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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020739
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】エレベータ検査装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
B66B5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124301
(22)【出願日】2023-07-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】金子 元樹
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA09
3F304BA26
3F304ED06
3F304ED07
3F304ED13
(57)【要約】
【課題】 複数のかごロープのうち、今回の検査で検査すべきかごロープを把握することができるエレベータ検査装置を提供する。
【解決手段】 エレベータ検査装置は、ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、記憶された直近検査時期に基づいて、複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する演算部と、判定された検査優先度を表示する表示部と、を備えてもよい。また、エレベータ検査装置は、ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、記憶された直近検査時期に基づいて、複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定し、判定した検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープを選定する演算部と、選定された推奨かごロープを表示する表示部と、を備えてもよい。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する演算部と、
判定された前記検査優先度を表示する表示部と、を備える、エレベータ検査装置。
【請求項2】
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定し、判定した前記検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープを選定する演算部と、
選定された前記推奨かごロープを表示する表示部と、を備える、エレベータ検査装置。
【請求項3】
前記演算部は、判定した前記検査優先度に基づいて、複数である設定数のかごロープが互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、今回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の今回推奨かごロープを選定し、
前記表示部は、選定された前記今回推奨かごロープを表示する、請求項2に記載のエレベータ検査装置。
【請求項4】
前記演算部は、判定した前記検査優先度に基づいて、前記設定数のかごロープが互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、前記設定数の前記今回推奨かごロープだけでなく、次回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の次回推奨かごロープをさらに選定する、請求項3に記載のエレベータ検査装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数のかごロープのそれぞれの使用年数をさらに記憶し、
前記演算部は、記憶された前記直近検査時期と前記使用年数とに基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ検査装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記複数のかごロープのそれぞれの直近検査時における素線切れ数をさらに記憶し、
前記演算部は、記憶された前記直近検査時期と前記素線切れ数とに基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、複数のかごロープを備えており、複数のかごロープは、ロープテスタで検査されている(例えば、特許文献1)。ところで、例えば、一日の検査において、複数のかごロープの全てを検査できない場合がある。斯かる場合に、今回の検査で検査するかごロープを選定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-258001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、複数のかごロープのうち、今回の検査で検査すべきかごロープを把握することができるエレベータ検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータ検査装置は、
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する演算部と、
判定された前記検査優先度を表示する表示部と、を備える。
【0006】
エレベータ検査装置は、
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定し、判定した前記検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープを選定する演算部と、
選定された前記推奨かごロープを表示する表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エレベータの概要図
