(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002073
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】デジタルピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101992
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩幣 直輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 里織
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB06
3F522CC01
3F522CC03
3F522JJ02
3F522KK07
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】本発明は、社会の要求に対応して変化する物流システムの潮流に対応可能な、巨大な物流施設の設備処理能力を低下させることなく省スペース化を実現でき、物流施設の規模及び形状の変化に対応可能な、設計自由度の高いデジタルピッキングシステム(DPS)の提供を課題としている。
【解決手段】本発明のDPSは、物品情報を管理し、物流設備を制御することができるシステムにより管理及び制御されるシステムであって、仕分けされる商品アイテムを保管するフローラックが複数配列される2基のピッキング保管棚が、所定の間隔を介して背面で対峙しており、そのピッキング保管棚の前面に所定の仕分け空間に、前記商品アイテムが移載される集品容器を移動させる搬送装置が配備されている仕分け設備を具備することを特徴としており、上記課題を解決することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品情報を管理するシステム(WMS、Warehouse Management System)と、個別の物流設備を制御することができるシステム(WCS、Warehouse Control System)とにより管理及び制御されるデジタルピッキングシステムであって、
仕分けされる商品アイテムを保管し、一方には前記商品アイテムを補充する背面間口を備え、他方には前記商品アイテムを取り出す前面間口を備える棚を、前記背面間口及び前記前面間口の幅方向に複数配列された2基のピッキング保管棚が、前記商品アイテムを補充する前記背面間口で所定の背面空間を介して対峙する位置に並設され、
前記商品アイテムを取り出す前記前面間口の前記背面間口と反対方向に、仕分けが実行される仕分け空間に、前記商品アイテムが移載される集品容器を移動させる搬送装置が配備されている仕分け設備を具備することを特徴とするデジタルピッキングシステム。
【請求項2】
前記棚がフローラック(流動棚)であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項3】
前記背面間口の前記所定の背面空間に、前記商品アイテムの自動補充装置が、前記背面間口と隣接して備えられていることを特徴とする請求項2に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項4】
前記自動補充装置が、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)、自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)、及び、自律案内搬送ロボット(ANR、Autonomous
Navigation Robot)のいずれかから選択される自動補充装置であることを特徴とする請求項3に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項5】
前記搬送装置が、コンベヤであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項6】
前記コンベヤが、所定の作業空間を隔てて前記前面間口と並設されていることを特徴とする請求項5に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項7】
前記コンベヤが、前記前面間口に隣接して並設され、所定の作業空間が、前記コンベヤに隣接して前記前面間口の反対側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項8】
前記搬送装置が、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)、自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous
Mobile Robot)、及び、自律案内搬送ロボット(ANR、Autonomous Navigation
Robot)のいずれかから選択される搬送装置であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項9】
前記AGV、前記AMR、及び、前記ANRの走行空間は、前記仕分け空間に加え、前記棚の下部に設けられる棚下空間を含むことを特徴とする請求項8に記載のデジタルピッキングシステム。
【請求項10】
請求項5に記載のデジタルピッキングシステムが配備されていることを特徴とする物流施設。
【請求項11】
請求項8に記載のデジタルピッキングシステムが配備されていることを特徴とする物流施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル化やIоT(Internet
of Things)化が高度化するデジタルピッキングシステム(DPS、Digital Picking
System)において、その省スペース化及びその高効率化を実現する技術に関する。特に、DPSの中心的な役割を果たす集品容器搬送ライン及びピッキング保管ラインの短縮によって、省スペース化及び高効率化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流施設で取り扱う物品の種類及び数量の増大に従って、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインとの間のスペースで、ピッキング保管ラインを構成するフローラックから表示器により指示される注文品を取り出し、搬送ライン上の表示器で指示される集品容器に投入して仕分け作業を行うように制御されるDPSが、幅広い業種の物流システムとして採用されてきた(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
