変化させることで、複数の印字条件を生成する。前記特許文献1に係るレーザマーキング装置は、各印字条件に基づいて複数回の印字を行うことで、ユーザに、所望の印字結果を選択させる。
【0003】
前記特許文献1によれば、所望の印字結果に対応した印字パラメータの組を決定することで、その印字パラメータを適切な値に設定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-148307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印字対象物の材質の種類と、レーザ印字工法の種類に応じて、適切な印字条件は変わり得ると考えられる。そこで、材質の種類と、レーザ印字工法の種類とをセットにした複数の異なる候補からユーザに1つを選択させて、その選択に応じて印字条件に設定する手法が考えられる。
【0006】
しかしながら、前述の如き方法の場合、材質及びレーザ印字工法の種類が増えるにしたがって、候補数が過度に多くなると想定される。例えば、材質が10種類かつレーザ印字工法が5種類の場合、前記候補数は10×5=50個にも及ぶ。候補数が過度に増えてしまうと、レーザ印字装置の使い勝手を損なうことになるため不都合である。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザ印字装置の使い勝手を損なうことなく、印字条件を適切に設定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、励起光に基づいてレーザ光を生成し、該レーザ光を出力するレーザ光出力部と、前記レーザ光出力部から出力されたレーザ光を印字対象物へ照射し、該印字対象物の表面上の印字領域内で2次元走査するレーザ光走査部と、を備え、前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を制御することにより、前記印字領域内に所定の印字パターンを印字するレーザ印字装置に係る。
【0009】
前記第1の態様によれば、前記レーザ印字装置は、前記印字領域に対応する設定面を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記設定面上に、前記印字パターンを設定する印字パターン設定部と、前記印字対象物を構成する複数の異なる材質の種類を前記表示部に表示し、ユーザ操作に基づいていずれか1つの種類を選択する第1選択部と、前記第1選択部により選択された材質の種類に基づいて、該種類の印字対象物に対応する複数の異なるレーザ印字工法の種類を前記表示部に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つのレーザ印字工法を選択する第2選択部と、前記印字パターン設定部により設定された印字パターン、前記第1選択部により選択された材質の種類、及び、前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法の種類に基づいて、該レーザ印字工法によって該材質の種類の印字対象物に対して該印字パターンを印字するための印字条件を設定する印字条件設定部と、を備える。
【0010】
前記第1の態様によると、前記レーザ印字装置は、材質の種類を第1選択部に選択させた後、その種類に対応した複数の異なるレーザ印字工法を表示部に表示し、そのうちの一を第2選択部に選択させる。これにより、選択肢を段階的に表示させることができ、表示部に同時表示される選択肢の数を減らすことができる。このことは、レーザ印字装置の使い勝手を確保する上で有効である。また、材質の種類とレーザ印字工法の種類とをそれぞれ選択することには変わりないため、印字条件を適切に設定することができる。このように、レーザ印字装置の使い勝手を損なうことなく、印字条件を適切に設定させることができる。
【0011】
また、本開示の第2の態様によれば、前記レーザ印字装置は、前記第1選択部によって選択される材質の種類ごとに、前記第2選択部によって選択されるレーザ印字工法として、黒削り工法、白削り工法、光沢有り工法1、光沢有り工法2、深彫り工法及び浅彫り工法のうちの複数を対応付けて記憶する工法記憶部を備え、前記第2選択部は、前記工法記憶部の記憶内容に基づいて、前記第1選択部により選択された材質の種類に対応する複数のレーザ印字工法を前記表示部に表示する、としてもよい。
【0012】
前記第2の態様は、印字条件の適切な設定に資する。
【0013】
また、本開示の第3の態様によれば、前記レーザ印字装置は、前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法における印字品質を、複数の異なる品質レベルとして前記表示部に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つの品質レベルを選択する第3選択部を備え、前記印字条件設定部は、前記印字パターン設定部により設定された印字パターン、前記第1選択部によって選択された材質の種類、及び、前記第2選択部により選択されたレーザ印字工法の種類に加え、前記第3選択部によって選択された品質レベルに基づいて印字条件を設定する、としてもよい。
【0014】
前記第3の態様によると、材質の種類及びレーザ印字工法の種類に加えて、品質レベルをさらに考慮することで、印字条件をより適切に設定することが可能になる。
【0015】
また、本開示の第4の態様によれば、前記レーザ印字装置は、前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、前記第1選択部によって選択された種類の印字対象物に対し、前記印字パターン設定部により設定された印字パターンの印字に要する印字時間を算出する印字時間算出部を備え、前記第2選択部は、前記複数の異なるレーザ印字工法を前記表示部に表示するとともに、前記印字時間算出部によって算出された印字時間を、前記表示部に表示されたレーザ印字工法の各々に対応付けて表示する、としてもよい。
【0016】
前記第4の態様によると、レーザ印字工法の各々に対応付けて印字時間を表示させることで、レーザ印字に不慣れなユーザであっても、所望の印字時間に収まるように印字条件を設定することが可能になる。これにより、レーザ印字装置の使い勝手を向上させることができる。
【0017】
また、本開示の第5の態様によれば、前記レーザ印字装置は、前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、各レーザ印字工法を示すプレビュー画像及びイラストの少なくとも一方を記憶する画像記憶部を備え、前記第2選択部は、前記複数の異なるレーザ印字工法を前記表示部に表示するとともに、前記画像記憶部の記憶内容に基づいて、前記プレビュー画像及びイラストのうちの少なくとも一方を、前記表示部に表示されたレーザ印字工法の各々に対応付けて表示する、としてもよい。
【0018】
前記第5の態様によると、レーザ印字工法の各々に対応付けて、プレビュー画像及びイラストの少なくとも一方を表示させることで、レーザ印字に不慣れなユーザであっても、所望の見た目を実現するように印字条件を設定することが可能になる。これにより、レーザ印字装置の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
また、本開示の第6の態様によれば、前記印字条件設定部は、前記印字条件を構成する複数の異なるパラメータのうち、2つのパラメータを可変パラメータとし、かつ残りのパラメータを固定パラメータとするとともに、前記可変パラメータを変化させることで複数の異なる印字条件を生成し、前記第2選択部によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、該レーザ印字工法に対応した可変パラメータを選択する、としてもよい。
【0020】
前記第6の態様によると、レーザ印字工法の各々に対応付けて、可変パラメータを自動的に選択することができる。これにより、印字条件のさらなるチューニングに際し、より効率的にパラメータを探索することができるようになる。そのことで、レーザ印字装置の使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本開示によれば、レーザ印字装置の使い勝手を損なうことなく、印字条件を適切に設定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、レーザ印字システムの全体構成を例示する図である。