図2】ロープテスタの検出装置の概要図
図3】一実施形態に係るエレベータ検査システムの制御ブロック図
図4】同実施形態に係る検査データベースを示す図
図5】同実施形態に係る検査優先度判定に用いる直近検査時期データを示す図
図6】同実施形態に係る検査優先度判定に用いる素線切れ数データを示す図
図7】同実施形態に係る検査優先度判定に用いる使用年数データを示す図
図8】同実施形態に係る優先度判定工程及び推奨ロープ選定工程を説明する図
図9】同実施形態に係る表示部の表示を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
以下、エレベータ検査装置における一実施形態について、図1図9を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、エレベータ検査装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、エレベータ検査装置の構成を限定するものではない。
【0011】
ここで、エレベータ検査装置の各構成を説明するのに先立って、エレベータ及びロープテスタの検出装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、エレベータ20は、例えば、複数のかごロープ21と、複数のかごロープ21にそれぞれ接続されるかご22及び釣合錘23と、かごロープ21を駆動してかご22及び釣合錘23を上下方向へ走行させる巻上機24と、かご22を案内するかごレール25と、釣合錘23を案内する錘レール26と、データが入力される入力装置27と、データを処理する処理装置28と、データを出力する出力装置29とを備えていてもよい。
【0013】
なお、図1に係るエレベータ20は、巻上機24を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ20は、巻上機24を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0014】
入力装置27は、例えば、かご22に配置されるかご操作盤27aと、乗場X3に配置される乗場操作盤27bとを備えていてもよい。また、出力装置29は、例えば、かご22に配置されるかご出力部29aと、乗場X3に配置される乗場出力部29bとを備えていてもよい。
【0015】
処理装置28は、例えば、通常の運転時において、入力装置27に入力されたデータ(例えば、かご操作盤27aに入力される行先階データ、乗場操作盤27bに入力される行先方向データ等)に基づいて、巻上機24を制御してもよい。これにより、かご22は、出発地の乗場X3から、目的地の乗場X3まで、上下方向へ移動する。
【0016】
かごロープ21の本数は、特に限定されない。例えば、図2に示すように、かごロープ21a~21fは、6本備えられていてもよい。例えば、横方向に一列に並ぶかごロープ21a~21fは、一方側から他方側へ向けて順に、第1、第2、第3、第4、第5及び第6かごロープ21a~21fという。
【0017】
したがって、例えば、第1かごロープ21aの一つ隣に離れたかごロープ21bは、第2かごロープ21bであり、また、例えば、第1かごロープ21aの二つ隣に離れたかごロープ21cは、第3かごロープ21cであり、また、例えば、第1かごロープ21aの五つ隣に離れたかごロープ21fは、第6かごロープ21fである。
【0018】
ロープテスタの検出装置30は、例えば、図2に示すように、複数のセンサヘッド31と、センサヘッド31を支持する支持具32とを備えていてもよい。センサヘッド31は、例えば、かごロープ21を磁化させて、磁化されたかごロープ21の磁束を検出してもよい。なお、センサヘッド31の個数は、特に限定されないが、例えば、図2においては、センサヘッド31は、二つ備えられている。
【0019】
そして、検出装置30は、例えば、機械室X2の内部で、機械室X2に対して固定されてもよく、また、例えば、昇降路X1の内部で、昇降路X1に対して固定されていてもよい。これにより、かご22が移動することによって、かごロープ21がセンサヘッド31に対して移動(スライド)するため、複数のセンサヘッド31は、かごロープ21を全長に亘って、同時に検査する。
【0020】
支持具32は、例えば、支持するセンサヘッド31,31の位置を自由に変更可能であってもよい。これにより、支持具32に支持されるセンサヘッド31,31間の距離を自由に変更できるため、センサヘッド31,31の位置は、同時に検査するかごロープ21の位置に合わせられる。
【0021】
なお、特に限定されないが、例えば、図2に係る支持具32は、四つ隣に離れたかごロープ21a~21e(21b~21f)まで、同時に検査できるようにセンサヘッド31,31を支持できる。したがって、図2に係る検出装置30は、センサヘッド31の最大設置範囲は「5」(5本のかごロープ21の範囲)となり、例えば、五つ隣に離れた第1かごロープ21a及び第6かごロープ21f同士を同時に検査できない。
【0022】
図3に示すように、エレベータ検査システム(以下、単に「検査システム」ともいう)1は、例えば、エレベータ検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)2と、データを記憶する記憶装置40とを備えていてもよい。検査装置2及び記憶装置40は、例えば、通信手段50によって、互いに通信可能であってもよい。
【0023】
特に限定されないが、通信手段50は、例えば、有線LAN、通信ケーブル等の有線通信手段であってもよく、また、例えば、インターネット、ブルートゥース、無線LAN等の無線通信手段であってもよい。なお、検査装置2は、例えば、エレベータ20及びセンサヘッド31とも、通信手段50によって、互いに通信可能であってもよい。
【0024】