これは、DPSが、表示器の指示に従った作業で、正確かつ迅速な仕分けを可能とし、作業の効率向上及び標準化を行うことができるため、物流品質を飛躍的に向上することができたことによるものである。更に詳しくは、このDPSは、在庫物品や物品配送先等の物品データを掌る倉庫管理システム(WMS、Warehouse Management System)で管理され、個別の物流設備を制御する倉庫制御システム(WCS、Warehouse Control System)で制御されて動作するため、システム的にヒューマンエラーを排除した連続的で動線の短い仕分け作業が、生産性向上、人員削減、疲労低減等の効果をもたらすためである。特に、生産性向上という点においては、WMSの膨大な物品情報に基づき、物品が保管されている大型立体自動倉庫からピッキング保管ラインを構成するフローラックに、必要とされる品種と数量の商品アイテムが予め供給されて一時的に保管される工程が、仕分け作業の効率を飛躍的に高めた要因の一つとして大きく貢献している。これらのシステムは、融合化しつつあり、在庫及び入庫管理、並びに、ピッキング等の現場の作業データをリアルタイムで把握し、倉庫内における人、物、及び、設備を総合的に制御する、倉庫管理と倉庫制御の機能を兼ね備えた倉庫運用管理システム(WES、Warehouse Execution
System)に移行していくものと考えられるが、DPSの特徴の本質に影響を及ぼすものではない。
【0004】
そして、物流施設における、入荷、入荷検品、保管、物品移動、仕分け(ピッキング・アソーティング)、出荷検品、梱包、出荷、棚卸等の様々な作業工程がある中から、DPSを中心とした「入荷→入荷検品→仕分け→出荷検品→出荷」という作業工程に焦点を当てると、作業効率という観点から、人及び物の動線が短くて交差することがないI型またはU型に設備を配置することが好ましく、それに準拠した設備設計となっているのが一般的である。すなわち、I型の場合、直方体の建屋であれば、長手方向に対向する側面側に、それぞれ、入荷及び出荷工程を配置し、その間に、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインをI字(直線)状に設け、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインとの間に、または、並設される集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインの集品容器搬送ライン側に仕分け作業を行うスペースを設けた仕分け工程を配列することになる。また、U型の場合、直方体の建屋であれば、長手方向の一つの側面側に入荷及び出荷工程を配置し、その間に、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインをU字(コの字)状に設け、I型同様の仕分け作業スペースを設けた仕分け工程を配列することになる。
【0005】
従って、このような仕分け工程では、長い集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインが必要であり、設備設計の自由度が低い上、多様な消費者ニーズに応えるための多くの物流施設では、取り扱う商品アイテム数が激増しており、集品機会が多い高頻度品の出庫には、高能力の立体自動倉庫で対応する必要があるため、巨大な物流施設が、街とは隔絶された、高速道路のインターチェンジ沿いや工業地域等の広大な敷地に建設されてきた。
【0006】
しかし、近年、電子商取引(EC、Electric
Commerce)の量的質的変化に伴って変化する物流業界の潮流に対応自在な物流施設の設置、及び、不足する人材の確保という観点から、住宅地に接近した都市型物流施設が求められている(非特許文献1)。そのため、巨大な物流施設の設備処理能力が要求される一方、これと矛盾する設備の省スペース化が極めて重要な解決すべき課題として取り上げられるようになってきた。また、都市型物流施設の地価の高さや人件費の高騰等を吸収し、競争力強化を図る物流コスト削減、また、多品種多頻度少量の商品アイテムに対応したリードタイムを短縮する迅速性が求められ、従来以上にオペレーター及び設備を高効率化した物流設備及び配送システムが必要になってきた。
【0007】
このような物流設備の省スペース化及び高効率化に対して、例えば、特許文献4では、立体自動倉庫の長手方向にフローラックの背面が対向するように設置され、仕分け作業のスペースを介してフローラックと並行して集品容器搬送ラインが設置され、フローラックから集品容器へ商品アイテムを移載する仕分けシステムが提案されている。この仕分けシステムは、立体自動倉庫の長手方向にフローラックの背面が対向するように設けられ、立体自動倉庫に設けられている配置棚にフローラックへ移載する前の商品アイテムを予め準備しておき、スタッカクレーンで商品アイテムを配置棚からフローラックに移載することによって、フローラックの大型化を回避していることに特徴を有しており、立体自動倉庫の配置棚がフローラックに移載する商品アイテムの仮置き棚の役割を果たしている。この構成によれば、フローラックで保管する商品アイテムの品種及び数量共に極度に少なく、それに伴い、集品容器搬送ラインも短く、更には、立体倉庫内のスタッカクレーンによる物品移動を伴うため、処理能力が低く、処理速度を上げると仕分け未完了の仕掛り集品容器が多量に発生する可能性が高い。従って、多品種大量の商品アイテムは当然のことながら、少品種少量の商品アイテムに対応することも困難であるものと考えられる。
【0008】
また、特許文献5には、表示器搬送経路の設置スペースを狭くして設備全体の省スペース化が図られているが、DPSの大幅な専有空間を低減することは困難であると考えられる。
【0009】
更に、特許文献6では、並設される集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインの集品容器搬送ライン側に仕分け作業のスペースを設け、ピッキング保管ラインを構成するフローラックから表示器により指示される注文品を取り出し、搬送ライン上の表示器で指示される集品容器に移載する仕分け作業において、空の集品容器を仕分けが行われる集品容器搬送ラインに供給する搬送ラインをフローラックの最下段の棚の下方を潜らせた状態でフローラックに沿って設けることによって、物流施設内の空間を有効に利用して設備全体の省スペース化を図るものではあるが、集品容器搬送ライン及びピッキング保管ラインの長さを短縮して、DPSが占有する空間の大幅な省スペース化を実現することができるものではない。
【0010】
このように、都市型物流施設に求められている省スペース化及び高効率化を満足する物流設備、特に、DPSは未だ提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-298555号公報
【特許文献2】特開2011-157138号公報
【特許文献3】国際公開第2012/032865号公報
【特許文献4】特開2014-133643号公報
【特許文献5】特開2015-048157号公報
【特許文献6】特開2018-090347号公報
【特許文献7】特開2022-001534号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】圓角史人,「まちに近づく物流施設~孤立から連携・配慮、さらには地域経済のけん引役へ~」,[on line],オピニオン,株式会社日本総合研究所ホームページ,2022年2月7日,[2023年5月9日検索],インターネット<https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=101988>.