図2図2は、レーザ印字装置の概略構成を例示するブロック図である。
図3図3は、印字条件の設定に関する処理を例示するフローチャートである。
図4図4は、ワークの材質と、各材質に対応して選択可能なレーザ印字工法と、を例示した表である。
図5図5は、各レーザ印字工法に係る印字条件を例示した表である。
図6A図6Aは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6B図6Bは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6C図6Cは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6D図6Dは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6E図6Eは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6F図6Fは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6G図6Gは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6H図6Hは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6I図6Iは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図6J図6Jは、表示部上に表示される画面を例示する図である。
図7図7は、表示画面の変形例を示す図6E対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0024】
本実施形態では、レーザ光を用いたレーザ印字について説明するが、本開示は、「印字」という呼称にかかわらず、図形のマーキング等、文字以外のマーキングに適用することができる。文字以外のマーキングには、「:」、「×」等の図形のマーキングに加えて、バーコード、QRコード(登録商標)等の2次元コードのマーキングも含まれる。
【0025】
以下の記載では、「レーザ印字」という呼称の代わりに、これを「マーキング」と呼称したり、「加工」と呼称したり、単に「印字」と呼称したりする場合がある。
【0026】
<全体構成>
図1は、レーザ印字システムSの全体構成を例示する図であり、図2は、レーザ印字シシステムSにおけるレーザ印字装置Lの概略構成を例示する図である。図1に例示されるレーザ印字システムSは、レーザ印字装置Lと、これに接続される外部機器400と、を備えている。
【0027】
このうち、図1及び図2に例示されるレーザ印字装置Lは、後述のレーザ光出力部2及びレーザ光走査部4を制御することにより、印字領域R1内に所定の印字パターンPpを印字するように構成されている。
【0028】
なお、ここでいう印字領域R1とは、図1に示すように、被印字物としてのワークWの表面上に設定される領域であり、同図の設定面R2に対応している。例えば図1では、印字領域R1は矩形状の領域として構成されている。また、ここでいう設定面R2は、操作用端末300の表示部301に表示可能な仮想平面に相当する。
【0029】
レーザ印字装置Lは、その印字ヘッド1において生成されたレーザ光をワークWへ照射するとともに、そのワークWの表面上で3次元走査することによって印字を行うものである。なお、ここでいう「3次元走査」とは、レーザ光の照射位置をワークWの表面上で走査する2次元的な動作(いわゆる「2次元走査」)と、レーザ光の焦点位置を調整する1次元的な動作と、の組み合わせを呼称した概念を指す。なお、3次元走査は必須ではない。レーザ印字装置Lは,少なくとも2次元走査可能であればよい。
【0030】
特に、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、ワークWに印字するためのレーザ光として、近赤外線(Near-InfraRed:NIR)の波長域に含まれる波長、例えば1064nm付近の波長を有するレーザ光を出射することができる。この波長は、近赤外線(Near-InfraRed:NIR)の波長域に相当する。もちろん、他の波長を有するレーザ光を、ワークWの印字に用いてもよい。また、以下の記載では、ワークWに印字するためのレーザ光を「印字用レーザ光」と呼称して、他のレーザ光と区別する場合がある。
【0031】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、印字ヘッド1と、印字コントローラ100と、接続ケーブル200と、操作用端末300と、を備えている。
【0032】
このうち、印字コントローラ100は、印字パターンPpに関する設定、例えば、所望の印字パターンPpを印字するための印字条件を設定することができ、印字ヘッド1を制御するためのコントローラとして構成されている。
【0033】
また、印字ヘッド1は、印字コントローラ100によって制御されることで、印字領域R1に向けて印字用レーザ光を出射することができる。
【0034】
印字ヘッド1及び印字コントローラ100は、本実施形態においては互いに別体とされており、接続ケーブル200によって電気的かつ光学的に接続されている。この接続ケーブル200は、例えば、電気配線と、光ファイバーケーブルと、の少なくとも一方によって構成されている。
【0035】
より一般には、印字ヘッド1及び印字コントローラ100の一方を他方に組み込んで一体化することもできる。この場合、光ファイバーケーブル等を適宜省略することができる。
【0036】
また、操作用端末300は、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリを有しており、印字コントローラ100に対し、有線又は無線により電気信号を送受可能に接続されている。
【0037】
なお、操作用端末300は、本実施形態ではデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータによって構成されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、タッチパネル式のコンソール等、レーザ印字装置Lに接続可能な専用端末によって操作用端末300を構成してもよい。また、操作用端末300は、例えば印字コントローラ100に組み込んで一体化することもできる。
【0038】
操作用端末300は、種々の印字条件を設定するとともに、レーザ印字に関連した情報をユーザに示すための端末として機能する。この操作用端末300は、ユーザに情報を表示するための表示部301と、ユーザによる操作入力(以下、単に「ユーザ操作」という)を受け付ける操作部302と、種々の情報を記憶するための記憶装置303と、を備えている。
【0039】
表示部301は、印字領域R1に対応する設定面R2を表示することができる。また、図1に示すように、設定面R2上には、印字パターンPpの入力を受け付ける入力インターフェースIuが配置される。この入力インターフェースIuは、設定面R2の範囲を示す枠、設定面R2上での印字パターンPpの位置を示す図形等のユーザインターフェースからなる。入力インターフェースIuは、ユーザ操作に基づいて、印字パターンPpの入力を受け付けるとともに、受け付けた印字パターンPpの内容を設定面R2上に表示することができる。
【0040】
入力インターフェースIuは、設定面R2上に印字パターンPpを設定することができるという点で、本実施形態における「印字パターン設定部」を例示している。
【0041】
具体的に、表示部301は、液晶ディスプレイ又は有機ELパネルによって構成することができる。操作用端末300を印字コントローラ100に組み込んだり、タッチパネル式のコンソールを用いたりした場合、印字コントローラ100またはコンソールに設けられた表示画面を表示部とすることができる。
【0042】
操作部302は、キーボード、ポインティングデバイスによって構成することができる。ポインティングデバイスには、マウス、ジョイスティック等が含まれる。操作用端末300を印字コントローラ100に組み込んだり、タッチパネル式のコンソールを用いたりした場合、印字コントローラ100又はコンソールに設けられたスイッチ、ボタン等を操作部とすることができる。