記憶装置40は、例えば、サーバ等としてもよい。また、特に限定されないが、記憶装置40の所有者は、例えば、エレベータ20、ロープテスタの検出装置30、及び検査装置2の所有者と同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
【0025】
検査装置2は、例えば、携帯して持ち運び可能な端末装置としてもよい。特に限定されないが、検査装置2は、例えば、ノートブック型パソコンであってもよく、また、例えば、タブレットコンピュータであってもよく、また、例えば、スマートデバイス(スマートフォン)であってもよい。特に限定されないが、検査装置2は、例えば、本実施形態においては、機械室X2に配置されている。
【0026】
検査装置2は、例えば、データが入力される入力部3と、データを処理する処理部4と、データを出力する出力部5とを備えていてもよい。処理部4は、例えば、本実施形態のように、データを取得する取得部6と、データを記憶する記憶部7と、データを演算する演算部8と、検査装置2の各部を制御する制御部9とを備えていてもよい。
【0027】
なお、検査装置2は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、検査装置2の各部3,4,5は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0028】
入力部3の構成は、特に限定されないが、入力部3は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)等としてもよい。
【0029】
出力部5は、例えば、本実施形態のように、データを表示する表示部10と、データを音で発する発音部11と、外部(例えば、エレベータ20等)へデータを送信する送信部(図示していない)とを備えていてもよい。表示部10及び発音部11の構成は、特に限定されないが、表示部10は、例えば、モニター、電光掲示板、表示灯等としてもよく、また、発音部11は、例えば、ブザー、スピーカ等としてもよい。
【0030】
処理部4は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部8、制御部9)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部6、記憶部7)、各種インターフェイス等を備えるコンピュータとしてもよい。これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理部4の各部6,7,8,9が実現される。
【0031】
なお、処理部4は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理部4の各部6,7,8,9は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0032】
入力部3は、例えば、本実施形態のように、検査対象のエレベータ20を選択する対象選択データが入力される対象選択入力部3aと、検査条件のデータが入力される検査条件入力部3bと、検査結果のデータが入力される検査データ入力部3cとを備えていてもよい。
【0033】
記憶部7は、例えば、本実施形態のように、検査データベースを記憶する検査データ記憶部7aと、検査条件を記憶する検査条件記憶部7bとを備えていてもよい。なお、本明細書においては、記憶とは、入力指示により削除されるまで記憶し続ける場合だけでなく、例えば、演算部16の演算に用いるために一時的に記憶し、入力指示に関係なく演算終了後に削除される場合も含む。
【0034】
検査データベースは、例えば、図4に示すように、対象エレベータ20と、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれに関連付けられて記憶された直近検査時期、直近検査時の素線切れ数、及び使用年数とからなるデータベースとしてもよい。
【0035】
例えば、第1かごロープ(図4においては、「ロープNO.」が「1」のかごロープ。図8及び図9も同様。)21aの検査データにおいては、直近検査時期が「2023年6月1日」であり、直近検査時の素線切れ数が「0」であり、使用年数が「2.0年」である。なお、例えば、使用年数においては、検査データ記憶部7aが使用開始日を記憶しており、演算部8が、使用開始日から本日までの使用年数を演算する、という構成でもよい。
【0036】
また、図示してないが、かごロープ21は、例えば、撚り合わされる複数のストランドを備えており、ストランドは、撚り合わされる複数の素線を備えている。そして、例えば、当該素線の切断本数である素線切れ数が、基準数以上となった場合に、かごロープ21の強度が不足しているため、かごロープ21の交換が行われる。
【0037】
図3に戻り、演算部8は、例えば、本実施形態のように、検査データベースに基づいて、複数のかごロープ21のそれぞれの検査優先度を判定する優先度判定部8aと、優先度判定部8aで判定された検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨するかごロープ(以下、「推奨かごロープ」ともいう)21を選定する推奨ロープ選定部8bとを備えていてもよい。
【0038】
表示部10は、例えば、本実施形態のように、検査対象のエレベータ20を表示する対象表示部10aと、検査データを表示する検査データ表示部10bと、優先度判定部8aで判定した検査優先度を表示する優先度表示部10cと、推奨ロープ選定部8bで選定された推奨かごロープ21を表示する推奨ロープ表示部10dとを備えていてもよい。
【0039】
本実施形態に係る検査システム1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る検査装置2の表示方法について、図4図9を参照しながら説明する。なお、以下の方法は、検査装置2の表示方法等の理解を助けるために例示するものであり、検査装置2の表示方法を限定するものではない。
【0040】