【非特許文献2】PickGo物流コラム編集部,「ジャストインタイム物流とは?配送現場が抱える課題の特徴と解決策」,[on line],PickGoホームページ,PickGo物流コラム,2021年11月8日作成,2023年4月18日更新,[2023年5月9日検索],インターネット<https://pickgo.town/media/just-in-time>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
背景技術で述べたように、変化する物流業界の潮流に対応自在な物流施設の設置、及び、不足する人材の確保という観点から、住宅地に接近した都市型物流施設が求められている。すなわち、多様な消費者ニーズに対応した多種多様な商品アイテムの取扱いが可能であり、地価の高い都市型物流施設に対応した物流施設のコンパクト化を図ると共に、従来の巨大な物流センターで行われてきた高度な処理能力が少なくとも維持される必要がある。更に、物流施設の都市型化による人手不足の解消に頼るだけでなく、物流設備の高度な自動化によって人手不足の解消に対する要求も求められている。本発明は、このような潮流に対応した、巨大な物流施設の設備処理能力を低下させることなく、省スペース化できるDPSの提供を課題としている。より具体的には、本発明の課題は、物流コスト削減やリードタイム短縮に効果を奏するオペレーター及び設備の高効率化を実現することができ、物流施設の規模及び形態の変化に対応可能な、設計自由度の高い集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインとを備えるDPSの提供にある。
【0014】
このような課題に対し、本発明は、従来の仕分け作業が行われるDPSにおいて、仕分けされる商品を一時的に保管するラックが並ぶピッキング保管ラインと、このラックから発注された商品アイテムを出荷するために仕分けされる集品容器が移動する集品容器搬送ラインとが並設される仕分け設備の配置空間の省スペース化により、上記課題の解決を図ることを意図しているため、まず、物流施設の物品管理及び保管機能を有する立体自動倉庫を除いた、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインの具体的問題点を明らかにする。
【0015】
図1に、代表的なラインコンベヤ型ピッキング(仕分け)設備100の集品容器搬送ライン110とピッキング保管ライン130を中心とした平面概要模式図を示し、
図2に、
図1のピッキング保管ライン130の正面概要模式図を示した。図から明らかのように、集品容器供給コンベヤ113から供給される集品容器161が、集品容器準備エリア114から投入されて長いベルトコンベヤ111を移動する過程で、ペレーターPが担当する区分けされたピッキングゾーン120m、120nに設けられている物品格納フローラック130m、130nから、ベルトコンベヤ111上の集品容器163m、163nに、商品アイテムが正しく移載される。そして、集品を完了した集品容器165は、検品エリア115で検査された後、出荷コンベヤ116に送り出されて出荷に至る。商品アイテムが正しく集品容器に移載されるために、膨大な物品情報を管理し、コンベヤや指示器等の物流施設を総合的に制御することができるホストコンピュータの下で、ベルトコンベヤ111上のピッキングゾーン120を通過する集品容器163の位置が把握され、その位置に連係する各種表示器の点灯が、オペレーターPの作業を指示する。第mピッキングゾーン120m(Zm)を例に挙げると、第mピッキングゾーン120mには、物品格納フローラック130mが配備されるが、ベイ121m~123mに分割され、更に、27個の格納棚131m~1327mに区画されており、ベイ毎にベイ表示器(物品格納ベイ指示器)141m~143m、格納棚毎に格納棚表示器(物品取出し指示器)151m~1527mが備え付けられている。一方、集品容器搬送ライン110には、ベルトコンベヤ111と並行してガイド表示器(物品投入指示器)が備え付けられている。例えば、第1ベイ121mの第1格納棚131mの商品に発注されると、集品容器163mが、ベルトコンベヤ111によって第mピッキングゾーン120mの所定の位置に移動されると共に、第1ベイ表示器141mが点灯すると共に、第1格納段表示器151mが点灯して、そこに保管されている商品アイテムの取り出す数量も指示される。そして、オペレーターPmが、商品アイテムを取出し、集品容器163mに移載する際には、ガイド表示器が点灯して、移載すべき集品容器163を指示する。
【0016】
このように、多種多様な商品を、出荷頻度を考慮して欠品がないように準備し、効率よく低コストで、しかも、正確かつ安全に、短いリードタイムで消費者に届けることを追求して、DPSが考案され、改良され、現在も進化しつつある。しかしながら、背景技術でも説明したが、
図1及び2の仕分け設備において、集品箱の「供給→準備→仕分け→検品→出荷」という作業工程を効率良く行うためには、人及び物の動線が短くて交差することがない、一方向に極めて長い仕分け設備となり、細長い敷地及び施設が必要となり、仕分け設備の設計の自由度が極めて低い。そのため、新たな敷地に都市型物流施設を建設する場合や、既設スーパーマーケットや百貨店等の跡地を物流施設へ再利用する場合等において、従来のDPSを導入することができないという問題がある。しかも、DPSにおいては、このI型の仕分け設備に対する信奉が根強く、このタイプから脱却した技術情報が認められない。
【0017】
従って、本発明の課題は、従来のDPSの有する優れた特長を損なうことなく、この仕分け設備の長さを短縮し、省スペース化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、
図1及び
図2に示した仕分け設備の長さの短縮を、
図1及び
図2の要素となる設備を図形的に描いた
図3の平面概要略図から抽出される、1ピッキングゾーンを占有する、集品容器搬送ライン110、ピッキング保管ライン130、作業空間170、及び、物品自動補充空間180を再編して検討した。なお、この検討のために、ピッキング保管ライン130への物品の補充は、物品自動補充装置190-1を物品自動補充空間180に設置して一方向から物品を自動的に補充する方法として、仕分け設備の専有する面積を固定的に扱うことができるようにした。物品自動補充装置には各種存在するが、
