IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

特開2025-20758除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ
<>
  • 特開-除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ 図1
  • 特開-除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ 図2
  • 特開-除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ 図3
  • 特開-除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020758
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
A01M1/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124333
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】落合 皐汰朗
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA17
2B121CC06
2B121CC27
2B121EA01
2B121FA01
2B121FA15
(57)【要約】
【課題】所要の設置場所に除虫用餌剤容器を容易に設置できるようにする。
【解決手段】餌剤を収納するための収納部8を内設し、この収納部8に通ずる連通口12を有する容器部2と、この容器部2を外部の設置場所Sに配置し、又は当該設置場所Sから回収する際に用いられる棒状の操作体32と、この操作体32に、その長手方向への変位可能に組み付けた把持体50とを具備する。前記操作体32の先方N側に、前記容器部2の表面の一部として設けた被装着面部Bへ装着させるための装着部Aを配備させる。この装着部Aに組み込んだ第1磁性体48で前記被装着面部Bに添設された第2磁性体28を吸着させる。前記容器部2に前記把持体50の先側を当接させた状態から、前記把持体50に対して前記操作体32を基方M側へ引き出して、前記装着部Aを、前記被装着面部Bから引き離す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌剤を収納するための収納部(8)を内設し、この収納部(8)に通ずる連通口(12)を有する容器部(2)と、
この容器部(2)を外部の設置場所(S)に配置し、又は当該設置場所(S)から回収する際に用いられ、長手方向の基方(M)側に操作部(G)を有する棒状の操作体(32)と、
この操作体(32)に、その長手方向への変位可能に組み付けた把持体(50)と
を具備しており、
前記操作体(32)の先方(N)側に、前記容器部(2)の表面の一部として設けた被装着面部(B)へ装着させるための装着部(A)を配備させており、
この装着部(A)に組み込んだ第1磁性体(48)と前記被装着面部(B)に添設された第2磁性体(28)とで前記被装着面部(B)に前記装着部(A)を吸着させるとともに、
前記装着部(A)を前記被装着面部(B)に装着した状態で、前記容器部(2)の表面に、前記把持体(50)の先側に配置された当接部(C)を当接させることが可能に形成し、この当接状態から、前記把持体(50)に対して前記操作体(32)を前記基方(M)側へ引き出すことにより、前記装着部(A)を、前記被装着面部(B)から引き離して脱着させることが可能に構成したことを特徴とする、除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ。
【請求項2】
前記把持体(50)は、前記操作体(32)の長手方向から見て、当該操作体(32)を嵌入する案内溝(51)を有するチャネル形状に付形されており、かつ、上方から見て、少なくとも、その案内溝(51)の両側の2箇所で、前記当接部(C)を介して前記容器部(2)に当接するように形成したことを特徴とする、請求項1に記載の除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ。
【請求項3】
前記把持体(50)は、前記操作体(32)の長手方向から見て、当該操作体(32)を嵌入する案内溝(51)を有するチャネル形状に付形されており、