表示方法は、例えば、本実施形態のように、検査対象のエレベータ20の検査データベースを記憶する検査データ記憶工程と、かごロープ21の検査優先度を判定する優先度判定工程と、今回の検査で検査を推奨するかごロープ21を選定する推奨ロープ選定工程と、表示部10にデータを表示するデータ表示工程とを含んでいてもよい。
【0041】
<検査データ記憶工程>
まず、検査データ記憶工程について説明する。
【0042】
例えば、対象選択入力部3aに、検査対象のエレベータ20を選択する対象選択データが入力される。なお、特に限定されないが、各入力部3a~3cは、例えば、表示部10の所定の位置にマウスポインタを合せて、マウスをクリックすることでデータの入力ができる、という構成でもよく、また、例えば、表示部10の所定の位置にタッチすることでデータの入力ができる、という構成でもよい。
【0043】
そして、例えば、出力部5は、対象選択データを記憶装置40へ出力し、記憶装置40は、記憶している複数のエレベータ20の検査データベースから、出力部5が出力した対象選択データで選択されたエレベータ20の検査データベースを検査装置2へ出力し、検査データ記憶部7aは、記憶装置40が出力した検査データベースを記憶する、という構成でもよい。
【0044】
これにより、検査データを共有化することができる。したがって、例えば、前回の検査員と今回の検査員とが異なっている場合でも、検査データを共有するための打合せ等が必要なくなる。なお、斯かる構成に限られず、例えば、検査データ記憶部7aは、複数のエレベータ20の検査データベースを記憶している、という構成でもよい。即ち、表示方法は、検査データ記憶工程を備えていなくてもよい。
【0045】
<優先度判定工程>
次に、優先度判定工程について説明する。
【0046】
優先度判定部8aは、例えば、図4図8に示すように、検査データ記憶部7aで記憶した検査データベースに基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定してもよい。具体的には、優先度判定部8aは、例えば、本実施形態のように、直近検査時期、直近検査時の素線切れ数、及び使用年数に基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定してもよい。
【0047】
また、特に限定されないが、優先度判定部8aは、例えば、本実施形のように、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの優先ポイントを演算することによって、検査優先度を判定してもよい。なお、例えば、本実施形態のように、優先ポイントは、直近検査時期、直近検査時の素線切れ数、及び使用年数のそれぞれの優先ポイントの合計としてもよい。また、例えば、本実施形態のように、優先ポイントが大きいほど、検査優先度が高くてもよい。
【0048】
図5に示すように、直近検査時期においては、例えば、直近検査時期が新しいほど、優先ポイントは小さく、また、直近検査時期が古いほど、優先ポイントは大きくてもよい。図5においては、例えば、直近検査時期が「1月超~2月以内」である場合には、優先ポイントは「1」であり、また、例えば、直近検査時期が「3月超~4月以内」である場合には、優先ポイントは「5」である。
【0049】
例として、図5においては、本日(今回の検査日)が「2023年7月1日」として、直近検査時期が「2023年5月1日~5月31日」である場合には、優先ポイントは「1」であり、直近検査時期が「2023年3月1日~3月31日」である場合には、優先ポイントは「5」である。なお、直近検査時期における優先ポイントは、斯かる内容に限られない。
【0050】
図6に示すように、直近検査時の素線切れ数においては、例えば、素線切れ数が少ないほど、優先ポイントは小さく、また、素線切れ数が多いほど、優先ポイントは大きくてもよい。図6においては、例えば、素線切れ数が「基準数の0%超~20%以内」である場合には、優先ポイントは「1」であり、また、例えば、素線切れ数が「基準数の40%超~60%以内」である場合には、優先ポイントは「3」である。
【0051】
例として、図6においては、基準数(例えば、かごロープ21を交換する基準数)が「10」として、素線切れ数が「1~2」である場合には、優先ポイントは「1」であり、素線切れ数が「5~6」である場合には、優先ポイントは「3」である。なお、直近検査時の素線切れ数における優先ポイントは、斯かる内容に限られない。
【0052】
図7に示すように、使用年数においては、例えば、使用年数が短いほど、優先ポイントは小さく、また、使用年数が長いほど、優先ポイントは大きくてもよい。図7においては、例えば、使用年数が「(基準年数-1.0年)超~(基準年数-0.5年)以内」である場合には、優先ポイントは「1」であり、また、例えば、使用年数が「(基準年数±0年)超」である場合には、優先ポイントは「5」である。
【0053】
例として、図7においては、基準年数(例えば、かごロープ21を交換する基準年数)が「5年」として、使用年数が「4年超~4.5年以内」である場合には、優先ポイントは「1」であり、使用年数が「5年超」である場合には、優先ポイントは「5」である。なお、使用年数における優先ポイントは、斯かる内容に限られない。
【0054】
そして、優先度判定部8aは、例えば、図8に示すように、第1~第6かごロープ21a~21fのそれぞれの優先ポイントを演算する。例えば、第2かごロープ21bにおいては、直近検査時期が「2023年5月1日」であるため、その優先ポイントが「1」であり、直近検査時の素線切れ数が「5」であるため、その優先ポイントが「3」であり、使用年数が「4.8年」であるため、その優先ポイントが「2」となり、そして、検査優先度を示す優先ポイントの合計は、「6」となる。
【0055】