図3に示す物品自動補充装置190-1は、レール192が、ピッキング保管ライン130の各段(
図2の上段、中段、下段に相当する)に敷設されるレール192を、車体1911に車輪1912を備えているシャトル191-1が走行し、フィンガー1914を備えているアーム1913により、ピッキング保管ライン130への一方向の物品の供給が行われる。また、垂直方向への物品の移動は、物品が供給されるシャトル191-1の昇降によって行われる。
【0019】
その結果を
図4に示す。図形的に描いた
図3の平面概要略図から抽出される、4ピッキングゾーンを占有する、集品容器搬送ライン110、物品格納ライン130、作業空間170、及び、物品自動補充空間180の面積を1ピッキングゾーン毎に4分割し、それらの4分割された長方形を再編して仕分け設備に好ましいと考えられる4タイプの配置を示している。
【0020】
図4(a)は、
図1~3に示した従来の代表的な仕分け設備で、その専有する面積を100とする。
図4(b)は、
図4(a)を半分に切断し、集品容器搬送ライン110が隣接して並走するように配備したものである。
図4(c)は、ピッキング保管ライン130と作業空間170が、集品容器搬送ライン110に対し、作業空間170を介して交互かつ垂直に配備されている。
図4(d)は、ピッキング保管ライン130が、その背面で物品自動補充空間180を介して線対称となる位置に並設され、
それぞれのピッキング保管ライン130に沿って所定の作業空間170を介して集品容器搬送ライン110を備えている仕分け設備である。この場合の自動補充装置は、
図3の物品自動補充装置190-1と同様の構成であるが、アーム1913が、車体1911の両側に移動して、ピッキング保管ラインへの二方向の物品補充ができることを前提としている。
【0021】
図4(c)は、仕分け設備の長さが1/2となると共に、専有面積も87.5%になるが、作業空間170を移動するオペレーターPの移動距離が、1ピッキングゾーンも長くなる。また、移動距離以上に、視野から表示器が外れる可能性がある上、作業動作が複雑になり、作業効率及び作業精度が大きく損なわれる可能性が高い。更に、
図4(c)には、
図4(a)、(b)、及び、(d)同様に、自動補充空間180を設けているが、この配置では、自動補充が極めて困難であり、自動補充装置に多大な負担が掛かる。
【0022】
図4(b)は、仕分け設備の長さが1/2となり、本発明の課題である仕分け設備の長さ短縮という観点からは、それに伴う一定の効果があるが、専有面積を縮小することができない。これに対し、
図4(d)は、物品自動補充空間180をピッキング保管ライン130で挟持されるように配備することによって、2ピッキングラインに相当する物品自動補充空間180を、
図4(b)よりも縮小することができる。すなわち、
図4(d)の仕分け設備の配置であれば、仕分け設備の長さを約1/2に短縮し、専有面積を約87.5%に縮小することができる。
【0023】
本発明は、このように単純な、1ピッキングゾーンの長方形の集品容器搬送ライン110、物品格納ライン130、作業空間170、及び、物品自動補充空間180
を割付けた
図4(d)の結果に基づいて、
図5に示す平面概要略図の仕分け設備を設計し、実証実験を行ったところ、膨大な物品情報を管理し、コンベヤや指示器等の物流施設を総合的に制御することができるホストコンピュータの下で、搬送装置、物品自動補給装置、及び、ピッキング保管ラインの表示器等を制御でき、従来のDPSの能力が低下することなく、仕分け設備の長さを約1/2に短縮でき、専有面積を約87.5%に縮小できることを確認し、更に、改良を施し、本発明の完成に至った。ここで、
図5に示す物品自動補充装置190-2は、
図4(d)で説明したように、車体1911の両側に物品補充ができるものを採用している。すなわち、
図3の物品自動補充装置190-1同様、レール192が、ピッキング保管ライン130の各段に敷設されるレール192を、車体1911に車輪1912を備えているシャトル191-2が走行し、フィンガー1914を備えているアーム1913により、ピッキング保管ライン130への二方向の物品補充が行われる。
【0024】
すなわち、本発明は、物品情報を管理するシステム(WMS、Warehouse Management System)と、個別の物流設備を制御することができるシステム(WCS、Warehouse Control System)とにより管理及び制御されるデジタルピッキングシステムであって、仕分けされる商品アイテムを保管し、一方には商品アイテムを補充する背面間口を備え、他方には商品アイテムを取り出す前面間口を備える棚を、背面間口及び前面間口の幅方向に複数配列された2基のピッキング保管棚が、前記商品アイテムを補充する前記背面間口で所定の背面空間を介して対峙する位置に並設され、商品アイテムを取り出す前面間口の背面間口と反対方向に、仕分けが実行される仕分け空間に、前記商品アイテムが移載される集品容器を移動させる搬送装置が配備されている仕分け設備を具備することを特徴とするデジタルピッキングシステムである。ここで、仕分け空間は、オペレーターが仕分け作業を行う作業空間と集品容器を移動させる搬送設備が専有する空間とから構成される空間である。
【0025】
このような棚は、背面間口から商品アイテムを供給することができ、オペレーターが、前面間口から商品アイテムを取り出すことができる形態であれば特に限定されるものではないが、途切れることなく連続的に、背面間口から商品アイテムが供給され、前面間口から商品アイテムを取り出せることができるフローラック(流動棚)であることが好ましい。
【0026】