【0043】
前記のように構成される操作用端末300は、入力インターフェースIuに対するユーザ操作に基づいて、ワークWに印字されるべき印字パターンPpと、その印字パターンPpを印字するための印字条件と、を設定することができる。
【0044】
印字条件は、レーザパワーと、スキャンスピードと、Qスイッチ周波数と、デフォーカス量(スポット可変値)と、印字回数と、走査線間隔と、の1つ以上の組み合わせとしてもよい。
【0045】
ここで、レーザパワーは、印字用レーザ光の目標出力である。スキャンスピードは、ワークW上での印字用レーザ光の走査速度である。デフォーカス量は、高さ方向における、印字用レーザ光の焦点位置と、ワークWの表面とのずれの大きさを示している。デフォーカス量を非ゼロの値に設定することで、印字用レーザ光のスポット径を変化させることができる。印字回数は、印字パターンPpを複数の線要素に分解したときに、各線要素を繰り返し走査する回数を示している。走査線間隔は、各線要素を構成する走査線同士の間隔(特に、走査方向に直交する方向の間隔)を示している。
【0046】
操作用端末300により設定される印字パターンPp及び印字条件は、印字コントローラ100に出力されて、該印字コントローラ100の記憶部101に記憶される。以下、印字パターンPpと印字条件の組み合わせを「印字設定」と呼称する。必要に応じて、操作用端末300の記憶装置303が印字設定を記憶してもよい。
【0047】
図2に示すように、操作用端末300と記憶部101との間には、印字設定における印字条件を定めるための印字条件設定部104が介在している。この印字条件設定部104は、印字条件の設定に関連した処理を実行する。印字条件設定部104の詳細は後述する。
【0048】
外部機器400は、必要に応じて印字コントローラ100に接続される。図1に示す例では、外部機器400として、搬送速度センサ401およびプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)402が設けられている。
【0049】
搬送速度センサ401は、例えばロータリエンコーダによって構成されており、ワークWの搬送速度を検出することができる。搬送速度センサ401は、その検出結果を示す信号(検出信号)を印字コントローラ100へ出力する。印字コントローラ100は、搬送速度センサ401から入力された検出信号に基づいて、印字用レーザ光の2次元走査等を制御する。
【0050】
PLC402は、例えばマイクロプロセッサによって構成されており、印字コントローラ100に制御信号を入力することができる。PLC402は、予め定めたシーケンスに従ってレーザ印字システムSを制御するために用いられる。
【0051】
レーザ印字装置Lには、上述した機器および装置以外にも、操作および制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を無線または有線で接続することができる。
【0052】
以下、印字コントローラ100及び印字ヘッド1それぞれのハード構成に係る構成と、印字コントローラ100による印字ヘッド1の制御に係る構成と、について順番に説明をする。
【0053】
<印字コントローラ100>
図2に示すように、印字コントローラ100は、前述の印字設定を記憶する記憶部101と、その印字設定に基づいて印字ヘッド1を制御する制御部102と、レーザ励起光(励起光)を生成する励起光生成部103と、を備えている。
【0054】
(記憶部101)
記憶部101は、操作用端末300を介して定められた印字設定を記憶するとともに、必要に応じて、その記憶内容を制御部102へと出力するように構成されている。
【0055】
具体的に、記憶部101は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等を用いて構成されており、印字設定を示す情報を一時的又は継続的に記憶することができる。なお、操作用端末300を印字コントローラ100に組み込んだ場合には、その記憶装置303が記憶部101を兼用してもよい。
【0056】
(制御部102)
制御部102は、記憶部101に記憶された印字設定に基づいて、少なくとも、印字コントローラ100の励起光生成部103、並びに、印字ヘッド1のレーザ光出力部2及びレーザ光走査部4を制御することにより、ワークWへの印字等を実行する。
【0057】
具体的に、制御部102は、CPU、メモリ及び入出力バスを有しており、操作用端末300を介して入力された情報を示す信号、及び、記憶部101から読み込んだ印字条件を示す信号に基づいて制御信号を生成する。制御部102は、そうして生成した制御信号をレーザ印字装置Lの各部へと出力することにより、ワークWへの印字を制御する。
【0058】
例えば、制御部102は、ワークWの印字加工を開始するときには、記憶部101に記憶されたレーザパワーを読み込んで、そのレーザパワーに基づき生成した制御信号を励起光生成部103へと出力し、レーザ励起光の生成を制御する。
【0059】
また、制御部102は、実際にワークWに印字する際には、例えば記憶部101に記憶されている印字パターンPpを読み込むとともに、その印字パターンPpに基づき生成した制御信号をレーザ光走査部4へと出力し、印字用レーザ光を2次元走査する。このように、制御部102は、印字用レーザ光の2次元走査を実現するようにレーザ光走査部4を制御することができる。
【0060】
(励起光生成部103)
励起光生成部103は、駆動電流に応じたレーザ光を発振するとともに、発振したレーザ光を集光してレーザ励起光(励起光)として出力する。具体的に、本実施形態に係る励起光生成部103は、レーザ光を発振する励起光源と、そのレーザを集光する集光部と、によって構成されている。励起光源は、例えばレーザダイオード(Laser Diode:LD)によって構成することができる。集光部は、例えばフォーカシングレンズによって構成することができる。
【0061】
励起光生成部103から出力される励起光は、光ファイバーケーブル等を介して印字ヘッド1に入力される。なお、励起光生成部103を印字コントローラ100に設ける構成は必須ではなく、印字ヘッド1に設けてもよい。
【0062】
(他の構成要素)
印字コントローラ100はまた、第1選択部105、第2選択部106、第3選択部107及び印字時間算出部108を備えている。詳細は後述するが、第1選択部105、第2選択部106、第3選択部107及び印字時間算出部108は、前述の印字条件設定部104と同様に、印字条件に関する処理を実行する。なお、これらの要素は、印字コントローラ100ではなく、操作用端末300に実装してもよい。
【0063】
<印字ヘッド1>
印字ヘッド1は、レーザ光出力部2と、レーザ光走査部4と、を備えている。レーザ光出力部2は、励起光に基づいてレーザ光(印字用レーザ光)を生成し、該レーザ光を出力する。レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2から出力されたレーザ光をワークWへ照射し、該ワークの表面上の印字領域R1内で2次元走査する。
【0064】
印字ヘッド1はまた、レーザ光出力部2とレーザ光走査部4との間に介在する焦点調整部3をさらに備えている。焦点調整部3は、印字用レーザ光の焦点位置を調整するように構成されている。なお、焦点調整部3は必須ではない。
【0065】
(レーザ光出力部2)
レーザ光出力部2は、励起光生成部103により生成された励起光に基づいて印字用の近赤外レーザ光を生成するとともに、その近赤外レーザ光を、焦点調整部3を介してレーザ光走査部4へと出力するように構成されている。
【0066】
具体的に、レーザ光出力部2は、いわゆるレーザ発振器を有している。このレーザ発振器は、レーザ励起光に基づき所定の波長を有するレーザ光を生成するとともに、これを増幅して近赤外レーザ光を出射する。
【0067】
詳細は省略するが、前記レーザ発振器は、レーザ励起光に対応した誘導放出を行ってレーザ光を出射するレーザ媒質21と、レーザ媒質21から出射されるレーザ光をパルス発振するためのQスイッチ22と、Qスイッチ22によりパルス発振されたレーザ光を共振させるミラー(不図示)と、を有している。
【0068】