このように、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、直近検査時期、直近検査時の素線切れ数、及び使用年数に基づいて、判定されるため、かごロープ21a~21fの検査優先度を適切に判定することができる。なお、優先度判定部8aは、斯かる構成に限られず、例えば、検査優先度を複数のランク(例えば、「高-中-低」等のランク)で判定してもよい。
【0056】
<推奨ロープ選定工程>
次に、推奨かごロープ選定工程について説明する。
【0057】
推奨ロープ選定部8bは、例えば、本実施形態のように、優先度判定部8aで判定された検査優先度と検査条件記憶部7bに記憶された検査条件とに基づいて、検査を推奨する推奨かごロープ21を選定してもよい。なお、検査条件記憶部7bに記憶された検査条件は、例えば、予め設定された不変(規定)の検査条件と、検査条件入力部3bに入力され、検査ごとに設定される可変(個別)の検査条件とを含んでいてもよい。
【0058】
不変の検査条件は、例えば、今回の検査で同時の検査を推奨するかごロープ21を複数選定する場合に、選定された複数のかごロープ21が互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとする、という条件を含んでいてもよい。これにより、複数のかごロープ21を同時に検査する場合に、センサヘッド31,31同士を離すことができる。
【0059】
したがって、センサヘッド31,31同士の磁場の干渉を抑制することができるため、センサヘッド31でかごロープ21を適切に検査することができる。なお、例えば、当該検査条件は、予め設定された不変の検査条件ではなく、検査条件入力部3bに入力される可変の検査条件としてもよい。
【0060】
また、可変の検査条件は、例えば、今回の検査で使用する検出装置30の仕様を含んでいてもよい。具体的には、例えば、可変の検査条件は、今回の検査で同時に検査できるかごロープ21の数である設定数と、センサヘッド31の最大設置範囲とを含んでいてもよい。
【0061】
例えば、本実施形態においては、図2に係る検出装置30が使用されるため、設定数は「2」であり、センサヘッド31の最大設置範囲は「5」(5本のかごロープ21の範囲)である。なお、例えば、当該検査条件は、検査条件入力部3bに入力される可変の検査条件ではなく、予め設定された不変の検査条件であってもよい。
【0062】
ところで、図8に示すように、例えば、推奨ロープ選定部8bは、今回の検査で同時の検査を推奨する設定数の今回推奨かごロープ21と、次回の検査で同時の検査を推奨する設定数の次回推奨かごロープ21とを、それぞれ選定してもよい。具体的には、推奨ロープ選定部8bは、以下のように、今回推奨かごロープ21及び次回推奨かごロープ21を選定してもよい。
【0063】
まず、検査条件である設定数が「2」であるため、検査優先度が高い順に、四つのかごロープ21b,21c,21f,21dが、今回推奨かごロープ21及び次回推奨かごロープ21に選定される。具体的には、優先ポイントが大きい順に、第2かごロープ21b(優先ポイント「6」)、第3かごロープ21c(優先ポイント「5」)、第6かごロープ21f(優先ポイント「3」)、及び第4かごロープ21d(優先ポイント「2」)の四つが、今回推奨かごロープ21及び次回推奨かごロープ21に選定される。
【0064】
そして、検査優先度が最も高い第2かごロープ21bは、今回推奨かごロープ21に選定される。次に、検査優先度が2番目に高い第3かごロープ21cは、第2かごロープ21bの一つ隣に離れたかごロープ21cである。これにより、第2及び第3かごロープ21b,21cが同時に検査できないため、第3かごロープ21cは、次回推奨かごロープ21に選定される。
【0065】
そして、検査優先度が3番目に高い第6かごロープ21fは、第2かごロープ21bの四つ隣に離れたかごロープ21fである。これにより、第2及び第6かごロープ21b,21fが同時に検査できるため、第6かごロープ21fは、今回推奨かごロープ21に選定可能である。
【0066】
しかしながら、検査優先度が4番目に高い第4かごロープ21dは、第3かごロープ21cの一つ隣に離れたかごロープ21cである。これにより、第3及び第4かごロープ21c,21dが次回検査時に同時に検査できないため、第4かごロープ21dが、今回推奨かごロープ21に選定され、第6かごロープ21fは、次回推奨かごロープ21に選定される。
【0067】
したがって、第2及び第4かごロープ21b,21dが今回推奨かごロープ21(図8において、「今回」と示されている)に選定され、第3及び第6かごロープ21c,21fが次回推奨かごロープ21(図8において、「次回」と示されている)に選定される。このように、今回の検査だけでなく次回の検査も考慮して、同時に検査を行うかごロープ21の組み合わせを選定することができる。したがって、例えば、今回の検査だけでなく次回の検査でも、適切なかごロープ21を検査することができる。
【0068】
<データ表示工程>
次に、データ表示工程について説明する。
【0069】
図9に示すように、表示部10は、例えば、対象表示部10aで、検査対象のエレベータ20を表示し、検査データ表示部10bで、検査データを表示し、優先度表示部10cで、優先度判定部8aで判定した検査優先度を表示し、推奨ロープ表示部10dで、ロープ選定部8bで選定された推奨かごロープ21を表示する、という構成でもよい。
【0070】
これにより、複数のかごロープ21a~21fのうち、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dを把握することができる。したがって、今回の検査で検査するかごロープ21を容易に決めることができるため、例えば、かごロープ21の検査を容易に計画することができる。また、検査データ及び検査優先度の両方が表示されているため、例えば、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dの根拠を把握することができる。
【0071】