前記操作体(32)は、前記操作部(G)と前記装着部(A)との間に中間部(38)を有し、かつ、これら中間部(38)及び装着部(A)は、それぞれ前記案内溝(51)内を進退可能な細長い形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ。
【請求項4】
前記被装着面部(B)は、平坦面に形成され、この平坦面と直交する方向から見て、前記第2磁性体(28)を前記被装着面部(B)の中心部(b1)内に配備させることにより、前記装着部(A)が前記中心部(b1)と重なる位置にあるときに、前記第1磁性体(48)及び前記第2磁性体(28)の間で引力が作用し、前記中心部(b1)から外れたときには、当該引力が解消されるように構成した請求項1から請求項3のいずれかに記載の除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ。
【請求項5】
前記操作体(32)と前記把持体(50)との間に、前記把持体(50)の当接部(C)と反対側に前記操作体(32)を付勢する付勢手段(59)を介在させたことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせに関する。なお、本明細書において、除虫用餌剤とは、ゴキブリなどの害虫除去のための餌剤をいう。また「脱着具」とは当該容器を設置場所に設置し、又は回収するために使用する治具(後述の操作部材)をいう。
【背景技術】
【0002】
除虫用餌剤容器として、相互に対向する矩形の底板と天板との間にベイト剤(毒餌)を内部に収納させ、害虫の進入・喫食・退避を可能とする連通口を開口した、害虫の好む狭い空間(冷蔵庫の下等)に配置可能な低背の容器が知られている(特許文献1)。これにより、毒餌を食した害虫が巣に戻った後に、その死骸等を食した他の害虫も駆除できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-186397
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器は、毒餌の有効期間が切れる頃を見計らって回収・廃棄する必要があるが、害虫が接触したであろう容器に手で触わりたくないという要望がある。また冷蔵庫の下の空間等は一般に上下幅が小さくかつ奥行があるため、当該空間のうちで害虫の通り道になる奥部(床及び壁の隅部など)に容器を設置し、回収することが難しい。
【0005】
本発明の第1の目的は、所要の設置場所に除虫用餌剤容器を容易に設置できるようにすること、第2の目的は除虫用餌剤容器を手で触る必要がないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、餌剤を収納するための収納部8を内設し、この収納部8に通ずる連通口12を有する容器部2と、
この容器部2を外部の設置場所Sに配置し、又は当該設置場所Sから回収する際に用いられ、長手方向の基方M側に操作部Gを有する棒状の操作体32と、
この操作体32に、その長手方向への変位可能に組み付けた把持体50と
を具備しており、
前記操作体32の先方N側に、前記容器部2の表面の一部として設けた被装着面部Bへ装着させるための装着部Aを配備させており、
この装着部Aに組み込んだ第1磁性体48と前記被装着面部Bに添設された第2磁性体28とで前記被装着面部Bに前記装着部Aを吸着させるとともに、
前記装着部Aを前記被装着面部Bに装着した状態で、前記容器部2の表面に、前記把持体50の先側に配置された当接部Cを当接させることが可能に形成し、この当接状態から、前記把持体50に対して前記操作体32を前記基方M側へ引き出すことにより、前記装着部Aを、前記被装着面部Bから引き離して脱着させることが可能に構成した。
【0007】
本手段は、除虫用餌剤容器及び着脱具の組み合わせであり、その着脱具として、図1(A)に、除虫用餌剤容器(容器部2)を外部の設置場所Sに設置しまた回収するための操作体32と、この操作体32に組み付けられた把持体50とを備える。
そして、図1(B)に示す如く、操作体32の先側の装着部Aに組み込まれた第1磁性体48と、容器部2の被装着面部Bに添設された第2磁性体28とが引き合う。
この構造によれば、磁力を利用して、容器部2を設置場所Sへの設置及び回収を容易に行うことができ、回収作業に際して容器部2に手で触ることを回避できる。
また図1(B)に示す如く、前記装着部Aを被装着面部Bに装着した状態で、容器部2に把持体50を当接させることが可能に形成する。この当接状態から、同図に白矢印で示す如く、前記把持体50に対して前記操作体32を前記基方M側へ引き出すことにより、前記装着部Aを、前記被装着面部Bから引き離して脱着させることが可能に構成している。