特に本実施形態では、レーザ媒質21としてロッド状のNd:YVO(イットリウム・バナデイト)が用いられている。これにより、レーザ光出力部2は、印字用レーザ光として、1064nm付近の波長を有するレーザ光(前述の近赤外レーザ光)を出力することができる。ただし、この例に限らず、他のレーザ媒質として、例えば希土類をドープしたYAG、YLF、GdVO等を用いることもできる。レーザ印字装置Lの用途に応じて、様々なレーザ媒質21を用いることができる
また、レーザ媒質21に波長変換素子を組み合わせることで、出力されるレーザ光の波長を任意の波長に変換することもできる。波長変化素子は、1つ又は複数の非線形光学結晶によって構成することができる。また、レーザ発振器にファイバーを利用した、いわゆるファイバーレーザを利用してもよい。
【0069】
(焦点調整部3)
焦点調整部3は、レーザ光出力部2から出力された印字用レーザ光を通過させるとともに、その印字用レーザ光の焦点位置を調整する。焦点調整部3を通過した印字用レーザ光は、レーザ光走査部4に入射する。
【0070】
詳細は省略するが、焦点調整部3は、例えば、レーザ光出力部2から出力された印字用レーザ光を透過させる入射レンズと、入射レンズを通過した印字用レーザ光を通過させるコリメートレンズと、入射レンズ及びコリメートレンズを通過した印字用レーザ光を通過させる出射レンズと、入射レンズを移動させるレンズ駆動部と、を有している。
【0071】
焦点位置の調整に際しては、例えば制御部102からの制御信号に基づいて、レンズ駆動部を作動させる。この作動により、印字用レーザ光に対し入射レンズ、コリメートレンズ及び出射レンズ各々の光軸を同軸に保ちつつ、入射レンズと出射レンズとの相対距離を変更する。この変更により、ワークWに照射される印字用レーザ光の焦点位置が変化する。
【0072】
(レーザ光走査部4)
レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2から出射されて焦点調整部3を通過したレーザ光(印字用レーザ光)をワークWへ照射するとともに、そのワークWの表面上で2次元走査するように構成されている。
【0073】
本実施形態では、レーザ光走査部4は、いわゆる2軸(X軸およびY軸)式のガルバノスキャナによって構成されている。すなわち、このレーザ光走査部4は、頂点調整部3から入射した近赤外レーザ光を第1方向に走査するための第1スキャナ41と、第1スキャナ41により走査された近赤外レーザ光を第2方向に走査するための第2スキャナ42と、を有している。
【0074】
ここで、第2方向は、第1方向に対して略直交する方向を指す。よって、第2スキャナ42は、第1スキャナ41に対して略直交する方向に近赤外レーザ光を走査することができる。
【0075】
レーザ光走査部4は、予め作成された印字設定にしたがって第1スキャナ41及び第2スキャナ42を作動させることで、前記印字領域Rに向けて印字用レーザ光を偏向する。そうして偏向された印字用レーザ光は、印字ヘッド1の筐体に設けた出射窓6を透過して印字領域R1内に照射される。その印字用レーザ光によって、印字領域R1内に、所望の印字パターンPpを印字することができる。
【0076】
所望の印字パターンPpを印字するためには、ワークWの材質に適した印字設定を作成する必要がある。本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、そうした印字設定の作成に工夫を凝らした構成とされている。
【0077】
<印字設定の作成手順>
以下、印字設定の作成手順について、図3図4図5、及び図6A図6Jを参照して説明する。図3は、印字条件の設定に関する処理を例示するフローチャートである。図Aは、ワークWの材質と、各材質に対応して選択可能なレーザ印字工法と、を例示した表である。図5は、各レーザ印字工法に係る印字条件を例示した表である。そして、図6A図6Jは、それぞれ、表示部301上に表示される画面を例示する図である。
【0078】
まず、ステップS11において、入力インターフェースIuに対するユーザ操作に基づいて、印字コントローラ100が、設定面R2上に印字パターンPpを設定する。この印字パターンPpは、記憶部101に事前に記憶されているものを用いてもよいし、操作用端末300を介して都度入力されたり、操作用端末300を介して変更されたりしたものを用いてもよい。
【0079】
より詳細には、ステップS11で設定される内容には、印字パターンPpを構成する文字列及び/又は図形の内容、サイズ、回転姿勢及びレイアウトが含まれる。なお、詳細は省略するが、設定面R2上に複数のワークWを表示してもよいし、1つのワークWのみを表示してもよい。また、1つのワークW上に、複数の印字パターンPpを設定してもよい
続いて、ステップS12において、第1選択部105が、ワークWを構成する複数の異なる材質の種類を表示部301に表示し、ユーザ操作に基づいていずれか1つの種類を選択する。
【0080】
ここに、複数の異なる材質の種類は、金属と、樹脂(合成樹脂)と、その他の材質と、によって構成されている。本実施形態に係る第1選択部105は、少なくとも、金属と、樹脂(合成樹脂)と、のいずれかに属する材質を選択することができる。金属及び樹脂は、それぞれ、1つ又は複数の選択項目に細分化されている。その他の材質には、例えばセラミックが含まれる。
【0081】
例えば図4に示すように、本実施形態では、金属に属する選択項目として、鉄又はSUSに対応する項目と、鋳鉄の鋳肌に対応する項目と、アルミニウムに対応する項目と、銅に対応する項目と、アルマイトに対応する項目と、ニッケルメッキに対応する項目と、スズメッキに対応する項目と、金メッキに対応する項目と、銀メッキに対応する項目と、超鋼に対応する項目と、ハイス鋼に対応する項目と、真鍮に対応する項目と、が表示部301に表示されるようになっている。例えば、アルミニウム製のワークWを印字対象とした場合、アルミニウムに対応する項目が選択されることになる。同様に、金メッキが施されたワークWを印字対象とした場合、金メッキに対応する項目が選択されることになる。
【0082】
その他、図示は省略したが、カチオン塗装に対応する項目、アルミナに対応する項目、ジルコニアに対応する項目、フェライトに対応する項目を、金属に属する選択項目に含めてもよい。
【0083】
また、同じく図4に示すように、本実施形態では、樹脂に属する選択項目として、ABSに対応する項目と、他の樹脂に対応する項目と、が表示部301に表示されるようになっている。例えば、ABS製のワークWを印字対象とした場合、ABSに対応する項目が選択されることになる。
【0084】
その他、詳細は省略するが、他の樹脂に対応する項目を、ポリプロピレンに対応する項目、ポリブチレンテレフタレートに対応する項目等、さらに細分化してもよい。
【0085】
各選択項目について、具体例を交えて説明する。例えば、ステップS11からステップS12に進むと、表示部301は、図6Aに例示する第1画面SC1を表示する。この表示は、第1選択部105が表示部301を制御することで行ってもよい。図6Aの例では、第1画面SC1は、他の表示に重畳可能なダイアログである。
【0086】
図6Aに示すように、第1画面SC1には、第1インターフェースI1と、第2インターフェースI2と、第3インターフェースI3と、第4インターフェースI4と、第5インターフェースI5と、が表示されている。
【0087】
第1インターフェースI1は、材質の種類を選択するためのユーザインターフェースである。第2インターフェースI2は、レーザ印字工法を選択するためのユーザインターフェースである。第3インターフェースI3は、品質レベルを選択するためのユーザインターフェースである。第4インターフェースI4は、サンプル印字に関する処理を開始させるためのユーザインターフェースである。第5インターフェースI5は、印字条件の設定に関する処理を完了させるためのユーザインターフェースである。
【0088】
ここで、第1インターフェースI1がクリック操作等を受け付けると、表示部301の表示内容は、第1画面SC1から第2画面SC2に遷移する。第2画面SC2の詳細は、図6Bに示す通りである。
【0089】
図6Bに示すように、第2画面SC2には、前述した第1インターフェースI1等に加えて、第6インターフェースI6と、第7インターフェースI7と、第8インターフェースI8と、が表示されている。
【0090】