なお、特に限定されないが、例えば、検査条件入力部3bに、今回の検査で検査するかごロープ21の条件が入力可能であってもよい。そして、斯かる場合には、推奨ロープ選定部8bは、今回推奨かごロープ21及び次回推奨かごロープ21を選定し直し、推奨ロープ表示部10dは、選定し直した今回推奨かごロープ21を表示してもよい。
【0072】
例えば、図8及び図9において、検査条件入力部3bに、今回の検査で第3かごロープ21cを検査する条件が入力された場合には、推奨ロープ選定部8bは、上記と同様の選定方法によって、第3及び第6かごロープ21c,21fを今回推奨かごロープ21に選定し、第2及び第4かごロープ21b,21dを次回推奨かごロープ21に選定することになる。
【0073】
その後、特に限定されないが、例えば、演算部8が、センサヘッド31が出力する磁束に基づいて、かごロープ21の異常を判定することによって、かごロープ21は、検査されてもよい。そして、今回の検査データが、検査データ入力部3cに入力されることによって、記憶部7が、検査データベースを更新して記憶し、出力部5が、記憶部7で更新しして記憶された検査データベースを、記憶装置40へ出力し、記憶装置40は、出力部5が出力した検査データベースを、当該エレベータ20の検査データベースとして更新して記憶してもよい。
【0074】
[1]
以上より、エレベータ検査装置2は、本実施形態のように、
ロープテスタで検査される複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部7と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する演算部8と、
判定された前記検査優先度を表示する表示部10と、を備える、
という構成が好ましい。
【0075】
斯かる構成によれば、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、記憶された直近検査時期に基づいて、判定され、判定された検査優先度が、表示される。これにより、複数のかごロープ21a~21fのうち、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dを把握することができる。
【0076】
[2]
また、エレベータ検査装置2は、本実施形態のように、
ロープテスタで検査される複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部7と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定し、判定した前記検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープ21を選定する演算部8と、
選定された前記推奨かごロープ21を表示する表示部10と、を備える、
という構成が好ましい。
【0077】
斯かる構成によれば、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、記憶された直近検査時期に基づいて、判定される。そして、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープ21が、判定された検査優先度に基づいて、選定され、選定された推奨かごロープ21は、表示される。これにより、複数のかごロープ21a~21fのうち、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dを把握することができる。
【0078】
[3]
また、上記[2]のエレベータ検査装置2においては、本実施形態のように、
前記演算部8は、判定した前記検査優先度に基づいて、複数である設定数のかごロープ21が互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、今回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の今回推奨かごロープ21を選定し、
前記表示部10は、選定された前記今回推奨かごロープ21を表示する、
という構成が好ましい。
【0079】
斯かる構成によれば、今回の検査で同時の検査を推奨する設定数の今回推奨かごロープ21が、判定された検査優先度に基づいて、選定され、選定された設定数の今回推奨かごロープ21が、表示される。このとき、設定数の今回推奨かごロープ21の組み合わせが、複数のかごロープ21a~21fが互いに二つ隣以上離れるように、選定されているため、複数のかごロープ21a~21fを同時に検査するセンサヘッド31,31同士の干渉を抑制するように、かごロープ21の組み合わせを選定することができる。
【0080】
[4]
また、上記[3]のエレベータ検査装置2においては、本実施形態のように、
前記演算部8は、判定した前記検査優先度に基づいて、前記設定数のかごロープ21が互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、前記設定数の前記今回推奨かごロープ21だけでなく、次回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の次回推奨かごロープ21をさらに選定する、
という構成が好ましい。
【0081】
斯かる構成によれば、今回の検査で同時の検査を推奨する設定数の今回推奨かごロープ21と、次回の検査で同時の検査を推奨する設定数の次回推奨かごロープ21とが、それぞれ選定される。これにより、複数のかごロープ21a~21fを同時に検査するセンサヘッド31,31同士の干渉を抑制し、且つ、今回の検査だけでなく次回の検査も考慮して、かごロープ21の組み合わせを選定することができる。
【0082】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか1つのエレベータ検査装置2においては、本実施形態のように、
前記記憶部7は、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの使用年数をさらに記憶し、