この構造によれば、把持体50に当接させた容器部2の被装着面部Bから装着部Aを引き離すので、脱着操作を容易に行うことができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記把持体50は、前記操作体32の長手方向から見て、当該操作体32を嵌入する案内溝51を有するチャネル形状に付形されており、かつ、上方から見て、少なくとも、その案内溝51の両側の2箇所で、前記当接部Cを介して前記容器部2に当接するように形成した。
【0009】
本手段では、図2(A)に示す如く、把持体50は案内溝51の両側の2箇所で容器部2に当接する。
この構造によれば、把持体50が案内溝51の片側で当接した場合のように把持体50がブレることがなく、被装着面部Bから装着部Aを安定的に脱着させることができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段を有し、かつ前記把持体50は、前記操作体32の長手方向から見て、当該操作体32を嵌入する案内溝51を有するチャネル形状に付形されており、
前記操作体32は、前記操作部Gと前記装着部Aとの間に中間部38を有し、かつ、これら中間部38及び装着部Aは、それぞれ前記案内溝51内を進退可能な細長い形状に形成されている。
【0011】
本手段では、図3(A)に示す如く、操作体32の中間部38及び装着部Aを、把持体50の案内溝51内を進退可能な細長い形状とした。
この構造によれば、図2(B)に示す如く、装着部Aを案内溝51内に引き込むことにより、被装着面部Bの第2磁性体28から十分に引き離すことができ、被装着面部Bから装着部Aを的確に脱着させることができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記被装着面部Bは、平坦面に形成され、この平坦面と直交する方向から見て、前記第2磁性体28を前記被装着面部Bの中心部b1内に配備させることにより、前記装着部Aが前記中心部b1と重なる位置にあるときに、前記第1磁性体48及び前記第2磁性体28の間で引力が作用し、前記中心部b1から外れたときには、当該引力が解消されるように構成した。
【0013】
本手段では、図2(A)の状態から、図2(B)に示す如く、装着部Aが被装着面部Bの中心部b1から外れたときには、第1磁性体48と第2磁性体28との引き合いが解消される。
この構造によれば、被装着面部Bから装着部Aを確実に脱着させることができる。
【0014】
第5の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記操作体32と前記把持体50との間に、前記把持体50の当接部Cと反対側に前記操作体32を付勢する付勢手段59を介在させた。
【0015】
本手段では、図4(A)に示す如く、前記操作体32と前記把持体50との間に、前記把持体50の当接部Cと反対側に前記操作体32を付勢する付勢手段59を介在させた。
この構造によれば、例えば片手の親指を操作体32の基端部に当てるとともに、残る4指で把持体50を掴むことにより、片手で容易に操作できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所要の設置場所に除虫用餌剤容器を容易に設置することができる。また、除虫用餌剤容器を手で触る必要がなく、衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る除虫用餌剤容器とその着脱具の組み合わせの構成を示しており、同図(A)は、当該容器(容器部)に操作部材の操作体を吸着させた状態で前方から見た断面図、同図(B)は同じ状態で側方から見た側面図である。
図2図1に示す組み合わせの作用の説明図であり、同図(A)は、当該組み合わせの容器部に操作体を吸着させた状態を、同図(B)は、容器部から操作体を脱着させるために当該操作体を外部へ引く状態をそれぞれ示している。
図3図1に示す組み合わせの操作部材の構成を示しており、同図(A)は当該操作部材の平面図、同図(B)はIII(B)- III(B)方向から見た前面図、同図(C)はIII(C)- III(C)方向から見た断面図である。
図4】同図(A)は本発明の第2実施形態に係る組み合わせの構成を、同図(B)は本発明の第3実施形態に係る組み合わせの構成をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図3は、本発明の第1実施形態に係る除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ1を示している。簡単のために前述の除虫用餌剤容器を容器部2と称し、また脱着具を操作部材30と称する。