第6インターフェースI6は、第1選択部105に、金属に属する項目を選択させるためのユーザインターフェースである。第7インターフェースI7は、第1選択部105に、樹脂に属する項目を選択させるためのユーザインターフェースである。第8インターフェースI8は、第1選択部105に、その他の材質に属する項目を選択させるためのユーザインターフェースである。
【0091】
ここで、第6インターフェースI6がクリック操作等を受け付けると、表示部301の表示内容は、第2画面SC2から第3画面SC3に遷移する。第3画面SC3の詳細は、図6Cに示す通りである。
【0092】
図6Cに示すように、第3画面SC3では、第6インターフェースI6の表示内容が、ツリー状の複数の項目に展開されている。展開後の各項目は、金属に属する選択項目として機能する。第6インターフェースI6がクリック操作等を繰り返し受け付けることで、図6Cに示すようなツリー表示と、図6Bに示すような表示との間で遷移させることができる。こうしたツリー表示は、選択項目を構成する材質の種類が多数の場合に、取り分け有効となる。
【0093】
また、例えば金属製のワークWに印字するときには、図6Cに示すように樹脂の項目を畳んだ状態で表示させておく。このように、ツリー表示するか否かを材質の大分類に応じて使い分けることで、レーザ印字装置Lの使い勝手を高めることができる。
【0094】
ここで、例えば“鉄”という項目に対してクリック操作等を施すことで、第1選択部105に、ワークWの材質の種類として“鉄”を選択させることができる。その後、第1インターフェースI1が再びクリック操作等を受け付けると、表示部301の表示内容は、第3画面SC3から第4画面SC4に遷移する。第4画面SC4の詳細は、図6Dに示す通りである。
【0095】
図6Dに示すように、第4画面SC4の構成は、第1インターフェースI1の表示内容を除いて、図6Aの第1画面SC1と同じである。図6Dの第1インターフェースI1には、ワークWの材質の種類が“鉄”であることが表示されている。
【0096】
続いて、ステップS13からステップS16にかけて、第2選択部106が、第1選択部105により選択された材質の種類に基づいて、該種類のワークWに対応する複数の異なるレーザ印字工法の種類を表示部301に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つのレーザ印字工法を選択する。
【0097】
なお、ここでいう「複数の異なるレーザ印字工法」とは、ワークWに施される印字の色味、ワークWの表面状態、又は、印字対象となるワークWの色味に応じて使い分けられる工法をいう。
【0098】
ここで、ワークWに施される印字の色味、又は、ワークWの表面状態に応じて使い分けられるレーザ印字工法は、例えば金属製のワークWに関連している。一方、印字対象となるワークWの色味に応じて使い分けられるレーザ印字工法は、例えば樹脂製のワークWに関連している。
【0099】
また、本実施形態では、「レーザ印字工法」とは異なる概念として、「印字品質」なる概念も用いられるようになっている。ここでいう「印字品質」とは、ワークWに施される印字の色味、ワークWの表面状態、又は、印字対象となるワークWの色味に応じた分類ではなく、印字時間と印字のコントラストとのトレードオフに関連したパラメータ設定をいう。
【0100】
ここに、複数の異なるレーザ印字工法のうち、ワークWに施される印字の色味、又は、ワークWの表面状態に応じて使い分けられるレーザ印字工法は、例えば図4及び図5に示すように、黒削り工法(黒削り)、白削り工法(白削り)、光沢有り工法1(光沢有1)、光沢有り工法2(光沢有り2)、深彫り工法(深彫り)、浅彫り工法(削り)及び2次元コードのみ黒削り(コード:黒)によって構成されている。
【0101】
ここで、黒削り工法は、いわゆる黒色印字である。黒色印字とは、レーザ光によってワークWを深めに削り込んだ結果、その削り込んだ痕跡が黒色に可視化される工法である。白削り工法は、いわゆる白色印字である。白色印字とは、ワークWを浅く削り込んだ結果、その表面で可視光が乱反射して白く見える工法である。
【0102】
光沢有り工法1及び光沢有り工法2は、双方とも凹凸のない黒色印字の例示である。これらの工法は、ワークWを構成する金属表面に酸化皮膜を形成し、その皮膜によって黒色に可視化される手法である。この手法は、ワークWの表面を削り込まない工法のため、印字後もワークW表面は滑らかなものとなる。例えば鉄やSUSなどの材質では、ワークWの組成や厚みによって光沢を付与するのに適した印字条件が異なるため、2つの印字工法を使い分けることで多くのワークWに対応した光沢有り印字を行うことが可能となる。
【0103】
深彫り工法は、前記黒削り工法よりも深く削り込む工法である。浅彫り工法は、ワークWのメッキされた表面を削り取ることにより、メッキされた表面とメッキが削り取られて露出した母材の色のコントラストを利用して印字する工法である。
【0104】
2次元コードのみ黒削りとは、バーコード、QRコード(登録商標)等の2次元コードについては黒削り工法を用いる一方、それ以外の文字、ロゴ等については白削り工法を用いる工法をいう。一般に、白削り工法は黒削り工法よりも短時間で実行可能なため、白削り工法と黒削り工法とを組み合わせることで、印字時間の効率化を図ることができる。
【0105】
一方、複数の異なるレーザ印字工法のうち、印字対象となるワークWの色味に応じて使い分けられるレーザ印字工法は、例えば図4及び図5に示すように、寒色ベースのワークWに対する発色印字(寒色)、暖色ベースのワークWに対する発色印字(暖色)及び黒色ベースのワークWに対する発色印字(黒色)によって構成されている。なお、ここでいう「寒色」には、少なくとも白色及び青色が含まれる。また、ここでいう「暖色」には、少なくとも赤色及び黄色が含まれる。
【0106】
暖色ベースのワークWは、寒色ベース及び黒色ベースのワークWよりも発色しにくい。そのため、暖色ベースのワークWに対する発色印字は、ジャストフォーカスで行われる工法に相当する。一方、寒色ベース及び黒色ベースのワークWは、暖色ベースのワークWよりも発色し易い反面、ジャストフォーカスでは印字が焦げる可能性がある。そのため、寒色ベース及び黒色ベースのワークWに対する発色印字は、デフォーカスした状態で行われる工法に相当する。
【0107】
これらの工法から、ワークWの材質に応じて適切なものを選択することが求められる。そうした選択のために、本実施形態では、記憶部101が工法記憶部101aを有している。
【0108】
この工法記憶部101aは、第1選択部105によって選択される材質の種類ごとに、第2選択部106によって選択されるレーザ印字工法として、黒削り工法、白削り工法、光沢有り工法1、光沢有り工法2、深彫り工法及び浅彫り工法のうちの複数を対応付けて記憶している。そして、第2選択部106は、工法記憶部101aの記憶内容に基づいて、第1選択部105により選択された材質の種類に対応する複数のレーザ印字工法を表示部301に表示する。表示内容の具体例は後述する。
【0109】
工法記憶部101aによる対応付けの詳細は、図4に示す通りである。
【0110】
例えば、鉄又はSUSには、黒削り工法、白削り工法、光沢有り工法1、光沢有り工法2、深彫り工法及び2次元コードのみ黒削りが対応付けられている。また、鋳鉄の鋳肌には、黒削り工法、白削り工法が対応付けられている。また、アルミニウムには、黒削り工法、白削り工法、深彫り工法及び2次元コードのみ黒削りが対応付けられている。また、銅には、黒削り工法、白削り工法及び深彫り工法が対応付けられている。また、アルマイト、金メッキ及び銀メッキには、浅彫り工法が対応付けられている。また、ニッケルメッキ及びスズメッキには、光沢有り工法1及び浅彫り工法が対応付けられている。また、超鋼、ハイス鋼及び真鍮には、黒削り工法及び白削り工法が対応付けられている。
【0111】
その他、ABS及びその他の樹脂には、寒色ベースのワークWに対する発色印字、暖色ベースのワークWに対する発色印字及び黒色ベースのワークWに対する発色印字が対応付けられている。
【0112】
なお、「複数の異なるレーザ印字工法」の意味するところは、上述した使い分けには限定されない。例えば、印字時間と無関係なパラメータの使い分けを、レーザ印字工法の使い分けとみなし、印字時間に関係するパラメータの使い分けを、印字品質の使い分けとみなすこともできる。
【0113】