前記演算部8は、記憶された前記直近検査時期と前記使用年数とに基づいて、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、
という構成が好ましい。
【0083】
斯かる構成によれば、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、記憶された直近検査時期と使用年数とに基づいて、判定されるため、かごロープ21a~21fの検査優先度を適切に判定することができる。
【0084】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れか1つのエレベータ検査装置2においては、本実施形態のように、
前記記憶部7は、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの直近検査時における素線切れ数をさらに記憶し、
前記演算部8は、記憶された前記直近検査時期と前記素線切れ数とに基づいて、前記複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、
という構成が好ましい。
【0085】
斯かる構成によれば、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、記憶された直近検査時期と直近検査時の素線切れ数とに基づいて、判定されるため、かごロープ21a~21fの検査優先度を適切に判定することができる。
【0086】
なお、エレベータ検査装置2は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ検査装置2は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0087】
(A)上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、表示部10は、演算部8で判定された検査優先度と、演算部8で選定された推奨かごロープ21と、をそれぞれ表示する、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。
【0088】
(A-1)例えば、表示部10は、推奨かごロープ21を表示せずに、演算部8で判定された検査優先度のみを表示する、という構成でもよい。斯かる構成によれば、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度が、把握できるため、複数のかごロープ21a~21fのうち、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dを把握することができる。なお、斯かる構成においては、演算部8は、推奨かごロープ21を演算しない、という構成でもよい。
【0089】
(A-2)また、例えば、表示部10は、演算部8で判定された検査優先度を表示せずに、演算部8で選定された推奨かごロープ21のみを表示する、という構成でもよい。斯かる構成によれば、選定された推奨かごロープ21が、把握できるため、複数のかごロープ21a~21fのうち、今回の検査で検査すべきかごロープ21b,21dを把握することができる。
【0090】
(B)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、今回推奨かごロープ21が選定される設定数は、二つ(複数)である、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。今回推奨かごロープ21が選定される設定数は、例えば、一つである、という構成でもよく、また、例えば、三つ以上の複数である、という構成でもよい。
【0091】
(C)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、演算部8で選定される複数の各推奨かごロープ21は、複数のかごロープ21が互いに二つ隣以上離れるような組み合わせである、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。
【0092】
例えば、演算部8で選定される複数の各推奨かごロープ21は、隣同士の二つのかごロープ21を含む組み合わせでもよい、という構成でもよい。また、例えば、演算部8で選定される複数の今回推奨かごロープ21は、複数のかごロープ21が互いに二つ隣以上離れるような組み合わせである一方で、演算部8で選定される複数の次回推奨かごロープ21は、隣同士の二つのかごロープ21を含む組み合わせでもよい、という構成でもよい。
【0093】
(D)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、演算部8は、設定数の今回推奨かごロープ21と、設定数の次回推奨かごロープ21とをそれぞれ選定する、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、演算部8は、次回推奨かごロープ21を選定することなく、設定数の今回推奨かごロープ21のみを選定する、という構成でもよい。
【0094】
(E)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、演算部8が選定する今回推奨かごロープ21の設定数と次回推奨かごロープ21の設定数とは、同じ数である、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。
【0095】
例えば、演算部8が選定する今回推奨かごロープ21の設定数と次回推奨かごロープ21の設定数とは、異なる数である、という構成でもよい。なお、このように、次回の検査の検査条件が、今回の検査の検査条件と異なる場合(例えば、使用する検出装置30が異なる場合)には、例えば、検査条件入力部3bに、それぞれの検査条件(可変の検査条件)が個別に入力可能である、という構成でもよく、また、例えば、それぞれの検査条件(不変の検査条件)が、検査条件記憶部7bに予め記憶されている、という構成でもよい。