これら各部材は、後述の第1磁性体48及び第2磁性体28を除いて、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0019】
容器部2は、餌剤Uを収納するための収納部8を内設し、この収納部8に通ずる連通口12を開口している。図示例の連通口12は、後述の容器体4の外周壁10に開口されている。もっとも、連通口12の配置は適宜変更することができる。
本実施形態において、前記容器部2は、容器体4と、この容器体の上面開口を閉塞する上蓋20とで形成されている。もっともこの構造は適宜変更することができる。
【0020】
前記容器体4は、本実施形態において、底部6の周端から筒状(図示例では円筒状)の外周壁10を立設してなる。
前記底部6は、上内方へ隆起する周辺部6aと、この周辺部6aから段差面7を介して陥没する中央部6bとを有する。そして、その段差面7の内側に、餌剤Uを収納するための収納部8が形成されている。
図示例では、前記外周壁10の下部に、横長の連通口12が開口されている。もっとも、連通口12の形状は適宜変更することができる。前記連通口12は、害虫が容器部2の内部へ進入し、餌剤Uを喫食して退避することが可能なように、餌剤Uの収納部8に空間的に連続させている。
前記外周壁10の上部内面には、図1(A)に示す如く、後述の係止突起25を係止させるための突起受部として、横方向の内リブ16が付設されている。本実施形態では、周方向に相互に離間させて、複数(例えば3個)の内リブ16が付設されている。
本実施形態では、前記外周壁10の上部外面からは、周方向に90°離して4本の下側突片14を外方へ突設させている。図示はしないが、複数個(例えば上方から見て3連2行の計6個)の容器体を、破断線を介して相互に連結した一体成形品として金型成形する場合に、隣り合う容器体の下側突片14の先端部同士を、破断部を介して連結することができる。また、この一体成形品の形態において、複数(例えば前述の3連)の容器体4に亘って、各容器体の下側突片14の先端部に破断部を介して後述の操作体32又は把持体50を連設してもよい。この構成により、コストの上昇を抑えることができる。これらの説明は、後述の上蓋20の上側突片26に援用する。
【0021】
前記上蓋20は、前記容器体4の上端開口を閉塞するように装着されている。本実施形態において、上蓋20は非磁性材料で成形されている。
本実施形態において、前記上蓋20は、水平な天板21の周縁からスカート状の蓋周壁22を突設してなる。そして、この蓋周壁22の下端から垂設した複数(図示例では3個)の垂下片24が、前記外周壁10の内面に嵌着されている。
各垂下片24の下部外面には横向きの係止突起25が付設されており、これらの係止突起25を前記内リブ16の下面に係止させている。
図示例では、蓋周壁22には、上方から見て前記垂下片24の外周に沿って型抜き孔である長孔hが開口されている。
また蓋周壁22の外面の下端からは、周方向に90°離して4本の上側突片26を外方へ突設させている。各上側突片26は、対応する下側突片14と向かい合うように配置されている。
【0022】
本実施形態では、前記天板21の上面全体を、後述の操作体32の装着部Aを装着させるための面(以下「被装着面部」という)Bとしている。そして被装着面部Bの適所(図示例では被装着面部Bの中心部b1)に、第2磁性体28を添設している。
なお、本明細書において、「添設」とは、磁性体同士の吸着力が発揮される程度に、側近くに寄せて設けるという意味である。図示例では、後述の通り、天板21の下面に第2磁性体28を付設しているが(図1(A)参照)、天板21の上面に収納凹部を設け、この収納凹部内に第2磁性体28を嵌め込んでも構わない。但し、この場合には第2磁性体28が周囲の天板部分から外部にはみ出さないように設けることが好ましい。
被装着面部Bに添設された第2磁性体28と後述の装着部Aに組み込まれた第1磁性体48との磁力により、被装着面部Bに装着部Aが吸着されるように構成している。
図示例の被装着面部Bは、全体として平坦形状に形成されている。この形状とすることで被装着面部Bに対して装着部Aがぐらつくことなく、安定的に装着されるようにしている。もっとも装着部Aを装着できれば、被装着面部Bはどのような形状でも構わない。また被装着面部B及び第2磁性体28の配置も適宜変更することができる。例えば、図1(A)に想像線で示すように、容器体4の外周壁10の外面11の適所(図示例では下側突片14の下方)を垂直平坦面とし、当該箇所に第2磁性体28を添設してもよい。