材質の種類に対応したレーザ印字工法の選択項目について、具体例を交えて説明する。例えば、ステップS12からステップS13に進むと、第2選択部106は、工法記憶部101aの記憶内容に基づいて、第1選択部105により選択された材質の種類に対応したレーザ印字工法の選択候補を決定する。
【0114】
続いて、ステップS13からステップS14に進むと、印字時間算出部108が、第2選択部106によって選択されるべきレーザ印字工法(レーザ印字工法の選択候補)ごとに、第1選択部105によって選択された種類のワークWに対し、入力インターフェースIuによって設定された印字パターンPpの印字に要する印字時間を算出する。そして、第2選択部106は、工法記憶部101aの記憶内容に基づいて、第1選択部105により選択された材質の種類に対応する複数のレーザ印字工法を表示部301に表示する。
【0115】
印字時間の算出に際し、印字時間算出部108は、印字パターンPpを線分単位で要素分解する。その後、各要素の走査に要する時間を足し合わせることで、印字時間を算出する。ここで、各線分を繰り返し走査するような工法(印字回数が多い工法)の場合、印字時間は相対的に長くなる。また、スキャンスピードが速い工法の場合、印字時間は相対的に短くなる。また、走査線の間隔が広い工法の場合、印字時間は相対的に長くなる。
【0116】
また、レーザ印字工法の選択に際しては、単に各工法を羅列するのではなく、各工法の内容を想起させるような画像を併せて表示すれば、ユーザを補助することができる。そうした補助を行うべく、本実施形態では、記憶部101が画像記憶部101bを有している。
【0117】
この画像記憶部101bは、第2選択部106によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、各レーザ印字工法を示すプレビュー画像及びイラストの少なくとも一方を記憶している。そして、第2選択部106は、複数の異なるレーザ印字工法を表示部301に表示するとともに、画像記憶部101bの記憶内容に基づいて、プレビュー画像及びイラストのうちの少なくとも一方を、表示部301に表示されたレーザ印字工法の各々に対応付けて表示する。表示内容の具体例は後述する。
【0118】
例えば、図6Dに示す第4画面SC4において、第2インターフェースI2がクリック操作等を受け付けると、制御プロセスは、ステップS14からステップS15に進む。
【0119】
そして、制御プロセスがステップS15に進むと、表示部301の表示内容は、第4画面SC4から第5画面SC5に遷移する。第5画面SC5の詳細は、図6Eに示す通りである。第5画面SC5は、レーザ印字工法の選択候補、各レーザ印字工法を示すプレビュー画像及びイラスト、並びに、各レーザ印字工法における印字時間を表示するための画面である。
【0120】
図6Eに示すように、第5画面SC5には、前述した第1インターフェースI1等に加えて、各レーザ印字工法の名称Pmと、そのレーザ印字工法に対応したプレビュー画像Im1と、そのレーザ印字工法に対応したイラストIm2と、そのレーザ印字工法に要する印字時間Tiと、が表示されている。プレビュー画像Im1は、印字パターンPpの発色、光沢の有無等を表した平面図に相当する画像である。イラストIm2は、印字用レーザ光のフォーカス位置、削り込みの深さ等を表した断面図に相当する画像である。プレビュー画像Im1及びイラストIm2は、レーザ印字工法を概念化した、いわば「印字イメージ」と呼ぶことができる。
【0121】
例えば黒削り工法の場合、文字列が黒色であることを示唆するプレビュー画像Im1が表示される。一方、白削り工法の場合は、文字列が白色であることを示唆するプレビュー画像が表示されるようになっている。
【0122】
印字イメージと印字時間を並べて表示することで、レーザ印字に不慣れなユーザであっても、所望の見た目を実現するようなレーザ印字工法であって、それでいて所望の時間内に印字を完了するようなレーザ印字工法を選択することができるようになる。
【0123】
第5画面SC5には、選択中の材質の種類(図例では鉄)に対応した工法のみが表示されるようになっている。例えば、寒色ベースのワークWに対する発色印字のように、鉄製のワークWに対して実行不能な印字工法は、表示されないようになっている。
【0124】
そして、表示部301に表示されているいずれかの名称Pmにクリック操作等を施すことで、第2選択部106に、レーザ印字工法を選択させることができる。これにより、制御プロセスは、ステップS15から続くステップS16を完了する。
【0125】
例えば、“黒削り工法”という名称Pmに対してクリック操作等を施すことで、第2選択部106に、レーザ印字工法の種類として“黒削り工法”を選択させることができる。その後、第2インターフェースI2が再びクリック操作等を受け付けると、表示部301の表示内容は、第5画面SC5から第6画面SC6に遷移する。第6画面SC6の詳細は、図6Fに示す通りである。
【0126】
図6Fに示すように、第6画面SC6の構成は、第2インターフェースI2に係る表示内容を除いて、図6Dの第4画面SC4と同じである。第4画面SC4との相違点として、図6Fの第2インターフェースI2には、レーザ印字工法の種類が“黒削り工法”であることと、黒削り工法に対応したプレビュー画像Im1及びイラストIm2と、黒削り工法に要する印字時間Tiと、が表示されている。
【0127】
なお、前述のように、レーザ印字工法とは独立した概念として、印字品質という要素が存在する。印字品質は、印字時間の長短に影響する。そうした印字品質の調整を求めるユーザも存在し得る。
【0128】
印字品質の選択は、前述の第3選択部107を通じて行うことができる。この第3選択部107は、第2選択部106により選択されたレーザ印字工法における印字品質を、複数の異なる品質レベルとして表示部301に表示するとともに、ユーザ操作に基づいていずれか1つの品質レベルを選択する。なお、第3選択部107による選択は、必須ではない。
【0129】
また、品質レベルの選択は、ワークWの印字内容全て同時ではなく、印字パターンPmごとに個別に行うことができる。これにより、ユーザが品質を重視する一部の印字パターン(例えば2次元コード)Pmについては、高品質で時間をかけて印字し、品質がさほど重視されない印字パターンPmについては、より短時間で印字を行うことが可能になる。これにより、レーザ印字装置Lの使い勝手を高めることが出来る。
【0130】
例えば、図6Fに示す第6画面SC6において、第3インターフェースI3がクリック操作等を受け付けると、制御プロセスは、ステップS16からステップS17に進む。
【0131】
そして、制御プロセスがステップS17に進むと、表示部301の表示内容は、第6画面SC6から第7画面SC7に遷移する。第7画面SC7の詳細は、図6Gに示す通りである。第7画面SC7は、品質レベルの選択操作を受け付けるための画面である。
【0132】
図6Gに示すように、第7画面SC7には、前述した第1インターフェースI1等に加えて、第9インターフェースI9と、第10インターフェースI10と、が表示されている。これらのインターフェースは、いずれも品質レベルの選択項目に相当する。具体的に、第9インターフェースI9は、印字パターンPpにおける文字列又はロゴの品質レベルを選択するためのインターフェースである。第10インターフェースI10は、印字パターンPpにおける2次元コード(2Dコード)の品質レベルを選択するためのインターフェースである。
【0133】
例えば、第9インターフェースI9がクリック操作等を受け付けると、表示部301の表示内容は、第7画面SC7から第8画面SC8に遷移する。第8画面SC8の詳細は、図6Hに示す通りである。
【0134】
図6Hに示すように、第8画面SC8では、第9インターフェースI9の表示内容が展開されて、品質レベルの選択項目が表示されている。この選択項目には、印字品質を優先する際に選択される「品質優先」と、印字速度を優先する際に選択される「速度優先」と、印字品質と印字速度とでバランスを取った「推奨」と、が含まれる。「推奨」は、品質レベルの初期設定に用いてもよい。また、各項目の側方には、品質レベル毎に、印字時間算出部108が算出した印字時間が合わせて表示されるようになっている。こうした表示態様は、第10インターフェースI10がクリック操作等を受け付けた場合も同様である。また、第9インターフェースI9の表示内容は一例であり、他の表現で選択項目を表示することも可能である。例えば、印字品質を優先する際に選択される選択項目は「品質重視」であってもよいし、印字速度を優先する際に選択される選択項目は「速度重視」であってもよい。