また、背面間口の所定の空間が、上記棚に商品アイテムを補充するための作業空間、例えば、多種多様で多数の商品アイテムが保管されている立体倉庫等から補充すべき商品アイテムを積載したカゴ車等が通過して、オペレーターによる補充ができる空間を確保していればよいが、その空間に、物品自動補充装置が、背面間口と隣接して備えられ、その自動補充装置の隣接する両側の棚に、商品アイテムが効率的に自動補充されることが好ましい。そして、物品自動補充装置としても、レール上を走行し、商品アイテムを棚に供給できるアーム等を備えているシャトル、同じく商品アイテムを棚に供給可能なアームを備えているスタッカクレーン、及び、クロスキャリアベルト式コンベヤ等、特に限定されるものではないが、構造的に単純なクロスキャリアベルト式コンベヤであることがより好ましい。更に、物品自動補充装置が、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)、自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)、及び、特許文献7に開示されている自律案内搬送ロボット(ANR、Autonomous Navigation Robot)のいずれかから選択される物品自動補充装置であることがより更に好ましい。これは、機動性及び走行エリアの自由度に優れ、位置の把握及び走行経路の制御が容易で、仕分け設備、特に、ピッキング保管棚の配置変更等の再編に伴う物品自動補充装置の形態を自在に変形できる設計自由度に優れているためである。ただし、この場合、AGV、AMR、及び、ANRの物品載置台には、ピッキング保管棚の垂直方向への物品補充に対応するための昇降機能、及び、ピッキング保管棚の水平方向への物品補充に対応するためのコンベヤ機能を有している必要がある。
【0027】
一方、仕分けが実行される仕分け空間は、オペレーターが、ホストコンピュータで制御されている表示器の指示によってピッキング保管棚の商品アイテムを集品容器に仕分けする空間で、このピッキング保管棚から商品アイテムが移載される集品容器は、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等の搬送装置で連続的に供給されることが好ましい。そして、このようなコンベヤは、オペレーターの仕分け作業を行う作業空間を隔てて、ピッキング保管棚の前面間口と並設されている場合と、ピッキング保管棚の前面間口
に隣接して並設され、オペレーターの作業空間が、コンベヤに隣接してピッキング保管棚の前面間口の反対側に設けられている場合のいずれかであることが好ましい。
【0028】
しかし、多品種少量で、出荷頻度の低い商品アイテムの取り扱いが多い場合、また、そこに、少品種多量で、出荷頻度の高い商品アイテムが混在する場合等の様々な出荷状況があるため、集品容器搬送ラインの集品容器を搬送する装置として、集品容器を連続的に移動させるコンベヤを用いると、集品容器への商品アイテムの移載の有無に関わらず、集品容器の移動速度の断続的な制御が困難であるため、仕分け効率が高められないという問題がある。そこで、集品容器搬送ラインの搬送装置として、ホストコンピュータの指示に従って、仕分けが行われる位置に集品容器を高速で移動させることが可能な自動無人搬送車を採用することが効率的でより好ましい。
【0029】
この自動無人搬送車は、一般的な既に物流施設で活用されている無人搬送車(AGV、Automatic Guided
Vehicle)及び自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)が好ましく用いられるが、特許文献7に開示されている自律案内搬送ロボット(ANR、Autonomous
Navigation Robot)であってもよく、これらのいずれかから選択される自動無人搬送車であることが好ましい。特に、集品容器のコンベヤ等と自動無人搬送車との移載を考慮すれば、旋回可能なコンベヤを搭載していることがより好ましい。更に、自動無人搬送車の自由自在な移動及び動作ができる旋回可能な駆動輪を備えていることが好ましい。
【0030】
そして、このような自動無人搬送車は、集品容器を積載して、少なくとも、オペレーターが、ホストコンピュータで制御されている表示器の指示によってピッキング保管棚の商品アイテムを集品容器に仕分けする仕分け空間を通過する。この場合、段落0027で説明したように、ピッキング保管棚の前面間口に沿って、コンベヤ同様の二通りの仕分け空間を走行することもできるが、コンベヤのように固定された走行空間に限定されて走行する必要はない。更に、自動無人搬送車の追い越し及び待機を可能とし、DPS工程後における順立て工程を省略することが可能となり、走行距離を短縮すると共に、仕分け設備をコンパクトにすることができるように、自動無人搬送車の走行は、ピッキング保管棚の下部、最下段の棚板と物流施設床面との間に形成される棚下空間を走行することができるようにすることがより好ましい。
【0031】
本発明のDPSは、集品容器の搬送装置としてコンベヤを採用した場合、従来のDPSの能力を損なうことなく省スペース化でき、仕分け設備の長さが約1/2に短縮され、専有面積が約87.5%に縮小されるという具体的効果を奏する。更に、集品容器搬送ラインの集品容器の搬送装置として自動無人搬送車を採用した場合には、省スペース化に加え、高効率化できるという効果も奏する。従って、本発明のDPSを配備した物流施設は、省スペース化及び高効率化された物流システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のDPSによれば、集品容器を搬送する装置としてコンベヤを採用した場合、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインを中心とした仕分け設備の長さを従来の仕分け設備の約1/2に短縮でき、専有面積を約87.5%に縮小できるという効果を奏する。更に、集品容器搬送ラインの集品容器を搬送する装置として自動無人搬送車を適用すると、省スペース化に加え、高効率化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明のDPSを物流施設に備えることによって、その物流施設に省スペース化及び高効率化される物流システムを構築することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】従来の代表的なDPSにおける、集品容器搬送ラインとピッキング保管ラインを中心とする仕分け設備の平面概要模式図である。
【
図2】
図1に示すピッキング保管ラインの正面概要模式図である。
【
図3】
図1に示す平面概要模式図を、図形的に描いた平面概要略図である。
【
図4】
図3の平面概要略図から抽出され、1ピッキングゾーンを占有する、集品容器搬送ライン、ピッキング保管ライン、作業空間、及び、物品自動補充空間を再編して、仕分け設備に適した配置を検討した結果である。
【
図5】