この構成によれば、図2(A)に想像線で示す如く、容器部2の周面側の被装着面部Bに装着部Aを装着して、設置場所Sへの容器部2の設置及び回収を行うことができる。例えば設置場所Sの上下幅が狭く、容器部2の上方へ装着部Aを差し込む十分なスペースがない場合に、この態様を適用する利点がある。
なお、図示しないが、蓋周壁22の外面下端から突き出るフランジ部を設け、フランジ部の下面に第2磁性体28を添設してもよい。
また、第2磁性体28に対する第1磁性体48の吸着力は、図2(A)に示す如く、上方から見て装着部Aが被装着面部Bの中心部b1に重なるときにのみ作用し、図2(B)に示すように、装着部Aが中心部b1から外れ、被装着面部Bの外周部b2にのみ重なるときに、作用しない。この構成によれば、被装着面部Bから装着部Aを確実に脱着できる。
【0023】
本実施形態では、第2磁性体28を金属(常磁性体)とし、かつ、第1磁性体48を磁石(強磁性体)としているが、第2磁性体28を磁石とし、かつ、第1磁性体48を金属としても、構わない。
その場合には、第2磁性体である磁石は、そのN極又はS極を天板21側を向けるように構成する。
また、第1磁性体48及び第2磁性体28を、図1(A)に示す装着状態において、それぞれの異極を対向させた磁石同士とすることもできる。
図示例の第2磁性体28は、平坦な円板状の金属板であり、天板21の下面に接着などの方法で固定されている。もっとも、第2磁性体28の形状及び構造は適宜変更することができる。
【0024】
また前記容器部2の表面には、前記被装着面部Bと隣接させて、後述の把持体50の当接部Cを当接させるための被当接面部Dを設定する。
天板21の上面を被装着面部Bとする場合には、この被装着面部Bより下位に被当接面部Dを配置する。図示例では、図1(B)に示す如く、天板21と連続するスカート状の蓋周壁22の上部外面を被当接面部Dとしている。
容器部2の表面に後述の把持体50の当接部Cを当接させるとともに、後述の操作体32の操作部Gを容器部2から離れる方向(後述の基方M)へ引くことにより、装着部Aを、被装着面部Bに沿って、被装着面部Bの面内方向kに向かって引き離すことができる。
例えば被装着面部Bに直交する方向に装着部Aを強制的に引き離す場合と比較すると、装着部Aの第1磁性体48が被装着面部Bの中心部b1(磁性領域)から外周部b2(非磁性領域)へ徐々に移動することにより、第1磁性体48と第2磁性体28との間に働く磁力も徐々に低減するため、脱着操作に要する労力が小さく、使い勝手がよい。
【0025】
操作部材30は、主部材(操作体)32と、副部材(把持体)50とで構成されている。なお、本明細書においては、「主」という用語は、操作体32が有する部位を、「副」という用語は、把持体50が有する部位をそれぞれ表すために使用する。
【0026】
前記操作体32は、長手方向の基方M側に操作部Gを、先方N側に装着部Aをそれぞれ有する棒状の部材であり、容器部2を外部の設置場所Sに配置し、又は当該設置場所Sから回収する際に用いられる柄パーツである。
本明細書において、「基方」とは根本側を、「先方」とは基方と反対側を意味し、操作部材の構成に関しては、別段の説明がない限り、操作者の手元側を基方と称する。この説明は「基端」・「基部」、「先端」・「先部」などの用語に援用する。
本明細書において、「棒状」とは、一方向に長い材(長尺材)という意味であり、容器部2を離れた場所(操作体の根元側)から支えて移動させることが可能な強度があれば、どのような構造でも構わない。中実の棒に限定されず、筒状、管状の形態も含まれる。
本実施形態の操作体32は、操作部Gである基部34と、操作部Gである先部40との間に、これら両部より長い中間部38を有する一本の棒状体に形成されている。
前記基部34は、操作体32の取手であり、図示例では、中間部38から段差部35を介して拡幅しており、かつ、その表面に複数のリブ状の滑り止め36が付設されている。
前記段差部35の役割は、後述の案内溝51に対する装着部Aの進退動作における進出側の限度位置を規定することである(図2(A)参照)。
中間部38は、図示例では、図3(C)に示す如く、断面矩形で細長い帯状の板部に形成されている。中間部38は、図2(A)に示す如く、容器部2が操作体32の先部40に吸着されかつ支持された状態を維持することが可能な程度の剛性を有する。
先部40は、図示例では、図3(A)に示す如く、上方から見て、前記中間部38と同一幅に形成されている。
本実施形態の先部40は、全体として、前述の装着部Aに形成されている。