【0135】
例えば、第9インターフェースI9については「速度優先」に変更し、第10インターフェースI10については「推奨」を保持した場合を考える。この場合、図6Iに示すように、第9インターフェースI9について「速度優先」に変更した分、第2インターフェースI2に表示される印字時間Tiはより短時間に変更されることになる。
【0136】
また、本実施形態に係る印字コントローラ100は、印字品質に類似したパラメータのうち、印字時間に関与しないパラメータを変更するためのインターフェースを提供することもできる。そうしたインターフェースの一例が、図6Jの第11インターフェースI11である。この第11インターフェースI11は、印字時間に関与しないパラメータの一例として、レーザパワーの高低を調整することができる。
【0137】
その他、印字時間に関与しないパラメータとして、デフォーカス量、Qスイッチ周波数を変更するためのインターフェースを提供してもよい。そうしたインターフェースの有無は、ワークWの材質の種類に応じて選択可能としてもよい。例えば図6Iに示すように、ワークWの材質の種類が樹脂に属する場合に、印字時間に関与しないパラメータを変更するためのインターフェースを提供してもよい。
【0138】
最終的に、材質の種類と、レーザ印字工法の種類と、必要に応じて品質レベルと、が選択された状態で、第5インターフェースI5がクリック操作等を受け付けると、制御プロセスは、ステップS18に進む。
【0139】
このステップS18では、印字条件設定部104が印字条件を設定する。詳しくは、印字条件設定部104は、入力インターフェースIuにより設定された印字パターンPm、第1選択部105によって選択された材質の種類、及び、第2選択部106により選択されたレーザ印字工法の種類に基づいて、該レーザ印字工法によって該材質の種類のワークWに対して該印字パターンPmを印字するための印字条件を設定する。
【0140】
さらに詳しくは、ステップS18において、印字条件設定部104は、入力インターフェースIuにより設定された印字パターンPm、第1選択部105によって選択された材質の種類、及び、第2選択部106により選択されたレーザ印字工法の種類に加え、第3選択部107によって選択された品質レベルに基づいて印字条件を設定する。
【0141】
印字条件設定部104による設定の詳細は、図5に示す通りである。
【0142】
まず、黒削り工法(黒削り)の場合について説明する。この場合、同じ場所に十分な熱を加えるべく、スキャンスピードは、比較的遅く設定される。スキャンスピードは、例えば100-300mm/s程度に設定される。また、デフォーカス量はゼロ(つまり、ジャストフォーカス)に設定される。また、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、ワークWを深く削り込むべく、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度に設定される。走査線間隔は、例えば、0.05mm程度に設定される。なお、図例では、レーザパワーは%で出力パラメータを設定しているが、レーザパワーの出力パラメータは%という相対的なパラメータに限られない。例えば電流量などの絶対的なパラメータを用いてもよい。
【0143】
続いて、白削り工法(白削り)の場合について説明する。この場合、同じ場所が過度に加熱されないように、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、デフォーカス量はゼロ(つまり、ジャストフォーカス)に設定される。また、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、レーザパワーは、黒削り工法と同様に比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径よりも若干大きくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.06mm程度に設定される。
【0144】
続いて、光沢有り工法1の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが削り込まれないように、デフォーカス量は非ゼロの値に設定される。また、印字回数は、比較的多く設定される。印字回数は、例えば5回程度に設定される。また、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度か、それよりも若干小さくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.04-0.05mm程度に設定される。
【0145】
続いて、光沢有り工法2の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的遅く設定される。スキャンスピードは、例えば100-300mm/s程度に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが削り込まれないように、デフォーカス量は非ゼロの値に設定される。また、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度か、それよりも若干小さくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.04-0.05mm程度に設定される。
【0146】
続いて、深彫りの場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的遅く設定される。スキャンスピードは、例えば100-300mm/s程度に設定される。また、デフォーカス量はゼロ(つまり、ジャストフォーカス)に設定される。また、印字回数は、比較的多く設定される。印字回数は、例えば5回程度に設定される。また、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度に設定される。走査線間隔は、例えば、0.05mm程度に設定される。
【0147】
続いて、コードのみ黒の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、速くも遅くも設定されうる。スキャンスピードは、例えば100-300mm/s程度に設定されてもよく、1000mm/s以上に設定されてもよい。また、デフォーカス量はゼロ(つまり、ジャストフォーカス)に設定される。また、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度か、それよりも若干大きくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.05-0.06mm程度に設定される。
【0148】
続いて、削りの場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、デフォーカス量はゼロ(つまり、ジャストフォーカス)に設定される。また、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、レーザパワーは、比較的高く設定される。レーザパワーは、例えば80%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径と同程度に設定される。走査線間隔は、例えば、0.05mm程度に設定される。
【0149】
続いて、寒色ベースのワークWに対する発色印字(寒色)の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが焦げ付かないように、デフォーカス量は非ゼロの値に設定される。また、ワークWが焦げ付かないように、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、ワークWが焦げ付かないように、レーザパワーは、比較的低く設定される。レーザパワーは、例えば30%程度に設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径よりも若干大きくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.06mm程度に設定される。