【0096】
(F)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、表示部10は、次回推奨かごロープ21を表示せずに、今回推奨かごロープ21のみを表示する、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、表示部10は、今回推奨かごロープ21及び次回推奨かごロープ21の両方を表示する、という構成でもよい。
【0097】
(G)また、上記実施形態に係るエレベータ検査装置2においては、演算部8は、直近検査時期、直近検査時の素線切れ数、及び使用年数に基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、という構成である。しかしながら、エレベータ検査装置2は、斯かる構成に限られない。
【0098】
例えば、演算部8は、直近検査時期及び直近検査時の素線切れ数のみに基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、という構成でもよい。また、例えば、演算部8は、直近検査時期及び使用年数のみに基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、という構成でもよい。また、例えば、演算部8は、直近検査時期のみに基づいて、複数のかごロープ21a~21fのそれぞれの検査優先度を判定する、という構成でもよい。なお、これらの構成においては、記憶部7は、検査優先度の判定で使用されるデータのみを記憶する、という構成でもよい。
【0099】
(H)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示したシステム、方法、プログラム、及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0100】
1…エレベータ検査システム、2…エレベータ検査装置、3…入力部、3a…対象選択入力部、3b…検査条件入力部、3c…検査データ入力部、4…処理部、5…出力部、6…取得部、7…記憶部、7a…検査データ記憶部、7b…検査条件記憶部、8…演算部、8a…優先度判定部、8b…推奨ロープ選定部、9…制御部、10…表示部、10a…対象表示部、10b…検査データ表示部、10c…優先度表示部、10d…推奨ロープ表示部、11…発音部、20…エレベータ、21…かごロープ、21a…第1かごロープ、21b…第2かごロープ、21c…第3かごロープ、21d…第4かごロープ、21e…第5かごロープ、21f…第6かごロープ、22…かご、23…釣合錘、24…巻上機、25…かごレール、26…錘レール、27…入力装置、27a…かご操作盤、27b…乗場操作盤、28…処理装置、29…出力装置、29a…かご出力部、29b…乗場出力部、30…検出装置、31…センサヘッド、32…支持具、40…記憶装置、50…通信手段、X1…昇降路、X2…機械室、X3…乗場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する演算部と、
判定された前記検査優先度を表示する表示部と、を備える、エレベータ検査装置。
【請求項2】
ロープテスタで検査される複数のかごロープのそれぞれの直近検査時期を記憶する記憶部と、
記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定し、判定した前記検査優先度に基づいて、今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープを選定する演算部と、
選定された前記推奨かごロープを表示する表示部と、を備える、エレベータ検査装置。
【請求項3】
今回の検査で検査を推奨する推奨かごロープの数である設定数が入力される検査条件入力部を備え、
前記演算部は、記憶された前記直近検査時期に基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定し、入力された前記設定数と判定した前記検査優先度とに基づいて、前記設定数の前記推奨かごロープを選定する、請求項2に記載のエレベータ検査装置。
【請求項4】
前記演算部は、判定した前記検査優先度に基づいて、複数である設定数のかごロープが互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、今回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の今回推奨かごロープを選定し、
前記表示部は、選定された前記今回推奨かごロープを表示する、請求項2に記載のエレベータ検査装置。
【請求項5】
前記演算部は、判定した前記検査優先度に基づいて、前記設定数のかごロープが互いに二つ隣以上離れるような組み合わせとなるように、前記設定数の前記今回推奨かごロープだけでなく、次回の検査で同時の検査を推奨する前記設定数の次回推奨かごロープをさらに選定する、請求項に記載のエレベータ検査装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記複数のかごロープのそれぞれの使用年数をさらに記憶し、
前記演算部は、記憶された前記直近検査時期と前記使用年数とに基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する、請求項1~の何れか1項に記載のエレベータ検査装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記複数のかごロープのそれぞれの直近検査時における素線切れ数をさらに記憶し、
前記演算部は、記憶された前記直近検査時期と前記素線切れ数とに基づいて、前記複数のかごロープのそれぞれの検査優先度を判定する、請求項1~の何れか1項に記載のエレベータ検査装置。