装着部Aは、図示例では、第1磁性体48を内蔵させた筐体であり、磁力によって、被装着面部Bの中心部b1へ吸着させることが可能に形成されている。
図示の装着部Aは、図3(A)のIII(B)- III(B)方向から見ると、図3(B)に示す如く、細長い長方形状の主頂板42の両長辺(幅方向jの両辺)から一対の主側板44を垂設するとともに、図1(B)に示す如く、主頂板42の両短辺から一対の端板45を垂設させてなる。それら主側板44の下端には、第1磁性体48の挿入口である開口部47が形成されている。また主側板44の内面には、前記開口部47に近接させて、一対の磁性体抜止め用突片46が横設されている。これら両突片の間を強制的に通過させて、第1磁性体48を装着部A内に嵌め込んでいる。この嵌め込みを可能とするため、前記主側板44は、幅方向jの外側へ弾性的に若干拡開変形するように設けるとよい。
【0027】
第1磁性体48は、図示例において、装着部Aの全長に亘って配置された、角棒形状の細長い磁石である。この磁石は磁極の一方を開口部47に向けて配置されている。
図示例の第1磁性体48は細長い形状だから、例えば円板状のものと比較して、第1磁性体が被装着面部Bの中心部b1(磁性領域)から外周部b2(非磁性領域)へ徐々に移動することで磁力も徐々に低減する。故に脱着操作に要する労力が小さく、使い勝手がよい。
もっとも第1磁性体48の形状は適宜変更することができる。
磁石の種類は、第2磁性体28との間で容器部2を保持するに足りる磁力を得られる永久磁石であれば、どのようなものでも構わない。
【0028】
前記把持体50は、前記操作体32の適所(図示例では中間部38)に、当該操作体32の長手方向への変位可能(図示例ではスライド可能)に組み付けられた部材である。
図示例の把持体50は、前記操作体32ほどの長さはないが、前記長手方向に沿って延びる長尺材(柄パーツ)であり、操作体32と同じ方向に配向されている。そして、把持体50の長手方向全体において、把持体50の外面(後述の副頂板52の上面及び一対の副側板54の外面)を把持面部Fとしている。
こうした形態とすることにより、設置場所Sから容器部2を回収する際に、片手で把持体50の基方M側の端部を把持し、他方の手で操作体32の操作部Gを操作することにより、害虫が触れた可能性のある容器部2に利用者の手を触れることなく作業をすることができる。
また、長・短2本の柄パーツ(操作体32及び把持体50)を同じ方向に配向しているから、操作部材30全体を細長く嵩張らない形状とすることができる。
もっとも、これらの形態は適宜変更することができる。
【0029】
本実施形態では、前記把持体50は、前記操作体32の長手方向から見て、当該操作体32を嵌入するための案内溝51を有するチャネル形状に付形されている。
なお、「チャネル形状」とは、断面に溝が現れる形状をいうものとする。その一例として断面U字状(断面コ字状を含む)の長尺物の形状を挙げる。
そして、上方から見て、図3(A)に示す、案内溝51の両側の2箇所(案内溝よりも側外方に位置する2箇所)で、後述の当接部Cを介して前記容器部2の表面に当接するように形成している。
なお、「案内溝の両側の2箇所で…当接する」とは、2つの当接部Cが存在する場合に限らず、一つの当接部が案内溝51の両側で容器部2側に当接していても構わない。
図示例では、装着部Aの開口部47をした向きにした状態で、把持体50が図3(A)に示す逆U字形となるように操作体32に組み付けているが、上下反転させてU字形の形状となるよう組み付けても構わない。
図示例の把持体50は、長手方向から見て、図2(B)に示す如く、細長い長方形状の副頂板52の両長辺から一対の副側板54を垂下してなる。これら一対の副側板54の内面及び副頂板52の下面により、前述の案内溝51が形成されている。
これら副側板54の垂下長(厚み方向iの長さ)は、装着部Aの主側板44の垂下長より長く、長手方向から見て、副側板54が装着部Aの下面より下方に突き出すように構成されている。
本実施形態では、この突き出し部分の先方N側の端部を、容器部2の表面への当接部C(当接端部)としている。当接部Cは、図3(A)に示す如く、前述の案内溝51の両側に2箇所存在する。これにより、被装着面部Bから装着部Aを脱着させる際に、容器部2の表面に一対の当接部Cを介して当接された把持体50が幅方向jにブレることを防止している。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0030】
図示例では、一対の前記副側板54の一方から内方へ、図3(C)に示す係止突片55がされている。
この係止突片55の第1の役割は、案内溝51内からの操作体32の抜け出し防止である。