図4の結果に基づいて画いた、本発明の一実施形態に係る、物品自動補充装置と、その両側に隣接して、長手方向に線対称な位置関係で並設されている2基のピッキング保管ラインと、2基のピッキング保管ラインに沿って所定の作業空間を介して2基の集品容器搬送ラインを備えている仕分け設備の平面概要略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る、フローラックが長手方向に複数連設されている2基のピッキング保管ラインが、所定の空間を介して対峙し、その間隔の中点を通る長手方向の直線に線対称な位置に並設されており、この空間に、これらのピッキング保管ラインと隣接して物品自動補充装置が配備されると共に、ピッキング保管ラインの物品自動補充装置の反対側に、仕分け作業を行う所定の空間を介してベルトコンベヤの集品容器搬送ラインを並設している仕分け設備を備えているDPSの平面概要模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る、
図6の断面模式図に示す物品自動補充装置に換り、物品処理能力がより高い物品自動補充装置として、並設されている2基のピッキング保管ラインのそれぞれに商品アイテムを自動補充するための装置が備えられている物品自動補充装置を配備している仕分け設備を備えているDPSの断面概要模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る、
図6のDPSから物品自動補充装置を取り除いた仕分け設備を備えているDPSの平面概要模式図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る、
図6の仕分け設備を、物流施設の一方に集品容器供給コンベヤと出荷コンベヤとが配備され、集品容器の「供給→準備→仕分け→検品→出荷」という作業工程を効率良く行うための、人及び物の動線が短くて交差することがないU型に配備したDPSの平面概要模式図である。
【
図12】本発明のDPSの集品容器を搬送する装置として用いる自動無人搬送車の平面概要模式図(a)及び(b)と側面概要模式図(c)である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る、
図6の集品容器搬送ラインの集品容器を搬送する装置として、
図12に示す自動無人搬送車を適用したDPSの平面概要模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る、
図11の集品容器搬送ラインの集品容器を搬送する装置として、
図12に示す自動無人搬送車を適用したDPSの平面概要模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に示した実施形態を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0035】
図6は、本発明の一実施形態に係る、フローラックが長手方向に複数連設されている2基のピッキング保管ラインが、所定の空間を介して対峙し、その間隔の中点を通る長手方向の直線に線対称な位置に並設されており、この空間に、これらのピッキング保管ラインと隣接して物品自動補充装置が配備されると共に、ピッキング保管ラインの物品自動補充装置の反対側に、仕分け作業を行う所定の空間、すなわち、作業空間を介してベルトコンベヤの集品容器搬送ラインを並設している仕分け設備を備えているDPSの平面概要模式図で、第mピッキングゾーン120m、第nピッキングゾーン120n、第sピッキングゾーン120s、及び、第tピッキングゾーン120tが抽出されて画かれている。従って、第mピッキングゾーンの仕分け空間は、第mピッキングゾーンの作業空間170mと、第mピッキングゾーンのベルトコンベヤ111及び第mピッキングゾーンのガイド表示機112を含む第mピッキングゾーンの集品容器搬送ライン110とから構成されている。その他のピッキングゾーンについても同様であり、以下、
図7~11についても同様である。また、このDPSを第mピッキングゾーン130mと第sピッキングゾーン130sを通る直線で紙面に垂直に切断した断面概要模式図は
図7に示した。
【0036】
図から明らかなように、本発明のDPSの仕分け設備は、
図1及び2に示されている従来の仕分け設備と同様の機構で動作させることができるものであるが、ピッキング保管ライン130の物品格納フローラック130m、130n、130s、130tの背面間口から、1基の物品自動補充装置190-2で商品アイテムを補充することに本発明の特徴がある。
【0037】
図7から分かるように、この物品自動補充装置190-2は、レール192が、第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの上段、中段、及び、下段の背面間口に隣接して敷設されているレール192上を、車体1911に車輪1912を備えているシャトル191-2が走行し、フィンガー1914を備えているアーム1913により、第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの双方に商品アイテムが補充される。補充するための商品アイテムは、
図6に示す補充物品供給コンベヤ194から、シャトル191-2を昇降するシャトル昇降機195の中に設けられている補充物品通過口199を通過して、シャトル191-2に移載される。商品アイテムが移載されたシャトル191-2は、シャトル昇降機193により、第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの上段、中段、及び、下段に振り分けられ、レール192上を走行して、補充すべき第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの背面間口で商品アイテムを補充する。
【0038】
この物品自動補充装置190-2は一例であり、これに限定されるものではない。
図8に示すように、物品自動補充空間180が広くなり、省スペース化という点では劣るが、物品処理能力がより高い物品自動補充装置として、並設されている2基のピッキング保管ラインのそれぞれに商品アイテムを自動補充するための装置が備えられている物品自動補充装置190-3であってもよい。この場合、補充するための商品アイテムは、