【0150】
続いて、暖色ベースのワークWに対する発色印字(暖色)の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが焦げ付かないように、デフォーカス量は非ゼロの値に設定される。また、ワークWが焦げ付かないように、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、暖色ベースの樹脂は、寒色ベースの樹脂と比べて発色しにくいため、レーザパワーは、比較的高く設定される。デフォーカス量を非ゼロの値に設定しつつ、レーザパワーを比較的高く設定することで、ワークWの焦げ付きを抑制しつつ、より確実に発色させることができる。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径よりも若干大きくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.06mm程度に設定される。なお、発色印字(暖色)は、デフォーカス量を非ゼロの値で設けることで焦げ付きを抑制した印字が可能であるが、デフォーカス量を非ゼロの値に設定することは必須ではない。デフォーカス量0で印字することもできる。
【0151】
続いて、黒色ベースのワークWに対する発色印字(黒色)の場合について説明する。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが焦げ付かな。この場合、スキャンスピードは、比較的速く設定される。スキャンスピードは、例えば1000mm/s以上に設定される。また、印字用レーザ光によってワークWが焦げ付かないように、デフォーカス量は非ゼロの値に設定される。また、ワークWが焦げ付かないように、印字回数は、比較的少なく設定される。印字回数は、例えば2回程度に設定される。また、ワークWが焦げ付かないように、レーザパワーは、寒色ベースのワークWに対する発色印字よりもさらに低く設定される。走査線間隔は、印字用レーザ光のスポット径よりも若干大きくなるように設定される。走査線間隔は、例えば、0.06mm程度に設定される。
【0152】
ここで、図6A図6Jに戻ると、第4インターフェースI4がクリック操作等を受け付けると、本実施形態に係る印字条件設定部104は、いわゆるサンプル印字に関する処理を実行する。
【0153】
一般的に、印字用レーザ光を特徴付けるパラメータは、前述の印字条件のように、多数にわたって存在する。そうしたパラメータを1つ1つ調整するのは、工数を要するため不都合である。
【0154】
そこで、本実施形態に係る印字条件設定部104は、印字条件を構成する複数の異なるパラメータのうち、2つのパラメータを可変パラメータとし、かつ残りのパラメータを固定パラメータとするとともに、可変パラメータを変化させることで複数の異なる印字条件を生成する。その際、印字条件設定部104は、第2選択部106によって選択されるべきレーザ印字工法ごとに、該レーザ印字工法に対応した可変パラメータを選択する。
【0155】
つまり、印字条件を構成する複数の異なるパラメータのうち、2つのパラメータのみを可変パラメータとする。そうすることで、適切なパラメータの探索を、2次元マトリックス状に行うことができる。そのことで、ユーザの手間を省くことができる。また、レーザ印字工法に対応したパラメータを可変パラメータに選択することで、可変パラメータの選択を、より適切に行うことができる。
【0156】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、図3のステップS12-ステップS16、図4図6C及び図6E等に例示したように、材質の種類を第1選択部105に選択させた後、その種類に対応した複数の異なるレーザ印字工法を表示部301に表示し、そのうちの一を第2選択部106に選択させる。これにより、選択肢を段階的に表示させることができ、表示部301に同時表示される選択肢の数を減らすことができる。このことは、レーザ印字装置Lの使い勝手を確保する上で有効である。また、材質の種類とレーザ印字工法の種類とをそれぞれ選択することには変わりないため、印字条件を適切に設定することができる。このように、本実施形態によれば、レーザ印字装置Lの使い勝手を損なうことなく、印字条件を適切に設定させることができる。
【0157】
また、図3のステップS17、図6G図6J及び図6I等に例示したように、本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、材質の種類及びレーザ印字工法の種類に加えて、品質レベルをさらに考慮する。これにより、印字条件をより適切に設定することが可能になる。
【0158】
また、図3のステップS14-ステップS15、及び図6E等に例示したように、本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、レーザ印字工法の各々に対応付けて印字時間を表示させる。これにより、レーザ印字に不慣れなユーザであっても、所望の印字時間に収まるように印字条件を設定することが可能になる。そのことで、レーザ印字装置Lの使い勝手を向上させることができる。
【0159】
また、図3のステップS15、及び図6E等に例示したように、本実施形態に係るレーザ印字装置Lは、レーザ印字工法の各々に対応付けて、プレビュー画像Im1及びイラストIm2を表示させる。これにより、レーザ印字に不慣れなユーザであっても、所望の見た目を実現するように印字条件を設定することが可能になる。そのことで、レーザ印字装置Lの使い勝手を向上させることができる。
【0160】
また、第4インターフェースI4に関連して説明したように、レーザ印字工法の各々に対応付けて、可変パラメータを自動的に選択することができる。これにより、印字条件のさらなるチューニングに際し、より効率的にパラメータを探索することができるようになる。そのことで、レーザ印字装置Lの使い勝手を向上させることができる。
【0161】
<他の実施形態>
図6Eに例示したように、前記実施形態では、レーザ印字工法毎に、当該工法による印字にようする印字時間Tiが表示されるように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。印字時間Tiを表示する構成に代えて、又は、印字時間Tiを表示する構成に加えて、第5画面SC5におけるレーザ印字工法の表示順を、印字時間Tiが短い工法から順番に並ぶようにしてもよい。図6Eの例の場合、第5画面SC5の画面上方から、白削り工法、黒削り工法、及び光沢有り工法の順番で各工法が表示されることになる。
【0162】
図7は、表示画面の変形例を示す図6E対応図である。図7に示す表示画面SC5’のように、希望印字時間の入力を受け付ける第12インターフェースI12を、表示画面SC5’内に設けてもよい。例えば、5.0秒以内の印字を所望する場合、ユーザは、第12インターフェースI12に「5.0」と入力する。そうすると、表示画面SC5’の右半部に示すように、印字時間Tiが希望印字時間(=5.0秒)を超えるレーザ印字工法が非表示となり、印字時間Tiが希望印字時間以下となるレーザ印字工法のみが表示されることになる。その際、印字時間Tiの数値は、非表示としてもよい。
【0163】
或いは、図7の右半部の例に代えて、印字時間Tiが希望印字時間以下となるレーザ印字工法を強調表示(例えばハイライト表示)し、印字時間Tiが希望印字時間を超えるレーザ印字工法を、非表示とすることなく維持してもよい。
【符号の説明】
【0164】
S レーザ印字システム
L レーザ印字装置
1 印字ヘッド
2 レーザ光出力部
4 レーザ光走査部
100 印字コントローラ
101 記憶部
101a 工法記憶部
101b 画像記憶部
104 印字条件設定部
105 第1選択部
106 第2選択部
107 第3選択部
108 印字時間算出部
300 操作用端末
301 表示部
Iu 入力インターフェース(印字パターン設定部)
Pp 印字パターン
R1 印字領域
R2 設定面
Im1 プレビュー画像
Im2 イラスト
Ti 印字時間
W ワーク(被印字物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7