この係止突片55と副頂板52との間に操作体32の中間部38が配置されている。こうすることにより、中間部38が下方へ脱落しないように配置されている。この位置に中間部38を配置するためには、まず、長手方向から見て逆U字形姿勢の把持体50の下方から、中間部38を傾けて、一方の副側板54の係止突片55と他方の副側板54との隙間を挿通させる。次に図3(C)に示す水平状態となるように中間部38の姿勢を整えればよい。この作業を可能とするため、同図に示すように中間部38は一対の副側板54の間に遊びtを存して遊嵌されている。
前記係止突片55の第2の役割は、図2(B)に示す如く、装着部Aの端板45に当接することにより、案内溝51に対する装着部Aの進退動作における退入側の限度位置を規定することである。
これら2つの役割を果たすために、前記係止突片55は、把持体50の先方N側を除く全長に亘って配置されている。
もっともこれらの形状は適宜変更することができる。例えば操作体抜止め用の突片と、装着部Aへの当接用の突片とは、別々に設けても構わない。
図示例では、前記副頂板52には、前記係止突片55の上方に位置させて型抜き孔であるスリット53を形成している。
【0031】
前記構成において、図3(A)に示すように、把持体50の案内溝51から操作体32の装着部Aが進出した状態で、未使用の容器部2の被装着面部Bに操作体32の装着部Aを吸着させる。
次に、把持体50の把持面部Fの適所を一方の手で把持し、他方の手で操作体32の操作部Gを持ち、装着部Aに容器部2を吊り下げたままで、家具(例えば冷蔵庫)の下などの設置場所Sに操作体32の装着部A及び容器部2を設置場所Sへ挿入する。
ゴキブリなどの害虫は、家具の下の空間のうちでも、奥部、例えば床と壁との隅部を通り道とし易いので、そうした奥部を設置場所に選ぶとよい。長尺物である操作体32及び把持体50を利用して、家具の外側から操作部Gを操作して、容器部2を前記奥部へ容易に設置することができる。
容器部2を所要の設置場所Sに設置させた後、把持体50の把持面部Fを一方の手で把持したままで、他方の手で操作体32の操作部Gを基方M側(容器部2と反対側)へ引く。そうすると、操作体32の装着部Aが前記被装着面部Bから面内方向kへ引き離され、装着部Aを脱着させることができる。そして操作部材30を設置場所Sから引き抜くことで、設置作業が完了する。
この操作部材30は、適当な保管場所に保管しておくとよい。
容器部2の餌剤の有効期間が経過し、容器部2を回収するときには、前記操作部材30を保管場所から取り出す。
次に、図3(A)に示す如く、把持体50を一方の手で把持し、他方の手で操作体32の操作部Gを先方Nへ動かして、把持体50の案内溝51から操作体32の装着部Aが進出している状態となるようにする。
そして、操作部材30を、その先端側から家具の下の空間に挿入して、装着部Aを設置場所S、例えば壁と床の隅部へ差し込む。次に、床から若干離して、その隅部に沿って装着部Aを遊動させると、磁力により、容器部2が装着部Aに引かれ、吸着される。
吸着された容器部2とともに装着部Aを家具の下のスペースから引き出し、例えばゴミ袋を装着したゴミ箱の上方へ、容器部2が吸着された装着部Aを移動し、把持体50を把持したままで操作体32の操作部Gを基方Mへ引くと、装着部Aが容器部2の被装着面部Bから脱着され、その容器部2はゴミ袋の中に投棄される。
このゴミ袋を廃棄することにより、害虫に接触した可能性のある容器部2に手で直接触れることなく、容器部2を回収・廃棄できる。
【0032】
前記構成及び作用によれば、磁力を利用して設置場所Sへの容器部2の設置及び回収を容易に行うことができ、回収作業に際して容器部2に手で触ることを回避できる。
把持体50は操作体32の案内溝51の両側の2箇所で容器部2に当接するから、容器部2の被装着面部Bから操作体32の装着部Aを安定的に脱着させることができる。
また装着部Aを案内溝51内へ引き込むことで、装着部A側の第1磁性体48及び被装着面部B側の第2磁性体28を引き離すから、装着部Aの脱着を的確に行うことができる。
装着部Aが被装着面部Bの中心部b1から外れることで、第1磁性体48と第2磁性体28との引力が解消されるから、装着部Aの脱着を確実に行うことができる。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0034】
図4(A)は、本発明の第2実施形態に係る除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせを示している。この実施形態は、第1実施形態の構成に、把持体50に対して操作体32を基方M(容器部2から遠ざかる方向)へ付勢する付勢手段59を追加したものである。