図6に示す補充物品供給コンベヤ194から、物品載置搬送台昇降機195の中に設けられている補充物品通過口199を通過して、物品載置搬送台196に移載される。商品アイテムが移載された物品載置搬送台196は、物品載置搬送台昇降機195により、第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの上段、中段、及び、下段に振り分けられ、各段の長手方向に設けられた補充物品搬送コンベヤ197と、補充物品搬送コンベヤ-シャトル間移載コンベヤ198を経由して、一方向にだけ商品アイテムを補充するフィンガー1914を付設しているアーム1913を備えたシャトル191-3に商品アイテムが移載される。そして、このシャトル191-3が、レール192上を走行して、補充すべき第m物品格納フローラック130mと第s物品格納フローラック130sの背面間口で商品アイテムを補充する。
【0039】
上記物品自動補充装置190-2では、フィンガー1914を付設しているアーム1913により商品アイテムをフローラックで構成されるピンキング保管ライン130へ移載して補充するシャトル191を、自動補充装置の一例として説明したが、クロスベルトソータを備えたシャトルとすることもできる。
【0040】
逆に、
図9及び
図10に示すように、物流施設で取り扱う商品アイテムの種類、数量、出荷頻度等の各種条件によっては、
図6のDPSから物品自動補充装置を取り除いた仕分け設備を備えているDPSであってもよい。
【0041】
また、
図6及び7等において、ピッキング保管ライン130とベルトコンベヤ111との間に、オペレーターPが仕分けを行う作業空間が形成されているが、ベルトコンベヤ111がピッキング保管ライン130に隣接して並設され、ベルトコンベヤ111を介してピッキング保管ライン130の反対側に、オペレーターPが仕分けを行う作業空間が形成されてもよい。
【0042】
以上、説明した仕分け設備は、物流施設の一方に集品容器の供給コンベヤ113が、他方に出荷コンベヤ116が配備され、集品容器の「供給→準備→仕分け→検品→出荷」という作業工程を効率良く行うための、人及び物の動線が短くて交差することがないI型に配備したDPSに適用しているが、
図11に示すように、物流施設の一方に集品容器供給コンベヤ113と出荷コンベヤ116とが配備され、集品容器の「供給→準備→仕分け→検品→出荷」という作業工程を効率良く行うための、人及び物の動線が短くて交差することがないU型に配備したDPSにも適用することもでき、同様の省スペース化を図ることができる。
【0043】
本発明のDPSにおいて、省スペース化に加え、高効率化を図るためには、集品容器を搬送する装置として、自動無人搬送車を採用することが好ましい。そのための、自動無人搬送車210を
図12に示した。
図12(a)及び(b)は、平面概要模式図であり、
図12(c)は側面概要模式図である。(b)は、(a)のベルトコンベヤ214を90度回転させた場合の平面概要模式図である。
【0044】
図から明らかなように、車両本体211に、旋回可能な駆動輪212と共に、車両本体212の安定走行のための従動輪213を備えている。特に、集品容器160の移載が行い易い、回転式昇降機215にベルトコンベヤ214が備えられていることが好ましいが、AGV、AMR、及び、ANRのいずれの動作機構を備えているものであってもよい。特に、走行の自由度が高い、磁気テープなどの誘導体を必要とせず(ガイドレス)で、搭載されたセンサなどの情報から自己位置の推定を行うことができるAMR及びANRであることが好ましい。
【0045】
図13には、このような自動無人搬送車210を、
図6の集品容器搬送ライン110の集品容器160を搬送する装置として適用したDPSの平面概要模式図を示し、
図14には、このような自動無人搬送車210を、
図12の集品容器搬送ライン110の集品容器160を搬送する装置として適用したDPSの平面概要模式図を示した。このように、集品容器搬送ライン110の集品容器160を搬送する装置として採用することによって、集品容器160を連続的に移動させるベルトコンベヤ111と異なり、ホストコンピュータの指示に従って、仕分けが行われる位置に集品容器を高速で移動させることができ、より効率的な仕分けが可能となる。この場合、第mピッキングゾーンの仕分け空間は、第mピッキングゾーンにおけるオペレーターの作業空間170mと、第mピッキングゾーンにおける自動無人搬送車210の走行エリア220とから構成されており、
図14においても同様である。
【0046】
図13及び14では、自動無人搬送車210の走行空間を、オペレーターの仕分け作業を行う作業空間を隔てた、
図6及び7等のベルトコンベヤ111の位置に設定しているが、これに限定されるものではない。ピッキング保管棚130とオペレーター
Pとの間に走行空間を設けて、ピッキング保管棚130の前面間口に沿って走行して仕分け空間を通過してもよい。更に、図示していないが、自動無人搬送車の走行は、自動無人搬送車の追い越し及び待機を可能とし、DPS工程後における順立て工程を省略することが可能となり、走行距離を短縮すると共に、仕分け設備をコンパクトにすることができるように、ピッキング保管棚の下部、最下段の棚板と物流施設床面との間に形成される棚下空間を走行することができるようにすることがより好ましい。また、自動無人搬送車210の走行について、
図14では、ベルトコンベヤ111のように固定された走路を移動する例を示したが、その特性上、物流施設内の走行が障害とならない空間を自在に走行することができ、最短の走路となるように移動することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のDPSは、処理能力を損なうことなく、仕分け設備の長さを大幅に短縮でき、その専有面積も大幅に縮小でき、設計自由度が高いため、新設する狭小な都市型物流施設に対しても、既設建造物の跡地に建設する物流施設に対しても設置することができる場合多いと考えられ、その産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0048】
100 ラインコンベヤ型ピッキング(仕分け)設備
100-1(I) シングル自動補充式シングルIラインコンベヤ型仕分け設備
100-2(I) ダブル自動補充式ダブルIラインコンベヤ型仕分け設備
100-3(I) シングル自動補充式ダブルIラインコンベヤ型仕分け設備