図示例の付勢手段59は、スプリングであり、操作体32の操作部Gの段差部35と、把持体50の対向端部との間に介在されている。もっとも、付勢手段59の構造及び配置は適宜変更することができる。
この構成によれば、操作部材30を片手で簡単に操作することができ、便利である。具体的には、例えば片手の親指を操作体32の基端部(基方M側の端部)に当てるとともに、残る4指で把持体50を掴み、当該基端部を先方Nへ押し込むことにより、操作体32の装着部Aを把持体50の案内溝51から進出させることができる。
また、その押込み力を解放することにより、前記装着部Aを案内溝51へ退入させることができる。
【0035】
図4(B)は、本発明の第3実施形態に係る除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせを示している。
この実施形態は、第2実施形態の変形例であり、付勢手段59を利用した駆動機構Qを用いて、操作部Gである押釦70に対する1番目の押込み操作により、装着部Aが案内溝51から進出するとともに進出位置に留まり、押釦70に対する2番目の押込み操作により、装着部Aが進出位置から案内溝51内へ退入し、退入位置に留まるように構成している。
こうした駆動機構(いわゆるノック式機構)は、万年筆やボールペンなどの筆記具において公知である(米国特許第3,205,863号参照)。
この駆動機構は、押釦付きの本体の前端から後方へ付勢させた駆動棒を突設させた装置に適用され、前記本体及び駆動棒の間に、駆動棒に対する押釦の押込み力の一部を駆動棒の軸周りの回転力に変換するカム手段と、その軸周りの回転により駆動棒の係止状態(駆動棒を進出位置に係止する状態)及び非係止状態を切り替えるストッパ手段とを具備する。
【0036】
本実施形態においては、図4(B)に示す如く、把持体50の基方M側の端部を、ケース筒60の対向端部に内嵌させるとともに、ケース筒60の内面に付設した連結突起61を把持体50に係止させ、ケース筒60の一端側に、指当て用の外向きフランジ62を、ケース筒60の他端に内向きフランジ64をそれぞれ付設し、この内向きフランジ64の孔に筒状の押釦70を摺動可能に挿通させて配備している。
押釦70の外面には、押釦70の抜け止め用の係合凸部72が付設されている。
操作体32の基部(基方M側の部分)は前記ケース筒60内へ挿入され、当該基部から、この基部より大径の延長筒部56が基方Mへ突設されている。この延長筒部56と把持体50との間に付勢手段59であるコイルスプリングが介装されている。
延長筒部56の内側からは、カム面である尖端を有する複数の係合片58が基方Mへ突設され、これら係合片58のカム面と、押釦70の対向面部に形成したカム面とでカム手段q1が形成されている。
またケース筒60の内面には、複数の縦リブ66が周方向に等角的に配設されている。これら縦リブ66は、延長筒部56が図4(A)に想像線で示す位置にあるときに、延長筒部56の外面側に設けた受部(図示せず)と係止する係止突条であり、これら係止突条及び受部により、ストッパ手段q2が形成されている。
これらの構造は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…除虫用餌剤容器及びその脱着具の組み合わせ 2…容器部 4…容器体
6…底部 6a…周辺部 6b…中央部 7…段差面 8…収納部 10…外周壁
11…外面 12…連通口 14…下側突片 16…内リブ(突起受部)
20…上蓋 21…天板 22…蓋周壁 24…垂下片 25…係止突起
26…上側突片 28…第2磁性体
30…操作部材 32…主部材(操作体) 34…基部 35…段差部
36…滑り止め 38…中間部 40…先部 42…主頂板 44…主側板
45…端板 46…磁性体抜止め用突片 47…開口部 48…第1磁性体
50…副部材(把持体) 51…案内溝 52…副頂板 53…スリット
54…副側板 55…係止突片 56…延長筒部 58…係合片 59…付勢手段
60…ケース筒 61…連結突起 62…外向きフランジ 64…内向きフランジ
66…縦リブ 70…押釦(押筒) 72…係止凸部
A…装着部 B…被装着面部 b1…中心部(磁性領域)
b2…外周部(非磁性領域) C…当接部(当接端部) D…被当接面部 G…操作部
F…把持面部 h…長孔 i…厚み方向 j…幅方向 k…面内方向 M…基方
N…先方 Q…駆動機構 q1…カム手段 q2…ストッパ手段 S…設置場所
t…遊び U…餌剤
図1
図2
図3
図4