100-3(U) シングル自動補充式ダブルUラインコンベヤ型仕分け設備
100-4(I) ダブルIラインコンベヤ型仕分け設備
110 集品容器搬送ライン
111 ベルトコンベヤ
112 ガイド表示器(物品投入指示器)
113 集品容器供給コンベヤ
114 集品容器準備エリア
115 検品エリア
116 出荷コンベヤ
120 ピッキングゾーン
120l 第lピッキングゾーン(Zl)
120m 第mピッキングゾーン(Zm)
121m 第mピッキングゾーンの第1ベイ(Zm1)
122m 第mピッキングゾーンの第2ベイ(Zm2)
123m 第mピッキングゾーンの第3ベイ(Zm3)
120n 第nピッキングゾーン(Zn)
121n 第nピッキングゾーンの第1ベイ(Zn1)
122n 第nピッキングゾーンの第2ベイ(Zn2)
123n 第nピッキングゾーンの第3ベイ(Zn3)
120о 第оピッキングゾーン(Zо)
120s 第sピッキングゾーン(Zs)
120t 第tピッキングゾーン(Zt)
130 ピッキング保管(物品格納)ライン
130l 第lピッキングゾーンの第l物品格納フローラック
130m 第mピッキングゾーンの第m物品格納フローラック
131m 第m物品格納フローラックの第1格納棚(上段)
133m 第m物品格納フローラックの第3格納棚(上段)
139m 第m物品格納フローラックの第9格納棚(上段)
1310m 第m物品格納フローラックの第10格納棚(中段)
1319m 第m物品格納フローラックの第19格納棚(下段)
130n 第nピッキングゾーンの第n物品格納フローラック
131n 第n物品格納フローラックの第1格納棚(上段)
138n 第n物品格納フローラックの第8格納棚(上段)
139n 第n物品格納フローラックの第9格納棚(上段)
1318n 第n物品格納フローラックの第18格納棚(中段)
1327n 第n物品格納フローラックの第27格納棚(下段)
130s 第sピッキングゾーンの第s物品格納フローラック
130t 第tピッキングゾーンの第t物品格納フローラック
140 ピッキングゾーンのベイ表示器(物品格納ベイ指示器)
140m 第mピッキングゾーンのベイ表示器
141m 第mピッキングゾーンの第1ベイ表示器
143m 第mピッキングゾーンの第3ベイ表示器
140n 第nピッキングゾーンのベイ表示器
141n 第nピッキングゾーンの第1ベイ表示器
143n 第nピッキングゾーンの第3ベイ表示器
140s 第sピッキングゾーンのベイ表示器
140t 第tピッキングゾーンのベイ表示器
150 ピッキングゾーンの格納棚表示器(物品取出し指示器)
150m 第mピッキングゾーンの格納棚表示器
151m 第mピッキングゾーンの第1格納棚表示器(上段)
158m 第mピッキングゾーンの第8格納棚表示器(上段)
159m 第mピッキングゾーンの第9格納棚表示器(上段)
1510m 第mピッキングゾーンの第10格納棚表示器(中段)
1519m 第mピッキングゾーンの第19格納棚表示器(下段)
150n 第nピッキングゾーンの格納棚表示器
151n 第nピッキングゾーンの第1格納棚表示器(上段)
154n 第nピッキングゾーンの第4格納棚表示器(上段)
159n 第nピッキングゾーンの第9格納棚表示器(上段)
1518n 第nピッキングゾーンの第18格納棚表示器(中段)
1527n 第nピッキングゾーンの第27格納棚表示器(下段)
150s 第sピッキングゾーンの格納棚表示器
150t 第tピッキングゾーンの格納棚表示器
160 集品容器
161 集品容器供給コンベヤ上の集品容器
162 集品容器準備エリア上の集品容器
163 ピッキングゾーンを通過中の集品容器
163l 第lピッキングゾーンを通過中の集品容器
163m 第mピッキングゾーンを通過中の集品容器
163n 第nピッキングゾーンを通過中の集品容器
163о 第оピッキングゾーンを通過中の集品容器
163s 第sピッキングゾーンを通過中の集品容器
163t 第tピッキングゾーンを通過中の集品容器
164 ピッキングゾーン間を通過中の集品容器
165 検品エリア上の集品容器
166 出荷コンベヤ上の集品容器
167 発注番号パネル
170 作業空間
170l 第lピッキングゾーンの作業空間
170m 第mピッキングゾーンの作業空間
170n 第nピッキングゾーンの作業空間
170o 第оピッキングゾーンの作業空間
170s 第mピッキングゾーンの作業空間
170t 第nピッキングゾーンの作業空間
180 物品自動補充空間
190 物品自動補充装置
190-1 第1の物品自動補充装置
190-2 第2の物品自動補充装置
190-3 第3の物品自動補充装置
191 シャトル
191-1 第1のシャトル
191-2 第2のシャトル
191-3 第3のシャトル
1911 車体
1912 車輪
1913 アーム
1914 フィンガー
192 レール
193 シャトル昇降機
194 補充物品供給コンベヤ
195 物品載置搬送台昇降機
196 物品載置搬送台
197 補充物品搬送コンベヤ
198 補充物品搬送コンベヤ-シャトル間移載コンベヤ
199 補充物品通過口
200 ライン搬送車型仕分け設備
200-1(I) シングル補充式ダブルIライン搬送車型仕分け設備
200-1(U) シングル補充式ダブルUライン搬送車型仕分け設備
210 自動無人搬送車
211 車両本体
212 駆動輪
213 従動輪
214 ベルトコンベヤ
215 回転式昇降機
2102 集品容器準備エリア上の自動無人搬送車
210m 第mピッキングゾーンを走行中の自動無人搬送車
210n 第nピッキングゾーンを走行中の自動無人搬送車
210s 第sピッキングゾーンを走行中の自動無人搬送車
210t 第tピッキングゾーンを走行中の自動無人搬送車
2104 ピッキングゾーン間を走行中の自動無人搬送車
2105 検品エリア上の自動無人搬送車
220 自動無人搬送車走行エリア
D 移動方向
D1 集品容器の移動方向
D2 シャトルの移動方向
P オペレーター
Pl 第lピッキングゾーン担当オペレーター
Pm 第mピッキングゾーン担当オペレーター
Pn 第nピッキングゾーン担当オペレーター
Po 第оピッキングゾーン担当オペレーター
Ps 第sピッキングゾーン担当オペレーター
Pt 第tピッキングゾーン担当オペレーター
M 物品
Mm 第m物品格納フローラック内の物品
Ms 第s物品格納フローラック内の物品